第1 基本的な考え方
2011年4月5日
ページ番号:20599
1 これまでの行財政改革の取組経過
本市はこれまで、平成2年に策定した「大阪市総合計画21」に基づき、21世紀の新しい大阪の創造をめざしてまちづくりを積極的に推進しており、「大阪市総合計画21」を推進していくガイドラインとなるものを策定するとともに、これを支える行財政運営の円滑な推進が必要不可欠であるとの観点から、平成8年3月に「総合計画21推進のための中期指針」及び「大阪市行財政改革基本指針」を策定しました。
この「基本指針」では、これまでの取組を踏まえつつ新たな視点から行財政全般にわたって見つめ直すとともに、
- 市民参加による開かれた市政の推進
- 地方分権の趣旨を踏まえ地域に密着した行政サービスの提供を行うことができる行政システムの構築
- 総合的・機能的に施策の展開を図ることのできる行財政システムの構築
- 時代に即応した市民サービスの提供や市民福祉の増進を図るため限られた財源・人材を有効に活用した簡素で効率的な行財政運営
の基本方針のもとで行財政改革に取り組むこととし、この「基本指針」に基づき同年11月に、平成12年度までの以後5年間に取り組むべき具体的な目標を取りまとめた「21世紀に向けたまちづくりを進めるための行財政改革実施計画」を策定し、計画的に行財政改革を進めてきたところです。
その結果として、計画した項目については、ほとんどの項目において実施し、あるいは着手してきているなど、本市の行財政運営の全般にわたって着実に成果をあげてきたところです。しかしながら、一部未実施・未着手の項目もあり、引き続きその実施に向け努力していくとともに、「基本指針」に掲げた4つの基本方針の更なる達成をめざして、新たな取組を行っていく必要があります。

2 行政を取り巻く環境の変化
- 地方分権の進展
昨年4月に地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(地方分権一括法)が施行され、機関委任事務制度の廃止をはじめとする地方分権の推進に不可欠な制度改革が図られました。
今回の改革は、地方自治体とりわけ大都市への権限移譲等が不十分であり、地方分権推進計画で明記されている地方税の充実確保について具体的措置がとられていないなど、多くの課題が残されていますが、この改革により、国と地方が従来の上下・主従の関係から対等・協力の関係となり、今後、地方自治体は、住民に身近な行政はできる限り住民に身近な地方自治体が実施するという地方分権推進の基本的な考え方に基づき、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現に向け、団体自治とともに住民自治を一層推進し、自主的・自立的な行財政運営を図っていくことが求められています。
本市においても、自己決定・自己責任の原則のもと、市民ニーズを的確に把握して、地域の実情に応じた総合的な施策を自ら企画し、市民とのパートナーシップにより実施することができる、地方分権の時代にふさわしい分権型の行政運営システムを構築していくとともに、大都市特有の行財政需要に対応した自主的・自立的な行財政運営を推進することができる基盤と能力を確立するため、国からの大幅な権限移譲等や国と地方との役割分担に応じた税源移譲などによる大都市制度・大都市税財政制度の拡充強化を図る必要があります。 - 社会の成熟化の進行等
我が国では社会の成熟化が確実に進行し、市民の意識は、経済的な豊かさとともに、人と人との触れ合いなど精神的な豊かさを味わうことのできる暮らしを重視する方向に変化してきており、こうした価値観の多様化に伴い、行政に対する市民のニーズは、ますます高度化・多様化してきています。
また、少子・高齢社会の到来に伴い、保健・医療・福祉や生涯学習などに関連するサービスを相互の緊密な連携のもとで提供するとともに、子育てや教育など児童育成に係る行政課題に対する総合的な施策を展開することができる、保健・医療・福祉・教育などの「安全ネット」のより一層の充実が求められています。
さらに、地球規模での環境問題が深刻化する中で、その具体的な対策が求められており、地球環境に配慮した循環型社会の形成に向けた総合的な取組が重要となってきています。
一方、幅広い分野でボランティア活動やNPO等による市民活動が活発化するなど、市民の間では、これまで以上に地域社会に関心を持ち、進んで公益的活動に参加していこうとする動きも見られ、地域福祉や防災、環境・リサイクル、コミュニティの育成といった、市民の参加と協力なしには推進することができない地域の課題に対する取組については、幅広い市民との連携・協働による柔軟できめ細かな施策の展開が求められています。 - 高度情報化の進展
近年、情報通信技術(IT)が飛躍的に発展し、「IT革命」といわれるように高度情報通信社会への移行が急速に進んでいます。
とりわけ、インターネットの普及はめざましく、ビジネス・学術分野はもとより、市民生活においても非常に有用なメディアとして定着してきており、市政に対する市民の理解と信頼をより一層深めるためにも、個人情報の保護を図りつつ、行政と市民の双方向の情報交流の手段として、インターネットを積極的に活用していくことが求められています。
また、これからのソフト重視のまちづくりを進めるにあたっては、情報通信技術を活用し、市民の日常生活に沿った意見や要望といった情報を迅速かつ的確に入手して行政施策に積極的に反映させるとともに、各種の申請、届出等の手続においても市民の利便性の向上を図るなど、市民サービスをより一層充実させていく必要があります。 - 厳しい経済環境と財政の悪化
我が国の経済は、いわゆるバブル経済の崩壊後、低成長からマイナス成長に転じ、ここ数年は、政府主導による景気対策事業などの下支え効果により、緩やかな回復過程に入ったとされているものの、依然として大幅な景気回復は見込めない状況にあります。
こうした経済環境は国や地方自治体の財政にも大きな影響を及ぼしており、国及び地方の財政は、引き続き大幅な財源不足となり、また、平成13年度末には合わせて666兆円にも上ると見込まれる巨額の長期債務残高を抱えるなど、非常に厳しい状況となっています。
本市においても、平成11年度決算では税収入が3年連続して前年度を下回り、財源対策債などの特別な起債を発行せざるを得ず、財政の硬直度を示す経常収支比率も99%を超え過去最高となるなど、極めて深刻な財政状況となっています。今後、景気回復による税収の伸びが期待できない中、公債費等の義務的経費の増などが見込まれ、財政状況はより一層厳しくなると考えられます。

3 基本方針及び基本的視点
- 以上のように、行政を取り巻く社会経済環境が大きく変化し、これに伴い行政に対する市民の意識やニーズも大きく変容してきており、旧来の国と地方の関係に基づくこれまでの行政運営システムでは、これらの変化に責任をもって対応していくことは困難となりつつあります。
とりわけ、地方分権の進展により国・地方を通じて行政は一大転換期を迎えており、地方自治体では、「国との関係」、「市民との関係」、「自治体内部の業務の進め方」のいずれをも大きく変革することが求められています。
すなわち、国と地方の関係が対等・協力のものと明確に位置付けられた今、これからの地方自治体は、市民の信託にこたえる地域社会づくりを、国に依存するのではなく、自らの創意工夫と責任のもとで自立して行っていくとともに、そのために必要となる権限や税源の移譲を国等に積極的に求めていく必要があります。
また、「地域社会」は本来その構成員である市民がその意思に基づき共同して運営していくべきものであり、ボランティア活動やNPO等による市民活動が活発化する中で、市政の主役である市民と協働して地域社会の課題に取り組んでいく、市民と行政の新たな関係を構築していくことが求められています。
一方、厳しい財政状況のもとで、市民に対する説明責任を果たしつつ、中長期をも見据え、社会経済環境の変化や市民ニーズに的確に対応して、各種施策の目的を着実に実現していくためには、施策の方向性と事業とのつながりを明らかにして、有効な事業は重点的に充実し、必要性や効果の低い事業は廃止・縮小するとともに、事業の実施にあたっても、施策の目的に即した効果的・効率的な実施を図っていく必要があります。 - こうしたことから、本市は、市民の信託にこたえる個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現をめざして、「総合計画21推進のための新指針」を着実に推進するとともに、市民本位の質の高い行政サービスを迅速かつ的確に提供していくため、これまでの行財政改革の取組の経過を踏まえつつ、行財政運営全般について抜本的に見つめ直し、以下の基本方針及び視点に基づき、新たな行財政改革に積極的に取り組みます。
基本方針
- 市民と協働して自立的・総合的に都市施策を企画・実施する分権型行政運営システムの構築
- 中長期を見据え、積極的なまちづくりの推進を支える安定した財政及び機能的・効率的な行政運営の確立
改革を進めるにあたっての視点
- 市民本位の総合行政を推進するための積極的な企画立案
市民のために責任をもって大阪市としての「安全ネット」を充実するなど、これまで以上に、市民本位の総合的な施策を自ら積極的に企画立案します。 - 市民・利用者の視点に立った業務運営
既存の枠組みにとらわれず、市民・利用者の視点から業務のあり方や内容を決定していくとともに、その業務が最も有効に実施できるよう業務運営の仕組みを柔軟に改編していきます。 - 市民とのパートナーシップによる市政運営
市民の意思を最大限市政に反映させるとともに、市民との連携・協働による市政運営を進めることを基本とします。 - 職員の意欲に基づく自律的な行政運営の改善
職員の創意工夫や改善意欲が職務にいかされ、その能力が最大限市民のたに発揮される仕組みを整備し、自律的な行政運営の改善を図ります。 - 限られた行政資源の効果的・効率的な活用
限られた人材、財源等を最大限有効に活用するという観点から、施策の目的即 した事業の効果的・効率的な実施と各種のノウハウや職員の能力等の積 極的な活用を図ります。
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大阪市 市政改革室 改革プラン推進担当
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