答申第545号
2026年3月26日
ページ番号:675499
大情審答申第545号
令和8年3月26日
大阪市長 横山 英幸 様
大阪市情報公開審査会
会長 小谷 真理
答申書
大阪市情報公開条例(平成13年大阪市条例第3号。以下「条例」という。)第17条に基づき、大阪市長から令和4年4月19日付け大市民第65号により諮問のありました件について、次のとおり答申いたします。
第1 審査会の結論
大阪市長(以下「実施機関」という。)が令和4年3月4日付け大市民第1026号により行った不存在による非公開決定(以下「本件決定1」という。)及び令和4年3月16日付け大市民第1076号により行った不存在による非公開決定(以下「本件決定2」といい、本件決定1及び2をあわせて「本件各決定」という。)に対して審査請求人が同月21日付けで行った審査請求(以下「本件審査請求」という。)は、棄却すべきである。
第2 審査請求に至る経過
1 公開請求
審査請求人は、令和4年2月19日、条例第5条の規定に基づき、実施機関に対し、請求する公文書の件名又は内容として「2月3日に行った公開請求について、令和4年2月16日付大市民第973号により不存在による非公開決定となりました。/「4.本契約により得られた結果により、地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価が可能であるとする根拠が示された文書」については、「令和3年8月30日付け大市民第 517号の公開決定通知により既に公開した区長会議資料以外には当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しないため。」との理由で不存在となっています。公開請求の中でもこの区長会議資料には根拠の記載は一切なく、請求対象文書はこれではないと伝えていたはずです。/「5.本契約により得られた結果により、『区同士の比較』、『経年でみる』が可能であるという根拠が示された文書」については、「本調査は現在継続中であり、本件請求日(令和4年2月3日)時点で結果を取りまとめた資料は未作成であるから、当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しないため。」との理由で不存在となっています。しかし、調査は「区同士の比較」「経年でみる」という目的が達成できるように実施されたはずであり、成果物がないと根拠がないというのは、原因と結果という因果関係が逆転してしまっています。/双方に言えることですが、アンケート調査については、調査の目的(「地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価」、「区同士の比較」、「経年でみる」)が達成できるように調査設計を行うのが当然です。わかりやすく言えば、大阪市民の平均身長を調べるのに、どこかの小学校の1年生を調査対象にした調査で目的が達成できるとは誰も考えないでしょう。目的を達成するために調査対象者をどのように選定するか、何人くらいを調査すればよいのかについて検討を行うはずです。/請求の趣旨は、調査の目的を達成するために、区民アンケートをどのように設計したのか(つまり、調査の目的が達成可能だとする根拠)ということです。/改めて文書の特定を行ってください。」(審査会にて原文中の改行箇所に「/」を挿入している。以下同じ。)と表示して公文書の公開請求(以下「本件請求1」という。)を行った。
また、令和4年3月3日、条例第5条の規定に基づき、実施機関に対し、請求する公文書の件名又は内容として「住之江区役所、市民局へ/平成31年2月22日付け市民の声No.1969-10034-001-01の市政改革プラン2.0に関する区民アンケートに係る浪速区役所の回答は次の通りです。/当アンケートにつきましては、一般的な調査に必要と考えられるサンプル数400弱を取得するために各区2000人に対し調査を行うということとしております。また、集まった回答が正しく母集団を代表しているかの確認は、母集団に対して適用可能かどうかの判断を行っておらず、目標達成などと判断した根拠については、アンケート調査の結果数値が目標値に達したかどうかで判断しています。/アンケート調査は、全区役所での実施であることから、市民局において集約したうえ一括して契約等事務手続きを行っております。/上記にある「目標達成などと判断した根拠については、アンケート調査の結果数値が目標値に達したかどうかで判断しています。」について、そのような判断方法を採用する根拠や、判断方法の合理性、妥当性がわかる文書を公開してください。/上記で請求する公文書について、これまでの公開請求で公開された文書や、既にホームページで公開されている情報は不要です。」と表示して公文書の公開請求(以下「本件請求2」という。)を行った。
2 本件決定
実施機関は、本件請求1に係る公文書(以下「本件請求文書1」という。)を保有していない理由を次のとおり付して、条例第10条第2項に基づき、本件決定1を行った。
・「4.本契約により得られた結果により、地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価が可能であるとする根拠が示された文書」については、令和3年8月30日付け大市民第517号の公開決定通知により既に公開した区長会議資料以外には当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しないため。
・「5.本契約により得られた結果により、『区同士の比較』、『経年でみる』が可能であるという根拠が示された文書」については、本調査は現在継続中であり、本件請求日(令和4年2月19日)時点で結果を取りまとめた資料は未作成であるから、当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しないため。
また、実施機関は、本件請求2に係る公文書(以下「本件請求文書2」という。)を保有していない理由を次のとおり付して、条例第10条第2項に基づき、本件決定2を行った。
・「『目標達成などと判断した根拠については、アンケート調査の結果数値が目標値に達したかどうかで判断しています。』について、そのような判断方法を採用する根拠や、判断方法の合理性、妥当性がわかる文書」については、令和3年8月30日付け大市民第517号の公開決定通知により既に公開した区長会議資料以外には当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しないため。
3 審査請求
審査請求人は、令和4年3月21日、実施機関に対し、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき本件審査請求を行った。
第3 審査請求人の主張
審査請求人の主張は、おおむね次のとおりである。
1 審査請求の趣旨
「本件各決定を取り消し、改めて文書の特定を行うこと。」との裁決を求める。
2 審査請求の理由
・処分理由のうち「令和3年8月30日付け大市民第517号の公開決定通知により既に公開した区長会議資料以外には当該公文書を作成又は取得しておらず」との部分について、令和4年2月16日付けの不存在による非公開決定(大市民第973号)に対する令和4年2月19日付け審査請求書でも述べたとおり、これらの資料には「本契約により得られた結果により、地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価が可能であるとする根拠」の記載はなく、請求対象文書はこれではない。
・公開請求の中でも請求対象文書はこれではないとしているのに、このような埋由を挙げることは不当である。また、「結果を取りまとめた資料は未作成であるから」との点についても、公開請求の中で書いたように、実施機関はこれらが可能になるように市政改革プラン2.0の成果指標測定のための区民アンケー卜を設計したはずであるので、請求対象文書はこの設計内容が記された文書であり、結果報告書ではない。この点についても公開請求の中で述べているにもかかわらず、このような理由を挙げることは不当である。
・さらに、「当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しない」については詳しく述べる。まず、令和2年度の市政改革プラン2.0の成果指標測定のための区民アンケート結果報告書の2ページに「報告書を読む際の留意点(大阪市全体)」と題された統計学的検証に係る記載があった。そして、「この記載の根拠が記された文書」として行った公開請求では、市政改革室が作成した「平成29年度世論調査結果報告書」が対象文書として特定され、この「平成29年度世論調査結果報告書」にも「報告書を読む際の留意点(大阪市全体)」と全く同じものが記載されていた。さらに、此花区役所の令和2年度区民アンケート結果報告書の7ページにも「報告書を読む際の留意点(大阪市全体)」と同じものが記載されている。これらから明らかなことは、これら全てが同じ理論的根拠を基に行われているということである。各区の区民アンケートや市政改革プラン2.0の成果指標測定のための区民アンケー卜は、市政改革室の世論調査をベースにしているということである。
・実施機関が「地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価」のために「地域活動協議会を知っている区民の割合」を指標として、この指標を測定するために市政改革プラン2.0の成果指標測定のための区民アンケー卜を実施した根拠は「報告書を読む際の留意点(大阪市全体)」の記載内容であり、さらにはこの記載のもととなった統計学的根拠が示された文書であるはずであり、これらが存在しないはずはない。
・実施機関が請求対象文書を不存在であるとしているのは、市政改革プラン2.0の成果指標測定のための区民アンケー卜の理論的根拠に関する理解を欠いているため、「報告書を読む際の留意点(大阪市全体)」や、「報告書を読む際の留意点(大阪市全体)」の記載の統計学的根拠が記載された文書が請求対象文書であると正しく認識できていないことが原因であり、それは、当該アンケートは統計調査ではないと説明していることに現れている。そして、統計調査ではないとするのであれば、少数の標本による観測結果でなぜ区民全体のことが把握できるのかという点について論理的に説明する必要が生じるが、この説明がなされたことはない。
・市政改革室が所管する前は、世論調査や市政モニターは市民局広聴相談課が所管していたのであり、その頃は大学教授など社会調査の専門家の関与を受け、世論調査や市政モニターは統計調査として行っていたものである。そして、各区の区民アンケートはこの時代の市政モニターをルーツとするものであり、もともとは統計調査であった。その後所管が市政改革室にうつり、専門家の関与がなくなったことにより、統計学に基づく理論的根拠が忘れ去られて形骸化してしまったわけである。上記のように市政改革室ですら記載内容の根拠について説明できない状態になっていたわけで、区役所が説明できるはずがない。そして、説明できない結果として「統計調査ではない」などと詭弁を弄しているだけである。
・実施機関は監査委員に対して「地域活動協議会を知っている区民の割合」との指標は当該アンケートの結果そのものであり、当該アンケートは統計調査ではないと説明した。そして、「報告書を読む際の留意点(大阪市全体)」の記載はサンプルサイズを決定する際の参考にすぎないとの説明も行った。統計学が根拠でないとするのであれば、どのような理論的根拠をもって当該アンケートの結果数値を指標だとしうるのか、また、当該アンケートの結果数値で「地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価」ができるのはなぜなのかということを理論的に説明しなければならない。これらの文書が存在しないということは、この説明ができないということを意味し、行っていることの合理性や妥当性を説明できないということである。
3 令和4年8月29日付け審査請求人意見書(別事件の弁明書に対する反論。下記令和4年10月3日付け意見書に、本意見書も「合わせてご覧いただきますよう」との記載があったことから記載。)
・実施機関の弁明書における主張は、審査請求人が、「統計学的な根拠が示された文書」を求めていることを前提にしているが、求めているのは、統計学に限らず根拠となる文書であり、実施機関の弁明書は、審査請求人の請求の趣旨の解釈を誤っている。
・実施機関が、根拠が記載されているとする部分には、「地域活動協議会の認知度向上に向けた支援」の評価を行うために、「地域活動協議会を知っている区民の割合」を指標として、その指標を「全区統一様式による区民アンケート(無作為抽出)」で測定することを決定したことが書かれているだけである。
・実施機関による情報公開審査会に対する「回答者の回答状況を表すにとどまる」(令和3年6月15日付け大情審答申第492号参照)との説明は、得られたデータはそれ以上の意味を持たないということであるにもかかわらず、監査委員に対しては、「『②地域活動協議会の認知度向上に向けた支援』を評価」する上で意味のあるデータであると説明しており、両者に対する説明は完全に矛盾しており、公開請求はこの矛盾に対して説明を求めるものである。
・市政改革プラン2.0(区政編)の24ページで、指標が「地域活動協議会を知っている区民の割合」と定められ、区長会において、測定手法を「全区統一様式による区民アンケート(無作為抽出)」と判断された根拠は、この「マーケティング・リサーチツールの手引き」をはじめとしたマーケティング・リサーチツール関係文書に記載されているのであり、請求対象文書はこれらであることは明らかである。
・実施機関が言うように「当該アンケートは市民又は区民全体の状況を統計学的に推計できるよう設計されておらず、『市政改革プラン(区政編)の進捗状況(平成30年8月末時点)』に掲載した内容はあくまで各調査の回答者の回答状況にとどまるもの」であるのであれば、区民アンケートの結果は、区民全体の状態とは全く無関係なのであり、そのようなデータでなぜ施策事業の評価ができる(具体的には「地域活動協議会を知っている区民」が増えているのかどうかが判断できる)のはなぜなのかという点について説明が必要となるのであり、公開請求はこの点についての説明を求めるものである。
・実施機関の弁明書では、「(区民アンケートに係る)調査報告書が公開対象となる」との記載の根拠は「連年、同じ条件で行っているもの」とされているが、言うまでもなくこれが根拠になるはずはない。
・実施機関は監査委員に対して「無作為抽出をすれば元々考えていた、区同士比較をする、経年で見るということでベースとしては問題がないと判断しすすめてきた。」と説明しているが、公開請求の趣旨は、なぜ「無作為抽出」をすれば、「区同士比較をする、経年で見る」ことが可能である(問題がない)と考えたのか、その根拠を求めたものであり、調査結果報告書に根拠が記載されているはずはなく、また、公開を受けた区長会資料にもこの根拠は記載されていない。
・「区同士の比較」については弁明書では全く触れられていないが、調査対象者は人口規模には関係なく一律に「各区2,000人」となっている。このような区ごとの人口規模の違いを無視した調査対象者数で、「区同士の比較」がなぜ可能であるのかについては、区長会の資料にも記載はなく、説明もなされていない。
・区長会の説明資料では、統計学を持ち出して「調査結果の正確性」を説明しようとしているが、統計学に関してはまるで無知であり、逆に信頼性のある調査ができないことが露呈してしまっている。
・実施機関は、区民アンケートを用いて市政改革プランに記載されている各取組の効果測定を行っているわけであるが、この取り組みが、「市民(区民)を〇〇の状態にする」というものである以上、その効果を検証するためには、市民(区民)全体の状態やその変化が測定する必要があることは言うまでもない。
・
「回答者の回答状況を表すにとどまる」にすぎない調査結果で取組の効果測定ができるという点について、実施機関は文書を示して説明しなければならないはずである。
・区民アンケートの妥当性を、統計学を持ち出して説明しようとしているのは実施機関の方であり、そう主張するのであれば、統計学的根拠が記載された文書を特定すべきであり、また、統計学に基づくものではないと主張するのであれば、区民アンケートの妥当性や、区民アンケートの結果を用いた市政改革プランのマネージメントの合理性について説明できる文書を特定すべきである。
・もし仮に、請求対象文書が真に不存在であるということであれば、区民アンケートを用いた市政改革プランのマネージメントについて、その合理性や妥当性を、文書をもって説明できないということを意味するのであり、本来作成されるべき文書が作成されていないという事を意味するのであり、これは説明責任を果たすための公文書作成指針違反である。
4 令和4年9月5日付け意見書(別事件の弁明書に対する反論。下記令和4年10月3日付け意見書に、本意見書も「合わせてご覧いただきますよう」との記載があったことから記載。)
・弁明書では、処分理由の大きな柱として、この公開請求が、「アンケート調査の設計と指標の評価にあたっては統計学的見地に基づいた検証が必要であり、請求対象である区民アンケート調査においても統計学的見地に基づいた設計と指標の評価が行われているはずである」などと、当該区民アンケートについて、統計学的根拠が示された文書の公開を求めているものであるとして、「区民アンケート調査は統計調査には該当せず、統計学的見地に基づいた設計と指標の評価は行っていない。」、「統計学的根拠を示した文書はそもそも作成又は取得しておらず、実際に存在しない。」などとの理由で不存在であるとしている。しかし、令和4年2月3日付け公開請求や令和4年2月19日付け審査請求書の中でも、請求対象文書を「統計学的根拠が記載された文書」とはしていない。あくまでも、「本契約により得られた結果により、地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価が可能であるとする根拠が示された文書」、「本契約により得られた結果により、『区同士の比較』、『経年でみる』が可能であるという根拠が示された文書」などとしているのであり、この根拠が統計学であろうがなかろうが、根拠が示された文書の公開を求めるものである。よって、「区民アンケート調査は統計調査には該当せず、統計学的見地に基づいた設計と指標の評価は行っていない」から請求対象文書が存在しないという主張は請求の趣旨の解釈を誤っている。
・実施機関の弁明書の「審査請求人に対する反論について」に、「本調査は、定点観測的な状況把握の観点から、無作為抽出した18歳以上の区民を対象に毎年調査しているものであるが、「区同士の比較」及び「経年比較」を行うためには調査結果報告書が必要であり、本件請求時点で対象文書は作成していない。よって、対象文書を既に作成又は取得しているはずであるとの主張は、審査請求人の一方的な期待に過ぎないものであり、実際に未作成又は未取得である。」との記載がある。この点、確かに調査結果に基づいて実際に比較などを行うためには調査の結果データが必要となることは間違いない。しかし、請求の趣旨は、「調査の結果データがなぜ比較可能性を持つのか」(「比較ができるという根拠はいかなるものか」あるいは「比較可能とするためにどのような調査設計を行ったのか」)ということについての説明を求めるものであり、弁明書の記載は明らかに論点をずらしている。調査の企画の段階で、「このような調査を行えば、比較が可能なデータが得られる」との判断を行っていることには疑う余地はない。そして、公開請求の趣旨は、この判断の根拠についての説明を求めるものである。文書が存在しないはずはなく、また、その文書は調査結果報告書ではない。
・実施機関の弁明書の「審査請求人に対する反論について」に、「上記のとおり統計学的見地に基づいて区民アンケート調査を設計したという事実はない中で、当庁としても可能な限り請求の趣旨に沿って対象文書を特定し、本件決定を行ったものである。よって、公開文書に統計学的根拠が記載されていないことから、当該文書がほかに存在するはずであるとの主張も、やはり審査請求人の一方的な期待に過ぎないものであり、当庁は、令和3年8月30日付け大市民第517号通知により公開した「区長会議資料」以外に当該公文書を作成又は取得しておらず、同決定は請求の趣旨に適合しており、文書特定に誤りはない。」との記載がある。この点、「ほかに存在するはずである」としているのは、「統計学的根拠が記載されていない」からではない。公開された区長会議関係文書などには、請求対象である「根拠」そのものが記載されておらず、また、区民アンケートの実施の立案段階においては、区民アンケートの目的は、「経年で見る」、「区同士の比較」、「市政改革プランに記載された取組の進捗の評価」であったことは明らかであるため、区民アンケートの実施によりこれらの目的が達成されると考えた根拠がないはずはないからである。逆にこの根拠がなければ、公金を支出する根拠がなくなる。よって、文書特定は明白に誤っている。
・大阪市の行う区民アンケートをはじめとする社会調査事業については、平成23年度に世論調査などが市政改革室に移管されて以降、市政改革室が統括部署として実施されてきた。それ以前は政策企画室が、それ以前には市民局が所管していたが、市民局が所管していた頃には、世論調査、市政モニターは大学教授などの社会調査の専門家の参画を得て、統計調査として実施していた。しかし、特に市政改革室が所管するようになってからは、統計学的な理論的根拠が忘れ去られ、調査は形骸化してしまった。
・実施機関は区民アンケートの結果について、比較可能性を持つものであり、区民の状態を(ある程度は?)表しているものであるということについて、あたかも当然であるかのような主張を繰り返している。しかし、妥当な結論を得るためには、適切な調査設計が必要であることは、社会調査の常識である。実施機関が行う区民アンケートが、どのような理論的裏付けをもって妥当なものであるとするのか、実施機関は説明する責任があるはずで、できないのであればコンプライアンス違反である。
5 令和4年10月3日付け意見書(弁明書に対する反論)
・請求の趣旨を端的に言えば、区民アンケートや市政改革プラン2.0に記載された取組の評価を巡って行っていることの合理性や妥当性についての説明を求めるものである。そして、これは合理性や妥当性が統計学によるものなのかどうかとは無関係である。
・実施機関は、区民アンケートにより、調査の目的(「地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価」などの市政改革プラン2.0に記載されている取組の評価、「区同士の比較」、「経年でみる」、あるいは目標達成の判断(0.1%の精度での目標値との比較))が達成できるものであると判断したからこそ、費用を支出して区民アンケート(無作為抽出アンケート)を実施したはずであるので、その判断に係る文書が存在しないはずはない。これまでにも述べてきたとおり、仮にこの判断の根拠に係る文書が存在しないということであれば、区民アンケートの結果をもってなぜ調査の目的(特に0.1%という精度での目標値との比較)が達成できるのかという根拠を説明することができないという事を意味する。これまでにも実施機関の上記の根拠に係る説明は「区長会の決定である」との説明にとどまっており、なぜ区長会においてそのような決定に至ったのかという根拠の説明は全くない。
・説明責任を果たせるだけの文書が作成されておれば、区民アンケートが今日のように著しく妥当性を欠くものにはならなかったはずであり、また、文書を公開することで行っていることの合理性、妥当性を説明することができたはずである。実施機関は不存在決定などにおいて詭弁としか言いようのない屁理屈を並べているが、文書が不存在であるということは、請求の趣旨である、区民アンケートを巡って行っていることの合理性、妥当性に関する説明はできないということであるという事を率直に認め、不存在理由は「本来作成されるべき文書が作成されなかった」ことが理由であると認めるべきである。
6 令和4年12月15日付け意見書(他の事件と共通の意見書)
・国立研究開発法人科学技術振興機構「地方自治体が実施する社会調査の深刻な問題」や日本学術会議の提言「社会調査をめぐる環境変化と問題解決に向けて」の現状認識や問題点の指摘は、現状の大阪市が行う調査にも完全に妥当するものである。
・調査を用いた運営方針のマネージメントについては、それが妥当で合理的であると判断したからこそ、そのように行っていることには疑いはなく、また、市民の声の回答でも「調査は妥当で合理的なものである」との主張になっているので、そのような判断や主張にいたる根拠についての説明を求めるものであり、その根拠が不存在であるはずがない。
・日本学術会議の提言「社会調査をめぐる環境変化と問題解決に向けて」の「社会調査は我々の社会の現状を的確に把握し、その時間的変化を追跡し、他の社会との比較をするために、さらにはエビデンスに基づいた政策立案をするために不可欠である。社会調査から得られる情報がなければ、民主社会の基盤が損なわれてしまう。」との記載は、大阪市の認識とも一致していると認められる。「マーケティング・リサーチツールの手引き」の「7 PDCAサイクルを意識した改善について」や、「運営方針の手引き」「運営方針策定要領」の記載内容について、その趣旨は提言の記載と同じであると認められる。
・また、日本学術会議の提言「社会調査をめぐる環境変化と問題解決に向けて」には、「社会の的確な実態を捉えるためには、適切な母集団を設定し、その母集団に対して代表性のある標本から情報を得る必要がある。このためには回収率が高くなければならないが、近年の社会調査ではこの回収率が低下する傾向にある。」との記載があるが、これに関して大阪市の説明は「母集団の代表になっているとは必ずしも言えないということを認識したうえで…」というものである。提言にあるように代表性のある標本でなければ社会の実態を的確にとらえることはできない。アウトカム指標は「めざす状態を数値化した指標」であるとされており、これを測定するためには、母集団たる区民全体などの実態を的確にとらえる必要があることは論を俟たない。そして、そのためには調査の標本は母集団に対する代表性を有するものでなければならないことは提言にあるとおりであるが、大阪市が行う調査に関しては、低回収率を起因として標本が偏り、代表性を有するものにはなっていない。
・「区民アンケートの結果は区民の状態を表すものではない」ということはいくつかの区の報告書に記載がある。大阪市はなぜこのような区民アンケートでこの測定ができる(アウトカム指標になり得る)と考えたのかを説明する責任があるはずである。そして、これに関しては、情報公開審査会に対しても「(調査結果は)調査の回答者の回答状況にとどまる」との説明になっている。しかし、「回答者の回答状況にとどまる」に過ぎない調査結果が、区民の状態を表す指標であるアウトカム指標になり得るのかという説明はなされておらず、昨年6月15日付けの情報公開審査会の答申にもこの点に関する記載はない(令和3年6月15日付け大阪市情報公開審査会答申第492号参照)。
・「標本の代表性」については、大阪市において正しく認識できてはいない。これは、マーケティング・リサーチツール関連文書のどこにも標本の偏りに関する言及がないこと、市政改革室の市議会での答弁においても、標本の偏りが説明されることはなく、「一定の精度」の根拠が回答者数のみであることなどからもわかる。
・市政改革室については、平成30年3月段階での市民の声の回答では調査について「母集団あるいはセグメントごとの傾向の把握を行うもの」と母集団の推計を行うものであることを認めていたにもかかわらず、その後の回答では「統計学によるものではない」「母比率の推定は行っていない」などと過去の回答を完全に無視した説明を行い、過去の説明との整合性については説明を行うことなく無視を決め込むといった信じられない対応を続けており、これについては明確に虚偽説明であると言わざるを得ない。また、市民局についても、調査において「分散分析」といった統計学に基づいた手法を用いた分析を行っていながら、同様に「統計学に基づくものではない」などとの説明を行っている。
・昨年6月の情報公開審査会答申に関して、これらの過去の回答や分散分析に関する資料、マーケティング・リサーチツール関連文書の内容については、実施機関から情報公開審査会に対する説明はなかったものと認められるが、これは「隠ぺい」とも評価できるものである(令和3年6月15日付け大阪市情報公開審査会答申第492号参照)。
・なお、提言の内容は、社会調査の実務現場からはやや「理想論」であるように見受けられる。今日、社会調査をめぐる環境には様々な問題点があり、全てが理論どおりに進むわけではない。しかし、調査により社会の状態を的確に把握するためにはどのような問題点があり、それを解決するためにはどのような方法が考えられるかということを検討するに当たっては、やはり社会調査に関する知見が求められることは言うまでもない。そして、調査の結果から得られたデータを実務に活用するにあたり、どのような制約が生じているのか、すなわち「データを読む力」を養うためにもこれは求められるのであり、この知見を欠いたまま不適切な調査によって得られたデータを不適切に使用することは、行政があるべき姿からどんどん乖離してしまうという結果を招くことになる。社会調査の実務の現場では、社会調査をめぐる環境に存在する問題について、これを解決すべく様々な努力がはらわれている。行政だけが例外であるはずがない。大阪市が社会一般の水準に追いつくことを願っている。
7 令和5年1月11日付け意見書(他の市民局担当事件と共通の意見書であり、弁明書に対する反論の補足。)
・実施機関によれば、「2,000配れば400回収しようが600回収しようが、その信頼性は同じである。統計の入門書にも書いてありクリアできる。」の根拠は、「なるほど統計学園 調査に必要な対象者数」とのことであるが、当該ページのどこにも、「2, 000配れば400回収しようが600回収しようが、その信頼性は同じ」などと解釈できる記載はなく、明らかに実施機関の理解不足である。
・実施機関が統計学に基づいて、調査の信頼性や正確性を確保しようとしていたことは、区長会での説明や監査委員に対する説明、あるいは各種文書から明らかであるが、統計学に関する理解が極めて不十分であるために、誤った文書を作成したり、監査委員に対して統計学的には明白に誤っている説明を行ったりしている。
・実施機関は、監査委員に対しては調査の信頼性、正確性の根拠として統計学を持ち出しているにもかかわらず、市民の声の回答や情報公開請求の場面では、「統計調査ではない」などと説明しており、その場その場で説明が変遷している。
8 令和5年7月18日付け意見書(他の事件と共通の意見書)
・都島区役所、淀川区役所、城東区役所、此花区役所、西淀川区役所の5区役所は、程度の差こそあれ、いずれも区民(モニター)アンケートが統計学に基づくものであるということには気づいている。そして、これは日本学術会議の提言や指摘にこたえるためには最低限必要なことである。
・この「区民アンケートなど大阪市が行う社会調査の理論的根拠が統計学にある」という観点からみると、マーケティングリサーチ関連文書や、運営方針の手引き、運営方針策定要領の記載がどのような関連性を持ち、運営方針におけるPDCAサイクルを回転させるということが、どのような仕組みで行われることが想定されていたのかということが理解できる。これは簡単に言うと、区民全体などの施策、事業の対象となる集団の状態が設定された「めざす状態」に近づいているかどうかを、標本調査に基づいて明らかにして、次のアクションを起こすということであり、マーケティング・リサーチツールは主にC(Check)の役割を担っている。
・市政改革室はこの点について、マーケティング・リサーチ関連文書などの記載は、PDCAサイクルを回すことを説明した資料であり、母集団の推計を行うことを説明したものではないなどとの詭弁を弄しているが、「母集団の推計を行う」ことはすなわち、対象集団が「めざす状態」に近づいているのかどうかを評価することである。逆に言えば「母集団の推計を行う」ものではないということであれば、そのような(わずか数百名にすぎない回答者の回答状況を表すにとどまるような)結果でなぜ「めざす状態」に近づいたかどうかが判断できるのはなぜなのかという致命的な疑問を惹起するのであり、この点について市政改革室が全く説明できていないのは、「母集団の推計を行う」ものではないとの説明が虚偽であるからである。
・審査請求人の行う公開請求の最も根本的な目的はこの点にある。つまり、区民アンケートを用いて運営方針の評価を行うことが合理的で妥当なものであるということについて、文書を示して説明してくださいということである。これに対して、何らの文書も公開されず、文書による説明ができないということであれば、明白に「説明責任を果たすための公文書作成指針」違反である。
・過去の意見書の中で、浪速区及び此花区の運営方針における防災対策を取り上げた。現状、両区ともとても区民の実態をとらえているとは言えないデータで防災計画を云々しているという状況である。そして、鶴見区役所では「区民アンケートのデータはあてにならない」と、防災担当部署からは相手にされていないという話も聞いた。大阪はこのコロナ禍で、全国最悪の死者を出し、如何に行政の対応能力が脆弱であるかということが露見し、「こんなはずでは」という事態に陥った。そして、とても区民の実態をとらえていないようなデータで防災計画を云々している実態から、次に「こんなはずでは」と思い知るのは、確実にやってくる大地震の時である。早急に立て直して是正することが喫緊の課題となっている。
9 令和5年8月16日付け意見書(弁明書に対する求釈明)
・弁明書には、「アンケート調査の設計と指標の評価にあたっては統計学的見地に基づいた検証が必要であり、請求対象である区民アンケート調査においても統計学的見地に基づいた設計と指標の評価が行われているはずであるというのが(審査請求人の)主な主張である」、「(実施機関は、)統計学的根拠を示した文書はそもそも作成又は取得しておらず、実際に存在しない」、「区民アンケート調査において統計学的根拠に基づいた設計と指標の評価が行われているはずであるという主張は審査請求人の一方的な期待に過ぎないものである」と記載されている。しかし、公開請求には、「統計学的根拠が記載された文書」などとは一切記載していない。また、審査請求書にもこのような記載は一切行っていない。実施機関はどのような根拠で「アンケート調査の設計と指標の評価にあたっては統計学的見地に基づいた検証が必要であり、請求対象である区民アンケート調査においても統計学的見地に基づいた設計と指標の評価が行われているはずであるというのが主な主張である」などとの判断を行い、請求対象文書を「統計学的根拠が記載された文書」であるとし、「決定は請求の趣旨に適合しており、文書特定に誤りはない。」としているのか、説明を求める。
・仮にこの点を措くとしても、区長会での「調査結果の正確性(標本誤差)から、統計学上、1区あたり400弱のサンプル数(アンケート回答者数)が求められる。平成29年度は回答率が23%の区もあったため、予算事情等を加味し、各区2,000名を調査対象者数として設定する」との説明や、公開された文書である「代表性検証シート」はまさに「統計学的根拠が記載された文書」であり、また、監査に対する「2000配れば400回収しようが600回収しようが、その信頼性は同じである。統計の入門書にも書いてありクリアできる。」(大阪市情報公開審査会答申第536号参照。監査に対する説明について以下同じ。)、「400弱の回答者数が必要と考えた理由は、これまでの市民の声に対する回答において、『一般的に国などが行っている標本調査では、信頼水準95%として調査の設計をされており、その場合のサンプル数が400弱必要であることを参考とし』と示しているとおり、調査結果の正確性は担保されている。」との説明も統計学的根拠の存在を前提としたものであるが、これらについてはどう説明するのか。
・「4.本契約により得られた結果により、地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価が可能であるとする根拠が示された文書」について、令和3年8月30日付け大市民第517号通知により公開した「区長会議資料」には、区民アンケート調査の設問項目のうち「地域活動協議会を知っている区民の割合」の測定にかかる統計学的根拠が記載されていないことから、同決定は請求の趣旨に適合せず、当該文書がほかに存在するはずであると主張している」と記載されているが、上記「区長会議資料」が請求対象文書ではないとしているのは「統計学的根拠が記載されていない」からではなく、公開請求に記した「地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価が可能であるとする根拠」そのものが全く記載されていないからである。実施機関はこの「区長会議資料」が請求対象文書であるとするのであれば、この文書のどこに「地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価が可能であるとする根拠」が記載されているというのか、説明を求める。
・区長会議での説明や、「代表性検証シート」が公開請求に記した「本契約により得られた結果により、『区同士の比較』、『経年でみる』が可能であるという根拠が示された文書」ではなく、監査に対する説明についても根拠が記された文書が存在しないというのであれば、それはなぜなのか及びいかなる根拠をもって「区同士比較をする、経年で見る」ということが可能であると考えているのかについて説明を求める。
・公開請求には「4.『本契約により得られた結果により、地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価が可能であるとする根拠が示された文書』については、『令和3年8月30日付け大市民第517号の公開決定通知により既に公開した区長会議資料以外には当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しないため。』との理由で不存在となっています。公開請求の中でもこの区長会議資料には根拠の記載は一切なく、請求対象文書はこれではないと伝えていたはずです。」と記載しているにもかかわらず、この「区長会議資料」のどこに上記「根拠」が記されているというのかについては全く示されないままである。請求対象文書をこの「区長会議資料」であるとするのであれば、どこに上記「根拠」が記されているというのかについて、説明を求める。
・令和3年度区民アンケート調査に係る調査結果報告書は、後日北区のものが公開されたが、そこには「『区同士の比較』、『経年でみる』が可能であるという根拠(調査結果報告書に記載された数値の比較に意味があるとする根拠)」など、どこにも記載されてはいなかった。実施機関は、この報告書のどの部分が「『区同士の比較』、『経年でみる』が可能であるという「根拠」であるというのか、説明を求める。
・公開請求には「『目標達成などと判断した根拠については、アンケート調査の結果数値が目標値に達したかどうかで判断しています。』について、そのような判断方法を採用する根拠や、判断方法の合理性、妥当性がわかる文書を公開してください。」と記載しているにもかかわらず、この「区長会議資料」のどこに上記「そのような判断方法を採用する根拠や、判断方法の合理性、妥当性がわかる(目標値と区民アンケートの結果数値の比較に意味があるとする根拠)」記載があるのかというのかについては全く示されないままである。請求対象文書をこの「区長会議資料」であるとするのであれば、どこに上記「根拠」が記されているというのかについて、説明を求める。
・令和元年度および令和2年度の区民アンケート結果報告書に、統計学的な説明が記載されていた。そして、対象文書をこの記載の根拠が記された文書として行った公開請求では、令和3年8月20日付け大市民第492号で市政改革室が作成した平成29年度世論調査結果報告書が対象文書として特定され、公開された。市政改革室が作成した「運営方針の手引き」、「運営方針策定要領」、「マーケティング・リサーチの手引き」をはじめとしたマーケティング・リサーチ関連文書には、世論調査を用いた「〇〇である市民の割合」などが説明されている。請求対象文書としてはこれらの文書が考えられるが、これらが公開対象として特定されていないのはなぜか。
10 令和7年8月18日付け意見書
・令和3年度の区民アンケートに関しては、目的も手法も結果の使用態様も令和2年度のものと全く同じであり、説明できない部分について、記載を削除したり、「統計調査ではない」との説明を行うなどして隠ぺいを図っているということに過ぎない。仮に調査手法が、統計学に基づくものから、統計学によらないものに変更になったというのであれば、その変更後の手法で調査目的が達成できるものであるのか、具体的には調査によって得られたデータが、「地域活動協議会の認知度向上に向けた支援」の評価ができるものであるのかどうかの検討が行われるはずですが、実際にはそのような検討など一切行われていない。ただ漫然と同じ内容で区民アンケートを続け、都合の悪い部分に蓋をしただけである。
・今回の実施機関の決定は、記載された理由が事実に基づいたものになっておらず、条例上の義務を満足させるものになっておらず、違法なもので、請求人は不存在の理由を知らされることなく放置されるということになっている。大阪市の情報公開条例解釈・運用の手引(令和7年6月版)の50ページには、「(2) 「公開請求に係る公文書を保有していない理由」欄/公文書不存在については、①当該公文書をそもそも作成又は取得しておらず、実際に存在しない場合、②当該公文書は存在したが、保存年限が経過したために廃棄した場合、③文書等は存在するが、組織的に用いていないなど解釈上第2条第2項に規定する「公文書」に該当しない場合があり得る。/理由の記入にあたっては、上記の①②又は③のいずれに相当するのかが公開請求者に分かるように記入するだけでなく、公文書作成指針で示されているように、説明責任を果たす観点から、なぜ作成又は取得していないのかということについても、公開請求者に対して明確になるよう具体的に記入する。」とあり、ここでは単に①の記載のみではたりず、「なぜ作成又は取得していないのか」ということについても説明しなければならない旨が記載されている。すなわち、文書が不存在であっても、事務の執行や説明責任の観点から問題は生じないということも併せて説明しなければならないということのはずである。そしてこれは、文書の不存在をもって説明責任が履行されないことの免罪符とすることを許さないという趣旨のものであるはずである。しかるに、今回の決定においては、上記のように請求人は単に不存在であるという事実を突きつけられるのみで、その理由の説明は一切なく、事実上文書の不存在が説明責任を履行しないことの免罪符となってしまっている。文書が不存在であるというのであれば、単に「今後適切な理由を付すよう努められたい。」とするにとどめるのではなく、原決定を取り消し、再度不存在の理由をきちんと記載した上で再度決定を行うことを求める。原決定が取り消されない場合、事実ではない理由が記載された不存在決定が法的に有効なまま放置されるという事態になる。
・令和6年12月20日付け大情審答申第536号や令和7年6月6日付け大情審答申第539号後の7月14日付けの市民局の回答には、「令和7年6月20日及び30日にお寄せいただきましたお問い合わせにつきまして、経年等の比較が可能であると考えていることは、市民の声24-11710等で、区民アンケートの実施目的の達成に関する件については、市民の声24-16137等でお寄せいただいた内容と同じ趣旨でありますことから、過去、お答えした内容をご参照いただきますようお願いいたします。/令和7年6月30日にお寄せいただきましたお問い合わせのうち、「「経年の比較ができる」について、その根拠を説明してください。」については、市民の声25-00247をはじめ、これまでも市民の声でお答えしているとおり、同じ質問項目については、その回答結果を見比べることで経年の比較ができると考えております。」と記載されているとおり、市民局は答申での「その調査結果は区民を代表するものとは言い得ないことから、「本契約により得られた結果により、地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価が可能である」とは認められない。」、「事実として、本契約により得られた結果により、地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価が可能であるとも、本契約により得られた結果により、「区同士の比較」、「経年でみる」が可能であるとも言うことができない。」などの指摘を完全に無視して、根拠を示すことなく「地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価が可能である」、「その回答結果を見比べることで経年の比較ができる」との説明を繰り返している。これも答申において、実施機関に説明責任を果たすように強く求めることがなかった弊害であると考えられる。改めて、原決定を取り消し、説明責任を果たす内容の決定理由を付した上で再度決定を行うことを求める。
11 令和7年8月27日付け意見書(別事件の意見書。下記令和7年9月2日付け意見書に、本意見書も「合わせてご覧いただきますよう」との記載があったことから記載。)
・まず「区政に関する区民アンケート」に関する市民局の「回答」を示す。令和5年度分の「区政に関する区民アンケート」については、その実施目的も実施方法も、調査結果の使用態様も情報公開審査会答申(令和6年12月20日付け大情審答申第536号及び令和7年6月6日付け大情審答申第539号)の対象となった令和2年度分及び令和3年度分と全く同じである。この令和5年度分区政に関する区民アンケートに関する8月22日付けの市民局の「回答」は、「令和7年8月8日にお寄せいただきましたお問い合わせにつきまして、経年等の比較が可能であると考えていることは、市民の声24-11710等で、区民アンケートの実施目的の達成に関する件については、市民の声24-16137等で、区民アンケートの取組に関することは、市民の声25-00354等でお寄せいただいた内容と同じ趣旨でありますことから、過去、お答えした内容をご参照いただきますようお願いいたします。/令和7年8月8日にお寄せいただきましたお問い合わせについては、市民の声24-18074等でお寄せいただいた内容と同じ趣旨であることから、過去、お答えした内容をご参照いただきますようお願いいたします。」というものであった。答申では、「そうであれば、調査結果について、統計学上、各区の代表性を有していることを保証できないものであり、統計学以外の理論を用いて比較可能な理由を説明できるとも考えられない。したがって、本件公開請求の決定通知書やこの間の調査・審議から、各区の代表性が担保されていない結果に基づき、(意味のある)経年比較や目標達成評価ができるのかについて、実施機関において検討がなされたとは認められない。(第536号)/令和4年8月29日付け実施機関意見書によれば、「区民アンケート調査は統計調査には該当せず、統計学的見地に基づいた設計と指標の評価は行っていない。」とのことであり、そうであれば、その調査結果は区民を代表するものとは言い得ないことから、「本契約により得られた結果により、地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価が可能である」とは認められない。(第539号)/この点(公開請求4についても同じ。)については、「不存在」との結論を左右するものではないが、理由の記載については、条例第10条第3項において、「実施機関は、前2項の規定により公開請求に係る公文書の全部又は一部を公開しないときは、公開請求者に対し、当該各項に規定する書面によりその理由を示さなければならない。」と規定されているとおり、条例上義務付けられたものであり、もとより、記載の理由は事実に基づく適切なものである必要がある。(第539号)」等の認定ないし指摘がなされていますが、市民局は答申の「結論において妥当である」との審査会結論のみをもって請求棄却という裁定を行い、これらの認定ないし指摘は一切無視している。その結果、説明を求めている「区政に関する区民アンケート」を巡って行われていることに関する合理性や妥当性については、文書の不存在を盾に一切説明することなく、行うことは従前のままということになっている。
・市民局の不存在決定の理由は、「令和4年3月4日付大市民第1026号/「4.本契約により得られた結果により、地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価が可能であるとする根拠が示された文書」については、令和3年8月30日付け大市民第517号の公開決定通知により既に公開した区長会議資料以外には当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しないため。/「5.本契約により得られた結果により、『区同士の比較』、『経年でみる』が可能であるという根拠が示された文書」については、本調査は現在継続中であり、本件請求日(令和4年2月19日)時点で結果を取りまとめた資料は未作成であるから、当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しないため。/令和4年3月16日付け大市民第1076号/「『目標達成などと判断した根拠については、アンケート調査の結果数値が目標値に達したかどうかで判断しています。』について、そのような判断方法を採用する根拠や、判断方法の合理性、妥当性がわかる文書」については、令和3年8月30日付け大市民第517号の公開決定通知により既に公開した区長会議資料以外には当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しないため。」というものである。これらについて、上記答申で請求対象文書(根拠が示された文書)ではないと認定されたものを除くと、「令和4年3月4日付け大市民第1026号/「4.本契約により得られた結果により、地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価が可能であるとする根拠が示された文書」については、令和3年8月30日付け大市民第517号の公開決定通知により既に公開した区長会議資料以外には当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しないため。(「令和3年8月30日付け」から「区長会議資料以外には」まで二重取り消し線)/「5.本契約により得られた結果により、『区同士の比較』、『経年でみる』が可能であるという根拠が示された文書」については、本調査は現在係属中であり、本件請求日(令和4年2月19日)時点で結果を取りまとめた資料は未作成であるから、当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しないため。(「本調査は」から「未作成であるから、」まで二重取り消し線)/令和4年3月16日付大市民第1076号/「『目標達成などと判断した根拠については、アンケート調査の結果数値が目標値に達したかどうかで判断しています。』について、そのような判断方法を採用する根拠や、判断方法の合理性、妥当性がわかる文書」については、令和3年8月30日付け大市民第517号の公開決定通知により既に公開した区長会議資料以外には当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しないため。」となる。結局「当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しない」という部分しか残らない(「令和3年8月30日付け」から「区長会議資料以外には」まで二重取り消し線)。
・大阪市の情報公開条例解釈・運用の手引(令和7年6月版)の50ページに、「(2)「公開請求に係る公文書を保有していない理由」欄/公文書不存在については、①当該公文書をそもそも作成又は取得しておらず、実際に存在しない場合、②当該公文書は存在したが、保存年限が経過したために廃棄した場合、③文書等は存在するが、組織的に用いていないなど解釈上第2条第2項に規定する「公文書」に該当しない場合があり得る。/理由の記入にあたっては、上記の①②又は③のいずれに相当するのかが公開請求者に分かるように記入するだけでなく、公文書作成指針で示されているように、説明責任を果たす観点から、なぜ作成又は取得していないのかということについても、公開請求者に対して明確になるよう具体的に記入する。」との記載がある。ここでは単に①の記載のみではたりず、「なぜ作成または取得していないのか」ということについても説明しなければならない旨が記載されている。すなわち、文書が不存在であっても、事務の執行や説明責任の観点から問題は生じないということも併せて説明しなければならないということのはずである。
・市民局は答申において指摘や認定された内容を全く無視し、「条例第1条の目的に照らせば、実施機関においては、本市の説明責任を全うするため、区民アンケートを含む事務事業について、合理的かつ一貫性のある説明が求められていることを指摘しておく」と付言で指摘された内容についても全く顧みることなく、説明責任を放棄し、従前の対応を続けており、請求人は説明を求めた事項について全く説明されることなく放置されるという結果になっている。
・本年6月30日に、市政改革室に対する「6月27日付「回答」について、/>これまで市民の声等としてお寄せいただいた内容と同じ趣旨でありますことから、過去、お答えした内容をご参照いただきますようお願いいたします。/市政改革室はこれまでマーケティングリサーチツールを「統計調査ではない」と説明してきました。/答申では次のとおり認定されています。/世論調査が統計調査であるという点に争いはなく、上記(2)の第1段階においては、(意識的かどうかはともかく)マーケティング・リサーチ関連文書に従って統計調査として区民アンケートが実施され、実施された区民アンケートの結果からマーケティング・リサーチ関連文書が想定している統計学的に有意な数値が得られたと言える。/ここで情報公開審査会は、世論調査を含むマーケティングリサーチツールを明確に統計調査であると認定しております。これまでの市政改革室の説明は嘘だったということであり、「過去、お答えした内容をご参照」しても嘘が明らかになるばかりではないですか。/また、市政改革室は市民の声の回答で区民(モニター)アンケートを過去との比較ができるものであるとの説明を行ってきましたが、これについても上記答申では次の認定がなされています。/令和3年度区民アンケートが実施された時点では、実施機関において、本件調査が統計調査ではないとの認識を有しており、また、実際になされた調査も統計調査ではなかったと認められる。そうであれば、事実として、本契約により得られた結果により、地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価が可能であるとも、本契約により得られた結果により、「区同士の比較」、「経年でみる」が可能であるとも言うことができない。/市政改革室は区民(モニター)アンケートをマーケティングリサーチツールのひとつであるとしています。そして、マーケティングリサーチツールが統計調査ではないということであれば、情報公開審査会が認定するように、「過去との比較」ができるものではありません。/これもこれまでの説明が嘘だったということです。/答申でこれまでの市政改革室の説明が嘘だったということが明らかになったということであり、これに関してどういうことなのかとの説明を求めているのです。/「過去の回答を見ろ」では説明になっていませんよ。/真摯に回答してください。」との質問に対する市政改革室の7月14日の回答は、「令和7年6月30日にお寄せいただきましたお問い合わせにつきまして、これまで市民の声等としてお寄せいただいた内容と同じ趣旨でありますことから、過去、お答えした内容をご参照いただきますようお願いいたします。」というものであった。情報公開審査会答申(第539号)では、「世論調査が統計調査であるという点に争いはなく」、「マーケティング・リサーチ関連文書に従って統計調査として区民アンケートが実施され」などと認定されている。市政改革室は市民局同様、答申におけるこれらの指摘ないし認定を完全に無視して、これまでの「マーケティングリサーチツールは統計調査ではなく、母集団の推計を行うものでもない」との説明を継続している。情報公開審査会の「口頭意見陳述について」(令和7年7月23日付け大情審第28号)には「本審査会としてはお求めの文書は公開請求日時点で存在しなかったものと考えています。」と記載されている。仮にこのまま上記情報公開審査会答申(第536号、第539号)と同内容の答申が出された場合、市政改革室も市民局同様文書の不存在を盾(免罪符)として説明責任を果たすことなく請求棄却との裁定を行うことは明白である。
・原決定の不存在決定の理由は、「「記載例」に「区民モニターアンケートで『・・・・』と回答した割合○年度末までに□%以上」と記載した意図が確認できる文書及び「区民モニターアンケート」で「その状態を客観的に測定できるよう数値化した指標」の測定ができると考えた根拠が確認できる文書については、当該文書をそもそも作成していたかどうかが不明であり、作成していたとしても、平成27年度以前であるため、保存年限(5年)が経過したために廃棄し、実際に存在しないため。」であり、ここには、情報公開条例解釈・運用の手引(令和7年6月版)の50ページに記載された「なぜ作成又は取得していないのか」という理由などは記載されておらず、また、「廃棄した」との説明が事実なのであるとすれば、これに相当する「なぜ廃棄しても問題ないと判断したのか(なぜ運営方針策定要領の記載内容の根拠を説明する上で問題ないと判断したのか)といった理由などの記載はない。上記答申(第539号)には「条例上義務付けられたもの」とあるが、この決定はその理由の記載が条例上の義務に反する違法なものである。逆にこの「文書の不存在により説明責任を果たすうえで問題がない」との理由を記載できないという場合は、やはり廃棄により公文書管理条例の目的を達成できなくなってしまったということであり、同条例違反と言わざるを得ない。そして、この「根拠が示された文書」の廃棄が公文書管理条例第6条第6項などに違反した違法なものであるということは、令和7年7月30日付け意見書に記したとおりである。
・上記でも述べたが、このまま情報公開審査会答申(第536号、第539号)と同内容の答申が出された場合、市政改革室は文書の不存在を盾(免罪符)にして、説明責任を放棄する対応を行うことは明らかである。「本市及び地方独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の市民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする」公文書管理条例や、「本市等の有するその諸活動を市民に説明する責務が全うされるようにするとともに、市民の市政参加を推進し、市政に対する市民の理解と信頼の確保を図ることを目的とする」情報公開条例はいったい何のために存在しているのか。市民局のような対応がまかり通るのであれば、これらの条例は機能していないと言わざるを得ない。情報公開審査会は、一段と強い対応を行うことが求められている。
12 令和7年9月2日付け意見書
・情報公開制度は、行政の説明責任を制度的に担保するためのものであり、公文書管理条例第1条でも、「本市及び地方独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の市民に説明する責務が全うされるようにすること。」がその目的であるとされ、また、情報公開条例第1条でも「本市等の有するその諸活動を市民に説明する責務が全うされるようにするとともに、市民の市政参加を推進し、市政に対する市民の理解と信頼の確保を図ること」がその目的であるとされている。そして、この目的が達成されるように、「情報公開条例解釈運用の手引」では、条例第10条第3項に関して、「2 理由の提示は、公開請求を拒否する処分の適法要件であり、本項により理由を提示すべきであるにもかかわらず、理由を提示していない場合又は提示された理由が抽象的、一般的なもので不十分である場合には、手続上瑕疵ある行政処分となるので、本項の趣旨にのっとった十分かつ明確な理由の提示をしなければならない。/(2) 「公開請求に係る公文書を保有していない理由」欄/公文書不存在については、①当該公文書をそもそも作成又は取得しておらず、実際に存在しない場合、②当該公文書は存在したが、保存年限が経過したために廃棄した場合、③文書等は存在するが、組織的に用いていないなど解釈上第2条第2項に規定する「公文書」に該当しない場合があり得る。/理由の記入にあたっては、上記の①②又は③のいずれに相当するのかが公開請求者に分かるように記入するだけでなく、公文書作成指針で示されているように、説明責任を果たす観点から、なぜ作成又は取得していないのかということについても、公開請求者に対して明確になるよう具体的に記入する。」と記載されている。つまり、不存在理由の記載が「抽象的、一般的なもので不十分」で「説明責任を果たす観点から、なぜ作成又は取得していないのかということについても、公開請求者に対して明確になるよう具体的」なものではない場合、手続的瑕疵により違法と評価される可能性があるということである。これは、情報公開審査会答申(令和7年6月6日付け大情審答申第539号)で「理由の記載については、条例第10条第3項において、「実施機関は、前2項の規定により公開請求に係る公文書の全部又は一部を公開しないときは、公開請求者に対し、当該各項に規定する書面によりその理由を示さなければならない。」と規定されているとおり、条例上義務付けられたものであり、もとより、記載の理由は事実に基づく適切なものである必要がある。」と指摘されているとおりである。本件は、情報公開制度の根幹である説明責任が制度的に空白(本意見書において「説明責任の空白」とは、実施機関が制度上求められる説明義務を果たせず、かつその履行能力や体制も欠いていることにより、市民が行政活動の根拠を理解できない状態をいう。)となっている典型例であり、審査会による制度的補完が不可欠である。本意見書は、実施機関による不存在決定の理由付記が制度趣旨に照らして不十分であること、また区民アンケートを巡る根拠の説明責任が果たされていないことを指摘し、審査会による制度的補完を求めるものである。
・問題なのは、市民局が答申における、「・各区の代表性が担保されていない結果に基づき、(意味のある)経年比較や目標達成評価ができるのかについて、実施機関において検討がなされたとは認められない。(第536号)・本契約により得られた結果により、地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価が可能であるとは認められない。(第539号)・理由の記載については、(略)条例上義務付けられたものであり、もとより、記載の理由は事実に基づく適切なものである必要がある。(第539号)」等の指摘や認定を一切無視して従前の説明を続けていることである。これにより、請求人が説明を求めている事項に関しては全く説明されることがなく、まさに「説明責任の空白」が生じている。公文書管理条例第1条や情報公開条例第1条にある「本市等の有するその諸活動を市民に説明する責務が全うされるようにする」との目的が全く達成されていない状態であり、違法と評価され得る状況にあると考えられる。
・鶴見区の令和5年度区民アンケート報告書には「今回の調査結果は母集団値を推定するために必要な標本の代表性の検証が十分に行えていないため、標本誤差以外に大きな非標本誤差が発生している可能性が高く、本調査の結果を母比率の推定値として用いる場合にはこの点に留意する必要があります。」との記載があるが、この記載は区民アンケートの統計学的な限界を明示し、区民に対して注意喚起を行う姿勢を示すものであり、まさに説明責任の実践である。さらに、鶴見区は意思決定文書に統計学的な文献を引用し、説明責任を全うすることができるような形で区民アンケートを実施している。そして、これら文献を読み解き、「・区民アンケートの信頼性の向上のために、督促状の送付など回答率を向上させる取組/・区民アンケートの結果に基づく判断の信頼性の向上のために、母比率の検定などの統計学的手法の実践」等を行っており、組織として説明責任を果たす能力があることを示している。なお、鶴見区の報告書のこの記載を含む「調査結果の見方」の記載は市民局の報告書に記載されていた「報告書を読む際の留意点」とほぼ同一の内容である。異なっているのは、非標本誤差に関する言及があることである。なお、この鶴見区の区民アンケート報告書の記載と同様の記載は、阿倍野区、生野区、城東区などいくつかの区役所の報告書でも見られる。
・鶴見区が統計学的文献を読み解き、その内容を区民アンケートにおいて実践しているのに対して、市民局、市政改革室は報告書に記載している内容すら満足に説明できず、挙句「統計調査ではない」などとの主張を行うに至っている。上記で述べたように制度趣旨に反する説明責任の放棄である。このようなことになっている最も大きな要因は、鶴見区が統計学的文献を読み解き、区民アンケートにおいて実践するだけの素養を組織的に備えていた一方、市民局や市政改革室は説明責任を果たすための組織的能力形成が求められるにもかかわらず、現状ではその体制が整っていないものと思われる。統計学は今日、中学高校で履修するものになっているが、そのようになる前は大学の教養課程で履修するものであった。つまり、高校数学を修めていれば理解できるものなのであるが、高校数学で履修したことを忘れてしまっている状態で統計学を理解することはなかなか困難が伴うものであることは事実であろうと思われる。しかし、社会調査を業とする以上、統計学の理解は避けて通れないものであるところ、市民局や市政改革室は職員にそのような素養を身に着けさせる必要性すら認識できず、その結果として説明責任が全うできないという事態に陥っているものであると解される。つまり、市民局が説明責任を果たせないのは、その能力を欠いているということが根本的な原因であると考えられる。理論的批判に対して、どのように対処すべきなのかということを判断することすらできない状態であるということである。鶴見区が統計的限界を明示し、文献を引用して説明責任を果たしているのに対し、市民局は説明不能な状態に陥っており、説明責任の空白が構造的に固定化されている。また、市民局は直近の情報公開請求に対する不存在決定においても、原決定と同じく不存在理由を実質的に「当該公文書をそもそも作成又は取得しておらず、実際に存在しないため。」としか記載しておらず、「解釈・運用の手引」で求められている記載を行っていない。これについて電話で担当者に「なぜ不存在理由が記載されていないのか」と確認したところ、「実際に作成されていないためである」との説明しか行うことはできなかった。このことからわかるのは、市民局が区民アンケートについて、「その結果が何らかの意味を持ち、比較が可能であることは説明するまでもなく自明である」と考えていることである。このように考えていることから、市民局は情報公開審査会答申における指摘は以下のように理解し、結果的に無視しているように見えるということである。
・各区の代表性が担保されていない結果に基づき、(意味のある)経年比較や目標達成評価ができるのかについて、実施機関において検討がなされたとは認められない。(第536号)
区民アンケートの結果に基づき「(意味のある)経年比較や目標達成評価ができる」ということは説明するまでもなく自明であり、検討がなされていないのは当然である。
・本契約により得られた結果により、地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価が可能である」とは認められない。(第539号)
区民アンケートの結果に基づき「地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価が可能である」ということは説明するまでもなく自明であり、審査会の判断は誤っている。
これらは鶴見区が区民アンケートの信頼性を向上させるための前提条件を正しく理解し、回答率の向上などに取り組んでいることとは対照的であり、市民局が区民アンケートの本質や前提条件に関する理解を欠き、その反射的結果として、請求対象文書が不存在である理由を説明できず、「説明責任の空白」が生じていることが分かる。
・上記のとおり、実施機関(市民局)の説明責任の履行能力には現状で限界があるのではないかとの疑義がある。このような事態に対応するため、審査会が制度的に補完する役割を果たしてくださいますようお願いする。このため、請求対象文書が不存在だということであれば、実施機関に対し原決定を取り消したうえで説明責任を果たせるだけの理由付記を行ったうえで再度決定を行わせるような対応を行ってください。理由付記の内容が決定を取り消すだけの法的根拠を欠くと判断される場合には、付言において、理由付記が不十分であることを指摘し、何らかの対応を行うよう勧告を行ってください。これにより、実施機関の説明責任が全うされるように措置していただくようにお願いする。実施機関の対応は、説明責任の空白を放置するものであり、情報公開制度や行政運営の信頼性を損なう結果となっている。審査会におかれては、この空白を埋める制度的補完を行っていただきたく、強くお願いするものである。
13 令和7年9月5日付け意見書(令和7年8月21日付け実施機関意見書に対する反論)
・実施機関の回答は、指標の測定方法として「全区統一様式による区民アンケート(無作為抽出)」を採用する旨の記載であって、なぜこの方法で「地域活動協議会を知っている区民の割合」が測定できると判断したのか、すなわち「そのような判断方法を採用する根拠」の記載はない。その他、この文書のどこにもこの根拠の記載はない。そして、実施機関が特定している令和2年1月16日付け「次期市政改革計画に位置付けられない項目にかかる全区共通実施内容について」にもこの根拠に係る記載はない。結局実施機関が特定しているいずれの文書にも「そのような判断方法を採用する根拠」、「判断方法の合理性、妥当性」が分かる文書ではない。
・実施機関の意見書には、「実施決議を行っている区長会議(所管は人事・財政部会)において、従前から区民アンケートは、全ての区で統一的手法のもと無作為抽出した区民に対してアンケートを行った結果であり、施策を進める上での参考資料として役立てているとの共通認識が図られていることから、同会議において議論になることもなかったため、検討は行っていない。」とあるが、結局のところ、実施機関は「市政改革プラン2.0に関する区民アンケートにより目標値に達したかどうかを適切に判断できるかどうか」を何ら検討、確認することなく、漫然と従来の手法を続けていただけだということである。
・原決定(令和4年3月16日付け大市民第1076号)の不存在理由には、「「『目標達成などと判断した根拠については、アンケート調査の結果数値が目標値に達したかどうかで判断しています。』について、そのような判断方法を採用する根拠や、判断方法の合理性、妥当性がわかる文書」については、令和3年8月30日付け大市民第517号の公開決定通知により既に公開した区長会議資料以外には当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しないため。」と記載されているが、上記のとおりここで示されている「令和3年8月30日付け大市民第517号の公開決定通知により既に公開した区長会議資料」は請求対象文書ではなく、また、今回の実施機関の意見書で示されている、令和2年1月16日付け「次期市政改革計画に位置付けられない項目にかかる全区共通実施内容について」も請求対象文書ではない。これに係る記載を除くと、上記の不存在理由は「当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しないため。」との部分しか残らない。
・情報公開条例、公文書管理条例や説明責任を果たすための公文書作成指針の規定は、行政の説明責任は文書で履行されることがデフォルトであるということである。そして、「解釈・運用の手引」の記載に関しては、説明責任を果たすべき文書が存在していない場合には、「なぜ存在しないのか」という理由を明らかにしなければならないというものである。実施機関の上記原決定については、理由付記が「抽象的、一般的なもので不十分」なものである。つまり、「当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しないため。」との記載は形式的であり、実質的に不存在の理由を全く説明していない。請求対象文書が不存在だということなのであれば、原決定は取り消され、理由付記を修正の上改めて決定が行われるべきものである。
14 令和7年9月10日付け意見書(令和7年9月5日付け意見書の補足)
・令和6年12月20日付け大情審答申第536号の「条例第1条の目的に照らせば、実施機関においては、本市の説明責任を全うするため、区民アンケートを含む事務事業について、合理的かつ一貫性のある説明が求められていることを指摘しておく」との「付言」を受けて、実施機関は裁決書(令和7年1月22日付け大市民第618号)において、「(備考)付記への対応について/令和3年11月12日付け大監第97号「住民監査請求について(通知)」により、アンケート結果はアンケートの回答者の割合にとどまるものであること等を正確に表示するよう指摘があったことから、令和3年度の「区政に関する区民アンケート調査報告書」以降において、「報告書の見方」として「本報告書はあくまで本アンケートの回答者における回答状況を集計したものであり、区民全体の状況を表すものではありません。」等、明示しており、区民の代表性を有しないことを正確に表示するよう取り組んでいる。/一方、今後、本件に関する同一の公開請求がなされた場合、他の処分に付された理由との一貫性・整合性について配慮するよう努める。」との記載を行っている。ここには報告書に「本報告書はあくまで本アンケートの回答者における回答状況を集計したものであり、区民全体の状況を表すものではありません。」等の記載を行うこと及び、公開請求に対する決定の理由付記について整合性、一貫性のあるものにすると記載されているだけであり、答申で「比較可能な理由を説明できるとも考えられない」などと実施機関の説明が否定されている点に関する説明は一切なく、この点はこれまでの意見書でも示しているとおり市民の声の回答などでも一切示されることはなく、「付言」で求められている「区民アンケートを含む事務事業について、合理的かつ一貫性のある説明」は全く行われていない。
・令和7年6月6日付け大情審答申第539号で「以上の認定事実に基づき、実施機関が行っている区民アンケートの変遷について整理すると、第1段階では区民の割合を測定する目的で区民アンケートが実施され、現に統計学的に有意な結果が得られていたが、第2段階では区民の割合を測定する目的で統計調査として区民アンケートが実施されるものの、回収率等の問題で所期の目的を達成できなくなり、第3段階では区民の割合を測定するとの建前は維持されつつも、事実上、統計調査としては実施されず、その結果としても統計学的に有意な結果を得られるものではなくなり、第4段階では区民の割合を測定する目的で区民アンケートを行うこと自体が見直されようとしているところである。」と認定されているとおり、実施機関が行う「区政に関する区民アンケート」に関しては、遅くとも令和2年度までにはその目的を達成できなくなっている。しかし、実施機関はその事実を率直に受け止めることなく「統計調査ではない」などとの事実ではない主張を行うなどして、目的が達成できなくなっているという事実を隠蔽している。上記で示したとおり、実施機関は未だに答申で指摘されたことを完全に無視し、目的が達成できなくなっているという事実を認めることなく、偽りの説明を繰り返している。
・この答申でも「事実として、本契約により得られた結果により、地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価が可能であるとも、本契約により得られた結果により、「区同士の比較」、「経年でみる」が可能であるとも言うことができない。」と認定されており、この指摘に関しても実施機関は全く「合理的かつ一貫性のある説明」を行っていない。
・答申第536号で付言がなされたことについては大きな前進であったと受け止めている。しかし、「区民アンケートを含む事務事業について、合理的かつ一貫性のある説明が求められていることを指摘しておく」との記載だけでは、実施機関に言い逃れる余地を残してしまったものと思われる。下記のような記載が必要であると思料する。
実施機関は区民アンケートを含む事務事業について
・地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価が可能であるとする根拠
・「区同士の比較」、「経年でみる」が可能であるとする根拠
等に関して合理的かつ一貫性のある説明が求められていることを指摘しておく
あるいは、
本答申の「本契約により得られた結果により、地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価が可能であるとも、本契約により得られた結果により、「区同士の比較」、「経年でみる」が可能であるとも言うことができない」などの指摘を真摯に受け止め、真摯に説明責任を全うすることが求められていることを指摘しておく
このような内容で、実施機関が答申の内容を正面から真摯に受け止め、その説明責任を全うさせるような答申を行っていただきますよう、強くお願いする。
15 令和7年10月2日付け意見書(令和7年9月5日付け及び同月10日付け意見書の補足)
・市民局に対して、5点にわたる質問を行っているが、「既に回答したもの」として示された回答のいずれにも「なぜ「経年の比較」ができるのかという根拠の説明はありません。根拠を説明してください」などとした質問に対する説明はどこにもない。
・令和6年12月20日付け情報会開審査会答申第536号及び令和7年6月6日付け答申第539号では、「区政に関する区民アシケート」の結果は「経年比較」などできるものではないとの認定がなされており、また、実施機関が経年比較が可能であるとする理論的根拠は把握していないとも認定されている。しかし、市民局の市民の声の回答では、市民の声24-18074が経年の比較ができるという根拠が説明されたものとして示されており、「「区政に関する区民アンケート」の同じ質問項目については、その回答結果を見比べることで経年の比較ができると考えております」との立場を維持している。答申での指摘や認定は完全に無視されている。そして、「既に回答したもの」として示されたものには、いずれも質問した事項に関する説明はなく、答申第536号の付言における「条例第1条の目的に照らせば、実施機関においては、本市の説明責任を全うするため、区民アンケートを含む事務事業について、合理的かつ一貫性のある説明が求められていることを指摘しておく」との指摘も完全に無視されている。市民局の答申軽視は甚だしく、このような姿勢は到底容認できるものではない。
・答申第536号及び第539号において「実施機関の決定は、結論において妥当である」と認定される一方で、実施機関における答申無視が行われている結果として、全うされるべき説明責任が全うされず、説明責任の空白が生じてしまっている。情報公開条例第1条の理念に照らしても、このような状態が容認されるはずはない。情報公開審査会として、毅然とした対処を行われることを希望する。
16 令和7年10月16日付け意見書(令和7年9月5日付け、同月10日付け及び令和7年10月2日付け意見書の補足)
・市政改革室は各区の区民アンケートについて、令和4年3月29日付け裁決書(大市第67号)において、「本件各請求については、処分庁におけるマーケティングリサーチツールのひとつである区民アンケートに関する公文書を求めていることから、前記事案の概要の2のとおりこれまでの公開請求と同様に、審査請求人の主張と本市のマーケティングリサーチツールに対する考え方の相違から端を発する一連の公開請求を継続して行っているにすぎず、本件各講求は権利の濫用に該当するものである(「処分庁における」から「区民アンケート」まで下線)。」(下線は審査請求人による)と主張しているとおり、「マーケティングリサーチツールのひとつ」としている。
・市政改革室が策定した令和4年度までの運営方針策定要領には、「〇〇により□□ができる区民の割合を増やす」とした「めざす状態」を「客観的に測定できる」よう数値化した指標たるアウトカム指標の測定方法として区民(モニター)アンケートが例示されている。そして、具体的な評価方法として、運営方針自己評価要領には、「目標の最終年度でない場合、原則として、アウトカム指標の達成状況は、目標値と前年度数値(無ければゼロとみなす)から線形にみたときに、数値が上方にあれば「A」、そうでなければ「B」と記入すること。」と記載されている。これらの記載に基づき各区では運営方針のアウトカム指標の達成状況について、区民アンケートの結果が目標値に達したか否か(上方にあるか下方にあるか)のみで判断していた。
・「区政に関する区民アンケート」は市民局が24区分を取りまとめて行っているものであり、本質的に運営方針を評価するための区民アンケートと同じものである。市
政改革プラン2.0で定められた指標の測定方法として、それまでに運営方針のアウトカム指標の測定方法として用いていた区民アンケートを使用することにしたものである。
・上記のとおり、「区政に関する区民アンケート」による目標達成判断については、市政改革室が作成した運営方針関係文書に倣って行われているのであり、請求対象文書は、市政改革室が運営方針策定要領に上記の記載を行った根拠が示されている文書である。
・令和6年12月20日付け答申第536号では、市民局が「令和2年度区民アンケート調査については統計調査には該当しない」と説明したことなどを理由に「マーケティング・リサーチ関連文書の想定する調査が行われてはいない」と判断されている。しかし、市政改革室は令和7年3月28日付け市民の声No.24-17785、No.24-17786の回答において、「令和4年度運営方針策定要領においては、アウトカム指標の記載例として区民(モニター)アンケートを掲載しており、統計学も含めて学問的な検討を行っていません。」と説明している。また、令和3年7月15日付け裁決書(大市第6号)には、「しかしながら、上記①のとおり、処分庁の説明によると、世論調査の結果をあくまで当該調査の回答者の回答状況をとどまるものと取り扱っているとのことであり、また実際に処分庁において調査結果の数値はそのまま報告書やホームページに掲載していることが認められる。/よって、そもそも調査結果から母集団を代表する数値を導き出すという作業を行っていないため、業務委託先である事業者の作成した世論調査結果報告書の記載についてその妥当性をどのように確認したかがわかる文書は作成しておらず、また、報告書を作成した事業者からの取得もしていないという処分庁の説明は肯首できるものである。/したがって、世論調査結果報告書の記載が、どのような根拠から導き出されたのか及び数値の妥当性をどのように確認したのかについて、標本調査として統計学的に信頼性を確認している根拠が記載された文書は存在しないとする処分庁の主張に特段不自然、不合理な点はないと認められる。」と記載されている。ここでは市政改革室は情報公開審査会に対して(マーケティングリサーチツールのひとつであり、区民アンケートと同じ手法である)世論調査について、統計調査ではないとの説明を行っている。さらに、市政改革室は令和4年8月5日付けの市民の声の回答においても、マーケティングリサーチツールは母集団の推計を行うものではなく、回答者の割合にとどまるものであるなどとの説明を行っている。これらの市政改革室の説明は、統計調査であるマーケティングリサーチツールについて、妥当な結果を得られていないということについて説明することができず、「統計調査ではない」、「回答者の割合にとどまる」などと詭弁を弄するに至ったものであり、この点は市民局が「区政に関する区民アンケート」に関して「令和2年度区民アンケート調査については統計調査には該当しない」との説明を行うに至ったことと全く同じである。
・答申第536号には、「なお、審査請求人が指摘するように、区民アンケート結果報告書や実施機関職員の監査の際の説明等において、統計学を前提としたような説明が散見されるが、それらは一貫性のないものであると認められる」とあり、「統計学を前提としたような説明が散見される」のは、もともと「区政に関する区民アンケート」が統計調査であるマーケティングリサーチツール(のひとつである世論調査を基にしたもの)であるからであり、「それらは一貫性のないもの」になっているのは、統計学に関する知見を欠き、まともに説明することができず、また、調査を適切に実施することができていない結果である。そして、このような惨状をごまかすために「統計調査ではない」などとの説明を行うに至ったものである。そして、これらは「マーケティング・リサーチの手引き」などの関連文書にマーケティングリサーチツールが統計調査である旨の記載が認められるにもかかわらず、上記のとおり「統計調査ではない」と説明している市政改革室と全く同じである。
・次に答申第539号では、「翌年度の令和3年度の区民アンケートでは、実施機関自身が、令和4年8月29日付け実施機関意見書において、「区民アンケート調査は統計調査には該当せず、統計学的見地に基づいた設計と指標の評価は行っていない。」と主張しているように、設計段階から統計調査としては実施されなくなり、それを裏付けるように、令和3年度区民アンケート調査に係る調査結果報告書では、統計学的説明が記載された「報告書を読む際の留意点」が削除された。つまり、令和3年度の段階では、区民アンケートは、名実ともに、統許調査ではなくなったと認められる。」との認定がなされている。「区政に関する区民アンケート」の令和2年度の報告書まで記載されていた「報告書を読む際の留意点」について、市政改革室が行っていた世論調査の平成29年度報告書にも全く同じ内容のものが記載されていました。しかし、市政改革室は平成30年度の報告書からこの「報告書を読む際の留意点」の記載を削除しましたが、その理由は「母集団の推計を行っているとの誤解を招く」というものである。つまり、母集団を代表する結果を得ることを目的としている世論調査に関して、その目的をごまかし、「母集団の推計を行うものではない」としてこの記載を削除したのであり、世論調査が統計調査として実施されなくなったものではない。単に統計調査としての妥当性を説明できないことをごまかそうとしただけである。そして、この点は市民局も全く同じであり、この「報告書を読む際の留意点」の記載が削除されたことは、「区政に関する区民アンケート」が統計調査として実施されなくなったということは意味しない。
・答申第539号では、「以上の認定事実に基づき、実施機関が行っている区民アンケートの変遷について整理すると、第1段階では区民の割合を測定する目的で区民アンケートが実施され、現に統計学的に有意な結果が得られていたが、第2段階では区民の割合を測定する目的で統計調査として区民アンケートが実施されるものの、回収率等の問題で所期の目的を達成できなくなり、第3段階では区民の割合を測定するとの建前は維持されつつも、事実上、統計調査としては実施されず、その結果としても統計学的に有意な結果を得られるものではなくなり、第4段階では区民の割合を測定する目的で区民アンケートを行うこと自体が見直されようとしているとこるである。」との認定がなされている。ここでは「事実上、統計調査としては実施されず」とあるが、「統計調査としての体をなさなくなり」という方が正確であると思われる。
17 令和7年10月17日付け意見書(令和7年9月5日付け、同月10日付け、令和7年10月2日付け及び同月16日付け意見書の補足)
・弁明書及び諮問庁意見書については、結局のところ請求対象文書について「無いものはない」としか言っていない。なお、実施機関が弁明書で対象文書であると主張している「令和3年8月30日付け大市民第517号通知により公開した「区長会議資料」」については、今回の情報公開審査会の照会においても「「判断方法の合理性、妥当性がわかる」記載はないように見受けられます」とされ、また、情報公開審査会答申(令和6年12月20日付け大情審答申第536号)においても、「上記両部分は、区民アンケート結果によって目標達成判断が可能であることを前提にその達成状況を示すものであり、審査請求人が求めている市政改革プラン2.0に記載された目標の達成状況を区民アンケート結果で評価することが妥当であると言える根拠ではないと考える。/よって、「令和3年8月30日付け大市民第517号通知により公開した区長会議資料」については、公開請求⑤に合致する文書ではないと言える。/それを踏まえ、審査会において、実施機関から提出を受けた令和3年8月30日付け大市民第517号通知により公開した区長会議資料を見分したところ、当該資料には、「区民アンケートの結果を取組の評価に用いる」旨は記載されているが、区民アンケート結果が取組評価に用いるに値するものについての理論的な検討に係る記載は認められなかった。/よって、令和3年8月30日付け大市民第517号通知により公開した区長会議資料については、公開請求⑪に合致する文書ではないと言える。」などと認定されている。
・公開請求の趣旨は、「目標達成などと判断した根拠については、アンケート調査の結果数値が目標値に達したかどうかで判断」するとした根拠について説明を求めるものであるが、弁明書にも諮問庁意見書にもこの説明に係る記載は一切ない。
・情報公開制度の目的は「本市等の有するその諸活動を市民に説明する責務が全うされるようにする」ことであるとされているが、市民局は、原決定の不存在理由、弁明書、諮問庁意見書のいずれにおいても公開請求で求めた「目標達成などと判断した根拠については、アンケート調査の結果数値が目標値に達したかどうかで判断」するとした根拠に関する説明を一切行っていない。
・情報公開審査会答申(令和6年12月20日付け大情審答申第536号及び令和7年6月6日付け大情審答申第539号)においては、実施機関の行政運営に踏み込んだ検討がなされた。この点については評価できるものと考えている。しかし、結論において「大阪市長が行った不存在による非公開決定は、結論において妥当である。」とされ、「審査会の判断」の中で示された数々の指摘や認定については「付言」において言及があったものの事実上放置されてしまったこと、また、実施機関が「付言」での言及やこれら数々の指摘や認定を無視して従来の説明を続けていることから、上記で示した情報公開制度の目的、すなわち「本市等の有するその諸活動を市民に説明する責務が全うされるようにする」ことは全く全うされていない。このようなことになってしまった原因は、争点を「文書の有無」としてしまい、情報公開制度の目的が達成されているのかどうかという点がかすんでしまったことにあると考えられる。
・本件において実施機関は、請求対象文書の不存在を主張するのみで、制度運用の根拠についての説明を一切行っていない。これは単なる文書管理上の問題ではなく、情報公開制度の目的である「市民に対する説明責任の履行」が果たされていないことを意味する。さらに、令和7年8月30日付けの意見書で述べたとおり、実施機関は統計的手法や測定指標の妥当性についての理解を欠いており、区民アンケートの結果を「回答者の回答状況にとどまる」と説明しながら指標として用いるという矛盾を生じていること、報告書の統計学的説明の理論的根拠を説明できず、その記載の削除を余儀なくされた挙句「統計調査ではない」などとの説明を行っているなど、全く説明責任を果たせない状態にある。これは、制度設計に関する専門的知見の不足によって、説明責任そのものが履行不能となっている「能力不足による説明責任の不履行」であると考える。このような状況は、情報公開審査会が過去の答申(第536号、第539号)において付言等で指摘した「制度運用の透明性」「説明責任の履行の不十分さ」とも深く関係している。審査会がこれらの答申で示した問題意識は、本件請求が照らし出そうとしている制度的課題と地続きであり、実施機関がこれらの指摘を顧みず、従前の形式的説明を繰り返すことは、情報公開制度の理念を形骸化させ、市民から行政運営を検証する機会を奪い、市民の市政参加を阻害するものであり、情報公開制度の理念を根底から空洞化させるものである。以上を踏まえ、審査会におかれては、実施機関が制度運用の根拠を説明できる能力を有しているかどうか、またその説明責任が制度的に果たされているかどうかという観点も含めて、本件審査請求をご検討いただきますようお願い申し上げる。
18 令和7年10月21日付け意見書(令和7年9月5日付け、同月10日付け、同年10月2日付け、同月16日付け及び同月17日付け意見書の補足)
・本件公開請求に関して、市民局に対して行った質問に対する回答では、24-11646、24-16137で回答済みであるため、「お答えした内容をご参照いただきますようお願いいたします」と記載されているが、いずれも市民局からの回答はなく、過去の回答にも該当する説明はない。
・特に「令和6年度の区民アンケートが上記のように調査対象者数を決定したものではなく、また、実施目的を達成できるとする根拠が監査に対する説明とは無関係であるとするのであれば、調査対象者数を決定した根拠や、実施目的を達成できるとする根拠」との質問について、この「区政に関する区民アンケート」の令和3年度実施分から、「報告書を読む際の留意点」の記載が削除され、情報公開審査会答申第539号では、「翌年度の令和3年度の区民アンケートでは、実施機関自身が、令和4年8月29日付け実施機関意見書において、「区民アンケート調査は統計調査には該当せず、統計学的見地に基づいた設計と指標の評価は行っていない」と主張しているように、設計段階から統計調査としては実施されなくなり、それを裏付けるように、令和3年度区民アンケート調査に係る調査結果報告書では、統計学的説明が記載された「報告書を読む擦の留意点」が削除された。つまり、令和3年度の段階では、区民アンケートは、名実ともに、統計調査ではなくなったと認められる。」との認定がなされている。この区民アンケートは答申第536号の対象となった令和2年度分から今日に至るまで、全く同じ手法で行われている。異なっているのは令和6年度から実施目的が修正されたことのみである。そして、今回の質問で令和6年度実施分について「調査対象者数を決定した根拠や、実施目的を達成できるとする根拠について、理論的に説明してください」とした質問に対して市民局は答申第536号の際に情報公開審査会に対して行った説明と全く同じ内容の過去の市民の声の回答を参照せよとしている。つまりは、調査対象者数に対する考え方や、調査結果の正確性に関する考え方、実施目的を達成できるとする根拠など、いずれも令和2年度分から今日に至るまで変化はなく、同じものであるということである。
・令和6年12月20日付け情報会開審査会答申第536号及び令和7年6月6日付け答申第539号では、「区政に関する区民アンケート」の調査結果の正確性に関して実施機関が主張する根拠文書について、「「調査結果の正確性」の意味するところや、いかなる理由で「正確性は担保されている」と言えるのかは記載されていない」と認定されており、「400弱の回答者数が必要と考えた理由」や「調査結果の正確性は担保されている」との説明に根拠がないと認定されている。また、「調査目的の達成」に関しては、実施機関は特段の検討を行っていないことが認定されており、「このようなアンケートの行い方で実施目的を達成できるかについて実施機関において検討がなされたとは認められない」、「回収率等の問題で所期の目的を達成できなくなり」などとされている。
・これらの答申における認定等及び付言での指摘に対して、市民局は区民アンケートに関して何らの改善などを行うことがない。それどころか、依然として答申が出される以前の説明を続けており、答申第536号の付言における「条例第1条の目的に照らせば、実施機関においては、本市の説明責任を全うするため、区民アンケートを含む事務事業について、合理的かつ一貫性のある説明が求められていることを指摘しておく」との指摘も完全に無視されている。市民局の答申軽視は甚だししく、このような姿勢は到底容認できるものではない。答申第536号及び第539号において「実施機関の決定は、結論において妥当である」と認定される一方で、実施機関における答申無視が行われている結果として、全うされるべき説明責任が全うされず、説明責任の空白が生じてしまっている。情報公開条例第1条の理念に照らしても、このような状態が容認されるはずはない。情報公開審査会が、制度的な説明責任の担保と行政改善の契機となるよう、今後の答申において実施機関の対応状況を明確に記録し、必要に応じて区民アンケートの制度的改善に向けた制度的提言を行うことや、答申での指摘や勧告に対する対応状況を実施機関に求めるなどの対応を強く希望する。
19 令和7年11月12日付け意見書
・情報公開審査会答申の内容と限界については、令和7年10月17日付け意見書(上記17)でも示した。答申第536号及び答申第539号においては、実施機関の行政運営に踏み込んだ検討がなされた。この点については評価できるものと考えている。しかし、結論において「大阪市長が行った不存在による非公開決定は、結論において妥当である。」とされ、「審査会の判断」の中で示された数々の指摘や認定については、「付言」において言及があったものの事実上放置されてしまったこと、また、実施機関が「付言」での言及やこれら数々の指摘や認定を無視して従来の説明を続けていることから、情報公開制度の目的、すなわち「本市等の有するその諸活動を市民に説明する責務が全うされるようにする」ことは全く全うされていない。具体的には、実施機関(市民局)の本年10月16日付けの回答は、答申で「当審査会においては、上記の実施機関の区民アンケートの取扱いを含む事務事業自体の当否について見解を述べる立場にはない」とされていることをことさらに取り上げ、答申において「そうであれば、調査結果について、統計学上、各区の代表性を有していることを保証できないものであり、統計学以外の理論を用いて比較可能な理由を説明できるとも考えられない。/各区の代表性が担保されていない結果に基づき、(意味のある)経年比較や目標達成評価ができるのかについて、実施機関において検討がなされたとは認められない。/実施機関は特段の検討を行うことなく、区民アンケートを実施していると認められ、そうであれば、経年比較についても、どのような前提条件があれば比較可能かについて検討することなく、ただ単純に比較していると認められる」等と認定されている事実を完全に無視して、「経年等の比較が可能であると考えていることは、市民の声24・11710等で」説明済みであると従来の説明をただ繰り返している。このようなことになってしまった原因は、争点を「文書の有無」としてしまい、情報公開制度の目的が達成されているのかどうかという点がかすんでしまったことにあると考えられる。論ずべき点は、「実施機関の行う説明が、情報公開条例第1条の目的を達成できるものになっているのか」というものであるはずである。つまり、実施機関が示した不存在理由は「請求対象文書は不存在である」というものに過ぎず、「情報公開条例解釈・運用の手引」で求められている、「説明責任を果たす観点から、なぜ作成又は取得していないのかということについても、公開請求者に対して明確になるよう具体的に記入する。」に相当する記載は一切なく、説明責任は全く果たされていない。これは情報公開条例や行政手続法に違反するものと判断され、この点こそ議論されるべきものである。
・原決定で特定されている文書は、これまでの答申などでいずれも請求対象文書ではないとされたものばかりである。また、これまでの答申でこの区民アンケートは目標達成判断、経年での比較、区同士の比較ができるものではないと認定されており、処分理由はいずれも成立しておらず、原決定は破綻している。原決定は取り消されるべきである。原決定の不存在理由は、答申などで請求対象文書ではないとされたものを取り除くと、結局「請求対象文書は存在しない」としか言っていない。これは、解釈・運用の手引で求められている「なぜ作成又は取得していないのか」ということに関する記載もなく、これは実質的な審査請求妨害である。また、情報公開条例の目的である「市民による行政運営の検証」、「市民の市政参加の促進」の妨害でもあり、条例違反と評価されるべきものである。また、判例においても最判平成4年12月10日においては、「本条例(東京都公文書開示等に関する条例)が右のように公文書の非開示決定通知書にその理由を付記すべきものとしているのは、同条例に基づく公文書の開示請求制度が、都民と都政との信頼関係を強化し、地方自治の本旨に即した都政を推進することを目的とするものであって、実施機関においては、公文書の開示を請求する都民の権利を十分に尊重すべきものとされていること(本条例1条、3条参照)にかんがみ、非開示理由の有無について実施機関の判断の慎重と公正妥当を担保してそのし意を抑制するとともに、非開示の理由を開示請求者に知らせることによって、その不服申立てに便宜を与える趣旨に出たものというべきである。」と判示されているが、これは大阪市の情報公開条例にも完全に妥当するものである。そして、この判例では、「このような理由付記制度の趣旨にかんがみれば、公文書の非開示決定通知書に付記すべき理由としては、開示請求者において、本条例9条各号所定の非開示事由のどれに該当するのかをその根拠とともに了知し得るものでなければならず、単に非開示の根拠規定を示すだけでは、当該公文書の種類、性質等とあいまって開示請求者がそれらを当然知り得るような場合は別として、本条例7条4項の要求する理由付記としては十分ではないといわなければならない。」と判示し、本件非開示決定には理由付記について不備があるとして、上告を棄却した。(「本件非開示決定には理由付記について不備がある」として決定を取り消した高裁判決が確定)これを本件決定に当てはめると、原決定の不存在理由には単に「不存在である」としか書かれておらず、根拠規定の記載すらない。行政手続法の規定から、手続き上の瑕疵ある行政処分として取り消しの対象となるべきものと考える。
・答申第536号での「マーケティングリサーチ関連文書は参照されていない」との認定は事実誤認である。答申第536号には「仮に実施機関(市民局)が、実施機関(市政改革室)が作成した「運営方針の手引き」、「令和2年度運営方針策定要領」及び「マーケテイング・リサーチの手引き」が想定している区民アンケートを行っているのであれば、これら文書が対象文書となり得るところである。」と記載されている。そもそも「区政に関する区民アンケート」は各区役所が各区の運営方針のアウトカム指標の測定のために行っている各区の区民アンケートを、市政改革プランに定められた指標の測定のためにそのまま(全く同じ手法で)行っているものである。そして、各区の区民アンケートは、区民アンケートの統括部署である市政改革室が作成した各種の文書に基づいて行っているものであり、「区政に関する区民アンケート」が、これら文書が想定している区民アンケートであることは明らかである。答申第536号では「実施機関(市民局)においては、区民アンケートの実施にあたってそもそも統計学等を含めた学問的な観点からの検討はなされておらず」とあるが、各区も市民局もこのような検討は既に市政改革室において行われているという前提で区民アンケートを行っているのであり、この点で各区や市民局で「統計学等を含めた学問的な観点からの検討」がなされていないとしても不自然ではない。また、市民局が「令和2年度区民アンケート調査については統計調査には該当しない」と主張しているのは、後述するとおりこの区民アンケートの本質を統計調査であると正しく認識する能力もなく、当然ながら学問的根拠に基づきこの区民アンケートの妥当性を説明する能力も欠くことから、統計調査ではないとの詭弁を弄しているものである。また、実施機関が区民アンケート報告書の2、3、35、36ページの記載の根拠として「平成29年度世論調査報告書」を特定していることも、根拠の一つとして挙げられる。世論調査は「マーケティングリサーチツール」の一つである。そして、この世論調査報告書の「報告書を読む際の留意点」の記載は答申の認定のとおり「当該調査における「標本誤差」を算出しようとしたもの」である。そして、これも答申の認定のとおり、世論調査は「ここで想定しているアンケート調査は、アウトカムの測定のために使用するものであることから、市民・区民を代表する結果が得られるものとして取扱っていると認められる」ものである。しかし、この答申の認定では市政改革室はこの世論調査について「調査によって取得したデータは、母集団を代表するもの、つまり、市民全体の状況を統計学的に推計できるものとなっているとは必ずしも言えないということを認識した上で」との説明を行っているが、この説明も市民局の説明同様、標本誤差を求める式の理論的根拠などの説明ができないために詭弁を弄しているだけである。つまり、「市民全体の状況を統計学的に推計できるものとなっているとは必ずしも言えないということを認識」しているということと、標本誤差に関する記載を行っていることとは致命的に矛盾しているが、これを矛盾であると認識することすらできていないということである。つまり、市民局は「区政に関する区民アンケート」によって母比率の推定を行う(そもそもこの区民アンケートの目的は「地域活動協議会を知っている区民の割合」など「〇〇である区民の割合」の測定であった。)際の理論的根拠として世論調査報告書を用いているのであり、上記のとおり世論調査が「マーケテイングリサーチツール」の一つであることから、「マーケテンィングリサーチ関連文書が参照されている」ことは明らかである。
・答申第539号での「令和3年度の段階では、区民アンケートは、名実ともに、統計調査ではなくなったと認められる」との認定も事実誤認である。答申第539号では、「令和3年度の区民アンケートでは、実施機関自身が、令和4年8月29日付け実施機関意見書において、「区民アンケート調査は統計調査には該当せず、統計学的見地に基づいた設計と指標の評価は行っていない。」と主張しているように、設計段階から統計調査としては実施されなくなり、それを裏付けるように、令和3年度区民アンケート調査に係る調査結果報告書では、統計学的説明が記載された「報告書を読む際の留意点」が削除された。つまり、令和3年度の段階では、区民アンケートは、名実ともに、統計調査ではなくなったと認められる。」と認定されている。答申第539号では令和2年度実施分の区民アンケートに関して、「市民局においても、区民の割合を測定するための統計調査として区民アンケートが実施されていた。しかし、遅くとも、令和2年度の区民アンケートでは、回収率等の問題で、区民アンケート結果は区民を代表する結果を得られないものとなっていた(大情審答申第536号参照)」と認定している。しかし、この令和2年度の区民アンケートに関する実施機関の弁明書(令和4年8月19日付け大市民第319号)では、「まず2(1)について、区民アンケート調査は統計調査には該当せず、統計学的見地に基づいた設計と指標の評価は行っていない。」との主張がなされている。つまり答申が統計調査であると認定している令和2年度分区民アンケートに関しても実施機関は「統計調査ではない」と主張しているのであり、この実施機関の主張をもって令和3年度の区民アンケートを統計調査ではないと認定するのは失当である。そして、報告書にあった統計学的な説明である「報告書を読む際の留意点」の記載が削除されたことが、区民アンケートが統計調査として実施されなくなったことの裏付けであるとされているが、これは、この記載の根拠などに関する説明が全くできなかったために削除を余儀なくされたものである。なお、この記載に関しては、市政改革室の世論調査報告書においても、平成30年度実施分から削除されている。市政改革室はこの記載を削除した理由について「母集団の推定を行っているとの誤解を招くため」としていたが、これも説明できないことを覆い隠すための詭弁である。市政改革室は平成30年末に行われた市議会の平成29年度決算特別委員会において、議員から世論調査の回答率が低く、精度が十分ではないとの指摘を受けた。これに対して市政改革室は「毎回1000名程度の回答者数があることから一定の精度を確保している」と答弁したが、この答弁は「母集団の推定」を行うことを前提とするものであり、前記の削除理由とは矛盾している。これはマーケティングリサーチ関連文書の一つである「アンケートの作業工程別ポイント!! アンケート方法を検討編」に「誤差±3%を確保するには約1067標本」との記載があることからも分かる。これは、信頼水準(この文書には「信頼度」と記載されている。)95%における標本誤差を最大±3%で母比率の推定を行うためには、1067のサンプルサイズ(アンケート回答者数)が必要になるという統計学的根拠に基づく記載である。市議会での答弁である「毎回1000名程度の回答者数があることから一定の精度を確保している」の「一定の精度」とは、ここで示されている「誤差±3%」である。そして、市民局が、区長会議で「調査結果の正確性(標本誤差)から、統計学上、1区あたり400弱のアンケート回答者数が求められる」との説明を行っていたり、監査に対して(400弱の回答者数を確保していることを理由に)「正確性は担保されている」と説明しているのは、この文書の「誤差±5%を確保するには約384標本」との記載が根拠である。そして、回答率が問題であるとする議員の指摘に対してまともに答弁できなかったことから、市政改革室は翌令和元年度から世論調査を始めとするマーケティングリサーチツールの全てを廃止してしまった。市民局が「報告書を読む際の留意点」の記載を削除した真の理由はこの市政改革室と全く同じである。令和7年10月17日付け意見書に記した通り、この区民アンケートに関しては、「答申第536号の対象となった令和2年度分から今日に至るまで、全く同じ手法で行われている。異なっているのは令和6年度から実施目的が修正されたことのみ」である。つまり、「名」はともかく「実」に関しては、「区政に関する区民アンケート」は統計調査であることには変わりない。変わったのは市民局の認識のみであり、「(理解が不十分ながら)統計調査である」との認識から、「統計調査であることを否定する」認識へと変化したことのみである。市民局は、「・令和2年度の区長会議において、「調査結果の正確性(標本誤差)からら1区あたり400弱のアンケート回答者数が求められる」/・令和3年度の監査に対して、この400弱の回答者数を確保していることを根拠に「正確性は担保されている」/・意見書(令和5年8月8日付大市民第320号)で「調査結果の正確性等は、アンケート実施の資料を起案する市民局において、インターネット上に公表されている資料や解説等をもとに知見を得たもの」/・この「インターネット上に公表されている資料や解説等をもとに知見を得たもの」に関して令和6年9月6日付け市民の声24‐11955の回答において「お申し出の「インターネット上に公表されている資料や解説等」が具体的には何であるのかにつきましては、総務省の「なるほど統計学園のWEBページ」の資料や解説等になります」といったような説明を行っている。しかし、このような説明を行っていたにもかかわらず、上記のとおり弁明書で「統計調査には該当せず」との主張を行っていることからもこの認識の変化は明らかである。つまり、令和2年度当時、総務省の「なるほど統計学園のWEBページ」の資料や解説等(上記のとおりこれにはマーケテイングリサーチ関連文書も含まれます。)を基に、「400弱」の回答者数があれば、信頼水準95%における標本誤差5%という「正確性を担保」できるという認識を有するに至り、その旨の説明を区長会議で行い、監査でも同様の説明を行ったといこうとである。その後、単純に「400弱」であるだけでは足りず、この「400弱」の回答者集団には母集団に対する代表性が必要であるとの指摘を受けたにもかかわらず、この点を満足に理解していなかったためにまともに説明することができず、弁明書(令和4年8月19日付け大市民第319号)において「区民アンケート調査は統計調査には該当せず、統計学的見地に基づいた設計と指標の評価は行っていない」との説明を行うに至ったということである。答申第536号で「審査請求人が指摘するように、区民アンケート結果報告書や実施機関職員の監査の際の説明等において、統計学を前提としたような説明が散見されるが、それらは一貫性のないものであると認められる」と認定されているのは、このような背景によるものである。実施機関のこの区民アンケートに関する「統計調査ではない」との主張は、上記のとおり、統計調査としての妥当性を説明できないことをごまかすための詭弁に過ぎない。これは、これまで市民局同様「統計調査ではない」と説明していた区独自の区民アンケート(いずれも「区政に関する区民アンケート」と全く同じ手法で行われている)について、鶴見区、阿倍野区、生野区、港区、住吉区、淀川区、城東区、都島区において、統計調査であると説明を翻していることからも分かる。これらの区の報告書(一部の区を除く)では、「区政に関する区民アンケート」の報告書で削除された標本誤差などに関する記載が新たに行われている。阿倍野区の区民アンケート報告書には「今回の調査結果は後述する「標本の代表性」で述べるとおり標本(回答者集団)は各年齢区分間において母集団に対する代表性を有しないと判断されるため、標本誤差以外に大きな非標本誤差が発生している可能性が高く、本調査の結果を母比率の推定値として用いる場合にはこの点に留意する必要があります。」とあるが、市民局に決定的に欠けているのは、この点に関する認識である。
・本件は、制度の理念と実務の接点において、審査会の理解と判断が市民の信頼に直結する、極めて重要な局面であると考えている。これまでの意見書でも示している鶴見区の事例のように、不適切な区民アンケートによって得られた数値は、大きな誤差を含むものであり、それをそのまま施策事業に用いることは、災害対策を誤り、区民の生命・財産の安全に直結する可能性すらある。このような事態を招くことは市民にとっても行政にとっても不幸でしかない。そして、これを防ぐために必要なことは、大阪市が社会調査の重要性と専門性を正しく理解し、制度運用に反映させることである。大阪市が説明責任を全うし、市民参加を得て行政運営が適切な方向に進むことができるよう、区民アンケートの本質を踏まえた上で、制度趣旨に即し、事実と整合性をもって市民の信頼に応えるご判断を心よりお願い申し上げる。
20 令和7年12月2日付け意見書(既提出意見書の補足)
・令和7年10月21日付け意見書(上記18)で示した市民局の回答に関して、全く説明されていないので、「>本アンケートのサンプル数を決める際の考え方や正確性に関する考え方については、市民の声24-11646等で/24-11646の回答は次のとおりです。/本件については、これまでもお答えしております内容と重複しますが、区民アンケートについては、調査全体が統計学上必要とされるような調査設計を行っているものではありません。/本アンケートのサンプル数を「決める」際、あくまで参考として統計学上のひとつの考え方を引用しており、一般に国などが行っている標本調査で、信頼水準95%として調査の設計をされていることを参考としています。/ただし、本アンケートは、統計調査として活用しているものではありませんので、アンケートの調査結果を統計学推定により正確性を判断したものではありません。区民アンケートの結果については、必ずしも区民全体の状態を統計学的に推測するものにはなっていないと認識しており、回答者の回答状況を表すにとどまるものです。/10月2日の質問では/標本調査ではないはずの「区政に関する区民アンケート」において、調査対象者の決定にあたり標本誤差を考慮しなければならなかったというのはどういうことなのか説明してください。/また、「400弱のサンプル数」を根拠に「調査結果の正確性は担保されている」とする根拠についても説明してください。/ここでは目標達成の判断に標本誤差は全く考慮されていません。調査対象者数(400弱のサンプル数)の決定の際には標本誤差が考慮されているにも関わらず、目標達成の判断に標本誤差が考慮されていないのはなぜですか/としていたはずですが、示された24-11646にはこれらの質問に対する説明などどこにもありません。どういうことですか。/>区民アンケートの実施目的の達成に関する件については、市民の声24-16137等/24-16137の回答は次のとおりです。/申出人から令和7年1月9日付けで公開請求のありました、「市民局が取りまとめて行っている区政に関する区民アンケートの令和5年度分について、4.仕様書には、この業務委託の目的として『全市的な課題として取り組んでいくべき項目について、24区共通的な指標を設定し、その状況を把握する上での資料とするため、統一的手法のもと無作為抽出した区民に対してアンケートを実施する』と記載されています。業務委託の成果物など、この目的が達成されたことがわかる文書」について、令和7年1月23日付け大市民第625号により「令和5年度区政に関する区民アンケート報告書(24区分)」の公開決定通知を行いました。/本請求は令和5年度の区政に関する区民アンケートの業務委託について、その目的が達成されたことがわかるものと解し、当該業務委託の成果物である「令和5年度区政に関する区民アンケート報告書(24区分)」を公開したものです。/なお、令和6年12月20日受付市民の声No.24-15364等でも御説明しておりますとおり、区政に関する区民アンケート調査業務委託の仕様書は、本市と委託事業者間における、契約期間、業務内容、成果物等を明確化したものであり、各事業の評価が達成できる理論的根拠が示されている資料ではありません。/また、区政に関する区民アンケート報告書の活用方法については令和6年10月2日受付市民の声No.24-13045において、御説明しております。/ここでは区民アンケート報告書が区民アンケートの実施目的が達成されたことが分かる文書であるとされていますが、昨年12月20日の情報公開審査会答申第536号では/本件では、上記3、(2)において述べたとおり、それが適切であるかどうかはともかく、そもそも、区民アンケートを実施するという以上に、このようなアンケートの行い方で実施目的を達成できるかについて実施機関において検討がなされたとは認められない/と指摘されており、本年6月6日の情報公開審査会答申第539号では/以上の認定事実に基づき、実施機関が行っている区民アンケートの変遷について整理すると、第1段階では区民の割合を測定する目的で区民アンケートが実施され、現に統計学的に有意な結果が得られていたが、第2段階では区民の割合を測定する目的で統計調査として区民アンケートが実施されるものの、回収率等の問題で所期の目的を達成できなくなり、第3段階では区民の割合を測定するとの建前は維持されつつも、事実上、統計調査としては実施されず、その結果としても統計学的に有意な結果を得られるものではなくなり、第4段階では区民の割合を測定する目的で区民アンケートを行うこと自体が見直されようとしているところである。/と指摘されており、この区民アンケー卜は遅くとも令和2年度実施分(第2段階)までには実施目的を達成できなくなっていたと認定されています。さらに市民局は請求対象文書を「上記1.~5.について、令和6年度「区政に関する区民アンケート」の結果をそのように使用できるとする理論的根拠がわかる文書」、市民局の「令和7年度区民アンケート調査業務」について、事業の目的(契約の目的ではありません)が達成できるとする根拠が分かる文書」とした公開請求に対していずれも不存在であるとしています。/結局24-16137にも、これまでの説明にも、「実施目的を達成できるとする根拠」に関するものはありません。きちんと説明してください。/>再三にわたりお答えしております、経年等の比較が可能であると考えていること/市民局は情報公開審査会に提出した意見書(令和5年9月15日付大市民第400号)で次の説明を行っています。/貴審査会の指摘である「令和3年度区民アンケート調査業務委託」に際して、「区同士の比較」、「経年でみる」ということが理論的に可能かについての検討は行っていない。/そして、上記の情報公開審査会答申でも区民アンケートの結果は比較可能なものではないと認定されています。/回答には「再三にわたりお答えしております」とありますが、根拠を示すことなくただ「比較可能であると考えている」と書かれているだけです。「再三にわたり」質問しているのは、そのように考える根拠です。比較できると考えている根拠についてきちんと説明してください。/改めて10月2日に質問した事項について、全く説明されていない過去の回答を参照せよとするのではなく、きちんとした説明を行ってください。/なお、今回の回答に「本市からの回答については、差し控えさせていただく場合があります」とありますが、情報公開審査会答申における付言で説明責任を果たすよう求められているにも関わらず、説明責任を果たさず回答を行わないということは完全に説明責任の放棄です。」と再度質問を行った。これに対する市民局の11月28日の回答は、「令和7年10月29日にお寄せいただきましたお問い合わせにつきまして、本アンケートのサンプル数を決める際の考え方や正確性に関する考え方については、市民の声24-11646等で、区民アンケートの実施目的の達成に関する件については、市民の声24-16137等で、経年等の比較が可能であると考えていることは、市民の声24-11710等でお寄せいただいた内容と同じ趣旨でありますことから、過去、お答えした内容をご参照いただきますようお願いいたします。/今後とも大阪市政に対しまして、一層のご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。」(回答1)のとおりである。この回答は、10月17日の「令和7年10月2日にお寄せいただきましたお問い合わせにつきまして、本アンケートのサンプル数を決める際の考え方や正確性に関する考え方については、市民の声24-11646等で、区民アンケートの実施目的の達成に関する件については、市民の声24-16137等でお寄せいただいた内容と同じ趣旨でありますことから、過去、お答えした内容をご参照いただきますようお願いいたします。/なお、再三にわたりお答えしております、経年等の比較が可能であると考えていること、区民アンケー卜の実施目的の達成に関すること及び区民アンケー卜の取組に関することに関してのご意見につきましては、同様の回答となりますことから、本市からの回答については、差し控えさせていただく場合がありますことを申し添えさせていただきます。/今後とも大阪市政に対しまして、一層のご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。」(回答2)との回答に「経年等の比較が可能であると考えていることは、市民の声24-11710等で」の部分が加わり、「なお…」の部分が削除されたのみであり、質問に対する説明に全くなっていないことに変わりはない。なお、市民局の11月28日回答で示されている24-11646は、「平素は、何かと大阪市政に御理解、御協力を賜り誠にありがとうございます。/先にお寄せいただきました、令和6年8月10日付けNo.24-11646、No.24-11654、市民の声でお問い合わせの件につきまして、市民局よりお答えいたします。/本件については、これまでもお答えしております内容と重複しますが、区民アンケートについては、調査全体が統計学上必要とされるような調査設計を行っているものではありません。/本アンケートのサンプル数を「決める」際、あくまで参考として統計学上のひとつの考え方を引用しており、一般に国などが行っている標本調査で、信頼水準95%として調査の設計をされていることを参考としています。/ただし、本アンケートは、統計調査として活用しているものではありませんので、アンケートの調査結果を統計学推定により正確性を判断したものではありません。区民アンケートの結果については、必ずしも区民全体の状態を統計学的に推測するものにはなっていないと認識しており、回答者の回答状況を表すにとどまるものです。/今後とも大阪市政に対しまして、一層の御理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。」(回答3)であり、24-16137は「平素は、何かと大阪市政に御理解、御協力を賜り誠にありがとうございます。/先にお寄せいただきました、令和7年1月24日付けNo.24-16137市民の声でお問い合わせの件につきまして、市民局よりお答えいたします。/申出人から令和7年1月9日付けで公開請求のありました、「市民局が取りまとめて行っている区政に関する区民アンケートの令和5年度分について、4.仕様書には、この業務委託の目的として『全市的な課題として取り組んでいくべき項目について、24区共通的な指標を設定し、その状況を把握するうえでの資料とするため、統一的手法のもと無作為抽出した区民に対してアンケートを実施する。』と記載されています。業務委託の成果物など、この目的が達成されたことがわかる文書」について、令和7年1月23日付け大市民第625号により「令和5年度区政に関する区民アンケート報告書(24区分)」の公開決定通知を行いました。/本請求は令和5年度の区政に関する区民アンケートの業務委託について、その目的が達成されたことがわかるものと解し、当該業務委託の成果物である「令和5年度区政に関する区民アンケート報告書(24区分)」を公開したものです。/なお、令和6年12月20日受付市民の声No.24-15364等でも御説明しておりますとおり、区政に関する区民アンケート調査業務委託の仕様書は、本市と委託事業者間における、契約期間、業務内容、成果物等を明確化したものであり、各事業の評価が達成できる理論的根拠が示されている資料ではありません。/また、区政に関する区民アンケート報告書の活用方法については令和6年10月2日受付市民の声No.24-13045において、御説明しております。/今後とも大阪市政に対しまして、一層の御理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。」(回答4)であり、24-11710は、「平素は、何かと大阪市政に御理解、御協力を賜り誠にありがとうございます。/先にお寄せいただきました、令和6年8月13日付け市民の声No.24-11710及び令和6年8月16日付け市民の声No.24-11768の件につきまして、市民局よりお答えいたします。/根拠文書の不存在についての御質問ですが、本アンケートについて、「毎年実施しており、同じ質問項目については、その回答結果を見比べることで経年の比較ができると考えている」ことは、単に行為の認識であり、意思の決定ではありません。/また、区政にかかる区民アンケートは、行政処分のように根拠や基準を明らかにして行うものではなく、行政の裁量に応じて行う事務であり、本アンケートにかかる事務すべてに根拠を示す文書があるものではありません。/今後とも大阪市政に対しまして、一層の御理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。」(回答5)である。回答3及び回答4は10月17日付意見書で既に示したものである。回答5(24-11710)は質問事項である「経年比較ができると考えている根拠は何か」に対する説明として示されているが、この回答5のどこにもそのような記載はない。また、この点に関して市民局は情報公開審査会に提出した意見書(令和5年9月15日付け大市民第400号)で、「貴審査会の指摘である「令和3年度区民アンケート調査業務委託」に際して、「区同士の比較」、「経年でみる」ということが理論的に可能かについての検討は行っていない。」との説明を行っている。市民局は、区民アンケートの結果の比較可能性に関して、情報公開審査会に対しては「検討は行っていない」としながら、回答では「比較可能であると考えている」としており、これらがどのように整合するのかについては全く説明していない。そして、情報公開審査会答申第536号、第539号でも区民アンケートの結果は比較可能なものではないと認定されている。答申第536号では「条例第1条の目的に照らせば、実施機関においては、本市の説明責任を全うするため、区民アンケートを含む事務事業について、合理的かつ一貫性のある説明が求められていることを指摘しておく。」との付言がなされている。市民局は答申の認定や付言で指摘されていることを無視して、説明責任を果たすことを拒否している。原決定で明確な不存在理由を示すことなく請求対象文書を不存在としているのも、説明責任の拒否の一環として行われている。本来説明責任を果たすための制度である情報公開制度が、説明責任から逃れるための手段として使われているのであり、このような状況を看過するのであれば、審査会に対する市民の信頼は著しく損なわれる。審査会におかれては、このような市民局の情報公開条例の精神を没却せしめる対応に関して、厳正な対応を行っていただくようお願いする。
21 令和8年1月6日口頭意見陳述
・情報公開制度は、単なる文書取得のための制度ではなく、「市民による行政運営の検証」と「市政参加の促進」を目的とする制度である(条例第1条)。憲法でも規定されている「地方自治の本旨」である「住民自治」を具現化するものが「市民が行政を検証する権利」であり、それを保証することが情報公開制度の根幹である。審査会はこの制度趣旨に照らして、「説明責任を果たせるだけの文書が適切に作成、保管され、それにより説明責任を果たすことができているのか」どうかを判断すべきである。
・現状では審査会は「文書の有無を確認する機関」にとどまっている。本来は「実施機関の説明責任の履行状況を検証する機関」であるべきである。「文書の有無を判断する」だけでは、制度の目的は達成されない。意見書でも示したとおり、市民局は答申の都合の良いところだけを切り取り、都合の悪いところには蓋をして、説明責任を果たさない対応を続けている。まさに「説明責任の空洞化」であり、制度の“抜け道”としての不存在判断である。今回の事案のように、実施機関が文書を適切な理由なしに不存在とし、「説明責任不履行」の免罪符や逃げ道として悪用する事態にあっては、もはや文書の有無を判断するだけでは不十分である。文書がないこと自体よりも、なぜないのか、どう説明するのかが問われるべきであり、この説明がなければ「市民の市政参加」は実現できない。問われているのは、審査会がこのような実施機関の条例第1条の趣旨を損なうような制度運用を看過、是認するのか、あるいは是正させるような対応を行うのかということである。審査会はその役割を「実施機関の説明責任の履行状況の検証」へと昇華させるべきである。情報公開制度は「市民の市政参加」を保証するための制度である。審査会の判断などは、このために必要な「説明責任」が果たされているのかどうかという観点からなされるべきである。処分理由の記載が不十分な決定は、条例の目的を満足させるものではなく、意見書ではこれを理由に決定が取り消された判例も示した。理由の記載が不十分な決定は取り消すことで、実施機関に対してその説明責任を果たすよう促すべきである。「解釈・運用の手引」にも「公文書作成指針で示されているように、説明責任を果たす観点から…」と記載されており、理由付記において説明責任を果たさなければならないとされている。審査会はこの説明責任を検証する機関であるべきである。本件では、実施機関が説明責任を果たそうとすれば、必然的に区民アンケートの設計・分析・説明を見直す必要に迫られる。これこそが情報公開条例が目的としている「市民による行政運営の検証」、「市民の参加」の効果である。
・審査会が「説明責任の履行」を重視する姿勢を示せば、実施機関の制度運用は必ず変わる。市民の信頼と行政の説明責任は、審査会が制度趣旨に忠実な判断を下すかどうかにかかっている。現在の大阪市には、都合の悪いことはごまかし、平気で事実と異なる説明を行うという、深刻な構造的課題がある。こうした現状を打破し、行政が日常的に『市民目線』を意識し、『説明責任を果たせるものになっているか』を自問しながら運営されるようにするためにも、審査会の判断が果たす役割は決定的に重要である。審査会が制度の“育て手”として制度の理念に立ち返ることで、実施機関の姿勢も変わる。制度を育てる力は、まさに審査会の判断にかかっている。
・制度の理念に立ち返り、市民の検証権を守る判断をしていただくことが、行政の説明責任を育て、市民の信頼を支える第一歩である。私は、審査会が制度の本質を理解し、市民の信頼に応える判断をしてくださると信じている。どうか、制度の理念に即したご判断をお願いする。なお、請求対象文書である「根拠」について、鶴見区は公開決定(令和7年7月15日付け大鶴総第50号)で統計学的根拠が示された文書を特定している。不存在であるはずがない。
・最後に、今回のような「説明責任の不履行を文書不存在で塗りつぶす」ような事態がなぜ繰り返されるのか、その制度的背景について触れさせていただく。国の「公文書等の管理に関する法律」や、大阪府の「行政文書管理規則」では、行政機関に対して、意思決定の過程や事業の実績を合理的に跡付けるための文書作成義務が明文化されている。つまり、「説明責任を果たすための文書は、原則として作成しなければならない」というルールが制度として組み込まれている。ところが、大阪市には「説明責任を果たすための公文書作成指針」の前文で理念としては書かれているものの、このような明文の規定が存在しない。文書を作成するかどうかは実施機関の裁量に委ねられ、結果として「説明できないから文書がない」「文書がないから説明しなくてよい」という、制度の趣旨を根本から損なうような運用がまかり通っているのである。そして、意見書で答申第536号や第539号の限界として示したとおり、説明責任が果たせるだけの文書の不存在を制度的に防止する仕組みも弱いという弱点も抱えている。この制度的な不備が、こうした事態を招く大きな要因となっていると考える。条例の目的である「市民の知る権利の尊重」「市政に対する理解と信頼の確保」を実現し、「市民の市政参加」を保証するためには、文書の不存在をもって説明責任を免れるような運用を許してはならない。審査会には、こうした制度の不備を補う最後の砦として、実施機関の説明責任の履行状況を厳しく検証し、必要に応じて条例の運用改善や制度改正の方向性をぜひとも示していただきたいと願っている。情報公開制度は、制度を運用する実施機関だけでなく、それを監視し、育てる審査会の判断によって支えられている。どうか、制度の理念に立ち返り、市民の行政運営を検証する権利を守る判断を通じて、制度の未来を切り拓いてください。それが、行政の説明責任を育て、市民の信頼を築く第一歩になると、私は信じている。
・(本件請求1については、2週間強の間に同内容の公開請求をされているが、それはどういった事情からかとの委員の質問に対し)審査請求をしても時間を要するためである。
第4 実施機関の主張
実施機関の主張は、おおむね次のとおりである。
1 弁明の趣旨
本件決定は条例に則った適正なものである。
2 弁明の理由(弁明書)
(1) 本件各決定の理由について
ア 本件決定1について
「4.本契約により得られた結果により、地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価が可能であるとする根拠が示された文書」については、令和元年度に開催された区長会議資料のなかで、「地域活動協議会を知っている区民の割合」を指標として定めて全区統一様式による区民アンケートにより測定することが記載されており、当該資料が公開対象文書となる。しかし、これについては、令和3年8月30日付け大市民第517号通知により公開しており、これ以外には当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しない。
「5.本契約により得られた結果により、『区同士の比較』、『経年でみる』が可能であるという根拠が示された文書」については、令和3年度区民アンケート調査に係る調査結果報告書が対象文書となる。しかし、令和3年度区民アンケート調査は本件公開請求日(令和4年2月19日)時点で継続中であり、結果を取りまとめた資料は未作成であったことから、当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しなかった。以上の理由により、本件決定1を行った。
イ 本件決定2について
「『目標達成などと判断した根拠については、アンケート調査の結果数値が目標値に達したかどうかで判断しています。』について、そのような判断方法を採用する根拠や、判断方法の合理性、妥当性がわかる文書」については、令和元年度に開催された区長会議資料のなかで、指標については全区統一様式での区民アンケートにより測定することが記載されており、当該資料が公開対象文書となるが、これについては、令和3年8月30日付け大市民第517号の公開決定通知により公開しており、これ以外には当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しないため、本件決定2を行った。
(2) 審査請求人の主張について
当庁は請求対象となる公文書が不存在のため本件各決定を行ったものであるが、対して、本件審査請求では、審査請求人は「4.本契約により得られた結果により、地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価が可能であるとする根拠が示された文書」、「5.本契約により得られた結果により、『区同士の比較』、『経年でみる』が可能であるという根拠が示された文書」及び「『目標達成などと判断した根拠については、アンケート調査の結果数値が目標値に達したかどうかで判断しています。』について、そのような判断方法を採用する根拠や、判断方法の合理性、妥当性がわかる文書」について、概ね下記ア~エの理由により、請求対象となる公文書が存在するはずであると主張している。
ア アンケート調査の設計と指標の評価に当たっては統計学的見地に基づいた検証が必要であり、請求対象である区民アンケート調査においても統計学的見地に基づいた設計と指標の評価が行われているはずであるというのが主な主張である。
上記の主張を受け、本件審査請求においては下記列挙事項を行うためには統計学的な根拠が必要であり、またその根拠が記載された文書を作成しているはずであるとしている。
(ア)区民アンケート調査の設問項目のうち「地域活動協議会を知っている区民の割合」の測定
(イ)区民アンケート調査の結果を区同士で比較できるものであるとすること
(ウ)区民アンケート調査の結果を経年比較できるものであるとすること
(エ)区民アンケート調査の結果数値により成果指標の目標達成にかかる状況を判断すること
なお、審査請求書内での上記主張に関する言及は、「6 その他」において上記ア(ア)にかかる主張を述べているのみであるが、審査請求人はこれまでに提起した各種請求や担当者との対話において上記主張を展開しており、上記ア(イ)~(エ)についても同様に主張している。
イ 「4.本契約により得られた結果により、地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価が可能であるとする根拠が示された文書」について、令和3年8月30日付け大市民第517号通知により公開した「区長会議資料」には、上記ア(ア)にかかる統計学的根拠が記載されていないことから、同決定は請求の趣旨に適合せず、当該文書がほかに存在するはずであると主張している。
ウ 「5.本契約により得られた結果により、『区同士の比較』、『経年でみる』が可能であるという根拠が示された文書」について、区民アンケート調査の設計時点で、上記ア(イ)及び(ウ)の根拠が記載された文書を作成しているはずである。よって、請求対象文書について、「本調査は現在継続中であり、本件請求日(令和4年2月19日)時点で結果を取りまとめた資料は未作成である」との理由は誤りであるというのが請求人の主張である。
エ 「『目標達成などと判断した根拠については、アンケート調査の結果数値が目標値に達したかどうかで判断しています。』について、そのような判断方法を採用する根拠や、判断方法の合理性、妥当性がわかる文書」について、令和3年8月30日付け大市民第517号通知により公開した「区長会議資料」には、上記ア(エ)にかかる統計学的根拠が記載されていないことから、同決定は請求の趣旨に適合せず、当該文書がほかに存在するはずであると主張している。
(3) 審査請求人の主張に対する反論
まずアについて、区民アンケート調査は統計調査には該当せず、統計学的見地に基づいた設計と指標の評価は行っていない。ゆえに、上記(ア)「『地域活動協議会を知っている区民の割合』の測定」、(イ)「区民アンケート調査の結果を区同士で比較できるものであるとすること」、(ウ)「区民アンケート調査の結果を経年比較できるものであるとすること」及び(エ)「区民アンケート調査の結果数値により成果指標の目標達成にかかる状況を判断すること」を行うための、統計学的根拠を示した文書はそもそも作成又は取得しておらず、実際に存在しない。区民アンケート調査において統計学的根拠に基づいた設計と指標の評価が行われているはずであるという主張は審査請求人の一方的な期待に過ぎないものである。次にイ及びエについて、上記のとおり統計学的見地に基づいて区民アンケート調査を設計したという事実はない中で、当庁としても可能な限り請求の趣旨に沿って対象文書を特定し、本件各決定を行ったものである。よって、公開文書に統計学的根拠が記載されていないことから、当該文書がほかに存在するはずであるとの主張も、やはり審査請求人の一方的な期待に過ぎないものであり、当庁は、令和3年8月30日付け大市民第517号通知により公開した「区長会議資料」以外に当該公文書を作成又は取得しておらず、同決定は請求の趣旨に適合しており、文書特定に誤りはない。最後にウについて、先述のとおり統計学的見地に基づいて区民アンケート調査を設計したという事実はない中で、当庁としても可能な限り請求の趣旨に沿って対象文書を特定し、本件決定1を行ったものである。本調査は、定点観測的な状況把握の観点から、無作為抽出した18歳以上の区民を対象に毎年調査しているものであり、「区同士の比較」及び「経年比較」を行うためには調査結果報告書が必要であるが、本件請求時点ではまだ対象文書は作成していない。よって、対象文書を既に作成又は取得しているはずであるとの主張は、イ及びエにおける主張と同様に審査請求人の一方的な期待に過ぎないものであり、実際に未作成又は未取得である。したがって、当該公文書を作成又は取得しておらず、同決定は請求の趣旨に適合している。
3 令和7年8月21日付け意見書
・(審査会からの「審査請求人の令和4年3月3日付け公開請求に対し、貴庁は、/「『目標達成などと判断した根拠については、アンケート調査の結果数値が目標値に達したかどうかで判断しています。』について、そのような判断方法を採用する根拠や、判断方法の合理性、妥当性がわかる文書」については、令和3年8月30日付け大市民第517号の公開決定通知により既に公開した区長会議資料以外には当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しないため。/との理由で不存在による非公開決定を行っておられます。/上記決定中の「令和3年8月30日付け大市民第517号の公開決定通知により既に公開した区長会議資料」は、令和2年1月24日付け「次期市政改革計画に掲載されない現行プランの「取組項目」及び「指標」の令和2年度以降の取扱いについて」(別添資料参照)であると認識していますが(もし違うということであれば、その旨ご指摘ください。)、同資料中には、「そのような判断方法を採用する根拠」は記載されていますが、「判断方法の合理性、妥当性がわかる」記載はないように見受けられます。/以上を踏まえ、公開請求日である令和4年3月3日時点で、実施機関において、市政改革プラン2.0に関する区民アンケートにより目標値に達したかどうかを適切に判断できるかどうかを検討していた事実の有無について、ご回答をお願いします。」との質問に対して)令和4年3月3日付け公開請求に対する大市民第1076号不存在による非公開決定通知における「令和3年8月30日付け大市民第517号の公開決定通知により既に公開した区長会議資料」は、令和2年1月24日付け「次期市政改革計画に掲載されない現行プランの「取組項目」及び「指標」の令和2年度以降の取扱いについて」のほか、令和2年1月16日付け「次期市政改革計画に位置付けられない項目にかかる全区共通実施内容について」が該当する。実施機関において、市政改革プラン2.0に関する区民アンケートにより目標値に達したかどうかを適切に判断できるかどうかを検討していた事実の有無については、実施決議を行っている区長会議(所管は人事・財政部会)において、従前から区民アンケートは、全ての区で統一的手法のもと無作為抽出した区民に対してアンケートを行った結果であり、施策を進める上での参考資料として役立てているとの共通認識が図られていることから、同会議において議論になることもなかったため、検討は行っていない。
第5 審査会の判断
1 基本的な考え方
条例の基本的な理念は、第1条が定めるように、市民の公文書の公開を求める具体的な権利を保障することによって、本市等の説明責務を全うし、もって市民の市政参加を推進し、市政に対する市民の理解と信頼の確保を図ることにある。したがって、条例の解釈及び運用は、第3条が明記するように、公文書の公開を請求する市民の権利を十分尊重する見地から行われなければならない。
2 争点
審査請求人は、本件各決定に付された理由が不十分であると主張するとともに、本件各請求において公開を求めている文書が存在するはずであると主張している。
したがって、本件各審査請求の争点は、理由付記に違法又は不当な点があるか否か(以下「争点1」という。)と、本件各請求において公開を求めている公文書の存否(以下「争点2」という。)である。
3 争点1について
大阪市行政手続条例(平成7年条例第10号)第8条第1項は、「行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。」と規定し、同条例の特則と位置づけられる条例第10条第3項は、「実施機関は、前2項の規定により公開請求に係る公文書の全部又は一部を公開しないときは、公開請求者に対し、当該各項に規定する書面によりその理由を示さなければならない。この場合において、当該理由の提示は、公開しないこととする根拠規定及び当該規定を適用する根拠が、当該書面の記載自体から理解され得るものでなければならない。」と規定しているところである。
ここで、どの程度の理由の記載が必要かであるが、審査請求人も主張するように、情報公開条例解釈・運用の手引(令和7年6月版)において、「公文書不存在については、①当該公文書をそもそも作成又は取得しておらず、実際に存在しない場合、②当該公文書は存在したが、保存年限が経過したために廃棄した場合、③文書等は存在するが、組織的に用いていないなど解釈上第2条第2項に規定する「公文書」に該当しない場合があり得る。/理由の記入にあたっては、上記の①②又は③のいずれに相当するのかが公開請求者に分かるように記入するだけでなく、公文書作成指針で示されているように、説明責任を果たす観点から、なぜ作成又は取得していないのかということについても、公開請求者に対して明確になるよう具体的に記入する。」と記載されており、この程度の記載があれば、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与えていると言えることから(最高裁昭和36年(オ)第84号同38年5月31日第二小法廷判決・民集17巻4号617頁参照)、審査会としても、同手引に記載された程度の理由さえ記載されていれば、違法・不当とはならないと考える。
これを本件について見ると、本件決定1においては、
・「4.本契約により得られた結果により、地域活動協議会の認知度向上に向けた支援の評価が可能であるとする根拠が示された文書」については、令和3年8月30日付け大市民第517号の公開決定通知により既に公開した区長会議資料以外には当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しないため。
・「5.本契約により得られた結果により、『区同士の比較』、『経年でみる』が可能であるという根拠が示された文書」については、本調査は現在継続中であり、本件請求日(令和4年2月19日)時点で結果を取りまとめた資料は未作成であるから、当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しないため。
との理由を、また、本件決定2においては、
・「『目標達成などと判断した根拠については、アンケート調査の結果数値が目標値に達したかどうかで判断しています。』について、そのような判断方法を採用する根拠や、判断方法の合理性、妥当性がわかる文書」については、令和3年8月30日付け大市民第517号の公開決定通知により既に公開した区長会議資料以外には当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しないため。
との理由を付して決定を行っている。
そこで、上記のような理由の記載で十分かが問題となる。
この点、審査請求人が主張するように、本件決定1については、実施機関が対象文書としている「令和3年8月30日付け大市民第517号の公開決定通知により既に公開した区長会議資料」や(令和3年度区民アンケートの調査)「結果を取りまとめた資料」は、結論として本件請求1の対象文書ではなく、また、本件決定2については、実施機関が対象文書としている「令和3年8月30日付け大市民第517号の公開決定通知により既に公開した区長会議資料」は、結論として本件請求2の対象文書の一部でしかない(下記4参照)。
しかし、条例第10条第3項の理由提示の違法・不当については、当該理由を付した決定との関係でその適否が判断されるべきであると解する。
というのも、理由の提示の趣旨は、上記のとおり、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与えるというものだからである。
つまり、例えば、本来公文書を特定し部分公開とすべきであったのに、条例第6条第1項第2号の「公文書の名称その他の公開請求に係る公文書を特定するに足りる事項」に記載された内容の解釈を誤り、条例第10条第2項に基づき不存在決定を行った場合でも、当該不存在決定に対応する理由を情報公開条例解釈・運用の手引(令和7年6月版)に則って記載している限り、実施機関は慎重かつ合理的に判断を行ったと言え、また、不存在の理由が明示されていることから不服申立てに当たって支障は生じないと言えるからである(被処分者は、当該記載された理由をもとに不存在であることが違法・不当であるとの審査請求が可能である。)。
逆に、結果的に不存在決定が違法・不当であるとの結論に至った場合に、条例第10条第3項(大阪市行政手続条例第8条第1項)に反することを理由に取り消さなければならないとすれば、実体的な判断を終えているにもかかわらず、すべからく手続違法により取り消されることになり、不必要に時間を要する結果にしかならない。
これを本件について見ると、実施機関は、本件各決定において、「既に公開した〇〇以外には当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しないため」や「本件請求日(令和4年2月19日)時点で結果を取りまとめた資料は未作成であるから、当該公文書を作成又は取得しておらず、実際に存在しないため。」との理由を付しており、前者については、審査請求人が公開請求において、「上記で請求する公文書について、これまでの公開請求で公開された文書や、既にホームページで公開されている情報は不要です。」との記載を行っていることを踏まえれば、実質的に根拠記載文書を特定していると言え、十分な理由の記載であるし、後者については、情報公開条例解釈・運用の手引(令和7年6月版)の「①当該公文書をそもそも作成又は取得しておらず、実際に存在しない場合」に対応するものであり、なぜ作成又は取得していないのかということについても、文脈から取りまとめが完了していないためということが容易に推測可能であり、こちらも十分な理由の記載であると言える。
よって、本件各決定において、実施機関が、根拠が記載されているとして示した公文書の当否はともかく、理由の提示として不十分なところは認められないことから、理由付記に違法又は不当な点は認められない。
なお、審査請求人は、令和7年11月12日付け意見書において、最判平成4年12月10日を引用し、本件決定についても理由不備につき取り消されるべきであると主張している。
しかし、平成4年(行ツ)第48号同4年12月10日最高裁第一小法廷判決・裁判集民166号773頁は、「この見地に立って本条例〔東京都公文書の開示等に関する条例〕9条8号をみるに、同号は、開示の請求に係る公文書に、「監査、検査、取締り、徴税等の計画及び実施要領、渉外、争訟、交渉の方針、契約の予定価格、試験の問題及び採点基準、職員の身分取扱い、学術研究計画及び未発表の学術研究成果、用地買収計画その他実施機関が行う事務事業に関する情報であって、開示することにより、当該事務事業の目的が損なわれるおそれがあるもの、特定のものに不当な利益若しくは不利益が生ずるおそれがあるもの、大学の教育若しくは研究の自由が損なわれるおそれがあるもの、関係当事者間の信頼関係が損なわれると認められるもの、当該事務事業若しくは将来の同種の事務事業の公正若しくは円滑な執行に支障が生ずるおそれがあるもの又は都の行政の公正若しくは円滑な運営に著しい支障が生ずることが明らかなもの」に該当する情報が記録されているときは、当該請求に係る公文書の開示をしないことができるとするものである。公文書の開示の請求は、開示を請求しようとする公文書を特定するために必要な事項を記載した請求書を提出してしなければならないとされている(本条例6条3号)ので、当該公文書の非開示理由として本条例9条8号に該当する旨の記載のみによって、開示請求者において、当該公文書の種類、性質あるいは開示請求書の記載に照らし、非開示理由が同号所定のどの事由に該当するのかをその根拠とともに了知し得る場合があり得るとしても、同号に該当する旨の記載だけでは、開示請求者において、非開示理由がいかなる根拠により同号所定のどの事由に該当するのかを知り得ないのが通例であると考えられる。これを本件についてみるに、被上告人によって前示のとおり特定された本件文書の種類、性質等を考慮しても、本件付記理由によっては、いかなる根拠により同号所定の非開示事由のどれに該当するとして本件非開示決定がされたのかを、被上告人において知ることができないものといわざるを得ない。そうであるとすれば、単に「東京都公文書の開示等に関する条例第九条第八号に該当」と付記されたにすぎない本件非開示決定の通知書は、本条例七条四項の定める理由付記の要件を欠くものというほかはない。」(〔〕内審査会補足)と判示しているとおり、該当する非公開事由が抽象的かつ網羅的な規定であるにもかかわらず、理由として該当条項のみ記載して不開示決定を行った事案について、理由付記の要件を欠くと判断したものである。
これに対して本件は、条例第10条第2項(これが根拠規定であると考える。)に基づく不存在決定であることを明示し、かつ、結果として正しくない部分はあったがなぜ不存在であるかも記載して決定を行った事案である。
よって、審査請求人の示す判決は、本件と事案を異にし、審査請求人の主張を認めることはできない。
4 争点2について
(1) 本件請求文書1の存否について
本件請求1については、審査請求人自身が、「請求する公文書の件名又は内容」欄に、「2月3日に行った公開請求について、令和4年2月16日付大市民第973号により不存在による非公開決定となりました。…改めて文書の特定を行ってください。」と記載しているように、令和4年2月3日付け公開請求と一部が重複するものである。
そして、令和4年2月3日付け公開請求(以下「前請求」という。)については、令和4年2月16日付けで不存在による非公開決定がなされ、それに対し、令和4年2月21日付けで審査請求が提起され、令和7年6月6日付けで答申が行われているところである。
ここで、前請求は令和4年2月3日になされ、本件請求1は令和4年2月19日になされているが、本件決定1に係る審査会としての結論や理由が、不存在であることは結論として妥当であると判断した令和7年6月6日付け答申第539号と異なり得るのは、審査請求人から新たな主張・立証がなされた場合(職権調査により新たな事実が認められた場合もあり得るが、本件に関しては、令和7年6月6日付け答申に際して十分な調査がなされているところである。)か、令和4年2月3日から令和4年2月19日までの間に新たに文書が作成された場合である。
この点、前者については、審査請求人から新たな主張・立証はなく、後者については、審査請求人自身が、令和4年9月5日付け意見書において、「調査の企画の段階で「このような調査を行えば、比較が可能なデータが得られる」との判断を行っていることには疑う余地はない。」と主張しているように、既に入札まで完了している区民アンケートについて、事後的に根拠文書が作成されることは考えがたいと認められる。
よって、本件請求1に係る結論及び理由は、令和7年6月6日付け答申第539号と同じになると考える。
(2) 本件請求文書2の存否について
本件請求2については、公開請求書の「そのような判断方法を採用する根拠や、判断方法の合理性、妥当性がわかる文書を公開してください」との文言から、審査請求人は、目標達成の判断方法として区民アンケートを採用する根拠と区民アンケート結果によって目標値達成の判断ができる根拠を求めていると解される。
それを踏まえ、審査請求人が求めている根拠が記載されていると実施機関が主張する「令和3年8月30日付け大市民第517号通知により公開した区長会議資料」の提出を求めたところ、対象となるのは、令和2年1月24日付け「次期市政改革計画に掲載されない現行プランの「取組項目」及び「指標」の令和2年度以降の取扱いについて」及び令和2年1月16日付け「次期市政改革計画に位置付けられない項目にかかる全区共通実施内容について」とのことであった。
そこで、それぞれについて内容を見分したところ、目標達成の判断方法として区民アンケートを採用する根拠については、成果指標を設定し区民アンケートで把握する旨の記載があるが、これらの資料に、区民アンケート結果によって目標値達成の判断ができる根拠の記載は認められなかった。
よって、実施機関が対象文書とするものは、「区民アンケート結果によって目標値達成の判断ができる根拠」としては、不適切である。
次に、実施機関が対象文書とするもの以外に請求対象文書が存在するかが問題となるが、令和7年8月21日付け実施機関意見書によれば、「実施機関において、市政改革プラン2.0に関する区民アンケートにより目標値に達したかどうかを適切に判断できるかどうかを検討していた事実の有無については、実施決議を行っている区長会議(所管は人事・財政部会)において、従前から区民アンケートは、全ての区で統一的手法のもと無作為抽出した区民に対してアンケートを行った結果であり、施策を進めるうえでの参考資料として役立てているとの共通認識が図られていることから、同会議において議論になることもなかったため、検討は行っていない。」とのことであり、当該主張が虚偽であるとは考え難い。
そうであれば、区民アンケート結果によって目標値達成の判断ができる根拠が記載された文書が不存在であることに不自然・不合理な点はない。
また、目標達成の判断方法として区民アンケートを採用する根拠についても、区長会議における決定が全てであるとの主張に不自然・不合理な点はなく、他に特定すべき文書があるとは認められない。
よって、本件請求2について、「不存在」との決定は妥当である。
5 その他の審査請求人の主張について
まず、審査請求人は、令和8年1月6日実施の口頭意見陳述等において、審査会に対し、説明責任の検証機関としての役割を求めていることから、それについて審査会としての意見を述べる。
条例第1条が、「この条例は、地方自治の本旨にのっとり、公文書の公開を請求する権利を明らかにし、公文書の公開及び市政情報の提供等に関し必要な事項を定めることにより、実施機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって本市等の有するその諸活動を市民に説明する責務が全うされるようにするとともに、市民の市政参加を推進し、市政に対する市民の理解と信頼の確保を図ることを目的とする。」と規定しているように、説明責務を果たすための一手段として、情報公開制度を位置付けている点は、審査請求人の主張するとおりである。
それを受けて、審査会としても、公文書が不存在であるとの結論であっても本来作成されるべき公文書が作成されていなかった場合には、「本文でも述べたとおり、作成指針において会議録に記載することが求められている議事結果が十分に記載されていない本件文書の不備が、市民の疑念を招き、本件審査請求を惹起したことは明らかであり、このような状況は、「実施機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって本市等の有するその諸活動を市民に説明する責務が全うされるようにするとともに、市民の市政参加を推進し、市政に対する市民の理解と信頼の確保を図る」とする条例の目的にももとることとなり、当審査会としては誠に遺憾である。/今後、実施機関においては、市民への説明責任を果たす観点から、作成指針に則った会議録の作成に努めるよう強く望むものである。」(大情審答申第443号)といった付言を付して実施機関に対応を求めているところである。
また、実施機関が、審査請求人や審査会に対して整合性のない説明を行った場合には、「本件において、審査請求人は、主として、監査結果報告書における市民局職員の説明等の根拠文書等を求めているが、その主たる問題意識は、審査請求書及び審査請求人が提出した多数の意見書並びに口頭意見陳述の内容を踏まえると、区民アンケートが統計学的な見地からみると母集団である区民を代表するものとはいえないにもかかわらず、実施機関がその結果を用いて経年比較や目標達成の判断を行うなど、区民アンケートを、あたかも、母集団である区民の代表性を有するかのように扱っている点について、実施機関の考えを明らかにすることにあると考えられ、かかる問題意識に基づいて、審査請求人は、実施機関の各部署に対して、本件を含む多数の公開請求を行っている。/このように同一の問題意識に基づいて多数の公開請求がなされた場合、これに対する不存在などを理由とした非公開処分に付される理由については、個別の処分理由として十分かつ正確であることにとどまらず、他の処分に付された理由と一貫性・整合性があるかについての配慮も求められる。/また、当審査会においては、上記の実施機関の区民アンケートの取扱いを含む事務事業自体の当否について見解を述べる立場にはないが、条例第1条の目的に照らせば、実施機関においては、本市の説明責任を全うするため、区民アンケートを含む事務事業について、合理的かつ一貫性のある説明が求められていることを指摘しておく。」(大情審答申第536号)といった付言を付しているところである。
しかし、本件に関しては、上記でも述べたとおり、審査請求人が求める公文書が不存在であるのは、「区同士の比較」、「経年でみる」ということが理論的に可能かについての検討が実施機関においてそもそも行われていないためであり、検討が行われたにもかかわらずその経過が残されていないということであれば大阪市公文書管理条例(平成18年条例第15号)第4条に照らして指摘を行う余地があるが、検討がそもそもされていないということであれば、それはどのように施策を進めるかの問題であり、審査権限に属する事項ではない。
よって、本件について、令和7年6月6日付け答申第539号において述べた以上に、審査会から実施機関に対して指摘すべき点はない。
この点、審査請求人は、令和7年10月16日付け意見書において、「今後の答申において実施機関の対応状況を明確に記録し、必要に応じて区民アンケートの制度的改善に向けた制度的提言を行うことや、答申での指摘や勧告に対する対応状況を実施機関に求める」と主張しているように、審査会に対して、さらに踏み込んだ対応を求めていると思料するが、審査会は、あくまで、本件決定の是非について判断する機関であり、現行条例下では、答申後の実施機関の対応について検証し、それについて意見を述べること等は、審査会の権限外の行為である。
その他審査請求人は縷々主張するが、いずれも上記審査会の判断を左右するものではない。
6 審査請求人からの求釈明申立てについて
審査請求人は、意見書において、審査会から実施機関に質問するよう求めているところである。
しかし、前請求の審査請求に係る諮問を受けて審査会(第1部会)が行った質問に加えて、新たに質問を行う必要はないとの結論に至った。その理由は、審査会(第1部会)が行った質問については、重ねて質問を行う必要がなく、それ以外については、本件争点に係る判断に必要がないと考えたためである。
求釈明を行うか否かは、もとより、審査会の裁量によるところであるが、念のため求釈明を行っていない理由について申し添えておく。
7 審査請求人への付言
本件請求1については、上記4でも述べたように、2週間強の間に同内容で行われた公開請求である。ここで、公開請求に係る条例第7条各号の判断基準時は、当該請求に対する決定の時点であり(審査基準である総務-条申-2の第3参照)、決定時点が異なれば、その判断も異なるものである。よって、同一内容の公開請求を異なる時点において行うこと自体は直ちに問題となるわけではない。
しかし、前の請求と再度の請求の間に事情の変化等がなければ、その決定内容は同一になるのが通常であり、それぞれに対して審査請求を行っても、原則として、同じ結果となることが想定される。
そうであれば、同一内容の公開請求及び審査請求を行うことは、審査請求人が提起したものも含め多数の審査請求事案が係属している中で、案件処理の遅滞を招く結果となることから、事情変更の蓋然性が一定程度認められる場合に限られることが望ましいと思料する。
8 結論
以上により、第1記載のとおり、判断する。
(答申に関与した委員の氏名)
委員 小谷 真理、委員 奥村 裕和、委員 村田 尚紀
(参考)答申に至る経過
令和4年度諮問第4号、令和4年度諮問第5号
答申第545号
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