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答申第199号

2019年9月9日

ページ番号:622715

大個審答申第199
令和6年3月29

大阪市長 横山 英幸 様

大阪市個人情報保護審議会
会長 金井 美智子

答申書

 大阪市個人情報の保護に関する法律の施行等に関する条例(令和5年大阪市条例第5号)附則第3項の規定によりなお従前の例によることとされた同条例による改正前の大阪市個人情報保護条例(平成7年大阪市条例第11号。以下「旧条例」という。)第45条に基づき、大阪市長(以下「実施機関」という。)から令和4年6月7日付け大天保福第44号及び第46号により諮問のありました件について、次のとおり一括して答申いたします。

第1 審議会の結論
 
実施機関が行った令和4年5月2日付け大天保福第19号による不存在による非開示決定(以下「本件決定1」という。)及び同日付け大天保福第20号による不存在による非開示決定(以下「本件決定2」といい、本件決定1とあわせて「本件各決定」という。)は、妥当である。

第2 審査請求に至る経過
1 開示請求
(1) 審査請求人は、令和4年4月18日に、旧条例第17条第1項の規定に基づき、実施機関に対し、「7月からA氏が担当となった年度より新規で受託した天王寺区の「障害者相談支援センター」のBに、天王寺区役所2階会議室で10月の「相談会」で語った記録とその後の進捗状況の記録」の開示を求める旨の開示請求(以下「本件請求1」という。)を行った。
(2) 審査請求人は、令和4年4月14日に、旧条例第17条第1項の規定に基づき、実施機関に対し、「私が家族の件で、現「基幹型」の相談支援センターという名称の委託事業所Fへ、その法人が会員の「障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議」専従職員を代理窓口に話し合った記録の全て(天王寺区役所の担当職員がC・D・A・Eの期間)天王寺区分」の開示を求める旨の開示請求(以下「本件請求2」という。)を行った。
2 本件各決定
(1) 実施機関は、本件請求1に係る保有個人情報(以下「本件情報1」という。)を保有していない理由を次のとおり付して、旧条例第 23条第2項に基づき、本件決定1を行った。

 天王寺区役所職員が相談の場に立ち会ったことはなく、個別相談内容の報告もないことから、当該公文書をそもそも作成又は取得しておらず、実際に存在しないため
(2) 実施機関は、本件請求2に係る保有個人情報(以下「本件情報2」という。)を保有していない理由を次のとおり付して、旧条例第 23条第2項に基づき、本件決定2を行った。

 天王寺区役所職員が相談の場に立ち会ったことはなく、基幹型相談支援センターや「障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議」からの報告もないことから、当該公文書をそもそも作成又は取得しておらず、実際に存在しないため
3 審査請求
 審査請求人は、令和4年5月9日に本件各決定を不服として、実施機関に対して、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づきそれぞれ審査請求(以下順に「本件審査請求1」及び「本件審査請求2」といい、あわせて「本件各審査請求」という。)を行った。

第3 審査請求人の主張
 
審査請求人の主張は、おおむね次のとおりである。
1 本件審査請求1の趣旨及び理由
 本件決定1を取り消し、新たな開示の決定を求める。
 年に数度、催される会で、実際わたしは、Bという受託事業の職員に相談したし、不誠実な対応(にもならない不誠実な態度)に時間が無駄に経過し、その後の(相談会後に行われる)連絡会議を担当職員のA係長が抜けてそのフロアのソファで続きの話をしたので、「報告もない」という理由は実際とは異なるため
2 本件審査請求2の趣旨及び理由
 本件決定2を取り消し、新たに決定を求める。
 決定の理由として、「天王寺区役所職員が相談の場に立ち会ったことはなく」とあるが、立ち会ったことの有無は記録の存在・不存在とは全く無関係であるし、「報告もない」からと作成や取得をしていないとするのは誤りで、少なくとも「請求があったが作成してあるか」もしくは「そのような事実があったか」と委託先のFに問い合わせるべき。
 実際に障大連(略称)本部にて相談は複数回している。専従職員のG氏に問い合わせ、その場でG氏が架電したこともあった(中庭の喫煙スペースに移動して)。
 急遽、A職員が係長に上がった年度の秋(10月)に催された相談会(という名称)での件も、中途になっている旨、その続きをG氏に依頼しているし、長男の自宅のオートロックが開錠不可になった時も、フィットネスクラブで脅された時も、NPO法人Fが受けた相談、センターへ伝えるよう相談している。

第4 実施機関の主張
1 本件決定1について
(1) 相談会について
 相談会とは「地域自立支援協議会」の事業の一環として区役所が相談会を開催する場所のみ提供し、実施されているものである。
 地域自立支援協議会とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」の第89条の3の規定に基づき、天王寺区における計画相談支援事業をはじめ障がい福祉に関するシステムづくりに関し、中核的な協議の場として設置している。
 取組としては、ア「困難事例への対応についての協議・調整」、イ「地域の関係機関によるネットワークの構築」、ウ「地域の社会資源の活用及び改善の検討」、エ「その他、地域の相談支援体制の充実に必要とされる事項の検討」を目的として、活動を行っている。
 主な活動の一つとなる「相談会」は、年4回(6月・8月・10月・2月)開催されており、天王寺区地域自立支援協議会のメンバー(障がい者支援事業所の職員)が相談員となって、障がいのある方やそのご家族を対象に、生活面や就労面等の悩みについて相談にのっており、相談会自体は地域自立支援協議会における自主事業である。
 相談員は、当日ご相談いただいた内容に基づき、障がい者福祉の各種制度の情報を相談に来られた方に対し、適宜情報提供を行っている。
(2) 本件の決定について 
 本件情報1を保有していない理由について、実施機関は「天王寺区役所職員が相談の場に立ち会うことはない」点と「個別相談内容の報告もない」点の2点を付しており、それぞれについて理由を説明する。
 まず、1点目として「天王寺区役所職員が相談の場に立ち会うことはない」について、日々の窓口応対において相談を受ける場合はあるものの、区役所主催での個別の相談会を行っておらず、地域自立支援協議会の自主事業の1つである相談会も職員が立ち会うことはないためである。
 2点目として「個別相談内容の報告もない」という部分についても、相談会で話し合われた内容については、あくまで相談員と当事者(当事者の家族を含む)間で交わされたやり取りであり、当日相談会で知り得た個人情報について、本人の同意を得ることなく勝手に区役所に対し報告されることはないためである。
 よって、本件決定を行ったものである。
(3) 審査請求人の主張について
 審査請求人は、「相談会後に行われる連絡会議を担当職員のA係長が抜けてそのフロアのソファで続きの話をした」と主張するが、相談会の続きの件であれば、本来同席していない区役所職員ではなく、当日応対した相談員が、引き続きのお話も聞かせていただく必要がある。そのため、相談内容について、区役所職員がそもそも立ち会っていないことから経緯を把握しておらず、記録することはない。
 また、相談会終了後に行う地域自立支援協議会(「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」第89条の3に基づく)において、会議途中に請求人からの呼び出しがあったため急遽応対したことはあるが、その時の対話記録については、請求人の私的な相談内容であり業務上必要としないため、作成又は保管していない。
 よって、当該公文書を取得又は作成しておらず、実際に存在していない。
2 本件決定2について
(1) 区基幹相談支援センターについて
 本市では、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第77条の2の規定に基づき、地域における相談支援の中核的な役割を担う機関として、各区に1か所、「区障がい者基幹相談支援センター」(以下「基幹センター」という。)を設置し、社会福祉法人等に「障がい者相談支援事業」、「専門的な知識を必要とする困難ケース等への対応」、「地域の相談支援体制強化の取組」、「区地域自立支援協議会の取組」、「権利擁護・虐待防止のための取組」、「地域の計画相談支援を行う人材育成の取組」、「本市からの周知や広報啓発活動への協力業務」に関し、委託のうえ事業を実施している。
(2) 本件の決定について
ア 基幹センターからの報告について
 「基幹センター」は毎月の取組状況について、委託元である福祉局へ報告を行っている。これは、「障がい者基幹相談支援センター事業実施要綱」第9条(事業実績の報告)に基づき、事業の執行状況について報告を行なうよう定められている。
 しかし、要綱上において区役所に対し報告を行うよう定められていないことから、そもそも話し合われた記録について「基幹センター」からの報告はない。
イ 「障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議」からの報告について
 「障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議」(以下「障大連」という)とは大阪府内約90の障がい者団体で作られている任意団体である。
 障大連がそもそも障がい者又はその家族からの相談を受けた際に、業務上のつながりも無いことから区役所に対し報告することはない。
 また、障大連から区役所に対し相談内容について、報告を行うよう要綱等にも定めていない。
 そのため、「障大連」と「基幹センター」との間で請求人の家族の件で話し合われた記録についても、報告はない。
 よって、ア及びイに基づき、本件決定を行ったものである。
(3) 審査請求人の主張について
 審査請求人が令和4年5月9日付け審査請求の中で主張する、「請求があったが作成してあるか、もしくは、そのような事実があったかを委託先のFへ問い合わせるべき」との主張を受け、そもそも業務上つながりもなく問い合わせ自体行う必要もないが、同年7月4日に区役所から基幹センターに対し口頭にて事実確認を行い、請求人自らが話した相談記録及び「基幹センター」と「障大連」との間で請求人の家族の事について、本件請求2に記載の期間において、話し合いをされた事実はない旨を確認している。
 また、実際に障大連本部にて専従職員のG氏に問い合わせ、その場でG氏が架電していたこともあったとの根拠に基づき請求人は主張しているが、G氏がこれまで区役所に対し請求人について問い合わせを行った事実はなく、区役所職員がその場に立会い応対したこともないことから、内容についても全く知らない事であり、業務上関係ないため把握する必要もない。なお、障大連と区役所が業務上で関係していないことは、上記(2)イのとおりである。
 次に「急遽、A職員が係長に上がった年度の秋(10月)に催された相談会(という名称)での件も、中途になっている旨、その続きをG氏に依頼しているし、長男の自宅のオートロックが開錠不可になった時も、フィットネスクラブで脅された時も、NPO法人Fが受けた相談、センターへ伝えるよう相談している」との主張に対し、G氏へ中途となっている相談会の事で続きの話を依頼している件、自宅のオートロックが開錠不可となった件、フィットネスクラブで脅された件、全ての件において区役所は関与しておらず、業務上把握する必要はないことから、記録について作成又は取得していない。なお、業務上把握する仕組みとなっていないことは上記(2)アのとおりである。

第5 審議会の判断
1 基本的な考え方
 旧条例の基本的な理念は、第1条が定めるように、市民に実施機関が保有する個人情報の開示、訂正及び利用停止を求める具体的な権利を保障し、個人情報の適正な取扱いに関し必要な事項を定めることによって、市民の基本的人権を擁護し、市政の適正かつ円滑な運営を図ることにある。したがって、旧条例の解釈及び運用は、第3条が明記するように、個人情報の開示、訂正及び利用停止を請求する市民の権利を十分に尊重する見地から行わなければならない。
2 争点
 本件各審査請求における争点は、いずれも、特定すべき保有個人情報の有無である。
3 本件情報1の有無について
 地域自立支援協議会及び相談会について、事務局職員をして実施機関に確認させたところ、以下のとおりであった。
・地域自立支援協議会は障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第89条の3第1項「地方公共団体は…障害者等への支援の体制の整備を図るため、関係機関、関係団体並びに障害者等及びその家族並びに障害者等の福祉、医療、教育又は雇用に関連する職務に従事する者その他の関係者(次項において「関係機関等」という。)により構成される協議会を置くように努めなければならない。」との規定に基づき本市が設置しており、同条第2項により「関係機関等が相互の連絡を図ることにより、地域における障害者等への支援体制に関する課題について情報を共有し、関係機関等の連携の緊密化を図るとともに、地域の実情に応じた体制の整備について協議を行うもの」とされている。また、各区役所で要綱を定めて、各区ごとの地域自立支援協議会を設置している。天王寺区では天王寺区地域自立支援協議会設置要綱がこれにあたり、天王寺区地域自立支援協議会は天王寺区役所がその事務局となっている。
・天王寺区地域自立支援協議会は、委員長と委員で構成され、天王寺区障がい者基幹相談支援センターの委員を委員長とし、(1)(9)の者を基準とし、地域の実情に応じて委員を選定することとされている。
(1) 障がい(当事者)団体
(2) 障がい者相談支援事業者(委託・指定)
(3) 障がい福祉サービス提供事業者
(4) 障がい者雇用企業
(5) 公共職業安定所
(6) 就業・生活支援センター
(7) 区社会福祉協議会
(8) 身体障がい者・知的障がい者相談員
(9) (1)(8)のほか、障がい者支援に関する知識・経験を有する者
・相談会は天王寺区地域自立支援協議会のメンバーである障がい者相談支援事業者が輪番制で自主的に行っているものであり、区役所に行くのは心理的ハードルが高い人を福祉サービスにつなぐために個別に市民からの相談に対応している。相談会は、区役所に行くのは心理的ハードルが高い人を対象とする性質から、本市の事業として位置づけられているものではなく、区役所職員も同席しない。
・相談会で福祉サービスに係る困難事例と判断された場合には区役所職員も同席する自立支援協議会の相談支援部会に報告される。
・本件請求1に係る相談は審査請求人の私的なものであり、福祉サービスに係る内容ではなかった。
 かかる説明に不自然、不合理な点はなく、また、これに反する資料もないから、これを前提として、審査請求人が本件請求1で開示を求める情報の存否を判断する。
 当該情報は、相談会の際に実施機関の職員以外の者に語った内容の記録であるところ、相談会は実施機関の事業として位置づけられるものではなく、また、相談会には実施機関の職員は同席していないから、仮に相談会での対応記録が作成されていたとしても、当該記録が実施機関の公文書となるものではないと認められる。
 さらに、相談会での対応のうち、福祉サービスに係る困難事例に係るものについては、自立支援協議会の相談支援部会に報告されることとなっており、同協議会は実施機関が設置したものであるから、同部会に報告された相談会での相談内容については実施機関の公文書に記録される可能性はあるが、審査請求人の相談会での相談内容は、私的な内容であったとのことであり、福祉サービスに係る困難事例に係るものではないことは明らかであるから、当該部会に報告される可能性はなく、また、実際に当該部会に報告されたとの記録もないから、審査請求人の相談会での相談内容は、当該部会には報告されなかったものと認められ、したがって、実施機関において、当該相談内容に係る記録は実施機関の公文書としては作成又は取得されていないものと認められる。
 以上のとおりであるから、本件情報1を保有していないとする実施機関の主張に不自然、不合理な点は認められない。
4 本件情報2の有無について
 基幹センター及び障大連について、事務局職員をして実施機関に確認させたところ、以下のとおりの説明があった。
・基幹センターは障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第77条の2の規定に基づき本市が設置し、本市から委託された事業を実施している。
・基幹センターは各区保健福祉センターと連携して、区地域自立支援協議会の企画・運営、地域の障がい福祉サービス等事業所のネットワークづくり等に主体的に参画するほか、区地域自立支援協議会において総合的に課題を集約し、地域のニーズに合わせた既存の社会資源の改善又は新たな社会資源の開発に向けた取組を行っている。
・障大連は大阪府内の障がい者団体からなる任意団体であり、本市の組織ではない。
・天王寺区の基幹センターを受託しているNPO法人は、障大連の会員であるが、障大連には当該法人として参加しており、基幹センターとして参加しているものではないから障大連に相談があったとしても、相談内容はあくまでも障大連のメンバーとして当該法人が了知するにとどまり、本市の委託事業に関連して了知したものではない。したがって、そもそも、障大連への相談事項については、実施機関がその内容を把握する仕組みとはなっていないし、現に報告等もない。
 上記説明を踏まえると、本件情報2を保有していないとする実施機関の主張に不自然、不合理な点は認められない。
5 結論
 以上により、第1記載のとおり、判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
委員 金井 美智子、委員 岡澤 成彦、委員 塚田 哲之、委員 野田 崇

(参考)調査審議の経過 令和4年度諮問受理第3号、第4号

答申第199号

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