ページの先頭です

大阪市内の川にすむ魚 (大阪市内河川魚類生息状況調査)

2023年11月8日

ページ番号:445202


 大阪市では、市民の皆さまに魚類の生息状況から見た大阪市内の河川のきれいさと魚種の豊富さを伝えていくため、平成3年度から概ね5年ごとに市内河川魚類生息状況調査を実施しています。きれいな水質でなければ生息できない魚種として、淡水域では、ハス・コウライモロコ・カワヒガイ・シロヒレタビラの4種、汽水域では、コチ属・クロダイ・ヒメハゼ・イシガレイの4種、計8種を指定し、大阪市内の全ての河川でこれらの魚が生息できるきれいな水質を確保することをめざしています。

 また、令和3年3月に策定した「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」実行計画においても、同計画の達成に向けた取組みの指標の一つとして「きれいな水質の河川に生息する魚の確認地点を全19地点に増やす」ことを掲げており、各種施策に取り組んでおります。

きれいな水質の河川に生息する魚

淡水(海水が混じっていない川)にすむ魚

ハスの写真
別ウィンドウで開く

ハス(コイ科)

コウライモロコの写真
別ウィンドウで開く

コウライモロコ(コイ科)

カワヒガイの写真
別ウィンドウで開く

カワヒガイ(コイ科)

シロヒレタビラの写真
別ウィンドウで開く

シロヒレタビラ(コイ科)

汽水(海水が混じった川の水)にすむ魚

コチ属(マゴチ)の写真
別ウィンドウで開く

コチ属(コチ科)

ヒメハゼの写真
別ウィンドウで開く

ヒメハゼ(ハゼ科)

クロダイの写真
別ウィンドウで開く

クロダイ(タイ科)

イシガレイの写真
別ウィンドウで開く

イシガレイ(カレイ科)

お知らせ

 道頓堀川でニホンウナギが捕獲されました。ニホンウナギは大阪府のレッドリストの絶滅危惧Ⅱ類に指定されている魚種であり、道頓堀川で確認されたのは、学術的な調査において初めてのことです。

令和4年度の調査結果概要

 令和4年度に実施した魚類生息状況調査では、大阪市内の河川19地点で調査を行い、大阪府レッドリストの絶滅危惧種Ⅰ類及びⅡ類に指定されるカワヒガイやシロヒレタビラ、ニホンウナギ、ミナミメダカなどを含め、在来種は42種が確認されました。また、コウライモロコやクロダイなどの「きれいな水質の河川に生息する魚」については、9地点で確認されました。

 大阪市では、今回の調査結果により判明した現状をふまえて、水辺の生物多様性を守るため、必要な施策を講じることにより魚類が生息できる水環境の改善・創造に努めてまいります。

調査地点

 大阪市内河川域 19地点


別ウィンドウで開く
調査地点
調査番号河川名調査地点名
1神崎川上流江口橋
2神崎川下流三国橋 
3淀川上流 菅原城北大橋(淀川大堰上流) 
4淀川下流 淀川大橋(淀川大堰下流) 
5寝屋川 朝日橋 
6第二寝屋川 下城見橋 
平野川 南弁天橋 
平野川分水路 片一橋 
大川 桜宮橋 
10 堂島川 大江橋 
11 土佐堀川 淀屋橋 
12 安治川上流船津橋下流部 
13 安治川河口 安治川内港 
14道頓堀川下大和橋 
15 尻無川上流岩崎橋 
16 尻無川河口 甚兵衛渡
17 木津川上流 水門下流部 
18 木津川河口 新木津川大橋
19 大和川 高野大橋

調査日程

 令和4年度魚類調査は、季節ごとの年4回で実施しました。

  • 春季調査 令和4年5月24日(火曜日)、25日(水曜日)、6月6日(月曜日)、7日(火曜日)、8日(水曜日)
  • 夏季調査 令和4年8月1日(月曜日)、4日(木曜日)、5日(金曜日)、8日(月曜日)、9日(火曜日)、17日(水曜日)
  • 秋季調査 令和4年10月31日(月曜日)、11月1日(火曜日)、7日(月曜日)、9日(水曜日)、11日(金曜日)
  • 冬季調査 令和5年2月22日(水曜日)、24日(金曜日)、27日(月曜日)、3月1日(水曜日)、3日(金曜日)

調査方法

 投網を用いて魚類を採取しました。投網の打数は1地点につき30回とし、調査範囲は調査地点を基準に上下流それぞれに200メートル程度の範囲としました。投網による方法で捕獲できないような小型の魚類が観察された場合には、タモ網を用いて採取しました。調査にあたっては、調査地点の状況、捕獲個体の状況が分かるように写真撮影並びに記録を行いました。

 また、捕獲した魚は調査後もとの河川に放しました。

投網の様子(船)
別ウィンドウで開く

投網の様子(船での調査)

投網の様子(陸)
別ウィンドウで開く

投網の様子(陸での調査)

タモ網
別ウィンドウで開く

タモ網調査の様子

調査結果概要

  •  確認された魚種は45種で、前回調査(平成29年度調査、以下同じ。)と比べて7種減少しました。うち在来種については42種で、前回調査と比べて4種減少しました。
  •  確認種数(在来魚、外来魚合わせた種数)が多かった地点は、神崎川上流(17種)、大和川(15種)、淀川下流(14種)、淀川上流(13種)、大川(12種)でした。
  •  きれいな水質の河川にすむ魚の確認地点数は9地点であり、前回調査(10地点)とほぼ変わらない結果となりました。
  •  大阪府レッドリスト2014において絶滅危惧種として記載されている、カワヒガイ(絶滅危惧Ⅰ類)が神崎川上流で、ニホンウナギ(同Ⅱ類)が淀川下流で、ミナミメダカ(同Ⅱ類)が大和川で、生息が確認されました。また、大川でシロヒレタビラ(同Ⅰ類)が平成13年度調査を最後に確認されていませんでしたが、久しぶりに確認されました。また、神崎川下流・尻無川河口では、初めてきれいな水質の河川にすむ魚が確認されました。
  •  これまできれいな水質の河川にすむ魚が確認されていた大和川においては、大規模な治水工事などにより生息状況が変化したことから、きれいな水質の河川にすむ魚が確認できなかったと考えられます。
  •  外来種については、オオクチバス(ブラックバス)は4地点(前回調査5地点)で、ブルーギルは5地点(前回調査6地点)で確認されており、前回に比べ生息範囲が狭まりましたが、市内河川全体の個体数は増加していました。なお、前回確認されたコクチバスは確認されませんでした。
調査で確認された魚種の経年変化
 平成3年度平成8年度平成13年度平成18年度平成23年度平成29年度令和4年度
きれいな水質の河川にすむ魚の確認地点数 5地点4地点9地点9地点11地点10地点9地点
 確認された魚種数40種
40種40種39種47種52種45種
上記のうち、在来種の種数36種36種34種36種42種46種42種

河川ごとの特徴

神崎川

 上流域では、前回調査に引き続き、きれいな水質の河川にすむ魚であるコウライモロコが最も多く捕獲されました。また、ブルーギルなどの外来種については、前回から大きな変化はありませんでした。

 下流域では、ボラ、スズキ、キチヌなどの汽水性海水魚が最も多く確認されました。

淀川

 上流域では、前回調査で確認された在来種であるオイカワの個体数が激減し、ブルーギル、オオクチバスなどの外来種による脅威が増加している可能性があります。
 下流域では、ボラ、マハゼなどの汽水性海水魚が最も多く確認されました。

寝屋川・第二寝屋川

 寝屋川では、比較的汚濁に強いボラが多く確認されました。また、初めてニゴイ属が確認され、在来種であるオイカワ、モツゴ、ギンブナについても引き続き確認されました。第二寝屋川では、ボラ、コイの2種が確認されました。

平野川・平野川分水路

 前回調査に引き続き、ボラなどの比較的汚濁に強い種が多く確認されました。平野川分水路では、タモロコ、オイカワが確認されるなど水環境の改善が見られました。

大阪市内河川

 大川ではオオクチバスの個体数が増加するなど、ブルーギル、オオクチバスなどの外来種による脅威が増加している可能性があります。
 道頓堀川では、きれいな水質の河川にすむ魚であるコウライモロコが前回調査同様に確認され、魚種数が増えるなど良好な方向へ向かっていると推測されます。また、別の調査ではニホンウナギが確認されています。
 安治川、尻無川、木津川など汽水域では、スズキ、ボラなど汽水性海水魚が多く確認されました。また、きれいな水質の河川にすむ魚であるイシガレイやハゼ類などの底生魚が確認されるなど良質な水質状況が維持されています。一方で、底質にヘドロが残っている地点もあることから、魚類生息状況をさらに向上させるためには底質の今後の一層の改善が必要と考えられます。

大和川

 前回調査と比較して、種類及び個体数とも減少しています。
 溶存酸素など水質データは良質な水質状況が維持されていますが、調査地点付近では、大規模な治水工事による岸際の樹木伐採や護岸整備がなされ、岸際の状況が変化したことから、きれいな水質の河川にすむ魚が確認できなかったと考えられます。

令和4年度 市内河川魚類生息状況調査結果概要

Adobe Acrobat Reader DCのダウンロード(無償)別ウィンドウで開く
PDFファイルを閲覧できない場合には、Adobe 社のサイトから Adobe Acrobat Reader DC をダウンロード(無償)してください。

大阪市内の川の魚 写真一覧(令和4年度調査で確認された魚種)

ア行

アイゴの写真
別ウィンドウで開く

アイゴ(アイゴ科、汽水・海水魚)
【一般生態】沿岸の藻場や岩礁域に生息。産卵期は7~8月。最初仔稚魚は大きな群れをつくるが、2センチメートル前後に成長すると流れ藻に付いて浮遊する。この頃の稚魚は主に動物プランクトンを食べているが、その後、波の静かな内湾域や汽水域に棲み付き、徐々に藻類を餌とする割合が多くなる。成魚は藻食性が強く、ホンダワラ類など海藻を好むが、藻に付いた甲殻類やゴカイなども摂食する。生後2年で全長25センチメートル前後になり成熟。

アベハゼの写真
別ウィンドウで開く

アベハゼ (ハゼ科、汽水・海水魚)
【一般生態】河川の河口域に生息し、岸寄りの軟泥底の穴の中、石やカキ殻の間などに生息。有機汚濁にも強く、他のハゼ科魚類が姿を消した後でも最後まで生き延びている。繁殖期は4~8月。雑食性。

アユの写真
別ウィンドウで開く

アユ(アユ科、通し回遊魚)
【一般生態】春から秋にかけて、若魚期から成魚期を、主として川の中流域で生活するが、ふ化した仔魚は秋に海に下り、翌春まで仔魚期を海で送る。主として石底に付着する藻類を食うが、生息環境によっては水生昆虫や動物プランクトンなども食う。また、仔魚・稚魚のころは浮遊動物を食う。

イシガレイの写真
別ウィンドウで開く

イシガレイ(カレイ科、汽水・海水魚)
【一般生態】沿岸浅所から水深100メートルまでの砂泥底に生息するが、隣接した淡水域にも入る。産卵期は12~7月で、産卵は湾奥部の河口域沖合の水深40メートル以浅で行われる。ふ化直後の仔魚は全長3ミリメートル前後。全長13ミリメートル前後になる頃には左眼は右体側部への移動を完了し底生生活へ移行する。一般に全長5センチメートル未満の個体は春に水深2メートル前後の河口や港内に、体長が7センチメートルになる頃から沖合に移動していく。大阪市では、きれいな水質の河川にすむ魚に指定している。

ウキゴリの写真
別ウィンドウで開く

ウキゴリ(ハゼ科、通し回遊魚)
【一般生態】河川の汽水域から中流域までの流れの緩やかなワンドに多い。動物食性で、河川では水生昆虫やハゼ類の幼魚を餌にしている。産卵期は北九州で12~5月、京都府で1~5月。川の流れのある箇所の石の裏に産卵、川でふ化した仔魚は直ちに海に流下し、沿岸部で浮遊生活を送り動物プランクトンを食う。全長4センチメートルで海から川へ進入し、底生生活を送りながら遡上していく通し回遊魚である。

ウロハゼの写真
別ウィンドウで開く

ウロハゼ(ハゼ科、汽水・海水魚)
【一般生態】河川の河口域や汽水湖に生息し、純淡水域まで侵入することは少ない。泥底を好み、障害物の下や隙間に単独で潜んでいることが多い。繁殖期は夏で、障害物の下で産卵し、オスが保護する。動物食性で魚食性が強い。

オイカワの写真
別ウィンドウで開く

オイカワ(コイ科、純淡水魚)
【一般生態】河川の中・下流域および湖沼に広く分布する。浅く開けた場所に多い。河川では春から秋に主として平瀬で活動する。川では付着藻類を中心に、流下・落下する昆虫や底生昆虫を食う。湖では底生動物から半底生浮遊動物・浮遊動物、さらに付着藻類まで食う。

オオクチバスの写真
別ウィンドウで開く

オオクチバス(サンフィッシュ科、純淡水魚)
【一般生態】湖沼を主なすみかとするが、河川の下流域の流れのゆるやかなところにもすんでいる。魚・大型エビ・カエルなどを好むが、やや小型のものは水生昆虫をも食う。北米原産の移入種。

カ行

カタクチイワシの写真
別ウィンドウで開く

カタクチイワシ(カタクチイワシ科、汽水・海水魚)
【一般生態】沿岸の表層域に生息し、大きな群をつくる。天然では仔稚魚の生残率が非常に低く、全長10ミリメートルに達するまでに99.9パーセントが弱ったり、食べられて死ぬ。主産卵場は沿岸の陸棚。動物プランクトン、植物プランクトンを食う。

カダヤシの写真
別ウィンドウで開く

カダヤシ(カダヤシ科、純淡水魚)
【一般生態】水田、用水路、平地の池沼・湖等に広く分布する。雑食性で、水面に落下した小さな昆虫、動物プランクトン、植物プランクトン、糸状藻類を食う。北アメリカ原産の移入種であるが、日本へは蚊の幼虫であるボウフラの撲滅を目的として移入された。名前のカダヤシは「蚊絶やし」に由来する。

カネヒラの写真
別ウィンドウで開く

カネヒラ(コイ科、純淡水魚)
【一般生態】湖沼や河川、農業水路に生息する。河川や農業水路では流れの速い場所でも産卵・生息し、逆にため池では繁殖できない。「タマリ」など流れのほとんどない場所でも生息できる「止水適応種」である。また流速的には、速い場所(流心部)でも活発に遊泳し、産卵できる「高流速適応種」である。稚魚や幼魚は主に付着藻類を餌にするが、成魚になるとオオカナダモなど水草を積極的に食う。

カマツカの写真
別ウィンドウで開く

カマツカ(コイ科、純淡水魚)
【一般生態】川の中・下流域や湖の沿岸と、これらに連絡する潅漑用水路に生息する。砂底ないし砂礫底のところに多い。よく砂に潜る。5~7月の夜間に平瀬でペア産卵する。主に底生動物をとる雑食性で、幼魚は藻類も食う。

カライワシの写真
別ウィンドウで開く

カライワシ(カライワシ科、汽水・海水魚)
【一般生態】暖海沿岸域の表層に生息、幼魚は汽水域に侵入することもある。

カワヒガイの写真
別ウィンドウで開く

カワヒガイ(コイ科、純淡水魚)
【一般生態】河川の中・下流域やこれに連絡する潅漑用水路の、わずかに流れがある水深1~3メートル程度の砂底または砂礫底を主な生息場所とし、岩や沈水植物のすき間にひそむ。イシガイ科の二枚貝に産卵する。ユスリカ幼虫などの水生昆虫、小型巻貝、石面に付着する有機物や藻類を食う。大阪市では、きれいな水質の河川にすむ魚に指定している。

ギギの写真
別ウィンドウで開く

ギギ(ギギ科、純淡水魚)
【一般生態】主に河川中流域に生息し、昼間は礫間や抽水植物帯等に隠れ、夜に遊泳して主に小動物を捕食する。5~7月に礫の間隙内でペアをつくって産卵、雄親が巣内で卵と仔稚魚を保護する。

キチヌの写真
別ウィンドウで開く

キチヌ(タイ科、汽水・海水魚)
【一般生態】沿岸や内湾の岩礁を好む。稚魚や幼魚は河口域や汽水域に侵入する。産卵期は盛期が10月と推定されており、11月に体長1~2センチメートルの稚魚が出現する。貝類や多毛類を食う。

ギンブナの写真
別ウィンドウで開く

ギンブナ(コイ科、純淡水魚)
【一般生態】ギンブナは河川の下流の淀みや支流の合流点に近い水域、平地の低湿地帯や沼地に生息する。雑食性で底生動物、藻類、動物プランクトンを食う。産卵期は4~6月で、大雨のあと浅場に集まり、浮いた水草の葉や茎などに卵を産みつける。

クロダイの写真
別ウィンドウで開く

クロダイ(タイ科、汽水・海水魚)
【一般生態】稚魚・幼魚期のクロダイは夏から秋の間、内湾や沿岸域に定着し、純淡水の中流域まで侵入することもまれではない。産卵期は春から初夏。本種は塩分や水温など環境に対する適応性が高く、水温は3度以上30度以下であれば充分生存が可能である。生後1年で15センチメートル前後に成長し、10年以上生きる。雑食で、浮遊仔魚期には動物プランクトン、底生生活に移行するころからエビ類や巻貝の幼生、底生のアミ類やヨコエビ類など、全長30センチメートルを超える頃から藻類も食うようになる。大阪市では、きれいな水質の河川にすむ魚に指定している。

コイの写真
別ウィンドウで開く

コイ(コイ科、純淡水魚)
【一般生態】大きな川の中・下流域から汽水域、湖、池沼に生息し、流れのゆるやかな淵、砂泥底を主な生息場所とする。産卵盛期は4~6月で、湖沼、河川の浅場の水草などに卵を産み付ける。食性は、底生動物を中心とする雑食性であり、貝類、ユスリカ幼虫、イトミミズ、さらに付着藻類、水草などを食う。

コウライモロコの写真
別ウィンドウで開く

コウライモロコ(コイ科、純淡水魚)
【一般生態】大きな川の中・下流域に生息する。流れのゆるい砂底や砂礫底の底近くを群泳する。河川の本流と農業水路を季節的に回遊する。繁殖期は5~7月。雑食性。大阪市では、きれいな水質の河川にすむ魚に指定している。

ゴクラクハゼの写真
別ウィンドウで開く

ゴクラクハゼ(ハゼ科、通し回遊魚)
【一般生態】河川の下流域と汽水域の砂礫底に生息する。汽水域では春から夏にかけてマハゼやアシシロハゼの未成魚とともに群れているが、そのなかでも本種は塩分濃度の低いところに多い。河川下流域では流れのない場所に多い。産卵期は7~10月で、砂に半分埋まった石の裏面に卵を産みつける。ふ化した仔魚は海に下り、秋に2~3センチメートルに成長して川に入り、底生生活に移る。成長に伴い汽水域から淡水域へと上っていく両側回遊性。雑食性で、底生小動物や水生昆虫を主体に、付着藻類も食う。

コノシロの写真
別ウィンドウで開く

コノシロ(ニシン科、汽水・海水魚)
【一般生態】沿岸や河口の汽水域に生息し、沖合にはほとんど移動しない。春から秋は内湾の塩分濃度が低い河口域などに生息し、冬期には湾口部の比較的深部に移動して越冬する。4~5月頃、河口域へ侵入して産卵する。卵は分離浮遊卵で2~3日でふ化。満1歳で成熟し、3年ほど生きる。主に珪藻や橈脚類などを食べるプランクトン食性。

サ行

サッパの写真
別ウィンドウで開く

サッパ(ニシン科、汽水・海水魚)
【一般生態】内湾性で沿岸の砂泥底にすみ、汽水域にも入る。5~6月頃、岸辺の浅場で産卵する。プランクトン食性。

サヨリの写真
別ウィンドウで開く

サヨリ(サヨリ科、汽水・海水魚)
【一般生態】沿岸性の表層魚で内湾に多く、動物性プランクトンを主食とする。幼魚は河口の汽水域にも入る。雄は1~2年で、雌は2年で成熟し、5~8月に藻場や流れ藻に産卵する。

シマイサキの写真
別ウィンドウで開く

シマイサキ(シマイサキ科、汽水・海水魚)
【一般生態】若魚は沿岸の浅場や河口の汽水域に生息し、淡水域に入ることもある。成長するにつれて沖合に移動する。釣り上げるとうきぶくろを伸縮させて発音する。産卵期は春から夏で、5~8月。10ミリメートル前後の稚魚は6~9月に岩礁の波打ち際に出現する。成長するにつれて、河口の汽水域に現れるようになる。ゴカイなど多毛類や甲殻類、小型魚類などを食べる。

シロヒレタビラの写真
別ウィンドウで開く

シロヒレタビラ(コイ科、純淡水魚)
【一般生態】河川中~下流域、平野部の細流や潅漑用水路、湖沼に生息し、琵琶湖では沖合の水深30メートル以深にも見られる。付着藻類や底生動物を食べる。産卵期は4~9月で、カタハガイ、イシガイ、ドブガイ類に卵を産む。満1年で体長3~5センチメートルに達し、雌雄とも大部分は成熟。河川や農業水路では主に流れのある場所に生息する。主に流れのある場所に生息・産卵する「流水生種」で、流速的には早い場所(流心部)でも活発に遊泳し、産卵できる「高流速適応種」である。大阪市では、きれいな水質の河川にすむ魚に指定している。

スズキの写真
別ウィンドウで開く

スズキ(スズキ科、汽水・海水魚)
【一般生態】波の荒い沿岸や内湾、河口域の岩礁域や人工漁礁に生息する。また、若魚は汽水域や淡水域にも出現する。季節的な深浅移動を行う。夏季には浅場で生活するが、冬季には比較的深場へと移動する。産卵期は晩秋から春で、産卵場所は外洋に面した沿岸の水深50メートルの岩礁域。ふ化後半年ほどたった6月前後には体長5センチメートル前後の稚魚が河口の汽水域や河川の淡水域にも出現する。体長2~3センチメートルの仔稚魚はアミ類やヨコエビ類を摂食するが、成長するにつれてエビ類や魚類も食べるようになる。20センチメートル以上の若魚や成魚は主にイカナゴやハゼなど魚類を好み、ほかにテナガエビやスジエビなどの甲殻類を捕食するようになる。

タ行

タモロコの写真
別ウィンドウで開く

タモロコ(コイ科、純淡水魚)
【一般生態】川の中・下流域や細流、湖沼、池などの淀んだ水域の中層や底層を主な生息場所とする。動物にかたよった雑食性で、ユスリカ幼虫、イトミミズ、水草などのほか、ヨシノボリ類の幼魚注をも食う。

チチブの写真
別ウィンドウで開く

チチブ(ハゼ科、通し回遊魚)
【一般生態】汽水域を好むが、純淡水でも繁殖できる。河口域や下流域の礫・転石や人工的な投棄物のある場所に集まり、隠れ場を占有する。雑食性で藻類や各種の小動物、小型の魚類などを食う。

トウヨシノボリ類の写真
別ウィンドウで開く

トウヨシノボリ類(ハゼ科、通し回遊魚)
【一般生態】淡水湖と汽水湖およびその流入河川に生息する。海に直接注ぐ河川にも見られるが、その川の勾配は多くの場合、極端にゆるい。産卵期は5月~7月上旬で中流域のやや流れの速い部分の石下面に卵を産みつける。仔魚はいったん湖に下り、8月ごろから川を上り始める。成魚の餌は、カゲロウやトビケラなどの水生昆虫の幼虫が多い。湖に流下した稚魚は底生生活に入ると、ユスリカの幼虫を多く食う。トウヨシノボリ類はいくつかの種や型を含んだ総称。

ナ行

ニゴイ属
別ウィンドウで開く

ニゴイ属(コイ科、純淡水魚)
【一般生態】ニゴイもしくはコウライニゴイの幼魚である。大きな川の中・下流域から汽水域、また湖にも生息する。流れの緩やかな水域の底層部、特に砂底に多い。耐塩性がやや強く、汚濁や富栄養化にも強い。雑食性で水生昆虫を主体に、付着藻類や小魚も食う。産卵期は4~7月(以上はニゴイの生態)。

ニホンウナギ
別ウィンドウで開く

ニホンウナギ(ウナギ科、通し回遊魚)
【一般生態】成魚は沿岸部から河川上流域に幅広く生息する。淡水域に遡上しない個体もいる。降河回遊を行い、海で産卵、ふ化後、透明な幼生の段階を経て、シラスウナギとなって晩秋から初冬頃、河川遡上を開始する。体が色づく10センチメートル程度のクロコと呼ばれる段階で活発に遡上を続け、やがて定着する。5~10年程度生活した後、秋に産卵場所である深海へ移動を開始する。動物食性で、甲殻類、魚類などを幅広く摂餌する。

ヌマチチブ
別ウィンドウで開く

ヌマチチブ(ハゼ科、通し回遊魚)
【一般生態】川の汽水域から中流域、汽水湖、ため池など、きわめて多様な場所にあらわれる。泥底にも生息するが、本来は岩や倒木、杭などのかたい基底がある場所や礫底を好む。止水あるいは流れの緩やかなところに多いが、平瀬にも侵入する。雑食性で付着藻類もかなり食う。産卵期は春から夏。

ハ行

ハスの写真
別ウィンドウで開く

ハス(コイ科、純淡水魚)
【一般生態】湖の岸近く、内湖、大きな河川の下流域に生息する。河川とつながりがあれば池沼や農業水路にも侵入する。琵琶湖では表・中層を単独で遊泳する。繁殖期は5~8月。湖岸や流入河川の砂礫底で産卵する。日本産コイ科魚類では数少ない典型的な魚食魚で、体長7センチメートル以下の個体は動物プランクトンを専食する。大阪市では、きれいな水質の河川にすむ魚に指定している。

ヒイラギの写真
別ウィンドウで開く

ヒイラギ(ヒイラギ科、汽水・海水魚)
【一般生態】内湾の砂泥底や河口域で生活し、汽水域に入ることもある。産卵は5月中旬~7月。餌は主に底生動物。体は粘液でおおわれ、うろこは小さい。口は著しく前方にのびる。

ヒメハゼの写真
別ウィンドウで開く

ヒメハゼ(ハゼ科、汽水・海水魚)
【一般生態】河口域やそれに続く前浜干潟に生息する。砂底を好み、底砂によく潜る。生息水深は1~10メートル。産卵期は春から夏にかけてである。動物食性で小型の底生動物を食べる。大阪市では、きれいな水質の河川にすむ魚に指定している。

ブルーギルの写真
別ウィンドウで開く

ブルーギル(サンフィッシュ科、純淡水魚)
【一般生態】湖では沿岸帯の水生植物帯、また河川でも流れのゆるやかな水草帯などに生息する。産卵期は6~7月で、雄が岸近くの浅瀬にすりばち状の巣をつくり、雌を呼び入れて産卵させる。浮遊動物、水生昆虫、エビ、水生植物などを好み、季節によっては魚卵や小魚なども食う雑食性である。北米原産の移入種。

ボラの写真
別ウィンドウで開く

ボラ(ボラ科、汽水・海水魚)
【一般生態】全長60センチメートルに達する。季節的に小規模の回遊を行う。春から秋には沿岸の内湾や湖で索餌、成長し、秋以降に外海に移動して産卵をした後に越冬する。産卵期は秋から冬で、関東周辺、紀伊半島や高知沖、九州では10~1月に産卵される。産卵場は潮通しのよい外海や外海に面した10メートル以深の海底。翌春に全長3~6センチメートルに達すると銀白色になり、外洋から沿岸の河口や河川に侵入して生活する。秋には全長20~25センチメートルに成長して湾内に戻る。雑食性で動物プランクトンや珪藻、付着藻類、デトリタス、底生の小動物を底泥ごと食う。そのため、ボラの胃は筋肉がそろばん玉のように発達して、この胃の中で泥と栄養分をより分け、泥は排出してしまう。

マ行

マイワシの写真
別ウィンドウで開く

マイワシ(ニシン科、汽水・海水魚)
【一般生態】プランクトンを濾過摂食しながら沿岸から沖合の海面近くを群泳する。春から夏にかけて北上し、秋から冬にかけて南下する群れの他に、大規模な回遊を行わない地付きの群れとがある。産卵期盛期は2~5月。水深数十メートルで行われる。シラス期には動物プランクトンを食べ、成長するに従いより大型の餌を摂るようになる。成魚に近づくと珪藻類も食べる。

マゴチの写真
別ウィンドウで開く

マゴチ(コチ科、汽水・海水魚)
【一般生態】沿岸域(水深30メートル以浅)の砂泥底に生息。雌の方が成長は早く最大体長が65センチメートル程度であるのに対し、雄は40センチメートルに満たない。肉食で底生のエビ・カニ類や小型の魚類などを捕食する。産卵期が過ぎた秋に摂餌行動が活発になるが、冬から春にかけては不活発で、砂中に潜っていることが多い。大阪市では、きれいな水質の河川にすむ魚に指定している。

マハゼの写真
別ウィンドウで開く

マハゼ(ハゼ科、汽水・海水魚)
【一般生態】全長25センチメートル前後に成長する。海底が砂泥質の内湾や干潟、河口域の海底に生息する。季節的な深浅移動をしており、夏はごく浅海域にいるが、水温の低下とともに深場に移動する。産卵期は関東で早春、南日本で冬から早春である。夏季には多数の未成魚が河川下流域に侵入する。主にゴカイ類を餌とし、小魚や藻類も食う。多くの個体は1歳で成熟し産卵後に死ぬが、2歳まで生きて成熟する個体もある。

ミナミメダカの写真
別ウィンドウで開く

ミナミメダカ(メダカ科、純淡水魚)
【一般生態】平地の池や湖、水田や用水、河川下流域の流れのゆるいところに生息する。本種の属名のOryziasはイネの属名のOryzaに由来する。動物プランクトンや植物プランクトンの他、小さな落下昆虫などを食う雑食性。底生動物はほとんど食わない。本種は顕著な昼行性で、日中は浅いところで盛んに摂食し、夜間にはそれより少し深いところや水草の中で過ごす。卵は水草などに産み付ける。

メナダの写真
別ウィンドウで開く

メナダ(ボラ科、汽水・海水魚)
【一般生態】成魚、幼魚ともに濁りの強い内湾や潟湖に生息し、幼魚は春から秋にかけて河川汽水域に侵入する。

モツゴの写真
別ウィンドウで開く

モツゴ(コイ科、純淡水魚)
【一般生態】湖や池沼、それに続く細流や、さらに川の下流域に生息し、泥底の淀みに多い。汚水や環境の変化にも強く、都市河川などにもみられる。雑食性で、底生動物や付着藻類などを食い、成魚は主にユスリカの幼虫をとっている。

ワ行

ワカサギの写真
別ウィンドウで開く

ワカサギ(キュウリウオ科、通し回遊魚)
【一般生態】全長15センチメートルになる。湖沼、河川、内湾の汽水域に生息する。河川では蛇行した流れの淀んだ部分などに棲む。産卵期は春で、湖岸や川岸の水草や砂礫底に付着卵を産みつける。主に小型の動物プランクトンを食う。利根川と島根県以北の本州、北海道に自然分布するが、太平洋側の生息地は少ない。

参考文献

Adobe Acrobat Reader DCのダウンロード(無償)別ウィンドウで開く
PDFファイルを閲覧できない場合には、Adobe 社のサイトから Adobe Acrobat Reader DC をダウンロード(無償)してください。

これまでの市内河川魚類生息状況調査の結果(平成29年度まで)

SNSリンクは別ウィンドウで開きます

  • Facebookでシェア
  • Xでポストする
  • LINEで送る

探している情報が見つからない

【アンケート】このページに対してご意見をお聞かせください

入力欄を開く

ご注意

  1. こちらはアンケートのため、ご質問等については、直接担当部署へお問い合わせください。
  2. 市政全般に関わるご意見・ご要望、ご提案などについては、市民の声へお寄せください。
  3. 住所・電話番号など個人情報を含む内容は記入しないでください。

このページの作成者・問合せ先

大阪市 環境局環境管理部環境管理課水環境保全グループ

住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北2-1-10 ATCビルO’s棟南館5階

電話:06-6615-7984

ファックス:06-6615-7949

メール送信フォーム