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【令和4年度】業種・業態別 事業系一般廃棄物排出実態調査の結果について

2023年5月11日

ページ番号:597689

令和4年度

1.調査の目的

 大阪市では、持続可能な循環型社会の構築をめざして「大阪市一般廃棄物処理基本計画」を基に、様々なごみ減量施策により、平成30年度のごみ処理量(焼却量)は93万トンとなり、ピーク時であった平成3年度のごみ処理量である217万トンの半分以下となった。

 このような状況を受け、令和2年3月に改定した「大阪市一般廃棄物処理基本計画」では、令和7年度を目標年次として、ごみ処理量84万トンをめざすこととし、さらなるごみ減量を進めてきたが、近年下げ止まりの傾向となっている。

 そのなかで、本市ごみ処理量のうち事業系ごみが約6割を占めていることから、この事業系ごみの減量が大きな課題となっている。

 こうしたことから、大阪市一般廃棄物収集運搬業許可業者(以下、「許可業者」という。)が収集する事業系ごみについて、業種・業態別の特徴、発生抑制・再生利用の可・不可、本来分別排出すべき産業廃棄物等の混入状況など、その排出実態を詳細に調査・把握することにより、排出事業者・許可業者への適切な指導(産業廃棄物の適正処理ルートへの誘導、資源化可能な紙類のリサイクルルートへの誘導、食品ロスの削減等)を行い、今後の啓発方法等の検討を行うことで、事業系ごみの適正区分・適正処理をより一層推進し、事業系ごみの減量をめざす。

2.調査の対象

(1)調査の対象

 本調査の目的である事業系ごみの排出実態を把握する対象は図1に示すように、大阪広域環境施設組合の処理施設(以下、「施設組合処理施設」という。)で処理している事業系ごみ(事業系一般廃棄物)のうち、特定建築物(注)、マンション・アパート・寮から排出されたごみを除く、許可業者収集ごみのうち、契約量で排出月量5トン未満の事業所とした。ただし、段ボールや缶・びんなどの資源化物を事業所が分別・排出し、許可業者が資源化物として収集しているものは調査の対象外とした。

 本調査の対象としたごみは施設組合処理施設で処理されている事業系ごみ量の約46パーセント(37,933トン/月÷82,120トン/月=46.19パーセント)を占めている。

(注)「特定建築物」とは、廃棄物の減量推進及び適正処理に関する計画書提出事業所としている。

図1 本調査の調査対象
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(2)調査の対象となる事業所の業種別排出状況

 許可業者作業対象名簿の契約量をもとに、調査の対象となる事業所(31業種)の業種別排出状況を算出した。調査対象事業所の業種別契約量割合をみると、飲食店が約25パーセントと最も多く、次いで、卸・小売業が約15パーセント、工事・製造業が約15パーセント、事務所ビルが約12パーセントなどとなっていた。

図2 ごみ組成調査対象事業所の業種別排出状況(契約量の割合)
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3.調査の流れ

(1)ごみ組成調査を実施する業種の設定

 調査対象事業所候補の抽出、許可業者や排出事業者(排出月量5トン未満の事業所)への調査協力要請とサンプリングスケジュール調整、サンプリングとごみ組成分類作業の実施など調査全体の流れの概要は、図3に示すとおりである。なお、本調査の実施にあたっては、「一般社団法人大阪市一般廃棄物適正処理協会」及び許可業者の方々、並びに排出事業者の方々の多大な協力を得て、円滑に調査を実施することができた。

図3 調査全体の流れ
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(2)調査対象事業所の選定

 調査対象事業所数の選定にあたっては、平成30年度調査と同様に、排出月量5トン未満の事業所から抽出し、今回、国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(いわゆる特区民泊)を調査対象候補事業所として新たに含めた。(表1)

 これらの候補について、「一般社団法人大阪市一般廃棄物適正処理協会」を通じて、許可業者と調整し、排出月量5トン未満の事業所370件を選定した。

 ただし、調査実施にあたり、排出月量5トン未満の事業所ではごみを毎日排出しているとは限らないなど、サンプリング日に調査対象ごみをサンプリングできない場合があるため、その都度、業種ごとに調査対象事業所を選定した。

表1 業種別調査対象事業所数

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4.調査の結果

(1)サンプリング量・分類作業量

 調査目標事業所は370事業所であったが、「サンプリング時に臨時休業等によりごみが排出されていない」「調査対象事業所等から調査当日に調査辞退を受けた」などの事態を予測し、予定事業所数より多い413事業所を本調査の予定事業所数とした。

 しかし、調査対象事業所からサンプリングをしたものの、誤って資源化物や別事業所のごみが搬入されていたり、家庭ごみが排出されていたり、剪定枝等同一物が占めるごみのみが排出されていた等の原因により、一部のごみ袋や調査実施事業所が対象外となる場合があり、最終的に調査実施事業所数は338事業所となった(表2)。

表2 サンプリング量・分類作業

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(2)分類調査を実施した事業所の事業活動の概要

表3 調査対象事業所の主な事業活動の概要

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 分類調査を実施した事業所の事業活動の概要は、表3に示すとおりである。

(3)1袋当たりのごみ排出量と見かけ比重

 サンプリングした事業系ごみのごみ1袋当たりの排出量と見かけ比重を表4に示す。単純合計でごみ1袋あたり10.4キログラム、87リットルであり、見かけ比重は0.13であった。見かけ比重を業種別にみると、紙おむつの排出量が多い社会福祉施設、教育施設、食料品を扱う飲食店、食品製造業、食品卸売業や一般食品系商店など、重量が大きいごみを排出する業種で高くなっていた。

表4 1袋当たりのごみ排出量と見かけ比重

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(4)全業種合計のごみ組成

1)全業種合計のごみ組成の概要

 業種別ごみ組成から求めた全業種合計のごみ組成は、重量比では紙類が約38パーセント、厨芥類が約29パーセント、プラスチック類が約15パーセントとなっており、容積比では、紙類が約48パーセント、プラスチック類が約36パーセント、厨芥類が約6パーセント、金属類が約3パーセントとなっていた。(図4)。

図4 全業種合計のごみ組成の概要
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2)全業種合計のごみ組成の詳細

 全業種の合計のごみ組成を、図5に示す。

 重量比は、「紙類」が約38パーセントと最も高く、次いで、「厨芥類」が約29パーセント、「プラスチック類」が約15パーセントであった。また、飲料の缶を多く含む「金属類」は約4パーセント、飲料のびんを多く含む「ガラス類」は約1パーセントであった。

 紙類では、「段ボール箱」、「一般(個装)の容器包装」、「梱包・輸送用の容器包装」の「容器包装」が約11パーセントを占めていた。また、ティッシュペーパーなどの「使い捨ての紙」が約10パーセント、封筒・パンフレットなどの「色付き紙」が約5パーセント、「新聞紙」が約3パーセントなど、「その他(容器包装以外)の紙類」が約27パーセントを占めていた。

 厨芥類では、飲食店、スーパーなど生鮮食品を扱う商店、食品製造業などから多く排出されていた「加工原料・製品くず・調理くず等」が約15パーセント、飲食店などからの「食べ残し等」が約10パーセント、スーパー、コンビニエンスストア、食品卸売業などから多く排出されていた「手を付けていない食料品(売れ残り、返品等)」が約3パーセント、「茶殻・コーヒー殻等」が約2パーセントとなっていた。

 プラスチック類では、大型プラ袋・シート等の「梱包・輸送用の容器包装」、トレイ・パック・プラ袋などの「一般(個装)の容器包装」、ペットボトルなどのボトルなどの「容器包装」が約10パーセント、プラスチック製の商品・使い捨て商品などの「成型品等」が約4パーセントとなっていた。また、主にごみ排出時に使用される「ごみ袋」は約2パーセントであった。

 一方、容積比は、「紙類」が約48パーセントと最も高く、次いで、「プラスチック類」が約37パーセント、「厨芥類」が約6パーセント、「金属類」が約3パーセントであった。

 紙類では、「段ボール箱」、「一般(個装)の容器包装」、「梱包・輸送用の容器包装」の「容器包装」が約24パーセントと全体の4分の1を占めていた。また、プラスチック類では、「梱包・輸送用容器包装」、トレイ・パック・プラ袋などの「一般(個装)の容器包装」、ペットボトルなどのボトルなどの「容器包装」が約29パーセントであり、容積比で見ると紙製とプラスチック製の容器包装の2つで多くの割合を占めていた。

全業種合計のごみ組成(重量比)
図5 全業種合計のごみ組成(重量比)
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全業種合計のごみ組成(容積比)
図5 全業種合計のごみ組成(容積比)
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3)全業種合計のごみ排出特性の整理
1.容器包装の排出状況

 業種全体では重量比で約24パーセント(紙製約12パーセント、プラスチック製約9パーセント、ガラス製約1パーセント、金属製約2パーセント、木製0.1パーセント)、容積比で約55パーセント(紙製約24パーセント、プラスチック製約28パーセント、ガラス製約0.2パーセント、金属製約3パーセント、木製0.2パーセント)の容器包装が排出されていた。これを排出重量で見ると令和3年度に事業系ごみとして、排出月量5トン未満の事業所から約54千トンの容器包装が排出されたことになる。

2.産業廃棄物の混入状況

 産業廃棄物は、ごみの種類により指定されている物と特定の業種から排出された場合のみ産業廃棄物に指定される物の2種類がある。廃プラスチック類(合成ゴム、合成皮革を含む)、金属くず、ガラスくず、陶磁器くずは業種にかかわらず産業廃棄物に相当する。一方、紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ等は業種指定であり、本ごみ組成調査の調査対象にも該当業種は含まれるものの、調査全体量に対する排出割合はそれほど大きくはないため特に産業廃棄物として特定はしなかった。また、繊維類は全業種合計で約4パーセントあり、その中に合成繊維が含まれているものの綿・羊毛等の天然繊維も混合しており、産業廃棄物として特定しなかった。

 全業種合計の割合で見ると重量比で約21パーセント(廃プラスチック類約16パーセント、ガラス類約1パーセント、金属類約4パーセント、陶磁器類約0.1パーセント)、容積比で約40パーセント(廃プラスチック類約37パーセント、ガラス類約0.3パーセント、金属類約3パーセント、陶磁器類約0.0パーセント)を占めていた。また、重量に換算すると、令和3年度で排出月量5トン未満の事業所から約47千トンの産業廃棄物が排出されたことになる。

3.資源化可能物の排出状況

 業種全体では重量比で約21パーセント(古紙類約4パーセント、その他資源化可能な紙類(雑がみ)約14パーセント、プラスチック類約1パーセント、古布類約0.1パーセント、びん類約1パーセント、金属製約1パーセント)、容積比で約32パーセント(古紙類約5パーセント、その他資源化可能な紙類(雑がみ)約20パーセント、プラスチック類約5パーセント、古布類約0.1パーセント、びん類約0.2パーセント、金属製約2パーセント)の資源化可能物が排出されていた。これを排出重量で見ると令和3年度に事業系ごみとして、排出月量5トン未満の事業所から約49千トンの資源化可能物が排出されたことになる。

 有機性資源(厨芥類)の業種排出状況は、業種全体では重量比で約29パーセント、容積比で約6パーセントの有機性資源(厨芥類)が排出されていた。これを排出重量で見ると令和3年度に事業系ごみとして、排出月量5トン未満の事業所から約67千トンの資源化可能物が排出されたことになる。

4.発生抑制可能物の排出状況

 業種全体では重量比で約43パーセント(用紙の節約やペーパーレス化約2パーセント、宣伝方法の見直し約0.5パーセント、輸送用梱包の改善約8パーセント、使い捨て商品等の見直し約12パーセント、食品製造・加工管理の徹底約15パーセント、販売管理の徹底約2パーセント、食べきれる分だけの購入約1パーセント、リターナブル容器の利用約3パーセント、二次電池の活用約0.1パーセント)、容積比で約42パーセント(用紙の節約やペーパーレス化約3パーセント、宣伝方法の見直し約0.7パーセント、輸送用梱包の改善約15パーセント、使い捨て商品等の見直し約12パーセント、食品製造・加工管理の徹底約3パーセント、販売管理の徹底約0.6パーセント、食べきれる分だけの購入約0.2パーセント、リターナブル容器の利用約8パーセント、二次電池の活用約0.0パーセント)の発生抑制可能物が排出されていた。これを排出重量で見ると令和3年度に事業系ごみとして、排出月量5トン未満の事業所から約98千トンの発生抑制可能物が排出されたことになる。

5.食品ロスの排出状況

 業種全体では重量比で約8パーセント(期限切れ・売れ残りなどの手つかず食料品約2パーセント、作り置き約0.2パーセント、過剰除去約0.0パーセント、食べ残し約7パーセント)、容積比で約1パーセント(期限切れ・売れ残りなどの手つかず食料品約0.6パーセント、作り置き約0.0パーセント、過剰除去約0.0パーセント、食べ残し約0.4パーセント)の食品ロスが排出されていた。これを排出重量で見ると令和3年度に事業系ごみとして、排出月量5トン未満の事業所から約19千トンの食品ロスが排出されたことになる。

表5 全業種合計のごみ排出特性の整理

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(5)業種別のごみ組成

 業種別のごみ組成調査結果の概要を表6に示す。事業系ごみの主な成分は、紙類、厨芥類、プラスチック類であり、事業活動の内容により各業種でそれぞれの占める割合が異なる。

 事務作業に伴うOA紙・書類系、商品・原料の入出荷に伴う梱包系、医療・介護行為などに伴う紙おむつなどの紙類の排出が多いのは、事務所ビル、工事業・非食品製造業、運輸・通信業、非食品卸、金融・不動産業、医療業、教育施設である。一方、食品の製造・加工・販売・料理品の提供に伴う加工原料くず・製品くず、食品の販売や料理品の提供に伴う消費・賞味期限切れ・売れ残りの食料品、さらに来店者の食べ残しなどの厨芥類の排出が多いのは、雑居ビル、飲食店、食品製造業、食品卸売業、スーパー、コンビニエンスストア、一般食品系商店である。プラスチック類についても、食材等の仕入れに伴う包装系、商品・原料の入出荷に伴う梱包系など事業内容により排出される内容と排出量が異なる。その他に、花屋やその他の業種(社寺)の草木類のようにその業種の事業活動にそったごみが排出される業種もある。

 なお、表6では上段に今年度調査、下段に平成30年度調査(今年度の調査に合わせて排出月量5トン未満の事業所のごみ組成)の結果を示しているが、大半の業種では4年間の比較でごみ組成には大きな変化は見られない。変化があってもごみ組成のばらつきに起因すると思われる。

表6 業種別のごみ組成の概要(重量比)

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(6)過去の調査結果、他都市の調査結果との比較

1)過去の調査結果との比較

 過去の調査結果として平成30年度、平成26年度、平成24年度の事業系一般廃棄物の調査結果から、排出月量5トン未満の調査結果を抽出し、成分別ごみ組成の推移と資源化可能物の排出状況について表7・表8に整理した。なお、ごみ組成の分類項目は年とともに訂正されており、可能な範囲で今年度の分類項目に合わせて比較を行った。

 表7の成分別ごみ組成では、事業系ごみにおける厨芥類の組成は大きく減少しているが、紙類、プラスチック類、金属類の組成は増加している。

 表8には事業系ごみ中の資源化可能物の排出割合の推移を示している。段ボールの割合が平成24年度以降顕著に減少しており、紙類全体で見ても減少している。

表7 過去の成分別ごみ組成調査結果との比較(排出月量5トン未満)

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表8 過去の資源化可能物の排出割合との比較(排出月量5トン未満)

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2)他都市の調査結果との比較

 以下では、本調査方法と類似の手法で調査された、堺市(令和元年度調査)、豊中市(令和2年度調査)、高槻市(平成25年度調査)と本市の今年度ごみ組成調査結果を比較している。ただし、他都市の調査では、排出月量5トン未満の事業所と限定せず、比較的大きい事業所も含めたごみ組成調査の結果である。

 成分別ごみ組成では、表9に示すように近隣他都市と同等程度紙類の割合が高い。資源化可能物の排出状況については、成分別組成に現れているように、特に古紙類(従来からの資源化可能な紙類)の排出割合が低い。その他資源化可能な紙類については、他都市と同等程度であり、表10に示すように平成24年度以降横ばい傾向で推移している。

表9 他都市の調査結果(成分別ごみ組成調査)との比較

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表10 他都市の調査結果(資源化可能物の排出状況)との比較

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5.事業系一般廃棄物の減量可能性の検討

(1)本調査全体のまとめ

 本調査では排出月量5トン未満の事業所を調査の対象として事業系ごみ組成調査を実施し、31業種から排出されたごみについて約120項目に分類してその排出実態を把握した。また、各業種別に減量可能性を検討するため、容器包装の排出状況、産業廃棄物の混入状況、資源化可能物の排出状況、有機性資源の排出状況、発生抑制可能物の排出状況、食品ロスの排出状況について整理している。

 令和4年4月「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(プラ新法)が施行されたが、事業活動から排出された容器包装に特化したリサイクルのための法制度の整備は現時点ではされておらず、また、大阪市内近隣における有機性資源の受け入れ先の確保も十分確立されていないため、以下では食品ロス削減啓発に向けた取り組みの推進、資源化可能な紙類等の適正区分・処理に向けた取り組みの推進、産業廃棄物の適正区分・処理に向けた取り組みの推進、発生抑制に向けた取り組みの推進による事業系一般廃棄物の減量可能性について検討した。

 各取り組みの推進による減量可能性については図6に示すとおりである。各取り組みの内容は重複しており、事業系一般廃棄物が削減される量は4つの取り組みの和とはならないが、減量施策の実施により100パーセント施策の効果が発揮された場合には、食品ロス削減啓発に向けた取り組みの推進によって、「食べ残し」、「手つかず食料品」、「作り置き」の削減により排出月量5トン未満事業所が排出する事業系一般廃棄物量(230千トン)の約8.5パーセント(19千トン)の削減が可能である。資源化可能な紙類等の適正区分・処理に向けた取り組みの推進では、「雑がみ(紙箱・包装紙、OA紙、パンフレット、シュレッダーくず等)」、「新聞紙・段ボール・雑誌」を中心に約21パーセント(約49千トン)の減量が可能である。さらに、産業廃棄物の適正区分・処理に向けた取り組みの推進では、「梱包・輸送用容器包装」、「容器包装(個装)」などのプラスチック製容器包装を中心に、約21パーセント(約47千トン)の減量が可能である。また、発生抑制の取り組みの推進では、「食品製造・加工管理の徹底」又は「販売管理の徹底」による厨芥類の削減、「使い捨て商品等の利用見直し」、「輸送用梱包の改善」を中心に約43パーセント(約98千トン)の減量が可能である。

図6 減量の取組による事業系一般廃棄物の減量可能性(重量比)
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(2)減量の取り組みの当面の方向性について

 排出月量5トン未満の小規模な事業所に対する減量の取り組みの当面の方向性について、ごみ組成調査結果を踏まえて以下のように整理した。

1)食品ロス削減啓発に向けた取り組みの推進

 最近話題となっている食品ロスについては、令和元年5月に成立した「食品ロスの削減の推進に関する法律」(食品ロス削減推進法)が10月に施行され、毎年同月は「食品ロス削減月間」、10月30日は「食品ロス削減の日」となった。その中で、限られた資源の有効利用とその減量が強く望まれている今日、食品の可食部の廃棄の抑制が大きな課題となっている。

 主な食品ロスの内容としては、卸・小売業では、作り置き・売れ残り食品(消費・賞味期限前、消費・賞味期限切れ)や飲食店等から排出される食べ残しが多く、ごみ組成の重量比のうち厨芥類の約半数が食品ロスに該当した。

 売れ残りの食品については、各事業者において、消費・賞味期限内に売りきれるように、需要予測による発注精度の向上(仕入れ数の精査)を行い過剰な仕入れを抑制するとともに、鮮魚の販売形態を1日の客層に応じて変更するなどの商品の売りきりの取り組みの強化が必要と考える。また、国内の流通部門全体では、食品の製造日から賞味期限までを3分割し、「納入期限は、製造日から3分の1の時点まで」、「販売期限は、賞味期限の3分の2の時点まで」を限度とする「3分の1ルール」といわれている商習慣を見直すとともに、賞味期限内の食品等を処分する場合には、フードバンクの活用も有効であることを啓発することが必要である。

 SDGsのゴールの1つである「目標12:つくる責任つかう責任」のターゲット12.3より、2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させるよう、種々の先進的取り組み情報を収集しつつ、ホームページ等を通じて排出事業者に対して食品ロス削減の重要性を啓発していくことが必要である。

 今後、食品ロスの削減については世界的に重要な課題であり、事業者と消費者がお互いに協力し合うような取り組みが必要であると考える。

2)資源化可能な紙類等の適正区分・処理に向けた取り組みの推進

 市内にある事業者の多くが排出する資源化可能物は「雑がみ(紙箱・包装紙、OA紙、パンフレット、シュレッダーくず等)」、「新聞紙・段ボール・雑誌」など紙類が主なものであり、事業者自ら分別し、一定量保管すれば古紙回収業者などへ引渡しすることも可能である。

 資源化可能な紙類の排出量は減少傾向であるが、引き続き、事業者へ資源の有効利用の啓発に努めるとともに、資源化可能な紙類の焼却工場への搬入禁止や焼却工場における搬入物展開検査の強化とともに、許可業者と連携して排出事業者への適正区分・適正処理を行っていく必要がある。また、古紙回収協力店制度や再生資源事業者の紹介など、事業者へ浸透していくことが必要であると考える。

3)産業廃棄物の適正区分・処理に向けた取り組みの推進

 多くの事業所では、「梱包・輸送用容器包装」、「容器包装(個装)」などのプラスチック製容器包装を産業廃棄物として分別しておらず、これらは焼却工場へ搬入されている。このため、排出事業者に対して、一般廃棄物と産業廃棄物の適正区分及び適正処理の啓発・指導をより一層推進していく必要があると考える。

4)発生抑制の取り組みの推進

 発生抑制の対象品目は多く、減量の可能性は大きい。しかし、排出事業者だけでなく消費者も取り組みを理解し、お互い協力していかなければ困難なものが多い。例えば、現在問題となっている使い捨てのストローやスプーンなど、プラスチック製から天然素材製品へ変更していく方法や、割り箸から再使用できる箸へ転換すること等はある程度浸透しており、今後も発生抑制に向けた取り組みを推進していく必要があると考える。

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