第2 具体的な方策(2-3 健全な財政運営)
2011年4月5日
ページ番号:20605

本市の財政状況は、税収動向が厳しい中、公債費、福祉費などの義務的経費が増嵩し、平成11年度には経常収支比率が99%を超え過去最高となるなど、財政の硬直化が進行している。
本格的な地方分権時代を迎え、こうした厳しい財政状況のもとで、自らの力で21世紀にふさわしい新しい大阪のまちづくりを積極的に推進していくためには、中長期を見据えた安定した財政運営を行っていくことが不可欠である。
そのため、社会経済環境の変化などにより必要性や効果の乏しくなっている事務事業の廃止・縮小や類似・重複している事務事業の統合等、外郭団体の活用と見直し、定員及び給与のあり方などについて検討を進め、当面、経常的な収入で経常的な支出を賄うことができる財政運営に努めていく。また、こうした取組に加えて、平成12年度に庁内に設置した「税財政企画調査プロジェクトチーム」について、今後、学識経験者の参画も得ながら組織の強化を図り、早急に財政硬直化の要因を分析し、歳入面では自主財源確保の方策等について、歳出面では経常的経費である人件費、公債費などの抑制策や福祉費の効果的な執行等のあり方について、新たな発想で調査研究を進め、財政構造の弾力性を確保するための諸方策を検討していく。
(1) 歳入面での取組
ア 大都市の実態に即応した税財政制度の確立に向けて、税制の改正や国庫補助負担金の整理合理化などについて、他の指定都市とも連携しながら、国等関係機関への働きかけを行うとともに、国から地方への税源移譲、課税自主権の活用方策等について調査研究を進める。
(ア) 税制の改正
- 国・地方間の租税配分が概ね2:1であるのに対して、実質配分では1:2と逆転している実態にかんがみ、配分是正の具体案を提示しながら、国と地方との役割分担に応じた地方税源の充実確保を要望する。
- 大都市特有の財政需要に対応するため、法人所得課税及び消費・流通課税の配分是正等、都市税源の充実を要望する。
- 道路目的財源の拡充及び大都市特例事務に係る需要についての税制上の特例措置を要望する。
- 地方税源の充実確保のため、国から地方への税源移譲、課税自主権の活用方策等について学識経験者の参画も得て、調査研究を進める。
- 国・地方間の機能分担と税財源配分のあり方等を総合的に検討し、これに伴う所要財源は、地方税を基本として十分な措置を講じるなど、地方財政の充実強化の観点に立って、整理合理化を要望する。
- 国庫補助負担金に係る補助基準については、実態に即して適正化を図り、超過負担の完全解消を図るよう要望する。
使用料・手数料については、受益者からの適正な負担を求め、住民負担の公平性と自主財源の確保を図る観点から、その適正化を図るとともに、滞納者に対する督促を強化する。
ウ 市税・国民健康保険料などの収納率の向上
(ア) 市税
税務事務システムの効果をいかし、収納管理から滞納整理まで一貫した事務処理を行うとともに、現在、各区において対応している高額化・難件化した滞納事案を財政局で集中処理することにより、効率的な収納体制を確立し、市税収納率の向上を図る。
なお、収納率については、前年度実績を上回ることを目標とし、その実現に向けて積極的な取組を進める。
また、税に関する啓発、口座振替納付の推進など、従来の取組の強化を図る。
昼間不在世帯の増加に伴い収納環境が悪化している現状に着目し、休日・夜間の電話督励を中心とした新たな徴収体制の整備を図るため設置した「保険料業務センター」と区役所との連携を密にし、より効果的な収納対策の強化と収納率の向上を図る。
なお、収納率については、前年度実績を上回ることを目標とし、被保険者に対して制度の説明を行い、理解を求めながら、その実現に向けて積極的な取組を進める。
(2) 歳出面での取組
ア 予算編成手法の改善
- 施策の優先順位の厳しい選択を行い、スクラップ・アンド・ビルドの方針の徹底を図るために、引き続き、要求基準(シーリング)を活用し、サンセット方式を積極的に導入する。また、事業評価システムなど新たな手法の活用を図る。
- 光熱水費、消耗品費、印刷製本費、食糧費、旅費等の一般管理運営費の節減を図る。
- 補助金や扶助費については、その支出目的、支出効果の観点から、全般にわたる検討を加え、社会経済情勢に合わなくなったもの、効果の乏しくなったものなどについて廃止・縮小・統合に努める。
- 施設の維持管理については、民間活力の導入を図るなど、経費の節減に努めるとともに、市民ニーズに合った管理運営を行い、施設利用率の向上に努める。
- 平成9年10月に策定した「公共工事コストの縮減に関する行動計画」に基づく取組の検証を行うとともに、政府の「公共工事コスト縮減対策に関する新行動指針」の内容を検討し、これらの結果を反映させた新たな行動計画を策定し、これに基づく取組を積極的に推進する。
(3) 特別会計の財政運営
本市の特別会計については、一般会計からの繰出金が年々増加しているなど厳しい財政環境にあることにかんがみ、それぞれ会計ごとに、その目的や性格を踏まえて事業運営方法の改善や適正な受益者負担を図るなど経営収支の改善を図るとともに、抜本的な制度改正が必要なものについては、引き続き国等へ要望していく。
特に、公営企業については、市民サービスの向上に努めるとともに厳しい経営環境を踏まえ、適正な受益者負担と不断の経営の効率化等を進め経営基盤の確立を図る。
将来にわたって市民・利用者に、安全かつ便利で快適な輸送サービスを安定的に提供していくためには経営基盤の強化が不可欠であるため、バス・地下鉄両事業とも「経営健全化計画」(バス:平成5年度-平成11年度、地下鉄:平成7年度-平成11年度)・「新規効率化計画」(平成10年度-平成13年度)を策定し、その主要な施策のひとつである「業務の効率化」において数値目標を設けた年次計画を策定し、着実な実施に取り組んできたところである。
今後の経営状況は、乗車人員の減少傾向や規制緩和などにより、今までに無い厳しい状況になると予想される。
このため、平成13年度を最終年度とする「新規効率化計画」に基づく取組を着実に実施していくとともに、さらに「公営交通事業改革調査委員会」の取りまとめをもとに抜本的な経営改善方策を策定し、計画的な定員管理に取り組むなど、交通事業のより効率的な運営に努めていく。
水道事業の効率的運営を図る観点から、事務事業の推進にあたっては、その必要性・有効性を一層精査し、限られた財源の効果的な配分と、外郭団体の効果的活用等による、効率的な執行を図るとともに、公共助成の確保や資産の有効活用による事業外収入の確保を進める。
また、水道事業の経営改善の重要な柱として、現在取り組んでいる職員数の見直しを着実に実施し目標を達成する。
今後は営業所・工事事務所の工事関係業務、浄水場維持管理業務をはじめ、業務全般にわたり積極的に見直しを行い、計画的な定員管理に取り組むなど、公営企業として健全経営に努めていく。
(4) 市有財産の有効活用
ア 未利用地の有効活用
- 市民の貴重な資産である未利用の市有地(以下「未利用地」という。)については、長期的視点に立って計画的に活用策を検討することが必要であり、公用・公共用優先を原則としつつ、土地利用の促進やまちづくり等の観点から広く一般に処分することも視野に入れながら、引き続き、活用方針の策定を図っていく。
- 活用方針を策定した未利用地については、早期の事業化や処分等に向けて、その進捗状況について検証し、土地利用の促進に努める。
- 未利用地の利活用や処分の手法については、平成11年度から導入している「定期借地制度」のほか、「不動産証券化による売却処分」などの新たな手法について、引き続き、多方面から検討を行う。
- 施設の供用廃止等により発生した未利用建物で転活用が可能なものについては、費用対効果を見極めながら、その機能の転換・更新等を図り、転活用を促進する。
- 本市において活用の見込みのない未利用建物については、「定期借家制度」を活用するなど、民間利用の促進についても検討する。
- 新築や建替を計画している各種施設については、従来から「財産運用委員会高度利用推進部会」の審議・調整を得て施設の複合化を推進しているが、今後もより一層、施設の効果的な集約化による複合化を進め、市有財産の有効・高度利用を推進する。
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