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7.教育・保育

2022年1月5日

ページ番号:7335

(1) 現状と課題

 本市においては、ノーマライゼーションの理念のもと、地域で共に育ち、共に学び、共に生きることを基本とした教育・保育の推進に努めている。
 その観点から、幼稚園や保育所では、障害の内容・程度を問わず、教育・保育を希望する子どもを受け入れている。幼稚園では、地域で仲間と共に育ち合い楽しく生活できる教育をすすめている。保育所では、地域のなかで、障害のある子どもとない子どもが共に育ち合う保育を実施している。
 義務教育段階では、就学先の決定にあたって、本人・保護者の意向を尊重するとともに、小・中学校でのエレベーター設置などの条件整備に努めている。小・中学校では、障害のある児童・生徒を受け入れるうえで、全教職員が協力するように努めており、一人一人の状況に応じた教育をすすめるための個別の指導計画作成を試みている例もある。また、学習障害等で通常の学級に在籍している児童・生徒への支援についての研究もはじめている。
 高等学校においては、入学者選抜での条件整備を行うことで、障害のある生徒の入学が増えてきている。さらに平成14年度からは「知的障害のある生徒の高等学校受け入れに係る調査研究」を始めており、今後引き続き、障害のある生徒の後期中等教育についての研究をすすめていく。
 また、養護教育諸学校においては、一人一人の状況に応じた教育内容の創造に努めるとともに、近隣の校園との交流を行っており、さらに幼児・児童・生徒の居住地の校園との交流もすすめようとしている。また、小学校で実施している児童いきいき放課後事業に、校区内在住の養護教育諸学校在籍児童も参加し、居住地での交流をすすめている。
 大学においては、入学試験受験上、受講上の条件整備、施設の整備などを図って、障害者の高等教育を受ける機会の保障に努めている。
 なお、それぞれの学校等では、人権教育・福祉教育の位置付けで、障害者に対する認識や理解を深める取り組みをすすめるようにしている。しかしながら、障害を理由としたいじめや人権侵害の事象が依然としてあり、その解決のための取り組みをすすめることが必要である。
 平成14年2月に教育委員会で策定した「養護教育基本方針」では、国際的なインクルーシブ・エデュケーションの動向も受け、「養護教育は、障害の有無にかかわらずすべての人が平等に生活し活動する社会を目指すノーマライゼーションの大きな流れにそうとともに全人間的復権を目指すリハビリテーションの理念に基づき、障害のある幼児・児童・生徒の人権の尊重を図り、一人一人のニーズを踏まえ自立に向けて可能性を最大限に伸ばすことを目指してすすめる」との基本姿勢を示している。今後、インクルーシブな教育をめざすうえでは、制度等の課題もふまえて研究・検討をすすめることが必要である。
 
課題
 1)就学前教育の充実

 2)義務教育段階における教育の充実

 3)後期中等教育段階における教育の充実

 4)高等教育段階における教育の充実

 5)生涯学習や相談・支援の充実

 6)人権教育・福祉教育の充実

 7)教職員等の資質の向上
 

(2) 施策の方向性

1)就学前教育の充実    

ア.幼稚園、保育所における教育・保育内容の充実     
 幼稚園においては、地域で仲間と共に育ちあい楽しく生活できる教育の内容充実を図る。
 保育所においては、障害のある子どもとない子どもの共同保育を今後とも積極的に推進し、地域で共に育ちあう保育内容の充実を図る。
 幼稚園、保育所ともに、地域、保護者、その他関係機関との連携をとりながら、人権の視点を大切にし、教育・保育内容の一層の充実に努める。
 また、通所療育を担当する施設及び関係機関では、専門的な立場から、幼稚園・保育所・小学校等と連携し、将来の自立と社会参加を展望しつつ障害児一人一人の生きる力の獲得を支援する。    
 
イ.盲学校・聾学校幼稚部の充実     
 盲・聾学校幼稚部においては、専門的な教育内容の充実とともに、子どもの居住地との交流をすすめる。また、在籍しない幼児の教育相談など、開かれた活動の充実を図る。    
 
ウ.教育諸条件の整備・充実     
 早期教育や療育が有効に機能するよう、施設や設備の整備改善を図るとともに、教職員及び保育者の障害のある子どもに対する認識や理解を深め、資質の向上を図るため、研修の充実を図る。         

 
2)義務教育段階における教育の充実    

ア.共に学び共に育ちあう多様な教育の展開     
 児童・生徒は、まず居住地の小・中学校が就学の相談を受ける。そして、就学先の決定にあたっては、本人・保護者の意向を十分に尊重するとともに、養護教育諸学校に就学した場合も、小・中学校との関係が断たれることのないように取り組む。また、学校教育全体で障害のある児童・生徒を受けとめるという観点から、共に学び共に育ちあう多様な教育の展開を図る。
 教育方法や教育内容の充実を図るため、地域での自立と社会参加を展望しつつ、関係諸機関との連携のもと一人一人のニーズを把握し、本人・保護者の意見もふまえて個別の教育支援計画を作成するよう努める。    
 
イ.教育諸条件の整備・充実     
 エレベーターの設置など教育諸条件の整備・改善を図り、障害の有無にかかわらず共に学びやすい環境の整備に努める。
 また、学習障害等も含め通常の学級で学ぶ障害のある児童・生徒への支援・指導についても、その教育条件の充実をめざす必要があり、そのための方策を研究・検討するとともに、国や大阪府に対しての働きかけにも努める。    
 
ウ.養護教育諸学校等の機能の充実     
 養護教育諸学校では、在籍する児童・生徒への指導を一層充実させるとともに、小学校・中学校等の実践を支援する養護教育のセンターとしての役割を果たせるように努める。また、周辺の校園との交流とともに、在籍する児童・生徒の居住地の校園や地域との交流もすすめる。
 なお、養護学級や通級指導教室においては、指導の充実を図るとともに積極的に交流をすすめ、さらに通常の学級に在籍する障害のある児童・生徒への指導について支援を図る。         

 
3)
後期中等教育段階における教育の充実    

ア.多様な教育の展開     
 「知的障害のある生徒の高等学校への受け入れに係る調査研究」をすすめるなど、義務教育修了後の進路について、高等学校や職業訓練機関等を含めた多様な選択が可能となるように具体化をめざして研究をすすめる。
 また、養護教育諸学校高等部においては、地域での自立と社会参加を展望しつつ、その教育内容の充実を図るとともに、同世代の生徒や地域との交流、さらに、高等学校等の実践への支援にも努める。    
 
イ.自立に向けた教育内容等の充実     
 将来の自立に向け、一人一人の生徒に応じた目標をたて、自らの生き方を選択する力を育成できるよう、教育内容の充実を図る。また、社会の変化をふまえて職業教育の推進を図る。
 さらに、一人一人の生徒に応じた進路指導の充実を図れるよう、卒業後の進路を展望した「個別移行支援計画」について研究する。あわせて、進路先や関係諸機関との連携を図り、アフターケアにも努める。    
 
ウ.教育諸条件の整備・充実     
 高等学校、養護教育諸学校高等部、職業教育訓練センター等の施設や設備などの教育諸条件を整備し、その充実を図る。         

 
4)高等教育段階における教育の充実    

ア.受験機会の保障     
 障害者の進学の機会を保障するため、入学試験受験に際して障害の状況を考慮した条件整備を行い、障害者の受験機会を確保する。    
 
イ.教育諸条件の整備・充実     
 障害者の受講に際して、点字図書の確保及び必要な施設・設備の整備などの支援策の充実を図る。
 また、学内ボランティアの活用を図るとともに、障害のある学生に対してオリエンテーション等の充実を図る。    
 
ウ.障害者福祉関係の教育・研究の展開     
 大学において、障害者問題に関する教育の充実を図り、障害者支援に関する研究活動の向上に努める。         

 
5)生涯学習や相談・支援の充実    

ア.生涯学習の機会提供     
 障害者の地域における生涯学習の機会を確保するため、図書館等の社会教育施設や地域施設について、障害者が利用しやすくなるよう整備を一層推進する。
 また、障害者を対象にした成人学校、女性学級及び青年教室などの事業の一層の充実を図る。    
 
イ.相談事業・相談活動の充実     
 教育センターでの相談事業の充実を図るとともに、養護教育諸学校が養護教育のセンターとしての役割を果たすよう、相談活動を充実する。
 また、他の相談機関や校園・地域社会等とも連携を図り、就学前から卒業後までの一貫した相談・支援の推進に努める。    
 
ウ.放課後活動等の充実     
 障害のある児童の放課後活動や長期休業中の活動として、児童いきいき放課後事業での取り組みの充実を図る。
 また、児童いきいき放課後事業に参加しない児童・生徒についても、地域での活動に参加できるよう、関係機関、地域社会が連携して取り組みをすすめるよう努める。         

 
6)人権教育・福祉教育の充実    

ア.学校教育における人権教育・福祉教育の充実     
 各学校では、人権教育・福祉教育の一環として、ちがいを認めあい互いの人権を尊重しあう児童・生徒、また集団を育成する取り組みに努めるとともに、障害と障害者に対する認識や理解を深めるための取り組みを推進する。
 そのためにも、共に学び共に育ちあう教育実践の充実を図る。また、今まで取り組みが十分でなかった、精神障害等に対する認識や理解を深められるように、教材等の研究をすすめる。    
 
イ.社会教育における人権教育・福祉教育の充実     
 生涯学習の取り組みとして、障害者に対する認識や理解を深めるために、講習会等を幅広く市民対象で開催し、人権教育・福祉教育の充実に努める。
 また、PTA活動でも、障害者の人権について学ぶ人権啓発などの取り組みをすすめ、あわせて、地域社会の理解・啓発を図るように努める。         

 
7)教職員等の資質の向上    

ア.研修の充実     
 すべての教職員等が、障害者についての認識と理解を深めるとともに人権意識を高めるよう、そして、障害者の地域での自立と社会参加を展望した専門的力量を向上させるため、研修の充実を図る。
 さらに、一人一人の幼児・児童・生徒の状況を共通理解し全教職員等で共に指導をすすめるため、また、障害を理由としたいじめや人権侵害の解決を図る取り組みをすすめるため、各校園等で実施する研修の充実を図る。
 また、研修の資料となる指導事例集等を作成するよう努める。    
 
イ.研究活動の活性化     
 教職員一人一人が自ら研修に努めるとともに、とりわけ養護教育諸学校では、養護教育の相談・支援をすすめるセンターとしての役割を果たすため、専門性の向上をめざして研究活動を一層推進するよう努める。      

 
 

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