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答申第193号

2019年9月9日

ページ番号:622708

大個審答申第193号
令和6年3月29

大阪市長 横山 英幸 様

大阪市個人情報保護審議会
会長 金井 美智子

答申書

 大阪市個人情報の保護に関する法律の施行等に関する条例(令和5年大阪市条例第5号)附則第3項の規定によりなお従前の例によることとされた同条例による改正前の大阪市個人情報保護条例(平成7年大阪市条例第11号。以下「旧条例」という。)第45条に基づき、大阪市長(以下「実施機関」という。)から令和4年4月7日付け大東住窓住第4号により諮問のありました件について、次のとおり答申いたします。

第1 審議会の結論
 実施機関が、令和3年12月28日付け大東住窓住第126号により行った部分開示決定(以下「本件決定」という。)で開示しないこととした部分のうち、別表に掲げる部分を開示すべきであり、その余の部分は妥当である。

第2 審査請求に至る経過
1 開示請求
 審査請求人は、令和3年12月15日、旧条例第17条第1項に基づき、実施機関に対し、「私以外の第三者が住民票及び戸籍令和元年5月~令和3年8月までの取得したことがわかるすべての資料」を求める開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
2 本件決定
 実施機関は、本件請求に係る保有個人情報を、「住民票の写し等請求書(令和2年5月12日請求分・令和3年7月5日請求分)、戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)等交付申請書(令和3年7月5日請求分)」(以下「本件情報」という。)と特定した上で、旧条例第23条第1項に基づき、「窓口に来られた方の住所・電話番号・氏名・生年月日・続柄・本人確認資料・住民票等の住所・世帯主・世帯一部の写しが必要な人の氏名・生年月日記載欄の一部・使用目的・提出先・続柄を記載した箇所・筆頭者からみた請求者との関係・請求の理由・戸籍謄本が必要な理由を記載した箇所・続柄確認・本人確認・職員及び委託事業者取扱者サイン・委託事業者取扱者印影及び疎明資料」(以下「本件非開示部分」という。)を開示しない理由を次のとおり付して、本件決定を行った。

旧条例第19条第2号に該当
(説明)
 本件非開示部分については、開示請求者以外の個人に関する情報であって、当該情報そのものにより又は他の情報と照合することにより、特定の個人が識別される情報であると認められ、かつ同号ただし書ア、イ、ウのいずれにも該当しないため。
3 審査請求
 審査請求人は、令和4年3月8日に本件決定を不服として、実施機関に対して、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。

第3 審査請求人の主張
 
審査請求人の主張は、おおむね次のとおりである。
1 審査請求の趣旨
 本件決定を取り消し、公開決定を求める。
2 審査請求の理由
(1) 本件決定において公開しないこととされた部分は非公開情報に該当しないため。
(2) 住民票・戸籍謄本について本人・家族は請求していない。
(3) 委任状の添付があれば委任はしていない。
(4) 戸籍の請求書にどなたの証明が必要という欄に本人だけの氏名が記入されているのに戸籍抄本ではなく家族全員記載の戸籍謄本が交付されているのは個人情報保護の観点から適正な取扱いが確保されていない。

第4 実施機関の主張
 実施機関の主張は、おおむね次のとおりである。
1 審査請求人の主張について
 審査請求人は、審査請求書において「公開しないこととされた部分は非公開情報に該当しない」ことを理由に本件決定を取り消し、開示決定を求めているため、本件決定で非開示とした部分は旧条例第19条第2号に該当しないことを主張しているものと考えられるが、何をもって該当しないとしているかについては述べていない。
 審査請求人がその理由として主張しているのは、一つは戸籍謄本及び住民票の写しを本人・家族以外の者に交付したことの不当・違法性であり、これらは旧条例第19条第2号の該当性に関係するものではない。
 実施機関としては、まず本件非開示情報の旧条例第19条第2号該当性について弁明し、続いて本件決定とは直接関係があるわけではないが、審査請求人が申し立てている理由に則して戸籍謄本及び住民票の写しの交付の正当性について弁明する。
2 本件非開示情報の旧条例第19条第2号該当性について
 旧条例第19条第2号において、開示請求者以外の個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により開示請求者以外の特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)若しくは個人識別符号が含まれるもの又は開示請求者以外の特定の個人を識別することはできないが、開示することにより、なお開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるものについては、非開示情報であると明記されている。
 また、旧条例第19条第2号ただし書において、「ア 法令等の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報」、「イ 人の生命、身体、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報」、「ウ 当該個人が個人情報保護法第78条第2号ハに規定する公務員等である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容の部分」は開示できることとなっている。
 今回、開示しないこととした本件非開示情報のうち、窓口に来られた方の住所・電話番号・氏名・生年月日・続柄・本人確認資料・住民票等の住所・世帯主・世帯一部の写しが必要な人の氏名・生年月日記載欄の一部・使用目的・提出先・続柄を記載した箇所・筆頭者からみた請求者との関係・請求の理由・戸籍謄本が必要な理由を記載した箇所・続柄確認・本人確認及び疎明資料は、開示請求者以外である請求者個人に関する情報であり、職員サインは職員個人に関する情報であり、委託事業者取扱者サイン及び委託事業者取扱者印影は委託事業者個人に関する情報であって、当該情報そのものにより又は他の情報と照合することにより、特定の個人が識別されるものである。加えて本件非開示情報は、法令等の規定により開示請求者が知ることができる情報(ただし書ア)や人の生命、身体、健康、生活又は財産を保護するために開示することが必要である情報(ただし書イ)に該当せず、また、「職員サイン」を除き公務員に係る情報でなく、「職員サイン」は公務員に係る情報であるが職務遂行上の情報(ただし書ウ)に該当しない。以上のことから本件非開示情報は条例第19条第2号に該当するものと判断した。
3 戸籍謄本及び住民票の写しの交付の正当性について
(1) 本人・家族以外の者への交付の正当性について
 審査請求人は、「住民票・戸籍謄本について本人・家族は請求していない。委任状の添付があれば委任はしていない。」と述べている。
 戸籍謄本の交付に係る事務については、戸籍法(昭和22年法律第224号)の規定に基づき行われる。戸籍法では、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる者について、本人・家族以外にも第10条の2第1項において、自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合や国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある場合などについて、それぞれ必要とする理由を明らかにして請求することができると定められている。
 次に、住民票の写しの交付に係る事務については、住民基本台帳法(昭和42年法律第81号。以下「住基法」という。)の規定に基づき行われる。住基法では、住民票の写し等の交付の請求をすることができる者について、本人又は本人と同一の世帯に属する者以外にも、第12条の3第1項、第2項において自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために住民票の記載事項を確認する必要がある者や国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある者などから、住民票の写し等の交付が必要である旨の申出があり、当該申出が相当であると認められた時は、住民票の写し等の交付を受けることができると定められている。
 これらの場合、請求者は本人・家族からの委任状がなくても請求することが可能である。
 今回は、本人・家族以外の第三者である請求者から戸籍法第10条の2第1項及び住基法第12条の3第1項に掲げる者に該当することを理由として戸籍謄本及び住民票の写しの請求があり、請求できる権限を確認できる資料の提示を求めたうえで、当該申出を相当と認め、当該請求人に対して、戸籍謄本及び住民票を交付したものである。したがって、審査請求人の申し立てには理由がない。
(2) 家族全員の戸籍謄本を交付したことの正当性について
 審査請求人は、「戸籍の請求書にどなたの証明書が必要という欄に本人だけの氏名が記入されているのに戸籍抄本でなく家族全員記載の戸籍謄本が交付されている」と述べている。
 戸籍法第10条の2第1項において、各号に該当する請求者は、戸籍の謄本若しくは抄本又は戸籍に記載した証明書の交付の請求をすることができると定められている。
 戸籍の交付申請書様式では、「誰の」「どのような証明書」が「何通必要か」を確認する必要があり、「どなたの証明書が必要ですか」の欄で「誰の」の箇所を確認し、「必要な証明書の種類」の欄で「どのような証明書」が「何通必要か」の箇所を確認している。「必要な証明書の種類」の欄には、「戸籍」「除籍」「改製原戸籍」の三つの項目と「全部事項証明書(謄本)」と「個人事項証明書(抄本)」の二つの項目があり、それぞれ必要なものを選択することになっている。
 今回、請求者は申請書で「戸籍」と「全部事項証明書(謄本)」を選択した上で、あわせて「どなたの証明書が必要ですか」の欄に必要とする方の氏名を記載していることから、請求者はその方の記載がある戸籍全部事項証明書(謄本)を必要としており、その求めに応じて、その方を含め戸籍登載者全員が記載された戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)を交付したものであって、審査請求人が申し立てている「個人情報保護の観点から適正な取扱いが確保されていない」には理由がない。

第5 審議会の判断
1 基本的な考え方
 旧条例の基本的な理念は、第1条が定めるように、市民に実施機関が保有する個人情報の開示、訂正及び利用停止を求める具体的な権利を保障し、個人情報の適正な取扱いに関し必要な事項を定めることによって、市民の基本的人権を擁護し、市政の適正かつ円滑な運営を図ることにある。したがって、旧条例の解釈及び運用は、第3条が明記するように、個人情報の開示、訂正及び利用停止を請求する市民の権利を十分に尊重する見地から行わなければならない。
 しかしながら、旧条例は、すべての保有個人情報の開示を義務づけているわけではなく、第19条本文において、開示請求に係る保有個人情報に同条各号のいずれかに該当する情報が含まれている場合は、実施機関の開示義務を免除している。もちろん、第19 条各号が定める非開示情報のいずれかに該当するか否かの具体的判断に当たっては、当該各号の定めの趣旨を十分に考慮するとともに、当該保有個人情報の取扱いの経過や収集目的などをも勘案しつつ、旧条例の上記理念に照らして市民の権利を十分に尊重する見地から、厳正になされなければならないことはいうまでもない。
2 争点
 審査請求人は、本件決定を取り消し、本件非開示部分を開示すべき旨を主張しているのに対して、実施機関は本件各非開示部分は旧条例第19条第2号に該当すると主張している。したがって、本件審査請求における争点は、本件非開示部分の旧条例第19条第2号該当性である。
3 本件各非開示部分の旧条例第19条第2号該当性について
(1) 旧条例第19条第2号の基本的な考え方について
 旧条例第19条第2号本文は、「開示請求者以外の個人に関する情報…であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により開示請求者以外の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)若しくは個人識別符号が含まれているもの又は開示請求者以外の特定の個人を識別することはできないが、開示することにより、なお開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの。」は開示しないものと規定しているが、同号ただし書では、これらの情報であっても、「ア 法令等の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報」、「イ 人の生命、身体、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報」又は「ウ 当該個人が…公務員等である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分」については、開示しなければならない旨規定している。
(2) 本件非開示部分の旧条例第19条第2号該当性について
 本件非開示部分について、実施機関は開示請求者以外の個人に関する情報であるとしている。当審議会で見分したところ、本件非開示部分のうち別表に掲げる情報について、事務局職員をして実施機関に確認させたところ、請求書を受け付けた区役所が受付枚数と発行枚数を把握するために記した数字とのことであり、かかる記載は開示請求者以外の個人に関する情報とは認められない。その余の記載については審査請求人以外の個人に関する情報であって、当該情報そのものによりまたは他の情報と照合することにより、住民票の写しや戸籍謄本等の交付を請求した者、市職員又は委託事業者取扱者を識別することができるものと認められることから、審査請求人以外の特定の個人を識別することができるものとして、旧条例第19条第2号本文に該当する。審査請求人は非開示情報に該当しない旨を主張するものの、その主張を裏付ける資料を提出しておらず、ほかに同号ただし書ア、イ、ウに該当することをうかがわせる事実も見当たらなかった。
 したがって、本件非開示部分のうち別表に掲げる情報については旧条例第19条第2号に該当せず、別表に掲げる情報を除いた部分については旧条例第19条第2号に該当する。
4 審査請求人のその他の主張について
 審査請求人は戸籍謄本等の請求に係る事務において、個人情報保護の観点から適正な取扱いが確保されていない旨を主張するが、かかる内容は保有個人情報の開示請求に対する決定に係る審査請求の審査を行う本審議会での審議対象となるものではない。
5 結論
 したがって、第1記載のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
委員 金井 美智子、委員 岡澤 成彦、委員 塚田 哲之、委員 野田 崇

別表

(参考)調査審議の経過 令和4年度諮問受理第1号
略 

答申第193号

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