答申第232号
2026年3月6日
ページ番号:674275
大個審答申第232号
令和8年3月6日
大阪市長 横山 英幸 様
大阪市個人情報保護審議会
会長 岡澤 成彦
答申書
個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「法」という。)第105条第3項において準用する同条第1項に基づき、大阪市長(以下「実施機関」という。)から令和5年11月14日付け大健こ第412号により諮問のありました件について、次のとおり答申いたします。
第1 審議会の結論
実施機関が令和5年6月12日付け大健こ第114号により行った部分開示決定(以下「本件決定」という。)で開示しないこととした情報のうち、以下の情報を不開示とした部分を取り消し、その余の部分に対する同年9月12日付け審査請求(以下「本件審査請求」という。)は、棄却すべきである。
・文書1-1「保護などの理由」欄の4行目の「また」以降同行の末尾まで
・文書2-6及び文書3-4-4別紙14「重大な問題行動(Aはこれまでの、Bは今後おそれのある問題行動)」欄の「1殺人」から「17その他( )」の項目のうち数字を除いた部分
第2 審査請求に至る経過
1 開示請求
審査請求人は、令和5年4月28日、法第77条第1項の規定に基づき、実施機関に対し、「1私に対して実施機関大阪市長が令和4年2月2日に精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「精神保健福祉法」という)第29条の2の規定に基づく緊急措置入院決定処分に関して、実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した私の個人情報の全て。/2私に対して実施機関大阪市長が令和4年2月3日に法第29条の規定に基づく措置入院決定処分に関して実施機関の職員が職務上作成し又は取得した私の個人情報の全て。/3私が大阪府知事に対して令和4年3月5日付で行った上記緊急措置入院決定処分及び措置入院決定処分に対する審査請求に関して実施機関の職員が職務上作成し又は取得した私の個人情報の全て。」と表示して保有個人情報の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
2 本件決定
実施機関は、本件請求に係る保有個人情報を別表1の(い)欄のとおり特定して、開示していない理由を別表3に記載のとおり付して法第82条第1項に基づき部分開示決定を行った。
3 審査請求
審査請求人は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき、本件審査請求を行った。
第3 審査請求人の主張
審査請求人の主張は、おおむね次のとおりである。
1 申立の趣旨
部分開示文書中、一部の不開示部分について不開示決定の取消しを求める。
2 審査請求書における主張
(1) 法第78条第1項第1号について
本件処分にかかるこの類型の不開示部分は、審査請求人の診断書など、審査請求人に対する措置入院に際して、審査請求人を診察した際に作成された「入・通院期間、形態、病院名、病名」及びそれに関する追加情報、精神科治療歴、診断名、病名、生活歴及び現病歴、重大な問題行動、診察時の特記事項、症状についての記載である。
しかし、これらの保有個人情報は、審査請求人が知ったとしても、審査請求人の生命、身体、健康、生活又は財産を害する恐れがあるとは到底考えられない。例えば、精神科治療歴、生活歴及び現病歴などは、元より審査請求人としても知っている情報であるし、その他、審査請求人が自らについて医師が診断した結果を知ることにより、何かしら身体健康等が害されるというのは率直意味不明である。
そもそも、患者が診断内容について医師から説明を受け、情報の開示を受けることは患者の権利である。本件で診断を担当した大阪市総合医療センターも、患者の権利として、下記のものを列挙している。
① 個人の尊厳を重視した安全で良質な医療を平等に受ける権利があります。
② 個人の医療に関する情報を理解できる言葉や方法で十分に提供された後、意見を述べるなど治療計画に参加し、自分の意思に基づいて医療行為を選択する権利があります。
③ 自分の受ける医療について、知る権利ならびに診療情報の開示を求める権利があります。
④ 診療に関する個人情報は、診療目的以外に使用されないよう厳密に保護されます。
⑤ プライバシーに配慮した医療の提供を受ける権利があります。
⑥ 自分の病気に関する説明、診断などを他の医療機関からも受ける権利があります。
このように、医師から診断名の説明を受けることは患者の権利であり、そのことによって、緊急措置診察や措置診察に関して医師が判断した内容についても、審査請求人としては知る権利があり、不開示とするのは誤りです。
(2) 法第78条第1項第2号について
この類型の不開示情報は、開示請求者以外の個人情報等との理由で不開示とされている。しかし、審査請求人には、審査請求書に添付の別紙1記載中、処分行政庁が法78条1項2号を理由にしている部分について、不開示部分が開示請求者以外の個人情報等であるのかを判断することができず、審査庁においてインカメラ手続きを実施していただきたいと考えている。
① 文書1-1中、保護などの理由の一部について
この不開示部分は、「元々、治療を中断していた。本日12時頃、女性同志でケンカしていると市民より110番通報あり。」との記載に続く部分が不開示となっている。
この点、審査請求人が緊急措置入院・措置入院に対して行った審査請求の弁明書(本件開示文書3-4-2、3-4-3)を見ると、同文書第3・1記載のように、警察官臨場後の状況についての記載があると思われるが、そのような内容に、開示請求者以外の個人情報等として不開示にすべき情報が入っているとは考え難く、この部分についての不開示処分は違法であると考えられる(この点を明らかにするために、審査庁においてインカメラ手続きで内容確認をして頂きたい)。
② 文書1-2中、保護などの理由の一部について
この不開示部分は、「41才女性 本日昼12時頃、女性同士でケンカしていると市民から通報あり」と「本人の父が仲裁しに来たが、本人父の足をまわしげり(2回)し、それを止めようとした被害者女性の鎖骨当たりを拳でなぐり、さらに左足すねをけった」の記載に挟まれた部分であるが、前記①同様、弁明書(本件開示文書3-4-2、3-4-3)を見ると、同文書3・1記載のように、警察官臨場後の状況についての記載があると思われるが、そのような内容に、開示請求者以外の個人情報等として不開示にすべき情報が入っているとは考え難く、この部分についての不開示処分は違法であると考えられる(この点を明らかにするために、審査庁にインカメラ手続きで内容確認をして頂きたい)。
③ 文書3-4-4別紙1中、保護などの理由の一部について
この文書は、文書1-1と同一の文書であるので、前記①の理由を援用する。
④ 文書3-4-4別紙2中、保護などの理由の一部について
この文書は、文書1-2と同一の文書であるので、前記②の理由を援用する。
第4 実施機関の主張
1 措置診察・措置入院の一連の流れについて
本件情報にかかる精神保健福祉法第23条に基づく警察官通報があり、次のとおり措置診察・措置入院を実施した。
(1) 警察官通報(精神保健福祉法第 23 条)
警察官通報とは、警察官が、職務を執行するに当たり、異常な挙動その他周囲の事情から判断して、精神障がいのために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認められる者を発見したときに義務づけられている大阪市長への通報のことである。
本市では、平日開庁時間においては、各区保健福祉センター担当職員が、警察官からの通報を受け付ける。各区保健福祉センター担当職員は事前調査を実施し、実施機関の担当部署であるこころの健康センターに電話で報告を行うこととなっている。こころの健康センター職員は、各区保健福祉センターの事前調査の内容を聞き取り、「通報聴取録兼措置入院のための移送に関する事前調査票」に記録し、措置診察実施の判断を行う。
また、夜間、休日及び年末年始(以下「夜間、休日等」という)においては、大阪府、大阪市、堺市の緊急措置診察実施に関わる権限を有する緊急措置診察実施の責任者としての緊急措置診察受付職員(大阪府・大阪市・堺市の共同採用職員)が、警察官からの通報を受け付け、緊急措置診察実施の判断、受入病院の決定を行うとともに、受入病院、警察官、対象者を受入病院へ搬送する移送班との連絡調整を行う仕組み(以下「精神科緊急医療システム」という。)となっており、このうち緊急措置診察受付職員が通報内容を記録したものが、「大阪市精神科救急医療システム通報聴取録」 である。
本件については、平日開庁時間に警察官通報があったが、措置診察実施の決定が夕刻となったため、診察実施が時間外に及ぶことから、こころの健康センターから「精神科緊急医療システム」へ案件の引継ぎを行ったものである。
(2) 緊急措置診察(精神保健福祉法第27条第1項)
緊急措置診察とは、指定医による診察(精神保健福祉法第27条第1項)のうち、夜間、休日等において、警察官からの通報により作成した「大阪市精神科救急医療システム通報聴取録」に基づき、緊急措置診察受付職員が必要と認める場合に実施する指定医による診察である。
緊急措置診察受付職員は、「大阪市精神科救急医療システム通報聴取録」の各項目に沿って、警察官から通報内容を聞き取りの上記録し、緊急措置診察の実施が必要であるかどうかの判定を行うが、本件については、こころの健康センターが通報内容の聞き取りを行い、診察実施の判断を行ったものを引継いだものであるため、「大阪市精神科救急医療システム通報聴取録」に必要な情報を記録し、指定医あてに診察を依頼する(精神保健福祉法第27条第1項)とともに、警察官及び家族あてに診察する旨を通知する(精神保健福祉法第28条第1項)。
指定医は依頼に基づき、対象者の診察を実施し、法第29条の2の入院が必要とするかどうかの判定(精神保健福祉法第28条の2)を行う。
(3) 緊急措置入院(精神保健福祉法第29条の2)
緊急措置入院とは、夜間、休日等において、急を要し、昼間(夜間、休日等以外)における精神保健福祉法第27条から29条に規定する手続きを採ることができない場合、その指定する指定医1名が行う上記(2)の緊急措置診察の結果、その者が精神障がい者であり、かつ、直ちに入院させなければその精神障がいのために自身を傷つけ又は他人を害するおそれが著しいと認めたときは、対象者の意思に関係なく、その者を国若しくは都道府県の設置した精神科病院又は指定病院に入院させる行政処分である。
緊急措置診察において緊急措置入院が必要と判断された場合は、立会職員(精神保健福祉法第27条第3項)が対象者へ緊急措置入院を告知(精神保健福祉法第29条第3項)し、指定医は判定(精神保健福祉法第28条の2)の結果について緊急措置入院に関する診断書を作成する。
この指定医が作成する緊急措置入院に関する診断書が、「措置入院に関する診断書」である。
(4) 措置診察(本鑑定)(精神保健福祉法第27条第1項)
措置診察(本鑑定)とは、昼間(夜間、休日等)において、警察官からの通報があった場合に、必要に応じて行う診察及び緊急措置入院後、入院継続が必要かどうかの判定を行う診察をいう。
緊急措置入院の期間は、72時間を超えることができない(精神保健福祉法第29条の2第3項)ため、引き続き入院が必要か否かについては、指定医2名以上の診察の結果、入院させなければその精神障がいのために自身を傷つけ又は他人を害するおそれがあることについて、各指定医の判定が一致した場合でなければならない。
措置診察(本鑑定)の実施に当たっては、本市が指定医に診察を依頼するとともに、家族(同席している場合)へ診察する旨を通知の上、診察を実施する。
(5) 措置入院(精神保健福祉法第29条)
措置入院とは、上記(4)の措置診察(精神保健福祉法第27条第1項)を受けた者が精神障がい者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障がいのために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると、指定医が認めたときは、その者を国若しくは都道府県の設置した精神科 病院又は指定病院に入院させる行政処分である。
緊急措置入院後に2名以上の指定医による措置診察(本鑑定)の結果、入院継続が必要と判定された場合、本市が対象者へ入院を告知し(精神保健福祉法第29条第3項)、指定医は判定(精神保健福祉法第28条の2)の結果について、措置入院に関する診断書を作成する。
この対象者に告知する文書が、「措置入院の決定のお知らせ(令和4年2月3日付け)」であり、指定医が作成する措置入院に関する診断書が、「措置入院に関する診断書」である。
対象者を措置入院先の病院へ移送する際には、診察した指定医が必要と認めた場合、行動の制限を行うことができる(精神保健福祉法第29条の2の2第3項)。その際は、指定医が「措置入院のための移送に関する診察記録票」を作成の上、本市が措置入院先の病院へ、対象者を移送することになる(精神保健福祉法第29条の2の2第1項)。
2 審査請求人が不開示とした決定の取り消しを求めた部分
不開示とした決定を取り消すよう請求があった部分は次のとおりである。
ア 通報聴取録兼措置入院のための移送に関する事前調査票のうち、「保護などの理由の一部」
イ 通報聴取録兼措置入院のための移送に関する事前調査票のうち、「『入・通院期間、形態、病院名、病名』及びそれに関する追加情報」
ウ 大阪市精神科緊急医療システム通報聴取録のうち、「保護などの理由の一部
エ 大阪市精神科緊急医療システム通報聴取録のうち、「精神科治療歴」「診断名」
オ 措置入院に関する診断書のうち「病名」、「生活歴及び現病歴」、「重大な問題行動」、「診察時の特記事項」
カ 措置入院のための移送に関する診察記録票のうち、「症状」
キ 措置入院に関する診断書のうち「病名」、「生活歴及び現病歴」、「重大な問題行動」、「診察時の特記事項」
ク 措置入院に関する診断書のうち、「病名」、「生活歴及び現病歴」、「重大な問題行動」、「診察時の特記事項」
ケ 緊急措置診察及び本鑑定の結果のうち、「診断名」
コ 立会聴取録のうち、「病名」
サ 「別紙1 通報聴取録兼措置入院のための移送に関する事前調査票」は上記アイ、「別紙1(大阪精神科救急システム通報聴取録(緊急措置診察))」はウエ、「別紙8(措置入院に関する診断書)」はオ、「別紙12(措置入院のための移送に関する診察記録票)」はカ、「別紙14、15(措置入院に関する診断書)」はキ、「別紙16(緊急措置診察及び本鑑定の結果)」はケと同一文書であり、不開示の取り消しを求めた部分も同じである。
3 本件決定で不開示とした理由について
(1) 上記イ、エ~コの各部分を不開示とした理由
措置診察から措置入院に至る一連の措置は、精神障がい者の自傷他害の危険を回避するために実施され、多くは病識に欠ける精神障がい者本人の意思に反して行われるものであることから、本人の認識と指定医による診断の結果に相違が生じる可能性があり、一般の診察と同様に考えることはできない。この場合、指定医は診察内容を本人等に知らせる義務を負うものではなく、命令者たる都道府県知事又は指定都市の市長に診断内容を報告するのみにて足りるものである。
本件情報を開示した場合、措置入院に対する本人の不服や、病識の欠如から、医師への不信を募らせ医療行為への無用な誤解や反発を生じることになり、本人に精神的な悪影響を与えることが予想される。これにより、本人の健康を害する事に繋がり、審査請求人の生命、身体、健康、生活を害するおそれがあるため法第78条第1項第1号に該当し、開示しないことにした。
(2) 上記のア及びウの各部分を不開示とした理由
上記ア及びウの情報は法第78条第1項第2号に該当し、審査請求人以外の個人に関する情報であり、審査請求人以外の個人が識別することができ、かつ同号ただし書イ、ロ、ハのいずれにも該当しないため、開示しないこととした。
4 審査請求人の主張について
(1) 法第78条第1項第1号を理由にしている部分について、医師から診断名の説明を受けることは患者の権利であり、そのことによって、緊急措置診察や措置診察に関して医師が判断した内容についても、審査請求人としては知る権利があり、不開示とするのは誤りであると主張しているが、上記3(1)で記載したとおり、措置入院に対する本人の不服や、病識の欠如から、医師への不信を募らせ医療行為への無用な誤解や反発を生じることになり、本人に精神的な悪影響を与えることが予想される。これにより、本人の健康を害する事に繋がり、審査請求人の生命、身体、健康、生活を害するおそれがあることから、本件決定は妥当であると考える。
(2) 法第78条第1項第2号を理由にしている部分について、審査請求人には、不開示部分が開示請求者以外の個人情報等であるかを判断することができず、審査庁においてインカメラ手続きを実施していただきたいと主張している。本件情報は審査請求人以外の個人が調査時の状況について発言した内容が記載されていることから、審査請求人以外の個人に関する情報であり、審査請求人以外の個人が識別することができ、かつ同号ただし書きイ、ロ、ハのいずれにも該当しないことため、本件決定は妥当であると考えることから、審査庁においてご確認いただきたい。
第5 審議会の判断
1 基本的な考え方
法第3条は、個人情報がプライバシーを含む個人の人格と密接な関連を有するものであり、個人が「個人として尊重される」ことを定めた憲法第13条の下、慎重に取り扱われるべきことを示すとともに、個人情報を取り扱う者は、その目的や態様を問わず、このような個人情報の性格と重要性を十分認識し、その適正な取扱いを図らなければならないとの基本理念を示しており、本市は、かかる基本理念を十分に踏まえて個人情報の保護に取り組む必要がある。
そして、法は、何人も自己を本人とする保有個人情報について、開示(法第76条第1項)、訂正(法第90条第1項)及び利用停止(法第98条第1項)を請求することができることを規定するとともに、これらの請求を受けた行政庁が、一定の場合に開示(法第78条第1項)、訂正(法第92条)又は利用停止(法第100条)をすべき義務を負っていることを規定しているところである。
したがって、当審議会において、法の定める個人情報の開示、訂正、利用停止の各請求に対する処分の当否を審議するに当たっては、上記の法の理念を踏まえ、個人の人格と密接な関連を有するものであることに配慮し、個人情報の開示、訂正及び利用停止を請求する市民の権利を十分に尊重する見地から行うこととする。
2 争点
実施機関が本件請求に係る保有個人情報を別表1の(い)欄のとおり特定したところ、別表2の(か)欄の記載の保有個人情報について、実施機関が(き)欄で開示しないこととした部分のうち、(く)欄で①と記載した部分(以下「本件不開示部分1」という。)については法第78条第1項第1号を理由に、②と記載した部分(以下「本件不開示部分2」といい、本件不開示部分1とあわせて「本件各不開示部分」という。)については同項第2号を理由に不開示としたのに対し、審査請求人は、本件各不開示部分は法第78条第1項第1号又は第2号には該当しないため開示すべきであるとして争っている。よって、本件審査請求の争点は、本件各不開示部分の法第78条第1項第1号又は第2号該当性である。
3 法第78条第1項第1号該当性について
(1) 法第78条第1項第1号の基本的な考え方について
法第78条第1項第1号は、本人の生命、健康、生活又は財産を害するおそれがある情報として不開示となる情報は開示しないことができると規定している。
開示請求制度は、本人に対して当該本人に関する保有個人情報を開示するものであり、通例は本人の権利利益を害するおそれはないものと考えられる。しかしながら、開示が必ずしも本人の利益にならない場合もあり得ることから、そのような場合に当たる情報は、不開示情報とされている。
具体例として、患者の精神状態、病状の進行状態等から、開示することで病状等の悪化をもたらすことが予見される場合における患者の病状に関する情報が該当するとされている。
(2) 本件情報の法第78条第1項第1号該当性について
当審議会において本件不開示部分1を見分したところ、警察官からの通報をもとに実施機関の職員が作成した記録、その記録をもとに実施された指定医による診察の判定の結果についての診断書等であり、いずれも本人の同意、了解を得て作成されるものではない。また、指定医の診察については、精神保健福祉法第27条に基づくものであり、通常の医師と患者の診療契約関係とは異なり、都道府県知事又は指定都市の市長の指定に基づくものであって、指定医は通常の診療契約に基づく場合のように診察内容を被診察者やその家族に対して知らせるべき義務を負う立場にあるとは認められず、一般の診察と同様に捉えることはできない。
これらを前提とすると、本件不開示部分1のうち、精神科治療歴、病名、生活歴及び現病歴、重大な問題行動、診察時の特記事項、病状については、その診断の多くが病識に欠ける精神障がい者本人の意思に反して行われるものであることから、本人の認識との相違が生じる可能性があり、措置入院に対する不服や病識の欠如から、指定医や実施機関への不信を募らせ医療行為への無用な誤解や反発を生じることで、本人に精神的な悪影響を与え、継続的な治療が必要となるにもかかわらず、治療を忌避することなどが予見されるなど開示することで病状等の悪化をもたらすことが予見されると認められるものであり、後述のなお書き部分を除いて不開示とすることが妥当である。
また、「入・通院期間、形態、病院名、病名」及びそれに関する追加情報のうち病名を除いたものと診断名については、一見、審査請求人本人が既に知り得る情報にも見受けられるものの、実施機関に確認したところ、指定医による診察の要否を検討するために、実施機関の自立支援医療(精神通院)の事務担当から収集した情報であり、審査請求人が認識している情報とも必ずしも一致するものではないとのことであるので、前段落と同様、不開示とすることが妥当である。
なお、文書1-8、2-6、2-7及び3-4-4別紙8、14、15において重大な問題行動を不開示としている部分のうち、文書2-6及び3-4-4別紙14のものにおいては、左端の「1殺人」から「17その他( )」の表側部分も黒塗り処理をしている。実施機関に確認したところこれは一部項目の数字部分に丸印が付けられており、この部分を開示するとどの項目に該当の有無が明らかになるための処理だとのことであるが、当該表側部分については、本来不開示情報に該当するものではないので、1から17の数字部分を不開示としたうえで、項目事項については開示とすべきである。
4 法第78条第1項第2号該当性について
(1) 法第78条第1項第2号の基本的な考え方について
法第78条第1項第2号は、開示請求者以外の個人に関する情報として不開示となる情報について規定している。
開示請求に係る保有個人情報の中に、開示請求の対象となる保有個人情報に係る本人以外の個人(第三者)に関する情報が含まれている場合において、第三者に関する情報を本人に開示することにより当該第三者の権利利益が損なわれるおそれがあるものは、不開示とされている。
具体的には、次に該当するものは不開示情報となる。
・ 氏名、生年月日その他の記述等により開示請求者以外の特定の個人を識別することができる情報(他の情報と照合することにより、開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は個人識別符号が含まれるもの
・ 開示請求者以外の特定の個人を識別することはできないが、開示することにより、なお開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの
なお、次の情報は、開示請求者以外の個人に関する情報として不開示となる情報から除かれている。
・ 法令の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報
・ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報
・ 公務員等の職及び職務の遂行に係る情報
(2) 本件情報の法第78条第1項第2号該当性について
当審議会において本件不開示部分2を見分したところ、保護などの理由の一部については、審査請求人以外の個人による陳述内容であることから、特定の個人を識別される情報であり、開示することにより個人の権利利益を害するおそれがある情報であると認められることから、次の部分を除いて不開示とするのが妥当である。
文書1-1の「保護などの理由」欄の4行目の「また」以降同行の末尾までの記載については、文書1‐2において同様の記載が開示されていること、記載内容も客観的事実についての記載に過ぎないことから開示とすべきである。
5 結論
以上により、第1記載のとおり、判断する。
(答申に関与した委員の氏名)
委員 塚田 哲之、委員 林 晃大、委員 堀田 善之、委員 矢口 智春
別表
略
(参考)調査審議の経過 令和5年度諮問受理第30号
略答申第232号
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答申第232号別表(DOCX形式, 43.57KB)
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