「大阪市ヘイトスピーチの対処に関する条例案要綱(案)」の意見募集結果を公表します
2025年1月7日
ページ番号:309374
このたび、意見募集の実施結果、並びにいただいたご意見の要旨、ご意見に対する本市の考え方をとりまとめましたので公表します。
多数のご意見をいただき、まことにありがとうございました。
意見募集の実施結果について
意見募集の概要
募集期間
平成27年3月13日(金曜日)から4月12日(日曜日)まで
募集方法
意見受付結果
受付通数
1,569通
(うち、大阪市内 336通、大阪市外・不明 1,233通)
意見総数
3,368件
(うち、大阪市内 720件、大阪市外・不明 2,648件)
主なご意見と本市の考え方
ご意見としては、憲法で保障されている表現の自由との関係から、慎重な取扱いを求める趣旨のものや大阪市がヘイトスピーチを許さないとする姿勢を打ち出す意味は大きいとするもの、ヘイトスピーチ審査会の中立・公平性の確保等について多数のご意見をいただきました。いただいたご意見に鑑み、表現活動のヘイトスピーチへの該当性などを審査するヘイトスピーチ審査会においても中立・公正なご意見をいただけるよう、審査会の委員について、政治的に中立であることをその要件に加えていく必要があると考えておりますとともに、制度実施の際には、その適正な運用に努めてまいる所存です。
大阪市では、いただいたご意見を、今後の検討の参考とさせていただきながら、引き続き、条例の制定に向けた手続を進めてまいります。
意見総数 3,368件 | |
1. 条例制定の趣旨や意義に関するもの (2,267件) | |
---|---|
ご意見の要旨 | 本市の考え方 |
【本案は、表現の自由等を侵害し憲法違反】 | 憲法で表現の自由等が保障されていますが、ヘイトスピーチは、社会や人々に不安感や嫌悪感を与えるだけでなく、人としての尊厳を傷つけ、差別意識を生じさせることにつながりかねないものです。 |
【ヘイトスピーチの定義があいまい】 | 「ヘイトスピーチ」の定義については、本案において、表現活動の「目的」、「態様」及び「発信対象(受け手)」の3つの観点からの要件を設けるとともに、演説などの発言行為だけではなく、印刷物や光ディスク、インターネットのウェブサイト等への書き込み・掲載など一切の「表現活動」を含めるなど、定義づけを明確にしています。単なる批判や非難にとどまるものであれば、対象外となります。 |
【外国人や特定の民族の利益となり、あるいは、日本人の言論弾圧】 外国人や特定の民族の利益となり、日本や日本人に不利な状況をもたらすものである。外国人の日本批判や犯罪行為を放置し、日本人の言論を弾圧し、権利や自由を制限するのはおかしい。 | 大阪市内において現実に特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的な言動が行われている状況を踏まえ、ヘイトスピーチが個人の尊厳を害し差別の意識を生じさせるおそれがあることから、「大阪市人権尊重の社会づくり条例」に基づき人権施策を積極的に推進している本市として、ヘイトスピーチは許さないという姿勢を明確にすることによって、ヘイトスピーチから市民等の人権を擁護し、その抑止を図っていくために、条例を制定する必要があると考えています。 |
【条例制定に賛成】 ・一地方自治体の大阪市がヘイトスピーチを許さないとする姿勢を打ち出す意味は大きい。全国に取組が広がることを願います。 ・大阪市がヘイトスピーチに対処する条例を作ることは、日本に対する国際的な信頼を失墜させないための大きな足がかりになる。 | ヘイトスピーチは、社会や人々に不安感や嫌悪感を与えるだけでなく、人としての尊厳を傷つけ、差別意識を生じさせることにつながりかねないものです。 |
【被害者は訴訟も含め現行法制度で救済されている】 | 大阪市内において、ヘイトスピーチが行われている現実を踏まえ、「大阪市人権尊重の社会づくり条例」に基づき人権施策を積極的に推進している本市として、条例を制定することでヘイトスピーチは許さないという姿勢を明確にし、ヘイトスピーチから市民等の人権を擁護し、その抑止を図っていく必要があると考えています。そうした観点から訴訟費用等の支援を行うことも考えています。 |
【日本人へのヘイトスピーチも同様に対処すべき】 | ヘイトスピーチが個人の尊厳を害し差別の意識を生じさせるおそれがあることから、本制度は、国籍を問わず、ヘイトスピーチから市民等の人権を擁護し、その抑止を図っていくことを目的としており、大阪市が進めている人権尊重の社会づくりに資するものと考えています。 |
【まず、ヘイトスピーチが発生した原因を考えるべき】 | 大阪市内において現実に特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動が行われており、差別を助長させるおそれが生じていることが問題であると考えています。そのためにも、人権尊重の社会づくりを積極的に進めている本市として、ヘイトスピーチは許さないという姿勢を明確にすることによって、ヘイトスピーチから市民等の人権を擁護し、その抑止を図っていくことが必要であると考えています。 |
【日本においてヘイトスピーチは行われていない】 | 大阪市内において現実に特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的な言動が行われており、条例制定により、個人の尊厳を害し差別の意識を生じさせるおそれがあるヘイトスピーチから市民等の人権を擁護し、その抑止を図る必要があると考えています。 |
【条例の目的について他の目的があるのでは】 本案の目的として、日本人の自由の制限や、外国人の優遇、特定の政治勢力の伸長、弁護士の優遇等の目的があるのではないか。 | 大阪市内において現実に特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的な言動が行われている状況を踏まえ、ヘイトスピーチが個人の尊厳を害し差別の意識を生じさせるおそれがあることから、ヘイトスピーチに対処するため本市がとる措置等に関し必要な事項を定めることにより、市民等の人権を擁護するとともにヘイトスピーチの抑止を図ることを条例制定の目的としています。 |
【既存制度で対処可能】 | 大阪市内において現実に特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的な言動が行われている状況を踏まえ、ヘイトスピーチが個人の尊厳を害し差別の意識を生じさせるおそれがあることから、「大阪市人権尊重の社会づくり条例」に基づき人権施策を積極的に推進している本市として、ヘイトスピーチは許さないという姿勢を明確にすることによって、ヘイトスピーチから市民等の人権を擁護し、その抑止を図っていくために、条例を制定する必要があると考えています。 |
【現行法を越えるべきでない】 | 本制度は、本市として、ヘイトスピーチを許さない姿勢を明確に示すことでヘイトスピーチから市民等の人権を擁護し、その抑止を図ることを目的として、憲法が保障する表現の自由等に十分に配慮し、ヘイトスピーチにかかる公表や、訴訟費用等の支援など、現行法制度の下でとりうる措置を条例で定めようとするものです。 |
【大規模なテロ事件が起きたら、誰が責任を取るのか】 | 仮に団体からヘイトスピーチを受けたとする申出があり、その表現活動がヘイトスピーチに該当すると認められる場合でも、必要な措置を講じるのはその表現活動に対してであり、当該団体への支援についても、訴訟費用等の支援に限定しており、当該団体のテロ行為を防止するために権限を有する公的機関が必要な措置をとることを妨げるものではありません。 |
2. 条例案要綱(案)に関するもの(903件) (1)定義に関するもの(153件) | |
ご意見の要旨 | 本市の考え方 |
【市の区域外の行為も対象とすべきでない】 | 市民等の人権を擁護する観点から、本市の区域内で行われたヘイトスピーチはもとより、区域外で行われたものであっても市民等の人権を侵害するものには対処すべきであると考えています。 |
【「ヘイトスピーチ」を別の用語に変えるべき】 | 「大阪市人権尊重の社会づくり条例」に基づき人権施策を積極的に推進している本市として、ヘイトスピーチは許さないという姿勢を明確にすることによって、ヘイトスピーチから市民等の人権を擁護し、その抑止を図っていくために、条例を制定する必要があると考えています。 |
【「特定人」の定義で「人種」「民族」ほか「国籍」の取扱い】 | 本制度は、国籍を問わず、ヘイトスピーチから市民等の人権を擁護し、その抑止を図っていくことを目的としており、特定の国籍を問題としている表現活動でも、その背景には人種又は民族の違いに対する意識が存在しているものと考えられ、定義にあえて国籍を加えずとも、「人種若しくは民族に係る特定の属性を有する個人」等の定義で十分であると考えています。 |
(2)措置や支援に関するもの(275件) | |
ご意見の要旨 | 本市の考え方 |
【訴訟費用等の支援は税金の使途として問題】 | ヘイトスピーチに係る訴訟費用等の支援は、市民等が司法救済を求めることを支援することに加え、ヘイトスピーチに関する司法判断を明らかにすることによりその抑止を図ることを目的とするものです。ヘイトスピーチについての司法判断が示された場合には、その目的が達成されたことになるので、本市が訴訟費用等を支援することについて公益上の必要性が認められると考えています。 |
【税使用の審査・異議申立手続があるべき】 | 本制度の運用に伴う公金の支出についての異議申し立てについては、住民監査請求(地方自治法242条1項)や、住民訴訟(地方自治法242条の2)を行うことができますので、本制度において規定することは考えておりません。 |
(3)審査に関するもの(400件) | |
ご意見の要旨 | 本市の考え方 |
【ヘイトスピーチ審査会の中立・公平への疑問】 ヘイトスピーチの認定や訴訟費用の支援といった重要な事項を審査するヘイトスピーチ審査会委員の選定方法、審査会の判断基準などが恣意的で中立・公平が保たれないおそれがある。 | ヘイトスピーチ審査会については、この制度に対する市民の信頼を確保するためにも、審理の公正、中立性を確保することが不可欠であります。そうした観点から、審査会の委員の選定を厳正に行うとともに、委員には政治的中立性を新たな要件として設定することを考えています。 |
【ヘイトスピーチ審査会委員の選定基準が不明】 | ヘイトスピーチ審査会の委員については、審査の対象がヘイトスピーチであること、表現の自由との関わりがあること、措置の内容として訴訟等の支援があることから、憲法、国際法、行政法の分野の専門家及び弁護士で構成することとしています。また、答申において、審査会は中立的な立場の専門家で構成することが適当とされていることを踏まえて、中立性をいっそう担保する観点から、条例化に際しては政治的中立性を新たな要件として設定することを考えています。 |
【ヘイトスピーチ審査会の意見を聞かなくていい「緊急」の場合とは】 市長が審査会の意見を聞かなくていい「緊急」の場合はどのような場合か。 | 制度の実施にあたっては、専門家で構成するヘイトスピーチ審査会を設置し、中立・公平な意見を聴くこととし、表現の自由を侵害することのないよう、適正に運用していく必要があると考えています。 |
【氏名又は名称を公表しない場合とは】 | 本案では、ヘイトスピーチ抑止の方策の一つとして、ヘイトスピーチを行った者の氏名又は名称を公表することとしていますが、氏名又は名称の公表しないことができる場合としては、ヘイトスピーチを行った者の所在がわからないときや、公表することがヘイトスピーチを行った者のアピールにつながるなど、かえってその者の意図、目的に沿うような事態となる場合などが想定されます。 |
(4)その他(条例案に関するもの)(75件) | |
ご意見の要旨 | 本市の考え方 |
【条例制定は賛成だが、罰則、公共施設の利用制限も規定すべき】 | 罰則規定については、国の人権侵犯事件処理手続に強制力を伴う措置がない中で本市が措置を講じるにあたり関係者に対して罰則を課すことを条例で定めることは困難であると考えます。 |
【自作自演等虚偽の申出を防止すべき】 | 申出のあった表現活動がヘイトスピーチに該当するかどうかをはじめ本制度の運用にあたり、ヘイトスピーチ審査会において、申出者や表現活動を行った者など関係人の意見陳述機会を設けるなど、厳正に調査審議を行っていくことで対応したいと考えています。 |
【ヘイトスピーチデモや街宣活動を規制できれば効果大】 | 本制度では、ヘイトスピーチに対する事前の又は直接的な規制は行いませんが、本市として、ヘイトスピーチを許さないという姿勢を明確に示し条例を制定・運用することによって、ヘイトスピーチの具体の活動が抑止されていくものと考えています。 |
3. その他 (198件) |
参考:意見募集時資料
【参考:意見募集時資料】 「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例案要綱(案)」(概要)(pdf, 49.86KB)
【参考:意見募集時資料】 「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例案要綱(案)」(pdf, 48.06KB)
Adobe Acrobat Reader DCのダウンロード(無償)
- PDFファイルを閲覧できない場合には、Adobe 社のサイトから Adobe Acrobat Reader DC をダウンロード(無償)してください。
関連ページ
大阪市人権施策推進審議会や答申に向けた審議経過については下記リンクをご覧ください。
探している情報が見つからない

このページの作成者・問合せ先
市民局 ダイバーシティ推進室 人権企画課
電話: 06-6208-7612 ファックス: 06-6202-7073
住所: 〒530-8201 大阪市北区中之島1丁目3番20号(大阪市役所4階)