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答申第547号

2026年6月29日

ページ番号:681794

大情審答申第547号 
令和8年6月29日 

大阪市長 横山 英幸 様

大阪市情報公開審査会 
会長 小谷 真理

 答申書

 大阪市情報公開条例(平成13年大阪市条例第3号。以下「条例」という。)第17条に基づき、大阪市長(以下「実施機関」という。)から令和7年6月17日付け大デ統第24号により諮問のありました件について、次のとおり答申いたします。

第1 審査会の結論
 実施機関が令和7年6月3日付け大デ統第20号により行った部分公開決定(以下「本件決定」という。)に対する同月5日付けの審査請求(以下「本件審査請求」という。)は、棄却すべきである。

第2 審査請求に至る経過
1 公開請求
 審査請求人は、令和4年1124日、条例第5条の規定に基づき、実施機関に対し、請求する公文書の件名又は内容として、「bb0002@city.osaka.lg.jpが受信したメール文書。(件名、fromtoCC、添付ファイルを含む)(202211月1日~10日まで)」と表示して公文書の公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。
2 本件請求に対する当初の決定
 実施機関は、令和5年1月10日、本件請求に係る公文書を、「組織メールアドレスbb0002@city.osaka.lg.jpが受信したメール(添付ファイル含む。202211月1日から同月10日まで)(88件)」と特定した上で、条例第10条第1項に基づき、部分公開決定(以下「当初決定」という。)を行った。
3 当初決定に対する審査請求及び諮問
 審査請求人は、令和5年4月10日、当初決定を不服として実施機関に対して、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき、審査請求(以下「前回審査請求」という。)を行った。
 実施機関は、同年5月9日、前回審査請求について、審査会への諮問を行った。
4 前回審査請求に係る答申及び裁決
 審査会は、当初決定において非公開とした部分の一部を公開すべきであると判断し、令和7年3月27日、答申(大情審答申第538号(以下「前回答申」という。)参照。)を行った。
 実施機関は、同年5月8日、前回答申において公開すべきと判断された部分について取り消し、前回審査請求のその余の部分を棄却する旨の裁決(以下「前回裁決」という。)を行った。
5 前回裁決後の措置
 実施機関は、前回裁決において取り消した部分のうち、「内閣府職員の業務用個人メールアドレス」が含まれない公文書については、公開決定を行い、含まれる次の(1)の公文書については、「内閣府職員の業務用個人メールアドレス」を公開しない理由を次の(2)のとおり付して、条例第10条第1項に基づき、本件決定を行った。
(1) 公文書の件名
 組織メールアドレスbb0002@city.osaka.lg.jpが受信したメール(添付ファイル含む。202211月1日から同月10日まで)(88件)のうち、下記メール2件
(メールの件名)
・「(11/15〆・調査依頼)PPP/PFIの実施状況等に関する調査について(市政改革室)」(令和4年111日受信メール)
・「FW:【周知依頼】民間資金等活用事業調査費補助事業につきまして(令和4年度補正)」(令和4年1110日受信メール)
(2) 公開しない理由
大阪市情報公開条例第7条第5号に該当
(説明)
 当該情報は、内閣府の事務事業に関する情報であって、当該情報を公にすることにより事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすことに相当の蓋然性があるかどうかについて、裁決を踏まえ、内閣府へ確認したところ、「当府職員に係る情報についても、開示された場合には、いたずらや偽計等に使用されることにより、当該職員の日々の業務実施に際し、その公正かつ能率的な遂行が不当に阻害され、事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることが明らかであり、他省庁職員に係る情報と同じく非公開としていただきたい。」との回答があり、当該情報を公にすることにより事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため。
6 審査請求
 審査請求人は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき、本件審査請求を行った。

第3 審査請求人の主張
 本件審査請求における審査請求人の主張は、おおむね次のとおりである。
1 審査請求の趣旨
 公開しないこととした部分の非公開を取り消し、公開の決定を求める。
2 審査請求の理由
 本件決定において公開しないとされた部分は、非公開情報に該当しないと思料するため。
3 口頭意見陳述
 前回答申では開示すべきとされているにもかかわらず、処分庁は、一部公開しなかった。有り得ない話であり、条例第17条の尊重義務に明らかに反している。
 情報公開制度が始まって以来、おそらく初めてのケースであり、処分庁のしたことは、明らかにこの答申に反し、蔑ろにしている。
 前回答申の判断は、内閣府職員のメールアドレスについて、処分庁が内閣府に確認したところ、特段非公開をすることを定める規程や規則は特に定めていないので、各自治体の判断に任せるという回答だったことから、公開することによる支障は認められないというものである。
 にもかかわらず、処分庁は、もう一度確認をし、その回答によって判断しているが、そもそも1回確認している以上、再度確認する必要性がない。
 さらに、どのような質問を行ったのかを処分庁に確認したところ、内閣府以外の機関は、公開しないというルールを定めているという、要するに翻意を促すような質問の仕方をしており、理不尽と言わざるを得ない。
 よって、納得できないので、審査請求を再度行った。前回答申を蔑ろにする本件決定は、明らかに条例違反であり、法令違反であり、市民感覚、市民感情からしても受け入れられない。

第4 実施機関の主張
 実施機関の主張は、おおむね次のとおりである。
1 決定の理由
(1) 内閣府職員のメールアドレスについて
 前回裁決を踏まえ、処分庁において、内閣府に対し、当該情報を公にすることにより事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすことに相当の蓋然性があるかどうかについて確認したところ、内閣府からは、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号。以下「情報公開法」という。)第5条第6号を根拠に「当府職員に係る情報についても、開示された場合には、いたずらや偽計等に使用されることにより、当該職員の日々の業務実施に際し、その公正かつ能率的な遂行が不当に阻害され、事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることが明らかであり、他省庁職員に係る情報と同じく非公開としていただきたい。」との回答があった。
 加えて、前回審査請求において、内閣府に対し業務用個人メールアドレスの取扱いについて確認を行った際の内閣府からの回答内容(審査会注:前回答申第5.3(2)ウ参照)について、「特段不開示とすることを定める規定等はない」というのは、内閣府において独自の定めがないことを示しており、取扱いについては、情報公開法に基づくものであり、当該答申において業務用個人メールアドレスが非公開となった他省庁においても同法に基づく対応を行っていることから、同様に非公開として取り扱われるものである。また、「各自治体での判断で可。」という内容についても、最終的には処分庁が根拠法令としている条例に基づき判断し、決定されるものであるという考えによるものである旨回答があった。
(2) 条例第7条第5号該当性について
 処分庁における業務用個人メールアドレスの取扱いについては、「当該情報を公開することにより、業務と関係のないメールが大量に送信され業務に支障が生じるおそれ、迷惑メールに含まれるウイルスによって感染被害が生じるおそれ及び職員に対して直接個人攻撃をするような電子メールが送られるおそれなど、事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」として、条例第7条第5号を根拠として非公開としているところである。
 また、本件決定に際し、処分庁が内閣府に対して、内閣府職員のメールアドレスを公にすることにより事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすことに相当の蓋然性があるかどうかについて確認をしたところ、内閣府においても「職員の業務用個人メールアドレスが開示された場合には、いたずらや偽計等に使用されることにより、当該職員の日々の業務実施に際し、その公正かつ能率的な遂行が不当に阻害され、事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」として、情報公開法第5条第6号を根拠として回答があった。
 上記のことから、処分庁同様、内閣府においても職員の業務用個人メールアドレスを公開することに一定のセキュリティリスクがあると考えるのが妥当である。
 なお、内閣府においても、本市同様、市民等からの意見や感想等を受け付けるためのフォームや代表電話番号を用意しており、別途連絡手段を設けていることから、内閣府職員のメールアドレスを公開することによる公益性についても低いものであると考える。
 内閣府が根拠法令とする情報公開法第5条第6号については、事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報については不開示情報となる旨が規定されており、その内容については条例第7条第5号と同様の内容であることから、内閣府職員のメールアドレスは、条例第7条第5号に該当するものと判断した。
2 結論
 以上の次第であり、本件決定は、条例にのっとった適正なものである。

第5 審査会の判断
1 基本的な考え方
 条例の基本的な理念は、第1条が定めるように、市民の公文書の公開を求める具体的な権利を保障することによって、本市等の説明責務を全うし、もって市民の市政参加を推進し、市政に対する市民の理解と信頼の確保を図ることにある。したがって、条例の解釈及び運用は、第3条が明記するように、公文書の公開を請求する市民の権利を十分尊重する見地から行われなければならない。
 しかしながら、条例は全ての公文書の公開を義務づけているわけではなく、第7条本文において、公開請求に係る公文書に同条各号のいずれかに該当する情報が記載されている場合は、実施機関の公開義務を免除している。もちろん、この第7条各号が定める情報のいずれかに該当するか否かの具体的判断に当たっては、当該各号の定めの趣旨を十分に考慮しつつ、条例の上記理念に照らし、かつ公文書の公開を請求する市民の権利を十分尊重する見地から、厳正になされなければならないことは言うまでもない。
2 争点
 審査請求人は、「内閣府職員の業務用個人メールアドレス」(以下「本件非公開部分」という。)が非公開情報に該当しないと主張するのに対し、実施機関は、条例第7条第5号に該当するとして争っている。
 したがって、本件審査請求における争点は、本件非公開部分の条例第7条第5号該当性である。
3 争点について
(1) 条例第7条第5号の基本的な考え方について
 条例第7条第5号は、本市の機関等が行う事務又は事業の目的を達成し、公正、円滑な執行を確保するため、「本市の機関又は国等が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」は公開しないことができると規定している。
 ここで「当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」とは、事務又は事業に関する情報を公開することによる利益と支障を比較衡量した上で、公開することの公益性を考慮しても、なお、当該事務又は事業の適正な遂行に及ぼす支障が看過し得ない程度のものをいい、また、こうした支障を及ぼす「おそれがある」というためには、抽象的な可能性では足りず、相当の蓋然性が認められなければならないと解される。
(2) 取消裁決後の措置として非公開としたことの是非について
 本件非公開部分は、上記第2.4及び5記載のとおり、審査会が前回答申において公開すべきと判断したものの、前回裁決後の措置において実施機関が非公開としたものである。
 これに対し、審査請求人は、実施機関が一度、内閣府に本件非公開部分の公開の是非を確認しているにもかかわらず、不要と思われる再度の確認を行い、その結果を踏まえ、裁決後の措置として本件非公開部分を非公開としたのは、前回答申の判断を蔑ろにしており、認められない旨を主張していると考えられる。
 この点については、どの時点の事情をもとに違法・不当を判断すべきかを考慮すれば、実施機関の判断に不適切な点はないと考えられるため、次のとおり、補足する。
 裁決に当たっては、処分時の事情をもとに違法・不当を判断するのか、あるいは、裁決時の事情をもとに違法・不当を判断するのかが問題となるが、①取消訴訟における判断基準時は、原則的には、処分時説を採用していると考えられること、②学説において「日本法では一律な不服申立前置主義を採用していないし(行政事件訴訟法8条1項)、不服申立手続と裁判手続が並行することを前提としていること(同条3項)、審査請求裁決の取消訴訟においては裁決固有の瑕疵のみを主張できることなどに鑑みると、不服申立ての違法判断の基準時と取消訴訟の違法判断の基準時は等しくなると考えられる」(塩野宏「行政法Ⅱ」〔第6版〕有斐閣、2019年、41頁~42頁参照)と述べられていること、③裁決時を基準とすると、該当性判断に当たっては、時の経過に伴う事情の変化の可能性は大きく、その時々刻々の状況を確認して判断を行うことは審議期間を長引かせることになる一方、情報公開請求を行うに当たって回数の制限等はなく、審査請求人としては時の経過に伴い当初の実施機関の理由が成り立たないと考えるなら、新たな公開請求を行うことは可能であることから、処分時説を採用するのが合理的であると考えられる。
 一方、当初決定のような申請拒否処分の取消しに伴う措置においては、措置時点を基準に判断すべきであるから、本件決定に当たっては、本件決定時の事情をもとに条例第7条各号の該当性を判断することとなる(小早川光郎・高橋滋「条解 行政不服審査法」〔第2版〕弘文堂、2020年、246頁参照)。
 そのため、本件のように、当初の決定時の事情に基づき非公開部分の非公開を取り消す裁決を行ったものの、措置時の事情に基づき決定を行うに当たり、再度の確認を行うこと及び改めて非公開部分を非公開とすることは、判断時点が異なる以上、有り得ることである。
(3) 本件非公開部分の条例第7条第5号該当性について
 本件非公開部分については、内閣府の回答に記載のとおり、公にすると、いたずらや偽計等に使用されることにより、当該職員の日々の業務実施に際し、その公正かつ能率的な遂行が不当に阻害されると考えられ、内閣府の事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすことに相当の蓋然性があるとする実施機関の主張について、不自然・不合理な点はない。
 以上のことから、本件非公開部分は、条例第7条第5号に該当する。
4 結論
 以上により、第1記載のとおり、判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
委員 小谷 真理、委員 奥村 裕和、委員 村田 尚紀 

(参考)答申に至る経過
令和7年度諮問受理第77
(略)

答申第547号

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