修景事例紹介 「帝塚山スタジオ(市川家住宅)」
2024年6月24日
ページ番号:559109
昭和初期に建てられた蔵と和洋折衷の主屋の改修

•建物名称:帝塚山スタジオ(市川家(いちかわけ)住宅)
•所在地:住吉区帝塚山西
•建築年:昭和初年頃
•構造・階数:木造、地上2階
•建物評価等:大阪市都市景観資源
•修景実施年度:平成30(2018)年度
モデル修景決定時の講評
大阪の市街地は近代以降の人口増加により、その周囲へと急速に拡大してきたという歴史があり、帝塚山スタジオが位置する帝塚山地区は、その初期に良好な住環境が形成され、現在もお住まいの皆さまによりその環境が継承されています。
本物件はこうした地域の景観を特徴づけている邸宅と蔵、緑豊かな庭という典型的な構成を継承しており、今回の修景により、建物の有する魅力の維持および向上はもちろん、地域に点在する同タイプの建築物の修景モデルになることも期待できます。特に修景対象の一つである蔵は、フラメンコスタジオとしての利用や、地域活動の場としての開放など地域に開かれた活用が既になされ、地域のシンボルとなっており、蔵及びその前面部の小屋の修景により、より地域にとって魅力的な存在となることが期待されます。さらに住居2階部分の洋風意匠は、地域が開発された当時の栄えゆく大大阪の進取の気風を現すものでもあり、その修繕・修景により、帝塚山という地域の成り立ちを知るものともなると考えられ、こちらに関しても広く公開がなされることを期待します。
(大阪市地域魅力創出建築物修景事業推進有識者会議委員 松本 邦彦)
建物について
洋館

ベランダ(石張り床・高欄)
西側の道路から一段下がった、本瓦葺き切妻屋根の蔵は、南側に妻、西側に平を見せ、地域の景観を特徴つけている。蔵は、外観を保ちながら、屋内はフラメンコスタジオに改修されている。入口の鉄製装飾格子の門扉は、現在の蔵の用途を示すとともに、洋館とのつながりを窺わせるもので、色彩的にも蔵との違和感はない。
蔵
入口
此度の修景で、主屋が保全され、洋館は、外壁・ベランダ、室内ともに当初の美しさを取り戻した。さらに、車庫や塀などの主屋に合わせた修景で、主屋と付属施設が一体化した景観が形成されたことは、大きな成果である。
市川家周辺の和洋折衷住宅や伝統的住宅も修景することで、市川家と一体化した景観が形成され、帝塚山の地域資産としての価値が向上すると思われる。
(大阪市地域魅力創出建築物修景事業 専門家相談員 植松 清志)
修景について
主な修景の内容
外壁の塗替え、手摺の取替え

修景前

修景後
- 経年劣化していた外壁は、既存類似色で塗替えられました。
- 手摺は、既存の意匠に合わせて製作したものに取替えられました。
蔵付属屋の外壁塗替え、化粧格子の設置など
修景前

修景後
- 隣接する蔵に調和するよう、外壁は漆喰風に塗替えられました。
- 外観の魅力を損なっていた部分を改善するとともに、和洋折衷の意匠と調和させるよう、メーターボックスの整理、木格子の設置、窓の化粧格子の設置といった修景が行われました。
舗装表層部の撤去及び新設
修景前
修景後
- 既存コンクリートの表層部の撤去し、コンクリート洗い出し仕上げで新設しました。
- 既存の屋根瓦の一部を象嵌し、デザインとして活用するといった工夫も行われています。
建物オーナーさん・設計者さんからのひとこと

洋館部分の傷みのひどい外壁の塗装替えや屋根部補修に加え朽ちていた木製の手すりの手作りによる原型復旧など修景補助の御陰で保全修景の設計者にも携わっていただき懸案であった箇所の思うような繊細な修復が出来て感謝しています。(建物オーナーさん)

数年前から洋館部の保全修理の相談を受けていた中で、今回の修景事業の活用を提案しました。特徴的な洋館部の保全に加えて道路際の修景整備ができ、これまで以上に地域における景観的役割が深まり、他への波及効果も期待したいところです。(設計者さん)
魅力発信等について
ホームページ等による情報発信
住吉区の都市景観資源としての発信や、まち歩きマップなどでの紹介が行われています。
フォトギャラリー

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