修景事例紹介 「鯛よし百番」
2024年9月27日
ページ番号:565370
きらびやかな近代和風建築の魅力回復のための修景
•所在地:西成区山王
•建築年:大正末期~昭和初期
•構造:木造
•階数:地上2階
•建物評価等:国登録有形文化財(平成12(2000)年)
•修景実施年度:令和3(2021)年度
「鯛よし百番」(以下百番、国登録有形文化財)は、元は飛田新地の遊郭で、大正13(1924)年~昭和3(1928)年に建築されたと推察される。内外装ともに、昭和22(1947)年~昭和23(1948)年頃から10年余りを費やして大幅に改修されている。北西隅を玄関としているため、大屋根の北西部を三角形に切り上げ、玄関上部の唐破風(からはふ)とともに正面性を強調している。2階は軒に朱塗りの提灯を連ね、出入口の上部に長押(なげし)を備え、欄間や建具周囲には彫物がはめ込まれ、繰形を施した桁が朱塗りの擬宝珠(ぎぼし)付き欄干(らんかん)を支えている。唐破風には懸魚(げぎょ)が設けられている。1階左右の下屋は本瓦葺き、木割りの太い格子がはめ込まれた豪壮な意匠である。現在は、小壁に「百番」の看板が掲げられた料理店であるが、その豊かな装飾から元遊郭の雰囲気が窺われる、貴重な遺構である。
参考文献:『飛田百番』(創元社、2004年)、『写真が語る「百番」と飛田新地』(洋泉社、2019年)
(大阪市地域魅力創出建築物修景事業 専門家相談員 植松 清志)
主な修景の内容
兔(う)の毛通(けどお)し・看板・欄間の補修および彩色、ブラケット照明の取替え
修景前
修景後
- 傷みが見られた兔の毛通し(破風板下部に取り付けられた懸魚)は既存のものに合わせて再製作し、彩色が施されました。
- 看板の文字部分は金箔押しが行われました。
修景前
修景後
- 兔の毛通しの再製作は岸和田だんじりの彫り師の河合賢申氏によって行われ、兔の毛通し・看板・欄間の彩色は漆芸家、蒔絵師の江藤國雄氏によって行われました。
- 引き戸横のブラケット照明は、覆いが木製のものに取替えられ、建物の雰囲気に調和するようになりました。
欄干・垂木・腕木の塗装
修景前
修景後
- 塗装の剥離が見られるなど、劣化していた欄干・垂木・腕木の塗装が行われました。
設備架台の撤去、室外機の移設
補強前
補強後
- 西玄関上部の設備架台の撤去、室外機の移設が行われ、欄干や窓が見えるようになりました。
建物オーナーさんからの一言
「鯛よし百番」の外観が美しく蘇りました。ご来訪いただく皆様には、この貴重な近代妓楼をご堪能頂ければと思っております。
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