大阪市人権施策推進審議会からの答申について~ヘイトスピーチに対する大阪市としてとるべき方策について~
2025年1月7日
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大阪市は、平成27(2015)年2月25日に大阪市人権施策推進審議会からヘイトスピーチに対する大阪市としてとるべき方策について(答申)を受けました。
大阪市では外国人住民を含むすべての人々が、最大限にその能力を発揮できるようなまちづくり・社会づくりが必要と考え、豊かな多文化共生社会をめざしています。
近年、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動がいわゆるヘイトスピーチであるとして社会的関心を集めています。こうした言動は、人々に不安感や嫌悪感を与えるだけでなく、人としての尊厳を傷つけたり、差別意識を生じさせることになりかねません。
大阪市としては、表現の自由を最大限に尊重しながらも市民の人権を擁護する観点から、平成26年9月3日(水曜日)に大阪市人権施策推進審議会に、「憎悪表現(ヘイトスピーチ)」に対する大阪市としてとるべき方策について諮問しました。
これを受けて、大阪市人権施策推進審議会は、「憎悪表現(ヘイトスピーチ)」に対する大阪市としてとるべき方策検討部会を立ち上げ、審議会を2回、検討部会を6回開催し、審議を重ね答申をとりまとめられました。
答申では、大阪市がヘイトスピーチに関して方策をとる目的及び、ヘイトスピーチの定義、また、ヘイトスピーチに対してとるべき措置の内容とその手続きについて、意見をいただきました。
大阪市では、本答申をもとに、市民の皆さまからのご意見を伺いながら、ヘイトスピーチに対する大阪市としてとるべき方策の制度化に向けた検討を進めてまいります。
ヘイトスピーチに対する大阪市としてとるべき方策について(答申)
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ヘイトスピーチに対する大阪市としてとるべき方策について(答申)概要
基本的な考え方
特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的な言動がいわゆるヘイトスピーチであるとして社会的関心を集めているが、こうした言動は、人々に不安感や嫌悪感を与えるだけでなく、人としての尊厳を傷つけ、差別意識を生じさせることにつながりかねないものである。
大阪市では、在日韓国・朝鮮人をはじめ多くの外国人が居住している中、市内において現実にヘイトスピーチが行われているといった状況にあり、大阪市は、市民の人権を擁護すべき基礎自治体として、ヘイトスピーチに対して独自で可能な方策をとることで、ヘイトスピーチは許さないという姿勢を明確に示していくことが必要である。
1 目的
市民等の人権擁護
基礎自治体である大阪市がヘイトスピーチに関して方策をとる目的については、ヘイトスピーチにより被害を受けた市民又は市民の属する集団(以下「市民等」という。)の擁護とするのが適当である
2 定義
ヘイトスピーチの定義
ヘイトスピーチの定義については、次の(1)から(3)までの要件の全てに該当する表現行為とすることが適当である
(1) 対象者
人種又は民族に係る特定の属性を有する個人又は集団
(2) 目的
目的が次のいずれかであること
ア 社会からの排除を目的とするものであること
イ 権利・自由の制限を目的とするものであること
ウ 明らかに憎悪若しくは差別の意識又は暴力を扇動することを目的とするものであること
(3) 表現の内容及び場所・方法
表現内容が対象者を相当程度侮蔑し若しくは誹謗中傷するもの又は対象者に脅威を感じさせるものであり、かつ、一般聴衆が受動的に内容を知りうるような場所や方法によって表現されるものであること
Ⅱ ヘイトスピーチに対してとるべき措置の内容
1 国の実施する措置との関係
2 大阪市独自の措置
(1) 認識等の公表
ヘイトスピーチと認定した事案について、差別の拡散につながらないよう十分に留意しながら、ヘイトスピーチであるという認識及びその事案の概要と講じた措置を公表することが適当である
(2) 訴訟費用等の支援
ヘイトスピーチにより被害を受けたとする市民等が司法救済を求めることを支援するという目的に加え、ヘイトスピーチに関する司法判断を明らかにすることによりその抑止を図ることを目的として、大阪市がその訴訟費用を支援することについては政策的な合理性があり、そうした制度を構築することが適当である
(3) その他の支援
インターネットサイトの管理者への措置要求などについては、市民等が単独で実施するよりも行政が協力して実施する方がより大きな効果が期待できると考えられ、こうした観点から、事案の内容に即した多様かつ柔軟な支援策を検討し実施することが適当である
(4) 本市施設等の利用制限について
ヘイトスピーチを行う団体であること、又は、ヘイトスピーチが行われることのみを理由に公の施設の利用を制限することは困難である
ただし、ヘイトスピーチが行われる蓋然性が高く、かつ、管理上支障が生じる等、現行条例の利用制限事由に該当することが客観的な事実により具体的に明らかに予見される場合は利用を制限することもあり得る
3 措置の対象
措置の対象については、次のとおりとするのが適当である
①大阪市域内で行われたヘイトスピーチ
②大阪市域外で行われたヘイトスピーチで明らかに市民等を対象とするもの
③ ①のヘイトスピーチの上映、インターネットの動画サイトへの掲載、その内容を記録した印刷物、DVDその他の物の販売・頒布など当該ヘイトスピーチを二次的に拡散するもの(以下「拡散行為」という。)(明らかに市民等を対象とするものとはいえないヘイトスピーチの拡散行為であって大阪市域内に拡散しないと認められるものを除く。)
④ ②のヘイトスピーチの拡散行為Ⅲ 措置をとるにあたっての手続
1 申立主義
「認識等の公表」を行うかどうかについては、ヘイトスピーチにより被害を受けた市民等からの申立を受けて検討することを基本としつつ、事案を把握できたときは申立がなくても検討することもできるようにすることが適当である
また、申立は書面によるものとし、事実関係の調査等を行う必要があるため申立人はその氏名を明らかにし、表現行為を具体的に特定して行うことを原則とするのが適当である
2 審査機関による審査
(1) 審査機関の位置づけ
審査機関については、地方自治法に基づく市長の附属機関(合議制の機関)として設置することが適当である
(2) 審査機関の構成
審査機関は、憲法、国際法、行政法に関する専門家及び弁護士で構成することが適当である
(3) 審査の手続
審査の手続においては、当事者双方から意見を聴取するなど公平性を確保するとともに、意見は書面の提出により行うことを基本とすることが適当である
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このページの作成者・問合せ先
大阪市 市民局ダイバーシティ推進室人権企画課
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