「大阪市人権だよりKOKOROねっと」号外(平成29年10月発行「性の多様性について考えてみましょう」)web版
2024年12月1日
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大阪市人権だより「KOKOROねっと」号外(平成29年10月発行)
性的マイノリティをめぐる人権
性的指向・性自認・性別表現
性の多様性について考えてみましょう
誰もがありのままの自分を受け容れられ、自分らしく生きることができる社会の実現を!

LGBTなどの性的マイノリティのことを知っていますか?
民間団体の調査注1によるとLGBTの方は人口の5.9%であると推定され、学校40人クラスであれば、1クラスに1~2人はいることになります。
LGBTなどの性的マイノリティについては、正しい知識がなく、また、正しい理解がされていないことで、何気ない言動により、身近で傷ついている人がいるかもしれません。
(注1)博報堂DYグループが2016年に実施した調査

多様なセクシュアリティ(性)のあり方について次の4つの要素を通じて考えてみましょう。

1 身体の性
身体的な特徴や性染色体、生殖腺などによって客観的に判断される性別です。外性器の違いで判断される場合が多いですが、精巣や卵巣の有無、染色体の組み合わせなど、身体の性の違いは目に見えるものだけではありません。

2 性自認(心の性)
自分自身が自分の性をどう捉えているかということです。男性(女性)の身体を持って生まれた人の圧倒的多数が自分のことを男性(女性)と認識しています。しかし、心の性と身体の性が一致せず自分自身の身体に違和感を持っている人や男性でも女性でもないと感じている人もいます。

3 性的指向(好きになる性)
恋愛感情が主にどの性別に向いているかということであり、男性を好きか、女性を好きか、男女両方が好きか、あるいは誰に対しても恋愛感情を抱かないといったことです。

4 性別表現(表現する性)
言葉づかいやファッションなどの装いを自分自身がどのように表現したいかということです。男らしさ、女らしさは、時代や文化と共に変化します。性自認と性別表現が一致するとも限りませんし、特定の性的指向を持つ人が特定の性別表現をするとも限りません。

LGBTとは
レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとって組み合わせた言葉です。
(%は博報堂DYグループが2016年に実施した調査での人口規模)

Lesbian
レズビアン 1.70%
女性同性愛者

Gay
ゲイ 1.94%
男性同性愛者

Bisexual
バイセクシュアル 1.74%
両性愛者
LGBTのほかにも、心の性や好きになる性がはっきりしない人、決めたくなかったり、わからなかったり、悩んでいる人や自分を男性・女性のいずれかとは認識していない人などもいます。最近ではそれらのさまざまな性のあり方について、性的指向と性自認を表すSOGI(Sexual Orientation and Gender Identityの略であり、読み方は『ソジ』)という言葉で用いられることもあります。
性的指向と性自認を混同することなく、適切な認識が求められます。

Transgender
トランスジェンダー注2 0.47%
身体の性に違和感を持つ人
生まれたときの性別とは違う性別で生きる人、生きたいと望む人
(注2)
FTM:トランスジェンダーのうち、女性の身体で生まれ、自分は男性だと感じている人を「FTM(female to male)」と呼んでいます。
MTF:トランスジェンダーのうち、男性の身体で生まれ、自分は女性だと感じている人を「MTF(male to female)」と呼んでいます。

性分化疾患:身体の性のさまざまな発達
(DSDs:Differences of Sex Development)
生まれつきの身体の状態が大多数の女性・男性の身体とは一部異なる状態。「男でも女でもない・中間の身体」という誤解がありますが、当事者の大多数は自身を切実に「身体の一部が異なるだけの女性・男性」と感じ、性的マイノリティとはみなしておらず、性器という極めて私的な領域に関わるため、不用意に取り上げないなど十分な配慮が必要です。
(詳しくは性分化疾患を持つ子どもと家族のための情報サイト ネクスDSDジャパンのホームページをご覧ください。)

性的マイノリティの当事者の思い

レズビアン
「わたしはすっごくステキな彼女がいるんだ」と自慢したいけれど、差別されたり、いじめられるかもしれないと思うと勇気が出なくて、友だちには、「彼氏がいる」で通している。親は同性愛とかにめちゃめちゃ偏見を持っているタイプなので、怖くて絶対に言えない。だから、彼女とデートに行く時も、いつもウソをついて、それがしんどい。いつか、誰にでも「自分がレズビアンだよ」って言えるようになったらどれだけ楽かな、って思う。

ゲイ
小さい頃からずっと男の子が好きだった。高学年になって、みんなと自分は違うと知って怖くなったし落ち込んだ。それを仲が良かった女友だちに話すと、「これだけ人がいっぱいいるんだもん、そういう人だっているでしょ」と言ってくれた。自分で自分のことを「変な奴」だと思っていたので、「そういう人だっている」という一言にすごく安心した。何年かたって彼女が「実は、いとこがレズビアンなんだ」と教えてくれて、同性愛者って珍しいわけじゃなく当たり前にいると知って、さらに安心した。
日高 康晴 著
「もっと知りたい!話したい! セクシュアルマイノリティ ありのままのきみがいい 2 わたしの気持ち、みんなの気持ち」(汐文社)より転載

性的マイノリティの方が困っていること
- 異性愛者のふりをしなければならない
- 周りから偏見の目で見られることがある
- 「ホモ」「オカマ」「レズ」という言葉に傷ついている
- カミングアウトしたら言いふらされた
- 自分が思っている性別のトイレに入ることができない
など

ゲイ・バイセクシュアル男性の思春期におけるライフイベント平均年齢
- ゲイであることをなんとなく自覚した・・・ 13.1歳
- 「同性愛・ホモセクシュアル」という言葉を知った・・・13.8歳
- 異性愛者ではないかもしれないと考えた・・・15.4歳
- 自殺を初めて考えた・・・16.4歳
- ゲイであることをはっきりと自覚した・・・17.0歳
- 自殺未遂(初回)・・・17.7歳
【有効回答数 1,025人】 日高康晴調べ

差別的言動を見たり聞いたりしたら?
周りの人と一緒になって笑わない、同調しないことはもとより、からかいや差別的な言動は間違っていると毅然と指摘することも時には必要となります。
また、「アライ(理解(支援)者)」となり、誰もが生きやすい社会を一緒に作っていくこともできます。

あなたがカミングアウトされたら?
カミングアウトとは、秘密にしていたことを打ち明けることです。あなたが信頼されている証ですので、真摯にその話に耳を傾けてください。そのうえで信頼して話してくれたことに、「ありがとう」と伝え、今までどおりでいることが大切です。打ち明けた方も精一杯の気持ちで打ち明けてくれたことを考えてください。
また、何か心配事や相談事があれば、人権に関する相談機関などに相談しましょう。

LGBTの親へのカミングアウト率
- レズビアン・・・45.4%
- ゲイ・・・21.6%
- バイセクシュアル男性・・・9.0%
- バイセクシュアル女性・・・26.0%
- トランスジェンダーMTF・・・38.8%
- トランスジェンダーFTM・・・74.5%
【有効回答数 15,064人】 日高康晴調べ
LGBTの親へのカミングアウト率は、10歳代から30歳代までの比較的若い世代は4~5人に1人程度ですが、40歳代を超えると低くなる傾向にあり、高齢になるほど親へのカミングアウトは困難になる状況にあります。

アウティング
- アウティングとは、本人の許可なく他人に性的指向や性自認などの個人の秘密を暴露することです。
- ラインをはじめとするSNSに書き込むことなども、アウティングにあたります。
- アウティングをされたことで、本人が自殺を図る事件も発生しています。
アウティングは、自分のセクシュアリティを他人に知られたくない人にとって、重大な人権侵害です。
本人の了解なしに、決して他人に知らせないようにしましょう。

大阪市の取組み
大阪市では、性的マイノリティに対する支援を積極的に進めています。

国の取組み
法務省では「性的指向」「性同一性障がい」が各々、主な人権課題の一つとして位置付けられており、不適切な取扱いを行った事案に対して、人権擁護機関が救済措置をとった事例があります。

性的マイノリティにかかる相談窓口

大阪市人権啓発・相談センター
場所 大阪市西区立売堀4丁目10番18号
相談電話 06-6532-7830
時間 平日(月曜から金曜) 9時~21時
(施設点検日・年末年始を除く)
日曜・祝日 9時~17時30分
メール相談

みんなの人権110番(法務省)
電話 0570-003-110
時間 平日(月曜から金曜) 8時30分~17時15分
(祝日・年末年始を除く)
インターネット相談窓口(法務省ホームページ)(パソコン、携帯電話、スマートフォン共通)

セクシュアルマイノリティ電話相談(宝塚市)
電話 0797-71-2136 (おおむね1回30分)
時間 毎週水曜 15時~18時
(祝日・年末年始を除く)

QWRC【くぉーく】(NPO法人)
LGBTなど多様な性を生きる人と女性のためのリソースセンター
電話 06-6585-0751
時間 毎月第1月曜 19時30分~22時30分
(電話相談は令和元年11月より休止しています。)
【監修】日高 康晴
宝塚大学看護学部教授
日本思春期学会理事
厚生労働省エイズ動向委員会委員
【発行】大阪市人権啓発・相談センター
大阪市西区立売堀4丁目10番18号
(電話)06-6532-7631 (ファックス)06-6532-7640
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大阪市人権啓発・相談センター
住所: 〒550-0012 大阪市西区立売堀4丁目10番18号 阿波座センタービル1階
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