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答申第215号

2024年10月30日

ページ番号:645279

大個審答申第215
令和7年1月30

大阪市長 横山 英幸 様

大阪市個人情報保護審議会
会長 岡澤 成彦

答申書

 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「法」という。)第105条第3項において準用する同法第105条第1項に基づき、実施機関から令和5年1130日付け大平生第836号及び同日付け大福祉第1980号により諮問のありました件について、次のとおり一括して答申いたします。

第1 審議会の結論
 
実施機関が令和5年7月7日付け大平生第324号により行った全部不開示決定(以下「本件決定1」という。)及び同月31日付け大福祉第1082号により行った全部不開示決定(以下「本件決定2」という。)は、いずれも妥当である。

第2 審査請求に至る経過
1 本件決定1に係る経過
(1) 本件決定1に係る開示請求(以下「本件請求1」という。)
 審査請求人は、令和5年6月23日、法第77条第1項の規定に基づき、実施機関に対し、保有個人情報を特定するに足りる事項として「R3.2.17 移送費見積り2社(平野区保護課A氏) R3.3.20 移送費見積り3社 社協より平野区第4保護課に持参3枚 追加見積り再提出2枚 計7枚」と表示して保有個人情報の開示請求を行った。
(2) 本件決定1
 実施機関は、本件請求1に係る保有個人情報(以下「本件情報1」という。)を保有していない理由を「上記請求に係る見積書を受領した事実はないことから、当該保有個人情報をそもそも作成または取得しておらず、実際に存在しないため」として、本件決定1を行った。
2 本件決定2に係る経過
(1) 本件決定2に係る開示請求(以下「本件請求2」という。)
 審査請求人は、令和5年7月18日、法第77条第1項の規定に基づき、実施機関である当庁に対し、保有個人情報を特定するに足りる事項として「①私の件に関して代理人と代理人B氏の通話と関係職員に引きつぐ約束で7/18迄無回答の理由と福祉局 保護課Cがやりとりした記録一切(5月~7/18まで)」と表示して保有個人情報の開示請求を行った。
(2) 本件決定2
 実施機関は、本件請求2に係る保有個人情報(以下「本件情報2」という。)を保有していない理由を「福祉局において、開示請求書記載の「私の件に関して代理人と代理人B氏の通話と関係職員に引きつぐ約束で7/18迄無回答の理由と福祉局 保護課 Cがやりとりした記録一切(5月~7/18まで)」に合致する文書は確認できないため、当該保有個人情報をそもそも作成又は取得しておらず、実際に存在しないため。」として、本件決定2を行った。
3 審査請求
 審査請求人は、令和5年1031日に本件決定1及び本件決定2(以下、これらを総称して「本件各決定」という。)を不服として、実施機関に対して、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づきそれぞれ審査請求(以下「本件各審査請求」という。)を行った。

第3 審査請求人の主張
 
審査請求人の主張は、おおむね次のとおりである。
1 本件決定1に対する審査請求(以下「本件審査請求1」という。)について
(1) 審査請求の趣旨
 全部開示を求める。
(2) 審査請求の理由
 初回自宅訪問で令和2年6月に他府県へ移送費が定まりました。令和5年3月訴状が届かないので調べたら平野区kw3名がドアポストをさぐっていました。令和5年7月判決が代理人宅へ届き平野区担当kw、総務課D(区長秘書宛に府庁職員が開示請求手紙を書き(令和5年8月7日付)上記職員
2 本件決定2に対する審査請求(以下「本件審査請求2」という。)について
(1) 審査請求の趣旨
 全部開示を求める。 
(2) 審査請求の理由
 別紙(平野区社協担当E氏が平野区KW共有)ケイサツ通報記録開示⇒大阪市開示福祉局R2年~R4年担当者名 記載書類有

第4 実施機関の主張
 
実施機関の主張は、おおむね次のとおりである。
1 本件審査請求1について
(1) 本件決定1の理由
 本件請求1は令和3年2月17日付け、及び令和3年3月20日付け移送費見積り書の開示を請求するものであるが、同日付けの移送費見積り書を実施機関は実際に保有していないことから本件決定を行ったものである。
 なお、実施機関は令和4年3月9日付け移送費見積り書を保有していることから、開示請求内容を確認し、必要に応じて補正を行おうとしたが、開示請求書に電話番号はなく、また、別件で度々家庭訪問や手紙により接触を試みているもののかなわない状態が続いており、やむなく本件決定1を行ったものである。
(2) 審査請求人の主張 について
 本件審査請求1の理由について、第3、1、(2)記載のとおりであり、その主張内容は不明であるが、上述のとおり、実施機関で保有する記録において合致するものはないため、本件情報1をそもそも作成又は取得しておらず、実際に存在しない。
2 本件審査請求2について
(1) 本件決定2の理由
 実施機関では生活保護法(昭和25年5月4日法律第144号)第38条に規定する救護施設について、同法第43条に基づき、所管する保護施設の運営について必要な指導をしなければならないため、施設入所者等からの苦情相談を受け付けする場合がある。その際は、関係する施設名やどのような相談内容なのか記録をとっているが、相談者が匿名の場合がある。
 本件請求2にある「私(審査請求人)の件」について、本件請求2の対象期間(令和5年5月~7月18日まで)に実施機関にあった相談対応の記録から探索したところ、それ以前に審査請求人が行った相談内容と一部が一致している記録が見つかったものの、相談者が匿名であり、かつ相談内容においても相談対象者が匿名であり、また、「代理人」や「関係職員に引きつぐ約束」については記載されていないことから、実施機関で保有する記録において請求内容と合致する記録はなく、請求人が求める記録が特定できないため、当該保有個人情報をそもそも作成又は取得しておらず、実際に存在しない。
 なお、相談対応記録については、審査請求人に係るものと確認できれば情報提供することが可能であるため、本件請求2の時点及び本件審査請求2の後に請求人と連絡を取ったが、本件請求2に関する話ができず、特定に至らなかったところである。
(2) 審査請求人の主張について
 本件審査請求2の理由について、第3、2、(2)記載のとおりであるものの、別紙も存在せず内容が不明であるが、上述のとおり、実施機関で保有する記録において合致する記録はなく、請求人が求める記録が特定できないため、当該保有個人情報をそもそも作成又は取得しておらず、実際に存在しない。

第5 審議会の判断
1 基本的な考え方
 法第3条は、個人情報がプライバシーを含む個人の人格と密接な関連を有するものであり、個人が「個人として尊重される」ことを定めた憲法第13条の下、慎重に取り扱われるべきことを示すとともに、個人情報を取り扱う者は、その目的や態様を問わず、このような個人情報の性格と重要性を十分認識し、その適正な取扱いを図らなければならないとの基本理念を示しており、本市は、かかる基本理念を十分に踏まえて個人情報の保護に取り組む必要がある。
 そして、法は、何人も自己を本人とする保有個人情報について、開示(法第76条第1項)、訂正(法第90条第1項)及び利用停止(法第98条第1項)を請求することができることを規定するとともに、これらの請求を受けた行政庁が、一定の場合に開示(法第78条第1項)、訂正(法第92条)又は利用停止(法第100条)をすべき義務を負っていることを規定しているところである。
 したがって、当審議会において、法の定める個人情報の開示、訂正、利用停止の各請求に対する処分の当否を審議するにあたっては、上記の法の理念を踏まえ、個人の人格と密接な関連を有するものであることに配慮し、個人情報の開示、訂正及び利用停止を請求する市民の権利を十分に尊重する見地から行うこととする。
2 争点
 実施機関は、本件情報1及び本件情報2(以下、これらを総称して「本件各情報」という。)が存在しないとして本件各決定を行ったのに対して、審査請求人は本件各情報が存在するはずだと主張し、本件各情報の開示を求めて争っている。
 したがって、本件各審査請求の争点は、本件各情報の存否である。
3 本件各情報の存否について
(1) 本件情報1の存否について
 実施機関は、本件請求1において審査請求人が開示を求める令和3年2月17日付け及び令和3年3月20日付け移送費見積り書を実際に保有していないことから本件決定1を行ったものである旨主張する。
 この点、本件請求1の記載から、審査請求人は、生活保護法に基づく移送費の支給に関し、審査請求人が提出した令和3年2月17日付け及び令和3年3月20日付けの見積書の開示を求めているものと解される。そこで、当審議会において、事務局職員をして実施機関の平野区役所が保有する審査請求人に係る生活保護に関する記録を見分させたところ、これらの日付の可能性のある見積書について、平野区役所が審査請求人から受領した見積書を城東区役所に送付した旨の記録はあったが、当該見積書は保管されていないことが確認できた。
 そして、審査請求人は、本件情報1が存在するとの具体的な主張や資料を提出せず、その他、当審議会において、実施機関の主張を覆すに足る事実も確認できなかったから、実施機関の主張に不自然、不合理な点はないと認められる。
(2) 本件情報2の存否について
 実施機関は、本件請求2において実施機関の福祉局が保有する相談等の対応記録について、審査請求人が開示を求める期間である令和5年5月から7月18日まで(以下「対象期間」という。)の部分を探索したところ、相談者は匿名であるものの、記載内容が対象期間の前に審査請求人が行った相談内容と一部が一致していることから、審査請求人からの相談に係る対応記録と推認される記録は見つかったものの、当該記録には、本件請求2の開示請求書に記載されている「代理人」や「関係職員に引きつぐ約束」についての記載がなかったことから、当該記録を本件請求2の対象情報として特定しなかったとのことである。
 この点、当審議会において、事務局職員をして実施機関の福祉局が保有する対象期間における相談等の対応記録を見分させたところ、実施機関が主張する審査請求人からの相談に係る対応記録と推認される記録が存在すること、当該記録には「代理人」や「関係職員に引きつぐ約束」についての記載がなかったこと、さらに当該記録以外には、対象期間において審査請求人に係る相談対応の記録(審査請求人からの相談対応の記録と推認できるものを含む。)が存在しないことが確認できた。
 したがって、当該記録については、その記載内容からは、審査請求人からの相談に係る記録であると推認されるにとどまり、審査請求人からの相談に係る記録であると断定することはできないうえ、その内容を踏まえると、本件請求2の対象情報であるとは認められない。
 そして、審査請求人は、本件情報2が存在するとの具体的な主張や資料を提出せず、その他、当審議会において、実施機関の主張を覆すに足る事実も確認できなかったから、実施機関の主張に不自然、不合理な点はないと認められる。
4 結論
 以上により、第1記載のとおり、判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
委員 塚田 哲之、委員 林 晃大、委員 堀田 善之、委員 矢口 智春 

(参考)調査審議の経過 令和5年度諮問受理第32・33

答申第215号

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