修景事例紹介「Heritage 1935」
2026年5月25日
ページ番号:679723
都市型の住宅地で往時の農村景観の名残を偲ばせる修景

・所在地:平野区加美正覚寺2丁目
・建築年:昭和10(1935)年(家屋証明書より)
・構造:木造
・階数:地上2階
・修景実施年度:令和7(2025)年度
当家については、当時の面影を残すものは本主屋以外にはないが、聞き取りによると当時農家であったこと(後に米穀販売業を営むことになる)から判断して、当時は現在の敷地よりは広く、本主屋の周りに土蔵や納屋等が付属し、敷地の境界は塀で区画されていたと考えられる。したがって景観的には町家のような道路に面して主屋が存在するのではなく、塀などで囲われた中に主屋をはじめ納屋や土蔵のほか、現在住宅が建つところは農家によくある作業空間としての前庭があり、東に面した縁から見る前栽等が一体となった景観であったと想像させられる。現在もこの建物以外に当時の雰囲気を偲ばせる建物が近くに2棟程確認される。現在の建物は当時の意匠を大きく変えることなく受け継がれてきており、大屋根は入母屋桟瓦葺き、北、東、南に桟瓦葺きの1階庇がまわる。壁面は西・北とも大壁板張りとなっている他は、壁面は真壁造で当時からの形と考えられる。1階平面は通り庭に四間を持ち東に増築部があり、かつては東側は前栽を望む縁がまわっており(現在も北の部屋に縁は残る)南にも縁が今も残る。2階は通り庭の上も部屋が作られ6室の構成で中央に階段がある。建物断面的には本二階までの高さはないものの、居住空間として利用できるつし二階となっている。
この建物はかつて建築された当時の農村景観が都市化の波によって都市型の住宅地へと移行してゆく中で、往時の名残を偲ばせる。これからも残り少なくなった歴史遺産として後世に受け継がれてゆくことが望ましい。
(大阪市地域魅力創出建築物修景事業 専門家相談員 松本 正己)
主な修景の内容
屋根の補修

修景前

修景後
・屋根の瓦補修及び漆喰補修を行いました。
設備機器の木製格子囲い

修景前

修景後
・室外機など設備機器を外観の雰囲気に馴染むよう、木製格子で囲みました。
木製の建具への変更

修景前

修景後
アルミ製の建具を外観の雰囲気に馴染むよう木製建具へ変更しました。
オーナーさんからの一言コメント

この度は大変お世話になりました。古く価値のある建物は取り壊され、新しい建物に変わっていく中、昔の建物を残そうとして頂く取り組みはとてもありがたく思います。これからもこの活動が受け継がれていきますように願います。大切にこの家を守っていきます。
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