ページの先頭です

答申第222号

2025年2月5日

ページ番号:649974

大個審答申第222
令和7年3月27

大阪市長 横山 英幸 様

大阪市個人情報保護審議会
会長 岡澤 成彦

答申書

 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「法」という。)第105条第3項において準用する同条第1項に基づき、実施機関から令和5年1016日付け大天保生第1369号により諮問のありました件について、次のとおり答申いたします。

第1 審議会の結論
 実施機関が令和5年9月15日付け大天保生第1350号により行った全部開示決定(以下「本件決定」という。)は、妥当である。

第2 審査請求に至る経過
1 開示請求
 審査請求人は、令和5年9月1日、法第77条第1項の規定に基づき、実施機関に対し、保有個人情報を特定するに足りる事項として「2020年~2022年にかけて私が、私と私の家族のAの転居先を探して訪れた不動産屋(大阪市内と世田谷区内)と天王寺区役所職員とのやりとりの記録(天王寺区保有) 不動産業者はB含む複数 Cの付く名のD駅の西の不動産業者(都島区にも店舗がある)」と表示して保有個人情報の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
2 本件決定
 実施機関は、本件請求に係る保有個人情報(以下「本件情報」という。)のうち「令和3年7月19日に株式会社Fから提出されたご契約金明細書の写し、請求人のケース記録票(令和3年7月30日付け)」について、その全部を開示する本件決定を行った。
 なお、第4、3記載のとおり、実施機関は本件決定と同日付けで、本件情報のうち一部に不開示情報を含む保有個人情報について部分開示を行う決定(以下「別件部分開示決定」という。)を行っているが、審査請求は提起されていない。
3 審査請求
 審査請求人は、令和5年9月29日に本件決定を不服として、実施機関に対して、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。

第3 審査請求人の主張
 審査請求人の主張は、おおむね次のとおりである。
 本件決定の取り消しを求める。
 本来、受給者であり賃貸借契約者である私(審査請求人)が区役所の窓口へ持参するものであるのに別の、しかも他人がどのような経緯であろうとも「提出」とは規範を逸脱しているし、契約した物件の仲介は上記通知にあるFでもなく7月19日は契約もしていないし開示を請求した情報とは全く別情報を開示決定しているため。
 参考までに実際に契約した物件の仲介業者Gの案内等担当のH氏より天王寺郵便局前に停車したGの所有する「車内」にて端数の釣り銭といっしょに渡された「御預り証」を添付する。

第4 実施機関の主張
 
実施機関の主張は、おおむね次のとおりである。
1 保有個人情報の提出方法について
 審査請求人は審査請求書において、「本来、受給者であり賃貸借契約者である私(審査請求人)が区役所の窓口に持参するものであるのに別の、しかも他人がどのような経緯であろうとも『提出』とは規範を逸脱している」と主張するが、生活保護の実施機関は、生活保護法(昭和25年法律第144号。)第29条に基づき、被保護者の関係人に、当該被保護者の住所や資産、収入の状況、支出の状況等について報告を求めることができることから、審査請求人に対し生活保護法による住宅扶助を実施するにあたり、審査請求人が支出すべき契約金等の明細書の写しを、株式会社Fから提供されたとしても何ら問題はない。
2 本件情報の特定について
 審査請求人は審査請求書において、「契約した物件の仲介は上記通知にあるFでもなく7月19日は契約もしていない」と主張するが、開示請求書には「2020年から2022年」と記載しており、本件情報が提出されたのは2021年7月19日であるから、時期に相違はない。また、本件開示請求書においては「転居先を探して訪れた不動産屋」と記載されていることから、契約した物件以外も含めて特定の対象としている。
3 一部に不開示情報を含む保有個人情報について
 審査請求人は審査請求書において、「開示を請求した情報とは全く別情報を開示決定している」と主張するが、実施機関は、本件決定と同日に、大天保生第1351号により、本件請求に対して、別件部分開示決定を行っており、審査請求人が審査請求書に参考として記載しているGと実施機関職員とのやりとりの記録も別件部分開示決定の対象となっている。なお、審査請求書に添付されている御預り証は審査請求人本人から天王寺区役所に提出されたものであり、本件請求には「不動産屋(大阪市内と世田谷区内)と天王寺区役所職員とのやりとり」と記載されていることから、特定の対象とはしていない。

第5 審議会の判断
1 基本的な考え方
 法第3条は、個人情報がプライバシーを含む個人の人格と密接な関連を有するものであり、個人が「個人として尊重される」ことを定めた憲法第13条の下、慎重に取り扱われるべきことを示すとともに、個人情報を取り扱う者は、その目的や態様を問わず、このような個人情報の性格と重要性を十分認識し、その適正な取扱いを図らなければならないとの基本理念を示しており、本市は、かかる基本理念を十分に踏まえて個人情報の保護に取り組む必要がある。
 そして、法は、何人も自己を本人とする保有個人情報について、開示(法第76条第1項)、訂正(法第90条第1項)及び利用停止(法第98条第1項)を請求することができることを規定するとともに、これらの請求を受けた行政庁が、一定の場合に開示(法第78条第1項)、訂正(法第92条)又は利用停止(法第100条)をすべき義務を負っていることを規定しているところである。
 したがって、当審議会において、法の定める個人情報の開示、訂正、利用停止の各請求に対する処分の当否を審議するにあたっては、上記の法の理念を踏まえ、個人の人格と密接な関連を有するものであることに配慮し、個人情報の開示、訂正及び利用停止を請求する市民の権利を十分に尊重する見地から行うこととする。
2 争点
 実施機関は本件請求に対して本件情報を特定したのに対して、審査請求人は「開示を請求した情報とは全く別の情報を開示している」と主張しており、本件情報以外にも対象となる情報が存在するはずであると主張しているものと解される。
 したがって、本件審査請求の争点は、本件請求に対して、本件情報以外に対象情報が存在するか否かである。
3 本件情報以外に対象情報が存在するか否かについて
 審査請求人は、上記2のとおり「開示を請求した情報とは全く別情報を開示決定している」と主張していることに加えて、実際に契約した物件の仲介業者Gから渡されたという「御預り証」の写しを提出している。
 したがって、審査請求人は、本件決定において特定した情報は、審査請求人が本件情報において請求した情報に該当せず、本件請求において特定すべき情報が他に存在することを主張し、その証跡として「御預かり証」を提出しているものと解される。
 そこで、まず、実施機関が本件決定において特定した「令和3年7月19日に株式会社Fから提出されたご契約金明細書の写し」及び「請求人のケース記録票(令和3年7月30日付け)」について、審査請求人が本件情報において請求した情報に該当するかを検討する。
 この点、当審議会において「令和3年7月19日に株式会社Fから提出されたご契約金明細書の写し」を見分したところ、当該文書が株式会社Fから審査請求人に対して交付されたものであること、転居に係る初期費用の明細書であること、当該文書の作成日が令和3年7月19日であることが確認できた。そして、本件請求の「開示を請求する保有個人情報」欄には、「不動産業者はB含む複数」と記載されていることから、審査請求人は、Bや「御預かり証」の作成者である「G」を含む複数の業者に対して、転居先のあっせんを依頼し、最終的にGから紹介を受けた物件に転居することを決定し、令和3年7月30日に初期費用をGに支払っていたものと認められる。
 したがって、令和3年7月30日と近接する令和3年7月19日に審査請求人が株式会社Fに対して転居先のあっせんを依頼し、同社が審査請求人に対して紹介した物件の初期費用の明細書を交付したことに何ら不自然な点はないから、開示請求書には、株式会社Fと明記されてはいないが、「不動産業者はB含む複数」と記載されていることから、株式会社Fとのやり取りも「2020年~2022年にかけて私が、私と私の家族のAの転居先を探して訪れた不動産屋(大阪市内と世田谷区内)と天王寺区役所職員とのやりとりの記録(天王寺区保有)」に該当し、開示請求の対象となる文書であることは明らかである。
 次に、当審議会において「請求人のケース記録票(令和3年7月30日付け)」を見分したところ、当該文書が審査請求人に係るケース記録票であること、また、審査請求人が提出した「御預かり証」の作成者である「G」の担当者と実施機関の職員との間で行われた転居に係るやり取りに係る記録が記載されていることが確認できた。この点に加え、当該ケース記録票が「御預かり証」の作成日である「令和3年7月30日」の記録であることを考慮すると、当該文書は、「2020年~2022年にかけて私が、私と私の家族のAの転居先を探して訪れた不動産屋(大阪市内と世田谷区内)と天王寺区役所職員とのやりとりの記録(天王寺区保有)」に該当し、開示請求の対象となる文書であることは明らかである。
 次に本件情報以外に対象情報が存在するか否かについて検討する。
 この点について実施機関は、上記第4、3のとおり、本件請求に対して本件決定と同日に、別件部分開示決定を行っており、審査請求人が審査請求書に参考として記載しているGと実施機関職員とのやりとりの記録も別件部分開示決定の対象としていると主張しているから、実施機関は、本件請求に係る対象情報が本件決定で特定した本件情報のみであるとして本件決定を行ったものではなく、本件請求の対象情報としては、本件決定で特定した情報と別件部分開示決定で特定した情報とを特定し、そのうち、不開示部分が含まれないものを本件決定で特定し、不開示部分を含むものを別件部分開示決定において特定したものである。
 そこで、別件部分開示決定において開示された情報を当審議会において見分したところ、審査請求人が提出した「御預かり証」の作成者である「G」を含む複数の不動産業者との間の転居に係るやり取りが記載されていることが確認できたが、これらの業者以外とのやり取りがあることを伺わせる記載は確認することができなかった。
 したがって、実施機関の主張について、特段、不自然、不合理な点はないものと認められる。
 そして、上述のとおり、当審議会において諮問書その他の資料を見分する限り、本件決定で実施機関が特定した保有個人情報は本件請求内容に合致するものと認められ、その他、実施機関の上記主張を覆すに足りる事実や資料を確認することはできなかった。
4 結論
 以上により、第1記載のとおり、判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
委員 岡澤 成彦、委員 小岩井 理史、委員 篠原 永明、委員 野田 崇

(参考)調査審議の経過 令和5年度諮問受理第24号

答申第222号

Adobe Acrobat Reader DCのダウンロード(無償)別ウィンドウで開く
PDFファイルを閲覧できない場合には、Adobe 社のサイトから Adobe Acrobat Reader DC をダウンロード(無償)してください。

探している情報が見つからない

このページの作成者・問合せ先

大阪市 総務局行政部行政課情報公開グループ

住所:〒530-8201 大阪市北区中之島1丁目3番20号(大阪市役所1階)

電話:06-6208-9825

ファックス:06-6227-4033

メール送信フォーム