災害発生時における帰宅困難者対策
2022年4月15日
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はじめに
東日本大震災では、交通機関の運行停止により約515万人の帰宅困難者が発生しました。
もし大阪で大規模災害が発生すると、想定される帰宅困難者数(※1)は、市内で約90万人、府全体でも146万人とされています。
大規模災害が発生した場合には、「公助」を担う行政の役割が大きく制限される中で、市民一人一人の「自助」と民間企業や団体等の「共助」の対応など、社会全体で帰宅困難者対策を進めていくことが重要です。
大阪市では、以下の3つの柱で帰宅困難者対策の取り組みを進めています。
1.情報提供
2.一斉帰宅の抑制
3.一時滞在スペースの確保
※1 大阪府防災会議「南海トラフ巨大地震災害対策等検討部会」(平成26年1月)
帰宅困難者対策の3つの柱
1.情報提供
大規模災害が発生した場合には、企業や事業所などを含めた個々人の自主的な情報の入手が重要です。
そのため、大阪市では、市民が容易に正確な情報を入手できるように、平時よりICT等による情報発信や情報収集手段の周知に取り組んでいます。又、発災時においてもデジタルサイネージや大型ビジョンなど、ICT等による情報発信を行うことで、ターミナル駅周辺の帰宅困難者に対する情報提供を支援し、ターミナル駅周辺の混乱の防止に取り組みます。
大阪市が提供している情報発信ツールとしては、「大阪市防災アプリ」があり、又、大阪府が提供している情報発信ツールとしては、「おおさか防災ネット」、「Osaka Safe Travels」などがあり、災害情報や鉄道運行情報、道路情報、帰宅困難者受入れ一時滞在施設情報などの正確な情報を提供しています。
【情報収集の方法】
・大阪市防災アプリ
災害発生時の被害、避難情報、帰宅困難者の受入れ一時滞在施設の情報等、幅広い情報を提供するアプリです。
・おおさか防災ネット
気象、地震や災害発生時の被害、避難情報等、幅広い防災情報を提供するポータルサイトです。
「おおさか防災ネット」に移動します。
・災害時多言語情報発信サービス 「Osaka Safe Travels」
公益財団法人 大阪府国際交流財団「OFIX」が提供する災害時多言語情報発信サービスです。
「Osaka Safe Travels」に移動します。
・防災情報メール
メールアドレスを登録しておくと、気象、地震、津波、災害時の避難情報等の防災情報がメールで配信されます。
登録方法は、「touroku@osaka‐bousai.net」に空メールを送信します。
情報提供内容 | 大阪市防災アプリ | おおさか防災ネット | Osaka Safe Travels (大阪府災害多言語情報アプリ) |
媒体 | アプリ | インターネット | アプリ・インターネット |
災害情報 | 〇 おおさか防災ネットへリンク | 〇 | 〇 NHK WORLD JAPANへリンク |
避難情報 | 〇 | 〇 | |
鉄道運行情報 | 〇 | 〇 | |
道路情報 | 〇 | 〇 おおさか防災ネットへリンク | |
空港情報 | 〇 | 〇 | |
避難場所検索 | 〇 ※1 | 〇 | 〇 |
避難所開設情報 | 〇 | 〇 ※2 | 〇 おおさか防災ネットへリンク |
帰宅困難者受入れ一時滞在施設情報 | 〇 | × | 〇 |
多言語対応状況 | 4言語対応 ※3 | 4言語対応 ※3 | 12言語対応 ※4 |
※1 避難経路も表示可能
※2 防災情報メール登録の場合は、配信される
※3 日本語、英語、中国語簡体、韓国語
※4 日本語、英語、中国語簡体、中国語繁体、韓国語、ポルトガル語、スペイン語、
ベトナム語、フィリピン語、タイ語、インドネシア語、ネパール語
2.一斉帰宅の抑制
基本原則は「むやみに移動を開始しない!」
大規模地震等の発生時には、公共交通機関の運行停止により、多くの帰宅困難者の発生が予想されます。
帰宅困難者が一斉に移動を始めると、混雑による集団転倒や建物の倒壊、落下物による死傷の危険があるとともに、緊急車両が通行できなくなる等、救助、救急救命、消火活動の妨げになるおそれがあります。
それらを防ぐために、各企業や団体、事業所において従業員等の一斉帰宅の抑制をお願いします。
より詳しい内容については、以下の動画をご覧下さい。
3.一時滞在スペースの確保
大阪市では、災害時に鉄道等の交通機関が運行停止した場合に一斉帰宅抑制を徹底するとともに、主要な駅周辺等において、屋外に滞留する帰宅困難者の一時滞在スペースの確保を進めており、災害時に行き場のない帰宅困難者の受入れ先として「災害時における帰宅困難者の受入れ等に関する協定」を事業者と締結しました。
又、大阪市は、大阪府とともに災害時に外国人を含めた旅行者が、安全に滞在できる場所の提供や必要な支援の実施を目指すために、「災害時における旅行者の受入れ等に関する協定書」を宿泊施設と締結しています。
引き続き、大阪府と連携しながら、他の事業者に対しても連携、協力の働きかけを行うことで、旅行者を含む帰宅困難者が安全に滞在できる場所の提供や必要な支援が受けられるように、一時滞在スペースの確保を進めていきます。
※ 災害時における旅行者を含む帰宅困難者の受入れ等に関する協定書の締結施設は、大阪市ホームページ「災害時における旅行者を含む帰宅困難者の一時滞在受入れについて」に記載しています。
災害が起こる前に確認しておくこと
1.事業所における防災計画の作成や備蓄等
事業所等では、災害時の防災計画やBCP(事業継続計画)を作成する際に「事業所における「一斉帰宅の抑制」対策ガイドライン」(※)等を参考にして、行動パターンのルールを取り入れたり、又、施設内で待機できるだけの備蓄物資や資機材等を準備しておきましょう。
※ 「事業所における「一斉帰宅の抑制」対策ガイドライン」:大阪府が事務局をする「帰宅困難者支援に関する協議会」では、大規模災害発生時に帰宅困難となる従業員等の安全確保を図るとともに、一斉帰宅による街中の混乱を回避するため、事業所が策定する実行計画の参考となる手順等を示したガイドライン
(1)発災時間帯別による行動パターンのルール化
出勤・通学時・就業時・帰宅時等、発災時間帯を想定した行動ルールを策定しましょう。
下の表を参考に各自、各事業所で、とるべき行動を確認しておきましょう。
発災した 時間帯 | 通勤や通学の時間帯 | 就業時間帯 | 帰宅の時間帯 |
取るべき 行動 | ・原則、自宅で待機、又は 自宅に戻る。 ・通勤や通学途上で事業所に近い場合は、安全確保の上、事業所に移動する。 ・通勤や通学途上で自宅にも事業所にも移動できない場合は、周辺の安全な場所で一時待機する。 ・災害対策や事業継続を行う人を除き、むやみに移動しない。 | ・事務所内、又は、施設内で待機する。(来訪者を含む) ・外出中は、周辺の安全な場所で一時待機する。 | ・原則、事業所内で待機、帰宅途中であれば、事業所に戻って待機する。 ・自宅に近い場合は、移動する。 ・自宅にも事業所にも移動できない場合は、周辺の安全な場所で一時待機する。 |
基本的には、各事業所で事業主や管理者が、被災状況や公共交通機関の運行状況等を把握し、一斉帰宅しないよう従業員等に指示を出しましょう。
被災状況が判明し、徐々に公共交通機関が復旧しはじめ、主要ターミナルや道路等の状況により、徒歩での移動や帰宅が可能になった場合は、「災害時帰宅支援ステーション」の活用や徒歩に適した歩きやすい靴や服装、ヘッドランプ等の装備を備えることも事前に検討し、確認しておきましょう。
(2)備蓄物資や資機材等の準備
【3日分の備蓄として必要性が高いもの(1人あたり)】
・水9リットル=1日3L×3日
・食料9食分=アルファ化米や乾パン等1日3食
・毛布や保温シート
※共助の観点から来訪者等のために余分に備蓄することも検討しておく。
【物資や資機材等】
・簡易トイレや衛生用品、救急箱
・ビニールシート、携帯ラジオ、照明器具
2.安否確認方法
大規模災害時には、通常の通信手段(電話やメール、LINE等のSNSサービス)が混線等により、使えなくなることが予想されます。
発災時における家族や従業員等と事業所間の連絡手段や情報収集方法について、あらかじめ決めておきましょう。
【安否確認の方法】
・災害伝言ダイヤル(171)
安否等の情報を音声情報として蓄積し、録音、再生できるボイスメールです。
(基本的に災害時に限定して利用可能)
・災害伝言板(web171)
パソコンやスマートフォンを使って被災地の方の安否情報等の伝言を登録することができる
伝言板サイトです。
その他の取り組み

1.ICTを活用した情報発信の取り組み
災害発生時における帰宅困難者への情報発信や帰宅困難者自らが情報を入手する方法として、防災情報メールやインターネット上での「おおさか防災ネット」や「Osaka Safe Travels」、「大阪市防災アプリ」などのアプリがあります。
「難波駅周辺をより安全安心で美しく」を合言葉に、まちの活性化活動を行っている『ミナミまち育てネットワーク』の取り組みとして、まちなかにあるデジタルサイネージや大型ビジョンのICTを活用した情報発信の実証実験が行われました。
実証実験では、令和4年1月17日(月)に大阪梅田駅や難波駅、淀屋橋駅等の主要ターミナル駅に設置されているデジタルサイネージや道頓堀、心斎橋等に設置されている大型ビジョンに「大阪市防災アプリの周知動画」や帰宅困難者向けの情報等を放映しました。
その結果、発災時の一斉帰宅の抑制の呼びかけや災害時に必要な正確な情報を入手する情報源の提供など、帰宅困難者対策のひとつとして、有効であることが確認ができました。参加者からは、QRコードの表示の工夫や映像と一緒に音声も流した方が良い等の意見も出され、今後もひきつづき取り組みがすすめられます。
尚、今回の実証実験にご協力いただいた企業は、下記の8社です。又、大阪市高速電気軌道株式会社(Osaka Metro)におかれましては、普段より主な駅構内のサービス情報表示器にて防災に関する情報発信をしていただいております。
大阪市では、今後もこのデジタルサイネージや大型ビジョン等による防災情報等の発信を強化・拡大してまいりたいと思います。ご賛同やご協力をいただける企業や事業所の方がおられましたら、大阪市危機管理室までご連絡をお願いします。
協力企業(順不同) | 実施場所 |
阪神電気鉄道株式会社 | 阪神大阪梅田駅東改札口 |
京阪電気鉄道株式会社 | 淀屋橋駅西改札口 |
北浜駅地下鉄乗換動線付近 | |
近畿日本鉄道株式会社(近鉄不動産) | 大阪難波駅東改札口 |
大阪市高速電気軌道株式会社 | 御堂筋線なんば駅南北改札内 |
南海電気鉄道株式会社 | 南海なんば駅3階北改札ラッチ外 |
株式会社インターコネクト | 道頓堀南詰 |
難波駅前広場 | |
株式会社ケシオン | 心斎橋OPA1階 |
大阪屋通商株式会社 | 心斎橋アメリカ村 |

阪神電鉄「大阪梅田駅」

南海電鉄「なんば駅」
2.各駅周辺地区帰宅困難者対策協議会の取り組み
災害発生時、特に多くの帰宅困難者の発生が見込まれる主要ターミナル駅(大阪駅・梅田駅、難波駅、天王寺駅・阿倍野駅、京橋駅、上本町駅・谷町九丁目駅・鶴橋駅、新大阪駅)周辺の企業や団体、学校等に協力を呼びかけ、各駅周辺地区帰宅困難者対策協議会を構築し、災害対応の検討や訓練、経営トップセミナー等、様々な取り組みを進めています。
大阪市のホームページ「各駅周辺地区帰宅困難者対策協議会の取り組み」へ移動します。
3.大阪府が取り組む帰宅困難者対策
大阪府が事務局をする「帰宅困難者支援に関する協議会」では、大規模地震発生時に帰宅困難となる従業員等の安全確保を図るとともに、一斉帰宅による街中の混乱を回避するため、事業所が策定する実行計画(施設内待機にかかる計画)の参考となる手順等を示したガイドラインを策定しました。
事業所における「一斉帰宅の抑制」対策ガイドライン(平成30年9月改正)
大阪府のホームページへ移動します。
4.関西広域連合が取り組む帰宅困難者対策
(1)関西広域帰宅困難者対策ガイドライン
協議会において、官民が連携して取り組む関西圏の帰宅困難者対策の総合的な方針を示す「関西広域帰宅困難者対策ガイドライン(令和元年9月6日)」がとりまとめられています。
詳しくはこちらのホームページをご覧ください。
関西広域連合のページへ移動します。
(2)関西広域での災害時帰宅支援ステーションの普及・定着〔関西広域連合〕
この協定に基づき『災害時帰宅支援ステーション』
探している情報が見つからない

このページの作成者・問合せ先
大阪市危機管理室
電話: 06-6208-7388 ファックス: 06-6202-3776
住所: 〒530-8201 大阪市北区中之島1丁目3番20号(大阪市役所5階)