答申第235号
2026年3月6日
ページ番号:674281
大個審答申第235号
令和8年3月6日
大阪市長 横山 英幸 様
大阪市個人情報保護審議会
会長 岡澤 成彦
答申書
大阪市個人情報の保護に関する法律の施行等に関する条例(令和5年大阪市条例第5号)附則第3項の規定によりなお従前の例によることとされた同条例による改正前の大阪市個人情報保護条例(平成7年大阪市条例第11号。以下「旧条例」という。)第45条に基づき、大阪市長(以下「実施機関」という。)から令和4年8月31日付け大西成保生第30034号により諮問のありました件について、次のとおり答申いたします。
第1 審議会の結論
実施機関が令和4年5月6日付け大西成保生第30217号により行った部分開示決定(以下「本件決定」という。)のうち、実施機関が開示しないこととした「開示請求者以外の個人の氏名」の個人の署名及び印影を除く部分を非開示とした部分を取り消すとともに、本件決定を「支払案内書兼受領書」及び「居宅保護費支給確認書(現金払分)」を開示すべき文書とした全部開示決定を加えた決定に変更すべきである。
本件決定に対する令和4年8月1日付け審査請求(以下「本件審査請求」という。)のうち、「保護決定通知書」の開示を求める部分については、棄却すべきである。
第2 審査請求に至る経過
1 開示請求
審査請求人は、令和4年4月22日、旧条例第17条第1項に基づき、実施機関に対し、「移送費(通院交通費)に関する申請から支給までの全ての記録」を求める開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
2 本件決定
実施機関は、本件請求に係る保有個人情報を、「保護変更(医療扶助-通院移送費-)申請書」、「保護変更申請書(傷病届)」、「移送費(通院交通費)支給申請書」、「保護決定調書(一時扶助用)」、「医療要否意見書」、「医療扶助移送費支給検討表」、「給付要否意見書」(以下「本件各文書」という。)と特定した上で、旧条例第23条第1項に基づき、「開示請求者以外の個人の氏名」(以下「本件非開示部分1」という。)及び「法人の印影」(以下「本件非開示部分2」という。)を開示しない理由を次のとおり付して、本件決定を行った。
旧条例第19条第2号に該当
(説明)
本件非開示部分1については、開示請求者以外の個人に関する情報であって、当該情報そのものにより又は他の情報と照合することにより、開示請求者以外の特定の個人が識別される情報であると認められ、かつ同号ただし書ア、イ、ウのいずれにも該当しないため。
旧条例第19条第3号に該当
(説明)
本件非開示部分2については、法人等の事業活動を行う上での内部管理に属する事項に関する情報であって、開示することにより偽造あるいは転用のおそれがあり、当該法人等の事業運営が損なわれるおそれがあると認められ、かつ同号ただし書にも該当しないため。
3 審査請求
審査請求人は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき、本件審査請求を行った。
第3 審査請求人の主張
審査請求人の主張は、おおむね次のとおりである。
1 審査請求の趣旨
本件決定において開示されなかった「保護決定通知書」及び「支払案内書兼受領書」につきこれを開示せよとの裁決を求める。
2 審査請求の理由
(1) 審査請求人は、2022年5月13日、納入通知書に従い、1410円を納め、同日、西成区社会福祉センター分館にて、部分開示決定どおり処分庁保有の個人情報の写しの交付をうけた。
(2) しかしながら、審査請求人の移送費の支給申請について、処分庁は保護決定通知書を郵送し、審査請求人はこれを受取っている。
又、支給については、処分庁作成の支払案内書兼受領書に押印を求めてこれと引換えに現金支給している。
(3) この「保護決定通知書」及び「支払案内書兼受領書」は、審査請求人が開示請求した処分庁が保有する移送費に係る審査請求人の個人情報であるにもかかわらず、処分庁は部分開示決定ではこれを開示しておらず、その開示を求めて審査請求する。
3 令和7年7月10日収受審査請求人意見書における主張
(1) 「支払案内書兼受領書」は開示されなければならない。
処分庁は「弁明書」(令和4年12月1日付け)において、現金払い受領時にのみ必要な「支払案内書兼受領書」は、移送費(通院交通費)に関する申請から支給までの事務において、処分庁として「本件請求」による「申請から支給までの全ての記録」には該当しないものであると判断した、と主張しているが、処分庁の職員が受領書も受取らずに現金による支給をすることなどありえず、「申請から支給までのすべての記録」に該当することは当然である。
このような判断をしたというのはウソであり、審査請求人から開示されていないとの指摘を受けた後から考えられた苦しまぎれのいいわけにすぎないものである。
さらに、処分庁は情報提供すると提案したと主張しているが、この提案は、あらたに「開示決定」を行うことにより処分庁の不開示の違法性が明らかになることを隠ぺいしようとしてなされたものであると同時に、審査請求人がこれをうけた場合審査請求を「却下」できると考えたものであり、本来の情報提供の趣旨と制度に反する不当なものである。さらに、審査請求は開示請求を行った者として「不要である」などと申し出るはずはなく、処分庁の主張は虚偽である。
(2) 「保護決定通知書」は個人情報である。
審査請求人による移送費(通院交通費)の支給申請は、行政手続法第2条第3号に規定する「申請」であり、実施機関の職員である西成区保健福祉センター所長は、その諾否について応答しなければならないものである。
「保護決定通知書」は、その諾否の応答として支給の決定を審査請求人に通知するために、実施機関の職員がその職務として作成した文書記号、文書番号がつけられた公文書であると同時に、審査請求人の個人情報である住所・氏名が記録された開示請求にかかる「保有個人情報」である。
(3) 「保護決定通知書」は5年間保存されなければならない「保有個人情報」である。
「保護決定通知書」は「生活保護関係文書の保存期間について」(昭和35年9月29日社発第726号 各都道府県知事各指定都市市長宛 厚生省社会局長通知)により、5年間保存しなければならないものである。
「保護決定通知書」は大阪市公文書管理条例第6条第3項に規定する「別表」において「補助金、各種交付金及び給付金に関するもの」に該当し、5年間保存しなければならないものである。
(4) 移送費(通院交通費)にかかる「保護決定通知書」は電磁的記録である。
「保護決定通知書」の作成に当たっては、処分庁の職員はコンピューター処理をしている。
処分庁は「弁明書」(令和6年2月5日付け)において、医療扶助(移送費・通院交通費)に係る事務処理においては、起案者が立案する決定内容を生活保護システムに入力すれば、決裁欄を備えた「保護決定調書(一時扶助用)」と、その記載内容を定例通知文の形式に当てはめた「保護決定通知書」が出力され、前者稟議して決裁すれば、後者の通知内容は前者に従っておのずと定まることとなっている、と弁明しており、審査請求人に送付された「保護決定通知書」は生活保護システム内で作成された電磁的記録としての「保護決定通知書」が記録・保存されているものである。
この点につき、審査請求人が福祉局保課及び福祉システム課に確認したところ、「保護決定通知書」は電磁的記録として記録され保有しているが、生活保護システム上出力することができないシステムになっているとの回答であった。
(5) 処分庁は、移送費(通院交通費)にかかる「保護決定通知書」について5年間保存しなければならないものである。
処分庁は弁明書(令和6年2月5日付け)において、保護決定通知書」は行政処分の通知を行う通知文書であり、その通知は処分対象者である審査請求人に対しすでに交付済みであることから不存在である。「保護決定通知書」は交付用の用紙しか作成されておらず、当該用紙は処分対象者である被保護世帯の申請者に交付されるため、保護法の実施機関である当庁は、本件決定に係る「保護決定通知書」を実際に保有していない、と弁明している。
しかしながら、(3)において明らかなように、処分庁は移送費(通院交通費)にかかる「保護決定通知書」について5年間保存しなければならないものである。その移送費(通院交通費)にかかる「保護決定通知書」について、「不存在」や「保有していない」ことを理由としてこれを開示しないのは違法である。
このような違法な理由で開示されないのであれば情報公開制度や個人情報開示請求制度はなりたたない。
(6) 処分庁の生活保護システムは違法である。
処分庁は、審査請求人の保有個人情報開示請求(〇年〇月〇日付け)に対し、「保有個人情報を開示しない旨の決定(通知)」(令和〇年〇月〇付け大西成保生第〇号)において、開示をしないこととし理由として、大阪市の生活保護システムにおいて、移送費(通院交通費)にかかる保護決定通知書は、決定調書入力時のみ出力され、再出力及び生活保護システムの画面上で表示ができない、また出力された保護決定通知書の写しを保有していない、以上のことから当該保有個人情報は存在したが現在保有しておらず実際に存在しないため、と主張している。
審査請求人に送付された移送費(通院交通費)にかかる「保護決定通知書」は生活保護システム内で作成された電磁的記録を出力したものであり、(4)において主張したように、生活保護システム内には電磁的記録として記録され5年間保存されていなければならないものであるにもかかわらず「存在」しないとの主張は違法である。
さらに、再出力できないとのシステムは、電磁的記録の開示方法について定めた、個人情報保護の保護に関する法律の施行等に関する規則第9条第3号に反し違法である。
処分庁はこれに対応できるシステムを使用しなければならない。
(7) 処分庁は居宅保護費にかかる「保護決定通知書」について、これを開示している。
審査請求人の個人情報開示請求(〇年〇月〇日付け)について、処分庁は「保有個人情報を開示する旨の決定(通知)」(令和〇年〇月〇付け大西成保生第〇号)において開示する保有個人情報、全部開示として、平成27年8月から令和6年9月までに交付した居宅保護費にかかる保護決定通知書(システムデータの出力)、これを開示している。
同じ生活保護システムであり、同じ電磁的記録である「保護決定通知書」であるにもかかわらず、居宅保護費にかかる「保護決定通知書」については開示されているのにもかかわらず移送費(通院交通費)にかかる「保護決定通知書」についてこれを開示しないのは違法である。
第4 実施機関の主張
実施機関の主張は、おおむね次のとおりである。
1 移送費(通院交通費)に関する申請から支給までの事務について
移送費(通院交通費)に関する申請から支給においては、生活保護法による「医療扶助運営要領-第3医療扶助実施方式-9移送」の給付に基づき、「医運第3-9-(1)給付方針」により個別にその内容を審査し、「同(2)給付の範囲」に掲げる場合において、「同(3)給付手続き」により、「同(4)費用」の支給決定を行う。
当庁は、被保護世帯からの「保護変更(医療扶助-通院移送費-)申請書」及び「保護変更申請書(傷病届)」による申請があった際に、「医療要否意見書」「医療扶助移送費支給検討表」「給付要否意見書」によりその必要性を審査し、「移送費(通院交通費)支給申請書」で受診日等を確認し、必要最小限度を「保護決定調書(一時扶助用)」によって支給決定するものである。
2 「保護決定通知書」について
上記事務に基づき、その必要性が確認された移送費については、その支払い理由、方法、金額等を「保護決定調書(一時扶助用)」により支給決定する。その際に、被保護世帯に対し支払い理由、方法、金額等が記載された「保護決定通知書」を発行する。「保護決定通知書」は、本件審査請求書において審査請求人が「これを受取っている」と述べているように、支給対象世帯に送付されているものである。「保護決定通知書」については、事務取扱上、その控えの保管が必要とされているものではなく再発行もできないため、保護条例の実施機関である当庁は本件情報を実際に保有していない。
3 「支払案内書兼受領書」について
「支払案内書兼受領書」においては、移送費の支給決定時にその支払い方法が現金払いの場合のみ発行され、銀行窓口での受領の際に必要となり、受領欄には現金受領時に押印又は自署が求められる書類となる。
よって、現金払い受領時にのみ必要な「支払案内書兼受領書」は、移送費(通院交通費)に関する申請から支給までの事務において、処分庁として「本件請求」による「申請から支給までの全ての記録」には該当しないものであると判断した。
なお、本件情報の開示後に、審査請求人より開示資料の中に「支払案内書兼受領書」が含まれていないとの申し出があったため、後日「支払案内書兼受領書」を情報提供すると提案したが、不服審査請求を行う予定のため不要であるとの申し出があった。よって、情報提供等による交付には至っていない。
第5 審議会の判断
1 基本的な考え方
旧条例の基本的な理念は、第1条が定めるように、市民に実施機関が保有する個人情報の開示、訂正及び利用停止を求める具体的な権利を保障し、個人情報の適正な取扱いに関し必要な事項を定めることによって、市民の基本的人権を擁護し、市政の適正かつ円滑な運営を図ることにある。したがって、旧条例の解釈及び運用は、第3条が明記するように、個人情報の開示、訂正及び利用停止を請求する市民の権利を十分に尊重する見地から行わなければならない。
しかしながら、旧条例は、全ての保有個人情報の開示を義務づけているわけではなく、第19条本文において、開示請求に係る保有個人情報に同条各号のいずれかに該当する情報が含まれている場合は、実施機関の開示義務を免除している。もちろん、第19条各号が定める非開示情報のいずれかに該当するか否かの具体的判断に当たっては、当該各号の定めの趣旨を十分に考慮するとともに、当該保有個人情報の取扱いの経過や収集目的などをも勘案しつつ、旧条例の上記理念に照らして市民の権利を十分に尊重する見地から、厳正になされなければならないことはいうまでもない。
2 争点
審査請求人は、本件決定で特定されなかった「保護決定通知書」及び「支払案内書兼受領書」を開示するべきである旨を主張しているのに対して、実施機関は本件決定に問題は無い旨を主張している。そのため、本件審査請求における争点は、本件請求の対象となる保有個人情報として、本件文書以外に保有個人情報が存在するか否かである。
また、審査請求人は直接主張しているものではないが、本件非開示部分1及び本件非開示部分2の旧条例第19条第2号及び第3号該当性も本件決定の妥当性に影響を与えるため、あわせて当審議会において検討する。
3 本件請求の対象となる保有個人情報について
(1) 保護決定通知書について
審査請求人は、実施機関から送付された保護決定通知書を受け取っていることから、当該文書を本件請求の対象となる保有個人情報として特定されるべき旨を主張している。この点について実施機関は、保護決定通知書は支給対象世帯に送付され、事務取扱上、その控えの保管が必要とされているものではない旨を主張している。当審議会において、実施機関より提供を受けた移送費(通院交通費)に係るマニュアルを見分したところ、実施機関の主張どおり、保護決定通知書の控えを保管する取扱いは定められていなかった。
また、実施機関は、保護決定通知書は再発行できない旨を主張している。この点について、事務局職員をして実施機関に確認させたところ、保護決定通知書はシステムの設定上1通のみ出力可能な仕様となっている(保護決定通知書を再出力すること自体は可能であるが、再出力した場合には、再出力した日付けでの通知書となる)ため、審査請求人に対して交付した保護決定通知書そのもののデータは保有しておらず、保護決定通知書に記載されている移送費(通院交通費)の支給内容については、システム上のデータとして保有しているものの、同データを出力した文書「保護決定調書(一時扶助用)」については本件決定で既に開示しているとのことであった。
この点、審査請求人は、実施機関が過去に、居宅保護費に係る保護決定通知書の電磁的記録を開示しており、同じ生活保護システムであり、同じ電磁的記録である「保護決定通知書」であるにもかかわらず、居宅保護費にかかる「保護決定通知書」は開示され、移送費(通院交通費)にかかる「保護決定通知書」についてこれを開示しないのは違法であると主張している。
これについて、実施機関から、本市システムの仕様上、居宅保護費にかかる保護決定通知書は、システムから決定通知書の再出力が可能なため開示する決定を行い、一方、移送費(通院交通費)にかかる保護決定通知書は、システム上再出力ができず、同一形状の電磁的記録も存在しないため、不存在による非開示決定を行ったとの説明があった。
上記、実施機関の説明に、特段、不自然、不合理な点は認められず、また、実施機関の説明を覆すに足る事実は認められない。したがって、実施機関は本件請求時において保護決定通知書を保有していないと認められるから、実施機関が保護決定通知書を本件決定で保有個人情報として特定しなかったことは妥当である。
(2) 支払案内書兼受領書について
審査請求人は、支払案内書兼受領書と引換えに移送費(通院交通費)の現金を受け取っていることから、当該文書を本件請求の対象となる保有個人情報として特定されるべき旨を主張している。この点について実施機関は、当該文書を保有しているものの、本件請求の内容である「申請から支給までの全ての記録」に支払案内書兼受領書は該当しないことから対象情報として特定しなかった旨を主張している。しかし、支払案内書兼受領書は移送費(通院交通費)を現金支給する際に審査請求人の署名又は押印とともに実施機関が取得する文書であるため、「支給までの全ての記録」に含まれると解することが自然であり、本件請求の対象であるとする審査請求人の主張には合理性があるものと認められる。
したがって、実施機関は、本件決定において支払案内書兼受領書を保有個人情報として特定すべきであった。
特定すべきであった支払案内書兼受領書については、実施機関としては非開示とすべき部分はないとのことであり、当審議会でも見分したところ、非開示とすべき部分は確認できなかった。
(3) その他の本件請求の対象となる保有個人情報について
当審議会において、実施機関より提供を受けた移送費(通院交通費)に係るマニュアルを見分したところ、マニュアルで作成又は取得されることとなっている文書のうち、居宅保護費支給一覧表(現金払分)及び居宅保護費受領書(現金払分)について本件決定で保有個人情報として特定されていないことが認められた。この点について実施機関に確認したところ、当該文書は作成又は保管しておらず、その代わりとなる居宅保護費支給確認書(現金払分)を作成して保有しているものの、本件請求の内容である「申請から支給までの全ての記録」に該当しないものと判断し、対象文書として特定しなかったとのことであった。しかし、当該文書は移送費(通院交通費)を現金支給する際に実施機関が作成する文書であり、当該文書には生活保護受給者の氏名が記録されるため、上記(2)と同様に、実施機関は、本件決定において当該文書を保有個人情報として特定すべきであった。
特定すべきであった居宅保護費支給確認書(現金払分)については、実施機関としては非開示とすべき部分はないとのことであり、当審議会でも見分したところ、非開示とすべき部分は確認できなかった。
マニュアルにおいて、作成又は取得することが定められている文書のうち、上記のほかにも本件決定において保有個人情報として特定されていないものがいくつか見受けられたが、事務局職員をして実施機関に確認させたところ、いずれも、審査請求人にかかる事案については作成又は取得の必要が無いものであるか、審査請求人にかかる保有個人情報が記載されていない文書であるとのことであり、かかる説明を覆すに足る事実は認められないことから、ほかに本件請求の対象として特定すべき保有個人情報は存在しないと認められる。
(4) 小括
以上より、実施機関は、本件決定で特定されなかった支払案内書兼受領書及び居宅保護費支給確認書(現金払分)を本件請求の対象となる保有個人情報として特定すべきであり、そのほかに本件請求の対象として特定すべき保有個人情報は存在しないと認められる。
4 本件非開示部分1及び本件非開示部分2の旧条例第19条第2号及び第3号該当性について
(1) 旧条例第19条第2号の基本的な考え方について
旧条例第19条第2号本文は、「開示請求者以外の個人に関する情報…であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により開示請求者以外の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)…又は開示請求者以外の特定の個人を識別することはできないが、開示することにより、なお開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの。」は開示しないものと規定しているが、同号ただし書では、これらの情報であっても、「ア 法令等の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報、イ 人の生命、身体、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報、ウ 当該個人が…公務員等…である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分」については、開示しなければならない旨規定している。
(2) 旧条例第19条第3号の基本的な考え方について
旧条例第19条第3号本文は、法人その他の団体(以下「法人等」という。)や事業を営む個人の事業活動や正当な競争は社会的に尊重されるべきであるとの理念のもとに、「法人等に関する情報又は開示請求者以外の事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、開示することにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」は、原則として開示しないことができると規定している。
そして、この「権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」とは、(ア)法人等又は事業を営む個人(以下「法人等の事業者」という。)が保有する生産技術上又は販売上の情報であって、開示することにより、当該法人等の事業者の事業活動が損なわれるおそれがあるもの、(イ)経営方針、経理、人事等の事業活動を行う上での内部管理に属する事項に関する情報であって、開示することにより、法人等の事業者の事業運営が損なわれるおそれがあるもの、(ウ)その他開示することにより、法人等の事業者の名誉、社会的評価、社会的活動の自由等が損なわれるおそれがあるものがこれに当たると解される。
(3) 本件非開示部分1の旧条例第19条第2号該当性について
当審議会で本件非開示部分1を見分したところ、医療機関が作成した医療要否意見書又は給付要否意見書に記載された当該医療機関の院長及び担当医師の氏名であることが認められた。かかる氏名は開示請求者以外の個人を識別することができるものであるため旧条例第19条第2号本文に該当する。しかし、実施機関によると当該医療機関の院長の氏名は当該医療機関のホームページで公表されているとのことであり、さらに、医師の氏名は医師法の規定により公にされていること、また、当該意見書は主治医が記載したものと推測されるところ、その氏名は審査請求人が当然知っているものと考えられることから、いずれも旧条例第19条第2号ただし書ア「法令等の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報」に該当する。したがって本件非開示部分1にかかる氏名に関する情報は旧条例第19条第2号に該当しない。
本件非開示部分1には個人の署名及び印影が含まれるところ、当該署名は本人が自書したものであり、その筆跡から特定の個人を識別しうるにとどまらず、個人を認証する機能を有していること、また、個人の署名及び印影が社会経済活動上、個人の認証機能として果たしている役割を考慮すると、開示することにより偽造等当該個人の権利利益を害する場合もあると認められることから、当該個人の氏名について公表する慣行があるからといって、当該署名及び印影を開示することが妥当であるとは認められない。よって本件署名及び印影は、同号ただし書アに該当せず、かつ、その性質上、同号ただし書イ及びウにも該当しない。
したがって、本件非開示部分1のうち、個人の署名及び印影にかかる部分は旧条例第19条第2号に該当するが、その余の部分は旧条例第19条第2号に該当しない。
(4) 本件非開示部分2の旧条例第19条第3号該当性について
当審議会で本件非開示部分2を見分したところ、いずれも医療機関の印影であることが認められた。ただし、本件文書全体を見ると、医療機関の印影であっても、その種類により開示しているものと非開示としているものと取扱いに差異があることが認められた。かかる取扱いについて実施機関に確認したところ、大きい角印については、本件文書でも割印としても使用されていること、その大きさ、形状から契約などの重要文書でも使用される印鑑であると判断し、非開示としたとのことである。一般に法人の印影については、事業活動を行う上での内部管理に属する事項であり、開示することにより偽造、悪用されるなど、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることは否定できず、上記の実施機関の説明を覆すに足る事実は認められない。したがって、印影を開示すると、偽造等のおそれが否定できず、旧条例第19条第3号本文に該当し、また、その性質上、同号ただし書に該当しないことは明らかである。
以上より、本件非開示部分2は旧条例第19条第3号に該当する。
5 結論
したがって、第1記載のとおり判断する。
(答申に関与した委員の氏名)
委員 塚田 哲之、委員 林 晃大、委員 堀田 善之、委員 矢口 智春
(参考)調査審議の経過 令和4年度諮問受理第16号
略答申第235号
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