答申第239号
2026年3月26日
ページ番号:675639
大個審答申第239号
令和8年3月26日
大阪市長 横山 英幸 様
大阪市個人情報保護審議会
会長 岡澤 成彦
答申書
個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「法」という。)第105条第3項において準用する同条第1項に基づき、実施機関から令和6年1月25日付け東成保福第4156号により諮問のありました件について、次のとおり答申いたします。
第1 審議会の結論
実施機関が令和5年12月6日付け大東成保福第4126号により行った全部開示決定(以下「本件決定」という。)に対する同月26日付け審査請求(以下「本件審査請求」という。)は、棄却すべきである。
第2 審査請求に至る経過
1 開示請求
審査請求人は、令和5年11月22日、法第77条第1項の規定に基づき、実施機関に対し、「2023年2月~3月に弁護士が参加している私達親子(母:〇〇)に関する一切の記録(保健福祉課保有分)」と表示して保有個人情報の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
2 本件決定
実施機関は、本件請求に係る保有個人情報を「高齢者虐待対応にかかる専門相談に関する開示請求者本人の情報/・事実確認チェックシート(令和5年2月10日作成)」と特定して、その全部を開示する旨の本件決定を行った。
3 審査請求
審査請求人は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき、本件審査請求を行った。
第3 審査請求人の主張
審査請求人の主張は、おおむね次のとおりである。
1 申立の趣旨
本件決定を取り消し、改めて弁護士に相談した記録の開示を求める。
2 審査請求書における主張
相談日時、令5年2月21日、専門家(弁護士等)が参加し、相談内容に東成区役所が「ケガだけで保護が続行できるのか?」、弁護士が「行政手続の対象外のため、あいまいで構わない」と回答している記録されている文書を見たが、今回の決定に含まれていないから。
3 意見書における主張
〇年〇月末まで有期雇用として東成区役所保健福祉課に勤務していた〇〇〇〇は退職後に〇〇〇〇(偽名)として〇〇新聞のフリー記者を名乗って私の自宅固定電話に非通知で電話してきた。
〇年〇月〇日(〇)〇時頃に自宅の固定電話に非通知で電話があり、一方的に母の保護された経緯について説明し母の保護解除に協力したいとの話だった。
翌日〇月〇日(〇)に〇〇〇〇と会い、〇〇の喫茶店で専門家会議による報告書を見せられた。
第4 実施機関の主張
1 事実経過
高齢者虐待対応に係る専門相談は、区役所保健福祉課の職員等が「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成17年法律第124号)」に基づき、虐待の防止や虐待を受けた高齢者の保護並びに養護者に対する支援を行うに当たって、法律等の専門的知識を有する者から助言等を得られる制度であり、高齢者虐待にかかる専門相談事業実施要綱に基づき運用され、高齢者虐待対応にかかる専門相談依頼書及び報告書が定められているものである。相談員は弁護士、社会福祉士、医師である。
実施機関である区保健福祉課では、高齢者虐待防止法第9条第2項に基づき、令和5年2月10日に審査請求人の母を緊急一時保護し、老人福祉法(昭和38年法律第133号)第11条第2号に基づくやむを得ない措置を実施するにあたって、当相談制度を利用するため、福祉局地域福祉課宛てに令和5年2月14日に依頼し、相談結果報告を令和5年3月1日に行った。
相談は、令和5年2月21日午前中に実施したが、その際参考資料として専門相談員に、令和5年2月10日に開催したサービス利用調整会議において確認した事実確認チェックシート、当会議決定内容であるサービス利用調整会議記録兼支援計画書、及び令和5年8月以降の審査請求人及びその母の状況に係る経過内容を整理した経過表を提出した。
以上のような経過であることから、「2023年2月~3月に弁護士」に相談している事実は当相談以外にはなく、本件請求に対し本件文書を特定し、本件処分及び部分開示決定を行ったものである。
また、当専門相談結果を踏まえ、令和5年2月22日に審査請求人の母に対してやむを得ない措置を実施後、同年3月中には同措置は継続しており、新たな行政処分等を検討しておらず、区保健福祉課として当専門相談を行うべき事象もなく、事実、相談を実施していない。
2 補足
審査請求人は、区が「ケガだけで保護が続行できるのか?」、弁護士が「行政手続の対象外のためあいまいで構わない」と回答し記録されている文書を見たと主張し、別の報告書が存在している旨主張しているものと思われるが、令和5年2月21日の専門相談の一連の文書として、全部開示決定及び部分開示決定で特定した文書以外には存在しないため、再度検討した結果、処分庁では本件処分が妥当であるという結論に至った。
第5 審議会の判断
1 基本的な考え方
法第3条は、個人情報がプライバシーを含む個人の人格と密接な関連を有するものであり、個人が「個人として尊重される」ことを定めた憲法第13条の下、慎重に取り扱われるべきことを示すとともに、個人情報を取り扱う者は、その目的や態様を問わず、このような個人情報の性格と重要性を十分認識し、その適正な取扱いを図らなければならないとの基本理念を示しており、本市は、かかる基本理念を十分に踏まえて個人情報の保護に取り組む必要がある。
そして、法は、何人も自己を本人とする保有個人情報について、開示(法第76条第1項)、訂正(法第90条第1項)及び利用停止(法第98条第1項)を請求することができることを規定するとともに、これらの請求を受けた行政庁が、一定の場合に開示(法第78条第1項)、訂正(法第92条)又は利用停止(法第100条)をすべき義務を負っていることを規定しているところである。
したがって、当審議会において、法の定める個人情報の開示、訂正、利用停止の各請求に対する処分の当否を審議するに当たっては、上記の法の理念を踏まえ、個人の人格と密接な関連を有するものであることに配慮し、個人情報の開示、訂正及び利用停止を請求する市民の権利を十分に尊重する見地から行うこととする。
2 争点
本件審査請求における争点は、本件決定及び本件決定とあわせて行った部分開示決定で特定した情報以外に審査請求人が主張する内容の記載が記された保有個人情報の存否である。
3 本件保有個人情報の存否について
審査請求人は、本件決定に対して、審査請求人が見たとする実施機関と弁護士との特定のやり取りを記録した文書が含まれていないと主張していることから、本件決定以外に特定すべき保有個人情報が存在するかについて検討する。
実施機関に確認したところ、高齢者虐待防止法に基づく緊急一時保護を行う際には、状況に応じて、実施機関は高齢者虐待に係る専門相談を受けることとしており、審査請求人の母親に関する専門相談は、緊急一時保護を開始した令和5年2月10日以降に初めて実施したものであるとのことである。その後、実施機関は令和5年12月1日にも専門相談を行っているが、その相談内容は審査請求人の母親の処遇に関する後見人との今後の調整の仕方についての相談であり、その記録についても審査請求人が審査請求書の「審査請求の理由」において主張する記載はないとのことである。また、高齢者虐待に係る緊急一時保護の判断及びやむを得ない事由による措置決定は各区役所の保健福祉センターにおいて手続が行われるものであるところ、実施機関の職員が専門相談の記録に関して実際に審査請求人とやり取りした事実はなく、実施機関である東成区役所以外の機関が審査請求人と当該専門相談に係るやり取りを行うことは通常考えられないとのことである。
また、本件請求において、審査請求人は請求対象の期間を2023年2月から3月に限定しているが、仮に当該期間に限定しなかったとしても、前述のとおり後見人との相談の記録があるのみであり、審査請求人が審査請求書の「審査請求の理由」において主張している記載とも一致するものではないとのことである。
なお、本件請求に対して、全部開示決定についてのみ審査請求がなされており、部分開示決定については審査請求がなされていないが、当該部分開示決定で特定した文書を見分したところ、専門相談報告書の記載に「行政不服審査法については『行政手続き法の対象外』と回答してもらってよい。」との記述が認められる。仮に審査請求人の主張がこの記述のことを指すとすれば、部分開示決定が行われ、既に開示の実施が行われている。
また、審査請求人は口頭意見陳述に代わり提出した意見書において、実施機関に在籍していた元職員とされる人物から専門家会議による報告書を見せられたと主張し、審査請求人と元職員とされる人物とのやり取りの一部を抜粋した会話録を添付している。この点について、事務局職員をして実施機関に確認したところ、専門家会議なるものは存在せず、審査請求人の主張に合致し得るものとしては、前述の専門相談の記録のみであるとのことである。
以上を踏まえ、審議会としては、他に存在するはずであるとする審査請求人の主張の根拠及び実施機関の主張を覆すに足る事実も確認できないことから、本件請求に係る保有個人情報として他に特定すべき情報は存在しないとする実施機関の主張に不自然、不合理な点は認められない。
4 結論
以上により、第1記載のとおり、判断する。
(答申に関与した委員の氏名)
委員 岡澤 成彦、委員 小岩井 理史、委員 篠原 永明、委員 野田 崇
(参考)調査審議の経過 令和5年度諮問受理第37号
略答申第239号
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