答申第231号
2026年3月6日
ページ番号:674111
大個審答申第231号
令和8年3月6日
大阪市長 横山 英幸 様
大阪市個人情報保護審議会
会長 岡澤 成彦
答申書
個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「法」という。)第105条第3項において準用する同条第1項に基づき大阪市長(以下「実施機関」という。)から令和5年7月31日付け大総務監第30号により諮問のありました件について、次のとおり答申いたします。
第1 審議会の結論
実施機関が令和5年5月25日付け大総務監第15号により行った全部開示決定(以下「本件決定1」という。)及び同日付け大総務監第16号により行った部分開示決定(以下「本件決定2」といい、「本件決定1」とあわせて「本件各決定」という。)に対する同年7月6日付け審査請求(以下「本件審査請求」という。)は、棄却すべきである。
第2 審査請求に至る経過
1 開示請求
審査請求人は、令和5年5月12日、法第77条第1項に基づき、実施機関に対し、「令和4年〇月〇日、令和4年〇月〇日、令和5年〇月〇日 私の公益通報を行なった時(審議の内容など全てを)のもの全てをお願い致します」と表示して開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
2 本件決定
実施機関は、本件請求に係る保有個人情報を、「公益通報報告書(第3号様式)(整理番号R04-01-171)(添付資料含む)、公益通報報告書(第3号様式)(整理番号R04-01-292)(添付資料含む)、公益通報報告書(第3号様式)(整理番号R04-01-353)(添付資料含む)、大阪市公正職務審査委員会の審議結果について(第282回第1部会(資料1-1、1-2、1-3、追加情報))のうち整理番号R04-01-171に関する部分、大阪市公正職務審査委員会の審議結果について(第290回第1部会(資料1-1、1-2、追加情報))のうち整理番号R04-01-292に関する部分、大阪市公正職務審査委員会の審議結果について(第294回第1部会(資料1-1~4、追加情報1、2))のうち整理番号R04-01-353に関する部分、第282回 公正職務審査委員会(第1部会)会議要旨のうち整理番号R04-01-171に関する部分、第290回 公正職務審査委員会(第1部会)会議要旨のうち整理番号R04-01-292に関する部分及び第294回 公正職務審査委員会(第1部会)会議要旨のうち整理番号R04-01-353に関する部分(以下「本件情報1」という。)」と特定した上で、法第82条第1項に基づき、本件決定1を行い、「第282回公正職務審査委員会(第1部会)審議資料(資料1-2)のうち整理番号R04-01-171に関する部分、第290回公正職務審査委員会(第1部会)審議資料(資料1-1)のうち整理番号R04-01-292に関する部分及び第294回公正職務審査委員会(第1部会)審議資料(資料1-4)(以下「本件情報2」という。)」と特定した上で、法第82条第1項に基づき、「案件処理の方針案に該当する部分、「通報についてのご連絡」の具体的な通知文案の内容及び大阪市公正職務審査委員会の審議手法に該当する部分(以下「本件不開示部分」という。)」を開示しない理由を次のとおり付して、本件決定2を行った。
法第78条第1項第6号及び第7号に該当
(説明)
本件不開示部分は、大阪市公正職務審査委員会の内部における審議に関する情報であり、これを開示することにより、委員の率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれる相当の蓋然性があるとともに、同委員会の調査審議事務の適正な遂行に支障を及ぼす相当の蓋然性があるため。
3 審査請求
審査請求人は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき、本件審査請求を行った。
第3 審査請求人の主張
審査請求人の主張は、おおむね次のとおりである。
処分の取消しを求める。(本件各決定)
黒塗りの部分の公開を求める(本件決定2)
公益通報の審査について、きっちりして頂きたい(本件各決定)
第4 実施機関の主張
実施機関の主張は、おおむね次のとおりである。
1 本件請求に係る保有個人情報について
(1) 本市における公益通報制度について
本市では、職員等の公正な職務の執行の確保に関する条例(平成18年大阪市条例第16号。以下「公正職務条例」という。)を定め、職員等が行った違法又は不適正な事案について、広く通報を受け付け、本市の機関等による事実調査を行い、是正を図るための公益通報制度を整備している。
公益通報がなされると、公正職務条例に基づき設置された委員会において調査の要否を審議し、調査が必要な場合には、調査実施後、調査結果、是正措置及び再発防止措置等を委員会で審議することとなっている。(公正職務条例第6条、第7条及び第8条)
(2) 本件請求に係る保有個人情報の特定
本件請求は、審査請求人が令和4年〇月〇日、同年〇月〇日及び令和5年〇月〇日に行った公益通報に係る審議の内容など全ての書類の開示を求めるものである。
審査請求人により行われた公益通報案件は、総務局監察部監察課(以下「監察課」という。)が令和4年〇月〇日に面会により受け付けた「整理番号R04-01-171」(以下「当該公益通報1」という。)、令和4年〇月〇日付け書類の郵送によって公益通報され、同月〇日に監察課が受け付けた「整理番号R04-01-292」(以下「当該公益通報2」という。)、令和5年〇月〇日付け書類の郵送により公益通報され、同月〇日に監察課が受け付けた「整理番号R04-01-353」(以下「当該公益通報3」という。)の3件があり、当該公益通報1は委員会の第282回(第1部会)において、当該公益通報2は第290回(第1部会)において、当該公益通報3は第294回(第1部会)においてそれぞれ審議を行っている。
まず、審査請求人の請求内容のうち「私の公益通報を行なった時のもの」については、当該公益通報1は審査請求人により監察課において、面会による方法で行われたものであるところ、面会により口頭で公益通報された場合には監察課において通報者から聞き取った通報の内容を記録することとしており、監察課職員が作成した公益通報内容を委員会に報告する様式である公益通報報告書(第3号様式)及び審査請求人から提出された添付書類を開示すべき保有個人情報として特定した。
当該公益通報2及び当該公益通報3は、審査請求人により監察課に対して、郵送による方法で行われたものであるところ、郵送により書面で公益通報された場合には監察課において公益通報内容を委員会に報告する様式を作成することとしており、その様式である公益通報報告書(第3号様式)及び審査請求人から監察課に郵送された書類を開示すべき保有個人情報として特定した。
次に、請求内容のうち「審議の内容など全て」については、当該公益通報1、当該公益通報2及び当該公益通報3の調査要否等の判断を行うに当たって委員会において配付した審議資料と審議の結果を委員会の事務局である監察課において供覧した文書及び委員会の開催後に作成する審議の内容をまとめた会議要旨があり、それぞれの情報のうち、審査請求人による当該公益通報1、当該公益通報2及び当該公益通報3に関する内容が記載された情報を、本件請求の対象となる保有個人情報として特定した。
2 本件各決定の理由
(1) 本件各決定において特定した保有個人情報について
実施機関は、審査請求人からの令和5年5月12日付け開示請求書の請求内容「令和4年〇月〇日、令和4年〇月〇日、令和5年〇月〇日 私の公益通報を行なった時(審議の内容など全てを)のもの全てをお願い致します」に基づき、本件情報1及び本件情報2を特定している。
請求内容に記載された日付「令和4年〇月〇日、令和4年〇月〇日、令和5年〇月〇日」に審査請求人により行われた公益通報は当該公益通報1、当該公益通報2及び当該公益通報3の3件のみである。また、請求内容のうち、「私の公益通報を行なった時のもの」については、公益通報報告書(第3号様式)並びに審査請求人から提出された添付書類及び審査請求人から監察課に郵送された書類を、「審議の内容など全て」については、公益通報の調査要否等の判断を行うに当たって委員会において配付した審議資料と審議の結果を委員会の事務局である監察課において供覧した文書及び委員会の開催後に作成する審議の内容をまとめた会議要旨を監察課において保有しているが、これら以外に請求内容に合致する保有個人情報は作成又は取得していない。
(2) 本件決定1の理由
審査請求人は、本件審査請求の趣旨において、処分の取り消しを求めているが、審査請求の理由を「公益通報の審査について、きっちりして頂きたい。」としており、本件各決定の違法性又は不当性の主張は明らかではない。
本件決定1は、上記(1)記載のとおり、本件請求内容から本件情報1及び本件情報2を特定し、本件情報1については、不開示とする部分がないことから、全部開示決定を行っている。
また、本件情報1及び本件情報2以外に本件請求の請求内容に合致し開示すべき保有個人情報は存在しない。
(3) 本件決定2により不開示とした部分について
実施機関が本件情報2において開示しないこととした部分は、当該公益通報1、当該公益通報2及び当該公益通報3の調査要否等の判断を行うに当たって委員会において配付した審議資料のうち、案件処理の方針案に該当する部分、「通報についてのご連絡」の具体的な通知文案の内容及び委員会の審議手法に該当する部分(以下「本件各不開示部分」という。)である。
(4) 本件各不開示部分を不開示とした理由について
ア 委員会の審議について
本市における公益通報制度では、独立性が担保された委員会において、外部からのあらゆる圧力等が排除された環境下で、何人からも介入されずに、通報対象事実について公平・公正な調査審議を行うこととされている。
委員会の調査審議手続を公開すると、審議妨害等により円滑な議事運営が不当に阻害されるおそれがあり、審議等の目的が達成できないと認められるため、公正職務条例第28条で委員会及び部会の行う調査審議手続は非公開と定められている。
イ 委員会における調査審議に関する情報の不開示情報該当性について
委員会の調査審議に関する資料には、公益通報があった通報対象事実に関してどのような着眼点や手法によりどのような調査がされたのか、調査の結果、どのような事実が認定されたのか、認定された事実に関してどのような論点についてどのような考え方に基づきどのような判断がされたのかといった情報(以下「調査審議情報」という。)が記載されている。
このような調査審議情報が通報者や通報対象事実に係る関係者等に明らかになれば、公益通報があった場合における委員会の調査の着眼点や手法及び委員会の論点設定や不適正についての考え方が明らかになり、当該公益通報の通報者や通報対象事実に係る関係者等が委員会の委員に対して自身の意に沿う結果となるように圧力が加えられたり、苦情や批判等が委員の心理的・精神的負担となって、委員の間の自由かつ率直な意見交換に影響を及ぼしたりすることとなり、上記アに記載した、外部からのあらゆる圧力等が排除された環境下で、何人からも介入されずに、通報対象事実について公平・公正な調査審議を行う委員会の機能を十分に果たすことができなくなるおそれがあるとともに、今後、公益通報があった場合に通報対象事実に係る関係者等がこれらの情報を基にして委員会や本市の機関の調査を妨害することにより委員会の調査審議の適正な遂行が妨げられるおそれがあるものである。
したがって、委員会における調査審議情報は、公正職務条例第28条において非公開と定められている調査審議手続に密接にかかわるものであり、法第78条第1項第6号の「国の機関、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、開示することにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの」及び同項第7号の「国の機関、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、開示することにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」に該当するものである。
3 審査請求人の主張について
本件審査請求書に記載されている本件審査請求の趣旨は、本件各決定の処分の取り消しを求めるとともに、本件決定1の違法性及び不当性についての主張は必ずしも明らかではないが、本件各決定の対象となる保有個人情報(本件情報1及び本件情報2)が作成される端緒となった当該公益通報1、当該公益通報2及び当該公益通報3についての委員会における審議の見直しを求めるものであると解される。しかしながら、審査請求人が求めていると解される当該公益通報1、当該公益通報2及び当該公益通報3についての委員会における審議については審査請求の対象となる「行政庁の処分」(行政不服審査法第2条)ではない。
なお、公益通報についての委員会における審議内容及び結果に対する不服申立てに関して、公正職務条例等に手続きの規定はなく、不服を申し立てることはできない。
第5 審議会の判断
1 基本的な考え方
法第3条は、個人情報がプライバシーを含む個人の人格と密接な関連を有するものであり、個人が「個人として尊重される」ことを定めた憲法第13条の下、慎重に取り扱われるべきことを示すとともに、個人情報を取り扱う者は、その目的や態様を問わず、このような個人情報の性格と重要性を十分認識し、その適正な取扱いを図らなければならないとの基本理念を示しており、本市は、かかる基本理念を十分に踏まえて個人情報の保護に取り組む必要がある。
そして、法は、何人も自己を本人とする保有個人情報について、開示(法第76条第1項)、訂正(法第90条第1項)及び利用停止(法第98条第1項)を請求することができることを規定するとともに、これらの請求を受けた行政庁が、一定の場合に開示(法第78条第1項)、訂正(法第92条)又は利用停止(法第100条)をすべき義務を負っていることを規定しているところである。
したがって、当審議会において、法の定める個人情報の開示、訂正、利用停止の各請求に対する処分の当否を審議するに当たっては、上記の法の理念を踏まえ、個人の人格と密接な関連を有するものであることに配慮し、個人情報の開示、訂正及び利用停止を請求する市民の権利を十分に尊重する見地から行うこととする。
2 争点
審査請求人は、本件不開示部分を開示するべきである旨を主張する一方で、実施機関は本件不開示部分は法第78条第1項第6号及び第7号に該当する旨を主張している。そのため、本件審査請求における争点は、本件不開示部分の法第78条第1項第6号及び第7号該当性である。
なお、審査請求人は、口頭意見陳述において、本件各決定につき対象情報の特定の是非を争う意思がある旨を主張したため、実施機関の対象情報の特定に誤りがないかも併せて検討することとする。
3 本件不開示部分の法第78条第1項第6号及び第7号該当性について
(1) 法第78条第1項第7号の基本的な考え方について
法第78条第1項第7号は、国の機関、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報で、「開示することにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」は開示しないことができると規定している。
ここでいう「当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」とは、当該事務又は事業の本質的な性格、具体的には、当該事務又は事業の目的、その目的達成のための手法等に照らして、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるかどうかで判断されるものと解される。
(2) 本件不開示部分の法第78条第1項第7号該当性について
本件情報2は大阪市公正職務審査委員会(以下「委員会」という。)の審議で用いられた資料であり、本件不開示部分を当審議会において見分したところ、委員会における審議過程若しくは調査審議手続を推測されるものであると認められた。
委員会の審議結果は、公正、中立的な第三者機関として、条例に従い、公益通報に係る通報対象事実の認定についての最終の判断を示すものであるため、公正さ、客観性について無用な疑いを抱かせるような事情が外部に現れることとなるのは、委員会に対する信頼を低下させることになる。委員会は、この点において、他の政策提言等を主目的とする審議会等とは自ずとその性質を異にするものである。
以上を踏まえると、委員会の調査審議の過程や手続に係る情報を開示することにより、十分な議論が尽くされていない、公正な議論がなされていない等の誤解を通報者が抱き、委員会の出した最終的な結論の公正性や客観性に不信感を募らせる結果を招きかねないことは容易に推測され、このような事態は、委員の間の率直な意見の交換に影響を及ぼす蓋然性が認められるものであり、委員会の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる。
したがって、本件不開示部分は法第78条第1項第7号に該当する。
なお、本件情報2の開示の可否については上記のとおりであるから、本件不開示部分の法第78条第1項第6号該当性については判断しない。
4 対象情報の特定について
審査請求人は、上記2のとおり、本件各決定につき対象情報の特定の是非を争う意思がある旨主張したが、対象情報の特定に係る具体的な主張はなかった。
当審議会から実施機関に対して、公益通報の受付から委員会における審議が終了するまでの事務処理及び当該事務処理において作成される文書についての説明を求め、証跡となる法令、条例、要領、要綱、マニュアル、手引き等とあわせて説明内容を確認したが、特段、不自然、不合理な点は認められなかった。
したがって、実施機関において、本件各決定にかかる情報の特定に誤りはない。
5 結論
したがって、第1記載のとおり判断する。
(答申に関与した委員の氏名)
委員 塚田 哲之、委員 林 晃大、委員 堀田 善之、委員 矢口 智春
(参考)調査審議の経過 令和5年度諮問受理第14号
略
答申第231号
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