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答申第195号

2019年9月9日

ページ番号:622711

大個審答申第195
令和6年3月29

大阪市長 横山 英幸 様

大阪市個人情報保護審議会
会長 金井 美智子

答申書

 大阪市個人情報の保護に関する法律の施行等に関する条例(令和5年大阪市条例第5号)附則第3項の規定によりなお従前の例によることとされた同条例による改正前の大阪市個人情報保護条例(平成7年大阪市条例第11号。以下「旧条例」という。)第45条に基づき、大阪市長(以下「実施機関」という。)から令和4年6月10日付け大福祉第695号により諮問のありました件について、次のとおり答申いたします。

第1 審議会の結論
 実施機関が行った令和4年4月26日付け大福祉第177号による不存在による非開示決定(以下「本件決定」という。)は、妥当である。

第2 審査請求に至る経過
1 開示請求
 審査請求人は、令和4年4月15日に、旧条例第17条第1項の規定に基づき、実施機関に対し、「私が令和3年7~8月に転居引越した際に支給された費用(生活保護に関するもの)の明細(福祉局分)」と表示して開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
2 本件決定
 実施機関は、本件請求に係る保有個人情報を保有していない理由を次のとおり付して、旧条例第 23条第2項に基づき、本件決定を行った。

 大阪市においては、「大阪市生活保護法施行細則」(昭和3111月1日規則第63号)を定め、保護の決定及び実施に関する事務を各保健福祉センター所長に委任している。そのため、当局において、開示請求書に記載の文書を保有していないことから、当該保有個人情報をそもそも取得しておらず、実際に存在しないため。
3 審査請求
 審査請求人は、令和4年5月30日に本件決定を不服として、実施機関に対して、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。

第3 審査請求人の主張
 審査請求人の主張は、おおむね次のとおりである。
 「決定と実施に関する事務」は各区~としても大阪市は(東京23区のような)特別区ではなく財政・財源は大阪市であり(予算も議会も「大阪市」であり「各区」ではない)局(本庁舎)で全く把握できない仕組はあり得ない。
 私の家族(同じく生保費受給者)の転居の費用について局の職員が区に問い合わせることもなく「契約は〇〇〇」と回答~説明をできたという事例もある。
 もし本庁で把握できないなら不正の指導はできないし現に医療費その他の支給の一定期間の一覧も局から作成されていることと合致しない。

第4 実施機関の主張
1 保護の決定及び実施について
 生活保護法(昭和25年5月4日法律第144号。以下「法」という。)第24条は、「保護の開始を申請する者は、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を保護の実施機関に提出しなければならない。」と定め、同法第33条は、「住宅扶助は、金銭給付によって行うものとする。」と定めている。
 また、同法第19条第1項は、「都道府県知事、市長及び社会福祉法(昭和26年法律第45号)に規定する福祉に関する事務所(以下「福祉事務所」という。)を管理する町村長は、次に掲げる者に対して、この法律の定めるところにより、保護を決定し、かつ、実施しなければならない。一 その管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する要保護者 二 居住地がないか、又は明らかでない要保護者であって、その管理に属する福祉事務所の所管区域内に現在地を有するもの」と定め、同条第4項において、「前三項の規定により保護を行うべき者(以下「保護の実施機関」という。)は、保護の決定及び実施に関する事務の全部又は一部を、その管理に属する行政庁に限り、委任することができる。」と定めている。
 これを受け、法に基づく事務を実施するうえで、大阪市で定めている「大阪市生活保護法施行細則」(昭和3111月1日規則第63号)第2条は、「法第24条から第28条まで、第30条から第37条の2まで(中略)は、保健福祉センター所長に委任する。」と定めている。
 本件審査請求についてみると、審査請求人が請求する「転居引越した際に支給された費用(生活保護に関するもの)の明細」については、生活保護法第24条(申請による保護の開始及び変更)及び第33条(住宅扶助の方法)に基づく事務に付随するものであるが、前述のとおり、保護の決定及び実施に関する事務は、いずれも保健福祉センター所長に委任している。そのため、実施機関においては審査請求人の保護決定及び実施に関する事務を行っておらず、開示請求書に記載の文書を保有していないことから、当該保有個人情報をそもそも取得しておらず、実際に存在しない。
2 審査請求人の主張について
 審査請求人は、「局(本庁舎)で全く把握できない仕組はあり得ない。」、「私の家族(同じく生活費受給者)の転居について局の職員が区に問い合わせることもなく「契約は○○○」と回答、説明をできたという事例もある」、「本庁で把握できないなら不正の指導はできない」、「現に医療費その他の支給の一定期間の一覧も局から作成されている」と述べているが、これは、実施機関において本市が保有する審査請求人の情報をシステム上で確認できるのであれば、その情報を開示すべきであると主張しているものと解される。
 この点、本市においては生活保護に関する事務を遂行するにあたり、生活保護システムを使用する場面がある。生活保護システムについて、実施機関では審査請求人に係る保護費等の情報は照会(確認)できるものの、当該情報は審査請求人が実施機関に提出した各種申請書等に基づき、実施機関において生活保護システムに登録、変更された情報であることから、実施機関が当該保有個人情報を保有しているとはいえない。
 なお、生活保護受給者の情報の照会(確認)に関し、生活保護受給者の全ての情報を当庁で確認できるものではない。本件についてみると、「私が令和3年7~8月に転居引越した際に支給された費用(生活保護に関するもの)」の確認は実施機関でも可能であるが、当該費用の内訳については確認できないものである。

第5 審議会の判断
1 基本的な考え方
 旧条例の基本的な理念は、第1条が定めるように、市民に実施機関が保有する個人情報の開示、訂正及び利用停止を求める具体的な権利を保障し、個人情報の適正な取扱いに関し必要な事項を定めることによって、市民の基本的人権を擁護し、市政の適正かつ円滑な運営を図ることにある。したがって、旧条例の解釈及び運用は、第3条が明記するように、個人情報の開示、訂正及び利用停止を請求する市民の権利を十分に尊重する見地から行わなければならない。
2 争点
 本件審査請求の争点は、本件請求の対象となる保有個人情報の存否である。
3 本件請求の対象となる保有個人情報の存否について
 審査請求人は、「福祉局分」と限定して本件請求を行っていることから、福祉局において対象となる保有個人情報を保有しているかが問題となる。
 この点、実施機関によれば、福祉局においては、生活保護システム上で、保護費等の情報の照会(確認)はできるものの、保護の決定及び実施に関する事務は、いずれも保健福祉センター所長に委任されており、福祉局としては審査請求人の保護決定及び実施に関する事務を行っていないとのことである。また、本件請求は支給費用の明細を求めるものであるところ、実施機関によれば、転居の際の費用の内訳は生活保護システムに入力されない情報であり、福祉局では確認することができないとのことである。
 上記、福祉局で本件請求に係る保有個人情報を保有していないとする実施機関の主張は合理性があり、存在するはずであるとする審査請求人の主張の根拠も実施機関の主張を覆すに足る事実は確認できない。
4 結論
 以上により、第1記載のとおり、判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
 委員 野呂 充、委員 小林 邦子、委員 篠原 永明、委員 矢口 智春

(参考)調査審議の経過 令和4年度諮問受理第5号
 略

答申第195号

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