疾患別情報(任意予防接種)
2025年3月4日
ページ番号:84597
次の疾患をクリックすると、疾患別の病気の特徴、ワクチン、副反応の説明がみられます。
※予防接種を実施している医療機関は、大阪府医療情報ネット(ナビイ)、「厚生労働省検疫所FORTH」
(海外渡航者向けの予防接種情報について)で検索することができます。
※対象年齢・接種回数・接種間隔などは「大阪市ホームページ」をご参照ください。


インフルエンザ

【どんな病気?】
インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感等の症状が比較的急速に現れるのが特徴です。併せて普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻汁、咳等の症状も見られます。こどもではまれに急性脳症を、高齢者や免疫力の低下している方では二次性の肺炎を伴う等、重症になることがあります。

【どんなワクチン?】(不活化ワクチン)
現在国内で用いられている不活化のインフルエンザワクチンは、感染を完全に阻止する効果はありませんが、インフルエンザの発病を一定程度予防することや、発病後の重症化や死亡を予防することに関しては、一定の効果があるとされています。インフルエンザウイルスは毎年のように変異しながら流行を繰り返すため、流行株に合わせたワクチンの接種を行います。

【副反応は?】
ワクチン接種後にみられる主な副反応は、接種部位の赤み、腫れ、痛み、全身性の反応として発熱、頭痛、悪寒、倦怠感があります。


新型コロナウイルス感染症

【どんな病気?】
ウイルスによって人や動物の間で広く感染症を引き起こします。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)については、まだ未知の部分が多くありますが、発熱やのどの痛み、咳が長引くことが多く、強いだるさが特徴で、重症化すると肺炎を起こすと考えられています。また、特に高齢者や基礎疾患のある方等は重症化しやすい可能性が考えられています。

【どんなワクチン?】(mRNAワクチン・組み換えタンパクワクチン)
新型コロナワクチンは、有効性や安全性が確認された上で薬事承認されており、さらに、国内外で実施された研究において、新型コロナ感染症による入院などの重症化を予防する効果が報告されています。
2023/24シーズン(令和5年度秋冬の接種)で用いられたオミクロンXBB.1.5系統対応ワクチンの効果として、新型コロナ感染症による入院を約40~70%程度予防した等の報告※が国内外で行われています。
なお、新型コロナワクチンの種類(ワクチンに含まれる株)は、当面は毎年見直すこととされています。
※VERSUSStudy第11報(2024)、EuroSurveill.2024;29(1)、JAMAInternMed.2024;e241640、MMWR.2024;73:180-188L
出典:厚生労働省ホームページ「新型コロナワクチンの有効性・安全性について」
新型コロナワクチンの詳細は、厚生労働省ホームページ「新型コロナワクチンQ&A」をご覧ください。また、各ワクチンの詳細は、医薬品医療機器総合機構ホームページ「医療品・医薬品 情報検索」
にて添付文書をご覧ください。

【副反応は?】
新型コロナワクチンの主な副反応として、注射した部分の痛み、疲労、頭痛、筋肉や関節の痛み等がみられることがあります。いずれの症状も大部分は接種の翌日をピークに発現し、数日以内に回復しています。
また、非常にまれですが、重大な副反応としてmRNAワクチンについては、ショック、アナフィラキシー、心筋炎、心膜炎、組換えタンパクワクチンについては、ショック、アナフィラキシーがみられることがあります。


おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)

【どんな病気?】
流行性耳下腺炎あるいはムンプスとも呼ばれ、ムンプスウイルスの感染によって起こる全身性感染症です。感染様式は基本的には飛沫感染ですが、患者との直接接触や患者の唾液による直接・間接の接触感染もあります。周りの人に感染させる可能性のある期間は、耳下腺の腫れの6日前から、耳下腺・顎下腺・舌下腺の腫れが発現してからほぼ5日を経過するまでとされています。

【どんなワクチン?】(生ワクチン)
現在、2種類のおたふくかぜワクチンが任意接種として使用されています。いずれのおたふくかぜワクチンもほぼ同様の性状を示し、抗体獲得率は約90%以上と言われています。

【副反応は?】
ワクチン接種後にみられる主な副反応は、接種部位の痛み、微熱あるいは軽度の耳下腺の腫れがあり、まれに入院加療が必要な副反応として無菌性髄膜炎があります。その重症度は自然感染例とワクチン接種例で変わらず、一般に予後はどちらも良好です。


A型肝炎

【どんな病気?】
A型肝炎ウイルスの感染によって発症する急性肝炎です。2~6週間(平均4週間)の潜伏期間の後、38℃以上の発熱、全身倦怠感、食欲不振、頭痛、筋肉痛、腹痛等の症状に続き、黄疸、肝腫大等の肝炎症状がみられ、2~3か月で自然治癒します。

【どんなワクチン?】(不活化ワクチン)
抗体獲得率はほぼ100%であり、防御効果は少なくとも数年以上続きます。接種の年齢制限は適応上ありませんが、世界保健機関(WHO)は1歳以上の接種を勧めています。

【副反応は?】
ワクチン接種後にみられる主な副反応は、接種部位の赤み、痛み、発熱等で、数日後には消失します。


B型肝炎

【どんな病気?】
B型肝炎ウイルスが血液や体液を介して感染して起きる肝臓の病気で、感染した時期や健康状態によって、一過性の感染に終わる場合と、そのまま感染している状態が続いてしまう場合(この状態をキャリアといいます)があります。また、経過の違いから、急性肝炎と慢性肝炎があり、急性肝炎は稀に劇症化する場合もあることから注意が必要です。キャリアになると慢性肝炎になることがあり、そのうち一部の人では肝硬変や肝がんなど命に関わる病気を引き起こすこともあります。

【どんなワクチン?】(不活化ワクチン)
ワクチン接種による抗体獲得率は40歳までの接種では95%と報告されており、ワクチン3回接種後の感染防御効果は20年以上続くと考えられています。

【副反応は?】
ワクチン接種後にみられる主な副反応は、接種部位の痛み、赤み、腫れ、しこり、発熱等があります。


黄 熱

【どんな病気?】
黄熱ウイルスを持った蚊が人を吸血することで感染します(蚊媒介性)。基本的に、感染した人から他の人に直接感染することはありません。また、感染しても症状がないか、軽い症状のみで終わってしまう場合もあります。症状は主として発熱、頭痛、悪寒、筋肉痛、背部痛、悪心・嘔吐などです。症状を呈した患者のうち15%が重症になり、黄疸、出血傾向を来たし、重症になった患者のうち20-50%の患者が死亡すると言われており、発症した場合には、重症になるリスクの高い感染症です。

【どんなワクチン?】(生ワクチン)
通常、一般の医療機関での接種は行われていません。検疫所等で接種を受けることになります。黄熱ワクチン接種は該当訪問国に入国する少なくとも10日以上前に接種を済ませておきます。WHOは、黄熱ワクチンの有効期間を「接種10日後」から「生涯有効」に変更しました。我が国でも、2016年7月11日から「接種10日後」から「生涯有効」に変更されています。有効期間の変更は、この変更より前にワクチン接種した人にも適用されます。

【副反応は?】
ワクチン接種後にみられる主な副反応は、発疹、頭痛、筋肉痛、発熱等があります。


狂犬病

【どんな病気?】
狂犬病ウイルスは、人を含む全ての哺乳類に感染します。感染した動物に咬まれることで唾液中のウイルスが傷口から体内に侵入します。人が感染した場合、通常1~3か月ほどの期間(潜伏期)を経て発症します。高熱に加え、強い不安感、錯乱、麻痺、運動失調、全身けいれんなどの神経症状が現れた後、呼吸器障害などを示し死亡します。発症した場合、致死率はほぼ100%と非常に高く、注意すべき感染症です。狂犬病の症状として「恐水症」が有名ですが、これも神経症状の1つで、水を飲もうとすると首の筋肉がけいれんするために起こるものです。

【どんなワクチン?】(不活化ワクチン)
狂犬病ワクチンは、狂犬病常在地域への渡航前の予防的接種(暴露前免疫)のほかに、狂犬病ウイルスを保有する動物に接触後の発症予防(暴露後免疫)にも使用できます。

【副反応は?】
ワクチン接種後にみられる主な副反応は、接種部位の赤み、痛み、頭痛、倦怠感等があります。


帯状疱疹

【どんな病気?】
水痘帯状疱疹ウイルスに初めて感染すると水痘(水ぼうそう)を発症し、治った後もウイルスが神経に潜伏します。その後加齢や免疫低下によりウイルスが再活性化することによって帯状疱疹を発症し、80歳までに約3人に1人が発症するといわれています。
症状の特徴として、皮膚に分布している神経に沿って、水ぶくれを伴う赤い発疹が身体の片側に帯状に現れます。通常、発疹の出現2日から3日前にかゆみ、もしくはピリピリとした痛みが現れ、初期は皮膚が赤く腫れます。1週間程度経過すると、水ぶくれが増え、発熱、頭痛、リンパ節の腫れなどの症状も現れます。通常は2週間から4週間で水ぶくれが破れて痂皮化(かさぶたになる)し、皮膚症状がおさまります。合併症の一つに皮膚の症状が治った後にも痛みが残る「帯状疱疹後神経痛(PHN)」があり、日常生活に支障をきたすこともあります。
帯状疱疹は体内に潜伏しているウイルスが原因で発症するため、他の人から帯状疱疹としてうつることはありません。帯状疱疹患者の水ぶくれには水痘帯状疱疹ウイルスが含まれており、水痘ワクチン未接種者など水痘の免疫を持たない人が接触すると、感染して水痘を発症することがあります。全ての水ぶくれが痂皮化すれば、周囲への感染力は無くなります。

【どんなワクチン?】(生ワクチン・組換え[不活化]ワクチン)
帯状疱疹ワクチンには生ワクチン、組換え(不活化)ワクチンの2種類があります。各ワクチンは、接種回数や接種方法、接種スケジュール、接種条件、効果とその持続期間、副反応などの特徴が異なっていますが、いずれのワクチンも、帯状疱疹やその合併症に対する予防効果が認められています。
|
生ワクチン 乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」 |
組換えワクチン シングリックス |
---|---|---|
接種回数 |
1回 |
2回※ |
接種方法 |
皮下注射 |
筋肉内注射 |
予防効果 |
接種後1年時点:6割程度 |
接種後1年時点:9割以上 |
接種における注意 |
免疫不全状態、 |
― |
※ 組換えワクチンは、2か月以上あけて2回目を接種します(標準的には2か月の間隔をおいて2回目を接種しますが、2か月を超えた場合であっても1回目の接種から6か月までに2回目を接種することが望ましいです)。ただし、病気や治療により、免疫の機能が低下した又は低下する可能性がある方等は、医師が早期の接種が必要と判断した場合、接種間隔を1か月まで短縮できます。
出典:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 各社添付文書、第21 回厚生科学審議会予防接種
・ ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会資料より抜粋
帯状疱疹ワクチンの詳細は、厚生労働省ホームページ「帯状疱疹ワクチンについて」をご覧ください。また、各ワクチンの詳細は、医薬品医療機器総合機構ホームページ「医療品・医薬品 情報検索」
にて添付文書をご覧ください

【副反応は?】
ワクチンを接種後に次のような副反応がみられることがあります。これらの症状の大部分は、接種後数日以内に回復します。また、頻度は不明ですが、生ワクチンについては、アナフィラキシー(急性の強いアレルギー反応)、血小板減少性紫斑病、無菌性髄膜炎が、組換えワクチンについては、ショック、アナフィラキシーがみられることがあります。
主な副反応の発現割合 |
生ワクチン |
組換えワクチン |
---|---|---|
70%以上 |
- |
注射部位の痛み |
30%以上 |
注射部位の赤み |
注射部位の赤み、筋肉痛、疲労 |
10%以上 |
注射部位のかゆみ・熱感・腫れ・痛み・しこり |
頭痛、注射部位の腫れ、寒気、発熱、胃腸症状 |
1%以上 |
発疹、倦怠感 |
注射部位のかゆみ、倦怠感、痛み |


破傷風

【どんな病気?】
破傷風は人から人に感染するのではなく、土の中にいる菌が傷口から入ることで感染します。菌の侵入部位が特定できないほどの軽い傷でも感染することがあります。感染すると菌の出す毒素で口が開かなくなったり、けいれん(ひきつけ)を起こしたり、呼吸筋が麻痺して呼吸ができなくなったりすることがあります。
日本中のどこにでも破傷風菌はいますので感染する機会はあり、毎年100人以上の患者が発生しています。

【どんなワクチン?】(トキソイド)
破傷風トキソイドワクチンは、細菌が作り出す毒素を取り出して、その毒性をなくしたものです。基本的には不活化ワクチンと同様、数回接種し免疫をつけます。
破傷風トキソイドを含むDPTワクチンは1968年から定期接種として使われるようになりました。それ以前に生まれた人で破傷風に感染するリスクのある人は、任意接種として破傷風トキソイドの接種を考慮してください。正しい方法で接種を行うと免疫が10年間持続します。

【副反応は?】
ワクチン接種後にみられる主な副反応は、接種部位の赤みや腫れ、痛み、しこりがあります。全身症状としては発熱や悪寒、頭痛、倦怠感や下痢、めまい、関節痛がありますがこれらは一過性で2~3日中に消失します。


髄膜炎菌感染症

【どんな病気?】
侵襲性髄膜炎菌感染症は髄膜炎菌による重篤な感染症で、髄膜炎、菌血症、敗血症、髄膜脳炎等があります。主な症状は、発熱、頭痛、吐き気、まぶしさ、項部硬直(首がこわばって動かなくなること)、点状出血、紫斑等です。
通常は健康な人が保菌し、飛沫あるいは分泌物を介して人から人へ感染します。2005年のデータでは、わが国の非流行時の健康者の保菌率は0.4%であり、欧米の5~20%と比べて低頻度であったことが報告されています。

【どんなワクチン?】(不活化ワクチン)
現在、わが国で承認されている髄膜炎菌ワクチンは血清群A、C、Y、W髄膜炎菌に対する破傷風トキソイド結合体の4価髄膜炎菌ワクチンです。
髄膜炎菌感染症に感染する危険性が高い場合、2~6歳では3年後に追加接種をし、7歳以上では5年後に追加接種をします。

【副反応は?】
ワクチン接種後にみられる主な副反応は、接種部位の痛みや筋肉痛、頭痛、倦怠感があります。


RSウイルス感染症

【どんな病気?】
RSウイルスの感染による呼吸器の感染症です。RSウイルスは日本を含め世界中に分布しています。何度も感染と発病を繰り返しますが、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の児がRSウイルスに少なくとも1度は感染するとされています。
症状としては、発熱、鼻汁などの軽い風邪のような症状から重い肺炎まで様々です。RSウイルスの初回感染時には、より重症化しやすいといわれています。特に生後6ヶ月以内にRSウイルスに感染した場合には、細気管支炎、肺炎など重症化する場合があります。また、RSウイルスは特に慢性呼吸器疾患等の基礎疾患を有する高齢者において急性の重症肺炎を起こす原因となることが報告されており、特に長期療養施設内での集団発生が問題となる場合があります。

【どんなワクチン?】(不活化ワクチン)
組み換えRSウイルスワクチンは、60歳以上のRSウイルス感染症の予防として2024年1月から任意接種として実施されています。
また、60歳以上に加えて、妊婦(妊娠24週から36週)に対して接種し、新生児および乳児のRSウイルス感染症を原因とする下気道疾患を予防するワクチンも2024年5月から任意接種として実施されています。臨床試験において妊娠28週から36週に接種した場合に有効性がより高い傾向が認められています。

【副反応は?】
主な副反応は、疼痛、頭痛、筋肉痛等があります。

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