人権相談の事例
2021年9月5日
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大阪市人権啓発・相談センターに寄せられた相談事例の一部と、相談員の対応を紹介します。
人権相談の事例
ケース1 女性に関する相談
相談内容 夫による妻への無視・暴力について
数年前に夫と喧嘩をして以降、話し合いの拒否や無視、言葉の暴力を受けるようになった。
離婚したいと考えるが、生活できる経済力はなく、不安も大きい。
このまま我慢するしかないのだろうか。
相談員の対応
夫からの無視や言葉の暴力は、ドメスティック・バイオレンスであることをお伝えしました。
相談者は、拒否や無視、言葉の暴力を受け続けることで自己肯定感をなくしている状況と思われることから、今の状態では相談者の気持ちの整理や今後の方針を決定することは難しいと感じられたため、安心して話ができる機関として「区の保健福祉センター」を案内するとともに、心理カウンセリングを受けられる「クレオ大阪女性総合相談センター」を案内しました。
ケース2 こどもに関する相談
相談内容 親からの暴力について
親から暴力を受けているが、学校には相談できる友達がいない。
親との距離を取り、別に暮らしたい。
相談員の対応
どのような理由があっても、相談者が暴力を振るわれ、怖い思いをする事は間違っており、あってはならないことであるとお伝えしました。
また、親から受けた暴力の内容を記録して説明できるようにしておくことや、身の危険を感じた場合には、警察に連絡することを助言しました。
ほかに相談できる窓口として、「子どもの虐待ホットライン」「チャイルドラインOSAKA」「法務局こどもの人権110番」を案内しました。
ケース3 高齢者に関する相談
相談内容 隣人のいやがらせについて
隣家の高齢の方より、大きな声を出されるなどの嫌がらせを受けている。相談者自身は一人暮らしであり、高齢でもあるため、相手に直接苦情を言うのは怖い。遠方に住む家族にも相談したが、「相手にしなくていい。」と言われるだけだった。どうしたらいいか。
相談員の対応
まずは、ご家族にも改めて、被害を受けている事、相談者自身が辛い思いをしていることを相談されることを助言しました。
併せて、「地域包括支援センター」に相談していただくことをお勧めし、相談者の承諾の上、人権相談窓口から、相談者がお住まいの区の「地域包括支援センター」に連絡し、支援の依頼をしました。
ケース4 障がいのある人に関する相談
相談内容 障がいのある方への差別的な発言について
不動産会社に電話で部屋探しを相談し、相談者が障がいがあることを伝えたところ、担当者から「障がい者を入居させる家主はいない。不可能だ。」と言われた。
翌日、店に差別発言であることを抗議したが対応を拒否された。発言者に障がい者差別であることを認め謝罪してほしい。
相談員の対応
詳細を聞き取ったうえで、障がい者差別解消法により禁止されている「障がい者に対する不当な差別的取扱い」に該当する可能性がある旨を相談者にお伝えし、所管部局である大阪市福祉局に引き継ぎました。
ケース5 同和問題(部落差別)に関する相談
相談内容 パートナーの出身地について
パートナーから被差別部落出身であることをカミングアウトされたが、そのことを自分の親に話すと結婚を反対された。
親の反対を押し切った状態で結婚はしたくないが、今後どのように行動していけばよいか分からない。
他の人がどのように問題を解決していったか知りたい。
相談員の対応
婚姻は、相談者とパートナーが二人で決めることであるとお伝えしました。
これまでの同和問題(部落差別)に起因する結婚差別の事案からも、親の理解を得ることは容易ではなく、相当な時間を要するケースもあること、結婚後、残念ながらそのまま親と音信不通になっているケースもある一方で、親が信頼する第三者に仲介してもらうことなどで解決したケースや、幸せに結婚生活をしている様子を見せていくことで、親が安心を感じていくケースもあることをお伝えしました。
親の理解を得たうえで結婚したいとお考えでしたので、必要に応じて第三者に協力を求めたり、パートナーと、話し合いを続けることを提案しました。
また、他の相談先として大阪法務局を案内しました。
ケース6 外国人に関する相談
相談内容 近隣住民とのトラブルについて
隣に住んでいる人から顔を合わせるたびに、大声で外国人であることを理由とした誹謗中傷をされる。
これは私への嫌がらせであり、人権侵害ではないかと思う。
家族からは無視するように言われるが、これらの行動を止めさせたいし、謝罪してほしい。
相談員の対応
家族からは無視するように言われるとのことでしたが、改めて、家族に対して相談者の気持ちを伝え、これからどうしていくかについて話し合うことを助言しました。
身体や建物に対し危害があれば警察に連絡することと、証拠がないと反対に相談者が人権侵害で訴えられることにもなりかねないため、時系列に事象を書きおこし第三者に相談しやすいように準備すること、区役所の法律相談で相談してみることを提案しました。
ケース7 近隣に関する相談
相談内容 自治会への加入について
居住マンションの自治会では、掃除やごみ出し当番があるが、自分は病気のため近く入院する予定でしばらく役目に就けない。
自治会に申し出たところ、病気であることがわかる診断書を提出するように言われたが、本当に提出しないといけないだろうか?
相談員の対応
まず、病名等は大変センシティブな個人情報であることをお伝えし、診断書を提出することに抵抗を感じるのであれば、まずはそのことを自治会に相談することを助言しました。
また、地域の民生委員や人権擁護委員に相談する方法もあることをお伝えしました。
ケース8 労働問題に関する相談
相談内容 上司からの圧力・暴言について
仕事量が多く、時間内に仕事を終えることができないと会社の上司から仕事が遅いことについて怒鳴られることが続いている。
出勤しようとすると体調が悪くなり、会社に行けない状態となっている。
相談員の対応
会社には、ほかに相談できる従業員がいないとのことだったため、大阪労働局の総合労働相談コーナーや大阪府商工労働部の労働相談センターを案内しました。
また、体調が悪い状況が続いているとのことであるため、まずは自身の心身の回復を優先することを助言しました。
ケース9 インターネット上の問題に関する相談
相談内容 SNSへの書き込みについて
プライベートと業務の両方で、同一アカウントのSNSを使用しているが、業務上知り合った相手から、嫌がらせの投稿を受けた。
その投稿は削除しブロックもしたが、相手は別アカウントから「ブロックするな」などと、再び嫌がらせの投稿を繰り返している。
最近は、過激な投稿も増えてきて不安を感じている。
相談員の対応
安全に配慮したSNSの利用方法として、業務とプライベートのアカウントは分けておくことや、業務で使用する場合は、宣伝等の発信のみとし、読者からのコメントは承認制にすることを助言しました。
そのうえで、本件は事態がエスカレートする懸念もあるため、警察への相談を勧めるとともに、法的な観点での助言が必要であれば無料弁護士相談も可能であることをお伝えしました。
ケース10 性的マイノリティに関する相談
相談内容 こどもからのカミングアウトについて
こどものSNSを見たとき、こどもが性的マイノリティであることを知った。
そのことを、こどもに伝えるとカミングアウトされた。
私自身が性的マイノリティについて理解できないし、認められない状態にあるが、どうしたらいいか。
相談員の対応
突然のことで受けとめられない気持ちを傾聴し、そのうえで、そこを乗り越えないとこどもと向き合うことが辛く難しくなり、こどもはもっと辛くなることを説明しました。相談者の気持ちを受け止めつつ、性的マイノリティについて正しく知る必要があると伝えました。
こどもは、これから心も身体も変化していく時期なので、様子をみながら、本人とコミュニケーションをとることが大切であると伝え、性的マイノリティの家族のコミュニティを紹介しました。
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