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答申第207号

2019年9月9日

ページ番号:622724

大個審答申第207
令和6年3月29

大阪市長 横山 英幸 様

大阪市個人情報保護審議会
会長 金井 美智子

答申書

 大阪市個人情報の保護に関する法律の施行等に関する条例(令和5年大阪市条例第5号)附則第3項の規定によりなお従前の例によることとされた同条例による改正前の大阪市個人情報保護条例(平成7年大阪市条例第11号。以下「旧条例」という。)第45条に基づき、大阪市長(以下「実施機関」という。)から別表1項番1から3までの(い)欄に記載の諮問がありました件について、一括して次のとおり答申いたします。

第1 審議会の結論
 実施機関が行った別表1項番1の(お)欄に記載の決定(以下「本件決定1」という。)を取り消し、別表2に掲げる情報を対象情報として特定した上で、改めて開示決定等を行うべきである。
 実施機関が行った別表1項番2の(お)欄に記載の決定(以下「本件決定2」という。)で開示しないこととした部分のうち、別表3に掲げる部分を非開示とした部分を取り消し、開示すべきであり、その余は、妥当である。
 実施機関が行った別表1項番3の(お)欄に記載の決定(以下「本件決定3」といい、本件決定1から本件決定3までをあわせて「本件各決定」という。)に対する審査請求は、不適法なものであるので、実施機関は、却下すべきである。

第2 審査請求に至る経過
1 保有個人情報の開示請求
 審査請求人は、別表1項番1から3までの(う)欄に記載の年月日に、旧条例第17条第1項に基づき、実施機関に対し、別表1項番1から3までの(え)欄に記載の旨の開示請求(以下項番順に「本件請求1」から「本件請求3」までといい、これらを総称して「本件各請求」という。)を行った
2 本件決定
 実施機関は、本件請求1については、保有していない理由を別表1項番1の(き)欄に記載のとおり付して旧条例第23条第2項に基づき同項の(お)欄に記載の不存在による非開示決定を行い、本件請求2及び本件請求3については、別表1項番2及び3の(か)欄に記載の保有個人情報を特定した上で、開示しない部分及び開示しない理由を別表1項番2及び3の(き)欄に記載のとおり付して旧条例第23条第1項に基づき同項の(お)欄に記載の部分開示決定を行った。
 なお、本件決定3については、審査請求人が平成31年1月16日付けで行った開示請求に対して実施機関が同月30日付け大東淀保福第251号により部分開示決定(以下「先行処分」という。)を行い、これに対して、審査請求人が同年4月26日付けで審査請求(以下「先行審査請求」という。)を行い、これに対して、令和3年4月27日付けで当審議会において先行処分において非開示とした部分の一部を開示すべきであるとの答申(以下「先行答申」という。)を行い、先行答申を受けた裁決により、先行処分を取り消し、改めて部分開示決定を行ったものである。
3 審査請求
 審査請求人は、別表1項番1から3までの(く)欄に記載の年月日に、本件各決定を不服として、実施機関に対して、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき審査請求(以下本件決定1に対する審査請求を「本件審査請求1」、本件決定2に対する審査請求を「本件審査請求2」、本件決定3に対する審査請求を「本件審査請求3」といい、本件審査請求1から本件審査請求3までをあわせて「本件各審査請求」という。)を行った。

第3 審査請求人の主張
 審査請求人の主張は、おおむね別表1項番1から項番3までの(け)欄に記載のとおりである。

第4 実施機関の主張
 実施機関の主張は、おおむね別表1項番1から項番3までの(こ)欄に記載のとおりである。

第5 審議会の判断
1 基本的な考え方
 旧条例の基本的な理念は、第1条が定めるように、市民に実施機関が保有する個人情報の開示、訂正及び利用停止を求める具体的な権利を保障し、個人情報の適正な取扱いに関し必要な事項を定めることによって、市民の基本的人権を擁護し、市政の適正かつ円滑な運営を図ることにある。したがって、旧条例の解釈及び運用は、第3条が明記するように、個人情報の開示、訂正及び利用停止を請求する市民の権利を十分に尊重する見地から行わなければならない。
 しかしながら、旧条例は、すべての保有個人情報の開示を義務づけているわけではなく、第19条本文において、開示請求に係る保有個人情報に同条各号のいずれかに該当する情報が含まれている場合は、実施機関の開示義務を免除している。もちろん、第19条各号が定める非開示情報のいずれかに該当するか否かの具体的判断に当たっては、当該各号の定めの趣旨を十分に考慮するとともに、当該保有個人情報の取扱いの経過や収集目的などをも勘案しつつ、旧条例の上記理念に照らして市民の権利を十分に尊重する見地から、厳正になされなければならないことはいうまでもない。
2 争点
(1) 本件審査請求1について
 実施機関が本件請求1に係る保有個人情報が存在しないとして本件決定1を行ったのに対して、審査請求人は本件請求1に係る保有個人情報が存在するはずであると主張している。よって、本件審査請求1の争点は、本件請求1に係る保有個人情報の存否である。
(2) 本件審査請求2について
 実施機関が、別表1項番2の(き)欄の開示しないこととした部分の(1)から(4)までに示した部分(以下順番に「本件非開示分1-1」から「本件非開示部分1-4」までといい、これらを総称して、「本件各非開示部分1」という。)のうち、本件非開示部分1―1については旧条例第19条第2号を、本件非開示部分1-2から本件非開示部分1-4までについては第6号を理由に非開示としたのに対し、審査請求人は、本件各非開示部分1は条例第19条第2号又は第6号には該当しないため開示すべきであるとして争っている。よって、本件審査請求2の争点は、本件各非開示部分1の旧条例第19条第2号又は第6号該当性である。
(3) 本件審査請求3について
 実施機関が、別表1項番3の(き)欄の開示しないこととした部分に示した部分(以下「本件各非開示部分2」という。)を、旧条例第19条第6号を理由に非開示としたのに対し、審査請求人は、旧条例第19条第6号には該当しないため開示すべきであるとして争っている。よって、本件審査請求3の争点は、本件各非開示部分2の旧条例第19条第6号該当性である。
 また、実施機関は、本件審査請求3において、審査請求人が既に裁決を経た先行審査請求と同一の理由により、本件決定3の取消しを求めているものであるから、本件審査請求は認められない旨主張する。よって、本件審査請求3がいわゆる一事不再理によって不適法となるかも争点となる。
3 本件審査請求3の適法性について
 本件審査請求3については、上記2(3)記載のとおり、本件決定3の妥当性に係る本件各非開示部分2の旧条例第19条第6号該当性のほか、本件審査請求3の適法性についても争点となることから、まず、この点を検討する。
 実施機関は、本件決定3においては、先行審査請求において、開示すべきであるとされた部分のすべてを開示し、非開示が妥当とされた部分のすべてを非開示としたものであって、審査請求人は、本件審査請求3において、先行審査請求において非開示が妥当であるとされた部分について重ねて開示を求めているが、その理由は先行審査請求における主張を繰り返しているに過ぎず、新たな主張は行っていないから、既に裁決を経た先行審査請求と同一の理由により、本件決定3の取消しを求める本件審査請求は認められない旨主張する。
 そして、当審議会において、本件決定3で非開示とされた部分を見分したところ、先行答申において、非開示が妥当であるとした部分と一致しており、先行答申において開示すべきであるとした部分は本件決定3ではすべて開示されていることが確認できた。
 また、本件審査請求3の審査請求人の主張を先行審査請求における審査請求人の主張と比較しても、新たな主張は見られない。
 審査請求においてもいわゆる一事不再理の原則が適用されるというべきところ、本件審査請求3は、先行審査請求と同一の判断対象につき重ねて判断を求めるものであって、不適法な審査請求であるといわざるを得ない。
 なお、本件審査請求3が不適法である以上、本件決定3の妥当性については検討しない。
4 本件各決定の妥当性について
(1) 本件決定1の妥当性について
 本件請求1は、実施機関の東淀川保健福祉センターが審査請求人の母に対して高齢者虐待対応マニュアル(以下「本件マニュアル」という。)に基づき対応するために作成した公文書のうち、審査請求人に関する全記録の開示を求めるものである。
 この点、実施機関からは、平成25年度当時、請求書に例示されている文書のうち、「地域ケア会議」に係る記録及び利用者基本情報については、「老人福祉事務関係書類(区)」の簿冊に編綴し、「事例検証会議」に係る記録については、「総合相談記録(区)」に編綴していたものであり、また、請求書に例示されている文書のうち、「地域ケア会議」及び「事例検証会議」に係る記録を除く帳票は、本件マニュアルに記載されているとの説明があった。
 そこで、当審議会において、平成25年当時の本件マニュアルを見分したところ、本件マニュアル上で作成することとなっている文書及び当該文書を綴る簿冊について、以下のとおりの記載があることが確認できた。
ア 「総合相談記録票」(様式01)、「利用者基本情報」(様式02)【本件マニュアルp.16
 高齢者虐待にかかる通報・届出を受理した際に作成するもの
 簿冊名称:権利擁護関係書類(局区) 保管期間:5年
イ 「高齢者虐待受理簿」(様式03)【本件マニュアルp.16
 高齢者虐待にかかる相談・通報・届出を受理した際に作成するもの
 簿冊:指定なし
ウ 「事実確認チェックシート」(様式04)、「高齢者虐待リスクアセスメント・シート」(様式05)、「高齢者虐待サービス利用調整会記録議兼支援計画書」(様式06)【本件マニュアルp.22,25
 高齢者虐待かどうかを事実確認し作成するもの
 簿冊名称:権利擁護関係書類(局区) 保管期間:5年
エ 「要援護高齢者緊急一時保護依頼書」(様式07)【本件マニュアルp.31,32
 高齢者虐待により緊急一時保護を要するときに作成するもの
 簿冊名称:権利擁護関係書類(局区) 保管期間:5年
オ 「高齢者虐待事案に係る援助依頼書」(様式08)【本件マニュアルp.34
 高齢者虐待事案にかかる立入調査を行うときに作成するもの
 簿冊名称:権利擁護関係書類(局区) 保管期間:5年
カ 「高齢者虐待対応にかかる専門相談依頼書」(様式10)、「高齢者虐待対応にかかる専門相談報告書」(様式11)【本件マニュアルp.43
 虐待事案の個別事例への専門相談(大阪社会福祉士会及び大阪弁護士会と委託契約)を利用する際に作成するもの
 簿冊:指定なし
キ 「虐待発生要因確認票」(様式12)【本件マニュアルp.40
 サービス利用調整会議で対応計画を策定する参考にするため作成するもの
 簿冊:指定なし
 そして、事務局をして実施機関に確認させたところ、本件マニュアルに記載された上記ア~キの書類のうち、利用者基本情報(上記ア)については老人福祉事務関係書類(区)に、総合相談記録票(上記ア)、高齢者虐待受理簿(上記イ)、事実確認チェックシート(上記ウ)、高齢者虐待リスクアセスメント・シート(上記ウ)、高齢者虐待サービス利用調整会議記録兼支援計画書(上記ウ)、高齢者虐待対応にかかる専門相談依頼書(上記カ)、高齢者虐待対応にかかる専門相談報告書(上記カ)、虐待発生要因確認票(上記キ)については総合相談記録(区)簿冊に綴じる取扱いであったとのことであった。
 当審議会において、文書分類表により「老人福祉事務関係書類(区)」及び「総合相談記録(区)」の保管期間がいずれも5年とされていること、平成31年度(令和元年度)の廃棄簿冊目録により平成25年度分のこれらの簿冊については保管期間の5年を経過した後の平成31年度(令和元年度)に廃棄されたことを確認した。
 したがって、これらの文書については、本件マニュアルで定められた簿冊とは別の簿冊に編綴されていた事実は認められるものの、保管期間については本件マニュアルどおり5年間保管された後、廃棄されたとのことであり、この点について、実施機関の説明が不自然・不合理であるとまではいえず、その他、これらの文書を廃棄しているとの実施機関の主張を覆すに足りる事実は認められなかったものであるから、これらの文書は本件請求1の時点では存在していなかったものと認められる。
 他方、実施機関から、平成25年度に作成された審査請求人の母に係る要援護高齢者緊急一時保護依頼書(上記エ)については、平成25年度当時、「総合相談記録(区)」に編綴していたが、審査請求人から平成30年度に当該文書に関連した開示請求があったため、当該文書を平成30年度の簿冊に移動し、編綴したため、現時点でも保管されているとの説明があった。
 そして、当該文書を本件請求1の対象としなかった理由については、審査請求人は、本件マニュアルに基づき対応するために作成した記録の例として、地域ケア会議、事例検証会議、総合相談記録票、利用者基本情報、高齢者虐待受理簿、事実確認チェックシート、高齢者虐待リスクアセスメント・シート、サービス利用調整会議記録件支援計画書、虐待発生要因確認票と、文書の具体的名称を挙げて開示請求を行っており、これらの文書は、高齢者の基本的な情報を記載し、リスク等を検討するために作成される文書及び高齢者虐待対応のうちの虐待かどうかの判断、緊急性の判断、支援方針等の検討のために作成される文書であるため、本件請求1においては、虐待事案についての会議や検討段階に作成される文書を求めていると理解し、緊急一時保護・やむを得ない措置等、実際の対応にあたって作成した文書は対象外と判断したとのことであった。
 この点、本件請求1に係る開示請求書の記載内容から本件請求1の対象文書を高齢者虐待対応のうちの初動の段階にあたる事務で作成される文書に限定するといった趣旨は読み取ることができない。また、たしかに要援護高齢者緊急一時保護依頼書は、本件請求1の開示請求書に記載された例示には含まれていないが、当該例示部分は、「高齢者虐待対応マニュアルに基づき対応するために作成した書面または電磁的記録」の例示として記載されており、その末尾には「などの一切の記録」と記載されていることからすると、審査請求人が例示した文書に限定して開示を求めるものであると解することはできず、むしろ、本件マニュアルに基づき作成されたすべての記録の開示を求めているものと解するほうが自然である。
 そして、当該文書は、本件マニュアルにおいて作成すべきことが明示されており、本件請求1があった時点で実施機関において現に保管されていたものであるから、実施機関は、本件請求1に対して、当該文書を対象情報として特定すべきであった。
(2) 本件決定2の妥当性について
ア 旧条例第19条第2号の基本的な考え方について
 旧条例第19条第2号本文は、「開示請求者以外の個人に関する情報…であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により開示請求者以外の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は開示請求者以外の特定の個人を識別することはできないが、開示することにより、なお開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの。」は開示しないものと規定しているが、同号ただし書では、これらの情報であっても、「ア 法令等の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報、イ 人の生命、身体、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報、ウ 当該個人が…公務員等である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分」については、開示しなければならない旨規定している。
イ 旧条例第19条第6号の基本的な考え方について
 旧条例第19条第6号は、本市の機関又は国、独立行政法人等、他の地方公共団体若しくは地方独立行政法人が行う事務又は事業の目的を達成し、その公正、円滑な執行を確保するため、「開示することにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」は開示しないことができると規定している。
 ここでいう「当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」とは、事務又は事業に関する情報を開示することによる利益と支障を比較衡量した上で、開示することの必要性を考慮しても、なお、当該事務又は事業の適正な遂行に及ぼす支障が看過し得ない程度のものであることが必要である。
 したがって、「支障を及ぼすおそれ」は、抽象的な可能性では足りず、相当の蓋然性が認められなければならないと解される。
ウ 本件各非開示部分の旧条例第19条第2号又は第6号該当性について
(ア) 本件非開示部分1-1について
 当審議会において本件非開示部分1-1を見分したところ、審査請求人以外の特定の個人の介護保険番号が記載されていることが確認できた。
 したがって、本件非開示部分1-1は、審査請求人以外の個人に関する情報であって、審査請求人以外の特定の個人を識別することができることから、旧条例第19条第2号本文に該当する。
 そして、審査請求人は、当該介護保険番号は審査請求人の母に付番された番号であり、審査請求人がこれを了知しているため、同号ただし書アに該当すると主張するが、個人に付番された介護保険番号を親族が知り得るとの法令上の根拠や慣行は認められないから、旧条例第19条第2号ただし書アに該当せず、また、その性質上イ又はウにも該当しない。
(イ) 本件非開示部分1-2について
 実施機関によれば、本件非開示部分1-2のうち、「業務」欄については、業務内容を表す記載、「分類」欄については、業務の緊急性等を表す記載がなされるとのことである。そして、事務局職員をして確認させたところ、システム上、「業務」欄には、「資格」、「賦課」、「収納」、「認定」、「給付」、「給付制限」、「滞納整理」、「福祉局」、「その他」のいずれかを入力し、「分類」欄には、「その他(分類なし)」、「要注意(その他)」、「要注意(DV支援)」、「要注意(DV支援・配偶者暴力防止法)」、「要注意(DV支援・ストーカー規制法)」、「要注意(DV支援・児童虐待防止法)」、「来庁記録」、「連絡記録」、「郵送物記録」、「申請書不備」、「認定調査督促」、「意見書作成督促」のいずれかを入力する仕様となっていることが確認できた。
 かかる「業務」及び「分類」の記載については、職員の所見や対応方針に密接に関連するものであり、開示することによりその内容を類推することが可能であることから、職員の所見等の情報に属するものであるため、その情報を開示することで、今後の円滑な情報共有が妨げられる可能性があり、本市の介護保険事業の適正かつ円滑な遂行について支障をきたすおそれがあるものと認められるから、これらの部分は、旧条例第19条第6号に該当する。
 他方、実施機関は、本件非開示部分1-2のうち、帳票IDは当該帳票にシステム上付番されたIDであり、帳票IDはシステムの内部に関する情報であることから開示することによりシステムの適正な運営に支障が生じるおそれがある旨主張する。確かに、帳票IDは、システム内部情報ではあるが、これを開示することにより、直ちにシステムに支障が生じるものとは考え難いところ、実施機関からは、開示することにシステム運営にどのような支障が生じるかについて具体的な主張はない。したがって、これを公開することにより、実施機関の介護保険事業の適正な遂行について支障が生じるものとは認められないから、帳票IDは旧条例第19条第6号には該当しない。
(ウ) 本件非開示部分1-3について
 当審議会において見分したところ、№003の項の2行目~4行目及び№007の項の2行目~3行目において非開示とされている部分については、開示請求者以外の関係機関等の第三者から提供された情報が記載されていることが確認できた。
 そして、№003の項において非開示とされている部分については、その内容を踏まえると、これを開示することが前提となった場合、関係機関等が都度の情報伝達等を躊躇し、結果として事務に必要な情報が提供されなくなる可能性があることから、これを開示することにより実施機関の介護保険事業の適正な遂行について支障をきたすおそれがあると認められるから、これらの部分は、旧条例第19条第6号に該当する。
 しかし、№007の項において非開示とされている部分については、開示請求者以外の関係機関等の第三者から提供された情報ではあるが、その内容は事務的な連絡事項にすぎず、これを開示するとしても、関係機関等が都度の情報伝達等を躊躇し、結果として事務に必要な情報が提供されなくなる可能性があるとは認められないから、当該部分は旧条例第19条第6号には該当しない。
 そして、№007の項において非開示とされている部分のうち、2行目21字目~34字目及び43字目~46字目には、審査請求人以外の特定の個人を識別することができる情報が記載されているから、当該部分は旧条例第19条第2号に該当し、その性質上、同号ただし書ア~ウにも該当しないから、当該部分を非開示としたことは結果として妥当である。
 したがって、№007の項において非開示とされている部分のうち、2行目21字目~34字目及び43字目~46字目を除く部分は開示すべきである。
(エ) 本件非開示部分1-4について
 当審議会において見分したところ、№004及び№005の記事本文において非開示とされている部分並びに№6の記事本文において非開示とされている部分のうち別表3項番3に掲げる部分を除く部分(2頁目№006の項の2行目40字目~43字目)については、担当者の所見又は実施機関の方針が記載されていることが確認できた。そして、職員の所見等の情報を開示することが前提となった場合、率直な所見を記載することができなくなり、連絡事項の共有が十分になされずに実施機関の介護保険事業の適正な遂行について支障をきたすおそれがあると認められるから、当該部分は旧条例第19条第6号に該当する。
5 結論
 したがって、第1記載のとおり判断する。

 (答申に関与した委員の氏名)
 委員 金井 美智子、委員 岡澤 成彦、委員 塚田 哲之、委員 野田 崇

別表1
別紙のとおり

別表2

別表3

 (参考)調査審議の経過 令和3年度諮問受理第69号・第70号・第73
 略

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