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答申第234号

2026年3月6日

ページ番号:674113

大個審答申第234号 

令和8年3月6日 

大阪市長 横山 英幸 様

大阪市個人情報保護審議会 

会長 岡澤 成彦 

答申書

 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「法」という。)第105条第3項において準用する同条第1項に基づき、実施機関から令和7年2月19日付け大中窓第361号により諮問のありました件について、次のとおり答申いたします。

第1 審議会の結論

 実施機関が令和7年1月6日付け大中窓第307号により行った部分開示決定(以下「本件決定」という。)に対する同月20日付け審査請求(以下「本件審査請求」という。)は、棄却すべきである。

第2 審査請求に至る経過

1 開示請求

 審査請求人は、令和6年1220日、法第77条第1項に基づき、実施機関に対し、「令和6年1113日 私の全部事項証明の交付請求書 職務上請求にて」と表示して保有個人情報の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 本件決定

 実施機関は、本件請求に係る保有個人情報を「令和6年1111日付け戸籍謄本等職務上請求書」と特定した上で、法第82条第1項に基づき、「請求に係る者の氏名」(以下「本件不開示部分1」という。)、「利用目的の種別にかかる「項番」「事件の種類、代理手続の種類及び戸籍の記載事項の利用目的」「業務の別及び戸籍の記載事項の利用目的」「業務の種類」「依頼者の氏名又は名称」「依頼者について該当する事由(上記に該当する具体的事由)」」(以下「本件不開示部分2」という。)及び「法人の印影」(以下「本件不開示部分3」という。)を開示しない理由を次のとおり付して、本件決定を行った。

 法第78条第1項第2号に該当

 (説明)

 本件不開示部分1及び本件不開示部分2については、開示請求者以外の個人に関する情報であって、当該情報そのものにより又は他の情報と照合することにより、開示請求者以外の特定の個人が識別される情報であると認められ、かつ同号ただし書イ、ロ、ハのいずれにも該当しないため。

 法第78条第1項第3号に該当

 (説明)

 本件不開示部分2については、法人等の事業者の経営上及び内部管理に属する事項に関する情報で、これを開示することにより、当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあり、かつ同号ただし書にも該当しないため。

 本件不開示部分3については、法人等の事業活動を行う上での内部管理に属する事項に関する情報であって、開示することにより偽造あるいは転用のおそれがあり、当該法人等の事業運営が損なわれるおそれがあると認められ、かつ同号ただし書にも該当しないため。

3 審査請求

 審査請求人は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき、本件審査請求を行った。

第3 審査請求人の主張

 審査請求人の主張は、おおむね次のとおりである。

1 審査請求の趣旨

 本件決定を取り消し、公開決定を求める。

2 審査請求の理由

 (1) 夫に借金がいろいろあっていろんな人から恨みをかってる可能性が高い。

 (2) 法第78条第1項2号ロ人の生命、健康、生活又は財産を保護するため開示することが必要であると認められる情報に該当するため。

 (3) 開示したことで私の個人情報がわかりさかうらみされて命をうばわれるかのうせい、危害を加えられる可能性。

 (4) 弁護士に相談したところ、請求に係る者の氏名は市役所の裁量と意見をいただいたので、弁護士の職権濫用のおそれ、悪用のおそれがあるため。

第4 実施機関の主張

1 戸籍の謄本等の交付に係る事務について

 戸籍の謄本等の交付に係る事務については、戸籍法(昭和22年法律第224号)の規定に基づき行われる。

 戸籍に記載されている者又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属は、その戸籍の謄本若しくは抄本又は戸籍に記載した事項に関する証明書(以下「戸籍謄本等」という。)の交付を請求することができる。(戸籍法第10条第1項)

 また、第三者請求(戸籍法第10条の2第1項)、公用請求(戸籍法第10条の2第2項)、弁護士等請求(戸籍法第10条の2第3項から第5項まで)による戸籍謄本等の交付が可能である。

 本件情報は、戸籍法第10条の2第3項から第5項までの規定に基づき弁護士から実施機関に提出された審査請求人の戸籍謄本等に係る職務上請求書であり、当該請求書の様式は「請求の種別、本籍、筆頭者の氏名、請求に係る者の氏名、利用目的の種別、請求に際し明らかにしなければならない事項、請求者の事務所所在場所、事務所名、氏名、登録・電話番号、使者(事務職員限定)の住所、氏名」の各情報で構成されている。

2  法第78条第1項第2号該当性について

 法第78条第1項第2号において、開示請求者以外の個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により開示請求者以外の特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)若しくは個人識別符号が含まれるもの又は開示請求者以外の特定の個人を識別することはできないが、開示することにより、なお開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるものについては、不開示情報であると明記されている。

 また、法第78条第1項第2号ただし書において、「イ 法令の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報」、「ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報」、「ハ 当該個人が公務員等(国家公務員法(昭和22年法律第120号)第2条第1項に規定する国家公務員(独立行政法人通則法第2条第4項に規定する行政執行法人の職員を除く。)、独立行政法人等の職員、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第2条に規定する地方公務員及び地方独立行政法人の職員をいう。)場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容の部分」は開示できることとなっている。

 今回、開示しないこととした本件不開示情報のうち、請求に係る者の氏名については開示請求者以外の個人に関する情報であり、利用目的の種別にかかる「項番」「事件の種類、代理手続の種類及び戸籍の記載事項の利用目的」「業務の別及び戸籍の記載事項の利用目的」「業務の種類」「依頼者の氏名又は名称」「依頼者について該当する事由(上記に該当する具体的事由)」についても、依頼者がどのような目的で利用するかという開示請求者以外の個人情報に当たる。さらに、これらの業務内容から推定して、依頼者の氏名又は名称まで明らかとなり、特定の個人が識別されるおそれは否定できないことから、保護法第78条第1項第2号本文に該当し、かつ同号ただし書イ、ロ、ハのいずれにも該当しないとして不開示としたものである。

3 法第78条第1項第3号妥当性について

 弁護士は弁護士法(昭和24年法律第205号)第23条で守秘義務を課せられており、本件不開示情報のうち、利用目的の種別にかかる「項番」「事件の種類、代理手続の種類及び戸籍の記載事項の利用目的」「業務の別及び戸籍の記載事項の利用目的」「業務の種類」「依頼者の氏名又は名称」「依頼者について該当する事由(上記に該当する具体的事由)については、守秘義務の対象となる情報であり開示することを予定していない。これを実施機関が開示することで、弁護士がどのような受任内容をもって職務上請求を行っているのかが依頼者以外の第三者に明らかとなり、依頼業務が円滑に行われることが阻害されるおそれがあることから、法第78条第1項第3号に該当すると考える。

 また、法人の印影については、法人等の事業活動を行う上での内部管理に属する事項に関する情報であって、開示することにより偽造等のおそれがあり、当該法人等の事業運営が損なわれるおそれがあると認められることから、法第78条第1項第3号に該当し、かつ同号ただし書にも該当しないとして、不開示としたものである。

4 審査請求人の主張について

 審査請求人は、審査請求書において「夫に借金がいろいろあっていろんな人から恨みをかってる可能性が高い。個人情報の保護に関する法律第78条第1項2号ロ人の生命、健康、生活又は財産を保護するため開示することが必要であると認められる情報に該当するため。開示したことで私の個人情報がわかりさかうらみされて命を奪われるかのうせい、危害を加えられる可能性、弁護士に相談したところ請求に係る者の氏名は市役所の裁量と意見をいただいたので、弁護士の職権濫用のおそれ、悪用のおそれがあるため」と主張しているが、個人情報の保護に関する法律第78条第1項第2号ただし書ロ及び同条第3号ただし書は、各号本文の例外として、本文に規定する個人に関する情報であっても、当該情報を不開示とすることにより得られる利益よりも、当該情報を開示することにより得られる開示請求者を含む人の生命、身体、健康、生活又は財産(以下「人の生命等」という。)の保護という公益が優越する場合には、当該情報を開示すべきことを定めたものである。したがって、比較衡量を行うに当たっては、人の生命等を害する相当の蓋然性、その他保護の必要性、緊急性等を具体的かつ慎重に検討する必要があると解される。 実施機関としては、現時点において、人の生命等を保護するため、開示することが必要であると認められる特段の事情があるとは認められないため、本件不開示情報を不開示にすることにより得られる利益と、開示することにより得られる公益の比較衡量を行うことができず、法第78条第1項第2号ただし書ロ及び同条第3号ただし書には該当しないと判断した。

第5 審議会の判断

1 基本的な考え方

 法第3条は、個人情報がプライバシーを含む個人の人格と密接な関連を有するものであり、個人が「個人として尊重される」ことを定めた憲法第13条の下、慎重に取り扱われるべきことを示すとともに、個人情報を取り扱う者は、その目的や態様を問わず、このような個人情報の性格と重要性を十分認識し、その適正な取扱いを図らなければならないとの基本理念を示しており、本市は、かかる基本理念を十分に踏まえて個人情報の保護に取り組む必要がある。

 そして、法は、何人も自己を本人とする保有個人情報について、開示(法第76条第1項)、訂正(法第90条第1項)及び利用停止(法第98条第1項)を請求することができることを規定するとともに、これらの請求を受けた行政庁が、一定の場合に開示(法第78条第1項)、訂正(法第92条)又は利用停止(法第100条)をすべき義務を負っていることを規定しているところである。

 したがって、当審議会において、法の定める個人情報の開示、訂正、利用停止の各請求に対する処分の当否を審議するに当たっては、上記の法の理念を踏まえ、個人の人格と密接な関連を有するものであることに配慮し、個人情報の開示、訂正及び利用停止を請求する市民の権利を十分に尊重する見地から行うこととする。

2 争点

 審査請求人は、本件決定を取り消し、本件各不開示部分を開示すべきと主張しているのに対して、実施機関は、本件各不開示部分は法第78条第1項第2号又は第3号に該当すると主張している。

 したがって、本件審査請求における争点は、本件各不開示部分の法第78条第1項第2号及び第3号該当性である。

3 法第78条第1項第2号該当性について

(1) 法第78条第1項第2号の基本的な考え方について

 法第78条第1項第2号は、開示請求者以外の個人に関する情報として不開示となる情報について規定している。

 開示請求に係る保有個人情報の中に、開示請求の対象となる保有個人情報に係る本人以外の個人(第三者)に関する情報が含まれている場合において、第三者に関する情報を本人に開示することにより当該第三者の権利利益が損なわれるおそれがあるものは、不開示とされている。

 具体的には、次に該当するものは不開示情報となる。

・  氏名、生年月日その他の記述等により開示請求者以外の特定の個人を識別することができる情報(他の情報と照合することにより、開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)若しくは個人識別符号が含まれるもの

・  開示請求者以外の特定の個人を識別することはできないが、開示することにより、なお開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの

なお、次の情報は、開示請求者以外の個人に関する情報として不開示となる情報から除かれている。

・  法令の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報

・  人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報

・  公務員等の職及び職務の遂行に係る情報

(2) 本件情報の法第78条第1項第2号該当性について

 当審議会において、本件不開示部分1及び本件不開示部分2を見分したところ、本件不開示部分1には審査請求人以外の氏名及び生年月日が記載されており、開示請求者以外の個人に関する情報そのものである。本件不開示部分2は、請求した戸籍謄本等の利用目的を記載する欄であり、これを開示すると戸籍謄本等の請求者である弁護士の依頼者がどのような目的で利用するかという審査請求人以外の特定の個人を識別されるおそれがある情報が明らかとなることが認められるので、開示することにより個人の権利利益を害するおそれがある情報であると認められる。以上から本件不開示部分1及び本件不開示部分2にかかる情報は法第78条第1項第2号に該当し、性質上、同号ただし書イ、ロ、ハのいずれにも該当しない。

4 法第78条第1項第3号該当性について

(1) 法第78条第1項第3号の基本的な考え方について

 法第78条第1項第3号は、法人等に関する情報として不開示となる情報について規定している。

 法人その他の団体(以下「法人等」という。)に関する情報又は開示請求者以外の事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、開示することにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものは、不開示情報とされている。

 当該法人等又は当該個人の「権利」とは、信教の自由、集会・結社の自由、学問の自由、財産権等、法的保護に値する権利一切を含み、「競争上の地位」とは、法人等又は事業を営む個人の公正な競争関係における地位を指し、「その他正当な利益」とは、ノウハウ、信用等法人等又は事業を営む個人の運営上の地位を広く含むものである。

 また、「害するおそれ」があるかどうかの判断に当たっては、法人等又は事業を営む個人には様々な種類、性格のものがあり、その権利利益にも様々のものがあるので、当該法人等又は事業を営む個人の性格や権利利益の内容、性質等に応じ、当該法人等又は事業を営む個人の権利の保護の必要性、当該法人等又は事業を営む個人と行政との関係等を十分考慮して適切に判断することが求められるものであり、この「おそれ」の判断に当たっては、法的保護に値する蓋然性が求められている。

(2) 本件情報の法第78条第1項第3号該当性について

 本件不開示部分2については、既に述べたとおり、法第78条第1項第2号該当性が認められていることから、本件不開示部分2の法第78条第1項第3号該当性については当審議会では判断しない。

 また、本件不開示部分3は、事業を営む個人の印影であり、この情報は事業を営む個人の事業活動を行う上での内部管理に属する事項に関する情報であって、開示することにより偽造あるいは転用のおそれがあり、当該事業を営む個人の事業運営が損なわれるおそれがあると認められるため、法第78条第1項第3号に該当し、かつ同号ただし書にも該当しない。

5 結論

 したがって、第1記載のとおり判断する。

 (答申に関与した委員の氏名)

委員 岡澤 成彦、委員 小岩井 理史、委員 篠原 永明、委員 野田 崇

 (参考)調査審議の経過 令和6年度諮問受理第10

答申第234号

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