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答申第197号

2019年9月9日

ページ番号:622713

大個審答申第197
令和6年3月29

大阪市長 横山 英幸 様

大阪市個人情報保護審議会
会長 金井 美智子

答申書

 大阪市個人情報の保護に関する法律の施行等に関する条例(令和5年大阪市条例第5号)附則第3項の規定によりなお従前の例によることとされた同条例による改正前の大阪市個人情報保護条例(平成7年大阪市条例第11号。以下「旧条例」という。)第45条に基づき、大阪市長(以下「実施機関」という。)から令和4年6月22日付け大天保生第1334号により諮問のありました件について、次のとおり答申いたします。

第1 審議会の結論
 実施機関が令和4年6月7日付け大天保生第1325号により行った部分開示決定(以下「本件決定」という。)は、妥当である。

第2 審査請求に至る経過
1 開示請求
 審査請求人は、令和4年5月25日、旧条例第17条第1項に基づき、実施機関に対し、「私に対する返還番号○○○○の債務承認書にある債務について資料一式」を求める開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
2 本件決定
 実施機関は、本件請求に係る保有個人情報を、「ケース記録(平成30年1115日付)(以下「本件文書」という。)」と特定した上で、旧条例第23条第1項に基づき、「審査請求人以外の個人に関する部分」を開示しない理由を次のとおり付して、本件決定を行った。

旧条例第19条第2号に該当
(説明)
 開示しないこととした部分については、開示請求者以外の個人に関する情報であって、当該情報そのものにより又は他の情報と照合することにより開示請求者以外の特定の個人が識別される情報、又は開示請求者以外の特定の個人を識別することはできないが、開示することにより、なお、開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがある情報であると認められ、かつ同号ただし書ア、イ、ウのいずれにも該当しないため。
3 審査請求
 審査請求人は、令和4年6月14日に本件決定を不服として、実施機関に対して、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。

第3 審査請求人の主張
 審査請求人の主張は、おおむね次のとおりである。
1 審査請求の趣旨
 部分開示決定を取り消し開示決定を求める
2 審査請求の理由
 開示しない理由の「大阪市個人情報保護条例第19条第2号ただし書ア、イさらには(もしかすると)ウに該当するため
 生活保護の記録がア、イに該当しないことなどあり得ない(ありえることは記録するに値しないはず)

第4 実施機関の主張
 審査請求人の主張は、おおむね次のとおりである。
1 本件情報において非開示とした情報について
 本件情報は生活保護の記録のうち、平成301115日付ケース記録であり、保護費の返還についての内容が記載されている。
 実施機関においては、本件情報には、審査請求人以外の個人と実施機関とのやり取りの記録や当該個人から得た情報が含まれており、当該情報そのものにより開示請求者以外の特定の個人が識別される情報であると認められることから、旧条例第19条第2号に該当すると判断し、「審査請求人以外の個人に関する部分」は開示しないこととした。
2 旧条例第19条第2号ただし書ア、イ、ウの非該当性について
 審査請求人は「保護条例第19条第2号ただし書ア、イ、さらには(もしかすると)ウに該当するため。生活保護の記録がア、イに該当しないことなどあり得ない(ありえることは記録するに値しないはず)」と主張している。
 ただし書アとは、開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報である場合であり、開示請求者以外の個人に関する情報については知ることができないし、知ることが予定されている情報でもないため非該当である。
 ただし書イとは、非開示とすることにより得られる利益よりも、開示することにより得られる開示請求者を含む生命、身体、健康、生活又は財産の保護という公益が優越するような情報である場合であり、本件決定で非開示とした情報を開示することにより得られる公益は存在しないため非該当である。
 ただし書ウとは、公務員等の職務遂行に係る情報である場合であり、本件決定で非開示とした情報は公務員以外の個人に関する情報であるため非該当である。

第5 審議会の判断
1 基本的な考え方
 旧条例の基本的な理念は、第1条が定めるように、市民に実施機関が保有する個人情報の開示、訂正及び利用停止を求める具体的な権利を保障し、個人情報の適正な取扱いに関し必要な事項を定めることによって、市民の基本的人権を擁護し、市政の適正かつ円滑な運営を図ることにある。したがって、旧条例の解釈及び運用は、第3条が明記するように、個人情報の開示、訂正及び利用停止を請求する市民の権利を十分に尊重する見地から行わなければならない。
 しかしながら、旧条例は、すべての保有個人情報の開示を義務づけているわけではなく、第19条本文において、開示請求に係る保有個人情報に同条各号のいずれかに該当する情報が含まれている場合は、実施機関の開示義務を免除している。もちろん、第19条各号が定める非開示情報のいずれかに該当するか否かの具体的判断に当たっては、当該各号の定めの趣旨を十分に考慮するとともに、当該保有個人情報の取扱いの経過や収集目的などをも勘案しつつ、旧条例の上記理念に照らして市民の権利を十分に尊重する見地から、厳正になされなければならないことはいうまでもない。
2 争点
 実施機関は、本件非開示部分について、旧条例第19条第2号を理由に非開示としたのに対し、審査請求人は、旧条例第19条第2号には該当しないため開示すべきであるとして争っている。
 したがって、本件審査請求の争点は本件非開示部分の旧条例第19条第2号該当性である。
3 本件決定の妥当性について
(1) 旧条例第19条第2号の基本的な考え方について
 旧条例第19条第2号本文は、「開示請求者以外の個人に関する情報…であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により開示請求者以外の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)…又は開示請求者以外の特定の個人を識別することはできないが、開示することにより、なお開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの。」は原則的に開示しないことができると規定しているが、同号ただし書では、これらの情報であっても、「ア 法令等の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報、イ 人の生命、身体、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報、ウ 当該個人が…公務員等…である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分」については、開示しなければならない旨規定している。
(2) 本件非開示部分の旧条例第19条第2号該当性について
 当審議会において本件非開示部分を見分したところ、審査請求人以外の個人に関する情報であって、当該情報そのものにより又は他の情報と照合することにより、審査請求人以外の特定の個人を識別することができるものと認められることから、旧条例第19条第2号本文に該当し、その性質上同号ただし書ア、イ及びウのいずれにも該当しないものと認められた。
 なお、審査請求人は本件非開示部分が旧条例第19条第2号ただし書ア、イ及びウに該当するものであり、特にア及びイに該当しないことなどあり得ないと主張するものの、その主張の根拠は確認できず、実施機関の主張を覆すに足る事実は認められないから、かかる主張は上記判断に影響を与えない。
4 結論
 したがって、第1記載のとおり判断する。

 (答申に関与した委員の氏名)
 委員 金井 美智子、委員 岡澤 成彦、委員 塚田 哲之、委員 野田 崇

 (参考)調査審議の経過 令和4年度諮問受理第7号
 略

答申第197号

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