ページの先頭です

答申第202号

2019年9月9日

ページ番号:622718

大個審答申第202
令和6年3月29

大阪市長 横山 英幸 様

大阪市個人情報保護審議会
会長 金井 美智子

答申書

 大阪市個人情報の保護に関する法律の施行等に関する条例(令和5年大阪市条例第5号)附則第3項の規定によりなお従前の例によることとされた同条例による改正前の大阪市個人情報保護条例(平成7年大阪市条例第11号。以下「旧条例」という。)第45条に基づき、大阪市長(以下「実施機関」という。)から令和4年7月15日付け大旭福地第94号により諮問のありました件について、次のとおり答申いたします。

第1 審議会の結論
 実施機関が令和4年6月13日付け大旭福地第56号により行った不存在による非開示決定(以下「本件決定」という。)は、妥当である。

第2 審査請求に至る経過
1 開示請求
 審査請求人は、令和4年5月30日に、旧条例第17条第1項に基づき、実施機関に対し、「別紙の6枚の私に関する、本来は私が記入提出する書類を本人でない人物が記入し(筆跡が全くちがう)提出に至った経緯の分かる記録(含む その行為を認めた決裁文書)」の開示を求める開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
2 本件決定
 実施機関は、本件請求に係る保有個人情報を保有していない理由を次のとおり付して、旧条例第23条第2項に基づき、本件決定を行った。

 上記請求に係る(1)平成27年3月13日付け受理の「介護給付費等支給量等変更申請書」(2)平成27年4月28日付け受理の「介護給付費等支給申請書」、「障がい福祉サービス利用者負担額減額・免除等申請書」、「障がい福祉サービスの利用のための訪問調査・サービス利用意向聴取にあたって」(3)平成27年4月28日付け受理「移動支援費支給申請書」、「移動支援事業にかかる利用者負担上限月額設定(変更)申請書」「同意書」の文書については、開示請求者以外の者が記入して提出に至った経緯を把握していないことから、当該記録をそもそも作成又は取得しておらず、実際に存在しないため。
 また、上記請求に係る(1)~(3)の申請行為に対する支給決定に係る決裁文書は存在したが、保存期間5年が経過したために廃棄しており、実際に存在しないため。
3 審査請求
 審査請求人は、令和4年6月17日に本件決定を不服として、実施機関に対して、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。

第3 審査請求人の主張
 
審査請求人の主張は、おおむね次のとおりである。
1 審査請求の趣旨
 本件決定を取り消し、開示決定を求める。
2 審査請求の理由
 把握していないことはあり得ず、把握している以上は存在するはず。
 また、保存期間がいつから5年というのも疑問だ。

第4 実施機関の主張
1 障がいのある方の介護給付費等及び移動支援費の支給について
 障がいのある方が自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な居宅介護、就労支援、移動支援等の給付費の支給については、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)及び厚生労働省作成の介護給付費等に係る支給決定事務等の事務処理要領(以下「国事務処理要領」という。)に基づき、各自治体が必要な事項を定めて実施している。
 本市では、居宅介護等の介護給付費及び就労支援等の訓練等給付費の支給に関して、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律における介護給付費等にかかる支給決定事務取扱要綱(平成1810月1日制定)に事務取扱に必要な事項を定めている。
 一方、移動支援費の支給については、大阪市移動支援事業実施要綱(平成18年8月22日制定)に事務取扱に必要な事項を定めている。
2 申請の代行について
 本市では、介護給付費等及び移動支援費の支給申請における申請者以外の者による代行申請を認めている。この点について、国事務処理要領では「支給申請の代行は、障害者本人の支給申請の意思表示の内容を本人に代わり伝える行為であり、本人から申請の代行の依頼を受けたものであれば、誰であっても可能である。また、必ずしも書面により依頼されている必要はない。委任状を求めるか、窓口でどのような対応をするか等については、基本的に市町村の判断と考えるが、障害者本人に実際の申請意思があるか否かについては、障害程度区分認定調査や勘案事項の聴き取り等による支給決定手続きの過程において確認できることから、申請時に一律に委任状の提出を求める必要はない。」と規定されている。
 本市では、代行申請があった場合、国事務処理要領に基づき、委任状の提出を求めず、また、支給決定の過程において申請の意思を確認できるため、代行申請の理由を把握していない。
3 文書の保存期間
 本市では、公文書の適正な管理並びに歴史資料として重要な公文書等の適切な保存及び利用等を図るために、大阪市公文書管理条例(平成18年3月31日条例第15号。以下「管理条例」という。)、大阪市公文書管理条例施行規則(平成18年3月31日規則第65号。以下「管理条例施行規則」という。)にて、そのための基準を定めている。
 文書の保存期間については、管理条例第6条3項に、「公文書の保存期間は、別表の左欄に掲げる公文書の区分に応じ、同表の右欄に定める期間とする。」と規定されている。
 審査請求人に係る上記(1)~(3)の申請書類及びその支給決定に係る決裁文書の保存期間については、管理条例別表(第6条関係)に規定する「許認可、免許、承認、取消等の行政処分に関するもの」に該当するため、5年となっている。
 また、当該申請書類の保存期間の起算日については、管理条例施行規則第5条に公文書の完結日のうち最も遅い日の属する会計年度の翌年度の4月1日(暦年により編集された公文書にあっては同一の簿冊に編集された公文書に係る公文書の完結日のうち最も遅い日の属する年の翌年4月1日)とすると規定されている。
 実施機関では、上記(1)~(3)の申請書類及びその支給決定に係る決裁文書を簿冊名称「介護給付・訓練等給付支給決定関係書類(局区)」(文書分類コード:3-8-7-2、保管期間:5年)に保存した。
 上記(1)の申請書類とその支給決定に係る決裁文書の保管期間は、平成26年度に完結したため令和元年度末までであり、上記(2)及び(3)の申請書類とその支給決定に係る決裁文書の保存期間は、平成27年度に完結したため令和2年度末までとなっている。
4 本決定の理由
 実施機関では、国事務処理要領に基づき、審査請求人に係る上記(1)~(3)の申請書類の提出の際に代行申請に係る委任状等の書面を求めていないこと、及び代行申請の理由を把握する必要がないことから、そもそも代行申請の経緯がわかる文書を作成する必要がなく、かつ取得もしていない。
 また、審査請求人に係る上記(1)~(3)の申請書類とその支給決定に係る決裁文書は、「管理条例」、「管理条例施行規則」に基づき、適切に保管して、保存期間満了後に適切に廃棄している。

第5 審議会の判断
1 基本的な考え方
 旧条例の基本的な理念は、第1条が定めるように、市民に実施機関が保有する個人情報の開示、訂正及び利用停止を求める具体的な権利を保障し、個人情報の適正な取扱いに関し必要な事項を定めることによって、市民の基本的人権を擁護し、市政の適正かつ円滑な運営を図ることにある。したがって、旧条例の解釈及び運用は、第3条が明記するように、個人情報の開示、訂正及び利用停止を請求する市民の権利を十分に尊重する見地から行わなければならない。
2 争点
 実施機関は、本件請求の対象となる保有個人情報(以下「本件情報」という。)が存在しないとして本件決定を行ったのに対して、審査請求人は本件情報が存在するはずだと主張し、本件情報の開示を求めて争っている。
 したがって、本件審査請求の争点は、本件情報の存否である。
3 本件情報の存否について
(1)  申請の代行の有無について
 当審議会において、審査請求書及び開示請求書並びに開示請求書に添付された介護給付費等支給量等変更申請書、介護給付費等支給申請書、障がい福祉サービス利用者負担額減額・免除等申請書、障がい福祉サービスの利用のための訪問調査・サービス利用意向聴取にあたって、移動支援費支給申請書、移動支援事業にかかる利用者負担上限月額設定(変更)申請書及び同意書のそれぞれに記載された審査請求人の署名を見分したところ、その筆跡からは審査請求書及び開示請求書の署名を同一人(以下「署名者A」という。)が記載し、審査請求書及び開示請求書以外の書類の署名を署名者Aとは別の同一人(以下「署名者B」という。)が記入したものと認められた。
 加えて、障がい福祉サービスの利用のための訪問調査・サービス利用意向聴取にあたって、移動支援事業にかかる利用者負担上限月額設定(変更)申請書及び同意書を除く介護給付費等支給量等変更申請書、介護給付費等支給申請書、障がい福祉サービス利用者負担額減額・免除等申請書及び移動支援費支給申請書には、届出者欄又は申請書提出者欄が設けられており、これにいずれも同一の者の氏名が記載されており、その筆跡も一致しているものと認められたことから、開示請求書に添付されたこれらの書類については、署名者Bが審査請求人に代わって、審査請求人の署名を含めて記入し、実施機関に提出する、いわゆる代行申請によるものと推認される。
(2)  代行申請に係る本人の申請の意思及び代行権限の確認の手法及びこれらに係る記録の存否について
 審査請求人の主張のとおり開示請求書に添付された申請書類については、審査請求人以外の第三者が記載して提出したものと推認されるから、その経緯のわかる記録及び代行申請を実施機関が認めた決裁文書の存否を検討する。
 そして、開示請求の対象である代行申請の経緯のわかる記録及び代行申請を実施機関が認めた決裁文書としては、代行申請を行うにあたって、実施機関において行った本人の申請意思の確認や代行者の代行権限の確認に係る公文書が該当するものと考えられる。
 この点、当審議会において国事務処理要領を確認したところ、実施機関の主張するとおり、障害者本人に実際の申請意思があるか否かについては、障害程度区分認定調査や勘案事項聴き取り等による支給決定手続の過程において確認できることから、申請時に一律に委任状の提出を求める必要はないと規定されていた。
 そして、実施機関によれば、かかる代行申請においては、委任状等の代行権限を証する書類の提出を求めておらず、申請がなされたのち、支給決定までの間に障害程度区分認定調査やサービス利用意向聴取を実施する必要があり、別途、業務委託を行っている事業者の訪問調査員による訪問調査で申請者本人やその家族等にその心身の状況等を確認する取扱いであるが、審査請求人の申請意思の確認については、申請行為に対する支給決定に係る決裁文書が保存期間満了で廃棄されていることから実施の有無に関する記録等は残っておらず、どのように対応したかは不明であるとのことである。
(3)  代行申請に係る本人の申請の意思及び代行権限の有無の確認に係る書類の存否について
ア 委任状の提出の有無について
 上記(2)の実施機関の主張の当否については、以下のイにおいて検討することとし、まず、実施機関の主張を前提として、代行申請に係る委任状の提出の有無について検討する。
 この点、実施機関によると、本件において代行申請を行った人物は、当時の障がい者相談支援センター(現障がい者基幹相談支援センター)の職員であり、同センターは、実施機関の福祉行政事務を所管する実施機関の福祉局から地域の福祉サービスの利用援助等の業務委託を受託した事業者が運営しており、審査請求人からの相談に応じ、福祉サービスの利用援助をしていたものであるとのことであり、かかる実施機関の主張に不自然・不合理な点は認められず、また、審査請求人は特に反論を行っていないから、これを前提に判断することとする。
 上記(2)のとおり、代行申請にあたっては、通常は委任状の提出を求めない取り扱いをしていた実施機関において、障がい者相談支援センターの職員による代行申請を受け付けた場合、障がい者相談支援センターの職員が審査請求人の福祉に係る申請を代行することは一般的であるから、代行権限を有していないのではないかという疑義を抱かせるような特段の事情のない限り、委任状の提出を求めることはないものと考えられる。
 そして、審査請求人からは、代行申請がなされた各種の申請について、本人の意思に反して申請がなされたとか、実際に利用した実態はないといった代行権限を疑わせる事情の主張がないことを考えると、本件においては、かかる特段の事情は存在しなかったものと認められるから、本件においては、通常の手続にしたがって本人の意向確認が行われたものであり、委任状の提出はなかったものと推認される。
イ 委任状以外の文書の存否について
 委任状の提出がなかったとしても、代行申請にあたって何らかの手法により代行権限の有無や申請の有無を実施機関において確認しているものと考えられるため、これらに関する公文書が存在すれば、対象情報として特定すべきこととなる。
 この点、実施機関によれば、このような経緯が記載されていると考えられる本件審査請求に係る申請行為に対する支給決定に係る決裁文書については、大阪市公文書管理条例別表の5年として区分している「許認可、免許、承認、取消等の行政処分に関するもの」に該当するものとして、平成26年度編集及び平成27年度編集の保存期間5年の「介護給付・訓練等給付支給決定関係書類(局区)」に編綴されていたとのことである。
 そして、当審議会において、大阪市公文書管理条例の別表において、これらの文書の保管期間が5年であることを確認し、実施機関から事務局に提出された「廃棄簿冊目録(R02年度廃棄分)」及び「廃棄簿冊目録(R03年度廃棄分)」により、それぞれの文書が保存期間の満了により、廃棄されていることを確認した。
 なお、事務局職員をして実施機関に確認させたところ、上記申請行為に対する支給決定に係る決裁文書は、生活保護事務における生活保護の支給に係るケースファイルのように、サービスを受給し続けている間、記録を積み重ねて保存していくべき性質のものではなく、年度ごとに申請に対する支給決定を行うものであり、支給決定した年度の簿冊に保管し、各年度の簿冊ごとに保管期間が満了した後、廃棄しているとのことであり、このような取扱いについて、本市の文書管理の各種規程に照らしても、特段、不自然・不合理な点は認められない。
(4)  小括
 以上のとおりであるから、代行申請にあたって、実施機関に対して委任状の提出はなかったものと認められ、また、代行申請について、実施機関において代行申請に係る代行権限の確認を行った内容などについては、その内容がわかる公文書が仮に存在していたとしても、開示請求の段階で、既に保存期間の満了により廃棄されていたものと認められるから、審査請求人が開示請求書に添付した書類の代行申請の経緯のわかる記録及び代行申請を実施機関が認めた決裁文書は存在しないとする実施機関の主張に不自然、不合理な点はない。
4 結論
 以上により、第1記載のとおり、判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
委員 野呂 充、委員 小林 邦子、委員 篠原 永明、委員 矢口 智春

(参考)調査審議の経過 令和4年度諮問受理第11号

答申第202号

Adobe Acrobat Reader DCのダウンロード(無償)別ウィンドウで開く
PDFファイルを閲覧できない場合には、Adobe 社のサイトから Adobe Acrobat Reader DC をダウンロード(無償)してください。

探している情報が見つからない

このページの作成者・問合せ先

大阪市 総務局行政部行政課情報公開グループ

住所:〒530-8201 大阪市北区中之島1丁目3番20号(大阪市役所1階)

電話:06-6208-9825

ファックス:06-6227-4033

メール送信フォーム