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答申第196号

2019年9月9日

ページ番号:622712

大個審答申第196
令和6年3月29

大阪市長 横山 英幸 様

大阪市個人情報保護審議会
会長 金井 美智子

答申書

 大阪市個人情報の保護に関する法律の施行等に関する条例(令和5年大阪市条例第5号)附則第3項の規定によりなお従前の例によることとされた同条例による改正前の大阪市個人情報保護条例(平成7年大阪市条例第11号。以下「旧条例」という。)第45条に基づき、大阪市長(以下「実施機関」という。)から令和4年7月4日付け大天保福第82号により諮問のありました件について、次のとおり答申いたします。

第1 審議会の結論
 実施機関が令和4年6月20日付け大天保福第67号により行った訂正不承認決定(以下「本件決定」という。)は、妥当である。

第2 審査請求に至る経過
1 訂正請求
 審査請求人は、令和4年5月27日、旧条例第28条第1項に基づき、実施機関に対し、「大天保福第154号令和3年9月29日付で決定し開示された情報のうち別紙3」を対象として「知的障害の程度」欄を「A」とすることを求める旨の訂正請求(以下「本件請求」という。)を行った。
2 本件決定
 実施機関は、本件請求に係る保有個人情報の訂正を行わない理由を次のとおり付して、旧条例第32条第2項に基づき、本件決定を行った。

 本件訂正請求に係る保有個人情報は、平成24年8月21日付け判定年月日の療育手帳における知的障がいの程度(以下「等級」とする)「B1」については、当区へ転居されるまでの間一度も変わっておらず、別紙3の内容について誤りはないことから、旧条例第30条の「当該訂正請求に理由があると認められるとき」には該当しないため。
3 審査請求
 審査請求人は、令和4年6月24日に本件決定を不服として、実施機関に対して、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。

第3 審査請求人の主張
 審査請求人の主張は、おおむね次のとおりである。
 本決定の取消と、再度、訂正を求め請求する。
 行わない理由の「~一度も変わっておらず」にエビデンスデータが見当らない(職員の文言のみ)し旭区で本人ではない人物が提出の手帳ランクAについても記入ミス以外の論拠が示されていない。
 さらには上のエビデンスとなり得る「リハビリテーションセンターが保有~端末を叩くと出る画面」について通常であればその理由は該当しないだろう「~行うことが困難である」も、旭区がAに変更し、また交付から5年後に更新済みという既に開示の「~指導台帳」には記載されていない(隠された)不正な情報があるから何らか(改ざん)を企ての時間稼ぎのためと推察する

第4 実施機関の主張
 実施機関の主張は、おおむね次のとおりである。
1 療育手帳について
 療育手帳制度は、国の通知(昭和48年度「療育手帳制度」について)により、「大阪市療育手帳交付要綱」が定められ、本市においては昭和6012月から実施している。ちなみに身体障がい者手帳は「身体障害者福祉法」に、精神障がい者手帳は、「精神保健及び精神障害福祉に関する法律」に定められているが、療育手帳は「知的障害者福祉法」には定められておらず、全国統一の基準が示されていないため、各自治体毎に基準を定めたうえで、実施している。
 次に、療育手帳の目的としては、「大阪市療育手帳交付要綱」において、知的障がい児・者に対して、一貫した指導・相談を行うとともに、各種障がいの支援制度を受け易くするために手帳を交付し、もって知的障がい児・者の福祉の推進に資することとされている。
 また、対象者としては、本市の判定機関、「大阪市こども相談センター、大阪市南部こども相談センター」(以下これらを「こども相談センター」という)及び「大阪市心身障がい者リハビリテーションセンター」(以下「リハセン」という)において、知的障がいがあると判定されたもので、①「本市の区域内に居住地を有する者」②「本市の支給決定または措置によって、本市の区域外に所在する施設等に入所している者」、この①又は②の要件を満たす者を療育手帳の交付対象としている。
2 療育手帳の判定について
 本市では、判定の区分を「重度」・「中度」・「軽度」の3段階としており、療育手帳の表記を「重度」が「A」、「中度」が「B1」、「軽度」が「B2」としている。
 また、判定機関においても、18歳未満の対象者の判定は、「こども相談センター」が行い、18歳以上の対象者の判定は「リハセン」が行っている。
3 療育手帳の新規交付、市外転入及び更新(再判定)時における申請手続きについて
 療育手帳の申請手続きについては、『療育手帳交付事務の手引き(事務処理の方法)』に基づいて、事務処理を行うこととなっている。
 新規交付の場合は、区役所にて「療育手帳(再交付・更新交付)申請書」(以下「申請書」という)を記入してもらったうえで、区役所職員が家族及び障がい者本人と面接を行う。面接内容については、職員が相談記録を作成のうえ、18歳未満の場合は、「こども相談センター」へ、18歳以上の場合は、「リハセン」に申請書の写し及び相談記録の写しを添付のうえ、判定依頼を行うこととなる。
 後日、申請者に対し、判定機関から判定日の連絡が入るため、障がい者本人が判定を受けに行くこととなる。
 次に、市外転入の場合は、療育手帳の制度が各自治体ごとにおいて実施されており、障がい程度の区分の仕方や判定基準も実施する自治体によって異なることから、他都市から転入された方に対しては、本市で新たに判定を行ったうえで療育手帳を新規交付している。
 手続き方法については、上記の新規交付の場合と同じ方法となる。
 しかし、判定において次期判定年月日が未到来の場合は、新規交付の場合と異なり、判定機関へ判定を受けに行く必要はなく、原則的に転入前の自治体から判定資料を取り寄せ、書類判定をもって、本市の障がいの区分を決定することになる。
 次に、更新(再判定)の場合は、18歳未満の場合は保護者より直接、こども相談センターへ判定の予約を行い、判定を受けに行くことになる。
 18歳以上の場合は、新規申請時と同様に、「申請書」を提出していただき、区役所職員が家族及び本人と面接を行い、相談記録を作成する。
 判定の流れとしては、新規申請と同様、区役所から申請書と相談記録を「リハセン」に送付し、後日判定機関にて判定を受けてもらうことになるが、市外からの転入後初めての更新の場合を除き、相談記録の内容等から前回の判定と状況が変わらないと「リハセン」が判断した場合は、書類判定にて行うこともある。
4 審査請求人の主張について
(1) 知的障害者(児)指導台帳について
 令和4年5月27日付け訂正請求の「添付資料別紙3」は「大阪市知的障害者福祉法施行細則」(昭和42年8月1日規則第59号)に基づき作成されている「知的障害者(児)指導台帳」の一部である。
 この台帳は新規に療育手帳が交付された場合や更新された場合、判定年月日、次期判定年月、知的障害の程度及び判定機関を記載し、所管区で保管するものである。
 なお、大阪市内で区間異動した場合、転出区から転入区へ「知的障害者(児)指導台帳」を移管し、転入区にて台帳管理を行うこととなっている。
 審査請求人については、特定日付け神戸市より東住吉区へ転入したことに伴い、「リハセン」にて市外転入による書類判定を行った結果、知的障害の程度は「B1」、次期判定年月は「平成29年7月」との判定を受け、その旨指導台帳へも記載を行っている。
 その後、東住吉区から旭区へ、旭区から当区へと区間異動したため、平成29年7月の再判定にかかる手続きは、当区で行うこととなった。
 また、今回の更新では、通常の更新時と異なり市外からの転入後初めての更新となったため、審査請求人は書類判定ではなく、直接判定機関である「リハセン」に判定を受けに行く必要があった。しかし、市外からの転入以降、平成29年7月に至るまでの間、審査請求人から等級変更の申請がなく、平成29年7月以降についても「リハセン」で判定を受けに行っていないため、等級は「B1」から変更されていない。
(2) 移動支援費支給申請書及び訪問調査・サービス利用意向聴取事前確認票について
 令和4年5月27日付け訂正請求の「添付資料別紙1」は「移動支援費支給申請書」の書類、「添付資料別紙2」は「障がい福祉サービス」の申請にかかる書類の一部であり、ともに平成27年4月28日付け旭区役所の窓口で受理した書類であるが、当該申請書の療育手帳の等級は「A」と記載されている。
 しかし、上記で述べたとおり療育手帳の等級は「B1」から変更されていない。
 したがって、審査請求人が主張する「旭区にて当人の住民票があったH27.4.28(別紙1の受付年月日)には、当人(請求人)の療育手帳のランクはAだったはず」との主張については、現在の知的障害者(児)指導台帳の記載内容に誤りがないことから、旧条例第30条の「当該訂正請求に理由があると認められるとき」には該当しない。

第5 審議会の判断
1 基本的な考え方
 旧条例の基本的な理念は、第1条が定めるように、市民に実施機関が保有する個人情報の開示、訂正及び利用停止を求める具体的な権利を保障し、個人情報の適正な取扱いに関し必要な事項を定めることによって、市民の基本的人権を擁護し、市政の適正かつ円滑な運営を図ることにある。したがって、旧条例の解釈及び運用は、第3条が明記するように、個人情報の開示、訂正及び利用停止を請求する市民の権利を十分に尊重する見地から行わなければならない。
2 争点
 実施機関は、本件請求について、当該訂正請求に理由があると認められないとして本件決定を行ったのに対して、審査請求人は、本件決定を取り消し、訂正することを求めている。
 したがって、本件審査請求における争点は、本件請求に係る保有個人情報の訂正義務の有無である。
3 本件決定の妥当性について
(1) 保有個人情報の訂正義務について
 旧条例第28条第1項では、「何人も、自己を本人とする保有個人情報の内容が事実でないと認めるときは、この条例の定めるところにより、当該保有個人情報を保有する実施機関に対し、当該保有個人情報の訂正(追加又は削除を含む。以下同じ。)を請求することができる。」と規定している。
 ここで、「事実」とは、氏名、住所、性別、生年月日、年齢、家族構成、学歴、日時、金額、面積等客観的に判断できる事項をいうものと解される。
 また、旧条例第30条では、「当該訂正請求に理由があると認めるときは、当該訂正請求に係る保有個人情報に係る事務の目的の達成に必要な範囲内で、当該保有個人情報の訂正を行わなければならない。」と規定している。
(2) 本件請求における訂正請求箇所について
 審査請求人は本件請求において知的障害者(児)指導台帳の記載内容である等級を「A」とすることを求めている。
 この点、実施機関は上記第4 4(1)のとおり等級は「B1」から変更されていないと主張している。審査請求人は等級が「A」である根拠として旭区役所あて提出文書を示すが、事務局職員をして実施機関に確認させたところ、当該文書は等級区分が支給要件となっていない申請に係る申請書とのことであり、誤記入がされていても支給事務に影響は無く、訂正が必須ではないものであったとのことである。当審議会としては、審査請求人の主張からは実施機関の当該主張を覆すに足る事実及び審査請求人自身が「A」の判定を得たとする主張の根拠は確認できず、療育手帳の交付・更新手続きの事務処理を踏まえると、等級は「B1」から変更されていないとする実施機関の主張に不自然、不合理な点は認められない。
 よって、本件請求は自己を本人とする保有個人情報の内容が事実でないものとは認められず、旧条例第30条には該当せず、実施機関が訂正義務を負う情報であるとは認められない。
4 結論
 以上により、第1記載のとおり、判断する。

 (答申に関与した委員の氏名)
 委員 野呂 充、委員 小林 邦子、委員 篠原 永明、委員 矢口 智春

 (参考)調査審議の経過 令和4年度諮問受理第8号
 略

答申第196号

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