平成29年度決算財務諸表
2018年10月25日
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新公会計制度における平成29年度決算財務諸表について
大阪市では、発生主義・複式簿記に加え、政令市で唯一日々仕訳を採用した本格的な新公会計制度の運用を平成27年4月から開始しています。
この度、新公会計制度による平成29年度決算財務諸表を作成しましたので公表します。
(注) 金額及び増減率は、別に記載しているものを除き表示桁未満を切り捨てて表示しています。
このため、表中の内訳と合計等が一致しない場合があります。
また、グラフ中の割合(パーセント)は、小数第2位を四捨五入して表示しています。
このページの内容のポイントを掲載していますので、ご覧ください。 |
1 新公会計制度の意義
地方自治法に基づく公会計制度(官庁会計)は、現金の移動のみを記録する現金主義・単式簿記を採用しています。これは、行政サービスを実施するにあたっては、議会で承認された予算を前提としていることから、予算が適正・確実に執行されたかどうかが重要とされ、現金の動きのわかる現金主義・単式簿記が適しているからです。
しかしながら、現金主義・単式簿記には
- 現金以外の資産や負債(ストック)の把握ができない。
- 減価償却費や引当金などの非現金情報(見えにくいコスト)が明らかにされない。
といった課題・問題点があります。
そこで、発生主義・複式簿記・日々仕訳の考え方(企業会計的手法)を導入し、財務諸表の作成・活用を通じて、より詳細な財務情報を公開するとともに、より適正な資産・負債の管理を進めてまいります。
2 財務諸表とは
(1) 財務諸表の構成
財務諸表の構成と目的は以下のとおりです。
構成 | 目的 |
---|---|
貸借対照表 | 財政状態を明らかにするため、貸借対照表日(平成30年3月31日)における全ての資産、負債及び純資産を記載しています。 |
行政コスト計算書 | 運営状況を明らかにするため、一会計期間に属する全ての費用と対応する全ての収益を記載しています。 |
純資産変動計算書 | 一会計期間における純資産の変動を明らかにするため、構成要素別に記載しています。 |
キャッシュ・フロー計算書 | 一会計期間におけるキャッシュ・フローの状況を報告するため、キャッシュ・フローを活動区分別に記載しています。 |
注記 | 重要な会計方針など財政状況を適切に開示するため、必要な会計情報を記載しています。 |
附属明細表 | 財務諸表の内容を補足するため、5種類の附属明細表を作成しています。 |
○財務諸表の関連図
(2) 作成範囲
財務諸表は、一般会計及び政令等特別会計(全9会計)を対象としています。(準公営企業会計及び公営企業会計を除く。)
作成対象会計 | 各会計の説明 |
---|---|
一般会計 | 市税を主な収入とし、市の基本的な施策(福祉、子育て支援、学校などの教育、道路・公園、観光・スポーツ振興など)を行っている大阪市で1番大きな会計です。 |
食肉市場事業会計 | 日常生活に必要な生鮮食料品等(肉類)の供給を行う事業の会計です。 |
駐車場事業会計 | 大阪市立西横堀駐車場などの市立駐車場の管理運営を行う事業の会計です。 |
母子父子寡婦福祉貸付資金会計 | 母子家庭や父子家庭、寡婦の経済的自立と生活の安定、こどもの福祉を図るために、無利子または低利子で各種資金の貸付を行う事業の会計です。 |
国民健康保険事業会計 | 勤務先の健康保険やその他の医療保険に加入できないすべての人たちが、病気やケガで経済的負担にみまわれたとき、お互いに助け合い、負担を分かち合うため、日ごろから保険料を出し合って医療費を負担する制度である国民健康保険事業の会計です。 |
心身障害者扶養共済事業会計 | 障がいのある方を扶養している保護者が、自らの生存中に毎月一定の掛金を納めることにより、保護者に万一のこと(死亡・重度障がい)があったとき、障がいのある方に終身一定額の年金を支給する心身障がい者扶養共済事業の会計です。 |
介護保険事業会計 | 40歳以上の方が被保険者となって保険料を出し合って、高齢者の介護を社会全体でささえる制度である介護保険事業の会計です。 |
後期高齢者医療事業会計 | 75歳(一定の障がいがある人は65歳)以上の方が加入し、医療給付等を受ける後期高齢者医療制度において、保険料を徴収し運営元である大阪府後期高齢者医療広域連合へ納付する後期高齢者医療事業の会計です。 |
公債費会計 | 市債(借金をするための債券)の発行や借金の返済を一括して行っている会計です。 なお、新公会計制度では、各会計が地方債の償還のために積み立てた公債償還基金に相当する地方債残高は公債費会計に計上することとしています。 (注)大阪市の地方債残高(準公営企業会計及び公営企業会計分を除く。)は、公債費会計と他会計の地方債残高を合計した額となります。 |
(3) 体系
財務諸表は、【1】会計別財務諸表、【2】所属別(局・区)財務諸表、【3】施策事業別財務諸表、【4】任意事業別財務諸表の4種類あり、その体系は以下のとおりです。
【解説】 施策事業と任意事業について
施策事業は、予算編成や決算報告に活用するため、設定した事業単位です。本市の事業を施策別に分類しています。
任意事業は、使用料・手数料を徴収する事業など、受益者負担、資産マネジメントの検討などのために施策事業にかかわらず設定した事業単位(主に施設単位)です。
3 会計別財務諸表の概要(一般会計)
(1) 貸借対照表の概要
○資産・負債の構成
【主な資産】
インフラ資産 (主に道路、河川構造物、港湾施設など)
土地 6兆848億円
工作物 8,721億円
事業用資産 (主に公営住宅、学校、公園など)
土地 5兆2,220億円
建物 1兆1,187億円
【主な負債】
地方債 (事業用資産、インフラ資産などの整備等に関する地方債)
流動負債 2,488億円
固定負債 1兆9,609億円
退職手当引当金 (全ての職員が自己都合退職した場合の退職手当支給見込額)
○貸借対照表から分かること
- 資産には、主に公営住宅、学校、公園などの事業用資産と、主に道路、河川(堤防等)、港湾施設(防潮堤等)などのインフラ資産があり、資産総額の約9割を占めています。
- 本市では、早くからまちづくりに取り組んできたことから、市民生活に密着した事業用資産と、まちづくりの基盤となるインフラ資産を多く保有しています。
- 事業用資産、インフラ資産いずれも減価償却が進んでいることから、更新計画などのアセットマネジメント(資産管理)が重要となっています。
資産区分 | 年度 | 取得原価 | 減価償却累計額 | 割合 |
---|---|---|---|---|
事業用資産 【建物・工作物等】 | 平成29年度 | 2兆4,943億円 | 1兆3,476億円 | 54.0(パーセント) |
平成28年度 | 2兆4,621億円 | 1兆2,984億円 | 52.7(パーセント) | |
平成27年度 | 2兆4,634億円 | 1兆2,666億円 | 51.4(パーセント) | |
インフラ資産 【建物・工作物】 | 平成29年度 | 1兆9,329億円 | 1兆 571億円 | 54.7(パーセント) |
平成28年度 | 1兆9,148億円 | 1兆 223億円 | 53.4(パーセント) | |
平成27年度 | 1兆9,107億円 | 9,862億円 | 51.6(パーセント) |
(注) 表中の割合(パーセント)は、小数第2位を四捨五入して表示しています。
【解説】 減価償却について
時間の経過や使用により資産の価値が減少していく建物・工作物などの資産は、耐用年数に応じて、価値の減少分を行政サービスにかかるコスト(費用)として、月々計上していきます。
(この手続きを「減価償却」といい、計上した費用を「減価償却費」といいます。)
減価償却費を累計した額(「減価償却累計額」)は、資産価値の減少額を表しており、取得原価に対する減価償却累計額の割合が大きいほど、資産の耐用年数が終わりに近づいている(老朽化が進んでいる)ことになります。
- 事業用資産、インフラ資産などの整備等に関する地方債が、負債総額の約8割を占めています。
- 資産から負債を差し引いた純資産は12兆3,736億円となっており、過去又は現世代の負担によって約8割(純資産÷資産総額)の資産が形成されていることを示しています。
[参考]世代間負担のイメージ図
【解説】 資産の評価及び貸借対照表の表示について
資産の価額は原則として、資産の取得原価を基礎として計上しています。(取得原価主義の採用)
また、建物・工作物などの時間の経過や使用により資産の価値が減少していく資産については、取得原価から減価償却累計額を控除した価額を表示しています。
○貸借対照表(前年度との比較)
● 流動資産
現金預金の増などがありますが、未収金や基金の減などにより、前年度比9億円減の2,962億円となりました。
● 固定資産
建物及び工作物の減価償却による事業用資産及びインフラ資産の減などにより、前年度比329億円減の14兆7,390億円となりました。
● 資産総額
前年度比339億円減の15兆352億円となりました。
● 流動負債
平成30年度に償還予定の地方債の減などにより前年度比4億円減の3,142億円となりました。
● 固定負債
府費負担教職員制度の見直しに伴う退職手当引当金の増などがありますが、平成31年度以降に償還予定の地方債の減などにより前年度比902億円減の2兆3,474億円となりました。
● 負債総額
前年度比907億円減の2兆6,616億円となりました。
● 純資産総額
行政コスト計算書の収支差額による累積余剰の増により前年度比567億円増の12兆3,736億円となりました。
(2) 行政コスト計算書の概要
○経常費用・経常収益の構成
【主な費用】
移転支出的なコスト (市民や他団体等の支出に対する給付・補助など)
扶助費 5,397億円
負担金等 1,294億円
人にかかるコスト (行政サービスを担う職員の給与など)
給与関係費 2,744億円
物にかかるコスト (公共施設の運営費や補修費など)
物件費 1,302億円
減価償却費 961億円
【主な収益】
市税 (市民税や固定資産税、都市計画税などによる収益)
国・府支出金 (国や府からの負担金などによる収益)
交付金 (地方消費税交付金などによる収益)
○行政コスト計算書から分かること
【解説】 行政コスト計算書について
行政コスト計算書は、資産形成につながらない経常的な行政活動に要するコストを表したものです。
行政コスト計算書では、官庁会計に比べて収支が大きく好転しているように見えていますが、これは官庁会計では計上している、施設の建設などの投資活動や地方債の償還などの財務活動にかかる経費を含まないことによるものです。
【解説】 特別利益及び特別損失について
特別利益及び特別損失には、資産の除却や売却による損益、事業再編等に伴う移転損益、過年度の修正損益などが含まれます。
なお、事業再編等に伴う移転損益とは、大規模な事業再編などに伴い、それらが保有する諸資産・諸負債を受け入れ、もしくは引き渡したことによる損益をいい、平成29年度の内訳は以下のとおりです。
○行政コスト計算書【経常収益・経常費用】(前年度との比較)
● 経常収益
府費負担教職員制度の見直しに伴う影響による交付金、地方交付税、国・府支出金の増などにより前年度比1,271億円増の1兆5,043億円となりました。
● 経常費用
府費負担教職員制度の見直しに伴う給与関係費や退職手当引当金繰入額の増などにより前年度比2,018億円増の1兆4,633億円となりました。
● 経常収支差額
前年度比747億円減の410億円となりました。
(3) キャッシュ・フロー計算書の概要
○キャッシュ・フロー計算書から分かること
- 日常の行政サービス実施に要する支出と市税等の一般財源などによる収入との差額である行政サービス活動収支差額は1,906億円のプラスとなっています。
- 行政サービス活動収支差額のプラスによって資産取得等の投資活動や地方債の償還等の財務活動を行っていることがわかります。
- 行政サービス活動収支差額と投資活動収支差額を合わせた額は1,525億円となっており、それにより地方債の償還を支えています。
- キャッシュ・フロー全体の収支は、ほぼ均衡しています。
○キャッシュ・フロー計算書(前年度との比較)
● 行政サービス活動
府費負担教職員制度の見直しに伴う交付金収入などの増がある一方、給与関係費支出の増もあり、収支差額は前年度並み(6億円減)の1,906億円となりました。
● 投資活動
基金積立金支出の増などにより、収支差額は前年度比119億円減の▲381億円となりました。
●財務活動
臨時財政対策債の増による地方債収入の増などにより、収支差額は前年度比162億円増の▲1,486億円となりました。
4 会計別財務諸表総括表
各会計別の資産総額、負債総額及び純資産、並びに収益総額、費用総額及び収支差額は、以下の表のとおりです。
各会計別財務諸表の詳細は、 「(別冊)会計別財務諸表について」 をご覧ください。
[参考]各会計純計の資産及び負債の推移
各会計純計の資産及び負債の推移は、以下のとおりです。
(注)純計とは、各会計の合計から会計間の債権(貸付金)・債務(借入金)及び繰入・繰出を相殺した額です。
5 その他
(1) 所属別財務諸表
(2) 施策事業別財務諸表
(3) 任意事業別財務諸表
これらは、各所属のホームページに掲載していますので、下記のリンクよりご覧ください。
所属名称をクリックすると各所属のホームページに移動します。
所属別財務諸表、施策事業別財務諸表、任意事業別財務諸表の内容については、各区役所、各局・室へお問い合わせください。
大阪市連結財務諸表については、 大阪市財政局ホームページ をご覧ください。
新公会計制度における平成29年度決算財務諸表について
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(別冊)会計別財務諸表について
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