【平成26年度】業種・業態別 事業系一般廃棄物排出実態調査の結果について
2023年5月11日
ページ番号:473674
平成26年度
1.調査の目的
大阪市では、持続可能な循環型都市の構築をめざし、「大阪市一般廃棄物処理基本計画」の減量目標を「平成27年度のごみ処理量100万トン以下」、また将来的な目標として「ごみ処理量90万トン」をめざすこととし、古紙等の分別収集や資源化可能な紙類の焼却工場への搬入禁止等の紙ごみ対策、焼却工場搬入ごみの適正化などに取り組んでいるが、本市ごみ処理量のうち事業系ごみが約6割を占めており、この事業系ごみの減量が大きな課題となっている。
こうしたことから、大阪市一般廃棄物収集運搬業許可業者(以下「許可業者」という)が収集する事業系ごみについて、業種・業態別の特色、発生抑制・再生利用の可・不可、本来分別排出すべき産業廃棄物等の混入率など、その排出実態を詳細に調査・把握することとし、許可業者はもとより排出事業者への適切な指導(産業廃棄物の適正処理ルート誘導や、リサイクルルートへの誘導)を行い、今後の啓発方法等の検討を行うことで、事業系ごみの適正区分・適正処理のより一層の推進をめざす。
また、平成25年10月実施の資源化可能な紙類の焼却工場への搬入禁止に伴うごみの排出実態やごみ組成の変化を把握し、事業実施前後の排出廃棄物への影響等の検証データとする。以上の事項を目的として本調査を実施することとした。
なお、本調査は、調査対象事業所範囲の見直しや調査対象事業所数を変更しながら、平成19年度、平成22年度、平成24年度とこれまでに3回実施してきた。
2.調査の対象
(1)調査の対象
調査の目的である事業系ごみの排出実態を把握する対象は、図1に示すように、大阪市の処理施設で処理している事業系ごみのうち、特定建築物等(1)、マンション・アパート・寮から排出されたごみ、持込ごみ等(2)を除く許可業者収集ごみとした。ただし、段ボール箱や缶・びんなどの資源化物を事業所が分別・排出し、許可業者等が資源化物として収集しているものは調査の対象外とした。なお、本調査の対象としたごみは、大阪市の処理施設で処理している事業系ごみ量の約58パーセントを占めている。
(1)「特定建築物等」とは、廃棄物の減量推進及び適正処理に関する計画書提出事業所又は月50トン以上排出する事業所としている。
(2)「持込ごみ等」とは、持込ごみ、臨時ごみとしている。
(2)調査の対象となる事業所の業種別排出状況
許可業者作業対象名簿の契約量をもとに、調査の対象となる事業所(29業種)の業種別排出状況を算出した。調査対象事業所の業種構成の契約量割合は、工事・製造業が約21パーセントと最も多く、次いで、飲食店(約20パーセント)、卸・小売業(約18パーセント)、事務所ビル(約10パーセント)などとなっていた(図2)。
3.調査の流れ
調査全体の流れは図3に示すとおりである。なお、本調査の実施にあたっては許可業者、排出事業者の方々の多大な協力を得て、円滑な調査が実施できた。
- 許可業者作業対象名簿の整理(約90千事業所)
市内の事業系ごみの業種別排出件数・排出量を把握するとともに、市全体の事業系ごみの実態を把握するための調査対象事業所抽出のための基礎的名簿を整理した。 - ごみ組成調査対象事業所の第1次候補選定(約1,200事業所)
許可業者作業対象名簿から、第1次候補事業所を選定した。なお、平成24年度に調査を実施した事業所は廃業等を除き必ず選定した。 - ごみ組成調査のための準備(第2次候補約630事業所、最終候補445事業所)
許可業者等からの調査票への回答、第1次候補事業所の下見調査などから得た、調査対象事業所のごみ排出状況(ごみ排出時間、ごみ量等)を踏まえ、第2次候補事業所を抽出した。次に、第2次候補事業所に対して、調査への協力依頼を行うとともに、ごみ排出状況の確認等を行い、最終候補事業所を選定した。 - ごみ組成調査の実施(調査実施事業所398事業所)
サンプリング計画に基づき、サンプリング及び分類作業を実施した。 - 調査対象事業所の概要把握調査
調査対象事業所の規模等の概要を把握するため、調査対象事業所に対するアンケート調査を実施した。 - 調査結果の集計・分析
調査結果を集計し、業種別及び全業種合計のごみ組成等を把握した。
調査のスケジュールは、表1に示すとおりである。調査対象事業所の選定は、ステップ1、2、3の段階を踏んで行った。なお、サンプリング及び分類作業は、平成27年1月21日(水曜日)から2月25日(水曜日)にかけて実施した。サンプリング及び分類作業は、調査期間の前半に排出月量5トン以上の事業所と行政機関(約7日間)、後半が排出月量5トン未満の事業所(約20日間)の順番で調査を実施し、約30日間のスケジュールで調査を行った。
なお、ごみ組成調査を実施した排出量5トン未満の事業所に対して、平成27年3月に事業所規模、分別リサイクル等の概況把握のためのアンケート調査を実施している。
4.調査の結果
(1)サンプリング量・分類作業量
サンプリング・分類作業を実施した事業所数は398件、ごみ量は約9トン(約77千リットル)であった(表2)。
表2 サンプリング量・分類作業量
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(2)分類調査を実施した事業所の事業活動の概要
分類調査を実施した事業所の事業活動の概要は、表3に示すとおりである。
表3 調査対象事業所の主な事業活動の概要
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(3)1袋当たりのごみ排出量と見かけ比重
サンプリングした事業系ごみのごみ1袋当たりの排出量と見かけ比重を表4に示す。単純合計でごみ1袋あたり3.2キログラム、28リットルであり、見かけ比重は0.15であった。見かけ比重を業種別にみると、紙おむつの排出量が多い社会福祉施設、食料品を扱う飲食店、食品製造業、スーパー、ホテル・旅館など、重たいごみを排出する業種で高くなっていた。なお、これらの全体的概要は平成24年度調査と比べ、やや高くなっていた。
表4 1袋当たりのごみ排出量と見かけ比重
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(4)全業種合計のごみ組成
1.全業種合計のごみ組成の概要
業種別ごみ組成から求めた全業種合計のごみ組成は、重量比では紙類が約36パーセント、厨芥類が約31パーセント、プラスチック類が約15パーセントとなっており、容積比では、紙類が約46パーセント、プラスチック類が約38パーセント、厨芥類が約6パーセント、金属類が約4パーセントとなっていた(図4)。
平成24年度調査結果と比べると、段ボール箱等の排出割合の減少により紙類の組成割合が2ポイント程度減少(平成22年度約42パーセント、平成24年度約38パーセント、平成26年度約36パーセント)している。
図4 全業種合計のごみ組成の概要
2.全業種合計のごみ組成の詳細
ごみ組成の全体的概要に続き、全業種合計によるごみ組成の詳細を以下に整理した。重量比は、「紙類」が約36パーセントと最も高く、次いで、「厨芥類」が約31パーセント、「プラスチック類」が約15パーセントであった。また、飲料水の缶を多く含む「金属類」は約3パーセント、飲料水のびんを多く含む「ガラス類」は約2パーセントであった。
紙類では、段ボール箱、その他紙箱、紙袋・包装紙等の「容器包装材」が約12パーセントを占めていた。また、シュレッダーくず、ティッシュペーパー等の使い捨ての紙など「その他の紙類」が約10パーセント、封筒・パンフレット等の「色付紙」が約3パーセント、「新聞紙」が約3パーセントなど、「その他(容器包装材以外の紙類)」が約24パーセントを占めていた。
厨芥類では、飲食店、スーパー等生鮮食品を扱う商店、食品製造業等から多く排出されていた「加工原料くず・製品くず」が約13パーセント、飲食店における食べ残し等の「一般厨芥類」が約13パーセント、スーパー、コンビニエンスストア、食品卸売業等から多く排出されていた「調理期間切れ・売れ残りの食料品」が約6パーセントとなっていた。
プラスチック類では、梱包用大型プラ袋・シート等を含む「袋・シート状容器包装材」が約7パーセント、ペットボトルやトレイ・パックなどの「容器状容器包装材」が約4パーセントで、合わせて「容器包装材」が約11パーセント、プラスチック製の商品等の「成型品等」が約3パーセントとなっていた。また、主にごみ排出時に使用される「ごみ袋」は約2パーセントであった。
一方、容積比は、「紙類」が約46パーセントと最も高く、次いで、「プラスチック類」が約38パーセント、「厨芥類」が約6パーセント、「金属類」が約4パーセントであった。
- いくつかの組成項目の計を表示する場合、四捨五入の関係で個々の項目の和と計の組成項目割合が異なる場合がある。以下同じ。
紙類では、段ボール箱や紙袋・包装紙などの「容器包装材」が約25パーセントと全体の4分の1を占めていた。また、プラスチック類では、小袋等のプラ袋・シートや梱包用の大型プラ袋・シートなどの「袋・シート状容器包装材」とペットボトルやトレイ・パック等の「容器状容器包装材」を合わせた容器包装材が約31パーセントであり、容積比で見ると紙製とプラスチック製の容器包装材の2つで多くの割合を占めていた。
なお、平成24年度調査結果と比べ、重量比で見ると段ボール箱が2ポイント(平成24年度約6.3パーセント、平成26年度4.8パーセント)減っているが、それ以外の組成項目には大きな変化は見られず、全体的なごみ組成は平成24年度調査結果とほぼ同じであった。
図5 全業種合計のごみ組成
(5)業種別のごみ組成
1.業種別のごみ組成の概要
業種別のごみ組成調査結果の概要を表5に示す。事業系ごみの主な成分は、紙類、厨芥類、プラスチック類であり、事業活動の内容により各業種でそれぞれの占める割合が異なる。
事務作業に伴うOA紙・書類系、商品・原料の入出荷に伴う梱包系、医療・介護行為等に伴う紙おむつなどの紙類の排出が多いのは、事務所ビル、非食品製造業、非食品卸売業、金融・不動産業、医療機関、教育である。一方、食品の製造・加工・販売・料理品の提供に伴う加工原料くず・製品くず、食品の販売や料理品の提供に伴う調理期間切れ・売れ残りの食料品、さらに来店者の食べ残しなどの厨芥類の排出が多いのは、雑居ビル、飲食店、食品製造業、食品卸売業、スーパー、コンビニエンスストア、一般食品系商店である。プラスチック類についても、食材等の仕入れに伴う包装系、商品・原料の入出荷に伴う梱包系、廃製品等事業内容により排出される内容と排出量が異なる。その他に、花屋やその他の業種(社寺)の草木類のようにその業種の事業活動にそったごみが排出される業種もある。
なお、表5では上段に平成26年度調査、下段に平成24年度調査の結果を示しているが、大半の業種では2年間の比較でごみ組成には大きな変化は見られない。変化があってもごみ組成のバラツキに起因すると思われる。しかし、スーパーでは調査ごみのサンプリング時に確認しているが、古紙類や産業廃棄物であるプラスチック類の分別排出が進み、紙類、プラスチック類の割合がほぼ半減している。
表5 業種別のごみ組成の概要(重量比)
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2.業種タイプ別の排出状況
本調査結果を、ごみの排出状況に応じてタイプ分けを行った(表6)。ただし、ここで示すタイプ分けは現在排出事業者が分別している資源化物は含まれていないので、発生レベルではなくごみとして排出している段階のごみを基準にしたものである。
業種タイプは、紙類の多い業種(Aタイプ、紙類の割合40パーセント以上)、厨芥類の多い業種(Bタイプ、厨芥類の割合30パーセント以上)、その他の業種(Cタイプ、資源化が可能な飲料水等容器の排出の多い業種)に分類した。
さらに、紙類の多い業種であっても、今後ごみの資源化の可能性が高い古紙類がかなりの比重を占めている業種(A-1タイプ紙類全体に占める従来からの古紙類と平成25年10月から搬入禁止対象として追加した古紙類の合計(内容は表9参照)の割合が60パーセント以上)と、それ以外の紙製品が大きな比重を占めている業種(A-2タイプ紙おむつがごみ全体の20パーセント以上)がある。
また、厨芥類の多い業種では、堆肥化等のリサイクルが比較的容易な食品加工くずの割合が高い業種(B-1タイプ厨芥類全体に占める加工くず等の割合が40パーセント以上)、売れ残りが多く販売管理の徹底等により発生抑制が可能な業種(B-2タイプ厨芥類全体に占める売れ残り等の割合が25パーセント以上)、その他の一般厨芥類(食べ残し等)が多い業種(B-3タイプ)の3つに分けられる。
基本的にはA-1タイプに属する業種は、まだ資源化の余地があり、分別排出等の徹底によりごみ排出量の削減をめざしていく必要がある。一方、B-1タイプに属する業種は、厨芥類の堆肥化等による資源化、B-2タイプは厨芥類の資源化も必要であるが、販売管理の徹底による食品廃棄物の削減も合わせてめざしていく必要がある業種である。
表6 業種タイプの内容と業種
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(6)使用用途別・容器包装材の排出状況
1.使用用途別の排出状況
事業系ごみを1調査対象事業所の事業活動に直接関わらない購入物品(社員の休息時等に消費する物品)、2輸送用または商品包装用の容器包装材(3と重複する物もあるがここでは全てを容器包装材と設定)、3営業・事務・生産・販売に関わる物品、4その他(分類不能)の4つに分類した結果を表7に整理した。
全業種合計の重量比では、「営業・事務・生産・販売に関わる物品(OA用紙、食材等原料、資材、部品、販売商品、販促品等)」が約62パーセント、「輸送用または商品包装用の容器包装材(全ての容器包装材)」が約27パーセント、「事業活動に直接関わらない購入物品(社員の休息時等に消費する物品)」が約7パーセント、「その他(分類不能)」が約5パーセントなっていた。
また、容積比では、「輸送用または商品包装用の容器包装材」が約59パーセントとかなりの割合を占めていた。
表7 使用用途別の排出状況(全業種合計)
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2.容器包装材の排出状況
容器包装材の排出状況についてみると、重量比では段ボール箱や紙袋などの紙製容器包装材が約12パーセント、プラ袋・シート状容器包装を中心としたプラスチック製容器包装材が約11パーセントなど、合計は約27パーセントであった。容積比では、紙製容器包装材が約25パーセント、プラスチック製容器包装材が約31パーセントなど、合計は約59パーセントとなっていた。
平成24年度調査結果と比べると、重量比では段ボール箱が2ポイント程度減少している。なお、段ボール箱はかさばるため、容積比では10ポイントの減となっていた。逆に、「プラスチック製容器包装材」は重量比で1ポイントの増加であるが、容積比では4ポイントの増加となった。
(7)事業系ごみの減量可能物に関する排出状況
1.発生抑制可能物の排出状況
事業系ごみの発生抑制による減量可能性を探るため、発生抑制可能物とした品目は、表8に示すように、用紙節約やペーパーレス化、宣伝方法の見直し、輸送用梱包の改善、使い捨て商品等使用の見直し、食品製造・加工管理の徹底、販売管理の徹底、リターナブル容器の利用などによって発生抑制が可能と考えられるものを対象として選んだ。なお、輸送用梱包に含まれる段ボール箱や、食品製造・管理の徹底に含まれる加工原料くず・製品くずなど一部の品目は、次節に示す資源化可能物と重複している。
表8 発生抑制可能物とした品目
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全業種合計の発生抑制可能物は、重量比でみると図7に示すように、合計で約42パーセントとなっていた。発生抑制の行動別にみると、「食品製造・加工管理の徹底」が約13パーセント「輸送用梱包の改善」が約10パーセント、となっていた。また、ティッシュペーパーなどの使い捨ての紙を含む「使い捨て商品等使用の見直し」は約6パーセントとなっていた。
2.資源化可能物等の排出状況
資源化可能物等とした品目は、表9に示すように、既存のリサイクルルートで資源化が可能であると考えられる段ボール箱や新聞紙、ペットボトル、びん、缶などであり、また、これに堆肥化可能物として厨芥類を加えた。さらに、平成25年10月から資源化可能な紙類の焼却工場への搬入が禁止となったため、従来からの古紙類に、シュレッダーくず、小さな紙箱、包装紙・袋などの搬入禁止対象物を加えて、事業系ごみ中の資源化可能物等の排出状況を整理した。
なお、サンプリングにあたって、資源ごみ置き場に別途保管された段ボール箱や缶・びん・ペットボトル、また、透明袋に入れられた缶・びん・ペットボトルのように明らかに資源物と判別できるものについては、別途収集のうえ資源化されているものと判断して調査対象としなかったが、排出側で資源物が適切に分別されていない物についてはごみとして分類している。
表9 資源化可能物等とした品目
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全業種合計の資源化可能物は、重量比でみると、図8に示すように、合計で約27パーセントとなっており、品目別に見ると、「古紙類」が約23パーセント、「缶類(金属類)」、ペットボトルなどの「プラスチック類」、「びん類(ガラス類)」がそれぞれ約1パーセント、「古布」が0.3パーセントとなっていた。また、堆肥化可能物が約32パーセントとなっており、資源化可能物と堆肥化可能物の合計で約58パーセントを占めていた。
図9に示す業種別の資源化可能物(堆肥化可能物を除く)の排出状況についてみると、飲食店の約7パーセントから金融・不動産業の約70パーセントまでと業種によって差が大きかった。事務所ビル、金融・不動産業では、パンフレットや再生コピー用紙などの色付紙や段ボール箱及びシュレッダーくずなどの古紙類の割合が高く、サービス業やホテル・旅館では、古紙類だけでなく、ペットボトル、びん、缶などの飲料水容器の割合が高かった。
一方、堆肥化可能物は、飲食店、雑居ビル、卸・小売業(食品卸、スーパー、一般食品系商店)、ホテル・旅館業等で割合が高くなっていた。
平成24年度調査結果との比較では、図9に示すように、資源化可能物は重量比で3ポイント(平成24年度約30パーセント、平成24年度約27パーセント)減少しており、内訳として、段ボール箱をはじめとして他の項目も少しずつ減少している。逆に、搬入禁止対象として追加した古紙類は1ポイント(平成24年度約8パーセント、平成26年度約9パーセント)増加していた。また、堆肥化可能物については5ポイント(平成24年度約27パーセント、平成26年度約32パーセント)増加していた。
(8)過去の調査結果との比較
1.ごみ組成の比較
事業系ごみの調査はほぼ同じ手法でこれまで平成19年度、平成22年度、平成24年度及び今年度の4回実施してきた。以下ではこの4回の調査について比較し、経年的変化の特徴を整理した。
成分別組成で経年変化を見ると、紙類の割合が低下している傾向が見られる。これは主に段ボール箱の排出割合の低下が理由である。その他の動きについては、厨芥類の割合が上昇している。一方、容器包装材の区分で経年変化を見ると、平成22年度に、梱包紙・袋が多く排出されていたこともあり紙製容器包装材が一時的に増加したが、24年度以降は減少傾向を示している。プラスチック製容器包装材はほぼ横ばいで推移している。
表10 平成19年度から24年度における調査のごみ組成の比較(全業種合計)
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2.発生抑制可能物の割合比較
平成19年度から26年度の4回の事業系ごみ組成調査の結果(全業種合計)による発生抑制可能物の割合の比較を表11に整理した。
重量比では、調査年度により、割合が減少している発生抑制可能物もあるが、逆に割合が増加している発生抑制可能物もあり、発生抑制可能物の合計でみると、平成19年度は重量比約44パーセント(容積比約59パーセント)、平成22年度は重量比約45パーセント(容積比約54パーセント)、平成24年度はやや削減され重量比約41パーセント(容積比約49パーセント)、今年度は重量比約42パーセント(容積比約46パーセント)であった。
経年的に調査結果を見ると、段ボール箱、飲料水の容器の割合が減少する一方で、使い捨て商品、加工原料くず・製品くずや調理期間切れ・売れ残りの厨芥類が微増している。
表11 平成19年度から24年度における調査の発生抑制可能物の割合比較(全業種合計)
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3.資源化可能物等の割合比較
平成19年度から26年度の4回の事業系ごみ組成調査の結果(全業種合計)による資源化可能物等の割合の比較を表12に整理した。なお、先にも述べたように平成25年10月から資源化可能な紙類の焼却工場への搬入が禁止となったため、従来からの古紙類に、平成22年度調査からはシュレッダーくず、小さな紙箱、包装紙・袋などの搬入禁止対象物を加えて、事業系ごみ中の資源化可能物等の排出状況を比較した。
これまでの4回の調査結果の経年変化を重量比で見ると、従来からの古紙類は、新聞、折り込み広告、段ボール箱、色白紙、色付紙の排出割合が徐々に低下し、従来からの古紙類合計では、平成19年度調査結果の約26パーセントから今年度では約14パーセントへ減少している。搬入禁止物として新たに追加した古紙類は、平成22年度以降約9から10パーセントの横ばいで推移している。
古紙類以外では、プラスチック類、古布類、びん類、缶類とも、若干の減少又は横ばい傾向となっている。堆肥化可能物の排出量割合は微増傾向を示している。
表12 平成19年度から24年度における調査の資源化可能物等の割合比較(全業種合計)
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4.ごみ排出量
本調査では、ごみ組成把握とこれまでの4回の調査結果を比較し、その組成の変化を中心に調査結果を分析してきた。ここでは、ごみ排出量の動向について、収集量データ及び調査から得られたデータを表13に整理した。
表には、事業所1件当たりのごみ排出量の推移を示している。本来は収集間隔や従業者数を考慮して比較すべきであるが、事業所のごみ排出の背景については十分把握できていないため、1件当たりのごみ排出量の推移の比較にとどめた。なお、排出月量5トン以上の事業所は1件当たりの排出量も多く、調査対象事業所によってはごみ量の多い少ないが激しいため、データ数の多い排出月量5トン未満の事業所のみを整理・比較している。
表13に示すほぼ全てのデータが、平成19年度以降事業系ごみ量が減少していることを示している。表12の事業系ごみ中の資源化可能物の割合(従来からの古紙類、ペットボトル等プラスチック類、古布類、缶、びんの合計)は平成19年度31パーセント、平成22年度26パーセント、平成24年度22パーセント、平成26年度18パーセントと減少している。資源化できないごみが一定で変化していないと仮定すると、ごみ全体量は平成19年度100、平成22年度93、平成24年度88、平成26年度84となり、事業所のリサイクルが進んだことによる事業系ごみ中の資源化可能物割合の低下は、事業系ごみ排出量の減少を裏付けていると考えられる。
表13 調査対象事業所のごみ排出量の推移
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(9)アンケート調査・ヒアリング調査の結果
分類調査を実施した排出月量5トン未満の事業所(369件、有効回収率約35パーセント)のリサイクルの実施状況などを把握するために、往復葉書で実施したアンケート調査の結果(抜粋)を以下に示す。なお、排出月量5トン以上の事業所については、ごみ組成調査依頼と並行してヒアリング調査によりリサイクルの実施状況などを把握した。
1.排出月量5トン未満の事業所
分別・リサイクルの実施状況
何か1品目でも分別・リサイクルを実施していた事業所が約97パーセントを占めており、「段ボール箱」は約85パーセント、「缶」、「びん」、「ペットボトル」は概ね70パーセント以上の事業所が分別・リサイクルを実施していた。シュレッダー紙や雑がみを分別している事業所も約30パーセント以上あった。平成24年度の調査結果に比べ分別排出率は全体的に高まっている。
最近2年から3年の間の分別リサイクルの取組の強化
最近2年から3年の間の分別リサイクルの取組の強化は図11に示すように、約73パーセントが「強化した」と回答しており、平成24年度の調査より「取り組みを強化した」との回答率が高まっている。
取組強化のきっかけ
取組強化のきっかけは、図12に示すように、「ごみ収集業者からの要請」が第1位で、次いで、「広報等による大阪市の呼びかけ」であった。「ごみ収集業者からの要請」の回答割合は平成24年度調査時に比べかなり高くなっている。
今後、新たな分別リサイクルの取組の実施予定
びん、缶、古紙類などの分別・リサイクルの今後の予定では、図13に示すように、「予定している」が約29パーセント、「予定していない」が約58パーセントであった。
今後、新たな分別リサイクルの実施予定品目
予定していると回答のあった事業所(37件)の分別リサイクルを予定している品目は図14に示すとおりである。「びん」(約35パーセント)、「缶」(約27パーセント)、「ペットボトル」(約27パーセント)の割合が高かった。
分別・リサイクルに取り組めない理由
今後、分別・リサイクルの実施を予定していない事業所(74件)に対しては、分別・リサイクルに取り組めない理由について尋ねた。
分別・リサイクルに取り組めない理由としては、図15に示すように、「保管場所がない」が約39パーセント、「手間の負担増」が約30パーセントなどとなっていた。なお、その他は、「すでにごみ減量の取り組みは実施している」との回答が大半であった。
2.排出月量5トン以上の事業所
分類調査を実施した排出月量5トン以上の排出事業所(24件)のヒアリング結果については、ごみ組成調査への協力依頼とごみ排出状況(排出場所、排出量、サンプリングにあたっての注意事項等)の確認を優先しており、平成24年度調査と同様に無回答の割合が高くなっており、以下には分別・リサイクルの実施状況のみを示す。
分別・リサイクルの実施状況
回答事業所の分別・リサイクルの実施状況は、図16に示すように、何か1品目でも分別・リサイクルを実施していた事業所が約88パーセントを占めており、缶、びん、古紙類は約60パーセント程度の事業所が分別・リサイクルを実施していた。
なお、食品残さは魚あらであり、また、その他の内容としては、廃食用油、鉄くず等である。
(10)調査結果のまとめ
今回の事業系ごみ調査結果では、「ごみ収集業者からの要請」や「広報等による大阪市の呼びかけ」などにより、市内事業所の分別・リサイクルが浸透し、ごみ中の段ボール箱等の資源化可能物の割合が低下(従来からの古紙類で平成19年度26パーセント、平成22年度21パーセント、平成24年度17パーセント、平成26年度14パーセント)し、その結果、紙類の割合も低下(平成19年度43パーセント、平成22年度42パーセント、平成24年度38パーセント、平成26年度36パーセント)してきた。
しかし、本市の事業系ごみにおける段ボール箱を中心とした古紙類の割合は、他都市と比較すると依然として高く、今後、資源化可能物の分別排出の浸透に向けた啓発活動等により、事業系ごみの減量をより一層推進する必要がある。
表14 事業系ごみ中に占める資源化可能物等の割合の他都市との比較
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