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5.生活環境

2022年1月5日

ページ番号:7319

(1) 現状と課題

 今後の障害者支援の推進にあたっては、障害者が地域で自立した生活を営むため、地域において生活ができる多様な暮らしの場の確保は、極めて重要な課題である。このため、本市では、市営住宅の優先入居措置やグループホームの整備促進に努めてきているが、現状は、グループホームの整備については現支援プランの数値目標を下回っている状況にある。この原因は、物件の確保の問題、障害者に対する民間賃貸住宅所有者や地域住民の誤解や偏見等さまざまな要因が考えられる。また、障害者個人が住まいを確保するうえでも同様の問題があり、今後、暮らしの場の確保に向け、より一層の取り組みが求められる。
 本市の建物や施設について、平成5年4月に市長を本部長とする「大阪市ひとにやさしいまちづくり推進本部」を設置し、「大阪市ひとにやさしいまちづくり整備要綱」に基づき、エレベーターやスロープ、障害者対応トイレの設置などの改善を行ってきている。
 民間施設についても、建設や改修を行う場合は同整備要綱に規定する建物について、すべての人が利用しやすくなるよう指導を行うとともに、優れた整備事例の建物について表彰する「大阪・心ふれあうまちづくり賞」を実施している。平成14年7月には「ハートビル法」が改正され(1年以内に施行)、不特定かつ多数の者が利用し、又は、主として高齢者、身体障害者等が利用する特別特定建築物で一定規模以上のものについては、バリアフリーが義務づけられた。
 そのほかの面では、交差点での道路歩道の段差切り下げの推進、公園の改善、駐車場の整備などにも積極的に取り組んできたところである。
 また、交通機関については、平成3年度に鉄道駅舎エレベーター等設置補助制度を創設し、鉄道駅舎のエレベーター設置について強力な指導を行い、一定の成果をあげている。
 市営交通機関においては、「第1次ええまち計画」「第2次ええまち計画」によりエレベーター、エスカレーターを設置するなど地下鉄駅舎の改善を進めており、全国に先駆けてリフト付き路線バスやノンステップバスの導入を行うなど、障害者の利用しやすい移動手段の確保に努めてきた。
 現在、平成12年度に施行された「交通バリアフリー法」に基づき、重点整備地区の移動円滑化を図るため、障害当事者や地域住民の参加のもと、順次基本構想策定に向け取り組んでいるところである。
 これらの取り組みについては一定の成果を挙げてきたところであるが、障害者の社会参加の促進に伴う多様なニーズに対応するため、「大阪市ひとにやさしいまちづくり整備要綱」については、今後とも、改正「ハートビル法」や「大阪府福祉のまちづくり条例」の内容を十分ふまえて改正を行い、障害者や高齢者だけでなくすべての人が使いやすく利用できるという考え方である「ユニバーサルデザイン」の理念に基づき、環境の整備・移動手段の確保に取り組んでいく。
 防災対策については、阪神・淡路大震災を教訓として、大阪市地域防災計画を全面的・抜本的に改訂し、これにそって推進しているところであり、障害者の避難体制等についても具体的に検討していかなければならない。
  
課題
 1)住宅・住環境の整備

 2)生活環境の整備

 3)移動手段の整備

 4)防災対策の充実
 

(2) 施策の方向性

1)住宅・住環境の整備        

ア. 市営住宅の改善等          
 市営住宅の整備にあたっては、ひとにやさしい住まいづくりの理念の実現のため、今後ともバリアフリー対応の住宅への改善に努める。
 新築市営住宅の全戸について、「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」及び「大阪市ひとにやさしいまちづくり整備要綱」に基づき建設を行うとともに、障害者を対象とした住宅の供給に努める。
 また、特定目的住宅の障害者入居枠の確保に努めるとともに、精神障害者及び知的障害者の単身入居については、その方策を検討し、国に強く働きかける。車いす利用者住宅についても増設を図る。
 さらに、シルバーハウジングプロジェクトによる「ケア付き住宅」の整備に努める。        
 
イ. グループホームの設置促進          
 障害者の地域での自立生活に向けて、施設・病院からの地域移行や地域での生活を促進するため、整備促進のための支援策を検討するとともに、市営住宅の活用を図る。また、質的向上を図るための支援の拡充を図る。        
 
ウ. 民間住宅の確保          
 地域での自立生活を可能とするため、円滑に民間住宅に入居できるよう、さまざまな事例を研究し、居住支援のあり方について検討する。とりわけ、長期入所、長期入院をしている障害者にとって、地域で住まいを確保することは困難であるので、地域移行を支援する施策と関連づけて検討をすすめる。        
 
エ. 民間住宅のバリアフリー化の促進          
 「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」等をふまえ、本市の融資助成制度を活用して建設する民間共同住宅にバリアフリー化を義務付け、暮らしやすい住宅の供給促進に努める。          
 
オ. 民間賃貸住宅所有者に対する啓発          
 すべての市民が自らの問題として積極的に「ひとにやさしいまちづくり」に取り組む機運を盛り上げるため、その必要性を周知するとともに、協力が得られるようさまざまな機会をとらえて啓発を行う。        
 
カ. 住宅改造に関する情報提供          
 住宅改造相談事業や市町村生活支援事業による住宅の情報提供等の充実を図り、障害者一人一人に適した住環境が確保されるように努める。                  

 
2)生活環境の整備        

ア. ひとにやさしいまちづくりの推進          
 「大阪市ひとにやさしいまちづくり推進本部」を中心として、全庁的に取り組むとともに、「大阪市ひとにやさしいまちづくり整備要綱」に基づき整備をすすめ、障害当事者の参加のもとに全市的にひとにやさしいまちづくりを推進する。
 また、整備要綱については、実効性が保持できるよう、すべての人が使いやすく利用できるユニバーサルデザインの考え方をふまえ研究に努める。また、すべての市民が積極的に「ひとにやさしいまちづくり」に取り組むという意識の高揚を図るため、その必要性を周知し、協力が得られるようさまざまな機会をとらえて啓発を行う。        
 
イ. 本市建築物の改善          
 本市建築物の改善計画に従って、これまで不特定多数の市民が利用する施設について改善してきたが、その他の本市建築物について、今後順次整備を図る。        
 
ウ. 民間事業者に対する働きかけ          
 都市施設(不特定かつ多数の者の利用に供する建築物、道路、公園及び駐車場)を新たに設置する場合は、ハートビル法の内容や「大阪市ひとにやさしいまちづくり整備要綱」の考え方を周知し、関係事業者を啓発指導し、バリアフリーの推進を図る。        
 
エ. 公園、駐車場等の改善          
 公園、駐車場等の整備にあたっては、階段のスロープ化や手すりの設置、車止めの改良、溝蓋の設置、障害者対応トイレの整備等「ひとにやさしいまちづくり」の基本的な考え方に基づき、計画的に改善を図る。                  

 
3)移動手段の整備        

ア. 移動円滑化の推進          
 平成12年に施行された「交通バリアフリー法」及び国が定めた基本方針に基づき、一定規模の駅などを中心とした地区について移動の利便性及び安全性を向上するための方針、実施する事業等を内容とする「基本構想」を策定し、関係事業者、障害当事者とともに、交通のバリアフリー化を一体的に推進する。        
 
イ. 市営交通機関の改善          
 地下鉄駅舎では、エレベーターでホームと地上(公共用通路)との間を移動できるワンルート確保に加え、乗り換えの際の移動の円滑化を図り、あわせて障害者対応トイレの設置や案内・誘導設備等の改善を一層推進する。
 地下鉄車両等に車いすスペースや車内案内表示装置を整備するとともに、バス車両の更新時期に合わせて、ノンステップバス車両の導入を図る。
 障害者をはじめすべての利用者に配慮したバス停の改善や、点字による路線案内図や駅構内案内図の発行等を行い、安全かつ快適な利用を促進する。        
 
ウ. 民間事業者に対する働きかけ          
 「交通バリアフリー法」に基づき、民間鉄道事業者に対して、障害者や高齢者等が利用しやすくなるよう改善を積極的に働きかける。特にエレベーターについては、新設駅への設置はもちろんのこと既存の駅舎についても設置を促進するよう、引き続き鉄道駅舎エレベーター等設置助成を行う。
 また、民間バス事業者についても、ノンステップバスの新規導入が促進されるよう働きかけるとともに、引き続き助成を行う。        
 
エ. 歩行空間の改善          
 公共施設、主要交差点、歩道橋の階段昇降口部等への視覚障害者誘導用ブロックの設置を推進し、あわせて歩道の設置、簡易歩道の改良や階段のスロープ化を行う。
 また、交差点での歩車道の段差切り下げについては、障害者が安全で快適に移動できるよう改善するとともに、違法駐車、放置自転車対策を徹底し、障害者をはじめすべての歩行者が安全かつ快適に歩道を利用できるようにする。        
 
オ. 自家用車利用に対する支援          
 障害者の行動範囲を大幅に広げるものとなる自家用車を活用できるよう、車いす使用者用駐車スペースの確保などについて、民間事業者への働きかけを行うとともに、公共駐車場の改善や大阪市所管有料道路の通行料金割引などによる社会参加の促進を図る。                  

 
4)
防災対策の充実        

ア. 防災体制の強化          
 行動に制約のある障害者を災害から守るために、施設及び住宅の防災体制の強化を図る。
 また、まちづくりにあたっては障害者の災害時の安全確保を考慮したものとする。        
 
イ. 災害時・緊急時の対応策の充実          
 災害時・緊急時の避難誘導及び通報体制・避難ルートを整備するとともに、その周知、徹底を図り、消防関係機関及び住民による避難誘導の実効性を確保し、支援を要する障害者の救出、救護の充実を図る。
 また、安否確認の体制や社会福祉法人・NPO等と連携した福祉サービス・福祉用具・医療の確保、心のケアのあり方などについて検討をすすめる。

 
 

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