水道事業の海外展開に向けた取組
2024年3月7日
ページ番号:99244
水道事業の海外展開に向けた取組について
大阪市水道局では、これまでの国際貢献に加え、本市の持つ技術、ノウハウなどを有効活用し、アジアを中心とした水道事業の発展、大阪・関西経済の活性化及び職員の技術力向上を目的に、官民連携による海外展開の取組を進めています。
主な取組内容
ベトナム社会主義共和国南部地域の水道改善に向けた取組
大阪市とベトナム南部地域の主要都市であるホーチミン市との関係
ホーチミン市は、ベトナム南部に位置し、市域面積は約2,100平方キロメートル、人口は約830万人(2016年)、令和7年(2025年)を目標年次とする都市計画では、人口約1,300万人に達すると予測されているなど、ベトナム最大の商工業都市として知られています。
ドンナイ省は、ホーチミン市北東約40キロメートルに隣接した位置にあります。省面積約5,900平方キロメートル、人口は約309万人(2018年)、となっており、ベトナム有数の工業省であり、多くの日系企業の工場が進出しています。
大阪市とホーチミン市とは、平成6年のサイゴン港との姉妹港提携をはじめ、平成9年にビジネスパートナー都市提携を結んだほか、平成23年には水・環境分野等での協力関係に関する覚書、平成25年には低炭素都市形成に向けた覚書を締結するなど、様々な分野において緊密な連携関係を構築しています。
ホーチミン市水道の概要
ホーチミン市の水道は、同市の水道事業者であるホーチミン市水道総公社(SAWACO: Saigon Water Corporation)が運営・管理しており、水需要の急増による給水能力の不足や、高い漏水率、低水圧とそれに伴う水質悪化など、様々な課題を抱えています。
ドンナイ省水道会社の概要
ドンナイ省の水道は、同省の水道事業者であるドンナイ省水道会社(DOWACO:Dong Nai Water Supply Joint Stock Company)が運営・管理しており、ホーチミン市と同様の課題を抱えています。
SAWACO・DOWACOとの技術交流
ホーチミン市水道の抱える課題の多くは、都市が成長していく過程で直面するものであり、これらを経験・克服してきた本市の技術・ノウハウは、そうした課題解決に貢献できるものと考え、平成21年12月9日に、SAWACOと大阪市水道局との友好関係の促進と相互の発展を目的とした「技術交流に関する覚書」を締結し、GtoGの協力体制を構築しています。
また、平成27年11月18日及び平成30年12月3日には、両事業体の更なる発展に向けて、連携関係を継続することを確認し、本覚書を更新しています。令和3年12月28日には、大阪市水道局・SAWACO・DOWACOの3者による「技術交流に関する覚書」を締結し、水道事業体の更なる友好関係の促進と発展を図り、連携強化を行っています。
なお、この覚書に基づき、平成22年度より、SAWACOからの職員の受入れを実施しており、令和4年度からはDOWACOからの職員も受け入れています。
技術交流情報
ベトナム社会主義共和国・ホーチミン市水道総公社及びドンナイ省水道会社から職員を受け入れ、技術交流を実施しました(2023年12月10日~16日)
ベトナム国・ホーチミン市水道総公社及びドンナイ省水道会社から職員を受け入れ、技術交流を実施しました。( 2022年12月4日~10日)
ベトナム国・ホーチミン市水道総公社及びドンナイ省水道会社と「技術交流に関する覚書」を締結しました( 2021年12月28日)
ベトナム社会主義共和国・ホーチミン市水道総公社及びドンナイ省水道株式会社から職員を受け入れ、技術交流を実施しました(2020年1月14日)
ベトナム社会主義共和国・ホーチミン市水道総公社及びバリア・ブンタウ省水道株式会社から職員を受け入れ、技術交流を実施しました(2019年4月8日)
- ベトナム・ホーチミン市水道総公社、バリア・ブンタウ省水道株式会社から職員を受け入れ、技術交流を実施しました(2018年1月9日)
受入年月日 | 人数 | 備考 |
---|---|---|
平成23年3月14日~18日 | 3名 | |
平成23年9月27日~30日 | 2名 | JICAからの依頼により視察受入れを実施 |
平成24年12月10日~15日 | 3名 | |
平成25年1月23日~2月1日 | 4名 | JICA調査における本邦研修として受入れを実施 |
平成25年12月3日~13日 | 5名 | |
平成26年12月9日~19日 | 3名 | 他にバリア・ブンタウ省水道職員2名の受入れを実施 |
平成28年3月21日~29日 | 3名 | 他にバリア・ブンタウ省水道職員2名の受入れを実施 |
平成28年12月14日~22日 | 3名 | 他にバリア・ブンタウ省水道職員2名の受入れを実施 |
平成29年10月25日 | 7名 | JICA事業における本邦研修として受入れを実施 |
平成29年12月12日~20日 | 3名 | 他にバリア・ブンタウ省水道職員2名の受入れを実施 |
平成31年3月12日~20日 | 3名 | 他にバリア・ブンタウ省水道職員2名の受入れを実施 |
令和元年12月10日~18日 | 3名 | 他にドンナイ省水道職員2名の受入れを実施 |
令和3年3月17日 | 9名 | Webにより実施 |
令和4年3月24日・25日 | 約100名 | Webにより実施 |
令和4年12月4日~10日 | 8名 |
主な技術交流テーマ
- 浄水及び水質管理
- 無収水(NRW)対策
- 浄・配水ネットワーク管理
- お客さまサービス
- ICTを活用した取組
官民連携による取組
官民連携による取組として、平成21年度より、国等の調査プロジェクトに民間企業と共同で参画・実施してきました。
◆産業技術総合開発機構(NEDO)・経済産業省調査
平成21年度から平成23年度にかけて、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「省水型・環境調和型 水循環プロジェクト」や、経済産業省官民連携水事業調査など、ホーチミン市水道の改善における事業化案件の形成に向けた調査を実施しました。
◆JICA「ホーチミン市給水改善計画調査」
平成24年7月から平成25年8月まで、JICA「ホーチミン市給水改善計画調査」を実施しました。本調査では、令和7年(2025年)を目標年次とするホーチミン市水道のマスタープランを検証して、必要となる新規水源開発や配水場整備について調査検討を行いました。その中で、増加が見込まれる将来の水需要に対して、配水場の新設による配水コントロールシステムの導入を提案しました。
主な調査内容
◆産業技術総合開発機構(NEDO)・経済産業省調査
平成21年度から平成23年度にかけて、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「省水型・環境調和型 水循環プロジェクト」や、経済産業省官民連携水事業調査など、ホーチミン市水道の改善における事業化案件の形成に向けた調査を実施しました。
◆JICA「ホーチミン市給水改善計画調査」
平成24年7月から平成25年8月まで、JICA「ホーチミン市給水改善計画調査」を実施しました。本調査では、令和7年(2025年)を目標年次とするホーチミン市水道のマスタープランを検証して、必要となる新規水源開発や配水場整備について調査検討を行いました。その中で、増加が見込まれる将来の水需要に対して、配水場の新設による配水コントロールシステムの導入を提案しました。
配水コントロールシステム導入のイメージ
◆JICA協力準備調査(PPPインフラ事業)
「日本の配水マネジメントを核としたホーチミン市水道改善事業準備調査」
平成26年2月から平成27年9月まで、官民連携による共同企業体注1により、JICA協力準備調査(PPPインフラ事業注2)「日本の配水マネジメントを核としたホーチミン市水道改善事業準備調査」を実施しました。本調査では、前回調査で提案した5つの配水場の内、1つの配水場を対象に、その施設諸元、施工計画、事業費を算出し、配水場整備による水圧改善効果を示すとともに、配水場建設及び運転・維持管理を行う事業をPPPで実施することの妥当性を評価しました。
注1:共同企業体の構成
東洋エンジニアリング株式会社(代表企業)、大阪市水道局、パナソニック環境エンジニアリング株式会社、プライスウォーターハウスクーパース株式会社
注2:PPPインフラ事業とは
PPPはPublic Private Partnershipの略であり、PPPインフラ事業とは、開発途上国の水道などインフラ事業に、途上国政府と民間企業の適切な役割分担のもと民間活力を導入し、さらに高い効果と効率性をめざすものです
配水場イメージ(半地下形式)
◆JICA 開発途上国の社会・経済開発のための民間技術普及促進事業
「給水装置施工技術普及促進事業」
平成29年8月から平成30年12月まで、在阪の民間企業と共同で、日本品質のサドル付分水栓をホーチミン市に普及させ、さらにはサドル付分水栓の取付けに係る施工ライセンス制度を導入し、ホーチミン市における給水装置工事の施工技術向上を図るための事業を実施しました。
ホーチミン市における給水装置工事の実態調査の状況
施工講習会の状況
現地活動情報
インドネシア共和国ジャンビ市の水道改善に向けた取組
大阪市とインドネシア共和国ジャンビ市との関係
ジャンビ市は、インドネシア・スマトラ島中央部に位置し、市域面積は約205平方キロメートル、人口が60万人程度と、インドネシアでは中規模の都市であり、ジャンビ州の州都です。
令和4年2月に厚生労働省主催のインドネシアワークショップがオンラインで開催され、当局も参加し、そこでジャンビ市水道公社(Tirta Mayang)から同市の水道が抱える課題について講演があり、水道整備への日本の支援に強い期待が示されました。
その後、ジャンビ市の水道整備に大阪市の協力を得たいとの意向が示され、令和4年5月にジャンビ市より同市の水道改善への協力を依頼するレターを受領しました。
ジャンビ市は、市域面積が大阪市と同等であることや高低差が少なく平坦な土地であること、バタンハリ川という大河川の流域に位置し、水源も同河川に依存していることなど、大阪市と類似している点が多く、大阪市の抱える課題の多くは当局が過去に経験してきた課題であり、当局の技術・ノウハウが活用できること等を踏まえ、局内で検討を行った結果、水道改善に協力する意向を示すレターを令和4年6月に返信しました。
ジャンビ市水道の概要
ジャンビ市の水道は、同市の水道事業者であるジャンビ市水道公社(Tirta Mayang)が運営・管理しています。ジャンビ市では、水道普及率が100%に達しておらず、また浄水場の老朽化や維持管理の不備により浄水処理能力が減少し、さらに漏水率が高いなど、様々な課題を抱えています。
現在の取組内容
ジャンビ市の水道が抱える様々な課題の解決に向けて、令和4年11月に株式会社大阪水道総合サービスや民間企業と連携して、今後の支援事業立案の基礎とするため、現地調査を実施しました。
また、令和4年11月に「インドネシア共和国・ジャンビ市水道事業運営能力向上支援事業(人材育成)」をCLAIR(一般財団法人自治体国際化協会)自治体国際協力促進事業(モデル事業) に応募し、令和5年3月に採択されたことから、現地での水道改善活動を本格実施していく予定です。
老朽化したBenteng浄水場の様子
Aurduri取水口の様子
ミャンマー連邦共和国の水道改善に向けた取組
大阪市とミャンマー連邦共和国との関係
大阪市とヤンゴン市の行政機関であるヤンゴン市開発委員会(YCDC)は平成26年9月に上下水道・廃棄物処理等の都市インフラ開発に関する技術協力を促進することを目的とした「主要分野に関する協力関係に関する覚書」を締結し、下水道分野での技術協力を行う等、両市間での交流を進めてきました。水道分野については、平成28年12月から平成30年7月まで、(株)大阪水道総合サービスが、YCDCと民間事業者で実施していた「ヤンゴンにおける飲料水供給のための共同実証試験(平成28年3月から)」にアドバイザーとして参画し、以降もヤンゴン市における、より安全で安定的な水道の普及に取り組んでいます。
また、令和2年3月にはミャンマーの村落部の水道を管理するミャンマー中央政府農業畜産灌漑省地方開発局(DRD)と地方部の水道改善への協力に関するレターの交換を行い、令和2年12月にはマンダレー地方都市の水道を管理するマンダレー管区開発局(MRDA)とマンダレー地方都市(タウンシップ)における水道改善への協力に関するレター交換を行っています。
現在の取組内容
ヤンゴン市では、中央商業地区の発展が著しく、ダラ地区等の周辺地区を含む都市のインフラ強化が急務となっており、平成30年8月にヤンゴン市長から大阪市長宛てに、ヤンゴン市ダラ地区等の新興地域における水道改善プロジェクトへの大阪市の支援・協力について関心表明レターが送付され、同年9月に大阪市長からヤンゴン市長宛てにレターを送付し、今後、具体的な協力内容について協議・調整を図っていくことを確認しました。
また、平成31年1月29日から2月2日には、現地渡航を行い、大阪 水・環境ソリューション機構が主催する「大阪市・ヤンゴン市 水・環境技術交流セミナー」に大阪市建設局とともに参加し、ヤンゴン市水道事業の現況や計画されているプロジェクトの状況について確認し、ダラ地区等の新興地域における水道整備に関して、ヤンゴン市開発委員会(YCDC)水衛生局と協議・意見交換を実施しました。また、ダラ地区等の水道施設の現場調査を行い、ヤンゴン市水道の改善に向けた支援ニーズや今後の協力内容について協議・意見交換を実施しました。
ミャンマー国地方部では、水道水の水質・水量が不十分であり、未だ多くの住民が安全な飲料水へアクセスができない状況となっており、飲料水の確保は、重要な課題の一つとなっています。また、各国からの支援等により、一部の地域では水道施設の整備は行われているものの、その施設の運転・維持管理を担う技術者がおらず、水道事業を運営する職員の育成も課題となっています。これらの課題解決に向けて令和3年1月25日にマンダレー管区開発局(MRDA)と協議・意見交換を実施しました。
YCDC水衛生局との意見交換
井戸からの取水量を調査
大阪 水・環境ソリューション機構の活動
官民連携による水・環境分野の海外展開を推進するため、大阪市、公益社団法人関西経済連合会、大阪商工会議所が連携して、官民連携のプラットホームとなる「大阪市 水・環境ソリューション機構」を平成23年4月に設立しました。なお、平成24年8月からは、大阪府の関連部局も参画し、「大阪 水・環境ソリューション機構 」として、府市が連携して海外展開の取組を推進する体制となっています。水道局では、当機構の活動を通じて新しい案件形成などの取組を進めています。
その他情報
- 水道局職員の海外出張(ホーチミン市等)報告について(2023年9月10日~9月16日)
- 水道局職員の海外出張(ジャンビ市等)報告について(2023年7月23日~7月29日)
- 水道局職員の海外出張(ジャンビ市等)報告について(2022年11月6日~11月16日)
- 水道局職員の海外出張(ホーチミン市)報告について(2022年9月11日~9月17日)
- 水道局職員の海外出張(ホーチミン市)報告について(2019年8月27日~8月31日)
- 水道局職員の海外出張(ヤンゴン市)報告について(2019年1月29日~2月2日)
- 水道局職員の海外出張(ホーチミン市)報告について(2018年12月2日~12月5日)
- 水道局職員の海外出張(ホーチミン市)報告について(2018年8月27日~9月1日)
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大阪市水道局総務部連携推進課(広域連携・海外支援担当)
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