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答申第225号

2025年2月5日

ページ番号:649977

大個審答申第225
令和7年3月27

大阪市長 横山 英幸 様

大阪市個人情報保護審議会
会長 岡澤 成彦

答申書

 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「法」という。)第105条第3項において準用する同条第1項に基づき、実施機関から令和5年1024日付け大天保生第1381号により諮問のありました件について、次のとおり答申いたします。

第1 審議会の結論
 実施機関が令和5年9月15日付け大天保生第1352号により行った全部開示決定(以下「本件決定」という。)は、妥当である。

第2 審査請求に至る経過
1 開示請求
 審査請求人は、令和5年9月1日、法第77条第1項の規定に基づき、実施機関に対し、保有個人情報を特定するに足りる事項として「平成29年5月頃に私の家族の転居に伴いその賃貸借契約書や領収書などを天王寺区役4階の生活保護担当部署で当時担当〇〇SVへ渡した際の〇〇SVの伝えてきた内容の分かるもの」と表示して保有個人情報の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
2 本件決定
 実施機関は、本件請求に係る保有個人情報を「請求人の子のケース記録票のうち、請求者にかかる部分(平成29年6月1日付け)」(以下「本件情報」という。)と特定して、その全部を開示する本件決定を行った。
3 審査請求
 審査請求人は、令和5年10月6日に本件決定を不服として、実施機関に対して、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。

第3 審査請求人の主張
 審査請求人の主張は、次のとおりである。
 「本件決定を取り消すとの裁決を求める。」
 「5月中に入居(前回に契約者名で請求しこちらは言ってもいないのに言ったことにして無断で情報提供に切り替えられ提供された、2023年9月1日に請求と同じ情報の契約の日付は5/24であったし、その5/24は水曜日で契約を交した不動産屋の定休日であるため5/24でもないのだが少なくとも5月中(5/1926の間)に契約し、当時SVの〇〇に渡したので6/1付けは請求した情報とは異なるため」

第4 実施機関の主張
 実施機関の主張は、次のとおりである。
1 本件情報について
 実施機関では、審査請求人からの開示請求に対し、平成29年度に天王寺区役所保健福祉課担当係長であった〇〇職員(以下「SV」という。)が、審査請求人の子の転居に関する領収書写しを受理した日付が平成29年6月1日であったことから、本件情報を保有個人情報と特定し、本件決定を行った。
 なお、審査請求人の子の転居に関する契約書写しを審査請求人と審査請求人の子から受理したのは平成29年7月6日であり、その際にはSVとは別の職員が応対したことからSVが伝えた内容もないため特定の対象とはしていない。
2 「6/1付けは請求した情報と異なる」との主張について
 審査請求人は審査請求書において、「少なくとも5月中に契約し、当時のSVに渡したので6/1付けは請求した情報とは異なる」と主張するが、領収書写しの受領印及び上記1のとおり、審査請求人から審査請求人の子の転居に関する領収書写しをSVが受理したのは平成29年6月1日である。
 なお、審査請求人がSVに領収書写し及び契約書写しを提出したと主張する平成29年5月19日から31日の記録を探索したが、本件請求に該当するものはなかった。

第5 審議会の判断
1 基本的な考え方
 法第3条は、個人情報がプライバシーを含む個人の人格と密接な関連を有するものであり、個人が「個人として尊重される」ことを定めた憲法第13条の下、慎重に取り扱われるべきことを示すとともに、個人情報を取り扱う者は、その目的や態様を問わず、このような個人情報の性格と重要性を十分認識し、その適正な取扱いを図らなければならないとの基本理念を示しており、本市は、かかる基本理念を十分に踏まえて個人情報の保護に取り組む必要がある。
 そして、法は、何人も自己を本人とする保有個人情報について、開示(法第76条第1項)、訂正(法第90条第1項)及び利用停止(法第98条第1項)を請求することができることを規定するとともに、これらの請求を受けた行政庁が、一定の場合に開示(法第78条第1項)、訂正(法第92条)又は利用停止(法第100条)をすべき義務を負っていることを規定しているところである。
 したがって、当審議会において、法の定める個人情報の開示、訂正、利用停止の各請求に対する処分の当否を審議するにあたっては、上記の法の理念を踏まえ、個人の人格と密接な関連を有するものであることに配慮し、個人情報の開示、訂正及び利用停止を請求する市民の権利を十分に尊重する見地から行うこととする。
2 争点
 実施機関は本件請求に対して本件情報を特定したのに対して、審査請求人は「6/1付けは請求した情報とは異なる」と主張しており、本件情報以外に対象となる情報が存在するはずであると主張しているものと解される。
 したがって、本件審査請求の争点は、本件請求に対して、本件情報以外に対象情報が存在するか否かである。
3 本件情報以外に対象情報が存在するか否かについて
 審査請求人は、上記2のとおり「6/1付けは請求した情報とは異なる」と主張している。したがって、審査請求人は、本件決定において特定した情報は、審査請求人が本件請求において請求した情報に該当せず、本件請求において特定すべき情報が他に存在することを主張しているものと解される。
 そこで、まず、実施機関が本件決定において特定した「請求人の子のケース記録票のうち、請求者にかかる部分(平成29年6月1日付け)」について、審査請求人が本件請求において請求した情報に該当するかを検討する。
 この点、当審議会において実施機関が本件請求に対して特定した「請求人の子のケース記録票のうち、請求者にかかる部分(平成29年6月1日付け)」を見分したところ、当該文書には請求人の子の住宅に係る家賃の支払いについてSV及び審査請求人のやり取りが記録されていることが確認できた。当該記載では、審査請求人の家族の転居に伴う賃貸借契約書や領収書等が渡されたことは直接記載されていないが、同日付けの受領印が押された領収書の写しを実施機関が保管していることをあわせて考えると、当該ケース記録票が本件請求の対象となる情報であると認められる。
 次に本件情報以外に対象情報が存在するか否かについて検討する。
 この点について実施機関は、平成29年5月19日から31日の記録を探索したものの、本件請求に該当するものはなかったとのことであるが、念のため、当審議会より改めて平成29年5月中の記録から探索させたところ、本件請求の対象となる情報は無いとのことであった。その他、本件情報以外に対象情報が存在しないとする実施機関の主張を覆すに足りる事実や資料を確認することはできなかった。
4 結論
 以上により、第1記載のとおり、判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
委員 塚田 哲之、委員 林 晃大、委員 堀田 善之、委員 矢口 智春

(参考)調査審議の経過 令和5年度諮問受理第28号

答申第225号

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