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答申第224号

2025年2月5日

ページ番号:649976

大個審答申第224
令和7年3月27

大阪市長 横山 英幸 様

大阪市個人情報保護審議会
会長 岡澤 成彦

答申書

 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「法」という。)第105条第3項において準用する同条第1項に基づき、実施機関から令和5年1016日付け大天保生第1363号により諮問のありました件について、次のとおり答申いたします。

第1 審議会の結論
 実施機関が令和5年9月1日付け大天保生第1339号により行った全部開示決定(以下「本件決定」という。)に対する審査請求は、不適法なものであるので、実施機関は、却下すべきである。

第2 審査請求に至る経過
1 開示請求
 審査請求人は、令和5年8月18日、法第77条第1項に基づき、実施機関に対し、「生活保護における医療費の明細 2012年から現在までの天王寺区及び福祉局の保有分」と表示して保有個人情報の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
2 本件決定
 実施機関の天王寺区役所(以下「天王寺区役所」という。)は、本件請求に係る保有個人情報を「総合福祉システムにおける請求人にかかる医療費の明細(平成30年度以降分)」(以下「本件情報」という。)と特定して、その全部を開示する旨の本件決定を行った。
3 審査請求
 審査請求人は、令和5年9月29日に本件決定を不服として、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づく審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。

第3 審査請求人の主張
 審査請求人の主張は、次のとおりである。
 「本件決定の処分を取り消すとの裁決を求める。」
 「大阪市は市で一つの自治体であり、開示するとした情報(個人の医療費の明細)を天王寺区が保有しているとは考えられない。
 以前、私の家族の同情報を開示されたが、本人宛に郵送されるものとはレイアウト等書式が異なったし、同月の同薬局で同金額がダブっていたり、12月と1月の間に11月が入っていたり、明らかな打ち直しの跡(ミス)が見えた。
 福祉局生保の医療担当をしていた〇〇という男性職員が「エクセルにおとしこんだモノなら(福祉局の〇〇係長のところに)あると即答している。
 以前、私の家族が同情報の開示を求めたが、住んでいた当時、実施機関であった東住吉、旭両区共「福祉局にある、区にはないと回答された。」

第4 実施機関の主張
 
実施機関の主張は、次のとおりである。
1 実施機関における診療報酬明細の管理について
 本市では、生活保護法(昭和25年法律第144号)に基づく医療扶助の実施において、同法第50条第1項に規定する生活保護の指定医療機関から提出される診療報酬明細書の審査及びそれに基づく支払いについて、同法第53条第4項の規定に基づき、社会保険診療報酬支払基金(以下「基金」という。)に委託している。実施機関では、基金から送付された審査・支払い後の診療報酬明細書に係るデータを総合福祉システム(生活保護システムを含む。以下「システム」という。)に取り込み、診療報酬の明細を原則としてデータで管理している。
 なお、診療報酬明細書に係るデータについては、「生活保護法関係文書の保存期間について」(昭和39年9月29日社発第726号厚生省社会局長通知)に基づき、保存期間を5年としている。
2 本件情報について
 実施機関では、審査請求人からの本件請求に対し、平成24年から本件請求に至るまでの診療報酬の明細を開示すべきところ、前記のとおり、平成29年度以前のデータは保存期間(5年)が経過したために廃棄していたことから、保存期間(5年)が経過していない本件情報について、本件決定を行った。
3 審査請求の理由について
 審査請求人の主張については、天王寺区役所以外の保有個人情報の管理に関する意見や、審査請求人以外が行った保有個人情報の開示請求に関するものであり、本件請求における「生活保護における医療費の明細 2012年から現在までの天王寺区の保有分」について特定し、開示決定を行った本件決定に影響を与えるものではない。

第5 審議会の判断
1 基本的な考え方
 法第3条は、個人情報がプライバシーを含む個人の人格と密接な関連を有するものであり、個人が「個人として尊重される」ことを定めた憲法第13条の下、慎重に取り扱われるべきことを示すとともに、個人情報を取り扱う者は、その目的や態様を問わず、このような個人情報の性格と重要性を十分認識し、その適正な取扱いを図らなければならないとの基本理念を示しており、本市は、かかる基本理念を十分に踏まえて個人情報の保護に取り組む必要がある。
 そして、法は、何人も自己を本人とする保有個人情報について、開示(法第76条第1項)、訂正(法第90条第1項)及び利用停止(法第98条第1項)を請求することができることを規定するとともに、これらの請求を受けた行政庁が、一定の場合に開示(法第78条第1項)、訂正(法第92条)又は利用停止(法第100条)をすべき義務を負っていることを規定しているところである。
 したがって、当審議会において、法の定める個人情報の開示、訂正、利用停止の各請求に対する処分の当否を審議するにあたっては、上記の法の理念を踏まえ、個人の人格と密接な関連を有するものであることに配慮し、個人情報の開示、訂正及び利用停止を請求する市民の権利を十分に尊重する見地から行うこととする。
2 争点
 本件は、「生活保護における医療費の明細 2012年から現在までの天王寺区及び福祉局の保有分」の開示を求める本件請求に対して、全部開示決定である本件決定を行い、審査請求人がその処分の取消しを求めて審査請求を行ったものである。
 そして、本件決定が全部開示決定であるため、その争点は、本来、本件決定において特定された情報以外の対象情報の存否である。
 しかしながら、審査請求人は、本件審査請求について、「開示するとした情報(個人の医療費の明細)を天王寺区役所が保有しているとは考えられない」「福祉局生保の医療担当をしていた〇〇という男性職員がエクセルにおとしこんだモノなら(福祉局の〇〇係長のところに)あると即答している。」「以前、私の家族が同情報の開示を求めたが、住んでいた当時、実施機関であった東住吉、旭両区共、福祉局にある、区にはないと回答された。」と主張しており、他に文書が存在することを主張していない。したがって、本件では、かかる理由による審査請求が適法か否かについて先に検討する。
3 本件審査請求の適法性について
 本件決定に対する審査請求人の主張は、上記のとおり、開示請求の対象となる他の情報が存在している点について主張しておらず、本件審査請求の記載からは、全部開示された文書については、天王寺区役所が保有しているのではなく、福祉局が保有しているとして、その取消しを求めているものと解される。この点について、実施機関によると、審査請求人の保護決定及び実施に関する事務は天王寺区役所が行っているとのことであり、本件請求に関係する情報や公文書を確認することができる所属として天王寺区役所が担当となり本件決定を行ったことは、違法であるとは認められない。審査請求人の本件審査請求は、他の情報の開示を求めるものではなく、全部開示決定の取消しのみを求めるものであるから、かかる審査請求には、審査請求の利益がなく、不適法であると言わざるを得ない。
 なお、審査請求が不適法である以上、その主張の当否については検討を要しないことは明らかである。
4 結論
 以上により、第1記載のとおり、判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
委員 塚田 哲之、委員 林 晃大、委員 堀田 善之、委員 矢口 智春

(参考)調査審議の経過 令和5年度諮問受理第20

答申第224号

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