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答申第203号

2019年9月9日

ページ番号:622719

大個審答申第203
令和6年3月29日 

大阪市長 横山 英幸 様

大阪市個人情報保護審議会
会長 金井 美智子

答申書

 大阪市個人情報の保護に関する法律の施行等に関する条例(令和5年大阪市条例第5号)附則第3項の規定によりなお従前の例によることとされた同条例による改正前の大阪市個人情報保護条例(平成7年大阪市条例第11号。以下「旧条例」という。)第45条に基づき、大阪市長(以下「実施機関」という。)から令和4年7月15日付け大旭福地第96号により諮問のありました件について、次のとおり答申いたします。

第1 審議会の結論
 実施機関が行った令和4年6月17日付け大旭福地第60号による開示決定(以下「本件決定」という。)は、妥当である。

第2 審査請求に至る経過
1 開示請求
 審査請求人は、令和4年6月3日に、旧条例第17条第1項の規定に基づき、実施機関に対し、「療育手帳交付台帳(東住吉、旭、天王寺)」と表示して開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
2 本件決定
 実施機関は、本件請求に係る保有個人情報を「知的障がい者(児)指導台帳の写し」(以下「本件保有個人情報」という。)と特定した上で、旧条例第 23条第1項に基づき、本件決定を行った。
3 審査請求
 審査請求人は、令和4年6月24日に本件決定を不服として、実施機関に対して、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。

第3 審査請求人の主張
 審査請求人の主張は、おおむね次のとおりである。
1 審査請求の趣旨
 本決定の取消しと、新たな開示決定を求める。
2 審査請求の理由
 決定された情報のほかに、特定すべき情報があるため。
 決定した情報は、既に開示されており、しかも初回には示されず、再度の開示で新たに出現したもので中身も多々怪しい(他の情報と合致しなかったり、区をまたいでの記載なのに同一人物としか思えない同筆跡がであったり、その名称の~指導台帳を利用しているのは24区中3区だとあるが、本人が住民票を置いた東住吉・旭・天王寺のいずれもその(~指導台帳を保有の)3区でなかったりなど)
 それゆえ、厚労省のホームページから引き出した「療育手帳交付台帳」のワードで開示を求めたもので、つまり開示された「~指導台帳」が疑わしいから「~交付台帳」を求めたのにその疑わしい「~指導台帳」を再び開示する決定は意味(疑わしさの確認)を為さない。
 また、提供できるからと敢えて請求人が請求とは別の情報を開示の決定行為は、疑われるような怪しい情報の隠ぺい工作を推測せざるを得ない。この疑い(隠ぺい)を晴らすべくは、請求した(業務上の情報いかんは全く無関係につき)そのもの「療育手帳交付台帳」を開示するのみ。

第4 実施機関の主張
1 本市における療育手帳制度について
 療育手帳制度は、国の通知「療育手帳制度について」(昭和48年9月27日厚生省発児第156号厚生事務次官通知)及び「療育手帳制度の実施について」(昭和48年9月27日児発第725号厚生省児童家庭局長通知)に基づき、各自治体が基準を定めて実施している。
 療育手帳制度の目的は、国の通知「療育手帳制度の実施について」第1第1項に、知的障害児(者)に対して、一貫した指導・相談を行うとともに、これらの者に対する各種の援助措置を受け易くするため、知的障害児(者)に手帳を交付し、もって知的障害児(者)の福祉の増進に資することとされている。
 本市においては、療育手帳の交付等に関し必要な事項を「大阪市療育手帳交付規則」(平成23年9月2日規則第106号)により定め、同規則の施行について必要な事項を「大阪市療育手帳交付要綱(以下「市要綱」という。)」(昭和601216日制定)により定めている。
2 療育手帳交付台帳について
 療育手帳交付台帳(以下「交付台帳」という。)の作成に関しては、国の通知「療育手帳制度の実施について」第6第1項に「都道府県知事等は、『(1)交付番号及び交付年月日』『(2)知的障害者の氏名、住所、生年月日、性別及び個人番号』『(3)障害者の程度及びその確認に関する事項』『(4)旅客運賃割引の種別』『(5)保護者の氏名、住所及び続柄』『(6)再交付の年月日及び理由』を記載した療育手帳交付台帳を作成するものとする。」と定められている。
 本市における交付台帳は、総合福祉システム(以下「システム」という。)上で作成・管理しており、所管区(手帳所持者が居住している区)のみが編集及び関係帳票を出力できることになっている。
3 知的障がい者(児)指導台帳について
 市要綱第8条に「この要綱に定めるもののほか、必要な事項は福祉局長が定める。」と規定されており、福祉局が作成した「療育手帳交付事務の手引き(以下「手引き」という。)」がこの必要な事項に該当する。
 手引きには、各区保健福祉センターに本市の療育手帳の判定機関であるこども相談センターまたは心身障がい者リハビリテーションセンターから判定結果通知書が送付されたら、知的障がい者(児)指導台帳(以下「指導台帳」という。)を作成すると定められている。
 指導台帳には、療育手帳に関する事項として、「交付番号及び交付年月日」「氏名、住所、生年月日、性別」「知的障がいの程度及びその確認に関する事項(判定結果)」「保護者の氏名、住所及び続柄」「再交付の年月日及び理由」のほか、「身体障がい者手帳の交付状況」「その他の事業の受給状況」等が記される。
 また、市内の区間異動があった場合の事務処理として、指導台帳及び付随する書類を転出区から転入区へ送付することとしている。
4 本決定の理由
 本件請求は、交付台帳の開示を求めるものであるが、上記のとおり交付台帳は手帳所持者が居住している区のみが編集及び関係帳票を出力できるものであり、請求日時点で請求人は当区に居住していないことから、実施機関では交付台帳を開示することができない。
 しかし、指導台帳には交付台帳と同等の事項が記載されていることから、実施機関が保有する指導台帳の写しを特定し、本件処分を行った。
 なお、実施機関が保有する審査請求人の指導台帳の写しは、審査請求人の療育手帳の所管が東住吉区から実施機関に移った際に送付されたものであり、平成28年3月25日付けで審査請求人が実施機関に対して保有個人情報の開示請求を行った際の部分開示決定に係る決裁の関係文書である。
 また、実施機関では、審査請求人の療育手帳を所管していた際の指導台帳を保管しておらず、東住吉区より送付された指導台帳原本も審査請求人が平成28年7月10日に旭区から天王寺区へ転居した際に天王寺区に送付している。

第5 審議会の判断
1 基本的な考え方
 旧条例の基本的な理念は、第1条が定めるように、市民に実施機関が保有する個人情報の開示、訂正及び利用停止を求める具体的な権利を保障し、個人情報の適正な取扱いに関し必要な事項を定めることによって、市民の基本的人権を擁護し、市政の適正かつ円滑な運営を図ることにある。したがって、旧条例の解釈及び運用は、第3条が明記するように、個人情報の開示、訂正及び利用停止を請求する市民の権利を十分に尊重する見地から行わなければならない。
2 争点
 審査請求人は、請求書において交付台帳と明示して開示請求を行ったにもかかわらず、実施機関は指導台帳を対象情報として特定し、交付台帳を対象情報として特定していないことを不服として審査請求を行っていることから、本件審査請求の争点は、指導台帳は本件請求の対象となる保有個人情報と評価しうるかという点と実施機関において交付台帳を保有しているかという点である。
3 旭区役所において交付台帳を保有しているかについて
 審査請求人は、請求書において「東住吉、旭、天王寺」と3区役所を指定して本件請求を行っており、このうちの旭区役所が行った本件決定に限って審査請求を提起していることから、旭区役所において対象となる交付台帳を保有しているかを検討する。
 この点、実施機関の旭区役所の説明によれば、本市においては、交付台帳はシステム上で作成・管理されており、所管区以外は編集・関係帳票が出力できないとのことであり、事務局職員をしてシステムを実際に確認させたところ、システムの仕様が説明どおりであることが確認できた。したがって、旭区役所においては、システム上の交付台帳を管理しているとは評価できないから、旭区役所においてシステム上交付台帳を保有しているとは認められない。
 また、事務局職員をして実施機関の旭区役所に確認させたところ、システム管理されている交付台帳を印刷して紙資料として簿冊に保管する取扱いも行っておらず、現に審査請求人に係る交付台帳を印刷した資料も保有していないとのことであった。
 さらに、本件保有個人情報のほかに本件請求の対象となる保有個人情報が存在するはずであるとする審査請求人の主張も具体性を欠くものであり、その他実施機関の説明を覆すに足りる事実は認められない。
 以上の点から、実施機関の旭区役所において、交付台帳を保有していないとの主張に不自然、不合理な点はない。
4 指導台帳を対象情報として特定したことの当否について
 実施機関の旭区役所の説明によれば、交付台帳については、(1)交付番号及び交付年月日、(2)知的障害者の氏名、住所、生年月日、性別及び個人番号、(3)障害者の程度及びその確認に関する事項、(4)旅客運賃割引の種別、(5)保護者の氏名、住所及び続柄、(6)再交付の年月日及び理由を記載することとされているところ、本件請求にあたって、交付台帳は保有していないことから、同等の事項が記載されている指導台帳の写しの情報を本件請求の対象となる保有個人情報として特定したとのことである。
 この点、当審議会において、「療育手帳制度の実施について」(昭和48年9月27日児発第725号厚生省児童家庭局長通知)第6第1項に上記のとおり交付台帳の記載事項が定められていること、また、本件決定において特定した審査請求人の指導台帳の写しに記載されている情報には、これらの記載事項のうち、個人番号、旅客運賃割引の種別、保護者の氏名、住所及び続柄並びに再交付の年月日及び理由を除く事項が含まれていることが確認できた。そして、事務局職員をして実施機関に確認させたところ、指導台帳の写しに記載されていないことについて、次のとおり説明があった。
・保護者の氏名、住所及び続柄については、療育手帳交付時に対象者が成人している場合には記載しない取扱いであるところ、審査請求人が交付時に成人していたものである。
・再交付の年月日及び理由については、審査請求人に対して再交付をした事実がない。
 審査請求人は交付台帳を指定して請求しているにもかかわらず、指導台帳の写しを特定した実施機関の決定は誤りであると主張するが、本件決定において特定した審査請求人の指導台帳の写しには交付台帳に記載すべき事項のうち、個人番号及び旅客運賃割引の種別を除く事項が記載されていること、さらに、上記3のとおり実施機関の旭区役所では交付台帳を保有していないと認められることを踏まえれば、請求の対象となった交付台帳ではないものの、交付台帳に記載すべき事項の大部分が記載されている指導台帳の写しを特定したことが、対象情報の特定を誤ったものとまでは認められない。
5 結論
 以上により、第1記載のとおり、判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
委員 野呂 充、委員 小林 邦子、委員 篠原 永明、委員 矢口 智春

(参考)調査審議の経過 令和4年度諮問受理第12号

答申第203号

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