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答申第205号

2019年9月9日

ページ番号:622722

大個審答申第205
令和6年3月29

大阪市長 横山 英幸 様

大阪市個人情報保護審議会
会長 金井 美智子

答申書

 大阪市個人情報の保護に関する法律の施行等に関する条例(令和5年大阪市条例第5号)附則第3項の規定によりなお従前の例によることとされた同条例による改正前の大阪市個人情報保護条例(平成7年大阪市条例第11号。以下「旧条例」という。)第45条に基づき、大阪市長(以下「実施機関」という。)から令和3年1110日付け大平住戸第191号及び令和3年1119日付け大総務第e-229号により諮問のありました件について、次のとおり一括して答申いたします。

第1 審議会の結論
 実施機関が令和3年10月4日付け大平住戸第174号により行った利用停止不承認決定(以下「本件決定1」という。)及び同日付け大総務第e-184号により行った利用停止不承認決定(以下「本件決定2」といい、本件決定1とあわせて「本件各決定」という。)は、いずれも妥当である。

第2 審査請求に至る経過
1 利用停止請求
 審査請求人は、令和3年9月30日に、旧条例第36条第1項の規定に基づき、実施機関に対し、利用停止に係る保有個人情報を特定するに足りる事項として「1.令和3年8月23日付け大個審答申第148号の答申書 2.同答申書に添付する、別表、項番4の枠記載の全文書(作成保有者:大阪市個人情報保護審議会会長 金井美智子) 3.同上情報提供者:松井市長、平野区役所住民情報課」、利用停止の趣旨を「1利用停止、消去、提供停止を求める箇所 (1)答申書2ページ目下段3審査請求から3ページ目に記載する下記の文書。①「本件決定4」の文書②「なお、本件決定4については審査請求を行っていない。」(2)同答申書に添付する、別表、項番4の枠欄記載の全文。」、利用停止請求の理由を「①本件決定4は審査請求していない個人情報である。松井市長は開示請求4件を9件に分類し、そのうち本件請求1を項番1、項番2、項番3、項番4と仕分けしたが、項番4及び同決定4について請求人は審査請求をしていない。審議会が審査請求に対する審理目的からも逸脱している。②請求人は項番4の開示請求に対する処分の情報の提供及び利用することに同意していない。③開示請求4件に処分9件したので8件審査請求せざるを得ず、各審査案件に統一番号を付けず故意に混乱をまねく。」とそれぞれ記載して保有個人情報の利用停止を求める請求(以下「本件請求」という。)を行った。
2 本件各決定
(1) 本件決定1
 実施機関は、本件請求に係る保有個人情報のうち「令和2年12月1日付け大平住戸第230号の意見書の別紙弁明書(第1の2(4)の全て及びその別表(項番4)及び令和3年2月19日付け大平住戸第26号の意見書の別表(項番4)」(以下「本件保有個人情報1」という。)と特定した情報について、本件保有個人情報1の利用を停止しない理由を次のとおり付して旧条例第40条第2項の規定に基づき、本件決定1を行った。

 本件保有個人情報には、審査請求人が行った保有個人情報の開示請求及びこれに対する決定に係る情報が含まれているところ、審査請求人が利用の停止等を求めている箇所は、審査請求人が令和元年1115日付けで行った4件の保有個人情報の開示請求のうち1件に係る開示請求に対して実施機関(大阪市長)が行った部分開示決定、非開示決定、開示請求却下決定及び不存在による非開示決定の4件の決定のうち、審査請求人が審査請求を行っていない不存在による非開示決定に関する内容を記載している部分である。
 大阪市個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)において、審査請求に対する判断を行うにあたっては、当該開示請求に対して実施機関がどのような決定を行い、かつそれらの決定に対して審査請求人がいかなる範囲で審査請求を行ったのかという事実を把握する必要がある。
 したがって、保有個人情報の開示請求及び行政不服審査制度に関する事務の適正な遂行を目的として、事務の目的の範囲内で実施機関(審議会を含む)の内部で利用したものである。
 以上により、旧条例第10条第1項に違反して事務の目的の範囲を超えて実施機関の内部で利用したものではなく、実施機関以外のものに提供したものでもないことから、本件保有個人情報1は、旧条例第36条第1項第1号及び同項第2号に該当しないため。
(2) 本件決定2
 実施機関は、本件請求に係る保有個人情報のうち「令和3年8月23日付け大個審答申第148号の答申書(第2の2(4)の全て及び第2の3の「なお、本件決定4については審査請求を行っていない。」)並びにその別表(項番4)」(以下「本件保有個人情報2」といい、本件保有個人情報1とあわせて「本件各保有個人情報」という。)と特定した情報についてで、本件保有個人情報2の利用を停止しない理由を次のとおり付して旧条例第40条第2項の規定に基づき、本件決定2を行った。

 本件保有個人情報2には、審査請求人が行った保有個人情報の開示請求及びこれに対する決定に係る情報が含まれているところ、審査請求人が利用の停止等を求めている箇所は、審査請求人が令和元年1115日付けで行った4件の保有個人情報の開示請求のうち1件に係る開示請求に対して実施機関(大阪市長)が行った部分開示決定、非開示決定、開示請求却下決定及び不存在による非開示決定の4件の決定のうち、審査請求人が審査請求を行っていない不存在による非開示決定に関する内容を記載している部分である。
3 審査請求
 審査請求人は、令和3年1020日、本件各決定を不服として、実施機関に対して、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき審査請求(以下本件決定1に対する審査請求を「本件審査請求1」、本件決定2に対する審査請求を「本件審査請求2」といい、本件審査請求1と本件審査請求2をあわせて「本件各審査請求」という。)を行った。

第3 審査請求人の主張
 審査請求人の主張は、おおむね次のとおりである。
1 本件審査請求1
(1) 申立の趣旨
・審査請求していない他の処分情報の提供は違法である。
・利用停止不承認決定の取消しを求める。
・審議会がした判断との理由は誤りがあり理由不記である。
(2) 審査請求書における主張
・項番4(令和3年8月23日付け大個審答申第148号(以下「別件答申」という。)の別表の項番4のこと。以下同じ。)の開示請求の同決定4(198号)について、処分庁に審査請求を行なっていない。審査請求書を提出していない。
・旧条例第4章第59条審議会の設置及び組織の条項において、審議会は諮問に応じて審議を行わせ、及び報告に対して意見を述べさせるため、審議会を置く規定だが、処分庁は本件を審議会に諮問していない。つまり、処分庁は諮問していない本件を審議させた非違行為に該当する。
・審議会から本件個人情報の提示を求めていない。そして、旧条例第60条審議会の調査権限の規定から、審議会は必要があると認めるときは、諮問した実施機関処分庁に対し、本件個人情報の提示を求めることができるが、「利用停止不承認の決定」理由には記載がなく理由不記。
・処分庁は「審議会において、中略…事実を把握する必要がある。」と理由に記載するが、その審議会に、旧条例第6条第4項(審議会の意見を聴くこと)及び5項(報告及び意見)の適正な職務をしておらず、条例から逸脱して公開したものである。よって、本件処分を取消さなければならない。
・旧条例第6条3項の本人合意がない。項番4(198号)の開示請求に係る個人情報の提供及び利用することに同意していない。審議会に提供及び公表することに合意していない。
・旧条例第7条の事務の目的の明示に違反する又は怠る。
・処分庁は、同期日に4件の開示請求に対して9件の処分を行なったが、決定文書がまったく同一のものがあり、審査請求人にはどの決定番号がどの決定かわからない。開示請求に対する処分は、地方公務員法第30条服務の根本基準、職務の遂行に当たっては、全力を挙げてこれを専念しなければならないが、始めから手抜きであり、職務を怠っていた。
・そしてこのように、本人同意のない個人情報を公開・公表するという条例の条項から逸脱し重大な違反を犯したのである。上記から、処分庁・審議会・市長等は地方公務員法等違反の疑いがある。
・処分庁が審議会に198号の個人情報を提供することを、同6条3項2号の本人は同意していない。そして、提供してよいか同6条4項の審議会に意見を聴いていない。さらに処分庁は、同第6条第5項の審議会に意見を聴かないで収集したときは、速やかに審議会に報告しなければならないが報告していない。そして、処分庁は、審議会に本人が同意していると錯誤させ、処分庁に意見を述べさせていない。
・処分庁は、旧条例第8条、本件に係る事務の届出をしていない。
・審査請求をしていない処分の内容は、旧条例第66条の規定により、別件答申の答申書に公表されることから公開される。すなわち、内部で利用したものと理由記載しておきながら、条例の規定により公表している。まさに条例の保護規定に違反して妨害している。
・旧条例第60条1項、3項、5項等により審議会が判断する、調査する、資料の提出の求めを諮問庁を通じて行うが、理由書には一切記載がない。そうすると、処分庁は、審議会に無断で勝手に、審議会が必要であると理由記載をする。まさに、諮問庁は、審議会を下部組織と見下して、審議会をコントロールし、指導し、指示し、助言しており、行審法の公正な審理に違反するものである。
・実施機関の内部で利用したと理由説明するが、審議会の答申は大阪市ホームページ、マスコミ等に公表される。決して内部の利用にとどまらない。
・旧条例第7条、事務の目的の明示の規定では、処分庁は、旧条例第6条3項収集の制限規定により、本人から直接書面に記録された本人の個人情報(同日大平住戸第198号)を収集しようとするときは、あらかじめ、本人に対し、当該個人情報(同日大平住戸第198号内容)に係る事務の目的(保有個人情報の開示請求及び行政不服審査制度に関する事務の適正な遂行を目的)を明示しなければならない。しかし、条例第8条、処分庁はあらかじめ市長に事務の届出を行っていない。
・行政個人情報法保護法第6章罰則に該当する。開示請求の職務に従事していた職員らは、正当な理由がないのに、個人の秘密に属する事項が記録された法第2条第6項1号に係る個人情報ファイル(その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む。)を提供した。
・旧条例第74条第1項の罰則に該当する。職員らは、正当な理由がないのに、一定の事務の目的(※審査請求に対する弁論する目的)を達成するために特定の保有個人情報(※審査請求していない開示請求ないよう及びその処分内容)を、電子計算機(※戸籍グループパソコン)を用いて検索することができるように体系的に構成した保有個人情報を含む情報の集合物(※開示請求内容及びその処分内容、答申の公表物)であって、個人の秘密に属する事項(開示請求内容及びその処分内容)が記載されたもの(※その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む。つまり、本件審議会の裁決書又は答申書のこと)を公表する目的で第三者に提供したときは罰に処される。
・旧条例第77条第4項の罰則に該当する。職員らが、その職権(※個人情報開示請求について区長の委託権限により処分する職権)を濫用して、専ら、その職務(開示請求について処分する職務)の用以外のように供する目的(※別の審査請求に対する弁明に利用する目的)で、個人の秘密に属する事項(※別の開示請求内容及びその処分内容)が記載された文書、図画又は電磁的記録を収集したときは罰に処される。
・旧条例第78条第5項の罰則に該当する。第59条6項の規定に違反して秘密を漏らした者は、罰に処される。審議会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。(※しかし、別件答申の答申書に記載して漏らしている。)その職を退いた後も同様とする。
(3) 反論書(令和5年9月25日付け審査請求人意見書)における主張
・処分庁、審査庁、審議会の関係者の市長、区長、担当職員らは、職務上、知ることができた秘密を、広く市民に公開して漏らした。
・大阪市のホームページには、「答申書148号の概要」及び「答申書」には、本件決定4(別件答申における「本件決定4」のこと。以下同じ)の文書が、広く市民に公表されている。審査庁がいうように、当該文書は内部利用にとどまらず、行政機関外に、市のネットワークで、世界中にこれらの文書が公表されている。このホームページの作成者は、大阪市 総務局 行政部 行政課 情報公開グループと記載され、所在地、電話・ファックス番号が記載されている。そうすると、公開した部署は市長の補助者だから、旧条例36条の1号、2号に該当することから、利用停止等を求めることができる。
・旧条例第66条は「答申の内容」を公表することとしたものです。市長がいう「法令等に定めがあるとき」とは、審議会が、単に「答申の内容を公表する。」ことを示すだけです。審議の中で本件決定4の文書を添付資料として、閲覧し、検証、調査したとしても、市民に公表する別件答申の答申書の中に記載すべきものではありません。市長は、別件答申をホームページに公表する際に、審議上、明らかに記載する必要・理由があると記載してもいません。
・決定内容、開示請求内容、不存在の理由の文書を別件答申の答申書に記載して、市民に公表したことは、個人情報保護法上、故意に漏えいしたことになる。
・利用停止不承認決定は、利用停止請求権の侵害です。
・審議会が、行審査法第29条2項に基づき、審議会が指定した弁明書4カ月以内の提出請求に対し、処分庁・審査庁市長は、甲の審査請求から22カ月後に弁明書を甲及び審議会に送付するという非違行為を行なった。まさに、市長が公務員としてその職務・義務を怠ったものです。
・本来なら、審議会は、処分庁及び審査庁へ弁明書提出を催促し、遅延理由の書面提出を請求し、甲に審議手続き遅延説明の書面を送付したうえ、処分庁・審査庁に対して、期限売りに弁明書提出がない場合は、甲の請求事項を認諾したものとみなし、審理終結をして、市長に答申すべきものです。
・どっちみち、個人情報を漏えいした事実は明らかです。ただし、誰が漏えい発覚を遅らせたか、故意に遅らせたかは、大阪市長選挙の事実で明らかになりました。前市長が、現市長が大阪市長になる選挙のために、そして現市長が大阪市長として政党政治のために利用して、弁明書を遅らせたのです。
・弁明書送付遅延の非違行為、審議遅延の非違行為は審議委員失格です。

2 本件審査請求2
(1) 申立の趣旨
・審査請求していない他の処分情報の提供は違法である。
・利用停止不承認決定の取消しを求める。
・審議会がした判断との理由は誤りがあり理由不記である。
(2) 審査請求における主張
・項番4の開示請求の同決定4(198号)について、処分庁に審査請求を行なっていない。審査請求書を提出していない。
・旧条例第4章第59条審議会の設置及び組織の条項において、審議会は諮問に応じて審議を行わせ、及び報告に対して意見を述べさせるため、審議会を置く規定だが、処分庁は本件を審議会に諮問していない。つまり、処分庁は諮問していない本件を審議させた非違行為に該当する。
・審議会から本件個人情報の提示を求めていない。そして、旧条例第60条審議会の調査権限の規定から、審議会は必要があると認めるときは、諮問した実施機関処分庁に対し、本件個人情報の提示を求めることができるが「利用停止不承認の決定」理由には記載がなく理由不記。
・処分庁は「審議会において、中略…事実を把握する必要がある。」と理由に記載するが、その審議会に、旧条例第6条第4項(審議会の意見を聴くこと)及び5項(報告及び意見)の適正な職務をしておらず、条例から逸脱して公開したものである。よって、本件処分を取消さなければならない。
・旧条例第6条3項の本人合意がない。項番4(198号)の開示請求に係る個人情報の提供及び利用することに同意していない。審議会に提供及び公表することに合意していない。
・旧条例第7条の事務の目的の明示に違反する又は怠る。
・処分庁は、同期日に4件の開示請求に対して9件の処分を行なったが、決定文書がまったく同一のものがあり、審査請求人にはどの決定番号がどの決定かわからない。開示請求に対する処分は、地方公務員法第30条服務の根本基準、職務の遂行に当たっては、全力を挙げてこれを専念しなければならないが、始めから手抜きであり、職務を怠っていた。
・そしてこのように、本市同意のない個人情報を公開・公表するという条例の条項から逸脱し重大な違反を犯したのである。上記から、処分庁・審議会・市長等は地方公務員法等違反の疑いがある。
・処分庁が審議会に198号の個人情報を提供することを、同6条3項2号の本人は同意していない。そして、提供してよいか同6条4項の審議会に意見を聴いていない。さらに処分庁は、同第6条第5項の審議会に意見を聴かないで収集したときは、速やかに審議会に報告しなければならないが報告していない。そして、処分庁は、審議会に本人が同意していると錯誤させ、処分庁に意見を述べさせていない。
・処分庁は、旧条例第8条、本件に係る事務の届出をしていない。
・審査請求をしていない処分の内容は、旧条例第66条の規定により、別件答申の答申書に公表されることから公開される。すなわち、内部で利用したものと理由記載しておきながら、条例の規定により公表している。まさに条例の保護規定に違反して妨害している。
・旧条例第60条1項、3項、5項等により審議会が判断する、調査する、資料の提出の求めを諮問庁を通じて行うが、理由書には一切記載がない。そうすると、処分庁は、審議会に無断で勝手に、審議会が必要であると理由記載をする。まさに、諮問庁は、審議会を下部組織と見下して、審議会をコントロールし、指導し、指示し、助言しており、行審法の公正な審理に違反するものである。
・実施機関の内部で利用したと理由説明するが、審議会の答申は大阪市ホームページ、マスコミ等に公表される。決して内部の利用にとどまらない。
・旧条例第7条、事務の目的の明示の規定では、処分庁は、旧条例第6条3項収集の制限規定により、本人から直接書面に記録された本人の個人情報(同日大平住戸第198号)を収集しようとするときは、あらかじめ、本人に対し、当該個人情報(同日大平住戸第198号内容)に係る事務の目的(保有個人情報の開示請求及び行政不服審査制度に関する事務の適正な遂行を目的)を明示しなければならない。しかし、条例第8条、処分庁はあらかじめ市長に事務の届出を行っていない。
・行政個人情報法保護法第6章罰則に該当する。開示請求の職務に従事していた職員らは、正当な理由がないのに、個人の秘密に属する事項が記録された法第2条第6項1号に係る個人情報ファイル(その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む。)を提供した。
・旧条例第74条第1項の罰則に該当する。職員らは、正当な理由がないのに、一定の事務の目的(※審査請求に対する弁論する目的)を達成するために特定の保有個人情報(※審査請求していない開示請求ないよう及びその処分内容)を、電子計算機(※戸籍グループパソコン)を用いて検索することができるように体系的に構成した保有個人情報を含む情報の集合物(※開示請求内容及びその処分内容、答申の公表物)であって、個人の秘密に属する事項(開示請求内容及びその処分内容)が記載されたもの(※その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む。つまり、本件審議会の裁決書又は答申書のこと)を公表する目的で第三者に提供したときは罰に処される。
・旧条例第77条第4項の罰則に該当する。職員らが、その職権(※個人情報開示請求について区長の委託権限により処分する職権)を濫用して、専ら、その職務(開示請求について処分する職務)の用以外のように供する目的(※別の審査請求に対する弁明に利用する目的)で、個人の秘密に属する事項(※別の開示請求内容及びその処分内容)が記載された文書、図画又は電磁的記録を収集したときは罰に処される。
・旧条例第78条第5項の罰則に該当する。第59条6項の規定に違反して秘密を漏らした者は、罰に処される。審議会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。(※しかし、別件答申の答申書に記載して漏らしている。)その職を退いた後も同様とする。
(3) 反論書(令和5年9月25日付け審査請求人意見書)における主張
・処分庁、審査庁、審議会の関係者の市長、区長、担当職員らは、職務上、知ることができた秘密を、広く市民に公開して漏らした。
・市長は弁明書で本件決定4の文書が個人情報に該当し、広く市民に公開されていると自白しており、利用停止請求権に該当するものである。
・旧条例第66条は「答申の内容」を公表することとしたものです。市長がいう「法令等に定めがあるとき」とは、審議会が、単に「答申の内容を公表する。」ことを示すだけです。審議の中で本件決定4文書を添付資料として、閲覧し、検証、調査したとしても、市民に公表する答申書の中に記載すべきものではありません。市長は、別件答申をホームページに公表する際に、審議上、明らかに記載する必要・理由があると記載してもいません。
・決定内容、開示請求内容、不存在の理由の文書を答申書に記載して、市民に公表したことは、個人情報保護法上、故意に漏えいしたことになる。
・利用停止不承認決定は、利用停止請求権の侵害です。
・審議会が、行審査法第29条2項に基づき、審議会が指定した弁明書4カ月以内の提出請求に対し、処分庁・審査庁市長は、甲の審査請求から22カ月後に弁明書を甲及び審議会に送付するという非違行為を行なった。まさに、市長が公務員としてその職務・義務を怠ったものです。
・本来なら、審議会は、処分庁及び審査庁へ弁明書提出を催促し、遅延理由の書面提出を請求し、甲に審議手続き遅延説明の書面を送付したうえ、処分庁・審査庁に対して、期限売りに弁明書提出がない場合は、甲の請求事項を認諾したものとみなし、審理終結をして、市長に答申すべきものです。
・どっちみち、個人情報を漏えいした事実は明らかです。ただし、誰が漏えい発覚を遅らせたか、故意に遅らせたかは、大阪市長選挙の事実で明らかになりました。前市長が、現市長が大阪市長になる選挙のために、そして現市長が大阪市長として政党政治のために利用して、弁明書を遅らせたのです。
・弁明書送付遅延の非違行為、審議遅延の非違行為は審議委員失格です。
3 本件審査請求1及び本件審査請求2に共通する主張(令和6年2月25日付け「[大平住174号][大総務e-184号]について意見陳述及び質問申立」における主張)
・第三者に公表された別件答申には、記載の必要のない審査請求人の個人情報が記載され、大阪市のホームページに掲載し公表されています。実施機関は、審議会が調査審議するのに必要だから提供したと弁明しています。しかし、審議会が作成した別件答申で、第三者に公表したことについて一切の弁明がありません。ところが、旧条例66条には、審議会が答申の内容を公表すると規定されています。そして、審議会は、調査審議で知り得た個人情報を全て、全て答申に記載して公表しているのか、その有無すら弁明していません。
・実施機関、審議会委員及び事務局職員らは個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由は、令和2年3月6日最高裁判決で知得していました。「憲法13条は、個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を有するものと解されています。」ところが、公表されない自由について審議会の弁明がありません。審議会は、本件決定4の文書を審査請求しない個人情報について、大阪市ホームページに公表した答申には、不特定の第三者に公表し、閲覧させることが予定されているとの弁明・意見がありません。また、本件決定4の文書が、個人の内面に関わるような秘匿性の高い情報とはいえないとの弁明もありません。また、審査請求人がした本件決定4の審査請求を行わないとする行為は、表現の自由に含まれないとの弁明もありません。審議会及び諮問庁は、審査請求人の審査請求をしない表現の自由を保障していません。そして、公表されない自由を侵害し続けています。
・「憲法16条、何人も、甲(審査請求人)も、平穏に私の個人情報の利用停止を請求する権利を有し、何人も、かかる請願、同請求をしたため、いかなる差別待遇も受けない」そこで、審議会は、今までに、不開示決定等された審査請求及び審査請求されなかった全決定についても、第三者に公表していますか。答えはしていません。つまり、私は、別件答申において差別待遇を受けたのです。審議会は憲法16条に違反しています。また諮問庁市長らも大阪市ホームページに掲載させ続けていることから憲法16条違反の差別を黙認する者らです。
 なお、審査請求人は、本件決定4が不当である旨の主張も行っているが、かかる主張は本件とは無関係であるため、検討しない。

第4 実施機関の主張
1 本件審査請求1
(1) 本件非開示決定に係る情報の取得等の経過について
 本件非開示決定については、審査請求人が審査請求を行っておらず、したがって、当庁から審議会へ諮問を行っていないことは審査請求人が指摘するとおりである。しかしながら、1記載のとおり、審査請求人が、令和元年1115日付けで行った4件の保有個人情報の開示請求のうちの1件の開示請求に対して、当庁が行った4件の処分のうちの1件であり、審査請求人が、これらの処分に対して、審査請求を行ったため、審議会の審議を行うにあたっては、審査請求人が審査請求を行っている範囲を説明し、審議会において審議すべき範囲を明確にする必要があることから、弁明書ないし意見書において本件非開示決定を含む4件すべての処分の概要を説明し、審議会あて提出したものである。
 この点、当庁としては、本件保有個人情報(開示請求及び開示決定)は当初より審査請求があれば審議会に提出する前提で本人より収集したものであり、審査請求の対象にはなっていないが、別件の審査請求に関連する情報として、弁明書等に記載したものである。
(2) 個人情報の収集について
 審査請求人が利用停止を求めている個人情報は、令和元年1115日付けの開示請求及びそれに対する非開示決定である。
 前者については、旧条例第6条に基づき本人より収集したものであり、事務の目的も同第7条第4号に該当し様式等から明らかである。
 後者については、上記開示請求に対し当庁の判断を示したものである。
 これら一連の過程において、不適切な事務処理はない。
(3) 個人情報の提供について
 上記(2)記載の保有個人情報を弁明書及び意見書に記載し、個人情報保護審議会に提出した点については、保有個人情報の内部利用に該当するものである。
 この点、旧条例第10条は、「事務の目的の範囲を超えて保有個人情報を当該実施機関の内部で利用してはならない」旨規定しているが、本件は、事務の目的の範囲内であると考える。
 その理由は、開示請求とそれに対する審査請求は一連のものであり、開示請求に記載されている個人情報については、当然に審査請求においても利用されることが予定されており、これは、開示請求を行う者にとっても明らかであるといえる。
 そして、これは、審査請求が行われていない開示請求についても、審査請求の対象となった開示請求と関連がある限りで成り立つものである。というのも、審査請求の審理にあたっては、当然に全体像を把握しないと適切に判断できないのであり、そうであれば、審査庁としても審議会に対して関連する情報を提供することが必要である。
 本件非開示決定は、その他の審査請求が行われた決定と、同一の開示請求に対してなされた決定であり、関連性が認められるところである。
 したがって、本件保有個人情報を弁明書及び意見書に記載したことは「事務の目的の範囲」であったといえる。
(4) 個人情報の適正な維持管理について
 上述のとおり、本件非開示決定に係る情報については、大阪市公文書管理条例(平成18年大阪市条例第15号)に基づいて定められた保存期間を経過しておらず保有の必要があるものである。
 したがって、本件保有個人情報の保有は、旧条例第13条第3項の規定に違反するものではない。
(5) 小括
 以上のとおり、本件保有個人情報の利用、保有及び提供は、旧条例第36条第1項第1号又は第2号に該当せず、同項の規定により、保有個人情報の利用停止等を求めることができる場合には該当しない。
(6) その他の審査請求人の主張について
 審査請求人は、申立ての趣旨において、「審議会がした判断との理由は誤りがあり、理由不記である」として、理由付記の不備を主張しているところ、その論旨は明確ではないが、利用停止等をしないこととした理由については、令和3年10月4日付け大平住戸第174号の利用停止不承認通知書に記載しているとおりであり、理由不記の不備はない。
 また、これ以外にも審査請求人は、旧条例違反を主張するが、そもそも、これらの規定違反は、旧条例第36条第1項の利用停止請求権の要件とはされていないから、本件決定の適否には影響を与えないが、念のため、反論しておく。
 まず、旧条例第6条第4項及び第5項違反の主張については、(1)のとおり、本件保有個人情報は本人から収集されたものでありその前提を欠くところである 。
 次に、旧条例第8条第1項に基づく個人情報を取り扱う事務の開始届出を怠っている旨の主張については、区役所共通業務として個人情報保護事務の届出を行っている。
 さらに、審査請求人は各種罰則に該当すると主張するが、これまで主張してきたとおり、当庁において旧条例に違反する取り扱いは行っておらず、罰則の適用の余地はない。
2 本件審査請求2
(1)本件非開示決定に係る情報の取得等の経過について
 本件非開示決定については、審査請求人が審査請求を行っておらず、したがって、当庁から審議会への諮問もなされていないことは審査請求人が指摘するとおりである。しかしながら、1記載のとおり、審査請求人が、令和元年1115日付けで行った4件の保有個人情報の開示請求のうちの1件の開示請求に対して、実施機関(大阪市長)が行った4件の処分のうちの1件であり、審査請求人が、これらの処分に対して、審査請求を行ったため、審議会の審議を行うにあたっては、審査請求人が審査請求を行っている範囲を説明し、審議会において審議すべき範囲を明確にする必要があることから、弁明書ないし意見書において本件非開示決定を含む4件すべての処分の概要を説明し、平野区役所から審議会あて提出されたものである。
(2) 個人情報の収集及び利用について
 本件保有個人情報は、上記(1)のとおり、情報公開グループが平野区役所から意見書という形式にて入手したものであり、平野区役所が当該保有個人情報を場合によっては審査請求の資料としても利用する目的で入手していることを前提とすると、現に審議会が審査請求の審議のために利用している限り、旧条例第6条第1項の「事務の目的の達成に必要な範囲内」であることは明らかである。
 そして、本件非開示決定に係る資料には同条第2項に該当する情報は記載されていない。
 仮に附属機関たる審議会が実施機関(大阪市長)以外のものであり、平野区役所から審議会への意見書提出による個人情報の提供が内部利用でないとしても、事務の目的の明示を定めた旧条例第7条第1項の規定については、旧条例第6条第3項に基づき本人から収集した場合に適用されるものであるところ、上述のとおり、同条第3項第3号に基づき本人以外から収集していることから、旧条例第7条第1項は適用されない。
(3) 個人情報の提供について
 別件答申に本件非開示決定に関する内容が記載されていることは事実であり、また、当該記載内容が個人情報に該当し、広く市民に公開されていることから、旧条例第10条第1項の「保有個人情報を当該実施機関以外のものに提供」に該当することは審査請求人主張のとおりである。
 しかし、旧条例第66条において、「審議会は、諮問に対する答申をしたときは、答申書の写しを審査請求人及び参加人に送付するとともに、答申の内容を公表するものとする。」とされていることから、旧条例第10条第1項第1号の「法令等に定めがあるとき」に該当し、同項の例外として許容されるものである。
 したがって、別件答申に本件非開示決定に関する内容を記載したことは、同項に違反しないものであることは明らかである。
(4) 個人情報の適正な維持管理について
 本件非開示決定に係る情報については、大阪市公文書管理条例(平成18年大阪市条例第15号)に基づいて定められた保存期間(訴訟及び不服申立て並びに行政代執行に関するものとして30年)を経過しておらず保有の必要があるものである。
 したがって、本件保有個人情報の保有は、旧条例第13条第3項の規定に違反するものではない。
(5) 小括
 以上のとおり、本件保有個人情報の利用及び保有は、旧条例第36条第1項第1号又は第2号に該当せず、同項の規定により、保有個人情報の利用停止等を求めることができる場合には該当しない。
(6) その他の審査請求人の主張について
 審査請求人は、申立ての趣旨第3項において、「審議会がした判断との理由は誤りがあり、理由不記である」として、理由付記の不備を主張しているところ、その論旨は明確ではないが、利用停止等をしないこととした理由については、令和3年10月4日付け大総務第e-184号の利用停止不承認通知書に記載しているとおりであり、理由不記の不備はない。
 また、これ以外にも審査請求人は、旧条例違反を主張するが、そもそも、これらの規定違反は、旧条例第36条第1項の利用停止請求権の要件とはされていないから、本件決定の適否には影響を与えないが、念のため、反論しておく。
 まず、旧条例第6条第4項及び第5項違反の主張については、(1)のとおり、本件保有個人情報は本人から収集されたものでありその前提を欠くところであり、仮に本人外収集となるとしても、本件非開示決定に関する資料は、旧条例第60条第1項に基づく保有個人情報の提示又は同条第5項に基づき収集されたものであるから、同条第3項第1号の「法令等に定めがあるとき」に該当し、本人以外からの収集が許容され、この場合には同条第4項の審議会への意見聴取及び同条第5項の審議会への報告も不要とされている。
 次に、旧条例第8条第1項に基づく個人情報を取り扱う事務の開始届出を怠っている旨の主張については、個人情報保護審議会事務として、審議会の庶務を行うために、個人情報保護審議会委員、不服申立人、参加人等の個人情報を取り扱う事務を平成7年10月1日から開始する旨を届け出ている。
 さらに、審査請求人は各種罰則に該当すると主張するが、これまで主張してきたとおり、当庁において旧条例に違反する取扱いは行っておらず、罰則の適用の余地はない。

第5 審議会の判断
1 基本的な考え方
 旧条例の基本的な理念は、第1条が定めるように、市民に実施機関が保有する個人情報の開示、訂正及び利用停止を求める具体的な権利を保障し、個人情報の適正な取扱いに関し必要な事項を定めることによって、市民の基本的人権を擁護し、市政の適正かつ円滑な運営を図ることにある。したがって、旧条例の解釈及び運用は、第3条が明記するように、個人情報の開示、訂正及び利用停止を請求する市民の権利を十分に尊重する見地から行わなければならない。
2 争点
 本件各審査請求における争点は、本件各保有個人情報について、実施機関が利用停止を行う義務の有無である。
3 保有個人情報の利用停止請求について
 旧条例第36条第1項は、実施機関における個人情報の適正な取扱いを確保する趣旨から、何人に対しても、実施機関が保有する自己を本人とする保有個人情報の利用の停止、消去又は提供の停止(以下「利用停止」という。)を請求することができるとともに、利用停止請求の要件を定めている。そのうち、同項第1号は、自己に関する個人情報の違法収集、自己に関する保有個人情報の事務の目的の範囲を超えた保有及び利用について、当該保有個人情報の利用停止を請求する権利を保障することを明らかにしたものである。
 自己に関する個人情報の違法収集とは、適正かつ公正な手段による収集の規定(旧条例第6条第1項)、思想、信条その他の個人情報の原則収集禁止の規定(同条第2項)、本人収集の原則の規定(同条第3項)に違反して個人情報を収集している場合や、事務の目的の明示(第7条第1項)を怠って個人情報を収集している場合をいう。
 また、自己に関する保有個人情報の事務の目的の範囲を超えた保有及び利用とは、旧条例第10条第1項が許容する事務の目的の範囲を超えて当該保有個人情報を利用している場合や、旧条例第13条第3項の規定に違反して、事務の目的の達成に必要な範囲を超えて当該保有個人情報を保有している場合をいう。
 さらに、旧条例36条第1項第2号は、旧条例第10条第1項の規定に違反して提供されているときにおいて、当該保有個人情報の提供の停止を求めることができる旨を定めたものである。そして、旧条例第10条第1項の規定に違反して提供されているときとは、同項が許容する限度を超えて、実施機関以外のものに当該保有個人情報を提供している場合をいう。
4 利用停止を行う義務の有無について
(1) 保有個人情報の利用停止義務について
 旧条例第38条は、実施機関は利用停止請求があった場合において、当該利用停止請求に理由があると認めるときは、当該実施機関における個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な限度で、当該利用停止請求に係る保有個人情報の利用停止を行わなければならない旨を規定している。
 「個人情報の適正な取扱いを確保する」とは、旧条例第36条第1項各号に該当する違反状態を是正することをいい、「必要な限度で」とは、利用停止請求に係る保有個人情報について、当該利用等の全部が違反していれば全部を、当該利用等の一部が違反していれば一部の利用停止を行う必要があるものと解される。
(2) 本件各保有情報の利用停止義務の有無について
ア 本件各保有個人情報の利用・提供について
 審査請求人は本件請求において、自らが審査請求していない行政処分の内容という個人情報を審議会のために用いることは、旧条例第10条第1項に反して保有個人情報が事務の目的の範囲を超えて実施機関の内部で利用され、実施機関以外のものへ提供されたものであると主張する。
 審査請求人自らが審査請求をしていない行政処分の内容が審議手続きで扱われたことについて、当該行政処分は審査請求人が行った1つの開示請求に対して実施機関が行った4件の決定のうちの1件であり、他の3件の決定に対して審査請求が出されていたものである。審議会では、審査請求に係る保有個人情報の開示決定等の妥当性について審議するものであるが、1つの開示請求に対して行った決定が複数あるときは、その全ての決定内容を確認しないと、開示請求に対して正しい決定が行われたのか判断できない場合は当然想定されるところであり、その確認すべき内容には審査請求を行っていない決定の内容も当然含まれる。実施機関の説明によると、本件については、審議会の審議を行うにあたっては、審査請求人が審査請求を行っている範囲を説明し、審議会において審議すべき範囲を明確にする必要があることから、弁明書ないし意見書において当該行政処分を含む4件すべての処分の概要を説明し、審議会あて提出したとのことである。かかる実施機関の説明は是認できるところであり、事務の目的の範囲を超えて実施機関の内部で利用されたものとは認められない。
 また、審査請求人は別件答申の答申書が公表されていることから、保有個人情報が実施機関以外のものへ提供されていると主張しており、実施機関もその立場にある。しかし、別件答申の答申書はその記述から特定の個人を識別することはできず、また、別件答申の答申書に関わる当事者でない限り他の情報と照合することで特定の個人を識別することもできないことから、旧条例第2条第2号の個人情報に該当しない。よって、別件答申の答申書の公表が旧条例第10条第1項に反しているのかについては検討を要しない。
 したがって、本件保有個人情報の利用・提供について旧条例第10条第1項に違反しているものとは認められない。
イ 本件各保有個人情報の収集・保有について
 審査請求人は、本件保有個人情報の収集・保有について、実施機関が旧条例第6条第3項及び第7条第1項に違反していると主張している。この点、当審議会は市の附属機関として設置されているところ、決定を行った平野区役所と当審議会は、いずれも市長の下部組織として設置していることから、旧条例における同一の実施機関内部での保有個人情報の利用となる。そのため、当審議会が本件保有個人情報を扱うことは本人以外から個人情報を収集することにはならず、旧条例第6条第3項違反を検討する余地はない。また、開示請求書の内容は、審査請求がなされた際に用いられることは当然のことであることから、旧条例第7条第1項第4号に該当し、個人情報を取扱う事務の目的の明示義務はないものと認められる。
 また、本件各保有個人情報の収集・保有について、実施機関が旧条例第6条第1項及び第2項に違反して本件各保有個人情報を収集したこと及び実施機関が旧条例第13条第3項に違反して本件各保有個人情報を保有していることについて、審査請求人は具体的な主張を行っておらず、当審議会においてもこれらの規定に違反している事情は認められない。
 したがって、実施機関の本件各保有個人情報の収集・保有については、旧条例第6条第1項から第3項まで及び第7条第1項並びに第13条第3項に違反するものとは認められない。
ウ 小括
 以上より、実施機関において、本件各保有個人情報の収集、利用、提供及び保管について、旧条例第第6条第1項から第3項まで及び第7条第1項、第10条第1項並びに第13条第1項に違反しているとは認められないから、審査請求人の利用停止請求には理由がなく、実施機関は、旧条例第38条の利用停止義務を負わないものと認められる。
エ 審査請求人のその他の主張について
 審査請求人は、上記のほか、実施機関が憲法、法律及び旧条例に違反している旨を様々指摘するものの、いずれも旧条例第36条第1項各号に関わる違反を指摘するものではなく、本件各決定の妥当性を左右するものではないため検討しない。
5 結論
 以上により、第1記載のとおり、判断する。
6 付言
 審査請求人は、令和6年2月25日付け「[大平住174号][大総務e-184号]について意見陳述及び質問申立」において、審査請求人が本件審査請求1を行って実施機関が弁明書を提出するために長期間を要したことを指摘している。この点について、令和3年1020日付けの本件審査請求1に対して、弁明書が提出されたのは、674日後の令和5年8月25日であることが認められ、弁明書を提出するまでに長期間を要した理由については、審査請求人から背景事情が共通する審査請求がなされたため、事務局においてその進捗状況を踏まえたスケジュール管理を行っていたことが原因であるとの説明があった。確かに、同一の者から関連性のある多数の審査請求が連続してなされた場合に弁明書の提出に相当の期間が必要となることは理解できるが、本件においては、弁明書の提出までに1年10か月以上もの期間を要しており、弁明書の提出が遅延したものと評価せざるを得ない。
 本件の審議経過に照らせば、結果として弁明書の提出の遅延が審議の遅延につながったものとはいえないが、本来、行政不服審査法第1条の「この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定める」との規定に照らせば、かかる書面提出の遅延はあってはならないことは言うまでもない。今後は、事務局及び実施機関においては、弁明書を含む審査請求に係る各種書類の提出にあたっては、行政不服審査制度の趣旨を踏まえ、迅速な審理が行えるよう適切にスケジュール管理を行うよう強く要請する。

 (答申に関与した委員の氏名)
 委員 金井 美智子、委員 岡澤 成彦、委員 塚田 哲之、委員 野田 崇

 (参考)調査審議の経過 令和3年度諮問受理第5962
 略

答申第205号

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