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答申第194号

2019年9月9日

ページ番号:622710

大個審答申第194
令和6年3月29

大阪市長 横山 英幸 様

大阪市個人情報保護審議会
会長 金井 美智子

答申書

 大阪市個人情報の保護に関する法律の施行等に関する条例(令和5年大阪市条例第5号)附則第3項の規定によりなお従前の例によることとされた同条例による改正前の大阪市個人情報保護条例(平成7年大阪市条例第11号。以下「旧条例」という。)第45条に基づき、大阪市長(以下「実施機関」という。)から別表項番1から項番9までの(い)欄に記載の諮問がありました件について、一括して次のとおり答申いたします。

第1 審議会の結論
 実施機関が行った別表項番1から項番9までの(き)欄に記載の決定(以下、項番順に「本件決定1」から「本件決定9」といい、あわせて「本件各決定」という。)は、妥当である。

第2 審査請求に至る経過
1 訂正請求
 審査請求人は、別表項番1から項番9までの(う)欄に記載の年月日に、実施機関に対し、別表項番1から項番9までの(え)欄及び(お)欄に記載の旨の訂正請求(以下、項番1から項番9までに記載の請求を項番順に「本件請求1」から「本件請求9」といい、あわせて「本件各請求」という。)を行った。
2 本件各決定
 実施機関は、本件各請求について、本件各請求に係る保有個人情報の訂正を行わない理由を別表項番1から項番9までの(く)欄に記載のとおり付して、旧条例第32条第2項に基づき、本件各決定を行った。
3 審査請求
 審査請求人は、別表項番1から項番9までの(け)欄に記載の年月日に、本件各決定を不服として、実施機関に対して、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき審査請求(以下、項番順に「本件審査請求1」から「本件審査請求9」といい、あわせて「本件各審査請求」という。)を行った。

第3 審査請求人の主張
 審査請求人の主張は、おおむね別表項番1から項番9までの(こ)欄に記載のとおりである。

第4 実施機関の主張
 実施機関の主張は、おおむね別表項番1から項番9までの(さ)欄に記載のとおりである。

第5 審議会の判断
1 基本的な考え方
 旧条例の基本的な理念は、第1条が定めるように、市民に実施機関が保有する個人情報の開示、訂正及び利用停止を求める具体的な権利を保障し、個人情報の適正な取扱いに関し必要な事項を定めることによって、市民の基本的人権を擁護し、市政の適正かつ円滑な運営を図ることにある。したがって、旧条例の解釈及び運用は、第3条が明記するように、個人情報の開示、訂正及び利用停止を請求する市民の権利を十分に尊重する見地から行わなければならない。
2 争点
 実施機関は、本件各請求について本件各決定を行ったのに対して、審査請求人は、本件各決定を取り消し、訂正することを求めて争っている。
 したがって、本件各審査請求における争点は、本件各決定の妥当性である。
3 本件各決定の妥当性について
(1) 旧条例第28条第1項では、「何人も、自己を本人とする保有個人情報の内容が事実でないと認めるときは、この条例の定めるところにより、当該保有個人情報を保有する実施機関に対し、当該保有個人情報の訂正(追加又は削除を含む。以下同じ。)を請求することができる。」と規定している。
 ここで、「事実」とは、氏名、住所、性別、生年月日、年齢、家族構成、学歴、日時、金額、面積等客観的に判断できる事項をいうものと解される。
 また、旧条例第30条では、「実施機関は、訂正請求があった場合において、当該訂正請求に理由があると認めるときは、当該訂正請求に係る保有個人情報に係る事務の目的の範囲内で、当該保有個人情報の訂正を行わなければならない。」と規定している。
(2) 当審議会において、本件各請求に係る訂正箇所を見分したところ、次のとおりであった。
ア 本件請求1において審査請求人が訂正を求めている保有個人情報は、審査請求人からの保有個人情報の開示請求に対する実施機関の決定の理由に記載された、審査請求人の公開請求への対応について実施機関が弁護士に相談した際の所属名が記載された情報である。
 審査請求人は、当日、総務局職員が当該相談に出席しているため、その情報を記載すべきであるとして訂正を求めている。
 実施機関によれば、当該弁護士相談は、障がい認定審査事務を所管する北区役所及び福祉局が障がい認定審査の不服に端を発する審査請求人からの情報公開請求に係る対応について相談したものであるため、北区役所及び福祉局が相談課として本件記録票に記載したとのことであり、相談内容が情報公開請求に係るものであったことから情報公開制度を所管している総務局の職員が同席したが、そもそも本件記録票には弁護士相談に出席した職員すべてを記載することまで求められておらず、同席者である総務局職員の記載は事務処理上必要がないとのことである。
 弁護士相談は、法的課題を抱えている者(所属)が弁護士による法的助言を得るために行われるものであるため、当該法律相談の相談者ではない同席者について本件記録票に記載する必要はないとする実施機関の主張に不自然、不合理な点は認められない。
 そうすると、当該弁護士相談の相談者欄の記載に不足はなく、担当欄に相談者ではない総務局の所属名を追記するよう求める本件請求1の対象は、訂正すべき事実とはいえない。
 したがって、審査請求人が主張した証拠書類について訂正請求の内容が事実に合致することを証する資料であるか否かを判断するまでもなく、本件請求1において審査請求人が訂正を求める保有個人情報を訂正しなければならない理由があるものとは認められない。
イ 本件請求2、本件請求8及び本件請求9において審査請求人が訂正を求めている保有個人情報は、審査請求人からの保有個人情報の開示請求に対する実施機関の決定通知書の内容について、本件請求4及び本件請求7において審査請求人が訂正を求めている保有個人情報は、審査請求人からの市民の声及び問合せに対する実施機関の回答内容について、本件請求5において審査請求人が訂正を求めている保有個人情報は、審査請求人からの公文書公開請求が却下の対象となる公開請求に該当するか否かの判断について、それぞれ記載されており、いずれも実施機関がその判断に基づき記載する、実施機関の判断、見解、評価等に係るものであると認められた。
 したがって、本件請求2、本件請求4、本件請求5及び本件請求7から本件請求9までにおいて訂正を求める保有個人情報は、審査請求人が主張した証拠書類について訂正請求の内容が事実に合致することを証する資料であるか否かを判断するまでもなく、旧条例第28条第1項に規定する「事実」には該当しない。
ウ 本件請求3及び本件請求6において審査請求人が訂正を求めている保有個人情報は、弁護士相談に係る決裁文書に記載された所属名及び別添資料の名称である。
 この点、実施機関の説明によると、本件請求3及び本件請求6において審査請求人が訂正を求めている箇所は、実施機関の誤記であるところ、意思決定の内容である予算配付そのものは正しく行われているとのことである。
 上記説明を踏まえると、本件請求3及び本件請求6に係る訂正箇所に記載されている所属名及び別添資料の名称が正しいものであるか否かが訂正請求の時点で公開請求に係る法的リスクの管理という事務の目的の達成に影響を及ぼす可能性がないと認められる。よって、旧条例第30条に規定する「事務の目的の達成に必要な範囲内」であるものとは認められないから、実施機関が訂正義務を負う情報であるとは認められない。
 なお、実施機関において、審査請求人が本件請求3及び本件請求6において訂正を求めている情報として特定した情報は、弁護士相談に係る決裁文書に記載された所属名及び別添資料の名称であるが、当該文書を審議会で見分したところ、文書中の記載からは直ちに審査請求人個人を特定することはできないものと認められたから、かかる保有個人情報の特定について疑問がないではない。この点、実施機関の説明によると当該弁護士相談は審査請求人による一連の公開請求の却下の可否について相談したものであり、別件開示請求により審査請求人に係る保有個人情報として開示したものとのことであり、実施機関からのかかる説明からは、少なくとも審査請求人及び実施機関においては当該文書に記載された情報が審査請求人に係るものであることが共通の認識であったものと認められるから、実施機関が保有する個人情報の訂正を求める権利を保障するという旧条例の目的に則って対象情報としたことについては特段問題がない。
(3) 審査請求人は、ほかにも縷々主張するが、これらはいずれも当審議会の上記判断を左右するものではない。
4 結論
 以上により、第1記載のとおり、判断する。

 (答申に関与した委員の氏名)
 委員 金井 美智子、委員 岡澤 成彦、委員 塚田 哲之、委員 野田 崇

 (参考)調査審議の経過 令和2年度諮問受理第1~3号、第9~12号、第22号、第28
 略

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