答申第226号
2025年2月5日
ページ番号:649978
大個審答申第226号
令和7年3月27日
大阪市長 横山 英幸 様
大阪市個人情報保護審議会
会長 岡澤 成彦
答申書
個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「法」という。)第105条第3項において準用する同条第1項に基づき、実施機関から令和6年3月5日付け大平生第1213号により諮問のありました件について、次のとおり答申いたします。
第1 審議会の結論
実施機関が令和6年2月7日付け大平生第1091号により行った訂正不承認決定(以下「本件決定」という。)は、妥当である。
第2 審査請求に至る経過
1 訂正請求
審査請求人は、令和6年1月9日、法第91条第1項に基づき、実施機関に対し「きょうは令和6年1月9日なのに令和6年1月6日とうそがかいているからていせいしろ ただしいひづけをかくべきだ。きょぎのこうぶんしょをさくせいするな」として、「訪問連絡票のみぎうえのひづけ」の訂正請求(以下「本件請求」という。)を行った。
2 本件決定
実施機関は、本件請求に係る保有個人情報(以下「本件情報」という)を「令和6年1月9日に家庭訪問を行った際に作成した訪問連絡票」と特定したうえで、玄関ドアポストへ投函したものであり、控えは作成していないことから、実施機関として当該保有個人情報は保有しておらず、実際に存在しないため、本件決定を行った。
3 審査請求
審査請求人は、令和6年2月9日に本件決定を不服として、実施機関に対して、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。
第3 審査請求人の主張
審査請求人の主張は、次のとおりである。なお、審査請求人の主張については、要約しがたいため、その全文を原文のまま引用する。
1 審査請求の趣旨
上記決定をとりけし訪問連絡票を訂正するようにもとめる
2 審査請求の理由
訪問連絡票に令和6年1月6日とうそのひづけをかいているからていせいするべきだ。
控えをさくせいしていないのもおかしいから控えをさくせいするべきだしケースきろくひょうにも令和6年1月6日とうそをかいているかのうせいもあるからひづけがちがっていればケースきろくひょうもていせいするべきだ。
あともうにどとぼくの家のしんぶんうけに訪問連絡票をいれてくるな
またどうせひづけをまちがえるだろ
3 令和6年12月9日収受審査請求人意見書における主張
弁明書に法律に則った適正なものであるとかいていたけど訪問連絡票にじっさいにきた日とちがう日をかくのはきょぎこうぶんしょさくせいざいにいはんしてはんざいこういでしかないし控えを作成していないのもおかしい これではうそばかりのこうぶんしょをさくせいしたいほうだいでしかない。きょうのひづけすらわからないケースワーカーの○○とSVの○○○○はこうむいんになってはならないしこいつらダチョウよりあたまがわるいだろ。訪問連絡票にうそばかりの日付をかいてくるならにどとぼくの家に訪問連絡票をいれてくるなというかコロナウイルスがあるからにどとかていほうもんにくるなといっていたのにしつようにぼくの家にきたがるケースワーカーの○○とSVの○○○○はぼくのストーカーでしかないへんたいこうむいんでしかない。しかもこいつら令和6年1月19日にもぼくの家にかていほうもんにきたけど立入調査票すらもってこなかった。これは生活保護法第28条にいはんするしこうむいんしょっけんらんようざいやけんぞうぶつしんにゅうざいにいはんするはんざいこういでしかない。大阪市はケースワーカーの○○やSVの○○○○みたいなはんざいしゃをこうむいんにするないますぐやめさせろ
第4 実施機関の主張
実施機関の主張は、おおむね次のとおりである。
実施機関は、生活保護法第28条や厚生労働省が定めた「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和36年4月1日厚生省発社第123号 厚生事務次官通知)等に基づき、要保護者の生活状況等を把握し、援助方針に反映させることや、これに基づく自立を助長するための指導を行うことを目的として、世帯の状況に応じ訪問調査を行っている。
訪問調査時に不在であった場合は、その場で訪問連絡票を作成し、担当者が訪問調査に来たこと、また担当者からの連絡事項等をお知らせするため、ポスト等へ投函している。
訂正請求のあった訪問連絡票については、審査請求人宅に、令和6年1月9日に訪問調査に行ったところ応答がないためその場で作成したものになる。
訪問連絡票に記載した内容については、
訪問した日付、担当者名、電話番号、本日午前10時15分ごろ訪問しましたがおるすでしたので、次のとおり連絡します。
1 1月19日 午前 もう一度訪問します。
2 定期訪問させてください。
上記内容を記載し、玄関ドアポストへ投函したものであり、控えは作成していない為、実施機関として保有していない。
訪問連絡票の作成にあたり、訪問した日付けの記載を、令和6年1月9日に訪問したにも関わらず、担当者が誤って令和6年1月6日としたことにより、訂正請求があったものであるが、上記手順のとおり、作成後、請求者の玄関ポストへ投函しており、控えを作成していないことから、当該保有個人情報は保有しておらず、実際に存在しないため、本件決定を行った。
なお、令和6年1月19日に家庭訪問を行った際に、訪問連絡票の日付が誤っていたことを謝罪し、新たに令和6年1月9日付けの訪問連絡票を作成し、請求者へ交付済みである。
第5 審議会の判断
1 基本的な考え方
法第3条は、個人情報がプライバシーを含む個人の人格と密接な関連を有するものであり、個人が「個人として尊重される」ことを定めた憲法第13条の下、慎重に取り扱われるべきことを示すとともに、個人情報を取り扱う者は、その目的や態様を問わず、このような個人情報の性格と重要性を十分認識し、その適正な取扱いを図らなければならないとの基本理念を示しており、本市は、かかる基本理念を十分に踏まえて個人情報の保護に取り組む必要がある。
そして、法は、何人も自己を本人とする保有個人情報について、開示(法第76条第1項)、訂正(法第90条第1項)及び利用停止(法第98条第1項)を請求することができることを規定するとともに、これらの請求を受けた行政庁が、一定の場合に開示(法第78条第1項)、訂正(法第92条)又は利用停止(法第100条)をすべき義務を負っていることを規定しているところである。
したがって、当審議会において、法の定める個人情報の開示、訂正、利用停止の各請求に対する処分の当否を審議するにあたっては、上記の法の理念を踏まえ、個人の人格と密接な関連を有するものであることに配慮し、個人情報の開示、訂正及び利用停止を請求する市民の権利を十分に尊重する見地から行うこととする。
2 争点
実施機関は、本件請求について、当該訂正請求の対象となる文書を保有していないため、訂正する必要がないとして本件決定を行ったのに対して、審査請求人は、本件決定を取り消し、訂正することを求めている。
したがって、本件審査請求における争点は、本件情報の訂正義務の有無及びその前提として、審査請求人が訂正を求める文書(以下「対象文書」という。)を実施機関が保有しているか否かである。
3 本件決定の妥当性について
(1)
対象文書の存否について
審査請求人は、訂正請求書の記載からは、令和6年1月9日に実施機関の職員が審査請求人宅を訪問した際に作成し、投函した訪問連絡票について、当該訪問連絡票に記載された令和6年1月6日が誤っているとして訂正を求めている。そして、訪問連絡票については、上述のように、審査請求人宅に投函されており、実施機関において保有していないことは明らかであるから、審査請求人は、本件訂正請求において、当該訪問連絡票自体の訂正を求めているのではなく、実施機関が当該訪問連絡票の控えを保有していることを前提として、当該控えの日付けの訂正を求めているものと解される。
そして、実施機関によれば、訪問連絡票については、審査請求人宅に、令和6年1月9日に訪問調査に行ったところ応答がないためその場で作成し、審査請求人宅のポストに投函したものであり、控えとしてその写しは作成していないとのことである。この点、事務局職員をして実施機関に確認させたところ、生活保護の事務手引きである「生活保護の基礎知識」においても、訪問連絡票については、これを投函したときはそのことを記録することとされているものの、控えとしてその写しを作成するものとされていなかった。
事務局職員をして、実施機関の保有する審査請求人のケース記録票を確認させたところ、訪問連絡票の写しは存在しなかったが、令和6年1月9日の記事に「不在者連絡内容」との標題で「氏名」欄に審査請求人の氏が、「訪問日時」欄に「1月6日」との記載がある紙片が貼付されていること、当該紙片の下に、「訪問するも不在。訪問連絡票をドアポストに入れる。訪問日時記載誤り。正1/9誤1/6」との記載があることが確認できた。
この点、当審議会において、実施機関の福祉局が作成した通知を見分し、当該紙片が同通知に記載されている「連絡票」の様式の破線より上の「不在者連絡内容」の部分と体裁は異なるものの、記載されている内容はほぼ一致していることが確認できた。
そこで、事務局職員をして、実施機関に確認させたところ、当該「連絡票」の様式については、破線より上の「不在者連絡内容」の「氏名」「訪問日時」「記事」「呼出・連絡・再訪問日時」の各欄に、破線より下の「訪問連絡票」の部分に記載した内容の要点を記載したうえで、破線で切り取り、下の「訪問連絡票」の部分を被保護世帯の自宅のポスト等に投函し、上部の「不在者連絡内容」の部分を持ち帰り、ケース記録票に貼付する取扱いであるとのことであった。
したがって、「不在者連絡内容」については、「訪問連絡票」の記載事項のすべてが記載されているものではないこと、ケース記録票に貼付することが予定されていることを踏まえると、「訪問連絡票」に記載されている訪問日時等をケース記録票に転記することに代えて、「不在者連絡内容」をケース記録票に貼付することとしているものであるから、「訪問連絡票」の控えというよりは、むしろ、ケース記録票の記載事項の一部であると認められるから、審査請求人が訂正を求める文書には該当しない。
また、仮に「不在者連絡内容」が「訪問連絡票」の控えであり、審査請求人が訂正を求める文書に該当するとしても、当該「不在者連絡内容」自体には、訪問日時の誤記があるが、当該「不在者連絡内容」が貼付されている部分に続く記録には、「訪問日時記載誤り。正1/9誤1/6」と記載されており、このケース記録票の記載により、「不在者連絡内容」の訪問日時の誤記は既に訂正されていると評価できるから、訂正の必要はないものと認められる。
したがって、本件請求について、実施機関には訂正義務がないものと認められる。
(2)
審査請求人のその他の主張について
審査請求人は、審査請求書において「ケースきろくひょうにも令和6年1月6日とうそをかいているかのうせいもあるから、ひづけがちがっていればケースきろくひょうもていせいするべきだ」として、訪問連絡票の内容が転記されたケース記録票の訂正を求めているが、審査請求人は、訂正請求書の「訂正を求める保有個人情報を特定するための情報」欄には「訪問連絡票のみぎうえのひづけ」と記載しており、かかる記載からは、ケース記録票の訂正を求めるものとは解されないため、ケース記録票の訂正の要否については検討を要しない。
なお、上述のとおり、令和6年1月9日の記事に貼付されている「不在者連絡内容」については、ケース記録票の記載であると認められ、その日付に誤記はあるものの、当該誤記は既に訂正されていると評価できるから、令和6年1月9日の記事としては正しい記載がなされており、訂正の必要はないものと認められる。
また、審査請求人はほかにも、実施機関の行った家庭訪問が違法である旨を主張するが、家庭訪問の適法性は当審議会において判断する事項ではない。
4 結論
以上により、第1記載のとおり、判断する。
(答申に関与した委員の氏名)
委員 塚田 哲之、委員 林 晃大、委員 堀田 善之、委員 矢口 智春
(参考)調査審議の経過 令和5年度諮問受理第39号
略
答申第226号
CC(クリエイティブコモンズ)ライセンス
におけるCC-BY4.0
で提供いたします。
- オープンデータを探す大阪市オープンデータポータルサイト
Adobe Acrobat Reader DCのダウンロード(無償)
- PDFファイルを閲覧できない場合には、Adobe 社のサイトから Adobe Acrobat Reader DC をダウンロード(無償)してください。
探している情報が見つからない

このページの作成者・問合せ先
大阪市 総務局行政部行政課情報公開グループ
住所:〒530-8201 大阪市北区中之島1丁目3番20号(大阪市役所1階)
電話:06-6208-9825
ファックス:06-6227-4033