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答申第229号

2026年3月6日

ページ番号:674045

大個審答申第229号 

令和8年3月6日 

大阪市長 横山 英幸 様

大阪市個人情報保護審議会 

会長 岡澤 成彦 

答申書

 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「法」という。)第105条第3項において準用する同条第1項に基づき、大阪市長(以下「実施機関」という。)から令和6年6月11日付け大福祉第546号により諮問のありました件について、次のとおり答申いたします。

第1 審議会の結論

 実施機関が令和6年4月18日付け大福祉第159号により行った全部開示決定(以下「本件決定」という。)に対する同年5月7日付け審査請求(以下「本件審査請求」という。)は、不適法なものであるので、却下すべきである。

第2 審査請求に至る経過

1 開示請求

 審査請求人は、令和6年4月4日、法第77条第1項に基づき、実施機関に対し、「大阪府から大阪市福祉局に向けて、送付された、令和5年9月29日付社援第2050号裁決書と、福祉部書留てい送票等受領に関する書類。(福祉局と都島区の保有分)」と表示して保有個人情報の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

 2 本件決定

 実施機関は、本件請求に係る保有個人情報を「裁決書(令和5年9月29日付け社援第2050号)、「審査請求裁決書の謄本について(送付)」(令和5年9月29日付け社援第2050号)、「裁決書の送付について」(令和5年10月2日付け)」と特定した上で、利用目的を「訴訟・不服申立て・賠償関係事務のために使用するため」と付して、法第82条第1項に基づき、全てを開示する旨の本件決定を行った。

 3 審査請求

 審査請求人は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき、本件審査請求を行った。

第3 審査請求人の主張

 審査請求人の主張は、おおむね次のとおりである。

1 審査請求の趣旨

 決定通知書の「3 開示する保有個人情報の利用目的」に不服

2 審査請求の理由

 決定通知を発行する手続きにかしと内容の不適切な表現に対して、これまでに生じた決定通知書内の誤記や無記名という不備に類似する処分に相等するため。

第4 実施機関の主張

 実施機関の主張は、おおむね次のとおりである。

1 開示請求に係る利用目的の通知について

 審査請求人は、「開示する保有個人情報の利用目的」を不服として本件審査請求を提起している。法第82条第1項は、「行政機関の長等は、開示請求に係る保有個人情報の全部又は一部を開示するときは、その旨の決定をし、開示請求者に対し、その旨、開示する保有個人情報の利用目的…を書面により通知しなければならない」と規定している。利用目的それ自体は、行政処分ではないものの、決定通知書に記載しなければならない事項であるため、開示請求にかかる処分の一部を成すものといえる。そのため、利用目的の不記載や誤記載等、提示として不十分な点があれば、処分自体が違法なものとして取消事由になり得るといえる。

2 その他の法令の定め

(1) 審査請求前置主義について

 生活保護法(昭和25年法律第144号)第69条において「この法律の規定に基づき保護の実施機関又は支給機関がした処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ、提起することができない。」と規定している。

(2) 再審査請求について

 行政不服審査法(平成26年法律第68号)第6条第1項では、「行政庁の処分につき法律に再審査請求をすることができる旨の定めがある場合には、当該処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、再審査請求をすることができる。」と規定し、同2項で「再審査請求は、原裁決(再審査請求をすることができる処分についての審査請求の裁決をいう。以下同じ。)又は当該処分を対象として、前項の法律に定める行政庁に対してするものとする。」と規定する。

(3) 国家賠償法について

 国家賠償法(昭和22年法律第125号)第1条第1項では、「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」と規定する。

3 本件のあてはめ

(1) 審査請求人は、本件決定における利用目的の記載内容について不服であると主張する。しかし、本件決定における利用目的の記載内容は、下記に掲げる理由から、提示として十分であることから、法第82条第1項に違反しないというべきである。

(2) 本件でこれをみると、前掲第4の2のとおり、生活保護法の規定に基づく処分の取消しの訴えは、行政庁の処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ提起できない。

 本件情報は、審査請求に対する裁決に後続して処分の取消しの訴えが提起された場合に使用する可能性のある文書であるので、「訴訟関係事務のために使用する」文書といえる。

 また、原裁決に不服である場合、審査請求人が再審査請求をする場合もあり得ることから、本件情報である原裁決は、「不服申立て関係事務のために使用する」可能性のある文書といえる。

 さらに、国家賠償を請求する要件は、「国又は公共団体の公権力の行使」を行う「公務員」の職務行為によって、「故意又は過失」により「違法」に「損害」を与えたことであるところ、本件情報は、違法性を判断する上での資料となり得ることから、「賠償関係事務のために使用する」可能性がある文書といえる。

(3) したがって、実施機関として提示した、本件決定における利用目的の記載内容は、提示として十分であることから、法第82条第1項に違反しない。

第5 審議会の判断

1 基本的な考え方

 法第3条は、個人情報がプライバシーを含む個人の人格と密接な関連を有するものであり、個人が「個人として尊重される」ことを定めた憲法第13条の下、慎重に取り扱われるべきことを示すとともに、個人情報を取り扱う者は、その目的や態様を問わず、このような個人情報の性格と重要性を十分認識し、その適正な取扱いを図らなければならないとの基本理念を示しており、本市は、かかる基本理念を十分に踏まえて個人情報の保護に取り組む必要がある。

 そして、法は、何人も自己を本人とする保有個人情報について、開示(法第76条第1項)、訂正(法第90条第1項)及び利用停止(法第98条第1項)を請求することができることを規定するとともに、これらの請求を受けた行政庁が、一定の場合に開示(法第78条第1項)、訂正(法第92条)又は利用停止(法第100条)をすべき義務を負っていることを規定しているところである。

 したがって、当審議会において、法の定める個人情報の開示、訂正、利用停止の各請求に対する処分の当否を審議するに当たっては、上記の法の理念を踏まえ、個人の人格と密接な関連を有するものであることに配慮し、個人情報の開示、訂正及び利用停止を請求する市民の権利を十分に尊重する見地から行うこととする。

2 争点

 本件は、「大阪府から大阪市福祉局に向けて、送付された令和5年9月29日付社援第2050号裁決書と、福祉部書留てい送票等受領に関する書類(福祉局と都島区の保有分)」の開示を求める本件請求に対して、全部開示決定である本件決定を行い、審査請求人が「開示する保有個人情報の利用目的」を不服として審査請求を行ったものである。

 そして、本件決定が全部開示決定であるため、その争点は、本来、本件決定において特定された文書以外の対象情報の存否である。

 しかしながら、審査請求人は、本件審査請求について、決定通知書の「3 開示する保有個人情報の利用目的」に不服であり、「決定通知を発行する手続きにかしと内容の不適切な表現に対して、これまでに生じた決定通知書内の誤記や無記名という不備に類似する処分に相等するため」と主張しているのみであり、他に文書が存在することを主張していない。したがって、本件では、かかる理由による審査請求が適法か否かについて先に検討する。

 3 本件審査請求の適法性について

 本件決定に対する審査請求人の主張は、上記のとおり、開示請求の対象となる他の文書が存在している点について主張しておらず、決定通知書の「開示する保有個人情報の利用目的」欄の記載内容に不服があるものと解される。この点について、法第82条第1項において開示決定にかかる利用目的の記載が求められているが、本件決定に記載された利用目的の内容について争う審査請求には審査請求の利益がなく、不適法であると言わざるを得ない。

なお、本件審査請求が不適法である以上、その主張の当否については検討を要しないことは明らかである。

 4 結論

 したがって、第1記載のとおり判断する。

 (答申に関与した委員の氏名)

委員 岡澤 成彦、委員 小岩井 理史、委員 篠原 永明、委員 野田 崇

 (参考)調査審議の経過 令和6年度諮問受理第2号

答申第229号

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