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修景事例紹介 「中野鍼」

2024年6月24日

ページ番号:562803

針中野の地名の由来となった鍼灸院の改修

修景後の全景写真

•建物名称:中野鍼(なかのはり)
•所在地:東住吉区針中野
•建築年:明治35(1902)年(蔵及び屋根付き門)
•構造・階数:木造、地上2階
•建物評価等:国登録有形文化財(令和元(2019)年)
•修景実施年度:平成29(2017)年度

モデル修景決定時の講評

 東住吉区針中野に建つ木造伝統建築で、「針中野」の地名の由来となった平安時代から現在まで続く鍼灸院である。敷地内には、江戸時代後期の鍼灸院建物を筆頭に、かつて来院者用に使用していた宿坊や土蔵、門、塀等の木造伝統建築の構えが一体となって残されており、鍼灸院と地域の歴史を今に伝えるとともに、建築的にも貴重な遺構となっている。

 今回修景を計画されているのは、敷地内の複数棟のうち、南側道路に面する屋根付き門と土蔵3棟である。屋根付き門は、以前は鍼灸院入口の一つとして使われ、上部に「鍼」や「なかのはり」の文字が彫られた看板など特徴的な意匠を備えており、敷地内の建物のなかでも古くから続く鍼灸院の歴史がうかがえる貴重な建物となっている。

 この屋根付き門を含む一画が、建築当時の伝統的な様式、素材を尊重して修景されることで、敷地全体としての歴史的・文化的な魅力がさらに向上し、地域の顔として、これまで以上にまちなみの景観的な魅力を牽引する存在となるとともに、庚申街道沿いを中心に周辺に点在する町家や長屋などへの新たな修景の促進効果も期待される。

 また、「中野鍼」は地名「針中野」の由来となった鍼灸院であり、その歴史が地域の成り立ちに深く関連している。歴史ある建築物の存在が修景によりいっそう際立つことで、地域に対する人々の関心が高まるとともにその歴史が継承され、愛着や誇りの醸成につながる点も高く評価できる。

 今後、修景によりさらに魅力の増した建築物として、これまで以上に積極的に情報発信されることで、さらなるにぎわい創出へとつながることも期待され、これらの点から、地域魅力の創出につながる建築物のモデル修景としてふさわしいと考える。

(大阪市地域魅力創出建築物修景事業推進有識者会議委員 中嶋 節子)

建物について

 「中野鍼」は、当地域における鍼灸院として古くから知られている。治療が行われる北面の「鍼の処」は、屋根が葺き替えられているが、当初の雰囲気をよく残した外観が維持されている。

また、南面の「表門」・「旧応接処(おうせつしょ)」・「文書蔵(もんじょぐら)」・「物置蔵」は、蔵の妻・平を見せ、表門には懸魚(げぎょ)が配されるなど、変化に富んだ景観を構成するとともに、当家の格式が示されている。

鍼の処


左:旧応接処
右:表門


懸魚

 此度の修景によって、「表門」と周辺に設けられていた照明器具・換気フードは目立たないように目隠しがなされるとともに、塩化ビニル製の雨樋も銅製のものに替えられ、それらの設備の機能を確保しながら、当初の形態に近づけられたことで、趣が増したといえる。3棟の蔵は、壁面のトタン板は焼杉板に、また傷んだ焼杉板は新たに張り替えられ、明治末年から継承されてきた南面の景観が、「線」として修景されたことは大きな成果といえる。


3棟の蔵


中央:裏門、右:洋館


東面の塀

 今後の改修にあたっては、北面の「鍼の処」に隣接するつし2階建ての主屋の外壁、洋館、裏門、東面の塀などの修景が望まれる。

(大阪市地域魅力創出建築物修景事業 専門家相談員 植松 清志)

修景について

主な修景の内容

トタン板が張られていた外壁を焼杉板で張替え、漆喰塗替え


修景前


修景後

  • 建築当時の伝統的な様式、素材を尊重して、漆喰、焼杉板を使用した修景が行われました。

門扉の板の張替え、照明器具の目隠し


修景前


修景後

  • ベニヤ板に改変されていた門扉は、ヒノキ板に張替えられました。
  • 外観の魅力を損ねていた照明器具は、目立たないように目隠しが施されました。

雨樋の取替え


修景前


修景後

  • 建築当時の伝統的な素材を尊重して、塩化ビニル製の樋から銅製の樋への取替えが行われました。

魅力発信等について

まちあるき

はりみちあるき 〜「中野鍼」の修景建物解説と周辺の旧跡、庚申街道めぐり〜

中野鍼に向かうみち沿いに建てられたはりみちの道標をはじめとする周辺の史跡や庚申街道をめぐり、中野鍼の建物前では、修景の内容や建物の特徴について建築の専門家に解説していただきました。参加希望者36名から抽選を行い、18名の方にご参加いただきました。


建物前での解説
(表門)


建物前での解説
(鍼の処)


はりみちの道標


中井神社

開催日

平成30(2018)年3月24日

まちあるきルート
駒川中野駅(集合・出発)→庚申街道→南海平野線中野駅跡→長寿橋→桑津今川堤跡→平等堤→環濠跡→中井神社→息長川の碑→榎(白竜社)→保存樹→はりみち道標→中野鍼→わくわく公園(西除天童川跡)→砂子会館→駒川商店街→駒川中野駅(解散)

パネル展

大阪市役所本庁舎・東住吉区役所でのパネル展

事業の内容や、修景の参考事例の紹介とあわせ、中野鍼の建物の魅力などを紹介しました。


パネル展の様子
(大阪市役所)


パネル展の様子
(東住吉区役所)

開催場所及び期間
  • 平成30(2018)年2月26日~3月9日(大阪市役所本庁舎1階 市民ロビー)
  • 平成30(2018)年3月12日~3月26日(東住吉区役所2階玄関ホール)

ホームページ等による情報発信

東住吉区のホームページ・広報紙での情報発信が行われています。

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電話:06-6208-9631

ファックス:06-6202-7064

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