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「大阪市人権だよりKOKOROねっと」第34号 web版

2024年2月29日

ページ番号:409978

大阪市人権だより「KOKOROねっと」第34号
human rights & diversity magazine
平成29(2017)年9月発行 Autumn No.34

巻頭特集
ハラスメントフリーの社会へ

他人事ではありません。
一度ゆっくり考えてみませんか?

Diversity Human Interview
パワハラのない職場をめざそう
特定社会保険労務士 井寄 奈美さん

人権コラム/働き方改革
仕事と子育てや親の介護の両立で悩んでいませんか?

PRESENT!
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KOKOROねっと34号の表紙の画像

テーマ ハラスメントフリーの社会へ

ハラスメントフリーのいい環境は互いを思いやるいい関係から生まれる

「ハラスメント」とは?

 ハラスメントと聞くと、職場に関係するものと思われる人も多いでしょうが、職場だけでなく学校や家庭など、人と人が関わり合う場所ではどこででも起こりえます。
 そのハラスメントとは、自分の意図に関係なく、相手を不快にさせたり、人権や尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を感じさせる言葉や行動のことをいいます。「いじめ・嫌がらせ・DV」などもハラスメントのひとつです。
 このような言動は、「される側」と「する側」の認識がくい違いやすいため、表面化しにくい場合もあり、表面化したときには「うつ病になっていた」など深刻な事態を生むケースもあります。
 あなたの周りに悩んでいる人はいませんか?また、知らず知らずの内に自分が関わっていないかどうかなど、もっともっと誰もが関心を持たなければいけない問題ではないでしょうか。そして、ハラスメントを「しない・させない・ゆるさない」という風潮をみんなでつくっていきましょう。

ハラスメントの種類と特徴


 現在、30種類以上の「ハラスメント」があるといわれています。ここでは代表的なものを取りあげます。

マタハラ(マタニティハラスメント)

妊娠中や出産後に、心ない言葉をかけたり無視する残業や重労働の強要。育児休業等を理由に解雇減給する、自主退職を強要するなどの行為。

セクハラ(セクシャルハラスメント)

男女間に関わらず行われる性的嫌がらせ。例えば、性的強要をする。抱きつく・体に触る性的な話をする。結婚や出産恋人の有無を聞くなど。

パワハラ(パワーハラスメント)

職場等の立場を利用し、過度な業務を強要したり暴言を吐く仕事を与えないなどの精神的苦痛を与える、物を投げる・たたくといった暴力的行為

モラハラ(モラルハラスメント)

親・恋人・配偶者・教師・上司・同僚などが、無視する、成果や努力を認めない常に怒る・圧力をかけるなど自尊心を傷つける精神的暴力・虐待行為


 その他にも、就職内定後の就活をさせない『就活終われハラスメント』。「ゆとり世代だから…」「いい歳をして…」など世代の認識の違いや年齢を理由にする『エイジハラスメント』。研究や教育現場でのいじめや嫌がらせ『アカデミックハラスメント』等々ありますが、どれも明快な線引きはできません。

LGBTなどの性的少数者に対するハラスメントについては、7ページで特集しています。

マンガ 上司も部下もWin-Winの関係へ

Win-Winとは・・・
私とあなた双方に得のある良好な関係のことです。

マンガ1コマめ。課長に声をかけられて返事をする佐藤さん。

ある日
課長  :佐藤くん、この仕事も頼むよ!
佐藤さん:はい課長!

マンガ2コマめ。頑張って仕事をする佐藤さん。

佐藤さん:今週から産休の高橋さんの分も頑張らないと!
     今日も残業になりそうだなー

マンガ3コマめ。毎晩残業する佐藤さん。

月 火 水 木・・・

マンガ4コマめ。新たに課長から仕事を指示される佐藤さん。

課長:これも明日まで

マンガ5コマめ。課長に注意されてうつむく佐藤さん。

課長  :これくらいできて当たり前だぞ!!
佐藤くん:はい・・・頑張ります

マンガ6コマめ。課長に叱られて謝る佐藤さん。

翌日
課長  :また間違えたのか!!
     この前も言ったよね
     ミスすると残業経費が無駄だろう!!
     ・・・・・・
佐藤さん:すみません

マンガ7コマめ。課長と佐藤さんの様子を見ている鈴木さん。

鈴木さん:課長、またパワハラやってる!

マンガ8コマめ。鈴木さんに声をかける課長。

課長:鈴木さんこのパソコン操作を教えてくれないか

マンガ9コマめ。課長にパソコン操作を教える鈴木さん。

鈴木さん:ここをクリックして・・・
     課長この前も言いましたよ
課長  :ん・・・・

マンガ10コマめ。何かに気づく課長。

課長:この前も!?
   これって・・・

マンガ11コマめ。課長に指摘する鈴木さん。納得する課長。

鈴木さん:慣れない仕事や過度な残業は効率悪いですよね?
     佐藤さんの負担、多すぎません?
課長  :そうだな

マンガ12コマめ。佐藤さんに頼んでいた仕事を、他の人たちに指示しなおす課長。

課長  :じゃあこの仕事は田中さんに
     これは伊藤くんに
     鈴木さんにはこれをお願いするよ

マンガ13コマめ。鈴木さんにお礼を言う佐藤さん。

佐藤くん:鈴木さん!ありがとうございます
     言い出しにくくて・・・・

マンガ14コマめ。万歳をしているみんな。

立場は違っても
皆が話しやすく相談しやすい職場にしていこう!

「ハラスメントフリーの実現へ」


 ハラスメントフリーとは、ただ単にハラスメントが無いというだけでなく、お互いを尊重し合い人権や人格が侵害されないこと。また、もしハラスメントが発生したときは、解決に向けて最善の措置(制度や体制)が整っていることです。
 そして、一人ひとりが自立し、自分の能力を発揮して生き生きと暮らせる。そういう社会を創るという意志を自らも持ち続けていることです。

ハラスメント防止に必要なこと

職場・学校
  • 研修・啓発・・・ハラスメントについての知識を深める。
  • 相談窓口の設置・・・専門スタッフによる迅速な対応を可能にする。
  • コミュニケーションをとる・・・日頃から良い人間関係をつくる。
個人
  • ハラスメントの知識、コミュニケーションの大切さを知る。
  • 数秒待って怒りのピークをやり過ごし、感情的な言動を抑える。
  • 自分の常識や考えを押しつけない。

被害者・加害者になったとき

被害を受けた人へ
  • いつ、どこで、誰から、なぜ、何をどのようにされたかをメモに残しておく。
  • 信頼できる上司や同僚、友だちまたは社内相談窓口や外部機関に相談する。
  • 勇気を出して相手に「やめてほしい」という意志表示をする(話し合いをする)。
加害者となった人へ
  • 「覚えがない、自分は悪くない」では事態が悪化。自分の言動を振り返る。
  • 自力での解決は難しいので、すぐに上司や社内相談窓口・外部機関に相談する。

あなたは、こんな言動をしていませんか?


ハラスメントチェック

  • 「バカ・役立たず」など人格を否定する
  • むやみに体にふれる
  • 皆のいる前で怒鳴ったり叱責する
  • 私生活(結婚や出産など)を聞く
  • 特定の人を意識的に無視する
  • 飲酒やお酌、接待を強要する
  • ミスを長時間または何日も怒る
  • 妊娠・出産後は仕事を辞めるべきと思う
  • 実現不可能な業務や休日出勤を強要する
  • ミスや失敗を人に転嫁する

注意:自分ではしていないつもりでも、周りの人からはそう見えているかもしれません。今一度、自分を振り返ってみましょう。

相談・支援窓口


大阪労働局 総合労働相談コーナー

労働問題に関するあらゆる分野(解雇、労働条件、配置転換、いじめ・嫌がらせ等)の相談。
大阪市中央区大手前4-1-67 大阪合同庁舎第2号館8階
電話 0120-939-009(府内の固定電話のみ通話可)
電話 06-7660-0072 ファックス 06-6949-6486
時間 月曜日・水曜日・木曜日・金曜日 9時~17時、火曜日 9時~18時

大阪市人権啓発・相談センター

大阪市西区立売堀4-10-18 阿波座センタービル1階
人権相談専用電話 06-6532-7830(なやみゼロ)
時間 月曜日~金曜日 9時~21時
    日曜日・祝日 9時~17時30分
人権相談専用ファックス 06-6531-0666

大阪法務局

大阪市中央区谷町2-1-17 大阪第2法務合同庁舎
時間 月曜日~金曜日 8時30分~17時15分
みんなの人権110番
人権についての相談はなんでも。
電話 ナビダイヤル 0570-003-110
(電話は最寄りの法務局・地方法務局につながります。)
(PHSなどからの利用できない場合は、電話 06-6942-9496へ)
女性の人権ホットライン
職場でのセクハラ、家庭内暴力など女性に関する相談はこちら。
電話 ナビダイヤル 0570-070-810
(電話は最寄りの法務局・地方法務局につながります。)
(PHSなどからの利用できない場合は、電話 06-6942-1238へ)

クレオ大阪 女性総合相談センター(悩みの電話相談)

電話 06-6770-7700
時間 火曜日~土曜日 10時~20時30分
    日曜日・祝日 10時~16時

大阪市配偶者暴力相談支援センター

DV相談専門電話
電話 06-4305-0100
時間 月曜日~金曜日 9時30分~17時

データが示す 職場におけるハラスメントの実態


過去3年間のパワーハラスメントの経験

過去3年間のパワーハラスメントの経験あり・なしを平成24年度と平成28年度とで比較したグラフ。

平成24年度
経験なし 74.7%
経験あり 25.3%

7.2%増

平成28年度
経験なし 67.5%
経験あり 32.5%
(一度だけ経験した) 6.9%
(時々経験した) 17.8%
(何度も繰り返し経験した) 7.8%

(出典)厚生労働省/平成28年度職場のパワーハラスメントに関する実態調査(従業員調査 抜粋)

民事上の個別労働紛争の主な相談内容別の件数推移

「民事上の個別労働紛争の主な相談内容別の件数推移」のグラフ

平成23年度
いじめ・嫌がらせ 45,939件
労働条件の引き下げ 36,849件
自己都合退職 25,966件
退職勧奨 26,828件
解雇 57,785件

平成24年度
いじめ・嫌がらせ 51,670件
労働条件の引き下げ 33,955件
自己都合退職 29,763件
退職勧奨 25,838件
解雇 51,515件

平成25年度
いじめ・嫌がらせ 59,197件
労働条件の引き下げ 30,067件
自己都合退職 33,049件
退職勧奨 25,041件
解雇 43,956件

平成26年度
いじめ・嫌がらせ 62,191件
労働条件の引き下げ 28,015件
自己都合退職 34,626件
退職勧奨 21,928件
解雇 38,966件

平成27年度
いじめ・嫌がらせ 66,566件
労働条件の引き下げ 26,392件
自己都合退職 37,648件
退職勧奨 22,110件
解雇 37,787件

平成28年度
いじめ・嫌がらせ 70,917件
労働条件の引き下げ 27,723件
自己都合退職 40,364件
退職勧奨 21,901件
解雇 36,760件

(出典)厚生労働省/平成28年度個別労働紛争解決制度の運用状況(抜粋)

パワーハラスメントの予防・解決に向けた企業の取組状況

「パワーハラスメントの予防・解決に向けた企業の取組状況」について従業員規模ごとに比較したグラフ

従業員規模 全体
実施している 52.2%
現在実施していないが、取組を検討中 21.1%
特に取組を考えていない 25.3%
無回答 0.4%

従業員規模 99人以下
実施している 26.0%
現在実施していないが、取組を検討中 27.9%
特に取組を考えていない 45.7%
無回答 0.4%

従業員規模 100人〜299人
実施している 53.3%
現在実施していないが、取組を検討中 22.8%
特に取組を考えていない 23.6%
無回答 0.2%

従業員規模 300人〜999人
実施している 68.1%
現在実施していないが、取組を検討中 19.9%
特に取組を考えていない 11.4%
無回答 0.6%

従業員規模 1,000人以上
実施している 88.4%
現在実施していないが、取組を検討中 8.3%
特に取組を考えていない 3.0%
無回答 0.2%

(出典)厚生労働省/平成28年度職場のパワーハラスメントに関する実態調査(企業調査 抜粋)

過去3年間にパワーハラスメントを受けたと感じた者におけるその後の行動(複数回答)

「過去3年間にパワーハラスメントを受けたと感じた者におけるその後の行動(複数回答)」のグラフ

会社関係に相談した
全体 20.6%
男性 19.6%
女性 22.1%

会社とは関係のないところに相談した
全体 24.4%
男性 17.1%
女性 34.7%

会社を休んだり退職した
全体 17.0%
男性 14.5%
女性 20.4%

何もしなかった
全体 40.9%
男性 49.5%
女性 28.7%

(出典)厚生労働省/平成28年度職場のパワーハラスメントに関する実態調査(従業員調査 抜粋)


 およそ3人に1人が過去3年間にパワーハラスメントを受けたことがあると回答し、増加傾向にあります。実際、労働問題に関する相談では、いじめや嫌がらせの相談件数の増加が著しく目立ちます。対策に取り組む企業は全体で52.2%となり、企業規模が小さくなると相対的に低くなるものの、近年すべての従業員規模の企業で実施の比率が高くなってきています。しかし、従業員調査ではその後の行動で「何もしなかった」という回答が多く、今後の課題となっています。

お互いの価値観や考え方を認め合い

ハラスメントのない社会をつくりましょう!


Diversity Human Interview パワハラのない職場をめざそう 特定社会保険労務士 井寄 奈美さん

 「上司が恐い」「部下が言うことをきいてくれない」など職場の人間関係がうまくいっていないときはストレスがたまりがちです。ギクシャクした関係のまま、仕事を続けている環境では、上司から部下への指導がパワハラ(パワーハラスメント)になってしまうことがあるかもしれません。職場が多様化するなか、社員それぞれの個性を活かしながら、楽しく働き続けるにはどうすればいいのでしょうか。今回は、特定社会保険労務士・井寄奈美さんに職場内のパワハラとこれからの働き方についてお話しいただきました。
特定社会保険労務士 井寄 奈美さんの写真

パワハラはなぜ起こる?

パワハラはどんな時に起きていますか?

 上司から部下へ業務上の指導が行われるときに起こりやすいです。「こんなこともできないのか」といった暴言を吐いたり、小さな間違いを執ように問い詰めたり、カッとして書類を投げつけたり。本人には悪意もないし、それがパワハラだという自覚もありません。多くは、上司と部下の価値観の差から生じてきます。

価値観の差が生まれる背景とは?

 例えば、40代以上の上司と20代の部下では、社会人になった頃の時代背景が異なることが大きな原因です。この上司が新入社員だった頃は、社内の雇用形態は正社員が大半でした。新卒一括採用と終身雇用制で、社内の上下関係が確立しており、上司の指示は絶対的なものというムードがありました。

 現在では、社内の雇用形態は正社員に限らず、契約社員や派遣社員もおり、終身雇用制度も崩れ、転職に対する意識も変わっています。「個」が大切にされ、会社だけにしがみつくのではなく、自分の時間・考えを大切にしたいと考える人も増えているのです。

何を基準にパワハラだと判断すればいいですか?

 業務上の必要性の有無です。外科医が手術の時に助手からメスを間違えて渡されたとします。このとき、「何してんねん!」ときつく叱責したとしてもパワハラにはなりません。緊急性が高いからです。一方で、上司が頭にきたからといって書類を投げつけたりするのはパワハラに該当します。書類は渡せばすむ話ですから。

 その点、セクハラ(セクシャルハラスメント)の判断基準は異なります。職場での性的な言動には業務上の必要性はありません。セクハラは、被害者がどう感じるかが判断基準となり、「場をなごませたかった」など加害者の言い訳は通用しません。


「ふつうはこうやろ」はNG

経営者や職場の上司として気をつけたほうがいいことは?

 職場にはいろんな人がいると認識することです。正社員、契約社員など雇用形態の違い、性別・年齢の違いもありますし、障がいのある人や外国人もいます。それぞれが持つ価値感が違うのに「あ・うん」の呼吸に頼るのは限界があります。

 たとえば、外国人と一緒に働くことを想像してみてください。「ふつうはこうするやろ」「どこでも同じ」「誰でも我慢している」は通じないでしょう。「人それぞれ違う考えを持っている」を理解することで、個人の人格を尊重した職場づくりを考えるようになるはずです。

 今の時代は、社員一人ひとりの個性を把握したうえで、各自が最大限能力を発揮することができる環境づくり・仕組みづくりをしていくことが求められます。社員を育てる意識に欠ける会社は時代に取り残されることになるでしょう。

わたしは会社の何なのか?

働く側が気をつけなければならないのは?

 会社のなかで「自分がやるべきこと」を明確に意識することです。自分のキャリアを見通したうえで「今この会社で何を身につけるのか」と考えてもいいでしょう。

 明確な目的意識をもって仕事をしている人には、会社も重要な仕事がまかせられますし、働いている人は経験値が上がり、双方にとってプラスになります。

雇う側と雇われる側、両方の立場を経験されて気づいたことはありますか?

 会社で営業職として働いていた頃は、お客様からのクレーム対応や受注した仕事の社内調整に苦労しました。

 経営者になって、その頃「しんどいな」と思いながらやっていたことが一番役に立っていると感じています。渦中にいる人はそんな余裕はないかもしれませんが、「しんどい」ことを乗り越える手法を色々試すことができたのが、会社員時代の最大の収穫だったと感じています。

もしもパワハラを受けたなら

パワハラを受けたらどうすればいいですか?

 まずは一旦冷静になってみることです。「何についての指導か」「どんな時に何をされ、どの部分をパワハラと感じたか」をメモしましょう。感情的にならず相手の言葉は、できるだけ正確に書きます。こうした記録は、誰かに相談するときにも役に立ちます。また読み返した時、「パワハラではないな」と思えることもあるかもしれません。

どこに相談するのがいいですか?

 社内の相談窓口を利用しましょう。都道府県労働局にある総合労働相談コーナーを利用することもできます。

お互いを知ることからはじめよう

パワハラが起きないようにするためには?

 普段から、コミュニケーションをとり、相手がどんな人か知っておくことです。あの上司は、怒りっぽいけど根にはもっていない人だとか、新入社員はちょっとしたことで傷つきやすいけれどやる気はあるとか。怒りっぽさや傷つきやすさを責めるのではなく特徴ととらえ、理解した上でうまくやっていく方法を考えることです。

コミュニケーションのとり方は?

 気楽に話せる場所をつくる。食事は机でしないで、週1回はみんなで食べるようにしたり、「オフィス居酒屋」をつくって仕事が終わったら少し話せる場をつくったり、部下と週1回30分1対1で今思っていることを話す会社もあります。会話するだけでも、どんな人かはわかってくるのでその人に応じた対応をすることですね。

 ありがとうございました。


井寄 奈美-いより なみ

 大阪市生まれ。関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了(法学修士)。特定社会保険労務士。井寄事務所代表。2001年、社会保険労務士資格を取得。大手会計事務所勤務、総合労働相談員として東大阪労働基準監督署勤務を経て、2006年4月より現職。顧問先企業の労務管理や労務相談のほか、「ハラスメントのない職場づくり」などの講演活動も関西を中心に活躍中。『トラブルにならない小さな会社の女性社員を雇うルール(日本実業出版社)』など著書多数。現在、毎日新聞「経済プレミア」(WEBサイト)にて「職場のトラブルどう防ぐ」連載中。2016年4月より大阪大学大学院法学研究科博士後期課程に在籍し、職場でのハラスメントとメンタル疾患発症の相関性について研究している。

LGBTなどの性的少数者への「SOGIハラスメント」

ハラスメントフリーの社会へ LGBT編

 SOGIハラスメントの『SOGI(ソジ)』とは、「性的指向(Sexual Orientation)、性自認(Gender Identity)」の頭文字を取った略語で、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)よりも幅の広い表現として考え出された新しい言葉です。したがって「SOGIハラスメント」とは、そういった性的マイノリティーの人たちが、職場等で受けているハラスメント(差別的な発言や嫌がらせなど)のことを言います。みんなで「SOGIハラ」について考えてみましょう。

「SOGIハラ」のあれこれ

  • 「男だったら、もっと男らしい振る舞いや服装をしろ!」と強要された。⇒望まない性の強要(ジェンダーハラスメント
  • 「ホモやレズってキモイ!」と言われたり、嘲笑される。名前ではなく「ホモくん」「レズさん」「オネエ」と呼ばれた。⇒精神的暴力(モラルハラスメント)
  • 「あの子と親しくしていると、自分もレズと思われたらイヤだから、関わらない方が良い」と無視される。⇒いじめ(モラルハラスメント)
  • 「お前は男だろ!男か女か分からないような奴はクビだ!」「明日から来なくていい!」と言われた。⇒不当解雇(パワーハラスメント)
  • 「女性だから」とか「オネエだから」とお茶くみや雑用ばかりさせられる。⇒性別差別(ジェンダーハラスメント

注:ジェンダーハラスメント…女らしさや男らしさの概念から外れたと思う態度や行動に対し、嫌がらせや非難をすること。


 こうした言動でLGBTの人たちは、休職を余儀なくされたり、二重の人格を演じるなど、自分らしく働いたり生活できないという現状があります。誰もが自分らしく生きることの大切さを今一度考え、ハラスメントフリーの社会をめざしましょう。

厚生労働省の通称「セクハラ指針」

 男女雇用機会均等法で、職場でのセクハラによって労働者の就業環境が害されることのないよう、企業は必要な措置を講じなければならないと定めています。2017年1月から施行された改正指針には、LGBTなどの性的少数者に対する職場のセクハラも対象となる旨が明確化されています。

各区の取り組みを紹介します

西成区 人権を考える区民のつどい

 西成区では、幅広い層の方々に人権を身近に考えていただく機会として、「人権を考える区民のつどい」を年2回行なっています。2回とも、区の人権啓発推進員のみなさんに運営や啓発をご協力いただいており、推進員の重要な活動の一つでもあります。

 1回目の「つどい」は、映画上映会を行なっています。平成29年度は5月に「さとにきたらええやん」を上映しました。この作品は、西成区内にある、さまざまな事情を抱える子どもたちの居場所である施設、「こどもの里」での日々を追いかけたドキュメンタリー映画です。子どもたちと周囲の大人たちがさまざまな「しんどさ」を抱えながらも、毎日を力強く生きる姿が笑いあり涙ありで描かれ、参加者のみなさまからは好評の声を多くいただきました。地元が舞台の映画ということもあり、「人権」をより身近なものとして考える機会となったのではないでしょうか。

「さとにきたらええやん」のポスターの画像

 そして2回目の「つどい」は、音楽イベント「元気です!西成!!」を行っています。西成にゆかりのあるアーティストやパフォーマーを招いたイベントで、西成の元気をアピールすることと、人と人とのつながりの大切さを感じてもらうことを主な目的として開催しています。平成23年度から始まったこのイベントは、昨年度で6度目の開催となり、西成区内だけでなく区外、市外、さらには大阪府外の遠方からもたくさんの方にお越しいただきました。昨年度の出演者はSHINGO★西成&DJ FUKU、林家そめすけ、ベリーグッドマン、まちゅこけ、MONKEY BANANA、西成沖縄県人会エイサーでいごの会の6組。音楽ライブを中心に、落語やエイサーなどのさまざまなプログラムで盛りあがり、最後は全出演者と来場者が一緒に歌うことで、会場がひとつになりました。なお、今年度は平成30年2月の開催を予定しております。内容などの詳細は順次お知らせしますので、どうぞご期待ください。

「元気です!西成!!」の舞台の写真

 今後も新しい試みを取り入れながら、より参加しやすく、より人権に親しみやすい「つどい」をめざしてまいります。

問い合わせ 西成区役所市民協働課
電話 06-6659-9734  ファックス 06-6659-2246

浪速区 浪速区の“落書き一掃”の取り組み

落書き一掃運動

 浪速区では、昭和58年(1983年)に浪速区と大正区に架かる大浪橋で悪質な差別落書きが発見されました。また、区内のいたる所に人の心を傷つける落書きがあったことから、これを放置していると、新たな落書きを生み、そして人の心を傷つける落書きに発展し、さらには差別落書きを誘発することなどから、差別落書きをはじめとする落書きを「しない、させない、許さない」運動として「落書き一掃運動」を始めました。以降、毎年の取り組みとして継続し、平成28年度で第33回目を数えるに至りました。

「落書きをしない!させない!ゆるさない!」のポスターの画像

 現在、「落書き一掃運動」は、毎年9月頃に開催し、区内行政機関や関係団体、区民を対象とした人権啓発市民学習会を開催するとともに、市民に落書きの一掃を訴える街頭啓発活動を行なっています。
 また、この日から1か月程度を「落書き一斉消去運動」の期間として、区内の関係行政機関などが所管施設の落書きの消去活動を行なっています。

落書き消去活動

「落書き消去活動」の写真

 落書きを放置すると、「この地域は犯罪に対する警戒心が低い」と思われ、より重大な犯罪を招く恐れがあります。さらに青少年に「これぐらいなら許される」といった間違った認識を与えます。落書きは犯罪であり、決して許されないということを示す必要があります。
 浪速区では安全安心のまちづくりの一環として、区内の落書き消去活動に力を注いでいます。平成25年6月には、区内にお住まいの方や事業者の方に、落書きを消すための資材を提供することができるよう「浪速区落書き消去活動支援要綱」を制定しました。
 また、平成26年10月には、区役所、地域振興会、防犯協会、警察署により「浪速区落書き撲滅宣言」を行いました。今後も地域のみなさんや学校、企業などと協力しながら消去活動を進めていきます。

問い合わせ 浪速区役所市民協働課(こども・教育担当)
電話 06-6647-9743 ファックス 06-6633-8270

Information インフォメーション

平成29年度人権に関する作品募集事業 キャッチコピーを募集します

 さまざまな人権問題について考え、理解を深めていただけるよう、人権に関するキャッチコピーを募集します。
 入選された作品は大阪市の人権啓発の広報印刷物や人権啓発イベントでの展示などに活用していきます。ふるってご応募ください。

応募資格

  • 小学生(低学年)
  • 小学生(高学年)
  • 中学生
  • 高校生(その年齢層の方)
  • 一般

の5部門

おもな応募テーマ

  • 女性をめぐる人権
  • こどもをめぐる人権
  • 高齢者をめぐる人権
  • 障がいのある人をめぐる人権
  • 同和問題
  • 外国籍住民をめぐる人権
  • LGBTなどの性的少数者をめぐる人権
  • いじめ問題
  • インターネットと人権

など

応募期間

平成29年10月中旬~平成29年11月上旬(予定)
応募方法など詳しくはホームページまたは本市各施設等に設置しておりますリーフレット(10月中旬予定)をご覧ください。

応募・問い合わせ

「大阪市人権に関する作品募集事業」事務局

〒550-0012 大阪市西区立売堀4-10-18 阿波座センタービル1階
大阪市人権啓発・相談センター内
電話 06-6532-7631 ファックス 06-6532-7640

キャッチコピーを活用したポスターの写真

三校合同・生野区地域人権講演会

入場無料

テーマ LGBTのこと、そして人権 誰もが生きやすい社会へ
    【基礎知識・職場における問題・日本の状況等】
内容 LGBTの基礎知識・職場における問題・日本の状況等を知ることにより、性の多様性および性的少数者(LGBT)への理解を深める講演会を開催します。
講師 なんもり法律事務所 弁護士 南 和行(みなみ かずゆき)さん
とき 9月27日(水曜日)19時~20時
ところ 北鶴橋小学校講堂(大阪市生野区鶴橋3丁目4-50
    最寄り駅 鶴橋駅〔JR・近鉄・地下鉄(千日前線)〕

北鶴橋小学校への案内図
別ウィンドウで開く

対象 どなたでも
定員 300人(当日先着順)
問い合わせ 生野区役所 地域まちづくり課
電話 06-6715-9009 ファックス06-6717-1163

大阪市人権啓発・相談センターLINE@はじめました


大阪市人権啓発・相談センターと友だちになってね♪

 大阪市の人権に関する取り組みや人権問題のトレンドを掲載しています。
 今後、人権相談の回答事例や、KOKOROねっとのアンケートで寄せられた意見・質問なども載せていきます。

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問い合わせ 大阪市人権啓発・相談センター
電話 06-6532-7631 ファックス 06-6532-7640

前号(No.33)の訂正とお詫び

「KOKOROねっと」第33号に掲載しました内容について、次のとおり誤りがありました。お詫びしますとともに訂正いたします。

9ページ「人権擁護委員の日」
社会福祉法人豊里学園での特設人権相談所の開設日
誤:7月21日(金曜日) ⇒ 正:7月28日(金曜日)

人権コラム 働き方改革2 仕事と子育てや親の介護の両立で悩んでいませんか?

 少子高齢化が加速するなか、今、働き盛りの世代の肩に「仕事と育児や介護の両立」といった大きな課題がのしかかり、仕事と家庭のバランスがとりづらくなっています。そのために、仕事を辞める方も多いのではないでしょうか。しかし、今後の労働力不足・人材確保も大きな課題となっており、女性も男性も今まで以上に仕事と育児や介護の両立が求められています。
 そこで今回は、その両立を図るための考え方や制度などを紹介します。

仕事と育児や介護の完璧な両立は大変!

 仕事と育児や介護の両立を完璧にやろうと思うと本当に大変です。
 物事が自分が思うように進まない。時間がなくイライラする。つい、子どもや家族に八つ当たりしてしまう。自己嫌悪に陥ったり眠れなくなる。こういった負の連鎖や状況に陥らないためにも、以前と今の自分を比較しないこと。そして、完璧を求めず「できなくて当たり前!」と開き直ることも大切です。

育児や介護で困ったときは、周りに助けてもらう!

 頼みたいけど…「家庭の事情とはいえ休みにくい。迷惑がかかる。申し訳ない。」などと罪悪感を感じるかもしれません。しかし、無理や頑張りすぎで自分の健康を害すると、かえって困ることになりかねません。勇気を出し素直に周囲の人へ助けを求めてみましょう。周りの人は気づいてないこともあります。良い結果につながる場合もあります。
 そして、「あのとき助けてもらってうれしかったから、今度は私が助ける」そんなサイクルが生まれるよう、日頃から職場の人はもちろん、近所の人や家族とのいい関係をつくっておくことも大切です。

育児や介護期間中は会社や国の制度を活用しよう!

 会社に勤務している方の多くは、仕事と育児や介護を両立させるために次のような制度を利用することができます。まずは職場で相談しましょう。

「育児・介護休業法等」について

介護休業
 対象家族一人につき通算93日を上限として、3回までの分割取得が可能。
育児休業
 保育園などに入所できず退職を余儀なくされる事態を防ぐ育児休業期間は、現在1歳6カ月ですが、10月1日から最長2歳まで再延長が可能に。
その他
 介護休暇・子の看護休暇・フレックスタイム、時差出勤・残業免除等を申請することができます。条件など詳しくは職場でお尋ねください。また、厚生労働省ホームページでも確認できます。

「職場での育児・介護ハラスメント」 について

 事業主に対し、上司や同僚などから妊娠・出産、育児休業・介護休業を理由とする嫌がらせの防止措置が義務化されました。


裏表紙 大阪市人権啓発・相談センター

専門相談員による人権相談

ひとりで悩んでいませんか?

 大阪市にお住まいの方で、人権に関することでお悩み、お困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。まずはお電話を!
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相談専用電話番号 06-6532-7830(なやみゼロ)
相談専用ファックス番号 06-6531-0666
相談時間 月曜日〜金曜日/9時~21時
       日曜日・祝日/9時~17時30分
※土曜日、年末年始(12月29日~1月3日)・施設点検日は休業
※人権相談の受付は、相談時間終了の30分前までです。

人権啓発事業に関するお問い合わせ

 人権相談のほか、人権に関するパンフレットの提供や人権啓発ビデオ・DVDの貸出しも行なっています。
 研修会などにぜひ、ご活用ください。

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開設時間 月曜日~金曜日/9時~17時30分
※土日・祝日・年末年始(12月29日~1月3日)は休業

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  • 縦40mm×横90mm×2枠
  • 4色カラー
  • 最低価格:25,000円から
  • 発行部数:20,000部
  • 配付先:市役所、区役所、市営地下鉄駅構内など
  • 申込締切:第35号(12月1日発行):10月20日(金)(終了しました)

広告に関する問合せ先

大阪市人権啓発・相談センター
電話 06-6532-7631 ファックス 06-6532-7640

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編集後記

 今号では「ハラスメント」を特集テーマとして取り上げました。自分では何気なく行っている行為が、相手にとってはハラスメントと感じ悩んでいる場合があります。一度周りを見直してみませんか。33号では「発達障がい」を取り上げました。アンケートでは「とても参考になった」「もっと知りたい」などの感想をいただきました。今後も皆さまのご意見を参考に、さまざまな情報を発信していきたいと思います。
 また、今年度も人権に関するキャッチコピーを募集します。詳細はホームページ等でお知らせしますので、ふるってご応募ください。

プレゼント付きアンケート!!

アンケートに答えて「Quoカード」をゲットしよう。No.34 (終了しました)

質問1
この情報誌を、どこで入手されましたか?
(その他の場合は具体的な場所をご記入ください)

  1. 駅構内
  2. 市・区役所
  3. 図書館
  4. 学校、職場
  5. 大阪市ホームページ
  6. その他(                        )

質問2
この情報誌のなかで興味・関心を持った記事はありましたか?
(複数回答可)

  1. 巻頭特集(P.1〜4)
  2. ヒューマンインタビュー(P.5〜6)
  3. SOGIハラスメント(P.7)
  4. 各区の取り組み(P.8)
  5. 人権コラム(P.10)
  6. その他(                          )

質問3
あなたは、人権に関心がありますか?

  1. 関心がある
  2. すこし関心がある
  3. あまり関心がない
  4. 関心がない

質問4
この情報誌を読んで人権への理解に役立ちましたか?

  1. とても役に立った
  2. 役に立った
  3. あまり役に立たなかった
  4. 役に立たなかった

質問5
この情報誌を読んで人権に興味・関心がわき、次号も読んでみたいと思われましたか?

  1. ぜひ読みたい
  2. どちらかといえば読みたい
  3. どちらでもよい
  4. 読みたいとは思わない

質問6
今後もこのような情報誌を発行したほうが良いと思いますか?

  1. そう思う
  2. どちらかといえばそう思う
  3. どちらかといえばそう思わない
  4. そう思わない

質問7
この情報誌を読んだ感想やご意見、今後掲載してほしい内容やご要望をお書きください。

はがきまたは携帯電話などからも応募できます。

アンケートの答えと必要事項(ご住所・お名前・年齢)をはがきにご記入の上、ポストに投函してください応募はいずれかお1人1回)。抽選でQuoカード(10名様に2,000円相当)をプレゼントします。なお、当選発表は商品の発送をもって代えさせていただきます。

応募期限:平成29(2017)年11月30日(木)受付期間は終了しました。

※個人情報の取扱いについて…はがき及びウェブサイトのアンケートで取得しました個人情報は、大阪市個人情報保護条例等の法令に基づき適切に取扱います。

◆次回のKOKOROねっとNo.35は、平成29(2017)年12月発行の予定です。
主な設置・配付場所:市役所、区役所、大阪市営地下鉄駅構内、市立各図書館等

大阪市人権だより KOKOROねっと
human rights & diversity magazine
平成29(2017)年9月発行 /Autumn No.34

【発行】大阪市人権啓発・相談センター
    〒550-0012 大阪市西区立売堀4-10-18
    電話 06-6532-7631  ファックス 06-6532-7640

【制作協力】株式会社 アド・エモン

〔法務省委託事業〕

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  2. 市政全般に関わるご意見・ご要望、ご提案などについては、市民の声へお寄せください。
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大阪市人権啓発・相談センター
住所: 〒550-0012 大阪市西区立売堀4丁目10番18号 阿波座センタービル1階
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