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第79回 大阪市住宅審議会 (会議録)

2014年9月10日

ページ番号:29189

1.日時

平成21年2月5日(木) 15時30分から17時

2.場所

綿業会館大会場(本館7階)

3.出席者

(市長)

平松大阪市長

(委員)

三輪会長、山本会長代理、大竹委員、北山委員、篠田委員、高田委員、谷委員、徳矢委員、長崎委員、中島委員、中本委員、波多野委員、久委員、弘本委員、福永委員、村田委員、矢田貝委員

(幹事)

岩城都市整備局長、浅井政策企画室理事、北村計画調整局長、平岡都市整備局理事、酒井都市整備局企画部長、渋谷都市整備局まちづくり事業部長、中村都市整備局住宅部長、国松都市整備局住宅整備担当部長

(事務局)

野口住宅政策担当課長、坂中住宅政策担当課長代理

(注) JISコードにない漢字は一番近い字で代用しています。

4.議題

今後の住宅施策の方向について

5.会議録

【項目】

(1) 開会

  • 資料の確認、市長挨拶

(2) 委員・幹事の紹介

(3) 会長・会長代理の選出

(4) 諮問

  • 「6.会議配布資料」(1)の説明及び質疑

(5) 今後の住宅施策の方向について

  • 「6.会議配布資料」(2)の説明
  • 「6.会議配布資料」(3)及び(4)の説明
  • 説明に対する質疑、意見等

(6) 今後の進め方

(7) 閉会

(1) 開会

(酒井都市整備局企画部長)

 どうも本日はお忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。ただいまから第79回大阪市住宅審議会を開催させていただきます。私は、本審議会の幹事を務めさせていただいております都市整備局企画部長の酒井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。本日の審議会につきましては、新たな任期での最初の審議会でございますので、会長ご選出までの間、私が進行役を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 報道関係及び傍聴の皆様におかれましては、会議の妨げにならないよう傍聴要領に従っての傍聴をよろしくお願いいたします。

 それでは初めに、お手元に置かせていただいております本日の資料の確認をさせていただきます。まず、「第79回大阪市住宅審議会」と表紙がついたA4の資料、この資料の中に会議次第、委員及び幹事の名簿、審議会規則が綴じてございます。そのほか、座席表を置かせていただいております。次に、後ほど市長よりご説明させていただきます諮問書がございます。続きまして、資料1といたしまして、A4の表題が「近年の住まい・まちづくりをとりまく情勢」という資料がございます。次に、資料2といたしまして、同じくA4の表題が「住宅審議会答申(平成16年8月)に基づく主要な施策」という資料がございます。一番下にA3の表題が「住宅審議会答申(平成16年8月)に基づく施策の実施状況」という資料がございます。あと、委員の皆様と幹事の方々には、ご参考に平成16年度の本審議会答申をお手元に置かせていただいております。資料は以上でございます。不備等はございませんでしょうか。

 それでは、議事に先立ちまして、平松大阪市長より本日の審議会開催にあたりましてご挨拶をさせていただきます。市長、よろしくお願いいたします。

 

(平松大阪市長)

 皆様こんにちは。大阪市長の平松でございます。本日は大変お忙しい中をお集まりくださいまして、誠にありがとうございます。大阪市住宅審議会委員の皆様方には、日ごろ大阪市の住宅行政へのご提言をいただくとともに、市政の各般にわたり格別のお力添えを賜っており、この場を借りまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。大阪市では、本審議会からの答申や提言を踏まえまして、各種の住宅施策を積極的に推進しておりますところでございます。現在は平成16年にいただきました答申に基づき、これまで市民との協働によりHOPEゾーン事業でありますとか、あるいは密集住宅市街地整備を推進するとともに、子育て層の市内居住を促進するために子育て世帯向けの住宅ローン利子補給制度でありますとか、子育て安心マンション認定制度を創設するなど、市民が愛着を持って安心して暮らせる住まい、そしてまちづくりの実現に努めているところでございます。

 また、現在、百年に一度と言われる経済状況の中で、社宅や寮の退去を余儀なくされた、そういう方たちを対象に、市営住宅の緊急提供という形を取らせていただき、市民生活の安定の確保にも力を尽くしているところでございます。

 平成20年10月には、「『元気な大阪』をめざす政策推進ビジョン」という私のビジョンを出させていただきまして、その中で市民の皆様と一緒になって、新たな大阪を作り上げていきたいという私の思いを語らせていただきました。中でも、市民生活の基盤でございます住宅、住環境をよりよいものにしていくことが重要な課題であると考えています。現在、都心部では非常に大きな開発が進んでいる一方で、周辺のところでは老朽住宅密集地というものが存在しており、そういった中で、市民の安心・安全をどうやって守るのかという面でも、この審議会でご審議を賜り、ご提言をいただいて、そのご提言に沿うような形での実行というものを目指してまいりたいと、こういう思いでおります。

 今後の住宅施策の方向につきまして引き続き皆様方の一層のご指導、ご助言をいただけるようお願い申し上げまして、ご挨拶にかえさせていただきます。ありがとうございます。

(2) 委員・幹事の紹介

(酒井都市整備局企画部長)

 それでは、続きまして本日ご出席の委員の皆様方をご紹介させていただきます。私のほうより一括してご紹介させていただきたいと存じますので、ご紹介の際には、誠に恐れ入りますが、その場で結構でございますので、ご起立のほどよろしくお願いいたします。名簿のほうの順に沿ってご紹介させていただきます。

 最初に、大阪大学社会経済研究所教授の大竹文雄委員でございます。続きまして、大阪市住まい公社理事長、北山啓三委員でございます。続きまして、大阪市立大学大学院生活科学研究科准教授、篠田美紀委員でございます。続きまして、京都大学大学院工学部研究科教授、髙田光雄委員でございます。続きまして、大阪市立大学大学院生活科学研究科教授、谷直樹委員でございます。続きまして、弁護士の德谷典子委員でございます。続きまして、社団法人大阪府宅地建物取引業協会理事、長﨑美津枝委員でございます。続きまして、毎日新聞大阪本社編集局次長、中島章雄委員でございます。続きまして、社団法人大阪建設業協会役員、中本修司委員でございます。続きまして、読売新聞大阪本社論説委員、波多野敬委員でございます。続きまして、近畿大学理工学部社会環境工学科教授、久隆浩委員でございます。続きまして、大阪ガスエネルギー文化研究所客員研究員、弘本由香里委員でございます。続きまして、独立行政法人都市再生機構理事・西日本支社長の福永清委員でございます。続きまして、大阪市立大学名誉教授、三輪雅久委員でございます。続きまして、産経新聞大阪本社総合企画室理事の村田貞博委員でございます。続きまして、大阪市地域女性団体協議会書記の矢田貝喜佐枝委員でございます。続きまして、元大阪市都市整備局長の山本晃委員でございます。

 なお、都市生活研究所代表取締役・社団法人関西経済同友会常任幹事の篠﨑由紀子委員、大阪府立大学特別教授・大阪市立大学都市研究プラザ特任教授の橋爪紳也委員、独立行政法人住宅金融支援機構近畿支店長の八野行正委員のお三方につきましては、本日、所用につきご欠席のご連絡を頂戴しております。

 今期の本審議会委員は、以上20名の皆様でございます。

 続きまして、ご退任されました委員の皆様をご紹介いたします。日本経済新聞社の佐々木委員、サントリー株式会社の佐藤委員、読売新聞の塩委員、大阪市立大学大学院の白澤委員、社団法人大阪府宅地建物取引業協会の森田委員、社団法人大阪建設業協会の山原委員、大阪市地域女性団体協議会の吉村委員、毎日新聞の渡辺委員、以上の8名の方が退任なさっておられます。

 続きまして、幹事と事務局の紹介をさせていただきます。まず、幹事でございますが、岩城都市整備局長でございます。続きまして、浅井政策企画室理事です。続きまして、北村計画調整局長でございます。続きまして、平岡都市整備局理事でございます。続きまして、澁谷都市整備局まちづくり事業部長でございます。続きまして、中村都市整備局住宅部長でございます。國松都市整備局住宅整備環境部長でございます。私、都市整備局企画部長の酒井でございます。また、事務局につきましては、本席のみご紹介させていただきますが、私の隣が野口都市整備局企画部住宅政策担当課長でございます。その隣が坂中住宅政策担当課長代理でございます。

 委員、幹事等の紹介につきましては以上でございます。

(3) 会長・会長代理の選出

(酒井都市整備局企画部長)

 それでは、続きまして会長の選出に入らせていただきます。

 お手元に、表に「第79回大阪市住宅審議会」とございます、会議次第や名簿などをとじたものをお配りいたしておりますが、こちらの一番後ろに大阪市住宅審議会規則をお載せいたしております。規則の第4条に「審議会に会長を置き、委員の互選によりこれを定める。」とございますので、委員の皆様方におかれまして当審議会の会長を選出していただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

(徳矢委員)

 大変僭越ではございますけれども、三輪委員に会長になっていただきたいと思いまして、推薦させていただきます。三輪委員は住宅分野に大変造詣が深く、前期も会長を務めてくださいまして、この審議会のリーダーを務めていただきました。そういういろいろ造詣深い先生にぜひ、今期もご苦労おかけいたしますけれども、会長を務めていただきたいと思って推薦させていただきます。皆様いかがでございましょうか、よろしくお願いいたします。

 

(委員から拍手)

 

(酒井都市整備局企画部長)

 三輪委員をご推薦ということでございましたが、皆様よろしゅうございますでしょうか。

 

(異議なし)

 

(酒井都市整備局企画部長)

 それでは、皆様方のご賛同によりまして三輪委員が本審議会の会長に選出されました。それでは、三輪委員、お手数でございますが会長席のほうへお移り願いたいと存じます。それでは、これからの議事につきましては三輪会長に進めていただきたいと存じます。三輪会長、どうぞよろしくお願いいたします。

 

(三輪会長)

 ただいまご推挙いただきました三輪でございます。非力でございますが、皆様方のご協力をいただきまして当審議会の役目が果たせますように努力いたしたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、本日の議事に入りたいと存じますが、まず、会長代理につきましては、住宅審議会規則第4条第3項におきまして会長が指名することに決まっております。つきましては会長代理には、前期もお願いしてございましたけども、山本晃委員に引き続きお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、会長代理、どうぞこちらへ。

 

(山本会長代理)

 ただいま三輪会長から会長代理のご指名をいただきました山本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

(4) 諮問

(三輪会長)

 それでは、議事を進めてまいりたいと存じます。

 本日は、初めに市長さんから、当審議会に対しまして今後の住宅施策の方向について諮問がございます。それでは、平松市長どうぞお願いいたします。諮問書は皆さんの座席の前にお配りしてあるかと存じます。どうぞそれをご覧ください。

 

(平松市長) 

 それでは、諮問書の内容についてご説明申し上げます。座らせていただきます。

 今回諮問させていただきますのは、「今後の住宅施策の方向について」でございます。お手元に配付いたしております諮問書の諮問趣旨をご覧いただきたいと存じます。大阪市では、市民の方々が安心して、愛着を持って暮らせる住まい、まちづくりに向けまして、これまで各種の住宅施策の推進に努めてきたところでございます。

 平成16年8月には大阪市住宅審議会から「活気あふれる多様な居住の実現-『まちに住まう』新時代をめざして-」を基本目標としました今後の住宅施策の方向及び5年間を目途に実施すべき具体的な施策について答申をいただき、この答申に基づきまして住宅施策の展開を図っているところでございます。

 これまでの施策の効果もございまして、市内の住宅・住環境の水準は着実に向上し、魅力ある居住地も形成されつつあります。一方、改善はされておりますものの、市内の住宅の居住水準は全国に比べると依然として低く、老朽木造住宅や耐震性が十分でない住宅も相当数残されているなど、本市の住宅事情はなお十分なものとは言えない状況にございます。また、人口動向について見ますと、都心部では幅広い年齢層で増加傾向にございますが、全市的には子育て世帯をはじめとした中堅層の市外への転出傾向が依然として続いております。

 前回の答申以降、住宅を取り巻く社会経済情勢に目を向けますと、少子・高齢化の進行や環境問題、防犯、まちづくりに対する市民意識の高まりなどがより顕著になりますとともに、各地で相次いだ大地震の発生等によりまして、災害に対する危機感が高まるなど、改めて対応を考えるべき変化が生じております。このような状況に加えまして、最近では世界同時の急激な経済状況の変化が市民生活に大きく影響を及ぼしてきております。

 今後、本市が「大都市、そして一番住みたいまちへ」を目指していくためには、各種の施策を総合的に展開していく必要がございます。

 中でも住宅政策の役割は極めて大きく、市民の居住水準の向上、安全で魅力ある住宅地の創出、市営住宅の管理・整備などにつきまして、社会経済情勢の変化や多様化・高度化する市民ニーズに的確に対応した施策を市民の方々やNPOの皆様方と私どもが連携・協働をしながら着実に推進していくことが重要であると考えております。

 このような状況を踏まえまして、これからおおむね5年間に取り組むべき施策を中心とした、今後の住宅施策の方向につきまして諮問させていただきます。

 委員の皆様方には何かとご苦労をおかけすることと存じますが、何とぞよろしくご審議いただきまして、ご答申を賜りますようお願い申し上げます。

 

(三輪会長)

 ありがとうございました。ただいま平松市長から諮問を頂戴いたしました。私どもの審議会としては、各委員さん方のお知恵を集めていただきまして、立派な答申ができるように努力をいたしたいと思います。

 後ほど、諮問の背景となります近年の住宅事情やまちづくりの状況などにつきまして、事務局から資料を使っての説明があるかと思います。ご意見などにつきましてはその際につぶさに議論をしていただくことにいたしまして、諮問をいただいた本審議会の会長として私のほうから一点お伺いしたいことがございますが、ただいまいただきました諮問について、およそどのくらいを目処に取りまとめることにしたらいいか、その点についてのご希望があれば事務局のほうへお尋ねいたします。

 

(岩城都市整備局長)

 審議会におきまして十分ご論議をいただきたいと存じますが、市長からも申し上げましたとおり、前回の答申から約5年を経過いたしまして、経済状況も大きく変化してきておりますことから、私どもといたしましてはできるだけ早い時期に答申をいただければと思っております。つきましては、皆様大変お忙しいことと存じますが、平成21年10月頃に素案を取りまとめていただき、素案に対する意見公募等の手続を経た後、平成21年度中に最終的な答申をいただければありがたいと考えておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 

(三輪会長)

 ありがとうございました。ただいまお聞きしましたように、平成21年の秋頃を目処に大きなテーマについて議論を重ねて、素案を作っていただき、事務局でその素案についての意見公募その他の手続を経まして、平成22年2月あるいは3月あたりを目処に、審議会としての意見を集約して、答申としてまとめさせていただく、そういうつもりで進めさせていただきたいと思います。どうぞ委員の皆様方もよろしくお願いいたします。

 それでは、当審議会としてお受けしました諮問につきまして、幾つものテーマがございますが、この審議会でその都度議論を重ねていくことにしたいと思っておりますので、よろしくご協力いただきますようにお願いいたします。

 市長さん、ご公務の都合で、お忙しいようでございますのでどうぞ。

 

(平松市長) 

 どうもありがとうございます。失礼いたします。

 

(三輪会長)

 どうも市長さんありがとうございました。

 

(平松市長) 

 どうもありがとうございました。よろしくお願いします。

 

(市長退席)

(5) 今後の住宅施策の方向について

(三輪会長)

 それでは、議事を先に進めてまいりたいと存じます。

 本日の議題は「今後の住宅施策の方向について」となっております。これから議論を進めていくにあたりまして、現在、大阪市における住まいやまちがどのような状況にあるかということをおさらいしていく必要があろうかと存じます。

 そういう意味で、事務局も本日の資料を用意してくださっております。それでは、事務局のほうから資料に基づいて説明をお願いいたします。どうぞ。

 

(野口住宅政策担当課長)

 事務局を担当しております住宅政策担当課長の野口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。座って説明させていただきます。

 今日の資料でございますけども、お手元に三つ、資料1・資料2・資料3を用意させていただいております。大きく二つのテーマでご説明させていただきたいと思いまして、ひとつめが資料1を用いまして、この答申、今後ご議論いただくための背景等のアウトラインといいますか、そういったものについてご説明させていただくということと、あと二つといたしまして、資料2と資料3を用いまして、今現在、これまでの答申を受けて大阪市のほうで実施しております住宅施策についての取り組み状況ということを簡単にご説明させていただきたいというふうに思っています。

 

《「6.会議配布資料」(2)の説明》

 

(野口住宅政策担当課長)

 それでは、まず資料1「近年の住まい・まちづくりをとりまく情勢」を説明させていただきます。まず、表紙をめくっていただきますと目次がございますが、大阪市の住まいやまちづくりを考えていく上での背景といたしまして、上から順に「人口・世帯の動向」・「住宅・住環境へのニーズ」・「景気の動向」・「新設住宅の動向」・「既存住宅の状況」、そして「市営住宅の状況」・「まちづくりの動向」と大きくの七つの項目で取りまとめさせていただいております。委員の皆様には既に御承知の点もあり、大変恐縮ではございますが、要点をご説明させていただきます。

 1ページをお開きください。まず、「1.人口・世帯の動向」でございます。

 大阪市の常住人口は、1-1のグラフにございますように、大きな傾向を見ますと、昭和55年ごろから260万人前後で横ばいの状況でございますが、平成12年ごろからは若干の増加傾向にございます。一方、点線で示しておりますように、1世帯あたりの人員が減少を続けております。世帯規模が小さくなっておりますこともございまして、世帯数につきましては増加傾向が続いている状態でございます。

 次の2ページの1-3のグラフは、大阪市全体と、大阪環状線のおおむね内側に位置します都心6区の常住人口について、増減の状況を比較したものを示しておりますが、特に都心区での人口増が近年大きく、最近の人口増加を引っ張ってきている状況ということが見てとれます。

 ページをめくっていただいて、4ページの上段の1-5のグラフをご覧ください。このグラフは人口増減の状況を年齢別で見たものを、5歳ごとに区切った年齢層が5年を経過し、次の年齢層に移るまでの間の人口増減をあらわしたものでございます。縦軸がプラスであれば市内への転入超過による人口増加を、マイナスであれば逆に市外への転出超過による人口減を示しております。グラフは、昭和60年から5年ごとにそれぞれ折れ線グラフを重ねておりますが、全体を通しまして15歳から24歳といった若年層で多くの人口転入がある一方で、30歳代・40歳代といった中堅層についてはマイナスを示しておりまして、市外への転出傾向が見られます。しかしながら、年齢ごとのこの折れ線グラフの状況を比較しますと、30歳代・40歳代の減り方が縮小し、折れ線グラフがだんだん上にいっていますけども、そういうように徐々に改善されてきている状況でございます。

 その下の1-6でございますが、都心6区の状況を抜き出したものを載せさせていただいております。増加への改善傾向は都心6区ではかなり鮮明に出ておりまして、平成7年から17年というところの線を見ますと、ほとんどの年齢層で増加となってございます。

 次の5ページでは高齢化の状況を示させていただいております。上段の1-7にございますように、左側の大阪市のグラフでは、全国同様に少子化・高齢化が急速に進んでおります。その下の平成17年の国勢調査における人口構成を見ると、65歳以上の高齢人口は20.1パーセント、5人に1人が高齢者になっておるという状況でございます。

 6ページをご覧ください。上段の1-9は世帯人員の状況を年代順に並べたものでございますが、1世帯あたりの世帯人員は年々減少してきており、折れ線グラフで示しますように、平成17年には1世帯あたり2.12人となっております。また、棒グラフの推移に見られますように、単身世帯の数・割合とも大きく増加をしてきております。単身世帯の住まいをどのように考えていくかというのが、今後の課題となるものと思われます。

 次の7ページ、出生数・人口推計につきましては、詳しい説明は省略させていただきますが、人口・世帯数の減少というものが大阪圏では全国より早い段階で進むことが推定されております。

 次の8ページでございます。1-13をご覧いただきますと、大阪市の外国人登録者数は、ここ5年ほど横ばいの傾向でございまして、約12万人を超えるところで推移をしている状況でございます。

 次に9ページをお開きください。「2.住宅および住環境へのニーズ」に関する状況でございます。2-1のグラフは、国の住宅需要実態調査による大阪市の住宅及び住環境に対する総合評価について、調査年ごとに推移を見たものでございます。評価自体は徐々に上がってきている状況でございまして、直近の平成15年の調査では、「満足」の7.4パーセント、「まあ満足」とお答えいただいた53.8パーセントを加えますと6割を超えております。一方、不満を示す割合は減ってきておりますものの、なお不満という、「多少不満」、「非常に不満」というのを足しまして3割がございまして、一層の改善が求められる状況だというふうに考えております。

 次の10ページは説明を省略させていただきまして、11ページをお開きください。11ページ・12ページと見開きで、大阪市からの転出者及び大阪市への転入者をそれぞれ対象といたしました、居住についての満足度を調査した結果をお示ししております。11ページの2-4のグラフは転出者を対象としたもので、上から順に不満に感じた割合の高い項目を並べております。「緑の多さ」でありますとか「地域の防犯・治安」、「子どもの遊び場の整備水準」、「住宅の広さ・日あたりなど」、「住居費の負担」といったものに、大阪市から転出される方の不満が強くなっております。

 また、12ページの2-5のグラフは市内に転入してくる方に期待や不安をお尋ねしたものでございまして、こちらは上から期待度の高い順、項目順に並べてございます。「交通機関の便利さ」、「日常の買い物の便利さ」といった2項目が群を抜いて高く、「医療施設の充実度」、「文化施設・スポーツ施設の充実度」と続いております。これらから、居住者から見た大阪市の魅力は利便性にございまして、また、緑や治安、住宅の広さや家賃といったものに不満、不安を感じていることが見てとれるところでございます。

 次の13ページをお開きください。「3.景気の動向」に関する資料でございますが、景気の総合的な指標といたしまして3-1に「景気動向指数の推移」をお示しさせていただいております。グラフが示しておりますように、アメリカのサブプライムローン問題に端を発しまして、平成20年に入り景気が急速に下降している状況でございます。

 また、14ページの3-3で全国の倒産件数の推移を掲載させていただいております。平成17年以降、増加基調にありまして、19年後半から一貫して増加をしているところでございます。

 次の15ページをお開きいただきたいと思います。ここからが、住宅に関する状況についての主な統計データ等をまとめたものでございます。まず、「4.新設住宅の動向」について15ページ・16ページにまとめてございます。

 15ページの上の4-1のグラフは、市内における新築の着工戸数の推移をお示ししたものでございます。ご覧いただきますと、平成3年・4年のバブル景気の崩壊を受けて落ち込んだ後に一定回復し、平成10年以降しばらくは増加傾向の、安定した状況が続いておりましたが、平成19年・20年と急速に落ち込んでおります。先ほどの景気の動向を強く受けた状況と考えられます。

 また、16ページの4-3で 民間分譲マンションに特化した新規供給の状況を示しております。傾向は先ほどの住宅全体と同様でございますが、平成18年からの供給の落ち込みは、より急激なものとなってございます。

 続きまして、17ページからは「5.既存住宅の状況」について、データを取りまとめさせていただいております。まず、17ページ、5-1のグラフの左側をご覧ください。これは、国の住宅・土地統計調査に基づく市内の住宅数の推移を示したものでございます。総住宅数は調査毎に増加しておりまして、直近となります平成15年の調査では、一番下の棒グラフにありますように総数で145万8,000戸となっております。また、空家の数につきましても増加傾向にございまして、平成15年時点では、斜線部分で示しておりますように25万5,000戸、全体の17.5パーセントを占めている状況でございます。同じ図の5-1の右側のグラフをご覧いただきますと、住宅数の推移は、その間の住宅の建設戸数と取り壊し等による滅失戸数の差し引きにより変化するものでございまして、その状況を示しております。黒い棒グラフが建設戸数、白い棒グラフが滅失戸数をあらわしております。平成に入ってから建設戸数に比べ滅失戸数が急激に少なくなっております。老朽住宅等の除却、取り壊し等に一定ブレーキがかかっている状況かと見ることができます。

 次の18ページは、市内の住宅について、所有関係・構造・建築年等で整理したものでございます。5-2にございますように、持家・借家に大別いたしますと、年々持家の比率が増加する傾向にございまして、平成15年では持家4に対して借家6の割合となってございます。

次の19ページは、分譲マンションのストックの状況を抜き出しさせていただいております。5-4のグラフにございますように、大阪市内の分譲マンション戸数は全体で約26万戸となっており、市の主要な居住形態の一つとなっておると考えておりまして、市内では昭和30年ごろに最初の分譲マンションが供給され、昭和40年代から供給が本格化しております。その結果、ストックの状況といたしましては、建替え等が視野に入ってくる築30年以上経過したものが、そのグラフにございますように全体で21.1パーセント、また大規模な修繕でありますとか適切な管理というのがより強く求められる築20年から29年のマンションは29.1パーセントということで、その2つを足しますと全体の半分を超える状況となっております。分譲マンションの適切な維持管理というのは今後ますます重要な課題となるものと考えております。

 次の20ページは住宅のバリアフリー化の状況を示しております。バリアフリー化のレベルといたしまして、表の下にA・B・Cで記載しておりますが、「手すりが2ヶ所以上ついている」・「屋内の段差がない」・「車いすが通行できる廊下幅を有している」という条件すべてを満たした高度なバリアフリー化ができている住宅につきましては、大阪市の場合、左の表の最下段にございますように、65歳以上の居住者がいる住宅全体の5.5パーセントということで、かなり低い状況になってございます。

 次に21ページをご覧ください。5-6のグラフは、主に世帯人員数に応じた調査を基準とした居住水準による住宅の評価を行っているものでございます。国が定めております居住水準の考え方につきましては、22ページに参考としてまとめております。恐縮でございますが、説明は省かせていただきますので、ご覧いただければと思います。

 左の21ページ、5-6のグラフにお戻りください。グラフの一番左側、最低居住水準に満たない住宅に着目いたしますと、直近の平成15年のデータでは9.4パーセントの住宅がこの水準を満たしていないという状況となっております。推移を見ますと、グラフの一番上の昭和63年には22パーセントであったものから比べますと、相当な改善が見られているという状況でございますけども、下の5-7のグラフで示すとおり、他の大都市との比較では東京都区部に続いて2番目に高く、政令市で見ると最も高い割合となってございまして、引き続きの改善が求められるところでございます。

 次に23ページをご覧ください。賃貸住宅の家賃に関するデータでございまして、右上の5-9のグラフに示しておりますように、ここ数年の家賃の推移を見ますと、上二つのLDKタイプでは若干の上昇状況が伺えます。その下の5-10は、入居者を募集している民間賃貸住宅の家賃の分布状況を住宅の詳細別にグラフにしております。円の大きさが戸数を示しております。四角の吹き出しにございますように、全体の平均は、家賃が73,500円、広さは35.5平米となっておりますが、ボリューム的には7万円未満で広さが25平米未満という、規模の小さな物件が多い状況でございます。

 次の24ページに、住宅全体の空家の状況について記載をしております。空家率が上昇傾向にありますことは先ほどの説明のとおりでございますけども、空家の内訳につきまして下側の5-12のグラフでまとめております。左のグラフは戸数の、右のグラフは率の推移を示したものでございます。左側のグラフにございますように、平成15年の状況では、いわゆるマンションに該当する非木造の共同住宅が量的には圧倒的に多く、右側のグラフで率を見ると、古いアパートに該当する木造の共同住宅でかなり高い空家率が出てきておりまして、空家の中には老朽化したものが相当含まれているということが推測される状況でございます。

 続きまして、次の25ページからは「6.市営住宅の状況」でございます。

 25ページの上の6-1では、市営住宅の年度別建設戸数を棒グラフで、また管理戸数を折れ線グラフで示しております。建設戸数につきましては、新規建設を黒色で、建替えによる建設を白色で示しております。都市への急激な労働人口が集中し、絶対的な住宅不足の時代でございました昭和30年代から40年代中ごろまでは、新規の建設を中心に行っておりました。その後、昭和50年代ごろからは老朽化した住宅の建替えにシフトし、近年は建替え事業といたしまして年間1,000戸程度の建替えを進めております。また管理戸数につきましては、建替えが中心でありますことから、折れ線グラフで示しておりますように、近年は10万戸のオーダーを維持している状況でございます。下の6-2で、市営住宅戸数について他の大都市との比較をしておりますが、戸数及び市内の住宅総数に占める割合とも、大阪市は高い状況にございます。

 次の26ページは、現在管理しております市営住宅について、建設年次ごとに中層・高層別、また浴室の有無の別に整理をしたものでございます。昭和30年代後半から40年代前半に建設されました比較的老朽化が進んだ住宅もございまして、その中には、グラフ上網かけをしておりますけども、浴室がない住宅が相当数残されている状況でございます。今後の着実な更新が重要な課題となっているところでございます。

 ページをめくっていただきまして、27ページでございます。最近の市営住宅の応募倍率を6-4の表にまとめてございます。年間2回の定期募集を行っておりますが、合わせて約1,100戸から1,800戸の募集をし、これに対して平均30倍前後の応募倍率となっております。ただ、応募の状況を個々の住宅の倍率ごとにもう少し詳しく見ますと、下の表6-5の示されておりますように、応募倍率が100倍を超える人気住宅は、全体の募集戸数の1割に満たない50戸となっておりますが、そこに全体の6割を超える応募が集中しております。一方で、「応募なし」あるいは「倍率が1倍未満」という住宅が、募集戸数全体の1割強の60戸となっており、利便性の高い立地にあるなどの人気の高い住宅への応募の集中が、見かけ上、平均倍率を上げているといった状況も伺えるところでございます。

 次に28ページの6-6で、大阪市における空家発生から募集、入居までの流れをまとめております。左から右へ見ていただきますと、まず入居可能な空家に対して、他団地の建替え事業に伴う仮移転あるいは本移転等の特定入居というものを行い、さらに11回落選者を対象とした優先入居を決め、その後に公募となります。この図で示す平成17年から平成19年の平均で言いますと、入居可能空家約4,500戸に対しまして、まず特定入居、さらに優先入居と合わせて、その半数を超えます2,400戸の入居が決まります。その残りの約2,100戸が抽選による公募となります。この公募において応募のない空家、あと当選後の辞退による空家が発生しまして、公募による入居は最終的に約1,200戸、当初の入居可能な空家の約3割弱となった状況でございます。

 次に29ページでございます。上段の6-7で、市営住宅のうち公営住宅の家賃の分布を示しております。公営住宅の家賃は、入居者の収入による負担能力と住宅の立地や新しさといった利便性を勘案した応能応益型の家賃体系となっておりますが、月額2万円から4万円という家賃が一番多く、平均では24,300円となってございます。右側に、参考として民間借家の家賃を掲載しておりますが、その平均60,900円と比べますと、より安くなっております。また、公営住宅では、特に収入の低い世帯には福祉減免措置を行っておりますこともございまして、左側のグラフの一番左側、1万円以下の家賃も2万戸程度となっております。下段の6-8では入居者の高齢化の状況を示しております。市営住宅には長期で入居されている方も多く、全市より一段と高い高齢化が住んでいる状況にございます。「60歳以上の単身世帯」及び「いずれかが60歳以上の夫婦のみ」の世帯の割合は、市全体の25.9パーセントという数字に対し、市営住宅では35.8パーセントと、10ポイント程度上回っております。高齢化の急速な進行はコミュニティの維持にも影響を及ぼしますことから、市営住宅団地を再生していくうえでの大きな課題となってございます。

 続きまして、最後の項目になりますが、30ページからは「7.まちづくりの動向」についてまとめさせていただいております。

 まず、30ページの「まちづくりへの市民参加」でございますが、市政モニター報告書によりますと、7-1にございますように、まちづくりへの市民参加を意向に持つ市民の割合が、『ぜひ参加したい』・『そのときの状況により参加したい』というものを合わせますと9割近くに達しております。また、右側の7-2にございますように、まちづくりにおける市民と行政の関係につきましても、『一緒になって進める』・『市民が主体で行政が支援をする』といった積極的な姿勢を持たれている市民の割合が8割を超えるなど、非常に高い参加意識をお持ちになっている状況でございます。また、その下の7-3にございますように、まちづくりに取り組んでおられますNPO等の団体も年々増加している状況にございます。

 次の31ページで、「環境に対する意識」の推移を示しておりますが、年々高まっているということが見てとれます。

 32ページでは、「緑化の状況」の資料を掲載させていただいております。下段7-8は、少し古いデータでございますけども、市民の緑へのニーズをお示ししております。どこに緑が欲しいかという問いに対して、回答では『道路』あるいは『小さな公園』、『商業施設やオフィスビル』といったところが高く、市民にとってより身近なところに緑を求めている状況が見てとれます。

 次の33ページをお願いします。地域の街頭犯罪についての資料を掲載させていただいております。7-9のグラフにございますように、市内の刑法犯罪の認知件数は平成13年をピークに減少傾向にありますが、なお多い状況でございます。7-10では、街頭犯罪の8手口について政令指定都市間での順位を示しておりますが、すべての手口で不名誉でございますがワーストワンとなっております。まちづくりにとっては犯罪の視点も十分に考えております。

 なお、詳細は省かせていただきますが、次の34ページに近年の大規模地震の発生状況、その次の35ページ・36ページで、本市におけるHOPEゾーン事業や密集住宅市街地の整備事業、市街地再開発事業といったまちづくり事業の取り組みの状況をお示しした資料を記載させていただいております。適宜ご覧いただきたいと存じます。

 簡単な説明になりましたが、資料1については以上でございます。なお、住まいやまちづくりを取り巻く情勢につきましては、このほかにもさまざまなことがあると考えております。事務局といたしましても、委員の皆様のご意見を賜りながら、平行いたしまして適宜調査等を進めてまいりたいと考えております。

 

《「6.会議配布資料」(3)及び(4)の説明》

 

(野口住宅政策担当課長)

 続きまして、平成16年8月に本審議会にいただきました現行答申を踏まえた施策の状況につきまして、資料2と横長の資料3で説明をさせていただきます。

 資料の順が逆になりますが、最初にお手元にございますA3判の横長の資料3「住宅審議会答申(平成16年8月)に基づく施策の実施状況」をご覧いただきたいと思います。

 こちらの資料は、現行の答申の体系別に、現在実施しております大阪市の住宅施策を一覧として取りまとめたものでございます。表紙をめくって1ページに、答申の体系をお示ししております。中ほどにございますように、答申では住宅政策の基本目標を「活気あふれる多様な居住の実現」といたしまして、「今後取り組むべき方向と主要な住宅施策」をその下にございます5本の柱立てによる方向で具体的な施策提言をいただいたところでございます。

 2ページ以降に、5つの方向ごとに実施している施策を整理し、概要を記述させていただいております。また、答申をいただいた後、新規の施策として実施したものにつきましては、白抜きの「新」マークを付けさせていただいております。大変失礼かと存じますが、時間の関係もございますので、この資料につきましては参考資料としてお手元に置いていただくといたしまして、本日の説明については、具体的な施策を抜粋いたしましたA4の資料2の「住宅審議会答申(平成16年8月)に基づく主要な施策」を用いて、ご説明させていただきます。

 それでは、資料2をご覧ください。表紙のところにございますように、答申でいただきました5つの方向性に沿って、代表的なものをご紹介させていただいております。

 1ページをお開きください。「(1)市民に愛される個性豊かな居住地の創造と再生」につきましては、主な施策といたしましてHOPEゾーン事業及びマイルドHOPEゾーン事業を実施してございますが、HOPEゾーン事業につきましては、魅力ある居住地の創出を図りますため、歴史的・文化的な雰囲気やまちなみなどに恵まれた地域におきまして、地域の方々と連携・協働し、上段の写真にございますような建物の修景整備や道路の美装化等の整備を行うものでございます。下段に事業の流れを紹介しておりますが、住民の皆さんにワークショップ等の活動を通じてまちづくり協議会を設立していただきまして、その協議会が主体となってまちなみ整備のバイブルとなるガイドラインを策定していただき、これに基づく修景事業等について大阪市が補助及び支援を行うというものでございます。

 これまで、上段の地図で示しております平野郷地区、住吉大社地区、空堀(からほり)地区の三つの地区で事業が進んでおります。平成20年度には天満地区、船場地区、東住吉区の田辺地区におきまして、新たなにまちづくり協議会が設立されております。

 次の2ページの上段で、その新たな3地区につきまして簡単にご紹介をさせていただいております。船場地区は散在する近代建築物や船場後退線による歩行者空間などが、また天満地区では天満天神繁昌亭などが、まちづくり事業の大きな要素となるものと考えております。また、下段でマイルドHOPEゾーン事業をご案内させていただいております。マイルドHOPEゾーン事業は、大阪城を北端とする上町台地のうち、地図上の太線で囲んでおります、約900ヘクタールのエリアにつきまして、歴史的資源を生かした魅力ある居住地の形成、ブランドイメージの確立を図ることを目的に取り組むものでございます。平成18年度から実施しております。先ほどのHOPEゾーン事業に比べ、極めて広大なエリアを対象としておりますが、写真にございますような地域で行われているさまざまなNPO等によるまちづくり活動への助成でありますとか、地域魅力の情報発信など、ソフト面での取り組みを中心に進めております。こうしたことから事業の名前に「マイルド」という修飾をつけた趣旨でございます。平成20年度からは四天王寺・夕陽丘など、基本となるエリアに限定いたしまして修景整備にも取り組んでおります。

 3ページをお開きください。「(2)大都市居住ニーズに応える住まいづくり」といたしまして、バランスのとれた人口回復や活力あるまちづくりにつながる、子育て世帯を初めとする中堅層向けの住宅施策の展開についてご紹介をさせていただいております。具体の施策といたしましては、「新婚世帯向け家賃補助制度」を引き続き実施いたしますとともに、平成17年度からは市内で住宅を購入する子育て世帯を対象に、その住宅ローンに対する利子補給を行います「子育て世帯向け住宅購入融資利子補給制度」を実施するなど、住居費の負担軽減による居住促進という観点からの施策に取り組んでおります。また、3ページの下にございますように、キッズルームの設置や子育て支援サービスの提供など、ハード・ソフト両面の基準を満たします新築マンションを大阪市が子育てに適したマンションとして認定いたしまして、その情報を発信する「子育て安心マンション認定制度」を実施しておるところでございます。

 次に4ページ、「(3)安心して暮らせる住まい・まちづくり」でございます。代表的な施策といたしまして密集市街地の整備がございます。市内にはJR大阪環状線の外周部を中心にいたしまして、老朽住宅が多く残る密集市街地が広がっています。上段の地図では斜線のハッチで示しておりますが、その広さは約3,800ヘクタールございます。これらの密集市街地のうち、地図では濃い色で示しております、より老朽住宅の密集度合いが高い1,300ヘクタールのエリアを、特に優先的な取り組みが必要な密集住宅市街地と定めまして、右側の中ほどにございますように、「地域住民等との連携」・「規制誘導手法の活用」・「公共投資の重点化」の3つの考え方を基本にいたしまして、効率的・効果的に具体の取り組みを進めているところでございます。その具体的な取り組みといたしましては、下段でお示ししておりますけども、民間の老朽住宅の建替えに対しまして、アドバイザーの派遣や建替え建設費への助成、また建替えしたアパートの従前居住者への家賃補助などを行います「民間老朽住宅建替支援事業」でありますとか、次の5ページ上段にございます幅員4メートル未満の狭あい道路について、当該道路に面した建物を建替えする際、セットバックしていただいた道路後退部分について舗装整備あるいは整備費の助成を行います「狭あい道路拡幅整備促進事業」などを実施しております。また、下段にございますように、生野区南部地区では密集市街地整備のモデル事業といたしまして、老朽住宅の建替え促進にあわせて、道路や公園、「まちかど広場」等の公共施設の整備を一体的に進める面的な整備事業を実施しております。写真を載せさせていただいておりますけども、特に地区内6ヶ所に完成しております「まちかど広場」の整備では、地域の方々とのワークショップ形式による企画に基づく広場づくりを進めております。これにより、完成した広場の管理につきましても地域の方々に担っていただくなど、市民協働の手法で取り組んでいるところでございます。

 6ページをご覧ください。安心して暮らせる住まい・まちづくりのもう一つの代表的な取り組みといたしまして、建築物の耐震化の促進がございます。大阪市では、上段にございますように平成20年3月に「大阪市耐震改修促進計画」を策定いたしました。これに基づきまして、耐震診断費や改修費に対する補助率の引き上げや、最低限人命を守ることを目的といたしました簡易型耐震改修等への補助制度を創設いたしますなど、建築物の耐震化を加速させるべく取り組みを強化しております。

 さらにページ下段にございますように、平成20年10月には耐震改修に対して安心できる情報提供を行いますために、公的団体や建築関係団体等と連携いたしまして「大阪市耐震改修支援機構」を設立し、耐震化の普及啓発に取り組んでいるところでございます。

 次に7ページでございます。「(4)住宅ストックの再生と有効活用」についてでございますが、ここでは市営住宅の再生が大きなテーマとなってございます。市営住宅につきましては、先ほどの社会情勢の説明の中で、ストックの更新の問題でありますとか、高齢化の問題、さらに応募状況の偏りといった問題をあげさせていただきました。こうした問題に対しまして、上段中ほどの四角囲みの中に記しておりますように、「ストックの効率的な活用」・「コミュニティの再生」・「公平・公正な管理の推進」・「地域のまちづくりの貢献」という基本的な考え方に基づきまして、より多くの市民に支持される、いわゆる「市民住宅」へと再編していく取り組みを進めております。この取り組みを目に見える形にするための施策といたしまして、ページ下段にございます「団地再生モデルプロジェクト」がございます。そのイメージは、建替えに際しまして、土地の高度利用や従前居住者数に限定した建替え事業による戸数の縮減などによりまして余剰地をつくり出して、その用地を例えば良質な民間住宅の建設でありますとか、地域のための施設整備に活用いたしまして団地の活性化につなげるものでございます。8ページの上段で、現在、天王寺区の小宮住宅で進めております具体事例を紹介させていただいております。また、8ページ下段にございますように、管理面における取り組みといたしましては、緊急的な住宅困窮者への対応を図りますため、定期募集のほかに随時募集の実施でありますとか、市営住宅団地からの暴力団員排除に向けた取り組みなど、安全と迷惑行為の抑止に向けた管理を進めるなど、適正な管理の推進に努めているところでございます。

 最後に9ページをご覧ください。「(5)市民とともに進める都市居住」でございますが、代表する施策といたしまして、天神橋筋六丁目にございます「住まい情報センター」を中心とした取り組みでございます。上段にございますように、「住まい情報センター」では、住まいに関するさまざまな相談への対応や住宅施策に関する情報提供を行いますとともに、「住むまち・大阪」の魅力情報の発信などを通じ、市民サービスの向上、また都市居住の促進に取り組んでおります。特に、ページ下段に案内しておりますように、「住まい情報センター」の8階・9階・10階にございます「住まいのミュージアム(大阪くらしの今昔館)」では、江戸時代の大阪のまちなみを実物大で再現し、写真にございますように市民ボランティア等の協力による当時のにぎわいの演出でありますとか、小・中学生、高校生を対象とした体験学習などにより、都市居住文化の承継を図っております。開館から間もなく8年目を迎えますが、入館者はなお増加している状況にございます。

 また、10ページにございますように、平成18年度からは「住まい情報センター」において住まい、まちづくりに取り組むNPO等との協働、交流を促進します住まい・まちづくりネットワークを創設し、ウェブサイト「住まい・まちづくり・ネット」の開設やまちづくり団体と連携しましたセミナーとか、まち歩きを行いますタイアップ事業を実施しております。このように「住まい情報センター」ではまちづくりの交流拠点としての役割を担う新たな事業展開を図ってきているところでございます。

 以上、簡単な説明で誠に恐縮でございますけども、資料の説明とさせていただきます。ご審議のほど、よろしくお願いいたします。

 

《説明に対する質疑、意見等》

 

(三輪会長)

 ありがとうございました。ちょっと長い説明でございましたけども、前半の部分は大阪市を取り巻く住宅関係の基礎データの解説、それからどういう課題があって、どういう国勢調査その他のデータがあるか、どういう傾向が見られるかということを、ごく大雑把なところで紹介していただきました。

 それから後半では、前回の答申をベースにしまして、資料3の1ページのところにチャートがございますが、上のところで六つの「大阪市の住宅政策を取り巻く状況と課題」があって、大阪市でそれを具体的な施策として、下の五つの取り組みの柱があり、資料2でその五つの柱について、具体的取り組みをご紹介いただいたわけでございます。

 いろいろ説明をしてもらうとすれば、山ほどあるわけですけども、説明はこのあたりにいたしまして、本日のご説明に関してのご質問、あるいはこういう分野が抜けているんじゃないかと、今後そのあたりについて資料を整えて論議すべきではないか、というようなご提案、何でも結構でございますので、しばらくの間ご発言をお願いしたいと思います。

 どなたからでも結構でございますので、自由にひとつご発言をいただきたいと存じます。

 

(髙田委員)

 髙田でございます。前半の住宅事情の分析というところで二点。それから後半の住宅施策についてちょっと一点お伺いしたいことがございます。

 一つ目は、資料1の「近年の住まい・まちづくりをとりまく情勢」の15ページのところで、着工住宅戸数が19年度・20年度と下がっているというご説明が、景気の影響だと言われましたけれども、もちろん景気の影響も入っていることは事実なんですが、やはり建築基準法の改正というのが、こういう着工動向に大きく影響したというふうに、私自身は認識しております。そういう要因について、そういう制度との関係、これからまた出てくる制度の影響というのも当然考えないといけないと思っておりますけれども、検討が要るんじゃないかと思います。

 それから二つ目に、全体として住宅事情の分析が、これまで大阪市でやってこられた新築の新設住宅の分析、それから住宅土地統計調査でわかる今の住宅事情といいますか、現状のストックの住宅事情ということで組み立てられているんですが、これからの住宅事情を考える場合、やっぱり既存住宅の流通というものも重要で、現在の住宅の流通がどのようになっているかを分析し、その中から住宅政策のあるべき方向を考えることが大事だと思います。今回の資料では、既存住宅の流通に関するデータが含まれていないので、ぜひその分析をやっていただきたい。

 データがないので何とも言えませんけれども、多分、新設住宅が激動しておりますけども、既存住宅の流通というのは比較的安定した状態で推移していると思いますので、そのことをどう見るかということと、新設住宅と既存住宅の流通との関係についても検討が要ると思います。

 とりわけ、入居する世帯の人数と住宅の広さが適合していることが重要なんですが、例えば最後のほうで最低居住水準の分析が出てきておりますが、大きな住宅を建てて最低居住水準未満世帯を解消するという考え方も当然あります。住宅の大きさと入居者の関係の適合性を高めて最低居住水準未満世帯をなくしていくと、こういう施策も当然必要だと思います。その場合に住宅の流通、これは賃貸住宅の住みかえと持ち家の流通の両方ということですが、そういう問題を分析する必要があると思います。

 それから、例えば持ち家が売り買いされると、そのときに住宅改修が行われる可能性が非常に高いんですね。そういう機会をもって住宅の質的な改善が行われる。こういうことも市場の中では出てくる現象なので、これをどのように誘導していくかということを考えることも大変重要だと。いずれにしても、そうしたストックの流通についての議論が重要かと思います。

 それから、施策についてお伺いしたいんですが、全体として「まちづくり」の問題に力を入れようとされているということで、それが具体的にいろんな実績としてあらわれているということを、私は評価したいというふうに考えているんですが、最後の公的住宅の施策の中で、例えば小宮住宅の建替えが出ておりますが、この小宮住宅の建替えのときに、例えば地域のまちづくりとの連携をどのように考えられたのか。小宮住宅の中にも居住文化の問題というのは、時間の経過の中であるわけですね。そういったものの継承や発展というようなことを、どのように考えてこの企画を推進されているかということについてお聞きしたい。以上でございます。

 

(三輪会長)

 ありがとうございました。事務局の方で何かご返事がありますか。ただいまのような指摘事項を取り上げて、バックアップするデータが手に入れば、それをご披露していただいて、ここで論議を深めていくことにするか。どうしましょうかね。

 

(野口住宅政策担当課長)

 流通とかそういったことにつきましては、非常に大事な話だと思っておりまして、そういったデータにつきましては、事務局のほうで調べて、またご報告させていただきたいと思います。

 

(三輪会長)

 最初にご指摘があった、着工戸数の減少にはブレーキ要因があるはずだという話は、要するに、ただ戸数が減ったというよりも、法改正やその他の制約などによっても、戸数が減ってくるんじゃないかということで、そういうこともデータで裏付けがとれるようであれば、またやっていただけたらと思います。何かご発言ある方、いらっしゃいますか。

 

(北村計画調整局長)

 平成20年度から建築指導の分野が機構改革で計画調整局に移管されておりますので、ちょっと私のほうからご説明させていただきたいと思います。

 確かに、いわゆる構造計算の問題とかある中で、建築基準法が改正されまして、手続的に非常に厳しくなってきている部分がございます。実績のデータを持ち合わせていないんですけども、建築基準法の改正が施行された当初は、大阪だけではなく、全国的に建築確認の申請件数が減ったのは事実でございます。

 私ども大阪市といたしましては、建築確認業務の円滑化に向けて、大阪府と共同で事前相談制度をずっとやっておりまして、現在も継続をいたしております。そういった中で、統計的に数字が把握できていない部分がありますけれども、確認申請の件数で言えば、だいたい前年度並みには回復してきているというデータもございますので、その辺を改めて整理をしながら、ご提示させていただければと思っております。

 また、ご質問にあった法改正が着工件数にどのように影響しているかという分析につきましても、都市整備局とも連携しながらやっていきたいと思います。

 

(三輪会長)

 ありがとうございました。髙田先生の今のお話は、当審議会でこなしていくべきテーマとして、宿題として預からせていただきます。ほかに何かございますか。はい、どうぞ。

 

(谷委員)

 資料2の「住宅審議会答申(平成16年8月)に基づく主要な施策」の中に、「(4)住宅ストックの再生と有効活用」という項目がございまして、これを拝見しますと、主に市営住宅を中心としたことで、その内容はストックの再生と有効活用というテーマではあるんですが、ここでは市営住宅の建替えの話を紹介されております。

 住宅ストックということでいけば、民間の木造が相当な数があるということが、最初の説明で、大阪市の場合は特にその比率が高いということがわかるわけですが、資料2の6ページでは建築物の耐震化の促進ということで、こういう木造の既存の住宅に対して耐震補強していきたいということで、民間の動きを補助することもやられておる。

 また、HOPEゾーン事業の実施地域では、こういう木造の住宅に関しても補助をして修景していくということを行われているわけですけれども、例えば空堀(からほり)なんかを見てみますと、補助で修景されたこういう建物は、住宅になるというよりは、むしろ店舗に変わっていくことが多いように思います。それも大事なのかもしれませんけれども、私は、木造の住宅をちゃんと居住するように耐震化することも大事なんではないかと思います。

 その点で、資料2の6ページのところで、平成20年3月に耐震改修促進計画を策定して、耐震診断費の補助率を従来の50パーセントから90パーセントに引き上げたとあり、これは実際の診断をする側にとっては非常に大きな前進だと思うんです。50パーセントが90パーセントといったら、相当補助率が高いので、耐震診断をやろうという気になっていくわけですね。

 ところが、その次に補助をいただいて耐震改修をしようということなると、補助率が15パーセントから23パーセントに上がったとはいえ、やはり家主の側に相当の負担がいるということで、この辺をどういうふうに考えるのか。

 それから、こういう木造ですと長屋が多いと思うんですけれども、大阪の場合、長屋全体をひとりの持ち主が持っているというのはかなり少なくて、長屋なんだけど切り売りされて、実際の持ち主は何人にも分かれているということがあるわけです。今のシステムでいくと、例えば4軒長屋で持ち主が4人いて、みんなが心をひとつにして耐震改修をしようなんていうことが、なかなかできないんじゃないかと思います。特に大阪の場合は、震災への危機感とかがまだまだ少ないと思います。そういう点での啓発活動といったものも含めて、今後どんな施策をしていこうとしておられるのか、お聞きしたい。

 それから、最初に申しましたHOPEゾーン事業の地域内の建物だと、結構、補助を受けやすいんですけど、そうでないところの建物は家主の負担が大きい。しかし、そういう地域外でも、長屋の周辺はある種の地域性を持っているような気もするんです。こうしたHOPEゾーン事業の地域になり得ないところは、どんなふうに住宅ストックを活かしていくのかというところもお伺いしたいと思います。以上です。

 

(三輪会長)

 ありがとうございました。これは、今すぐお答えが用意できるものではなくて、こういうところが残っている分野があるじゃないか、我々が検討するべき分野があるのではないか、というご指摘だと受けとめさせていただいて、何回目かの会議で、そのテーマでやらせていただきますんで、それまでお待ちくださいますか。

 

(谷委員)

 はい。

 

(三輪会長)

 事務局、そういうことでよろしいですね。民間のストックに対してどうするかということは、やっぱりテーマとして残っております。まだなかなか手つかずでありますから。それで、今、建築関係の委員さんから、やや難しい話をなさったんですけど、そうじゃなくて、大所高所からご覧になって、こういうこともやったらどうだというのがあれば。はい、どうぞ。

 

(中島委員)

 今のご質問と関連する部分があります。前回の答申で、先ほど話がありました耐震化の部分については、29ページで3行ぐらいしか書かれてないところがあります。

 我々新聞社として報道するときに、南海・東南海の地震が起きたときにどうなるのか、中央防災会議でのことについては、特に東京の人に任せるんじゃなくて、大阪から派遣して取材をさせたりしています。

 特に上町台地、上町断層の被害については、ここ最近、具体的な数字が中央防災会議で出てますね。そのことについて、具体的に大阪市としてもいろいろなことをされていて、先ほどもご指摘ありましたけども、6ページのところで建物耐震化の問題をかなりされていると思います。そのことについて、今、会長のほうからありましたけど、具体的にいろいろしなければいけないなということがあるんですけれども、一般の市民にしてみれば、阪神大震災を経験したとはいえ、大阪はまだ被害が少なかったわけですから、中央防災会議でそういう具体的な被害の想定シミュレーションが出てる中で、大阪市としてどうしていくのか。今もご指摘ありましたように、単に診断だけではなくて、具体的にそれを動かして耐震化していこうということまでいかないと、1万人単位の死者が出るというふうに出ている中で、行政としてはなかなかもう少し迅速に、しかも年限を区切っていかないといけないのではないかと、そういうふうに思っております。

 

(三輪会長)

 ありがとうございました。課題の重要性についてのご発言ということで、これは審議会の中で、また回を改めて取り上げさせていただきますので、課題の指摘ということで今はとらせていただきます。ほかに。はい。

 

(久委員)

 久でございます。今日のご説明はどちらかというと施策紹介というのが主だったと思うんですけれども、また後日で結構なんですが、さまざまな施策を5年間やってこられて、大阪市としての評価というのが恐らくあると思うんです。これはよくやっているとかこれはちょっと苦戦しているとかですね。だから、そういうところをもう少し、私たちに情報をいただきましたら、次回以降の議論に参考になるかなと思っております。

 もうひとつは、それと関連してなんですけども、前回の答申のタイトルが「活気あふれる多様な居住の実現」ということでございますので、この大きなタイトルに対して5年間でどういうような評価になっているのかというのを、これは非常に重要なことだと思っておりまして、確かに量的にきちんと押さえるというのは必要なんですけども、一方で、多様な居住というのはなかなか大きくは動かないと思いますが、その効果みたいなものはこの5年間で幾つかあったんだろうと思うんです。

 例えば、市民住宅へ向けて公的住宅の空家をコミュニティビジネスの方々に提供したりとか、ささやかなんだけれども何か成果としては着実にあるというような、そういう特徴的な観点も教えていただくとバランスのいい議論ができるかなと思いますので。

 以上2点、また後日で結構ですので教えていただければと思います。

 

(三輪会長)

 ありがとうございました。今ご指摘の話も、事務局から模範解答みたいなのが先に出るんじゃなくて、いろんな評価をこの場で加えていただいて、そして次の5年へ向けてどうしたらいいかということを、またここでやらせていただくということで、事務局から生の素材をたくさんこの場へ出していただくということで受けとめさせていただきます。他に何かお気づきの方、はい、どうぞ。

 

(弘本委員)

 今日、重点的に取り組んでこられた施策の中で余り語られなかったんですけれども、A3の資料の7ページにあります福祉施策との連携という項目が、3(丸3)の中の2番目の丸のほうにありますけれども、今日は詳しくはご説明になりませんでしたが、これからますます高齢者も増えていくというような、そして派遣労働者の問題にも典型的にあらわれているような、居住の安定ということについての福祉施策との連携という分野は非常に重要なところになってくるだろうと思いますので、ここについて、今後、これからの審議会の中では相当意識を払っていかなくてはいけないのではないかなということを感じております。

 例えば高齢者、障害者への住宅関連の情報提供・相談サービス、これ、安心入居の情報提供やあんしん賃貸支援事業など、政策としては実施されているんですけれども、実際のニーズに対して十分に応え切れてない側面があるのではないかなと思います。今回、細かい情報はご説明にならなかったのでわかりませんが、他都市などで聞いていると、やはりここは随分課題があるなというような話をよく耳にするんですね。先進的な都市では実際、福祉部局と連携をして、市の公社が窓口になって、例えば家主さんが不安を抱えないで済むような、さまざまなNPOとも連携しながら外国人支援であったり、高齢者支援であったりというようなことを事業として取り組んだりというような事例や、あるいは先ほどの民間ストックとの関係でいいますと、サブリース手法を活用して家主が安心して貸せるような仕組みをつくって、そこに公的な関与もしていくというようなことが行われていたりというような新しい模索が、こうした問題を大きく抱えている自治体では出てきています。そして、行政が丸抱えでやるということではなくて、他の力も借りながら、安心していかに多くの人の居住を安定化させていくかというような、質の高い居住を安定化させていくかというようなことを考えていく必要があると感じましたので、ストックの活用と含めて、同時にそのあたりの視点も踏み込んでいっていただければなというふうに思います。以上です。

 

(三輪会長)

 ありがとうございました。これも課題のご指摘ということで、これもどこかの回かでそういうテーマを取り上げさせていただくことにしますので。何かほかにご発言ございませんでしょうか。もし、今日の場では他にないということであれば、ちょっと時間がもったいないので、この辺で今日の会議は閉めさせていただきたいと思いますが、特にご発言ございませんでしょうか。

(6) 今後の進め方

(三輪会長)

 今後の進め方について、少し私の意見も入れてちょっとご説明させていただきたいんですが、今回も含めて、各回の会議の席でいろいろご発言をいただいて、その時にここにやっぱり課題があるなとか、問題意識を少し膨らまさなきゃいけないとか、あるいは新しい問題意識としてカテゴリーを設けるべきでないかという話題が出てきましたら、その次、あるいは次の次の回で、かたまりとして議題に取り上げさせていただいて、議論を深めていきたいと思います。それについてバックアップするデータを事務局で一生懸命集めてきて、ここの場に提供していただくと、そういう進め方をしたいと思っております。本日ご発言いただきましたテーマについても、次回必ずというわけにはまいりませんが、整理をいたしたいと思います。

 既に取り組んでいる課題、課題としては掲げてあるけれども十分に取り組みきれていない部分と、いろいろございます。そのあたりをなるべく満遍なく論議していただくようなことを工夫いたしまして、これは事務局といろいろ相談いたしまして、それから後ほどお願いする仕組みもございますが、そういうところで準備したものを、次回以降、毎回ここへ出していただいて、ここでご討議いただく。それで、だんだん絞り込んでいきまして最終的な答申を作りあげていく、そういう過程をたどりたいと思いますので、どうぞよろしくご協力をお願いしたいと思います。

 そのあたりの段取りについては事務局に働いていただこうと思っておりますが、そういうやり方でよろしゅうございましょうか。できあいのものがあって、事務局が作った原案をそのまま賛成という形には、多分ならないと思いますので、どうぞご協力いただきたいと思います。

 それで、全体の能率を上げるということで、事務局からの「今度の審議会はこういう形で、こういうデータで論議してもらいたいんだ」という準備の相談を受けてくださる方を、できましたら委員の皆さん方の中で何人かの、こう言ったら悪いのですが、少し若い先生方に「企画委員」ということでお願いして、そこで作っていただいた議論のたたき台を、今度は公開で開かれる審議会の場で、十分また皆さん方にそれを叩いていただいて、良いものに仕上げていきたいと思います。

 先ほどの市長さんのお話にも、大阪市として安心して愛着の持てるようなまちにしたいんだというお話がございましたが、すべてがだいたいそういうところへ収れんしていくかと思うんですけども、そういう形で段取りをつけていきたいと思いますが、そういうことでよろしゅうございましょうか。

 それでは、たたき台を作るために、いろいろアドバイスをいただく方を企画委員として私のほうからお願いしたいと存じます。それでは、大変僭越でございますが、大竹委員、北山委員、それから今日ご欠席でございますが篠﨑委員、それから篠田委員、髙田委員、谷委員、弘本委員、この方々にお願いしたいと思います。篠﨑委員は今日ご欠席でございますので、後ほどご本人のご意向を確かめて、そしてお願いすることにいたしたいと思います。

 企画委員の方々、大変ご苦労をおかけすることになろうかと思いますが、よろしくお願いいたします。企画委員としてご指導いただいた方々については、答申の最後のところへ名簿の中に、例えば何かの印でこの先生方は企画委員をお願いしたんだということは記録にとどめていきたいと思っておりますので、どうぞご了解いただきたいと思います。

 それから、次回以降審議会で論議するテーマ、こういうことを中心に議論をお願いしたいということは、事務局からご案内する開催通知で、あらかじめお伝えいたしますので、よろしくお願いいたします。なるべく次の回はこれとこれの議論だということを、お耳に入れていきたいと思います。見事にそれができるかどうかわかりませんけれども、努力いたしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それから、例えば、この回は答申の素案を皆さんで見ていただいて、場合によっては、この次は逐条審議をやるような回、それから最後のほうは、答申書の成案がだいたいできたんで、それを確認していただく回にするんだとか、そういうことはあらかじめご連絡差し上げるように努力したいと思っておりますので、どうぞご協力をお願いいたします。

 それでは、今日論議していただくテーマはだいたい以上でございますが、特に何かご発言はございませんでしょうか。あるいは進め方などについてのご希望があればお伺いいたします。よろしゅうございましょうか。

(7) 閉会

(三輪会長)

 それでは、会議はこれで閉会させていただきます。このあと、事務連絡などがございますので、ちょっとこのまま席にとどまっていただきたいと思いますが、傍聴の方々、会議はこれで終わりでございますので、どうぞお引き取りくださいますように。

 

(酒井都市整備局企画部長)

 会長、委員の皆様、貴重なご意見を多数賜りまして、ありがとうございました。

6.会議配付資料

(1) 諮問書(下記参照)

(2)【資料1】近年の住まい・まちづくりをとりまく情勢(下記参照)

(3)【資料2】住宅審議会答申(平成16年8月)に基づく主要な施策(下記参照)

(4)【資料3】住宅審議会答申(平成16年8月)に基づく施策の実施状況(下記参照)

(5) 参考 今後の住宅施策の方向について(大阪市住宅審議会からの答申・平成16年8月6日)

会議配付資料のダウンロード

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大阪市 都市整備局企画部住宅政策課住宅政策グループ

住所:〒530-8201 大阪市北区中之島1丁目3番20号(大阪市役所6階)

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ファックス:06-6202-7064

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