「大阪市人権だよりKOKOROねっと」第46号 web版
2024年12月1日
ページ番号:537695
大阪市人権だより「KOKOROねっと」第46号
human rights & diversity magazine
令和 3(2021)年7月発行 No.46
《特集》 「まちのバリアフリー」と「心のバリアフリー」

目次



1面、2面 「まちのバリアフリー」と「心のバリアフリー」私たちにもできることって何だろう?
バリアフリーとは、多様な人が社会に参加する上での障壁(バリア)をなくすことです。
多様な人たちのことが考慮されていない社会では、心身機能に障がいのある人などにとって様々なバリアを生み出します。
障がいの有無にかかわらず、高齢になっても、どんな立場でも、安心して自由に生活をするために、建物や交通機関などのバリアフリーだけでなく、一人ひとりが様々な人のことを思いやる「心のバリアフリー」を広げましょう。
バリアって何?
「バリアフリー」の「バリア」とは、英語で障壁(かべ)という意味です。
例えば、日本で身体障がい・精神障がい・知的障がいのある人は、総人口の約7%です。そのため、これまでは多数を占める障がいのない人に合わせた社会がつくられており、障がいのある人にとっては生活しにくい環境があり、困りごとを生むバリアとなっています。障がいのある人もない人もすべての人が参加しやすい社会にしていくために、どのようなことがバリアになっているのか、それを解消するために何ができるかを考えてみましょう。

まちのバリアフリー
障がいのある人のバリアをなくすために、私たちの周りでは様々な取組が進められています。

点字ブロック
目の不自由な人が歩くための工夫です。足裏でブロックを認識し、歩くことができます。歩道・駅・公共施設などに設置されています。

広いスペースの駐車場
車いすを使う人など、乗り降りにスペースを必要とする人たちのために設置されています。入口近くに設置され、移動も楽なように工夫されています。

エレベーター
車いすを使用している人が利用しやすいよう、ボタンの位置を低くしたり、方向を変えずに出入り口を確認できるよう鏡をつけたりするなどの工夫がされています。

心のバリアフリー
バリアフリーの設備があっても、障がいのある人に対する無関心や誤解、何気なく行っている行動や発言などが「意識上のバリア」をつくってしまうことがあります。
意識上のバリアをなくすために大切なのが、一人ひとりの「心のバリアフリー」です。
心のバリアフリーとは、バリアを感じている人の身になって考え、行動を起こすことです。
例えば、次のような場面に出くわしたら、あなたならどうしますか?
点字ブロックの上に荷物が置いてあって視覚障がいのある人が困っていた。
お店の前の段差で車いすの人が困っていた。
エレベーターに並んでいたら後ろにベビーカー利用者が待っていた。
思いやりの心でまずは声をかけることが大切だね
バリアがあって困っている人に気づいたときには、「私が○○しましょうか?」などと声をかけてみましょう。また、困っていそうだけれど、何に困っているのかわからない、またどんなことをすべきかわからないという場合もあります。そのような場合には、「何かお困りでしょうか?」「私ができることはありますか?」などと聞いてみましょう。
手伝おうと思っても断られることもあるかもしれませんが、がっかりすることはありません。自分でやりたい人や自分でできる人もいますので、相手の気持ちを尊重しましょう。
出典:政府広報オンライン https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201812/1.html

私たちができる身近な行動 ボランティア活動
たとえ、ハード面の整備が追いついていないところがあっても、私たちが心のバリアを取り除くことで解決できることは数多くあります。バリアを感じている人、困っている人が私たちの身の回りに多くいるのだという意識をもって、自分が今何ができるかを考える必要があります。わたしたちができる身近な行動として、ボランティア活動があります。
ボランティアは災害時などの特別な活動ではありません。
思いやりの心を持って、自ら進んで行う地域や社会で役に立つ行動です。
今すぐの活動が難しくても、家に居る時間に必要な知識やスキルを身につけることもボランティア活動への大切な第一歩です。

視覚障がいのある人に情報を届ける「点字・朗読・音訳ボランティア」

視覚障がいや、知的障がいのある人の外出を支援する「ガイドヘルプ」
ボランティアに関する情報を知りたい方は次のホームページをぜひご覧ください。


3面、4面 お互いが分かり合うことで心のバリアフリー環境を整えよう 戸田 重央さん
皆さんは内部障がいという言葉を知っていますか? 残念ながらまだ認知度が低く、知らない人も多いのが現状です。しかし、外見だけではわからないのが内部障がいの特徴。あなたの周りにも理解を得られずに困っている人がいるかもしれません。そんな内部障がいについて、障がい者総合研究所所長の戸田重央さんに解説していただきました。

戸田 重央さん 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長

内部障がいのある人が働くにあたって職場で必要な配慮とは?
内部障がいという言葉は一般の人にはあまりなじみがないかもしれませんが、これも障がいの一種です。
この内部障がいのある方が職場で働く場合には、どのような配慮が必要になってくるのでしょうか。
ここでは内部障がいとはどのようなものかといったことや、内部障がいのある方に必要な職場での配慮などについて解説していきます。

内部障がいってどんな障がい?
内部障がいとは心臓や腎臓などの臓器がうまく機能しない障がいや、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫障がい(HIV)の総称です。
この内部障がいについては、注7つの障がいが身体障害者福祉法で定められています。
これら7つの障がいに共通する特徴として、見た目ではわからないため周囲の人から障がいに対する理解を得にくいといったことがあります。また、知的障がいや精神障がい、身体障がいに比べて認知度が低いという点も理解を得られにくい理由の一つとなっています。
内部障がいのある方は、一見障がいのない人と同じように見え、日常生活も支障なく送っているように見えます。しかし、そのような生活を送るために内部障がいのある方は自分の内部障がいの特徴をよく理解し、健康管理に十分に注意しているのです。
このような内部障がいのある方が社会に出て働くためには、日常生活と仕事を両立させるために会社側に特別な配慮をしてもらえるよう申し出を行うこともあります。
注…心臓機能障がい、じん臓機能障がい、呼吸器機能障がい、ぼうこう・直腸機能障がい、小腸機能障がい、肝臓機能障がい、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障がいのこと。

内部障がいのある方に多い職場での困りごと
内部障がいのある方は、障がいのない人が不便を感じない事柄でも不便を感じることが多々あります。
例えばこまめに休憩を取らないと疲労がたまりやすい、携帯電話などの電化製品から出る電磁波が体に悪影響を与える、一般的なトイレでは排せつが困難である、たばこの煙で息が苦しくなるなどといったことです。
また内部障がいの種類と程度によっては、エアコンの風が直接当たると体調を崩してしまうといったこともあります。
このように、障がいのない人にとってはなんの問題もない事柄であっても、内部障がいのある方にとっては大きな問題となり、体調を崩してしまう原因になってしまう恐れがあります。

内部障がいのある方に必要な職場での配慮とは
内部障がいのある方は、障がいのない人にとってはなんの問題にもならない事柄であっても、体調に支障を生じさせる原因になるケースがあるということは先ほどご説明しました。
そのために内部障がいのある方は、会社側に「合理的配慮」を求める権利があります。
合理的配慮とは、どのような障がいのある方であっても障がいのない人と同じように働くことができるように、個人個人の障がいの種類や程度によって発生する不便さや困難さを取り除くことを目的とした個別の調整や変更のことを言います。
例えば、高エネルギーの電磁波を出す機械により影響を受けやすいペースメーカーを付けている方はこのような機械の近くで作業を行わなくてよいようにしたり、肺や気管支などの機能に障がいのある方はたばこの煙や冷房の風が当たる場所にいると体調を崩してしまうこともあるため、これらの影響を受けにくい席を確保したりといった個人個人の障がいの種類と程度に応じたきめ細かな配慮を行う必要があります。
それ以外にも休養室や健康管理室を社内に準備したり、血圧計やAEDなどの基本的な医療機器を設置したりといった、障がいのない人であっても利用する可能性が高い設備や機器を社内に導入することも重要です。

内部障がいのある方に対応した職場環境づくりの現在の課題
内部障がいには7つの種類の障がいがあり、それぞれの障がいに対して会社側は適切な合理的配慮を提供する必要があります。
内部障がいのある方に適切に合理的配慮を提供するためには、雇用している内部障がいのある方の障がいの種類や程度を会社側でも正確に把握しておくことが大切です。
そのためには、直属の上司となる方や人事担当の方が採用する内部障がいのある方の障がいの種類や程度についてヒアリングを行い、どのような合理的配慮が必要かということを正確に把握しておくことが重要になります。
しかし、内部障がいのある方が遠慮してしまい自分の障がいについてあえて軽く報告するといったことも考えられます。
その結果、内部障がいのある方の負担が重くなり、職場に長期に渡って定着することが難しくなってしまいます。
このような事態を避けるためにも、ハローワークや地域障がい者職業センター、障がい者就労・生活支援センターなどの公的機関とも連携して、内部障がいのある方でも働きやすい職場環境を整えて行くことが重要です。
内部障がいのある方が働きやすい職場環境を整えるためには、雇用する会社側と雇用される内部障がいのある方の当事者間のみではなく、公的な機関などに間に入ってもらうことも選択肢の一つとなるでしょう。
そうすることで、雇用する側とされる側の障がいを原因とした認識の隔たりが少なくなり、いわば「心のバリアフリー環境」を整えることができます。
このように、内部障がいのある方が自分の障がいに対してまわりに遠慮することなく、職場で十分な実力を発揮するために必要な合理的配慮を求めることができる職場作りを行うことが、より良い職場環境を整えるための最初の課題となります。

まとめ
ここまで、内部障がいと、この障がいのある方に必要な配慮などについて解説してきました。
内部障がいとは何かといったことやどのような合理的配慮が必要か、そのためにはどのような方法を取るべきかといったことがお分かりいただけたかと思います。
内部障がいは外見からはまったくと言っていいほどわからない障がいですが、日常生活をスムーズに営むためには障がいのある方自身の健康を守るための努力が必要になります。
そのため社会に出て働く場合でも、会社側が内部障がいのある方が仕事をスムーズに行うことができるように、適切な合理的配慮を提供することが大切です。
内部障がいのある方が会社側に適切な合理的配慮を求めることができるように、会社側も公的な機関を利用することも視野に入れながら職場環境を整える努力を行うようにしていただければと思います。
戸田 重央(とだ しげお)さん
株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長
企業の障がい者雇用コンサルタント業務に携わった後、平成27(2015)年より聴覚障がい専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所し、初代施設長に就任。平成30(2018)年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障がい者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。


5面 大阪市パートナーシップ宣誓証明制度
大阪市では、平成30年7月9日より、性的マイノリティ注の方々が、互いを人生のパートナーとし、日常の生活において相互に協力し合うことを約した二者間の関係であることを公に証明する「大阪市パートナーシップ宣誓証明制度」を開始しました。この制度は、二人とも、もしくは一方の方が性的マイノリティである場合に利用いただけます。
注 「性的マイノリティ」…性的指向が必ずしも異性愛のみではない人又は性自認が出生時の性と異なる人
パートナーシップ宣誓書
パートナーシップ宣誓書受領証
(おもて面)
※デザイン例(数種類からお選びいただけます)
パートナーシップ宣誓書受領証
(うら面)

この宣誓書受領証を受領したら何ができるの?
この「大阪市パートナーシップ宣誓証明制度」は、婚姻届のように法的効果のあるものではありません。しかし、市営住宅の入居・携帯電話会社での手続き等、宣誓書受領証を活用することができる手続きは少しずつ増えています。

どうしたら宣誓書受領証を発行してもらえるの?
事前にご予約のうえ、パートナーお二人で、必要書類を持って大阪市人権啓発・相談センターまでお越しください。宣誓書受領証の発行に1時間程度お時間をいただきますが、即日発行します。ご予約は、3営業日前までにお願いします。

証明書の発行に必要な書類は?
住民票の写し若しくは住民票記載事項証明書又は戸籍の附票の写し、独身であることを証明する書類、本人確認書類をお持ちください。詳しくは、次の大阪市ホームページでご確認いただくか、お電話・電子メール等でお問合せください。

大阪市パートナーシップ宣誓証明制度についてのお問い合わせ


6面 「大阪市LGBTリーディングカンパニー」認証制度

「性的マイノリティ」の方々を応援している企業をご存知ですか?
大阪市では、平成31年1月より、LGBT等の性的マイノリティの方々に寄り添った取組みを進めている企業を「LGBTリーディングカンパニー」として認証しています。
「大阪市LGBTリーディングカンパニー」認証制度は、性的マイノリティの方々が直面している課題等の解消に向けた取組みを、先進的・先導的に推進する事業者等を、本市が一定の基準に則り認証するものです。認証を受けた事業者等が社会的に認知されることで、その取組みが広く普及し、誰もが生きやすい社会の実現に向け、社会全体で取組んでいくことをめざしています。

認証基準
商品や役務の提供をする際の取組や、雇用主として従業員に対する取組など、20項目の認証基準のうち適合する取組数に応じて各認証レベルで認証します。

認証レベル
★★★ 「三つ星認証」
適合する基準が10以上である事業者等
★★ 「二つ星認証」
適合する基準が4以上9以下である事業者等
★ 「一つ星認証」
適合する基準が1以上3以下である事業者等
これまで、26の事業者等の皆様から応募いただき、認証を行いました。(令和3年4月末現在)
これからも多くの皆様からのご応募をお待ちしています。
認証基準や申請の方法等の詳細は、大阪市ホームページでご確認ください。
大阪市人権啓発・相談センター
ホームページ 「大阪市LGBTリーディングカンパニー」認証の申請を受け付けています
電話 06-6532-7631(平日、9時~17時30分)


7~9面 ダイバーシティ体験ルポ 大阪で学ぶ学生は今

新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって私たちの生活はどう変わった? 私が感じたこと、考えたこと。
新型コロナウイルス感染症が拡大し始めてから1年余りが経ち、「新しい生活様式」の中にはある程度私たちの暮らしに定着しつつあること、なかなか定着しにくいことなどがあるように思います。
そこで今回は、この1年近くを振り返り、自分の生活の良かった変化、良くなかった変化などを、関西大学のみなさんにお伺いしました。
今回お話をお聞きした、関西大学の7名の学生の皆さん
- 文学部 3回生 田邊 爽佳(たなべ さやか)さん
- 文学部 3回生 田畑 菜月(たばた なつき)さん
- 文学部 3回生 坪井 菜央(つぼい なお)さん
- 文学部 3回生 藤森 萌花(ふじもり もか)さん
- 文学部 3回生 弓場 裕香(ゆみば ひろか)さん
- 社会学部 3回生 三島 彩香(みしま あやか)さん
- 文学部 2回生 坂本 怜衣羅(さかもと れいら)さん

Q.1 新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、いろいろなことが変化しました。自分にとって一番良かった変化はどのようなことでしたか?
オンライン授業を経験できたことです。初めてオンライン授業を受けたときは慣れないことばかりで戸惑いました。でも、オンライン授業の多くは、自分で受講する時間を選べますし、動画であれば一時停止や巻き戻しもできます。こういうオンライン授業の良さは、実際に経験しなければ分からなかったと思います。その一方で、対面のほうが意見交換しやすいなと感じたりして、授業方法の変化は対面授業の良さを感じる機会にもなりました。
自分自身と向き合う時間が増えたことです。以前は友達と遊びに行ったり、サークルの活動、バイトなど、毎日外に出たり人と会ったりしていました。しかし、コロナの感染が拡大し、家にこもる生活になりました。自粛期間中は、趣味の料理をしたり、本を読んだり、掃除をしたり、自分自身と向き合う時間が増えたことで「これをしたら私の心は満たされるな」ということがわかり、自粛期間が明けた後も過剰に人と交わることは無くなりました。世間的に不安定な時期のなかでも、自分自身と向き合うことによって心の安定を得られるようになったことが一番良かったことだと思います。
家での生活を見直すようになりました。自炊のレパートリーを増やしたり、部屋の荷物を整理したり、家の中でより快適に楽しく過ごせるような工夫をするようになりました。
コロナウイルスが流行し、自粛しなければならなくなったことで、自分の時間を多く持てたことです。
自分の趣味であるゲームや刺しゅうをしたり、気になっていた映画やアニメなどを見たりする時間が増えましたし、実家で暮らしているのでなかなか料理をする機会がなかったのですが、前よりも少しできるようになったと感じました。
自粛生活のため、自分が自由に使える時間が増えたことで、改めて自分自身について考えるようになりました。例えば「自分は何が好きなのか」や「自分はどんなことにお金や時間を費やしたいのか」など、今まで気にしたこともなかったことを考えてみました。その結果、自分自身の強みやこれからの生き方などが見えてきました。自粛生活を通して、自分自身を理解できたことは良かった変化だと感じました。
私はパソコンなど機械類の操作がとても苦手で、パソコン操作を避けてきていましたが、大学に入り、リモートで授業を受けなければならなくなったため、必然的にパソコンに取り組む必要が出てきました。それまで、タイピングが全くできなかったのですが、今では両手で正しくタイピングできるようになりました。また、おうち時間を充実させるためにそれまで興味をもっていなかったアニメや映画も見始めるようになり、興味の幅がかなり広がりました。そのおかげで、対面で大学生活が始まった際に友達との話題が広がったので良かったです。

Q.2 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、大変なことはいろいろあったと思います。その中で、あなたが一番困ったと感じたことはどのようなことでしたか?
運動不足になったことです。私は元々体を動かすことが好きですが、習慣的にスポーツをしているわけではなく、通学や散歩で運動不足を解消していました。でも、外出を自粛し、オンライン授業になったことで、生活用品を買いに出かけるくらいしか外を出歩く機会がなくなり、確実に運動が足りていないと感じ始めました。段々と体を動かしていなさすぎることに恐怖を感じるようになり、家でのストレッチや家の周辺だけでも歩くことを心がけるようになりましたが、見える景色の変化が乏しいので、積極的に運動する気持ちを持ち続けることは大変でした。
私が一番困ったのは、大学での活動です。コロナ禍前は友達と雑談をしている中で仲良くなったり、得られる情報やアイデアがありましたが、オンライン授業になったことで一切新しい人間関係を築くことができなかったことが困りました。
大学がオンライン授業になったことと、それに伴い対面での課外活動もできなくなったことです。先生も学生も慣れないオンラインでの授業に戸惑い、様々なトラブルが起きて対応するのに苦労しました。サークルもオンラインでやることになり、今までと同じようには活動できず、どうすればより良い活動ができるのかを常に考え、試してみる必要があり大変でした。
アルバイトや外に必要なものを買いに行くときなど、どんなときでもコロナの感染対策を念頭に置かなければならないことです。外食するときや、外でむせて一時的にせきが止まらなくなったときなどは特に、他の人からの視線が怖いです。
バイトで接客する際にマスクとシートがあることによりなかなか声が伝わらなかったことです。もともと声があまり大きくはないので出来るだけ大きな声を出すように努めていますが、最初のころは周りの音も大きいのも相まって説明が上手く伝えられない時がありお客さんに怒鳴られたことなどがありました。
様々な人々と関わりを持つことが少なくなったことに困りました。自粛生活で、家族とバイト先の人としか面と向かってコミュニケーションを取らなくなっただけでなく、オンライン授業が続く中で交友関係も狭くなり、ごく一部の仲の良い友人としか連絡を取り合わないようになりました。現在では、そのような状況に慣れてしまい、コロナ禍以前よりも新しい環境に飛び込むのが怖くなってしまいました。コロナ禍で人との関わりが少なくなったことで、少し消極的な性格になってしまったように感じます。
イベントが無くなったり、参加できなくなったことです。高校生の頃からバンドの活動をしていましたが、ライブハウスが使えなくなり、練習場所も確保できなくなっているため、まったく活動ができなくなったのが悲しいです。また、コロナが流行する前は、ライブに行ったり、一人で東京へ遊びに行ったり、テレビの番組協力に参加したりと出かけていましたが、今はそれもできなくなっています。楽しみなことがあれば、それに向かってがんばろうとバイトや勉強のモチベーションを上げられますが、今は家で過ごすことが多いので、メリハリをつけることが難しいです。

Q.3 この1年余りの経験を通して、私たちを取り巻く社会について感じたことはどのようなことでしたか?
私たちは、科学を信じ、専門家の意見を求めることで心の安定を得ようとしているのだなと感じました。新型コロナウイルスについての知識のない人が、知識のある人に意見を求めるというのは、自然なことだと思います。しかし、科学には新たな発見があるので、知識のある人がその意見を訂正することも当然あると思いますし、「現段階では」という曖昧な言葉を添える場合もあるはずです。それに対して、「以前はこう言っていたじゃないか」、「はっきりと断言してほしい」など、その回答に苛立ちを表す発言を聞きました。現時点での科学が確実なものではないということを頭に入れて、専門家の意見を落ち着いて聞くことが大切だと考えます。
コロナがあるからこれもあれもできない…となるのではなくて、置かれた状況で最大限努力することが大事なんだと感じました。私たちは対面でサークルの活動をする事は制限されましたが、代わりにオンライン上での活動を始めました。飲食店ではお弁当のテイクアウトを始めたお店が多くありました。困難な状況が終わるのをただ待つのではなく、新しい状況に順応していく流れがあったと思います。
マスクなどが一気に当たり前になったことに驚きました。今ではコロナ流行以前の、マスクをしていなかった頃の映像を見ると、「あれ?マスクは?」と思ってしまいます。この一年で私たちに刷り込まれた、「マスクがないと飛まつが飛ぶ」とい意識は、果たして流行が収まれば消えてくれるのだろうかと不安になります。今まではマスクがないのが当たり前だったのに、これから先一生出歩いた時にマスクをしていない人を見ると、「うわっ、マスクしてないじゃん」と不快に思うのかもしれないと思うと、自分の思考が窮屈になってしまったようで悲しくなります。
最初の方はマスクが感染対策の一環にはならないと言っていたのに、しばらくするとマスクをすることが外でのマナーの1つになっていたり、ハンドドライヤーは感染リスクがあるからと使用中止になっていたのに最近になって感染リスクはないと言い出したり、ワクチンに関して副作用のうわさがいろいろ出たり、何を信用すればいいのか全く分からなくなりました。
マスクをして外出することや、オンラインでの授業・会議は今までしていたことではなく最初は戸惑っていたり違和感があったりしたのに、今ではほとんどの人がそれを当たり前にやっているのがすごいと思いました。その一方で今でも「マスクはしなくていいや」「私はかからないから大丈夫」など、みんなが辛い思いをしながらも守っていることを守らない人がいることが感染症終息への道を遠ざけている1つの原因ではないかと感じています。
これから、様々なものがオンラインへ移行していくように感じました。確かに、オンライン中心の生活を経験して移動することがなくなり、移動時間や交通費がかからなくなるというメリットを感じました。しかし、その場にいないと感じることが出来ない雰囲気や感情というのは必ずあると思います。今後、何をオンラインへ移行して、何を対面で行うのかということは議論していく必要があるように感じます。
周りの人への配慮の重要性をとても感じました。コロナの対策をすることは、自分のためだけではなく、周りの人のためでもあるという意識を持つ人が多いですが、一方でそうでない人もいるのだと知りました。医療従事者の方が日々命のリスクを負いながら働いてくださっている中、「自分は一人暮らしだから大丈夫」「外出している人もいるから私もいいだろう」という考えを持つ人がいることを知り、いくら感染を抑えるために努力していても、協力できない人がいると、感染拡大は止められないという事実に悲しさを感じました。

Q.4 新型コロナウイルス感染症の流行が収まり、社会が落ち着いたとしたら、あなたがしたいと思うことはなんですか?
国内外を旅行したいです!特に、海外には2回生で旅行に行くために、1回生の2月にパスポートを取ったんです。でも、その1か月後に新型コロナウイルスがまん延してしまい、初海外は未だお預けです。社会人になると、なかなか長期の休みは取れないと思うので、4回生までに気軽に海外に行けるようになることを願っています。
国内外問わず、旅行がしたいです。今でも感染対策をしていれば国内旅行に行くことはできると思います。しかし、もしかかってしまった場合、家族やバイト先のメンバー、友達に迷惑をかけるリスクがある事を考えると、やはり私は行けません。このような心配をせず、気兼ねなく旅行を楽しめるようになればいいなと思います。
気兼ねなくいろいろなところに出かけたり、友人に会ったりしたいです。この一年間は、行きたいところにも思うように行けず、会いたい人にも会えず、我慢の連続でした。我慢してきた分、たくさん出かけて思い出を作りたいです。
マスクなしで外に出たいです。旅行やお出かけなどいろいろなところに行きたいです。特に、旅行は時間がたくさんある今くらいしかゆっくり行けないし、学園祭など今の間しか経験できない行事もたくさんあるし、成人式は既に延期が重なってあるのかどうかも未だ不明な状況なので、コロナが早急に終わることを願っています。大学生活が終わる前に終わってほしいです。
自分の行きたかった場所に行ったり、友達と気兼ねなく遊びに行きたいです。このコロナ禍でイベントや好きなテーマパークに行けなくなり、友達とも遊べるはずが遊べないという思いをたくさんしたのでそれを埋められるくらいの予定を立てたいと思います。
海外旅行です。感染拡大が始まって最初のうちは、動画サイトで海外の様子を見たり、自宅で海外の料理を作ってみたりするなどして、海外旅行をしたいという欲を満たしていました。しかし、最近では、それだけでは満足出来なくなりました。早く感染拡大が収まって、海外旅行に行きたいです。
祖父に会いに行き、色々な場所へ連れて行ってあげたいです。コロナが流行する少し前に祖母が亡くなり、祖父はきっととても寂しい思いをしていると思います。祖父母はとても優しく、私たちにプレゼントを買ったり、おこづかいをあげるために、自分たちの買いたいものも我慢してくれていました。祖父がいつまで元気でいてくれるかわからないので、私は、バイトで貯めたお金で早くその恩返しをしたいです。
突然変化してしまった生活様式を受け入れ、上手に対応しておられるみなさんのお話をお聞きしていると、コロナ後には、今までよりももっと便利で安全な暮らしを満喫されるのだろうと頼もしさを感じました。どんなに大変な時でも、何か良かったことを見つけ、前向きに生きていきたいものですね。


10面 大阪市からのお知らせ

新型コロナウイルス感染症について正しく理解し、不当な差別や偏見をなくしましょう。
新型コロナウイルス感染症に関連して、医療従事者や配送業務に従事する方など懸命に社会生活を支えている方々及び感染された方や、その周囲にいる人々に対して、自らが感染するのではないかという不安な気持ち等により、誤解や偏見に基づく差別を行うことは許されません。
思いやり、支えあいの気持ちや感謝の気持ちをもって、正確な情報をもとに冷静な行動に努めてください。
また、SNS等での投稿や書き込みなど、誰もが情報を発信できるようになっていますが、誤った情報や根拠のないうわさ等の不確かな情報の拡散を行わないようにするとともに、そのような情報に惑わされることなく冷静に行動しましょう。

ご存じですか? シトラスリボンプロジェクト
シトラスリボンプロジェクトは、コロナ禍で生まれた差別、偏見を耳にした愛媛の有志が作ったプロジェクトです。愛媛特産の柑橘(かんきつ)にちなみ、シトラス色のリボンや専用ロゴを身につけて、「ただいま」「おかえり」の気持ちを表す活動を広めています。
リボンやロゴで表現する3つの輪は、地域と家庭と職場(もしくは学校)です。
「ただいま」「おかえり」と言いあえる“まち”なら、安心して検査を受けることができ、ひいては感染拡大を防ぐことにつながります。また、感染者への差別や偏見が広がることで生まれる弊害も防ぐことができます。
このシトラスリボンプロジェクトは、コロナ禍のなかに居ても居なくても、誰もが心から暮らしやすいと感じる社会をめざす取り組みです。

人権に関するご相談について
新型コロナウイルス感染症に関連しての不当な差別、いじめ等の様々な人権問題についての相談を受け付けています。
大阪市人権啓発・相談センター
電話 06-6532-7830(なやみゼロ)
ファックス 06-6531-0666
大阪市西区立売堀4-10-18 大阪市阿波座センタービル1階
相談時間 : 月曜日~金曜日/9時~21時 日曜日・祝日/9時~17時30分
※土曜日、年末年始(12月29日~1月3日)は休業


11面 大阪市人権啓発・相談センターについて

専門相談員による人権相談
ひとりで悩んでいませんか?
大阪市にお住まいの方で、人権に関することでお悩み、お困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。
専門の相談員が対応します。
プライバシーには十分配慮しています。安心してご相談ください。
電話 06-6532-7830(なやみゼロ)
ファックス 06-6531-0666
相談時間 月曜日〜金曜日/9時〜21時
日曜日・祝日/9時〜17時30分
※土曜日、年末年始(12月29日~1月3日)は休業
※人権相談の受付は、相談時間終了の30分前までです。
電子メールによる相談もできます!
電子メールによる相談はこちら

「KOKOROねっと」音訳版
視覚に障がいをお持ちの方々に聞いていただけるよう、音訳ボランティアグループの皆様のご協力により、音声デイジー版を発行しています。音声デイジー版のCDをご希望の方は大阪市人権啓発・相談センターまでご連絡ください。
また、MP3形式の音声は大阪市ホームページから聞いていただくことができます。
大阪市人権啓発・相談センター
電話 06-6532-7631(平日/9時~17時30分)
ファックス 06-6532-7640

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「KOKOROねっと」バックナンバーのお知らせ
これまで発刊した「KOKOROねっと」のバックナンバーについて、大阪市ホームページに掲載しています(平成22(2010)年6月発行No.5より)。過去に特集した記事などで、ご参考になるものがあるかもしれませんので、ぜひご覧ください。

大阪市人権啓発・相談センターなどの情報はこちら

編集後記

今号では、「誰もが当たり前に暮らしやすい社会を作るために」様々な側面から記事を作成しました。町中で私たちが少し心配りをすれば、不自由でなくなる方がいる。見た目だけではわからない障がいをお持ちの方や、性的マイノリティの方もいる。私たちはともすれば自分の「枠」にとらわれてものを見て、考えてしまいがちです。しかし、私たちの住むまちにはいろいろな人が住んでいて、いろいろな状況で生活をしています。みんながそのような状況を理解して、お互いを思いやれば、今世の中で起こっている「新型コロナウイルス感染症に伴う差別や偏見」に苦しむ方もいなくなるでしょう。今号がそんな「誰もが当たり前に暮らしやすい社会」へのきっかけになればうれしいです。

KOKOROねっと 読者アンケート
ウェブサイトからも次のアンケートにお答えいただくことができます。専用フォームに入力するだけで簡単に応募できます。
KOKOROねっとNo.46 アンケートはがき
次の事項のあてはまる番号を○で囲むか、必要事項をご記入ください。
質問1
この情報誌を、どこで入手されましたか?
(その他の場合は具体的な場所をご記入ください)
- 駅構内
- 市役所・区役所
- 図書館
- 学校、職場
- 大阪市ホームページ
- デジタルブック
- その他( )
質問2
この情報誌のなかで興味・関心を持った記事はありましたか?(複数回答可)
- 「 まちのバリアフリー」と「心のバリアフリー」(P.1~2)
- お互いが分かり合うことで心のバリアフリー環境を整えよう 戸田 重央さん(P.3~4)
- 大阪市パートナーシップ宣誓証明制度(P.5)
- 「大阪市LGBTリーディングカンパニー」認証制度(P.6)
- ダイバーシティ体験ルポ(P.7~9)
- 大阪市からのお知らせ(P.10)
質問3
あなたは、人権について関心がありますか?
- 関心がある
- すこし関心がある
- あまり関心がない
- 関心がない
質問4
この情報誌を読んで人権への興味・関心がわき、理解に役立ちましたか?
- とても役に立った
- 役に立った
- あまり役に立たなかった
- 役に立たなかった
質問5
今後もこのような情報誌を読んでみたい(発行したほうが良い)と思いますか?
- そう思う
- どちらかといえばそう思う
- どちらかといえばそう思わない
- そう思わない
質問6
あなたの年代をお聞かせください。
- 10代
- 20代
- 30代
- 40代
- 50代
- 60代以上
質問7
この情報誌を読んだ感想やご意見、今後掲載してほしい内容やご要望をお書きください。
◆次回のKOKOROねっとNo.47は、令和3年(2021)年12月発行の予定です。
主な設置・配付場所:市役所・区役所・大阪メトロ駅構内・市立各図書館等
大阪市人権だより KOKORO(こころ)ねっと
human rights & diversity magazine
No.46/令和3年(2021)7月発行
【発行】大阪市人権啓発・相談センター
〒550-0012 大阪市西区立売堀4-10-18
電話 06-6532-7631 ファックス06-6532-7640
【制作協力】株式会社 ITP
〔法務省委託事業〕
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