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産業廃棄物に関するよくある質問

2023年8月2日

ページ番号:241900

1 排出事業者は誰か?

下取り行為

メンテナンス廃棄物

梱包材

その他

2 廃棄物処理法の対象となる廃棄物か?

廃棄物と有価物の区分

廃棄物と法対象外不要物の区分

宗教的感情の対象

3 産業廃棄物と一般廃棄物

産業廃棄物と一般廃棄物の区分

産業廃棄物と一般廃棄物の混合物

産業廃棄物の指定業種

4 産業廃棄物の種類

5 産業廃棄物の処理委託

委託基準

Q34 自社の工場敷地内で他社に運搬を委託する場合、委託基準が適用されるか?

Q35 廃溶剤の蒸留再生を委託加工費を払って委託し、再生された廃溶剤を再び自社で使用する場合、委託基準は適用されるか?

Q36 タンクローリーによる工場排水の運搬を他社に委託し、自社の他工場の廃水処理施設で処理する場合、委託基準は適用されるか?

Q37 事業者と直接の雇用関係がない者に産業廃棄物の処理を行わせる場合、委託基準が適用されるか?

Q38 ビル管理会社がテナントに代わって委託契約を締結することは可能か?

Q39 別法人の子会社の産業廃棄物処理について、親会社が代行して契約することができるか?

Q40 一つの契約書で社内の複数の排出事業所の契約ができるか?

Q41 工場長、支店長等が委託契約書を締結してもよいか?

Q42 委託契約書の電子化は認められているか?

Q43 「専ら物」の処理を委託するときに委託契約書を締結する必要があるか?

Q44 処理料金の支払いに当たって、収集運搬業者に運搬料金と処分料金を一括して支払ってもよいか。

Q45 委託契約書に記載する「運搬の最終目的地」とは何か?

Q46 契約内容に変更が生じた場合、変更契約が必要か?

Q47 区間委託と再委託の違いは何か?

Q48 事業所で使用されていた、家電リサイクル法の対象製品の廃棄方法について知りたい。

委託にあたっての注意義務

マニフェスト制度

Q52 ビルの管理会社等がマニフェストの交付等の事務を行うことは可能か?

Q53  排出事業者が産業廃棄物の引渡し時にマニフェストを交付することが困難な場合にマニフェストの交付事務を代行してもらえるか?

Q54 産業廃棄物の引き渡し時には計量をしておらず、処分業者において計量して数量が確定する場合、マニフェストにはどのように記載すればよいか?

Q55 収集運搬業者がサービスとしてマニフェストを購入し記載したうえ排出事業者に提供してくれるが問題ないか?

Q56 マニフェストが返送される前に処理料金を支払ってもよいか?

Q57 輸送費が売却代金を上回る場合で引渡し側に到着した時点で有価物となる場合、マニフェストの「最終処分を行った場所」はどのように記載すればよいのか?

Q58 収集運搬業者が複数の飲食店から廃油を無償で回収し、量が集まることによって再生業者に有償で売却できるようになったとき、マニフェストの「最終処分を行った場所」はどのように記載すればよいのか?

Q59 中間処理業者において再生されている場合、マニフェストの「最終処分を行った場所」に中間処理の場所を記載してよいのか?

Q60 返送されたマニフェストに虚偽記載があったことが後日判明した。この場合でも排出事業者は措置命令(法第19条の5)の対象になるか?

Q61 複数の中間処理業者を経た後に最終処分される場合でも、マニフェストE票の返送期限(交付の日から180日以内)は変わらないのか?

Q62 処理業者がマニフェストを紛失したため再交付を求められた。再交付をしてもよいか?

Q63 マニフェスト交付等状況報告書について一つの報告書で複数の排出事業所の報告をすることができるか?

Q64 マニフェスト交付等状況報告書の「業種」欄はどのように記載すればよいのか?

Q65 マニフェスト交付等状況報告書について大阪市の様式は何故国が定めた様式と違うのか?

Q66 電子マニフェストを使用したいが処理業者が加入していない場合はどうなるか?

6 産業廃棄物の処理基準

保管基準

投棄禁止規定

その他

多量排出事業者制度

7 医療廃棄物

医療廃棄物の分別

感染性廃棄物の判断

感染系廃水

在宅医療廃棄物

その他

8 PCB廃棄物

9 その他の特別管理産業廃棄物等

建設工事から発生する産業廃棄物について

1 排出事業者は誰か?

下取り行為

Q1 販売事業者が使用済みの製品をユーザーから下取りする場合は、誰が排出事業者になるか?

A1

 通常は製品のユーザーが排出事業者になりますが、販売事業者が商慣習として同種の製品の販売に伴ってサービス(無償下取り)行為として使用済み製品を引き取る場合には、販売事業者が排出事業者となります。この場合は、下取りをした販売事業者が、販売事業活動に伴い排出される産業廃棄物の排出事業者として処理責任を負うことになり、廃棄物処理法の規定に従い適正に自社処理又は委託処理を行うことが必要です。下取りはあくまで廃棄物処理法の特例として認められるものであり、ユーザーが販売事業者に対して製品購入時に下取りを強要する場合は商慣習として成立しているとは言えず、不適正な行為になります。

 また、この場合販売事業者が使用済み製品をユーザーから引き取った時点が産業廃棄物の発生時点となり、使用済み製品を家庭から下取りする場合でも、産業廃棄物の種類(20種類)に該当する場合は、一般廃棄物ではなく販売事業者が排出する産業廃棄物に該当します。

 

Q2 販売事業者が下取りした使用済み製品を製造事業者がさらに下取りした場合、製造事業者は排出事業者になるか?

A2

 製造事業者が排出事業者にはなりません。

 下取りは、あくまでユーザーに納品した販売事業者の顧客サービスの範疇で行われるものであって、販売事業者に排出事業者責任があります。
 販売事業者が下取りした時点で使用済み製品は販売事業者が排出した産業廃棄物となりますので、それを製造事業者が引き取る場合は、例え無償であっても産業廃棄物の処理委託となって廃棄物処理法の委託基準が適用されます。

Q3 販売事業者はユーザーから下取りした使用済み製品の運搬を他社に委託することができるか?

A3

 下取りした販売事業者が自ら運搬する場合は、自社運搬となり収集運搬業の許可は不要ですが、他社(運送会社)に運搬を委託するときは、その他社(運送会社)は産業廃棄物収集運搬業の許可が必要であり、廃棄物処理法の委託基準が適用されます。

 この場合、マニフェストの記載にあたっては、「排出事業場」はユーザーの名称・所在地とし、「運搬先の事業場」は販売事業者の倉庫等又は販売事業者が委託した処分業者の施設となります。また、販売事業者とユーザーがあらかじめ定めるところにより、マニフェストの交付事務をユーザーに代行してもらうことができます。(A53参照)

Q4 下取りの条件を満たさない場合でも、製品の販売という販売事業者の事業活動に伴って排出された産業廃棄物とみることができるか?

A4

 排出事業者はユーザーであって、販売事業者ではありません。販売事業者がユーザーに販売した時点で製品の所有権はユーザーに移行しており、当該製品を支配管理するユーザーが排出事業者となります。

メンテナンス廃棄物

Q5 設備やビルのメンテナンスに伴い発生する産業廃棄物は、誰が排出事業者になるか?

A5

 メンテナンスが廃棄物処理法第21条の3第1項に規定する建設工事(土木建築に関する工事(建築物その他の工作物の全部又は一部を解体する工事を含む。))に該当する場合は、排出事業者は工事の元請業者です。

 建設工事に該当しない場合には、設備のメンテナンスに伴い生ずる部品、廃油等やビルのメンテナンスに伴い生ずる床ワックス剥離廃液等メンテナンス業者の有する専門的知識がなければメンテナンスができないようなケースで発生する廃棄物や、メンテナンス業者が持ち込んだ溶液や持ち込んだ機械自体から発生する廃棄物はメンテナンス業者が排出事業者となります。

 逆に、廃水処理設備のメンテナンスにおいて発生する劣化した濾材やイオン交換樹脂については、廃水処理に伴い発生する汚泥と同様に設備の所有者に排出事業者責任があります。
 また、タンクの清掃作業で発生するタンクスラッジの排出事業者もタンクの所有者です。これらを意図的にメンテナンス業者が持ち込んだ溶液に混ぜることなどにより、メンテナンス業者の廃棄物とすることは認められません。

梱包材

Q6 梱包材やパレットは誰が排出事業者になるか?

A6

 一般的には、梱包材やパレットが不要物となったときの占有者(梱包を解き又はパレットから降ろしたときの所有者)が排出事業者となりますので、梱包され又はパレットに載せた状態で納品した場合は、開梱し又はパレットから降ろした購入者が排出事業者となります。

 ただし、納入業者と購入者の間で梱包材やパレットを納入業者が引き取る契約を交わしている場合は、納入業者が排出事業者となります。この際、当該梱包材やパレットを支配管理していて排出事業者責任を負わせることが最も適当なものが排出事業者となるべきであって、安易に排出事業者責任が納入業者に転嫁されることのないよう梱包材等の適正処理に要する費用の負担について明確に定めておくことが必要です。

 なお、梱包材やパレットが繰り返し使用されている間は、廃棄物には該当しません。

Q7 梱包された製品を開梱してからユーザーに納品する場合、梱包材の排出事業者は、メーカーか運送業者か?

A7

メーカーと運送業者のどちらが排出事業者となるのかについては、両者の契約の内容によって異なります。
・ 運送委託契約において、運送業者が運送業務に伴い生じる梱包材の処理責任を負うものと定めれば、運送業者が排出事業者となります。
・ 運送委託契約において、メーカーが梱包材の処理責任を負うものと定めれば、メーカーが排出事業者となります。

ただし、メーカーが排出事業者となる場合において、運送業者がメーカーに梱包材を持ち帰る行為については、持ち帰った時点が産業廃棄物の発生時点となり、開梱した地点からメーカーまでの梱包材の運搬については、製品の運送過程の一環となります。ただし、 開梱した地点から直接処理施設へ搬入する場合は、開梱した時点が産業廃棄物の発生時点となり、メーカーが運送業者に産業廃棄物の運搬を委託していることになります。

その他

Q8 道路清掃に伴う産業廃棄物の排出事業者は、清掃業務を受託した業者か、それとも発注した道路管理者か?

A8

 道路の維持管理業務に伴う事業系廃棄物であり、道路管理者が排出事業者となります。

 清掃業務において生ずる産業廃棄物は、清掃業者が産業廃棄物を発生させたものではなく、清掃する前から発生していた産業廃棄物を一定の場所に集積させる行為をしたに過ぎないため、清掃委託をした事業者(道路管理者)が排出事業者となります。

 また、道路清掃に伴う産業廃棄物を当該道路から離れた場所にある道路管理者の保管選別施設や処分業者の施設まで運搬する場合において、当該清掃業者に運搬を委託する場合には、廃棄物処理法の委託基準が適用されます。

Q9 スーパーマーケットの駐輪場に放置された自転車は誰が排出事業者になるか?

A9

 駐輪場に駐輪された自転車を一定期間放置後に処分する場合、自転車の所有者が判明しなければ、事業活動の一環として駐輪場を管理しているスーパーマーケットが排出した産業廃棄物となります。産業廃棄物の種類は、「金属くず」「廃プラスチック類」など自転車を構成する品目となります。

Q10 自動車整備工場においてタイヤ交換により発生した廃タイヤやガソリンスタンドにおいてオイル交換により発生した廃油は、誰が排出事業者になるか?

A10

 自動車整備等に伴ってオイル交換を行うような場合や、タイヤ交換を行うような場合について、これら旧品の処理費用をユーザーから徴収することなく、事業者のサービス行為にて処理を行う場合に関しては、自動車整備工場やガソリンスタンドが排出事業者となります。営業車だけでなく、一般ユーザー(営業車以外)の自動車のタイヤ交換・オイル交換に伴い発生したものも自動車整備工場やガソリンスタンドの産業廃棄物となります。

 そのため、自動車整備工場やガソリンスタンドが排出事業者として、自らの責任において適正に廃タイヤや廃油の処理をしなければなりません。

 ただし、整備料金等とは別に事業活動から生じる廃タイヤや廃油の処理料金を受け取ると自動車整備工場等が産業廃棄物の処理を受託する行為となり、自動車整備工場等は産業廃棄物処理業の許可を受けていなければなりません。

Q11 倉庫会社の倉庫で保管している荷物が廃棄物となった場合、排出者は倉庫会社か荷主か?

A11

 倉庫で保管している荷物を廃棄物として判断するのは荷主であることから、荷主が排出事業者となります。 

Q12 小売店で売れ残った商品は誰が排出事業者になるか?

A12

 小売店が返品伝票を切って卸売業者、メーカーに返品される場合は、各社の取り決めに従い卸売業者又はメーカーが排出事業者となります。この場合、卸売業者やメーカーに返品されるまでは商品であって、卸売業者やメーカーが返品された商品を検査したうえ廃棄するとの意思決定をした段階で廃棄物となります。

 また、小売店が廃棄物として排出する場合は、小売店が排出事業者となります。

Q13 自動販売機に備え付けられた回収ボックスで回収された飲料容器は、誰が排出事業者になるか?

A13

 自動販売機を設置し、飲料販売を行っている者が排出事業者となることから、原則、土地・建物の所有者と契約しているベンダー(飲料製造業者、販売業者)が排出事業者となります。

 一方、自動販売機が設置されている敷地・建物の管理者(小売店、遊戯施設、映画館、テナントビル等)が、自動販売機を支配管理し、実質的に当該自動販売機による飲料販売を行っている場合は、敷地・建物の管理者が排出事業者となります。

Q14 同一敷地内に複数のグループ企業がある場合、グループ全体として排出事業者になれるか?

A14

 産業廃棄物の排出事業者責任は、独立した法人である個々のグループ企業にあるため、グループ全体として同一排出事業者にはなれず、個々の企業が委託基準を遵守し、廃棄物の処理を行う必要があります。このため、産業廃棄物の処理に係る委託契約は、個々のグループ企業の名義において行われなければなりません。

 また、同一企業グループであっても他の法人において産業廃棄物の処理を行う場合には委託基準が適用されます。


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2 廃棄物処理法の対象となる廃棄物か?

廃棄物と有価物の区分

Q15 廃棄物か有価物かをどのようにして判断すればよいのか?

A15

 廃棄物とは、「占有者が自ら利用し又は他人に有償で売却することができないために不要になった物をいい、これらに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断する」(以下、「総合判断説」という。)とされています。

 この考え方は、「廃棄物は排出者にとって不要であるために占有者の自由な処分に任せるとぞんざいに扱われるおそれがあり、生活環境保全上の支障を生じる可能性を常に有していることから、法による適切な管理下に置き、不適正処理に対しては厳正に取り締まること必要である。」との考え方に基づくものです。

 この場合、有価物として有償売却されていた物が、市況変動により処理料金を支払って委託することとなった場合、産業廃棄物に該当することとなって委託基準が適用されることに注意する必要があります。

 また、自ら利用すればどのような物でも廃棄物でなくなるものではなく、他人に有償で売却できるものを自ら利用することが必要です。

 「総合判断説」において国が示す5つの判断要素((1)その物の性状、(2)排出の状況、(3)通常の取扱形態、(4)取引価値の有無、(5)占有者の意思)は、総合的に判断するということであって、どれか一つの要素だけで決まるものではありませんが、実務的に最も重要視されることが多い「取引価値の有無」については、環境省から次のようにその考え方が示されています。(R3.4.14環境省通知「行政処分の指針について」)

 「占有者と取引の相手方の間で有償譲渡がなされており、なおかつ客観的に見て当該取引に経済的合理性があること。実際の判断に当たっては、名目を問わず処理料金に相当する金品の受領がないこと、当該譲渡価格が競合する製品や運送費等の諸経費を勘案しても双方にとって営利活動として合理的な額であること、当該有償譲渡の相手方以外の者に対する有償譲渡の実績があること等の確認が必要であること。」

 このうち、有償譲渡がなされているかどうかの判断の目安は次のとおりです。

  • 排出事業者が運送費を負担する場合
    売却代金と運送費を相殺しても排出事業者側に経済的利益があること。すなわち、受入事業者が運送費相当額以上の対価を払って購入すること。
    (注)運送費は委託運搬による場合は運搬委託料金とし、自ら運搬する場合は運搬に要する実費とする。
  • 受入事業者が運送費を負担する場合
    受入事業者が排出事業者に対価を支払うこと。支払われる対価は、経済合理性に基づいた適正な対価として、受入事業者と排出事業者が協議のうえ合意したものであること。

 また、5つの判断要素のうち「占有者の意思」は、その物の性状、保管及び排出の状況、取引価値の有無など客観的な諸事実から社会通念上合理的に推認できる占有者の意思を言います。

Q16 輸送費が売却代金を上回る場合は廃棄物になるか?

A16

  売却代金と運送費を相殺すると排出事業者側に経済的損失がある場合(「運賃による逆有償」とか「手元マイナス」と言われます。)は廃棄物に該当し、受入側事業者における再生利用後に客観的に有償売却できる性状となった時点ではじめて廃棄物を「卒業」するものであり、それまでは再生利用施設における保管や処理を含めて廃棄物として規制され、廃棄物処理法の規定が適用されます。受入事業者側で本来は処理費が必要であるにもかかわらず、売却代金を支払う形にし、その分を運搬費に上乗せするような有償譲渡を偽装した脱法的な行為が認められるものではありません。

  なお、国の規制改革の一環として、再生利用又は電気、熱若しくはガスのエネルギー源として利用するために有償で譲り受ける者へ引渡す場合においては、少なくとも、再生利用又はエネルギー源として利用するために有償で譲り受ける者が占有者となった時点以降については、以下の3点に留意し、物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等の判断要素を総合的に勘案して、廃棄物に該当しないと判断しても差し支えないとする考え方が国から示されています。

  1. 再生利用にあっては、再生利用をするために有償で譲り受ける者による当該再生利用が製造事業として確立・継続しており、売却実績がある製品の原材料の一部として利用するものであること。 
  2. エネルギー源としての利用にあっては、エネルギー源として利用するために有償で譲り受ける者による当該利用が、発電事業、熱供給事業又はガス供給事業として確立・継続しており、売却実績がある電気、熱又はガスのエネルギー源の一部として利用するものであること。
  3. 再生利用又はエネルギー源として利用するための技術を有する者が限られている、又は事業活動全体としては系列会社との取引を行うことが利益となる等の理由により遠隔地に輸送する等、譲渡先の選定に合理的な理由が認められること。

 なお、廃棄物該当性の判断については、法の規制の対象となる行為ごとに、その着手時点における客観的状況から、物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案してする必要があるものであり、引渡し側から譲り受ける者までの間の収集運搬についても同様の総合的判断が必要です。

 (H25.3.29環境省通知『「エネルギー分野における規制・制度改革に係る方針」(平成24年4月3日閣議決定)において平成24年度に講ずることとされた措置(廃棄物処理法の適用関係)について』及びH17.7.4環境省通知(H25.6.28改正)「規制改革通知に関するQ&A集」)

Q17 他人に有償売却できない物を自社の生産工程に戻して使用しても廃棄物を処理したことになるのか?

A17

 他人に有償売却できない物を、その物が発生した生産工程とは別の生産工程に投入して原材料として自ら使用する場合は、自社内であっても、廃棄物の再利用・再生利用に該当します。

 ただし、その物が発生した生産工程に戻して原材料として使用する場合(工程内リサイクル)は、その工程から不要物として発生したことにはならないことから、そもそも廃棄物が発生したことにはなりません。

廃棄物と法対象外の不要物の区分

Q18 道路側溝の堆積物は廃棄物処理法の対象となる廃棄物か?

A18

 道路管理者が道路側溝の堆積物を除去し排出する場合は、その性状により判断します。

 具体的には、道路側溝に堆積した泥状物は、産業廃棄物の汚泥となりますが、排出時点でただちに水分がはけて土砂様を呈するのであれば、廃棄物処理法の対象とならない土砂です。また、堆積した紙、木、草、落葉などは一般廃棄物となります。
 なお、一般家庭が清掃作業をして排出した場合は、泥状のものであっても一般廃棄物となります。

 ただし、泥状とはとらえられない土砂については、廃棄物処理法の対象外です。

 (注) 「港湾、河川等のしゅんせつに伴って生ずる土砂その他これに類するもの」は、廃棄物処理法の対象とする不要物ではありません。これは、港湾、河川等で発生する浚渫土砂は、埋立て用の有用物として実際に使われているという実態があり、その物の性状からみて発生現場で適宜移動するものであり、廃棄物の概念にはなじみにくい性格を有していることから、運用上、廃棄物処理法の規制対象とはしないという取り扱いをしてきたものです。しかし、この考え方は、工場内の側溝や道路の側溝にまで適用されるものではありません。

Q19 砂ろ過装置の砂は産業廃棄物に該当するか?

A19

 砂ろ過装置のろ材の交換に伴い発生する砂については、高圧洗浄等により砂に付着している有機物等が除去されているのなら法対象外の土砂となりますが、有機物等が付着しているのなら産業廃棄物の汚泥に該当します。

 同様に、下水処理の沈砂池から除去した沈砂についても、土砂と有機物等が混合している状態では産業廃棄物の汚泥ですが、これを洗浄して有機物等を除去した土砂は法の対象外です。

宗教的感情の対象

Q20 ペットの死体は廃棄物に該当するか?

A20

 宗教的・社会的慣習等により埋葬及び供養が行われるものについては、社会通念上廃棄物処理法に規定する「汚物又は不要物」に該当しませんので、ペットの死体について、埋葬及び供養を行う場合は廃棄物に該当しません。

 ただし、埋葬・供養するとして飼い主から預かったペットの死体を火葬及び返骨等の処理を適正に行わずに処分する場合は、廃棄物(一般廃棄物)に該当します。また、埋葬及び供養を行うことが、宗教的・社会的慣習となっていないものについて、供養を行うという理由だけで社会通念上廃棄物処理法に規定する「汚物又は不要物」に該当しないとすることはできません。

 なお、道路管理者が路上で斃死した動物の死体を回収し供養等を行わずに焼却する場合は、一般廃棄物に該当します。

Q21 火葬後の人骨、骨灰は、廃棄物に該当するか?

A21

 宗教的感情の対象として、これらのものを廃棄物として処理することは社会通念上適切でないことから、廃棄物に該当しません。

 ただし、焼却炉のメンテナンスに伴い発生する耐火レンガ・機械部品・廃油等の廃棄物、集塵機から生じるばいじん、排水処理施設の汚泥等は、廃棄物に該当します。

Q22 古くなった墓を除去した後廃棄する場合は、廃棄物に該当するか?

A22

 墓は祖先の霊を埋葬・供養等してきた宗教的感情の対象ですので、宗教行為の一部として墓を除去する行為を行う場合は、廃棄物には当たりません。

 ただし、宗教行為を終え、墓石を単なる廃棄物として処理する場合は、廃棄物に該当し、それが事業活動に伴って排出される場合は、産業廃棄物のがれき類に該当します。


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3 産業廃棄物と一般廃棄物

産業廃棄物と一般廃棄物の区分

Q23 事業活動に伴って排出される泥状、液状の不要物は、産業廃棄物か一般廃棄物か?

A23

 事業活動に伴って排出される泥状の不要物は、産業廃棄物の「汚泥」になります。ただし、し尿を含むものは、一般廃棄物であり、油分をおおむね5%以上含むものは、産業廃棄物の「汚泥」と「廃油」の混合物になります。

 液状の不要物についても、産業廃棄物であり、その性状により、酸性であれば、「廃酸」、アルカリ性であれば、「廃アルカリ」、油分であれば、「廃油」となります。

Q24 事業活動に伴って排出される固形状、粉末状、粒状の不要物は産業廃棄物の汚泥に該当するか?

A24

 動植物性残渣及び動物系固形不要物の指定業種において製造工程等から排出される固形状の不要物は、産業廃棄物(動植物性残さ、動物系固形不要物)に該当します。また、廃棄物処理法に規定される産業廃棄物の種類(廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず、建設業に係る木くず・紙くず等)から構成されるものも当然産業廃棄物に該当します。

 しかし、上記の産業廃棄物に該当しない場合にあっては、汚泥はあくまで「泥状を呈するもの」と定義されていますので、粉末状、粒状の廃棄物であって泥状とは捉えられないものは、汚泥に該当しません。産業廃棄物に該当するのは、廃棄物処理法で規定される20種類だけですので、これらの、固形状、粉末状、粒状の不要物は、一般廃棄物に当たります。

 しかしながら、粉末状、粒状の一般廃棄物の処理に関しては、焼却施設の適正な稼働の観点から搬入量の調整が必要な場合もあるため、大阪市内の排出事業所から発生した廃棄物を広域環境施設組合の焼却施設において処理をするために自ら持ち込む場合には各区を担当する処理施設へ事前相談をお願いします。

Q25 事務所で発生するプラスチック製の弁当がらやカップ麺の容器は、一般廃棄物になるか?

A25

 事業活動に伴って生じた廃プラスチック類であるため産業廃棄物に該当します。

 従業員が事務所で飲食する行為に伴って発生するものが「事業活動に伴って生じた」といえるかどうかについては、事業者は、従業員を使って事業をしなければならないところ、その従業員が昼食時に食べた弁当の容器は、「事業活動に不可避的に伴うもの」であり、その発生の源が事業活動ですので、「事業活動に伴って生じた廃棄物」に当たります。従って、事務所から発生するプラスチック製の弁当の容器、カップ麺の容器のほかペットボトルや飲料缶も産業廃棄物の廃プラスチック類(又は金属くず)に該当します。ただし、食べ残しの弁当(残飯)や木製の割り箸は、事業系一般廃棄物となります。

Q26 コンビニエンスストアの店頭回収ボックスで回収された廃棄物は産業廃棄物か?

A26

 ペットボトル、空き缶、プラスチックごみは、産業廃棄物(廃プラスチック類、金属くず)に該当し、コンビニエンスストアが排出事業者となります。紙ごみや食べ残し(残飯)については、一般廃棄物です。

Q27 輸入した食品で通関手続き後に廃棄される食品は産業廃棄物か?

A27

 輸入した食品(果実や生鮮野菜等)を腐敗等の理由で通関手続き後に廃棄処分する場合、泥状のものは産業廃棄物の汚泥、液状のものは産業廃棄物の廃酸・廃アルカリ、それ以外の性状のものは一般廃棄物となります。また、廃棄物処理法に定める「輸入された廃棄物」とは、廃棄物として輸入されたものであり、通関手続き後に廃棄物となったものは該当しません。

 なお、産業廃棄物の動植物性残渣は、業種限定(食料品製造業・医薬品製造業・香料製造業)があるうえ、「原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物」とされていますので、腐敗した食品そのものは含まれません。

Q28 ペットショップ等で発生する動物のふん尿や排水処理汚泥は産業廃棄物か?

A28

 産業廃棄物の「動物のふん尿」には業種限定があり、畜産農業に係るものに限られております。そのため、ペットショップ、動物園、動物病院等において動物のふん尿をそのまま排出するのであれば一般廃棄物となります。

 一方、ペットショップ、動物園、動物病院等が動物のふん尿や動物舎の洗浄排水を処理するために排水処理施設を設置している場合において、排水処理施設で発生する泥状物は産業廃棄物の汚泥に該当します。

産業廃棄物と一般廃棄物の混合物

Q29 天然繊維と合成繊維の混紡のユニフォームが廃棄物となった場合、産業廃棄物又は一般廃棄物のどちらかとみなすことができるか?

A29

 天然繊維と合成繊維の混合割合によって、「総体として産業廃棄物」又は「総体として一般廃棄物」とみなします。

Q30 し尿を含むビルピット汚泥は、一般廃棄物と産業廃棄物の混合物か?

A30

 ビルにおいて事業活動が行われることによって排出され、ビルピットにたまる汚泥は産業廃棄物ですが、この汚泥にし尿が含まれる場合は、一般廃棄物として処理をいただくことになります。

 従って、汚水槽・合併槽などの清掃の際発生するし尿混じりの汚泥は一般廃棄物であり、雑排水槽・グリース阻集器などの清掃の際発生するし尿を含まない汚泥は産業廃棄物です。一般廃棄物、産業廃棄物の区分によって通常処理方法が異なっており、一般廃棄物は一般廃棄物処理業者が市町村のし尿処理施設等に搬入することができ、産業廃棄物は産業廃棄物収集運搬業者に運搬を委託し産業廃棄物処分業者に処分(脱水、焼却等)を委託することになります。

産業廃棄物の指定業種

Q31 紙加工品製造業の工場の事務所で発生する紙くずは産業廃棄物か?

A31

 紙加工品製造業に係る紙くずは産業廃棄物となりますので、製造工程を有する工場と同一敷地内にある事務所で発生する紙くずは、法令上は、産業廃棄物に該当します。一方、工場とは別の場所にある事務所(例えば本社機能のみの事務所)で発生する紙くずは、いわゆるオフィスごみであって、一般廃棄物に該当します。
 ただし、建設業に係る紙くず・木くず・繊維くずについては、「工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものに限る」と発生工程が限定されているため、建設業者の工事現場の事務所から発生する紙くず等は、一般廃棄物となります。

Q32 木製品製造業の工場で発生した植木の剪定木くずは産業廃棄物か?

A32

 木製品製造業に係る木くずは産業廃棄物となりますので、製造工程を有する工場と同一敷地内で発生する植木の剪定木くずは、法令上は、産業廃棄物に該当します。一方、工場とは別の場所にあって製造工程を有しない事業場の敷地で発生する植木の剪定木くずは一般廃棄物に該当します。
 木製品製造業に係る木くずとしては、本来の製造工程で発生する不要物のほか、製品の搬出や原材料の搬入という付随的な業務の過程で発生するもの及び製造活動に不可避的に伴って発生するものが含まれます。工場の緑化や工場内の環境整備は、事業活動にとって必要不可欠なものですので、植木の剪定木くずは製造活動に不可避的に伴って発生するものということができます。この際、「本来の製造工程で発生する不要物」「付随的な業務の過程で発生する不要物」及び「製造活動に不可避的に伴って発生する不要物」を明確に区分することは実際上困難であり、木製品の製造工程を有する工場と同一敷地内で発生するものは、すべて「木製品の製造に係る木くず」とみなすことが適当です。


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4 産業廃棄物の種類

Q33 次の産業廃棄物の種類は何か?

(1)廃バッテリー(鉛蓄電池)

 内部の電極に用いられる希硫酸はpH2.0以下であって特別管理産業廃棄物の「腐食性廃酸」となることから、「廃プラスチック類(ケース)」「金属くず(極板、端子等)」及び「特別管理産業廃棄物である廃酸」の混合物に該当します。

(2)廃蛍光管

 蛍光管には水銀蒸気が封入されているものもあります。水銀を含む廃蛍光管は「水銀使用製品産業廃棄物」に該当するため、「水銀使用製品産業廃棄物」として分別し、破損等のないよう保管するとともに、水銀使用製品産業廃棄物を取扱いすることができる処理業者に委託するなど適正に処理しなければなりません。

 産業廃棄物の種類としては「ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず(蛍光物質が塗布されたガラス管)」と「金属くず(両端の電極)」の混合物に該当します。(構成部材にプラスチック製品が多く使われている場合は、さらに「廃プラスチック類」との混合物)

 これら水銀を含む廃蛍光管は、水銀を回収することが義務付けられている対象品目ではありませんが、水銀を回収できる業者に委託することが望まれます。なお、破損した場合は、密閉できる容器等に入れて、水銀の飛散・流出を防止する措置を講じてください。

 その他、詳細は「水銀廃棄物の適正処理について」をご覧ください。

(3)廃乾電池

 「金属くず(亜鉛缶、鉄外装)」と「汚泥(二酸化マンガン、塩化亜鉛等)」の混合物に該当します。なお、炭素棒(黒鉛)の部分も「燃え殻」ではなく「汚泥」となります。

 なお、水銀を使用していることが表示されている廃乾電池は「水銀使用製品産業廃棄物」に該当し、水銀を回収することが義務付けられている対象品目ではありませんが、水銀を回収できる業者に委託することが望まれます。

(4)電気メーター盤(電池内臓)

 「金属くず」と「廃プラスチック類」「汚泥」の混合物に該当します。(電池が「金属くず」と「汚泥」の混合物であるため)

(5)オイルエレメント

 「金属くず(ケース等)」、「廃プラスチック類(オイルフィルター)」及び「廃油」の混合物に該当します。なお、オイルフィルターがろ紙(紙製品)の場合も、総体として産業廃棄物とし、一般廃棄物との混合物とはなりません。

(6)粉末消火剤入り消火器

 産業廃棄物の「金属くず(消火器本体)」「廃プラスチック類(ホース、ノズル等)」と一般廃棄物である粉末消火剤の混合物に該当しますが、高圧のガスが充填されており、本市工場にて処理が困難なものでありますので、その処理に関しては廃消火器一般廃棄物及び産業廃棄物)の処理について、環境省より広域認定を受けた一般社団法人日本消火器工業会(03-3866-6258)にご相談ください。

(注)広域認定制度に基づき処理する場合の手順等につきましては、「消火器の処分方法(消火器リサイクル推進センター)別ウィンドウで開く」をご確認ください。

(7)廃活性炭

 性状及び発生工程により廃棄物の種類が異なります。

 一般的に、泥状であれば「汚泥」、固形状又は粉末状であれば「燃え殻」に該当します。ただし、排ガス処理工程において、バッグフィルターのろ布に活性炭をプレコートして、集塵施設(バッグフィルター等)で捕集されたもの等は、「ばいじん」に該当します。

(8)廃サンドブラスト

 「鉱さい」に該当します。
 ただし、合成樹脂の塗膜を剥離することにより合成樹脂成分を多量に含むものは、「鉱さい」と「廃プラスチック類」の混合物に該当し、金属片(錆)を多量に含むものは、「鉱さい」と「金属くず」の混合物に該当します。廃プラスチック類や金属くずとの混合物として取り扱うかどうかは、その物の性状、混合割合等を総合的に勘案して判断します。

(9)廃塗料、廃インキ

 性状及び成分により次のように廃棄物の種類が異なります。

  • 【固形状】:廃プラスチック類
  • 【泥状】:汚泥(油分を概ね5%以上含むものは、「汚泥」と「廃油」の混合物」)

 なお、廃塗料、廃インキが一斗缶等に入った状態で廃棄物となったものは、上記の種類に加えて、さらに「金属くず」との混合物に該当します。
 (注)一斗缶やドラム缶が廃棄物の運搬容器として使用されている場合は、一斗缶やドラム缶は廃棄物ではありませんので、「金属くず」との混合物とはなりません。この場合の一斗缶やドラム缶については、処分業者において再利用するか、処理に伴って生じた廃棄物として処理することになります。

(10)廃クーラント(エンジン冷却水)

 クーラント液(LLC=ロングライフクーラント=を含む)の成分は、不凍液(エチレングリコ-ル)と防錆剤であり、アルカリ性を呈することから「廃アルカリ」に該当します。

 ただし、相当量の油が混入している場合には、「廃アルカリ」と「廃油」の混合物に該当します。

(11)賞味期限切れの飲料品

 容器は、「廃プラスチック類(ペットボトル入り)」、「ガラスくず等(ビン入り)」又は「金属くず(缶入り)」であり、中味の飲料は、「廃酸(酸性の飲料)」、「廃アルカリ(アルカリ性の飲料)」又は「廃酸と廃アルカリの混合物(中性の飲料)」ですので、これらの混合物に該当します。

(12)眼鏡レンズの研磨工程で発生する廃棄物

 レンズの荒削り工程で発生する粉末状・固形状のものは、「ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず」に該当し、研磨工程の廃水処理施設で発生する泥状のものは「汚泥」に該当します。

(13)石材製造業から排出される石片

 墓石などの石材製造業から排出される石片は、「ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず」に該当します。

(14)貝殻

 食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業において製造工程から発生すれば産業廃棄物(「動植物性残渣」)に該当します。その他の業種(漁業、小売業、装飾具製造業、港湾施設の維持管理等)から発生すれば一般廃棄物になります。

(15)ペット(猫)の排泄用の砂

 製造工程で生じる不良品や在庫処分されたものは「ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず」に該当します。
 なお、ペットショップや動物病院から排出される使用後の猫砂は、総体として産業廃棄物(「ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず」)に該当しますが、一般家庭から排出される猫砂は、一般廃棄物です。

(16)鉄道線路の砂利(バラスト)

 「工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物(がれき類)」に該当します。

(17)鉄道線路の枕木

 コンクリート製のものは、「工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物(がれき類)」に該当し、プラスチック(ガラス長繊維強化プラスチック発泡体)製のものは、「廃プラスチック類」に該当します。
 木製のものは、建設業者の請負により排出すれば産業廃棄物の「木くず」に該当します。

(18)油の付着したウェスや軍手

 ウェスや軍手が、合成繊維製の場合は、産業廃棄物の「廃プラスチック類」となり、当該ウェスや軍手が天然繊維(綿、羊毛等)製の場合は、指定業種から排出されるものは、産業廃棄物の「繊維くず」となりますが、指定業種以外の場合は、一般廃棄物となります。
 また、油については、産業廃棄物の「廃油」となります。
 従って、油が付着したウェスや軍手が「廃油との混合物」に該当する場合は、ウェスの材質に応じて、当該ウェスが合成繊維の場合は、産業廃棄物の「廃プラスチック類」と「廃油」の混合物に該当し、当該ウェスが天然繊維の場合は、一般廃棄物と産業廃棄物の「廃油」の混合物に該当します。

(19)飲食店のグリストラップ汚泥

 油分が概ね5%以上なら「汚泥」と「廃油」の混合物、油分が概ね5%未満なら「汚泥」に該当します。
 なお、野菜くず等が相当量混入している場合にあっては、指定業種(食料品製造業等)から排出されたものは「動植物性残渣」との混合物に、指定業種以外(飲食店等)から排出されたものは一般廃棄物との混合物に該当します。

(20)廃トランス

 PCB絶縁油が使用されているものは、特別管理産業廃棄物の「PCB廃棄物」となります。

 PCB廃棄物でないものは、産業廃棄物の、「金属くず(タンク(本体)、鉄心、コイル等)」「廃油(絶縁油)」「廃プラスチック類(電線等)」及び「ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず(ブッシング等)」に該当します。

(21)事務所等の引越し時に発生する廃棄物

 事務用・応接用の机、椅子、本棚、ロッカー、カーペット類は、材質に応じ、産業廃棄物の「金属くず」「廃プラスチック類」「ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず」に該当し、木製の机、椅子などは、一般廃棄物に該当します。
 また、材質が金属・プラスチック・ガラス等であるものと木製、繊維製、皮革製のものとの複合製品は、混合割合によって、「総体として産業廃棄物」又は、「総体として一般廃棄物」に該当します。
 なお、荷物を梱包する段ボールについては一般廃棄物となります。(再使用できる場合を除く)

(22)廃薬品類、廃試薬

 その性状により、液状であれば産業廃棄物の「廃酸」「廃アルカリ」(廃溶剤の場合は「 廃油」)に、泥状であれば産業廃棄物の「汚泥」に該当します。固形状、粉末状、粒状であり動植物性残さに該当しないものは一般廃棄物に該当します。
 廃薬品類、廃試薬の中には、有害物質を含有するものもあります。そこで、産業廃棄物に該当するものを委託処理する場合は、環境保全上適正な処理を確保できるように、含有する物質に応じて適切に処理できる業者に委託するとともに、委託する処理業者に、その組成、性状、有害性等の情報を提供するようにしてください。
 なお、一般廃棄物に該当する廃薬品類等の処理に関し、大阪市内の排出事業所より発生した廃棄物を本市工場において処理をする場合には受入れの可否について判断する必要があるため、各区を担当する処理施設へ事前相談をお願いします。


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5 産業廃棄物の処理委託

委託基準

Q34 自社の工場敷地内で他社に運搬を委託する場合、委託基準が適用されるか?

A34

 運搬の範囲が、公道を通過しないで自社の工場敷地内に限られるものであれば適用されません。

 自社の工場敷地内で産業廃棄物を運搬する行為は、敷地内において産業廃棄物を排出場所から保管場所まで移動し集積させたに過ぎませんので、廃棄物処理法で規定する「産業廃棄物の運搬」には当たらず委託基準は適用されず、マニフェストを交付する義務も生じません。同様に建物の中で各部屋又は各階に置かれた産業廃棄物を建物の集積場所まで運ぶ行為も「産業廃棄物の運搬」には当たりません。

 ただし、自社の工場敷地内であっても、焼却・脱水など廃棄物の処分の概念に当てはまる行為を委託する場合や、自社の工場敷地内の自家処理施設(焼却・脱水など)までの運搬を委託する場合は、委託基準が適用されます。

Q35 廃溶剤の蒸留再生を委託加工費を払って委託し、再生された廃溶剤を再び自社で使用する場合、委託基準は適用されるか?

A35

 いわゆる「委託加工」に該当し、処分の委託には当たりませんので、委託基準は適用されません。

 ただし、他社の廃溶剤と混合されることなく蒸留再生が行われること、蒸留再生に伴って発生する産業廃棄物(蒸留残渣)を、委託する者が処分することが条件となります。

Q36 タンクローリーによる工場廃水の運搬を他社に委託し、自社の他工場の廃水処理施設で処理する場合、委託基準は適用されるか?

A36

 産業廃棄物の廃酸又は廃アルカリ(中性の場合は廃酸と廃アルカリの混合物)の運搬の委託になりますので、委託基準が適用されマニフェストの交付も必要です。

 なお、本事例のように、工場で発生した排水を、自社の他工場の廃水処理施設で中和処理することについては、産業廃棄物の自家処理となりますが、廃棄物処理法の基準が適用されることから、処理基準の遵守が求められるほか、一定規模以上の能力を有する処理施設の設置には、許可を要する場合がありますので、留意ください。

 一方、処理後の放流基準を満たした水の放流については、特別法的な立場に立つ法律(水質汚濁防止法等)によって規制されるものなので、廃棄物処理法の基準は適用されません。(廃水処理施設からの放流は産業廃棄物の処分の特殊な形態と言えます。)

 ただし、廃水処理施設で処理後の水であっても、ドラム缶やタンクローリーで運搬して河川へ投入する行為は、産業廃棄物(廃酸・廃アルカリ)をみだりに捨てたことになって投棄禁止規定に違反する場合があります。

Q37 事業者と直接の雇用関係がない者に産業廃棄物の処理を行わせる場合、委託基準が適用されるか?

A37

 基本的には直接雇用契約のない者に産業廃棄物の処理を行わせる場合は委託基準が適用されます。

 しかしながら、当該事業者の構内又は建物内で行われる場合に、事業者がその産業廃棄物の処理を行うに当たって、その業務に直接従事する者が、事業者と直接の雇用関係がなくても、次の1~5の要件をすべて満たす場合は、「事業者による自ら処理」であって、委託基準は適用されません。

1.当該事業者がその産業廃棄物の処理について自ら総合的に企画、調整及び指導を行っていること。

2.処理の用に供する処理施設の使用権原及び維持管理の責任が、当該事業者にあること(施行令第7条に掲げる産業廃棄物処理施設については当該事業者が法第15条第1項の許可を取得していること。)。

3.当該事業者が業務従事者に対し個別の指揮監督権を有し、業務従事者を雇用する者との間で業務従事者が従事する業務の内容を明確かつ詳細に取り決めること。またこれにより、当該事業者が適正な廃棄物処理に支障を来すと認める場合には業務従事者の変更を行うことができること。

4.当該事業者と業務従事者を雇用する者との間で、法に定める排出事業者に係る責任が当該事業者に帰することが明確にされていること。

5.3及び4についての事項が、当該事業者と業務従事者を雇用する者との間で労働者派遣契約等の契約を書面にて締結することにより明確にされていること。

  なお、事業の範囲としては、上記③に掲げる当該事業者による「個別の指揮監督権」が確実に及ぶ範囲で行われる必要があります。

(参考:平成17年3月25日通知環境省通知「規制改革・民間開放推進3か年計画」(平成16年3月19日閣議決定)」において平成16年度中に講ずることとされた措置(廃棄物処理法の適用関係)について)

Q38 ビル管理会社がテナントに代わって委託契約を締結することは可能か?

A38

産業廃棄物処理の委託契約については、廃棄物処理法で定められた排出事業者責任が、安易に他者に転嫁されることのないようにするため、基本的には代理人による契約締結は認められるものではありません。

しかしながら、テナントビル、ショッピングモール等においてビル管理会社等がテナントの産業廃棄物の集荷場場所を提供し廃棄物の排出管理が共同で行われている場合、産業廃棄物の処理委託契約の代行や、マニフェスト交付を管理会社が代行することを例外的に認めております。

ビル管理会社等が産業廃棄物の処理委託契約の代行する場合は、個々のテナント会社は契約締結に関する権限をビル管理会社等に委任する委任状を交付する必要があります。ただしこのような運用をする場合でも廃棄物の処理責任はあくまでも、個々のテナント会社にあるため、契約者は個々のテナント会社になります。

また、ビル管理会社等が産業廃棄物処理業者と締結する委託契約には、排出事業者であるテナント等の一覧を添付するようにしてください。

 (注)ビルの共用部分から発生する産業廃棄物(し尿を含まないビルピット汚泥等)は、ビルオーナーが排出事業者になります。なお、し尿を含むビルピット汚泥は一般廃棄物です。

Q39 別法人の子会社の産業廃棄物処理について、親会社が代行して契約することができるか?

A39

 排出事業者である子会社が処理業者と委託契約を結ぶ義務があります。

 親会社といえども、独立した法人である別会社の排出事業者責任を代行することはできません。また、親会社が処理業の許可がないのに子会社の産業廃棄物処理の受託をすることは、受託禁止規定(法第14条第15項)に違反することになります。
 ただし、親会社が単に子会社と処理業者との間の委託のあっ旋を行っているだけで、実際の処理委託は子会社と処理業者との間で行われているのであれば、受託禁止規定違反にはなりません。

Q40 一つの契約書で社内の複数の排出事業所の契約ができるか?

A40

 委託契約書は、産業廃棄物を排出する事業所ごとに締結することが一般的です。しかし、電鉄会社の駅舎のように小規模で同じ事業活動を行う事業所を多数有している場合は、支社、支店等一定の単位で集約して委託契約を締結することも可能です。そのほか、フランチャイズチェーンについて、加盟店が本部に処理業者との委託契約締結の代理権を与えることにより、本部が複数の加盟店について一括して契約することも可能です。これらの場合では、産業廃棄物を排出する事業所の名称、所在地のほか、事業所ごとに委託する産業廃棄物の種類・数量等を記載することが必要です。

 なお、同一の車両で複数の排出事業所から積み合わせて収集・運搬する場合でも、マニフェストについては排出事業所ごとに交付することが必要です。

Q41 工場長、支店長等が委託契約書を締結してもよいか?

A41

 委託契約書は排出事業者の代表者が締結するものですが、社内で代表者から契約の締結権限を委任する手続きが行われていれば工場長、支店長等が締結することもできます。

 また、同様にマニフェスト交付状況等報告書の提出についても、事業者の内部組織に関する規程等によって届出行為を行う権限が付与されている者であれば、工場長、支店長等が提出することができます。

 なお、廃棄物処理法に基づく産業廃棄物の排出事業者責任については、代表者が他の者に委任することはできないことに留意してください。

Q42 委託契約書の電子化は認められているか?

A42

 法令によって民間事業者に保存が義務付けられている書面の電子化を認める「e-文書法(「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」及び「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」)」が、平成17年4月に施行されております。

 e-文書法の施行に伴い、「環境省の所管する法令に係る民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則」が制定され、廃棄物処理法に定められている委託契約書等についても、従来の書面(紙)による作成・保存等に代えて、「電磁的保存・作成・交付」が可能となっています。

 具体的には、パソコンの文書作成ソフトを使用した電磁的な委託契約書の作成等や、従来の書面(紙)による委託契約書をスキャナーでパソコンに読み込み電磁的に保管する方法が認められています。

 また、電磁的に作成される委託契約書の要件について、廃棄物処理法では委託基準を遵守すること以外に特段の定めは無く、一般的に用いられているソフトにより作成した書面、帳簿等で差し支えないとされており、「電子署名及び認証業務に関する法律」による「電子署名」は義務付けられておりません。勿論、民事上の契約の効力をより確実なものとするため「電子署名」を用いることも可能です。

 なお、電磁的に作成される委託契約書には、印紙税は課されないこととなっております。

 (平成22年1月5日、各正会員事務局長あて、社団法人全国産業廃棄物連合会理事・事務局長事務連絡「廃棄物処理法に定める委託契約書等の電子化について(周知依頼)より引用」)

(注)e-文書法の適用対象となる文書は、限定列挙されており、産業廃棄物処理委託契約書のほか、産業廃棄物の再委託承諾書や処理困難通知の写しも含まれていますが、産業廃棄物管理票(紙マニフェスト)は含まれていないことに留意してください。従って、5年間の保存義務のある紙マニフェストをスキャナーで取り込みした後廃棄し、PDF等電子ファイル化したもののみを保存することは違法です。
 なお、電子マニフェストを使用すれば、マニフェストの保存の必要がなくなるなど多くのメリットがあるため、大阪市では電子マニフェストの利用を推奨しております。

Q43 「専ら物」の処理を委託するときに委託契約書を締結する必要があるか?

A43

 専ら再生利用の目的となる産業廃棄物(古紙、くず鉄(古銅等を含む)、空きびん類又は古繊維)(「専ら4品目」と言われます。)を専門に取り扱う再生業者に再生利用を委託する場合は、マニフェストの交付は不要です。ただし、有価物として売却するものを除いて、産業廃棄物の処理委託(無償で引取る場合を含む)となりますので、委託基準は適用され、委託契約書の締結は必要になります。(有償売却される場合は、有価物となってそもそも廃棄物処理法は適用されません。)

 委託契約書の法定記載事項として、「受託業務終了時の受託者の委託者への報告に関する事項」が定められており、通常はマニフェストで代用していますが、マニフェストの交付が不要な「専ら物」の委託に当たっては、マニフェストに代わる何らかの書面(受入伝票など)で業者から処理終了報告を受けることが望まれます。(「専ら物」の処理確認のためにマニフェスト伝票を使用した場合は、マニフェスト交付等状況報告書の対象とはなりません。)

 また、「専ら物」を取り扱う業者は産業廃棄物処理業の許可が不要であるため、廃棄物処理法で定める産業廃棄物収集運搬業者や産業廃棄物処分業者ではありませんので産業廃棄物処理基準も適用されません。しかし、「専ら物」を取り扱う業者の施設に排出事業者が自ら搬入する場合は、排出事業者による自家運搬であって、産業廃棄物処理基準(運搬車への表示及び書面の備え付けを含む)が適用されることに留意してください。

 なお、「専ら4品目」であっても、それを埋立処分や焼却処理するなど再生利用していない場合は、通常の産業廃棄物処理委託と同様に産業廃棄物処理業者に委託し、マニフェストを交付することが必要です。従って「専ら4品目」を処理料金を支払って産業廃棄物処理業者でない者に委託する場合は、それが確実に再生利用されることを確認することが望まれます。

Q44 処理料金の支払いに当たって、収集運搬業者に運搬料金と処分料金を一括して支払ってもよいか。

A44

 廃棄物処理法では、運搬と処分の委託は、それぞれ委託契約を結ぶように定められており、契約書には処理料金を記載することが義務付けられています。しかし、処理料金の支払い方法については、委託基準において特段の規定がありません。

 そのため、収集運搬業者に処分料金も含めて一括して支払い、収集運搬業者が処分業者に処分料金を支払うことは違法ではありません。しかし、収集運搬業者が受託内容に従わずに処分を勝手に委託して廃棄物の横流しをすることを防止するために、収集運搬業者が処分まで一括して受託することを禁止する廃棄物処理法の趣旨を踏まえ、処分業者に適正な対価が支払われずに不適正処理を招くことのないようにするため、個々の契約に基づいて収集運搬業者には運搬料金を、処分業者には処分料金をそれぞれ直接支払うことが望ましいと考えられます。

 また、処分業者に適正な対価が支払われず、結果的に不適正処理が起きたときには、排出事業者が措置命令(法第19条の6)の対象となる可能性があることに注意する必要があります。

 なお、収集運搬業者が処分業者を排出事業者に紹介するサービスや産業廃棄物の種類に応じた最適な処理方法をコーディネートするサービスを行う場合において、排出事業者が収集運搬業者に支払う手数料等の対価は、処理料金とは明確に区分されていることが必要です。

 そのほか、商社等の第三者が排出事業者との契約に基づき、処理業者への処理料金の支払いを代行することも可能です。

Q45 委託契約書に記載する「運搬の最終目的地」とは何か?

A45

 委託する収集運搬業者が最終的に運搬する施設(中間処理施設、最終処分場、積替え保管施設等)のことです。

  • 積替え保管施設を経由しない運搬の委託(直送)の場合は、処分業者の施設の所在地
  • 積替え保管を含む運搬の委託の場合は、積替え保管後に搬入する処分業者の施設の所在地
  • 積替え保管施設を経由する区間委託で、区間1(排出事業所から積替え保管施設まで)の運搬の委託の場合は、積替え保管施設の所在地
  • 積替え保管施設を経由する区間委託で、区間2(積替え保管施設から処分業者の施設まで)の運搬の委託の場合は、処分業者の施設の所在地

Q46 契約内容に変更が生じた場合、変更契約が必要か?

A46

 会社名、代表者、本店所在地等の変更や吸収合併(存続法人となる場合)など軽微な変更の場合は、変更内容を記載した書面(覚書等)を作成し、双方が記名して契約書に添付しておいてください。また、産業廃棄物処理業の許可証の内容に変更が生じた場合は、変更後の許可証を契約書に添付してください。(収集運搬業についての政令市長の許可が、知事の許可へ一元化されたことによる変更を含む。)添付文書には、添付した日付を記入のうえ、双方が記名してください。この場合でも、契約更新時には新たな内容で契約書を締結するようにしてください。

 また、法人そのものの変更、有限会社から株式会社への変更、契約期間の変更、産業廃棄物の種類の変更、委託量の大幅な変更、最終処分の場所の変更など重要な変更の場合は、契約書を締結し直すようにしてください。

Q47 区間委託と再委託の違いは何か?

A47

 産業廃棄物の運搬委託に際し、処分施設までの運搬を積替え保管施設を介して区間を区切って複数の業者に委託することを区間委託といいます。

【例】

  • A:収集運搬業者(1)に収集運搬業者(1)の積替え保管施設までの運搬を委託
  • B:収集運搬業者(2)に収集運搬業者(1)の積替え保管施設から処分施設までの運搬を委託

 これに対して、収集運搬業者が排出事業者から委託を受けた産業廃棄物の運搬を、受託した範囲で他の収集運搬業者に委託することを再委託といいます。
 上記の例では、排出事業者から積替え保管施設から処分施設までの運搬(Bの部分)を受託した収集運搬業者(2)がそのBの部分の運搬を収集運搬業者(1)に委託すると再委託となります。

 区間委託は、通常の運搬委託と同様であって法的に認められていますが、排出事業者が複数の収集運搬業者と別々に委託契約を締結しないと再委託とみなされる場合があるので注意が必要です。その場合、契約書に記載する「運搬の最終目的地」は、上の例で言うと、収集運搬業者(1)との契約では同社の積替え保管施設を記載し、収集運搬業者(2)との契約では処分施設を記載することになります。

 一方、再委託は、無責任な業者等への再委託が処理責任の所在を不明確にし、不法投棄等の不適正処理を誘発するおそれがあることから、 原則禁止されていますが、収集運搬車両や産業廃棄物を処理する施設の故障など突発的な事態により産業廃棄物の適正な処理の確保が困難な場合、再委託の基準(注)に従った再委託は一度だけ認められています。

 なお、車両や施設の復旧等の見込みが立たず再委託を、継続的に行う必要が生じた場合は、排出事業者が再委託先と直接契約を締結することが必要です。

(注)再委託の基準
・あらかじめ排出事業者の書面による承諾を受けていること。
・委託契約書の必要事項を記載した文書を再受託者に交付すること。
・特別管理産業廃棄物については、排出事業者から通知された事項を文書で通知すること。
・その他委託基準の例によること。

Q48 事業所で使用されていた、家電リサイクル法の対象製品の廃棄方法について知りたい。

A48

 家電リサイクル法の対象製品(家電メーカーが家庭向けに製造したエアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)が廃棄物となった場合の処理委託方法については、家庭から排出する場合と同様に下記に示す3つの方法で処理をしてください。

  1. 買い替えの場合は、新しい製品の購入店に依頼する。
  2. 処分のみの場合で、過去の当該製品の購入先がわかる場合は当該購入店に依頼する。
  3. 産業廃棄物収集運搬許可業者に委託し指定引取場所への運搬を⾏い(指定引取場所までの運搬中のみマニフェストの運用が必要)、⼜は⾃ら指定引取場所への運搬を⾏い、製造業者等に引き渡す。

 (注)3の場合、郵便局において家電リサイクル券を⽤いてリサイクル料⾦(製品及び製造メーカーにより異なる)の⽀払いを済ませてから指定引取場所に運搬を⾏う必要があります。

 その他、詳細については「家電4品目の排出事業者向け案内サイト(一般財団法人家電製品協会)」別ウィンドウで開くを参考にしてください。

 その他に、家電リサイクル法に基づく処理ルートを利用せず、適正な処理を⾏うことができる産業廃棄物処分許可業者に委託する方法がありますが、家電リサイクル法の対象製品の処分方法については、環境大臣告示により処分⽅法が定められており、対応可能な業者は限られますので、処理委託前に検討している処分業者の許可を担当している自治体に、適正処理が可能な業者に該当するかについて確認をお願いします。

 環境大臣告示により定められた処分方法につきましては環境省ホームページ「特定家庭⽤機器⼀般廃棄物及び特定家庭⽤機器産業廃棄物の再⽣⼜は処分の⽅法として環境⼤⾂が定める⽅法」別ウィンドウで開くを確認ください。

 

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委託にあたっての注意義務

Q49 平成22年法改正で排出事業者の努力義務に処理状況の確認が追加されたが、必ず実地確認を行わないといけないのか?

A49

 次の方法で処理の状況について適切に確認すればよく、必ずしも実地に確認することを求めるものではありません。

  • 委託先の中間処理施設や最終処分場等を実地に確認する方法(現地確認)
  • 委託先が公表している情報により間接的に確認する方法
  • 優良認定処理業者に処理を委託している場合は、処理業者による産業廃棄物の処理状況に関するインターネットによる公表情報
  • 産業廃棄物処理施設の維持管理の状況に関するインターネットによる公表情報

 この規定は、努力義務であるため罰則の対象となることはありませんが、処理を委託した産業廃棄物が不法投棄された場合等に排出事業者が原状回復等の措置命令の対象となる場合として、「この規定の趣旨に照らし排出事業者に支障の除去等の措置を採らせることが適当であるとき」が定められています(法第19条の6第1項)。

Q50 排出事業者には処理状況の確認努力義務があるが、中間処理業者に委託している場合は、中間処理後の産業廃棄物の最終処分場の確認まで必要か?

A50

 中間処理業者が排出事業者としての立場で最終処分場における処理状況の確認を行うこととなります。
 排出事業者は、中間処理業者から情報提供を受けることによって、

  • 中間処理業者と最終処分業者との契約書や二次マニフェストの写し
  • 最終処分業者の許可証の写し
  • 最終処分場の残存容量

 等の資料を確認し、必要に応じて現地を確認することが望まれます。
 なお、確認した資料は中間処理業者との契約書とともに保管しておくことが望まれます。(委託基準では、委託契約書に添付すべき書面とはされておりません。)

Q51 平成22年法改正で規定された処理困難通知を受けた排出事業者はどうすればいいのか?

A51

 処理困難通知は、産業廃棄物の処理を受託した産業廃棄物処理業者が、産業廃棄物の処理を適正に行うことが困難となり、又は困難となるおそれがある事由(注1)が生じたときに、適正な処理が困難となった産業廃棄物に係る委託契約を締結している排出事業者全てに通知しなければならないものです。
(注1)困難となる事由:破損その他の事故による保管上限到達、事業の廃止、施設の休廃止、埋立終了(最終処分場)、欠格要件該当、行政処分

 また、当該通知を受けた排出事業者は、速やかに処理の状況を把握し、適切な措置(生活環境の保全上の支障の除去等、具体的には(注2)を参照)を講ずるとともに、マニフェストの返送を受けていない場合は、「措置内容等報告書」を知事(又は政令市長)に提出しなければなりません。
 このように、処理困難通知を受けた排出事業者が講じるべき措置を、マニフェストが返送されない場合等に講じるべき措置とリンクさせたことによって、処理困難通知の制度は、排出事業者にとって委託した産業廃棄物について結果責任を問われる重要な意味を持つことになりました。これは、委託した産業廃棄物が不適正処理され、生活環境保全上の支障が生じ、又は生じるおそれがある場合には、処理困難通知を受けて適正な措置を講じなかった排出事業者も措置命令の対象とされたためです。(法第19条の5)

 処理困難通知を受けた排出事業者は、例え処理料金を支払い済みであっても、処理の状況を把握し、適切な措置を講じなければなりません。

(注2)適切な措置の例としては、

  • その処理業者に新たな処理委託を行わないこと。
  • 委託契約を解除して他の処理業者等に処分を委託し直すこと。
  • 再委託可能な場合は、その処理業者に依頼して他の処理業者に再委託基準に則って再委託させること。

 などが考えられますが、具体的な措置の内容については、個別の状況に応じて異なります。

 なお、その処理業者に引き渡した産業廃棄物について処理が終了した旨のマニフェストの送付を受けていない場合は、通知を受けた日から30日以内に「措置内容等報告書」を所管の行政に提出しなければなりません。

マニフェスト制度

Q52 ビルの管理会社等がマニフェストの交付等の事務を行うことは可能か?

A52

 産業廃棄物を運搬受託者に引き渡すまでの集荷場所を排出事業者に提供している実態がある場合に、当該集荷場所の提供者が排出事業者からの依頼を受けて自らの名義においてマニフェストを交付し、返送マニフェストの確認及び保存等の事務(マニフェスト交付状況等報告書の提出を含む)を行うことができます。

【例】

  • ビルの管理会社等が当該ビルの賃借人(テナント)の産業廃棄物の集荷場所を提供する場合
  • 農業協同組合等が農業者の排出する廃プラスチック類の集荷場所を提供する場合
  • 自動車のディーラーが顧客である事業者の排出する使用済自動車の集荷場所を提供する場合
  • 事業者団体が構成員である事業者が排出する産業廃棄物の集荷場所を提供する場合

 ただし、排出事業者と集荷場所の提供者がマニフェストの交付等の事務の代行について、契約書・覚書等で定めておくことが望まれます。また、処理責任は各事業者にあり、産業廃棄物の処理に係る委託契約は、個々の事業者の名義において別途行われなければなりません。(A38参照)

 なお、紙マニフェストを使用し当該運用をする場合、排出事業者欄は、集荷場所の提供者(ビル管理会社等)ではなく、各事業者を記載下さい。保管事業者が多数で書ききれない場合は排出事業者の一覧を作成し、「別紙のとおり」と記載した上で当該一覧表を添付することで対応可能です。交付担当者欄にはビル管理会社名と担当者氏名を記入してください。

 電子マニフェストで運用する場合も、基本的にはた紙マニフェストでの運用と同じになりますが、電子マニフェストの場合、システム上、複数社を排出事業者として登録することは原則不可能であるため、ビル管理会社が代表で電子マニフェストに加入し、排出事業者として登録いただいてもかまいませんが、廃棄物の処理責任は個々の事業者にあるため、紙マニフェストの運用時と同様に集荷場所の提供者(ビル管理会社等)はマニフェスト毎に、排出事業者である個々の事業者から排出される産業廃棄物の種類、量を把握した上で、備考欄に排出事業者名を記載いただきますようお願いいたします。備考欄に記載し切れない場合は、紙マニフェストの運用時と同様、排出事業者の一覧表を作成し、受渡確認票に添付してください。

Q53 排出事業者が産業廃棄物の引渡し時にマニフェストを交付することが困難な場合にマニフェストの交付事務を代行してもらえるか?

A53

  あくまで産業廃棄物の排出事業者が適切にマニフェストを交付することが廃棄物処理法の趣旨であり、マニフェストの交付事務も排出者自らが行うことが原則ですが、A52で例示した、産業廃棄物を運搬受託者に引き渡すまでの集荷場所を排出事業者に提供しているという実態がある場合に加え、次のような場合には、マニフェストの交付事務を代行することが可能です。

【例】

  • 倉庫会社の倉庫で保管している荷物が産業廃棄物となった場合(荷主が排出事業者)⇒倉庫会社が代行(A11参照)
  • 販売事業者がユーザーから使用済みの製品の下取りを行う場合(販売事業者が排出事業者)⇒ユーザーが代行(A3参照)

 ただし、この場合でも、処理責任は排出事業者にあり、処理委託業者の選定や産業廃棄物の性状や数量の確認、適正処理に必要な情報の収集や委託業者への情報提供等については主体的に行い当該産業廃棄物が適正に回収・処理されるシステムが確立していることが前提であり、かつ排出事業者と代行者がマニフェストの交付事務の代行について、契約書・覚書等で定めておくことが望まれます。

 なお、この場合でも処理責任は排出事業者にあり、マニフェストはあくまで排出事業者の名義で交付しますので、マニフェストの「事業者」欄には排出事業者名を記入し、「交付担当者」欄には交付を代行する者の氏名を記入します。また、代行できるのは産業廃棄物を運搬受託者に引き渡す時のマニフェスト交付事務だけであり、返送マニフェストの確認及び保存等の事務(マニフェスト交付状況等報告書の提出を含む)を代行させることはできません。

Q54 産業廃棄物の引き渡し時には計量をしておらず、処分業者において計量して数量が確定する場合、マニフェストにはどのように記載すればよいか?

A54

 マニフェストの交付に際して、「数量」の欄に記載せずにマニフェストを交付し、処理業者から後日返送されたB2票以下を参考に後で記載することは、廃棄物処理法違反(マニフェストの記載が必要な事項の未記載交付)となります。そこで、マニフェストを交付するとき(産業廃棄物を収集運搬業者に引き渡すとき)には、“○○トントラック1台”や“フレコンバッグ××袋”などと記載し、処分業者が計量した数量は、「備考・通信」欄に記入してもらって返送してもらうようにしてください。
 なお、マニフェスト交付等状況報告書の作成にあたっては、「排出量(トン)」は計量した数量を活かして記入してください。

 (注)電子マニフェストの場合は、処分業者の計量した数量を確定値として選択することができます。

Q55 収集運搬業者がサービスとしてマニフェストを購入し記載したうえ排出事業者に提供してくれるが問題ないか?

A55

 マニフェストの交付義務は排出事業者に課せられています(法第12条の3第1項)ので、あくまで排出事業者が購入して記載しなければなりません。
 また、マニフェストは排出事業者が委託契約どおりに処理されたことを確認するためのものですので、排出事業者記載欄は、排出事業者が記載するべきであり、排出事業者は受け渡しの前にその内容及びE票まで確実に記載されているかを確認してください。(「交付担当者」の欄は。必ず排出事業者が記載してください。)
 なお、マニフェスト交付義務違反(不交付、未記載、虚偽記載)に対する罰則(6月以下の懲役又は50万円以下の罰金。両罰規定により行為者とともに法人等に対しても罰金刑適用)は、排出事業者に課せられるものであることに留意してください。

Q56 マニフェストが返送される前に処理料金を支払ってもよいか?

A56

 マニフェストは、産業廃棄物の適正処理を管理するための伝票であって処理料金を支払うための伝票ではありません。また、廃棄物処理法では、処理料金の支払い方法、支払い時期については、委託基準において特段の規定がありません。

 そのため、マニフェストが返送される前に処理料金を支払っても違法ではありません。処理料金の支払いは契約上の問題ですが、「産業廃棄物処理委託標準契約書」(公益社団法人全国産業廃棄物連合会)では、「排出事業者は処理業者から業務終了報告書を受け取った後、処理業者に対して処理の報酬を支払う。」とされ、業務終了報告書はマニフェストの返送で代えることにしている場合が多いことから、収集運搬業者にはマニフェストB2票の返送確認後に、処分業者にはマニフェストD、E票の返送確認後に、それぞれ処理料金を支払うことが望ましいと考えられます。

Q57 輸送費が売却代金を上回る場合で引渡し側に到着した時点で有価物となる場合、マニフェストの「最終処分を行った場所」はどのように記載すればよいのか?

A57

  環境省の「規制改革通知」(H25.3.29付け)では、いわゆる「運賃による逆有償」「手元マイナス」で売却される場合については、運送段階までは産業廃棄物に該当するが、引取側に到着した時点で廃棄物に該当しなくなる場合があるとの考え方が示されております。この場合に、「最終処分を行った場所」は、廃棄物を「卒業」した場所、つまり引取側の再生施設の所在地となります。

 また、引取側に到着した時点で廃棄物に該当しなくなる場合「産業廃棄物の処分の受託者」は存在しないことになり、マニフェストC票以下の運用は不要です。(A票、B1票、B2票のみ使用) 「処分受託者」欄には、売却先の会社名を記入し、このような特殊な運用となっていることが分かるような書面とともに、保存しておくことが望まれます。
 なお、「処分の受託」欄(受託者の会社名・処分担当者の氏名)については、売却先に記入してもらうことが望まれるものの、売却先には記入する法的義務がありませんので、空欄のままにしておくことも可能です。(排出事業者又は収集運搬業者が「処分の受託」欄に記入することは適当ではありません。)

 なお、廃棄物処理法でいう「最終処分」とは、埋立処分(及び例外的に海洋投入処分)だけでなく、再生も含む概念であることに留意してください。

Q58 収集運搬業者が複数の飲食店から廃油を無償で回収し、再生業者に有償で売却できるようになったとき、マニフェストの「最終処分を行った場所」はどのように記載すればよいのか?

A58

 飲食店は無償で廃油を引き渡しているため、産業廃棄物の処理委託となりマニフェストの交付が必要です。
 しかし、再生業者には有償で売却できることから収集運搬過程で有価物に変わったことになり、再生業者に到着した時点では廃棄物に該当しなくなっていることから、「産業廃棄物の処分の受託者」は存在しないことになり、マニフェストC票以下の運用は不要です。
 (A票、B1票、B2票のみ使用) 「処分受託者」欄には、再生業者の会社名を記入し、このような特殊な運用となっていることが分かるような書面とともに、保存しておくことが望まれます。
 なお、「処分の受託」欄(受託者の会社名・処分担当者の氏名)については、再生業者に記入してもらうことが望まれるものの、再生業者には記入する法的義務がありませんので、空欄のままにしておくことも可能です。(排出事業者又は収集運搬業者が「処分の受託」欄に記入することは適当ではありません。)
 また、「最終処分を行った場所」は、廃棄物を「卒業」した場所つまり収集運搬過程となり、厳密に特定することは困難ですので、再生業者の所在地を記入します。

 なお、廃棄物処理法でいう「最終処分」とは、埋立処分(及び例外的に海洋投入処分)だけでなく、再生も含む概念であることに留意してください。

Q59 中間処理業者において再生されている場合、マニフェストの「最終処分を行った場所」に中間処理の場所を記載してよいのか?

A59

 廃棄物処理法でいう最終処分とは、「埋立処分、海洋投入処分又は再生をいう」とされ、中間処理業者とは、「発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程の中途において産業廃棄物を処分する者をいう」とされています。(法第12条第5項)
 しかし、産業廃棄物に破砕、分別、蒸留、溶融等の処理を加えて再生する産業廃棄物処分業者の事業の区分は、最終処分業ではなく、中間処理業(再生を含む)とされています。

 従って、再生後に残渣が発生せず全量再生利用される場合は、当該産業廃棄物処分業者の事業の区分が、中間処理業(再生を含む)であったとしても、当該中間処理業者が最終処分(再生)を行ったことになりますので当該中間処理業者の施設の所在地を「最終処分を行った場所」として記載してください。
 また、再生後に残渣が発生する場合、例えば、廃溶剤の蒸留再生に伴い蒸留残渣が発生する場合や鉱さいの破砕・粒度調整による路盤材の製造に伴い製品に不適の鉱さいが発生する場合などの場合は、それらの産業廃棄物は中間処理後産業廃棄物(発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程の中途において産業廃棄物を処分した後の産業廃棄物)に該当しますので、それらの産業廃棄物の最終処分場所を「最終処分を行った場所」として記載してください。
 なお、再生に伴い発生する産業廃棄物であっても、廃水処理施設で生じる汚泥、集塵機で捕集された粉じん、作業員が使用した保護具などは、中間処理業者が新たに発生させた産業廃棄物であって、中間処理後産業廃棄物とはならないことに留意してください。

Q60 返送されたマニフェストに虚偽記載があったことが後日判明した。この場合でも排出事業者は措置命令(法第19条の5)の対象になるか?

A60

 排出事業者は、返送されたマニフェストD票・E票で適正処理を確認したにもかかわらず、実際にはその産業廃棄物は処理されずに野積みされていたことが分かった場合は、返送されたマニフェストD票・E票は虚偽記載であったことになります。

 排出事業者は、虚偽記載のあるマニフェストの写しの送付を受けたときは、速やかに当該委託に係る産業廃棄物の運搬又は処分の状況を把握するとともに、生活環境保全上の支障の除去又は発生防止のために必要な措置を講じるとともに、虚偽の記載のあることを知った日から30日以内に所管行政に「措置内容等報告書」を提出しなければならず(法第12条の3第8項、施行規則第8条の29)、これらの規定に違反した排出事業者は、措置命令の対象となります。(法第19条の5第1項第3号ヘ)

 そのため、マニフェスト交付者は、返送されたマニフェストに記載漏れや虚偽記載がないかについて細心の注意を払って確認する必要があります。しかし、マニフェスト交付者が虚偽記載であることを見抜くことが困難な場合についてまで、措置内容等報告書の未提出等を理由に措置命令の対象とすることは想定しておりません。

Q61 複数の中間処理業者を経た後に最終処分される場合でも、マニフェストE票の返送期限(交付の日から180日以内)は変わらないのか?

A61

 中間処理後の産業廃棄物が、さらに中間処理を繰り返してから最終処分される場合があります。例えば、中間処理業者(1)に破砕処理を委託し、破砕後の産業廃棄物がさらに中間処理業者(2)(焼却処理)、中間処理業者(3)(コンクリート固型化処理)を経て最終処分業者によって埋立処分される場合は、中間処理業者は中間処理後産業廃棄物について順次マニフェストを交付することになります。

  • 中間処理業者(1):二次マニフェスト(破砕後の産業廃棄物の処理委託)
  • 中間処理業者(2):三次マニフェスト(焼却後の燃え殻の処理委託)
  • 中間処理業者(3):四次マニフェスト(コンクリート固型化後の13号廃棄物の処理委託)

 この場合は、中間処理業者(3)が四次マニフェストのE票で最終処分を確認し、その後、中間処理業者(2)、中間処理業者(1)が順次マニフェストE票を送付することによって、排出事業者は、中間処理業者(1)から一次マニフェストのE票の送付を受けて最終処分を確認することになります。

 この場合でも、排出事業者が一次マニフェストE票の送付を受けるまでの期間については、廃棄物処理法に特別の規定はありませんので、180日であることに変わりはありません。

 なお、例えば焼却処理の場合、中間処理後産業廃棄物とは、焼却後の燃え殻をいうものであって、焼却に伴って生じたばいじんや汚泥は、中間処理後産業廃棄物ではありません。この場合のばいじんや汚泥については、中間処理業者が排出事業者となって一次マニフェストを交付するものであることに留意してください。

 また、このように複数の中間処理業者を経て最終処分される場合に、排出事業者が中間処理業者(1)と締結する委託契約書における法定記載事項は、「最終処分の場所の所在地、最終処分の方法及最終処分に係る施設の処理能力」です(施行令第6条の2第4号ホ)が、最終処分されるまでのすべての中間処理業者についても、法定記載事項に準じて記載しておくことが望まれます。

Q62 処理業者がマニフェストを紛失したため再交付を求められた。再交付をしてもよいか?

A62

 マニフェストは産業廃棄物の処理業者への引渡しと同時に交付するものであり、後日再交付することはできません。

 処理業者がマニフェストを紛失した場合は、収集運搬業者又は処分業者の手元に残っているマニフェストをコピーしたものをD票又はE票として使用するなど状況に応じて対応してください。

 例えば処分業者が送付するマニフェストD票、E票を紛失した場合は、マニフェストC1票をコピーし、事情が分かるように備考欄に必要な事項を記載したうえで使用するなどの方法が考えられます。

 なお、電子マニフェストを使用すれば、マニフェストの保存の必要がなく返送に必要なコストや郵便事故による紛失リスクを回避できるなど多くのメリットがあるため、大阪市では電子マニフェストの利用を推奨しております。

Q63 マニフェスト交付等状況報告書について一つの報告書で複数の排出事業所の報告をすることができるか?

A63

 マニフェスト交付等状況報告書は、排出事業所ごとに作成して提出することが基本です。しかし、電鉄会社の駅舎のように同じ事業活動を行う事業所が大阪市の所管する区域内に多数存在する場合は、事務の簡素化を図るため、様式にこだわらず、同じ報告者(排出事業者)が一つの報告書に複数の事業所名を記載したうえ、事業所ごとに必要な内容が記載されているのであれば、一つの報告書にまとめていただいても差し支えありません。

 なお、電子マニフェストを使用すれば、マニフェスト交付等状況報告書を提出する必要がないなど多くのメリットがあるため、大阪市では電子マニフェストの利用を推奨しております。

Q64 マニフェスト交付等状況報告書の「業種」欄はどのように記載すればよいのか?

A64

 日本標準産業分類の中分類の業種を記入してください。これまでに問合せが多かった業種は次のとおりです。

  • 動物病院、ペットクリニック:74 技術サービス業(他に分類されないもの)
  • 歯科技工所:83 医療業
  • ガソリンスタンド:60 その他の小売業
  • 調剤薬局、薬店:60 その他の小売業
  • 百貨店、総合スーパー:56 各種商品小売業
  • コンビニエンスストア:58 飲食料品小売業

 その他の業種の分類につきましては、日本標準産業分類(総務省)別ウィンドウで開く分類検索システム(政府統計の総合窓口へリンク)別ウィンドウで開くでお調べください。

Q65 マニフェスト交付等状況報告書について大阪市の様式は何故国が定めた様式と違うのか?

A65

 環境省は全国の都道府県・政令市に対し、「報告書の様式については、規則様式第三号を遵守すること」を求めております。(平成29年3月31日付け環廃産発第1703317号)

 大阪市では、提出されたマニフェスト交付等状況報告書の内容を整理し、特定の処理業者に処理を委託した排出事業者を検索したり、データの集計により各年度の職種ごとの排出量の推移を把握する等、提出いただいた報告書を産業廃棄物の処理実態の把握にできるだけ有効活用すべきと考えています。

 産業廃棄物の処理実態の把握には、委託先における処分方法(破砕、焼却、再生、埋立処分等)の情報が不可欠であるため、 大阪市の様式では、処分委託先での「処分方法」を記載していただくこととしております。
 また、電子化と集計を円滑に行うため、「処分方法」のほか、「業種」「産業廃棄物の種類」「運搬先の住所」「処分場所の住所」について、コード番号を記載していただくとともに、報告書の内容をより正確なものとするための大阪市から報告者への問合せをさせていただくため「担当者名」を記載していただいているものです。

 大阪市域の排出事業者の皆様には、大阪市の様式により報告していただきますようご協力をお願いします。

 なお、電子マニフェストを利用される場合、当該報告書の提出は不要となります。事務処理の効率化の観点からも、電子マニフェストの利用をお願いします。

Q66 電子マニフェストを使用したいが処理業者が加入していない場合はどうなるか?

A66

 電子マニフェストシステムは、マニフェスト情報を電子情報化し、排出事業者・収集運搬業者・処分業者の3者間で「情報処理センター」を介してマニフェスト情報のやりとりを行うシステムです。「情報処理センター」には、(財)日本産業廃棄物処理振興センターが指定されており(法第13条の2)、大阪府では電子マニフェストには多くのメリットがあることから、電子マニフェストの利用を推奨しております。

 排出事業者にとっての電子マニフェストのメリットとしては、パターン処理ができるので入力やデータ管理が容易になり、情報等の集計等に活用することができることなど事務の効率化につながること、電子マニフェストシステムに登録された情報は、「情報処理センター」が行政に報告するためマニフェスト交付等状況報告書の提出が不要となることなどがあげられます。
 その他、マニフェストの記載漏れや偽造を防止することができ、処理終了報告の確認期限を自動的に通知するなど法令遵守のためにも効果的です。

 ただし、電子マニフェストを利用するためには、排出事業者と収集運搬業者、処分業者の3者がともに電子マニフェストに加入している必要があり、そのうちの1者でも加入していないと電子マニフェストを利用することができません。その場合は、従前どおり紙マニフェストを使用することになり、その分については、マニフェスト交付等状況報告書を提出していただくことになります。


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6 産業廃棄物の処理基準

保管基準

Q67 事業者が自社の産業廃棄物を自ら保管する場合、保管数量の上限基準は適用されるか?

A67

  適用されません。

 産業廃棄物が事業所の保管場所から収集され処分施設まで運搬される過程での保管については、積替えのための保管のみ認められており、産業廃棄物処理基準(施行令第6条)が適用されて、保管数量の上限(1日当たりの平均的な排出量の7日分を超えないようにすること)が定められています。(施行令第6条第1項第1号ホ) 

  しかし、事業者が自社の産業廃棄物を自社の保管施設で自ら保管する場合には、法第12条第2項により「その産業廃棄物が運搬されるまでの間の技術上の基準(産業廃棄物保管基準)」の遵守が義務付けられており、産業廃棄物保管基準(施行規則第8条)では、収集運搬過程での保管とは違って、保管数量の上限の制限はありません。

 ただし、屋外において産業廃棄物を容器を用いずに保管する場合にあっては、運搬されるまでの間の保管であっても収集運搬過程での保管の場合と同様に産業廃棄物の最大積み上げ高さに関する制限が適用されることに留意してください。

  なお、事業者が工場敷地外に確保した保管施設で自社の産業廃棄物のみを保管する場合も、積替えを目的とした保管でない限り、運搬されるまでの間の技術上の基準(施行規則第8条)が適用されます。

「運搬されるまでの間の技術上の基準」と「収集運搬過程での保管基準」との違い

「運搬されるまでの間の技術上の基準(産業廃棄物保管基準)」(施行規則第8条)

  1. 周囲に囲いが設けられていること
  2. 見やすい箇所に掲示板(60cm×60cm以上)が設けられていること
  3. 汚水が生ずるおそれがある場合は、汚水による公共の水域及び地下水の汚染を防止するために必要な排水溝その他の設備を設け、かつ、底面を不浸透性の材料で覆うこと
  4. 屋外において容器を用いずに保管する場合は、最大積み上げ高さを超えないこと
  5. 保管場所に、ねずみが生息し、及び蚊、はえその他の害虫が発生しないようにすること
  6. 石綿含有産業廃棄物についての規程

    「収集運搬過程での保管基準」(施行令第6条第1項第1号ホ)
     
    上記1~6の基準に加えて、
  7. 保管は積替え(注)を行う場合を除き、行ってはならないこと
    (注)積替えの基準
    • あらかじめ、積替えを行った後の運搬先が定められていること
    • 搬入された産業廃棄物の量が、積替えの場所において適切に保管できる量を超えるものでないこと
    • 搬入された産業廃棄物の性状に変化が生じないうちに搬出すること
  8. 保管する産業廃棄物の数量が、当該保管場所における一日当たりの平均的な搬出量の7日分を超えないようにすること。

Q68 廃水処理施設に付随する汚泥の脱水ケーキホッパーでの保管には、保管基準が適用されるか?

A68

 通常、脱水ケーキホッパーから収集運搬業者の車両に積み込みされることが多く、脱水ケーキホッパーにおける保管は、「産業廃棄物が運搬されるまでの間」の保管となって、産業廃棄物保管基準(規則第8条)が適用されます。従って、掲示板の設置が必要ですが、「囲いの設置」については、保管基準の趣旨・目的から考えて通常は必要ありません。

Q69 有価物として買い取った電子電器機器類を保管する場合の廃棄物処理法上の規制を知りたい。

A69

  使用を終了した電気電子機器等は有価な資源として取引されることが多く、現在まで廃棄物としての規制による適正管理を求めることが困難でした。しかし一方で、不適正な取り扱いによる火災等の生活環境保全上の支障が発生していることから適正な管理が求められています。

 このため廃棄物処理法の改正により、平成30年4月1日より32品目(家電リサイクル法対象4品目及び小型家電リサイクル法対象28品目)の使用済み電子機器が有害使用済機器として指定され、それらを扱う事業者に届出、保管・処分に関する基準の遵守等が義務付けられることとなりました。

 詳しくは、「有害使用済機器の適正な処理について」や「有害使用済機器保管等届出制度(環境省)」別ウィンドウで開くを確認ください。

 届出要件に満たない事業所(有害使用済機器の保管の用に供する事業場の敷地面積が100m2を超えないものを設置する場合等)であっても、保管・処分に関する基準は適用されることに留意ください。

 なお、リユース品(再使用可能な製品)のみの買取・整備・販売等に係る事業所は有害使用済機器を取り扱っている事業所には該当しないため、届出は不要です。

 

投棄禁止規定

Q70 排水系統以外から廃液を排水口に投入する行為は不法投棄に当たるか?

A70

 廃棄物の不法投棄とは、廃棄物処理法第16条に規定する投棄禁止規定(何人もみだりに廃棄物を捨ててはならない)に違反する行為をいい、「みだりに捨てる」に該当するかどうかは、廃棄物処理法の趣旨である生活環境の保全及び公衆衛生の向上に照らし、具体的状況を前提として、社会通念上許容されるかどうかで判断されます。行為者が行為の客観的外形について認識していることが必要ですが、自己の行為が社会通念上許容されないものである旨の認識を持っている必要はないとされています。

 従って、排水基準に適合しない廃液を排水系統以外から排水口に投入した場合には、投棄禁止規定違反に該当する場合があります。

Q71 製品が廃棄物となったものや製造工程で生じる不要物を水で溶かし又は水に懸濁させて自社の排水処理施設に投入する行為は不法投棄に当たるか?

A71

 し尿浄化槽などの排水処理施設で本来処理の対象とはしていない固形廃棄物を水で溶かし又は水に懸濁させて投入する行為は、排水処理施設の負荷を高めて放流水の水質を悪化させるおそれがあり、投棄禁止規定違反に該当する場合があります。

Q72 ビルメンテナンスで発生する床ワックスの剥離廃液を未処理で下水道や公共用水域に放流する行為は不法投棄に当たるか?

A72

 高アルカリ性の剥離廃液を中和凝集沈殿処理して下水道や公共用水域に放流すれば、「みだりに捨てる」とは言えず、投棄禁止規定違反に該当しません。

 しかし、何ら処理せずに流す場合は勿論、水で希釈しただけで下水道や公共用水域に放流する行為は、投棄禁止規定違反に該当する場合があります。この場合、下水道法の基準に適合していることのみをもって、投棄禁止規定違反に当たらないとはいえません。

その他

Q73 焼却設備と熱分解設備の違いは何か?

A73

 焼却施設には物を加熱してガス化させた後そのガスを当該施設の別の空間で燃焼させる処理を行う施設を含むものです。熱分解設備(炭化炉を含む)については、加熱により物を分解する施設のうち、燃焼させる処理を伴わないものは焼却設備に該当しませんが、燃焼させる処理を伴うものは焼却設備に該当します。従って、熱分解設備の場合に熱分解によって炭化水素油又は炭化物を生成する場合は、廃棄物の処理に伴い生じた不要なガスを燃焼以外の方法で適正に処理することが必要です。
 ただし、処理した産業廃棄物の重量、生成した炭化水素油の重量及び処理に伴って生じた残さの重量を測定することができる熱分解設備において、通常の操業状態において生成される炭化水素油の重量が、処理した産業廃棄物の重量の40%以上であり、かつ、処理に伴って生じたガスのうち炭化水素油として回収されないガスの重量が、処理した産業廃棄物の重量の25%以下である処理(再生利用を目的として炭化水素油を生成するものに限る。)にあっては、この限りではありません。(施行令第6条第1項第2号イでその例によることとされた政令第3条第2号ロの規定による施行規則第1条の7の2)

 なお、熱分解設備は、産業廃棄物の焼却施設には該当しませんが、廃棄物処理法第21条の2の規定による事故時の措置が必要となる特定処理施設(施行令第24条)には、「熱分解設備が設けられている処理施設であって処理能力が1トン/日以上のもの」が含まれることに留意してください。

多量排出事業者制度

Q74 同一敷地内に複数のグループ企業がある場合、グループの代表がグループ全体の多量排出事業者処理計画書等を提出してよいか?

A74

 多量排出事業者制度は、排出事業者の自主的な産業廃棄物の排出抑制や減量化の取組みを推進する制度です。同一敷地内のグループ会社等別法人については、別々に多量排出事業者処理計画書の作成単位として報告してください。

Q75 多量排出事業者制度該当の要件である産業廃棄物発生量について、汚泥については脱水後の量でとらえてよいか?

A75

 脱水前の汚泥(スラリー)の量でとらえてください。

 汚泥の脱水施設は排水処理工程の一部であって、汚泥の発生量を把握する時点については、汚泥が発生した時点すなわち脱水前の時点となります。(参考:多量排出事業者による産業廃棄物処理計画及び産業廃棄物処理計画実施状況報告策定マニュアル)

 これは、汚泥の脱水は、排出事業者が行う場合もあれば中間処理業者に委託して行われる場合もあり多種多様であること、また脱水処理は焼却処理と同様に中間処理として位置づけられ、脱水ケーキは中間処理後の産業廃棄物となるからです。従って、汚泥の産業廃棄物としての発生量は、発生段階での量とすることが適切であり、多量排出事業者の要件(前年度の産業廃棄物の発生量が1,000トン以上)も、脱水前の汚泥の量でとらえてください。
 なお、脱水前のスラリーの量を把握していない場合は、脱水ケーキの量に基づき、脱水前後の汚泥の含水率から計算により求めるようにしてください。

Q76 自社の他事業場から搬入した産業廃棄物を処理している場合、処理計画書等はどのように記載するのか?

A76

 排出量は、事業場内で生じる産業廃棄物排出量(中間処理されることなく他人に有償で売却する副産物等を除く)の総量について記入することとし、他事業場からの搬入量を含めないでください。

【例】
 A工場で発生する汚泥aトンを、同一会社のB工場で発生する汚泥bトンとあわせて中間処理(脱水)する場合は、次のように記載してください。

  • A工場:排出量はaトン。
    以下、「自ら中間処理した量」「自ら中間処理した後の残さ量」「自ら中間処理により減量した量」「直接及び自ら中間処理した後の処理委託量」等は、すべてゼロ。

    この場合、自社のB工場に搬出して中間処理していることを注釈として記載してください。

  • B工場:排出量はbトン。
    「自ら中間処理した量」は、(a+b)トン。
    以下、「自ら中間処理した後の残さ量」「自ら中間処理により減量した量」「直接及び自ら中間処理した後の処理委託量」等は、(a+b)トンの汚泥の処理に係る量を記載してください。

    この場合、自社のA工場から搬入した汚泥aトンをあわせて中間処理していることを注釈として記載してください。

 なお、上記の例において、B工場で中間処理している汚泥の量((a+b)トン)が1,000トン/年以上であっても、B工場で発生する汚泥の量(bトン)が1,000トン/年未満であれば、B工場は多量排出事業者制度の対象工場とはならないことに留意してください。

 また、発生した産業廃棄物を自社で中間処理(脱水等)した後、中間処理後産業廃棄物を自社の他事業場で自家処理する場合も、「自ら中間処理した量」と「自ら中間処理した後の残さ量」「自ら中間処理により減量した量」をそれぞれ記入し、「直接及び自ら中間処理した後の処理委託量」はゼロとしてください。この場合も同様に、中間処理後産業廃棄物を自社の他事業場に搬出して処理していることを注釈として記載してください。

Q77 「再生利用業者への処理委託量」「熱回収認定業者以外の熱回収を行う業者への処理委託量」はどのように記載するのか?

A77

【再生利用業者への処理委託量】
 
中間処理業者への処理委託量のうち、再生利用を委託した量を記載してください。
 この場合の再生利用とは、産業廃棄物の全部又は一部を原材料として利用することであり、製品(同種製品又は異種製品)の原料として利用することのほか、金属等の物質回収、再利用(リユース)、燃料製造(RDF、RPF、木質チップ等の製造及び熱分解施設による燃料油・燃料ガスの製造等)等をいいます。(登録廃棄物再生事業者、環境大臣による再生利用認定業者、知事等による再生利用指定業者に委託する場合に限られるものではありません。)

【熱回収認定業者以外の熱回収を行う業者への処理委託量】
 
中間処理業者への処理委託量のうち、熱回収(サーマルリカバリー)を行う業者へ、焼却施設又は溶融処理を委託した量を記載してください。(「熱回収認定業者への処理委託量」は別欄に記載します。)

 この場合の、熱回収を行う業者とは、次のような方法で熱回収を行っている業者になります。

  • 発電
  • 温水製造、冷暖房機器での利用
  • 関連施設(乾燥施設、濃縮施設等)での利用

 なお、上記の方法での熱回収を行っておらず、次のような方法による熱回収のみである場合は、熱回収を行う業者への処理委託量には含めないでください。

  • 燃焼用空気の予熱
  • 白煙防止のための排ガス再加熱
  • 排煙脱硝のための排ガス再加熱
  • ボイラーの給水加熱(エコノマイザー)


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7 医療廃棄物

医療廃棄物の分別

Q78 診療所においては廃棄物をどのように分別して委託処理すればよいか?

A78

 医療関係機関等において発生する廃棄物は、通常、次の3つに区分して管理する必要があります。感染性産業廃棄物を一般廃棄物として市町村の処理施設に搬入するなどの不適正処理が起きないように適切に分別して保管し、それぞれの委託先に処理を委託してください。

  1. 事業系一般廃棄物(非感染性)
    診察室や待合室などで発生する紙くず、繊維くず等
    【例】
     紙ごみ、血液等の付着の程度が少ないガーゼ、包帯、脱脂綿等。ただし、「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」(以下「マニュアル」といいます。)で定められた手術室、検査室などの排出場所において治療、検査等に使用された後、排出されたものは、(3)の感染性一般廃棄物となります。
    【処理委託先】
     市町村の定めるところにより事業系ごみとして市町村に処理委託又は許可のある一般廃棄物処理業者に委託(「専ら物」を除く)

  2. 産業廃棄物(非感染性)
    診察室などで発生する血液等の付着の程度が少ない廃プラスチック類、ガラス・陶磁器くず、廃酸、廃アルカリ等
    【例】
     血液等の付着がないプラスチック製の容器・チューブ・手袋等、レントゲンフィルム、レントゲン廃液。ただし、マニュアルで定められた手術室、検査室などの排出場所において治療、検査等に使用された後、排出されたものは、(3)の感染性産業廃棄物となります。
    【処理委託先】
     許可のある産業廃棄物処理業者に委託(「専ら物」を除く)

  3. 感染性廃棄物(感染性産業廃棄物と感染性一般廃棄物の混合可)
    感染性病原体が含まれ、若しくは付着している廃棄物又はこれらのおそれのある廃棄物(特別管理産業廃棄物又は特別管理一般廃棄物に該当)
    【例】
     感染性一般廃棄物:臓器、血液等が多量に付着したガーゼ・脱脂綿
     感染性産業廃棄物:注射針、メス、破損したガラス製品等鋭利なもの、血液、血液が含まれるチューブ

    感染性廃棄物については、廃棄物の取扱者に廃棄物の種類が判別できるようにするため、マニュアルにおいて、その性状に応じて次の3種類に区分して容器に密閉し、性状に応じた色のバイオハザードマークを付けることを推奨しています。
  • 液状又は泥状のもの(血液等):赤色のバイオハザードマーク
  • 固形状のもの(血液等が多量に付着したガーゼ等):橙色のバイオハザードマーク
  • 鋭利なもの(注射針等):黄色のバイオハザードマーク

    【処理委託先】
     感染性産業廃棄物の許可のある特別管理産業廃棄物処理業者に委託

参考:環境省「感染性廃棄物関連」別ウィンドウで開く

Q79 性状の異なる感染性廃棄物を同一の容器に収納している場合は何色のバイオハザードマークを付けるのか?

A79

 液状・泥状のものや固形状のものに注射針等鋭利なものが混合している場合は、廃棄物の取扱者の針刺し事故を防止するため、黄色のバイオハザードマークを付けることが適切です。

感染性廃棄物の判断

Q80 血液の付着したガーゼや包帯はすべて感染性廃棄物になるか?

A80

 マニュアルでは感染性廃棄物の該否の判断フローが示され、感染性廃棄物の判断は、「形状の観点」「排出場所の観点」及び「感染症の種類の観点」から客観的に判断することを基本としています。(図1参照)

 これによると「排出場所の観点」から、手術室等から排出されるものは全て感染性廃棄物となりますので、手術室等から排出されるガーゼ・包帯等は、血液の付着の程度を問わず感染性廃棄物となります。
 一方、診察室や処置室から排出されるものは、血液等の付着の程度等の違いにより、専門知識を有する者(医師、歯科医師、獣医師)によって、感染のおそれがあると判断される場合は感染性廃棄物とするとされています。その際の判断の目安としては、例えば多量の血液が付着していることにより血液がこぼれ落ちて周囲を汚染するおそれがあるものを感染性廃棄物とし、血液の付着の程度が少量であるものや乾燥しているものは、非感染性廃棄物とすればよいと考えられます。
 なお、血液そのものは、感染性廃棄物の判断フローの「形状の観点」から感染性廃棄物となります。

 なお、平成4年8月に作成されたマニュアルは、平成16年3月に改訂されましたが、血液が付着している物の扱いについて、改正前後で次のように考え方が変化していることに留意してください。

【改正前】
 「その他血液等が付着したもの」を感染性廃棄物としたうえ、「専門知識を有する者(医師、歯科医師、獣医師)によって、感染の危険がほとんどないと判断されたときは、感染性とする必要はない。」と規定

【改正後】
 「形状の観点」(STEP1)「排出場所の観点」(STEP2)及び「感染症の種類の観点」(STEP3)から感染性廃棄物の判断をするとしたうえ、「専門知識を有する者(医師、歯科医師、獣医師)によって、感染のおそれがあると判断される場合は感染性廃棄物とする」と規定

感染性廃棄物の判断フロー
別ウィンドウで開く

Q81 唾液が多量に付着した手袋やガーゼは感染性廃棄物になるのか?

A81

 マニュアルに示す感染性廃棄物の判断フローでは、「形状の観点」から「血液、血清、血漿及び体液(精液を含む。)(以下「血液等」という。)」は感染性廃棄物とするとされています。

 しかし、広義の体液のうち、唾液、排泄物、吐瀉物等については、血液等と比べて感染性が低いと考えられますので、専門知識を有する者(医師、歯科医師、獣医師)が、実際のリスクの程度(患者の感染症への感染の有無、感染症の種類等)を勘案して感染性のおそれが高いと判断し、かつ多量に混入しておれば感染性廃棄物とすることが適当です。

Q82 ロタウィルス感染症の患者の吐瀉物は感染性廃棄物になるのか?

A82

 吐瀉物は広義の体液に含まれるものですが、血液等と比べて感染性が低いと考えられますので、専門知識を有する者(医師、歯科医師、獣医師)が、実際のリスクの程度(患者の感染症への感染の有無、感染症の種類等)を勘案して感染性のおそれが高いと判断すれば感染性廃棄物とすることが適当です。

 一方、ロタウィルス感染症は、感染症法の5類感染症に分類される感染性胃腸炎の一種ですが、マニュアルでは、感染性胃腸炎の患者が使用した紙おむつは、感染性廃棄物として取り扱うこととされています。

 これらのことから、ロタウィルス感染症の患者の吐瀉物は感染性廃棄物とすることが適当です。

Q83 結核患者の病床で発生したティシュペーパー等のごみは感染性廃棄物になるのか?

A83

 マニュアルに示す感染性廃棄物の判断フローでは、「排出場所の観点」から次のように定められています。

  1. 感染症病床(感染症法により入院措置が講ぜられる一類、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症及び新感染症の患者に係る病床)において、治療、検査等に使用された後、排出されたもの

 結核は感染症法の2類感染症に分類されるため上記1に該当し、「治療、検査等に使用された後、排出されたもの」は、医療器材等に限らず全て感染性廃棄物となります。
 具体的には、病床で発生したごみ(患者の痰などをとったティシュペーパー等)のほか、寝具、給食の食べ残し、排泄物等も感染性廃棄物とすることが適当です。

Q84 紙おむつは感染性廃棄物になるのか?

A84

 未使用の状態で排出された紙おむつは、合成樹脂製の吸水材が主要部分を占めるため、総体として産業廃棄物の「廃プラスチック類」に該当します。

 使用後に排出されたものは、通常、し尿が付着しているので一般廃棄物に該当します。マニュアルに示す感染性廃棄物の判断フローでは、血液等が付着しているもの及び特定の感染性疾患(注)に係るものは感染性廃棄物に該当するものとしております。
 なお、病院や老人介護施設等において、日常業務の中で感染症の種類によって紙おむつを分別することが実務的に困難な場合は、すべて感染性廃棄物として取り扱うことが適当です。

(注)特定の感染性疾患:感染症法に定める1~3類感染症、新型インフルエンザ、指定感染症、新感染症、4類感染症のうちE,A型肝炎・H5N1以外の鳥インフルエンザ等、5類感染症のうち感染性胃腸炎(ノロウィルス、ロタウィルス等)・MRSA・VRE・麻しん等

Q85 新型インフルエンザ(A/H1N1)の患者に係る紙おむつは感染性廃棄物になるのか?

A85

 マニュアルに示す感染性廃棄物の判断フローでは、紙おむつについては、感染症の種類によって感染性廃棄物と非感染性廃棄物とに分けられています。(ただし、血液等が付着したものは全て感染性廃棄物です。)

 紙おむつが感染性廃棄物となる感染症の中に「新型インフルエンザ等感染症」が含まれており、一方、感染性廃棄物とならない感染症の中に「インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)」が含まれています。

 平成21年に大流行した豚インフルエンザは、「新型インフルエンザ(A/H1N1)」と言われましたが、平成22年8月にWHO(世界保健機関)がパンデミック(世界的大流行)の終息を宣言し、日本でも平成23年4月1日に「インフルエンザ(A/H1N1)」(5類感染症)に変更され、感染症法上も通常の季節性インフルエンザと同様に取り扱われることとなりました。

 このため、現在は、季節性豚インフルエンザ(A/H1N1)の患者も他の季節性インフルエンザの患者と同様に使用した紙おむつは非感染性廃棄物となります。(ただし、血液等が付着したものは感染性廃棄物になります。)

Q86 医療関係機関等以外の事業所から排出される新型コロナウイルス感染症検査キットは感染性廃棄物になるのか?

A86

 感染性廃棄物は、政令及び規則で定められた施設(医療関係機関等)(注)で生じたものに限られており、法令上は、感染性廃棄物には該当しません。

 しかし、医療関係機関等以外の事業所から排出される新型コロナウイルス感染症に係る使用済みの検査キットについては、唾液等の体液の付着の可能性が否定できないため、特別管理産業廃棄物の感染性廃棄物に準じた処理をお願いします。

 ただし、唾液等の体液の付着がない未使用の検査キットやプラスチック包装部分については、通常の産業廃棄物(廃プラスチック類等)で処理していただけます。

 その他、新型コロナウイルス感染症にかかる廃棄物の処理については、環境省ホームページ「新型コロナウイルス感染症に係る廃棄物対策について取りまとめた資料別ウィンドウで開く」内に掲載されている「廃棄物に関する新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」をご覧ください。

(注)医療関係機関等(施行令別表第1の4の項・施行規則第1条第5項に掲げる施設)
 病院、診療所、衛生検査所、介護老人保健施設、助産所、動物の診療施設、試験研究機関(医学・歯学・薬学・獣医学に係るものに限る)

Q87 輸液点滴セットから針を切り離せば非感染性廃棄物となるか?

A87

 輸液点滴セットから針を切り離せば非感染性廃棄物として扱うことは可能です。

 しかし、輸液ルートから針を切り離す作業に伴う針刺し事故によるリスクや直接患者へ提供されたルートは、血液が逆流するおそれがあることを考えると、無理な分離は行わずにバッグを除いた輸液ルートは、一体として感染性廃棄物とすることが安全のためにも適切です。

 なお、輸液バッグは血液の逆流のおそれがないため、非感染性廃棄物として処理することができます。

Q88 学校の保健室や会社の医務室で発生した注射針は感染性廃棄物になるのか?

A88

 感染性廃棄物は、政令及び規則で定められた施設(医療関係機関等)(注)で生じたものに限られていますが、学校の保健室や会社の医務室は、現在のところ医療関係機関等に指定されていませんので、法令上は、感染性廃棄物には該当しません。しかし、注射針については、感染性廃棄物として鋭利物に準じて処理することが必要です。

(注)医療関係機関等(施行令別表第1の4の項・施行規則第1条第5項に掲げる施設)
 病院、診療所、衛生検査所、介護老人保健施設、助産所、動物の診療施設、試験研究機関(医学・歯学・薬学・獣医学に係るものに限る)

Q89 鍼灸院で発生した使用後の鍼は感染性廃棄物になるのか?

A89

 感染性廃棄物は、政令及び規則で定められた施設(医療関係機関等)(注)で生じたものに限られています。

(注)医療関係機関等(施行令別表第1の4の項・施行規則第1条第5項に掲げる施設)
 病院、診療所、衛生検査所、介護老人保健施設、助産所、動物の診療施設、試験研究機関(医学・歯学・薬学・獣医学に係るものに限る)

 医療関係機関等の中の診療所は、医療法では、「医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であって、患者を入院させるための施設を有しないもの又は19人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう」と定義されており、日本標準産業分類では、「はり業、きゅう業」は、「一般診療所」ではなく「療術業」に分類されています。従って、鍼灸院は診療所には含まれず、医療関係機関等ではありません。(保健所、血液センター、各種検診機関は、医師が医療行為を行う場所ですので診療所に含まれます。)

 そのため、鍼灸院で発生した使用後の鍼は、法令上は、感染性廃棄物に該当しませんが、血液の付着のおそれがあり、また鋭利なものであることから、感染性廃棄物に準じた処理をすることが必要です。

 なお、鍼灸院で発生した使用後の消毒綿は、血液等が多量に付着していない限り、事業系一般廃棄物となります。

Q90 胞衣汚物や手術等により生じた臓器は感染性廃棄物か?

A90

 胎盤などの胞衣汚物は、有償で売却できるなど有価物に該当する場合や宗教的・社会的慣習により供養等が行われる場合以外は、マニュアルに示す感染性廃棄物の判断フローの「形状の観点」から感染性廃棄物となります。同様に、手術等により摘出され不要物となった臓器・皮膚等も感染性廃棄物となります。
 また、中絶胎児については、墓地埋葬法では、死体を妊娠12週(4か月)以上の死胎を含むと定義しているため、12週(4か月)未満の中絶胎児については、同法の枠外にあります。環境省は、「中絶胎児については、妊娠4か月(12週)未満であっても、生命の尊厳に係るものとして適切に取り扱うことが必要」としています(平成16年9月24日、報道発表資料)が、引き取り先がない場合など廃棄物として取り扱わざるを得ない場合は、マニュアルに示す感染性廃棄物の判断フローの「形状の観点」から感染性廃棄物となります。

Q91 手術室の廃水を消毒せずに下水道に放流してもよいか?

A91

 マニュアルに示す感染性廃棄物の判断フローでは、「排出場所の観点」から、次の排出場所において治療、検査等に使用された後、排出されたものを感染性廃棄物としております。

  1. 感染症病床(感染症法により入院措置が講ぜられる一類、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症及び新感染症の患者に係る病床)
  2. 手術室、緊急外来室、集中治療室、分娩室
  3. 検査室(採血を行う室、透析室及び微生物や病理学等に関する臨床検査室(検体検査を行う室)等)

 これは、上記の排出場所で発生する廃棄物には、感染性病原体が含まれ又はそのおそれがあるため、血液等の付着の程度や廃棄物の形状、性状の違いにかかわりなく感染性廃棄物とするものです。
 また、例えば手術室で発生する血液の混じった洗浄廃水は、産業廃棄物の廃酸又は廃アルカリ(中性の場合は、廃酸と廃アルカリの混合物)に該当します。
 そこで、上記の排出場所で発生する廃水(例えば、手術室の洗浄廃水、透析室の廃水など)であって、下水道に排出しているものについても、「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物の処分又は再生の方法として環境大臣が定める方法」(平成4年厚生省告示第194号)に定める「肝炎ウィルスに有効な薬剤又は加熱による方法で消毒する方法」に準じた消毒処理を行い感染性を失わせることが望まれます。

Q92 血液透析における透析廃液をそのまま下水道に放流してもよいか?

A92

 マニュアルでは、透析等回路については、ダイアライザーのほか回路チューブなど血液が含まれている部分については、これらに含まれる血液が分離されずに一体的に処理されていることから、感染性廃棄物に該当するものとしております。しかし、透析廃液については、ダイアライザーコイルを介しており、病原菌が透析廃液に通過することがないことから感染性廃棄物とはなりません。また、生理食塩水の残液やバックも、同様に感染性廃棄物とはなりません。

 一方で、マニュアルで示した感染性廃棄物の判断フローによると、「排出場所の観点」から、検査室で治療、検査等に使用された後、排出されたものを感染性廃棄物としており、透析室は検査室の定義に含まれています。従って、血液透析が一般の病床ではなく感染性病原体による汚染を受ける危険性がある排出場所である透析室で行われる場合は、透析廃液(廃酸・廃アルカリ)のほか、生理食塩水の残液やバックも感染性廃棄物となります。

 このため、透析廃液については、「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物の処分又は再生の方法として環境大臣が定める方法」(平成4年厚生省告示第194号)に定める「肝炎ウィルスに有効な薬剤又は加熱による方法で消毒する方法」に準じた消毒処理を行い感染性を失わせることが望まれます。(A88参照)

在宅医療廃棄物

Q93 在宅医療廃棄物は感染性廃棄物になるのか?

A93

 在宅医療廃棄物は一般廃棄物ですが、環境省において平成16年度に「在宅医療廃棄物の処理の在り方検討会」の報告書を取りまとめました。
 この報告書では、検討会の提言として、在宅医療廃棄物の処理の在り方について、今後も引き続き検討することが必要であるとしつつ、現段階で最も望ましい方法として、(1)注射針等の鋭利な物は医療関係者あるいは患者・家族が医療機関へ持ち込み、感染性廃棄物として処理する、(2)その他の非鋭利な物は、市町村が一般廃棄物として処理するとういう方法が考えられるとしております。

Q94 医療機関や調剤薬局が回収したインスリンの自己注射針は感染性廃棄物になるのか?

A94

 ペン型のインスリン自己注射の針は、使用後に針ケースに収めたうえ容器に収納して、往診医や訪問看護師に渡すか 医療機関、調剤薬局、訪問看護ステーションに返却することが望まれます。医療機関で処方し、調剤薬局で販売した注射針を回収した時点で、下取り行為として医療機関や調剤薬局が排出する産業廃棄物となります。(A1参照)

 なお、感染性廃棄物は、政令及び規則で定められた施設(医療関係機関等)(注)で生じたものに限られていますので、病院や診療所が回収した注射針は感染性廃棄物に該当しますが、調剤薬局や訪問看護ステーションは、現在のところ医療関係機関等に指定されていませんので、法的には感染性廃棄物には該当しません。しかし、注射針については、感染性廃棄物として鋭利物に準じて処理することが必要です。

(注)医療関係機関等(施行令別表第1の4の項・施行規則第1条第5項に掲げる施設)
 病院、診療所、衛生検査所、介護老人保健施設、助産所、動物の診療施設、試験研究機関(医学・歯学・薬学・獣医学に係るものに限る)

その他

Q95 検査室で排出される試薬類や有機溶剤は、感染性廃棄物と合わせて処理してよいか?

A95

 マニュアルに示す感染性廃棄物の判断フローでは、「排出場所の観点」から検査室において検査等に使用された後、排出されたもの」を感染性廃棄物としております。しかし、検査室で検査に用いた試薬類、有機溶剤(標本関係薬品)、ホルマリン等は、医療器材、ディスポーザブル製品、衛生材料等の感染性廃棄物とは異なる観点からの管理が必要となるため、これらの感染性廃棄物とは混合せずに、その性状に応じて特別管理産業廃棄物として処理する必要があります。

Q96 廃抗悪性腫瘍剤は特別管理産業廃棄物になるのか?

A96

 廃抗悪性腫瘍剤は特別管理産業廃棄物ではありせん。

 抗悪性腫瘍剤の多くは、生体に対する変異原性、催奇形性、発がん性等の細胞毒性を有しておりますが、現在、特別管理産業廃棄物(特定有害産業廃棄物)となる有害物質とはされておりません。
 しかし、廃抗悪性腫瘍剤(使用済みの薬剤容器包装、容器に残っている薬剤、薬剤が付着したガウン・手袋・マスク・注射器等)のように細胞毒性などのケミカルハザードのあるものは、その他の廃棄物とは区分し、耐久性・密閉性の高い容器を使用するとともに、内容物が廃抗悪性腫瘍剤であることを表示して排出するとともに、委託する産業廃棄物処理業者などに十分な情報を提供することが必要です。

 また、廃抗悪性腫瘍剤の処分方法としては、焼却又は溶融することが最も適切です。

参考:平成17年度事業DNA廃棄物及び廃抗悪性腫瘍剤調査報告書(概要)

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Q97 水銀血圧計は特別管理産業廃棄物になるのか?

A97

 水銀血圧計は「水銀使用製品産業廃棄物」に該当し、特別管理産業廃棄物(特定有害産業廃棄物)には該当しません。産業廃棄物の種類としては、その材質により「金属くず」、「ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず」「廃プラスチック類」等の混合物となります。

 水銀式血圧計は、水銀を回収することが義務付けられている対象品目であり、水銀を回収できる業者へ委託しなければなりません。水銀式血圧計から回収された廃水銀は、特別管理産業廃棄物の「廃水銀等」に該当します。

 その他、詳細は「水銀廃棄物の適正処理について」をご覧ください。

Q98 感染性産業廃棄物の処理委託契約書及びマニフェストには、産業廃棄物の種類を記載する必要があるのか?

A98

 産業廃棄物の種類(廃プラスチック類、金属くず、廃アルカリ等)ごとに数量を記載する必要はありません。廃棄物の種類は、「感染性廃棄物」として、数量は感染性廃棄物全体の数量について記載してください。

 感染性廃棄物の収納容器には、廃棄物の性状(「液状・泥状」「固形状」「鋭利物」)ごとに複数の種類の廃棄物が一体不可分に混合されています。その状態で廃棄物の種類(廃プラスチック類、金属くず、廃アルカリ等)ごとに数量を把握することは、かえって感染のリスクを高めますので、複数の種類の廃棄物が混合した感染性廃棄物として一括して数量を記載して差し支えありません。

Q99 感染性一般廃棄物についても委託契約書やマニフェストは必要か?

A99

 産業廃棄物に係る委託基準やマニフェスト制度は、一般廃棄物には適用されません。

 特別管理産業廃棄物収集運搬業者のうち感染性産業廃棄物の収集運搬(処分)を行う者は、感染性一般廃棄物の収集運搬(処分)を行うことができるとされている(法第14条の4第17項、施行規則第10条の20)ことから、感染性一般廃棄物(血液等が多量に付着したガーゼ・脱脂綿・包帯・リネン類、摘出した臓器・皮膚・組織、病原微生物を取り扱った培地、血液が付着した紙オムツ等)は、感染性産業廃棄物(注射針、血液、血液等が多量に付着したチューブ等)と混合して、感染性産業廃棄物を取り扱う特別管理産業廃棄物処理業者に委託することができます。そのため、法令上は、これらの混合物のうち感染性産業廃棄物に相当する数量のみを契約書やマニフェストに記載することになりますが、感染性廃棄物の適正処理を確保するためには、感染性一般廃棄物を含めた感染性廃棄物全体について契約しマニフェストを交付することが適当です。
 感染性一般廃棄物のみを委託する場合にあっても同様にしてください。

Q100 感染性産業廃棄物を生ずる医療機関が置かなければならない特別管理産業廃棄物管理責任者の資格は?

A100

 特別管理産業廃棄物を生ずる事業場には特別管理産業廃棄物管理責任者を置かなければなりません。

 特別管理産業廃棄物管理責任者の資格は、次のように感染性産業廃棄物とそれ以外の特別管理産業廃棄物とで異なります。(施行規則第8条の17。一部省略)

 【感染性廃棄物】

  • 医師、歯科医師、薬剤師、獣医師、保健師、助産師、看護師、臨床検査技師、衛生検査技師、歯科衛生士
  • 大学又は高等専門学校において医学、薬学、保健学、衛生学、獣医学の課程を修めて卒業した者
  • これと同等以上の知識を有すると認められる者

 【感染性産業廃棄物以外の特別管理産業廃棄物】

  • 学歴区分及び修了課程に応じた産業廃棄物の処理に関する技術上の実務経験を有する者
  • これと同等以上の知識を有すると認められる者

 上記の資格要件のうち、「これと同等以上の知識を有すると認められる者」について、大阪市では(財)日本産業廃棄物処理振興センターが特別管理産業廃棄物管理責任者になろうとする者を対象に実施する講習会を修了した者であることとしております。

 医療関係機関に限っては、感染性産業廃棄物以外の特別管理産業廃棄物(例えば、引火性廃油、腐食性廃酸・廃アルカリ、PCB廃棄物)を発生する場合でも、「医療関係機関等を対象にした特別管理産業廃棄物管理責任者に関する講習会」のコースを修了した者であれば、双方の資格を有するものとみなす運用をしております。

 また、感染性産業廃棄物については、医師等は、上記講習会を修了していなくても特別管理産業廃棄物管理責任者の有資格者となれますが、医師等に特別管理産業廃棄物の資格があるのはあくまで感染性産業廃棄物についてであり、感染性産業廃棄物以外の特別管理産業廃棄物についてまで有資格者となれるものではありません。
 そこで、特別管理産業廃棄物管理責任者として医師等を選任している医療機関のうち、引火性廃油、腐食性廃酸・廃アルカリ、PCB廃棄物等を発生するところであって、感染性産業廃棄物以外の特別管理産業廃棄物の有資格者がいないところについては、上記講習会の修了等によって特別管理産業廃棄物管理責任者の有資格者を確保することが必要です。


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8 PCB廃棄物

Q101 PCB廃棄物はどのような種類があり、どこで処理できるのか?

A101

 「PCB廃棄物の適正処理について」のページをご覧ください。

Q102 電気設備工事に伴って生じたPCB廃棄物について、電気設備業者が保管事業者となることができるか?

A102

 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(以下「法」という。)では、有償・無償か処理料金を払うかを問わずPCB廃棄物の譲り渡し、譲り受けを原則禁止しています。(第17条)
 そのため、電気設備工事に伴って生じたPCB廃棄物の保管事業者は、電気設備の所有者であって工事を請け負った設備工事業者が保管事業者となることはできません。

 電気設備の所有者に代わって工事業者(元請業者)がPCB廃棄物を保管し処理することはできませんので、工事業者は工事完了後に、速やかに電気設備の所有者にPCB廃棄物を引き渡してください。

Q103 現在使用中のPCB使用電気機器を譲渡することができるか?

A103

   現在使用中の低濃度PCB電気機器については、「PCB廃棄物」に該当しませんので、法第17条で定める譲り渡し、譲り受け原則禁止の規定は適用されず、処分期間(令和9年3月)までは引き続き使用することができます。

 ただし、機器の老朽化等により使用を止めて電路から取り外した時点でPCB廃棄物となり、その時点での所有者がPCB廃棄物の保管事業者となります。PCB廃棄物を再使用することはできず、譲り渡し、譲り受けが禁止されています。

 一方で、高濃度PCB使用電気機器は、既に処分期間(令和3年3月末)を経過しており、ただちに処理を行う必要があります。また、高濃度PCB含有電気工作物に該当する場合は、使用中であっても全て廃棄物とみなされます。

  なお、PCB含有電気工作物に該当する場合には、国(経済産業省)に届出をする必要があります。経済産業省ホームページ( https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/electric/detail/pcb.html#2-2別ウィンドウで開く)「高濃度PCB含有電気工作物判明時の届出、管理状況(廃止予定年月)の届出等」をご参照ください。

Q104 低濃度PCB廃棄物はどのような電気機器に使用されているのか?

A104

 環境省が作成している手引きやパンフレットをご参照ください。
http://pcb-soukishori.env.go.jp/teinoudo/download/別ウィンドウで開く(環境省ホームページ)

Q105 建築物の改修・解体に際してPCB含有シーリング材の確認と対処はどのようにすればよいのか?

A105

 建築物に使われるシーリング材には、油性コーキング材、ポリウレタン系、シリコーン系、変成シリコーン系、ポリサルファイド系など種々のものがありますが、このうち昭和47年(1972年)までに製造されたポリサルファイド系シーリング材にはPCBが配合されているものがあります。ポリサルファイド系シーリング材に含まれるPCBは、気温や湿度の変化等に伴う目地の動きに追従するための可塑剤として使われており、通常、10%前後のPCBが配合されていました。ポリサルファイド系シーリング材の価格は高かったため、主に大きな窓ガラスを有する建物や高層建築物の窓ガラス等に使用されていたと言われています。

 シーリング材がポリサルファイド系であるかどうかの材料の判定は、メーカー(日本シーリング材工業会)に確認してください。

 また、建築物の改修・解体に伴いPCBを含有するポリサルファイド系シーリング材が発生した場合は、通常は工事の元請業者が排出事業者となるところPCB廃棄物については、譲渡が原則禁止されているため、建築物の所有者が保管事業者となって適切に保管しなければなりません(法による「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の保管及び処分状況等届出書」(様式第一号)の届出や特別管理産業廃棄物管理責任者の設置を含む。)。

 なお、PCBを含有するポリサルファイド系シーリング材からPCBが浸透することによって、下地及び周辺のコンクリートにPCBが付着した場合は、PCBが付着したおそれのあるものについては全てPCB汚染物となることに留意してください。

Q106 PCB使用安定器の処理費用軽減のため、安定器からコンデンサを取り外したり、分解・解体してもよいか?

A106

 PCB使用廃安定器について、保管場所から処分施設に持ち込むまでの間においては、分解又は解体作業等による形状の変更は禁止されています。

 ただし、コンデンサー外付け安定器については、原則禁止とした上で、一定の条件を満たした場合は例外的に分解又は解体作業や、安定器からのコンデンサの取り外し等が認められています。

 詳しくは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部改正等について(通知)(平成27年11月24日)」及び「PCBが使用された廃安定器の分解又は解体について(通知)(平成26年9月16日)」を参照してください。

Q107 トランスの絶縁油を分析して微量PCB汚染廃電気機器であることが判明した場合、PCB廃棄物の保管状況の届出はいつ行えばよいのか?

A107

 法による「ポリ塩化ビフェニル廃棄物等の保管及び処分状況等届出書」(様式第一号)の届出では、毎年度、PCB廃棄物の保管状況等に関して「前年度の3月31日に保管していたPCB廃棄物」の種類、量、保管の状況等に関して、当該年度の6月30日までに都道府県(又は政令市)に届出することとされております。

 当該事業所において、他にPCB廃棄物の保管は無く、届出をされていない場合は、絶縁油中のPCB濃度を分析してPCB廃棄物に該当することが判明した時点で、PCB廃棄物の保管状況等の届出をしてください。

 ただし、他のPCB廃棄物を保管され既に届出をされている場合は、今まで保管されているPCB廃棄物と併せて、「前年度中に新たに発生したポリ塩化ビフェニル廃棄物」の欄に追記し、判明した年度の翌年度の6月30日までに届出していただければ結構です。大阪市では、発生した次年度に届出し忘れることのないように判明した時点での届出をしてください。

Q108 PCB廃棄物の保管状況が何も変わらないのに何故毎年届出しないといけないのか? 

A108

 法第8条では、PCB廃棄物の保管事業者等に対して毎年保管状況等の届出を義務付けております。

 PCB廃棄物については、これまで長期にわたり処分されないまま保管されてきた経過があり、紛失、行方不明等もみられる状況にあります。PCB廃棄物の確実かつ適正な処理の確保のためには、その保管及び処分の状況を把握し、これを基に国のPCB廃棄物処理基本計画や都道府県のPCB廃棄物処理計画を策定し、計画的な処理を推進するとともに、紛失、行方不明等が生じないように監視、指導することが不可欠であることから、毎年度定期的な届出を保管事業者等に義務付けることとしたものです。(法逐条解説)
 この届出の義務は、法の施行に必要な基本的かつ重要な情報を収集するための規定であるため、届出を行わなかった者、また虚偽の届出をした者は6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処される場合があります。

9 その他の特別管理産業廃棄物等

Q109 特別管理産業廃棄物である「引火性廃油」にはアルコール類も含まれるのか?

A109

 特別管理産業廃棄物の「引火性廃油」について、施行令では「廃油(燃焼しにくいものとして環境省令で定めるものを除く。)」と定義され(施行令第2条の4第1号)、施行規則では、燃焼しにくいものとして「タールピッチ類」と「揮発油類、灯油類及び軽油類を除く廃油」が規定されている(施行規則第1条の2)ことから、法令上は、揮発油類、灯油類及び軽油類が特別管理産業廃棄物の廃油に該当し、アルコール類は該当しません。

 しかし、法の趣旨に鑑み、引火点概ね70℃未満の液状を呈する廃油(廃溶剤を含む)を特別管理産業廃棄物の「引火性廃油」として取り扱っています、具体的には、メタノール、アセトン、BTX(ベンゼン・トルエン・キシレン)等も特別管理産業廃棄物に準じて取り扱うことが必要です。

 なお、「引火性廃油」をその他の廃油と混合することによって引火点概ね70℃以上として「廃油」として処理することは、特別管理産業廃棄物の処理基準(焼却、蒸留再生等)に適合しませんので認められません。

Q110 鉛、六価クロム等の有害重金属を含む合成樹脂塗膜は、特別管理産業廃棄物か?

A110

 合成樹脂塗膜は、廃プラスチック類に該当しますが、法令上は、鉛、六価クロム等の有害重金属を含んでいても特別管理産業廃棄物には該当しません。

 (注) 特別管理産業廃棄物の中の特定有害産業廃棄物の一種には、有害物質(鉛、六価クロム等の有害重金属、有機塩素化合物等)を含む産業廃棄物がありますが、産業廃棄物の種類は、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、燃え殻、ばいじん、鉱さいに限られており、判定基準を超えて有害物質を含むものが該当します。(鉱さい以外は、特定の業種・施設から排出されるものに限られます。)

 しかし、埋立処分の基準として、「埋立地からの浸出液による公共の水域及び地下水の汚染を防止するために必要な設備の設置その他の措置を講じること(ただし、公共の水域及び地下水を汚染するおそれのないものとして定める場合はこの限りでない)」と定められているため、有害重金属が溶出するおそれのある合成樹脂塗膜を、これらの措置が講じられていない安定型処分場で埋立処分することは適当ではありません。

 また、有害重金属の溶出量が、「金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令」で定める値を超える場合は、しゃ断型処分場で埋立処分するなど、特定有害産業廃棄物に準じて処理することが望まれます。

Q111 学校から排出される石綿含有金網や機械部品に使われていた石綿含有パッキンは、特別管理産業廃棄物又は石綿含有産業廃棄物か?

A111

 法令上は、特別管理産業廃棄物の廃石綿等及び石綿含有産業廃棄物のいずれにも該当しませんが、その性状に応じて、飛散性のものは、特別管理産業廃棄物の廃石綿等に準じて、非飛散性のものは、石綿含有産業廃棄物に準じて処理してください。

(注)廃石綿等(特別管理産業廃棄物)の定義

  • 石綿建材除去事業において除去された吹き付け石綿
  • 石綿建材除去事業において除去された石綿を含むもので次に掲げるもの   (1)石綿保温材 (2)けいそう土保温材 (3)パーライト保温材 (4) (1)~(3)と同等以上に石綿の飛散のおそれのある保温材、断熱材、耐火被覆材石綿建材除去事業において用いられ、廃棄されたプラスチックシート、防じんマスク、作業衣等で石綿が付着しているおそれのあるもの
  • 大気汚染防止法の特定粉じん発生施設が設置されている事業場において生じた石綿であって、集じん装置によって集められたもの
  • 大気汚染防止法の特定粉じん発生施設又は集じん施設を設置する工場、事業場で用いられ、廃棄された防じんマスク、集じんフィルター等であって石綿が付着しているおそれのあるもの

【石綿含有産業廃棄物の定義】
 工作物の新築、改築又は除去に伴って生じた産業廃棄物であって、石綿をその重量の0.1%を超えて含有するものをいいます。産業廃棄物の種類としては、「がれき類」(石綿スレート板等)、「ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず」(石綿石膏ボード等)、「廃プラスチック類」(石綿含有Pタイル等)等に該当します。

Q112 PFOS含有産業廃棄物は特別管理産業廃棄物か?

A112

 PFOS含有産業廃棄物は特別管理産業廃棄物ではありせん。
 PFOS又はその塩は、平成22年4月に化学物質審査規制法の第1種特定化学物質に指定されましたが、現在、特別管理産業廃棄物(特定有害産業廃棄物)となる有害物質とはされておりません。

 PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸、通称「ピーフォス」)は、有機フッ素化合物の一種で、直鎖状に並んだ8個の炭素原子すべてにフッ素原子が結合しており、末端にスルホン酸基が結合しています。水にも油にも溶けやすく、耐熱性、耐薬品性、光透過性、イオン透過性、界面活性という優れた特性を有し、界面活性剤、撥水剤、泡消火剤、半導体・金属メッキの表面処理剤、業務用写真フィルム等として広く用いられてきました。
 しかし、非常に安定な化合物であるため、環境中で分解されにくく、野生生物や環境中に広範囲に存在していることが報告されています。
 PFOSの毒性としては、ペルオキシソーム増殖作用を持っており、この作用を通じて活性酸素の生成、発ガン作用、コレステロール代謝の撹乱などの影響が現れると考えられています。また、生体内で胆汁と誤認され、薬物の代謝などにみられる腸肝循環を起こしていると言われています。

 PFOSは2009年(平成21年)5月に開催された残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(通称「POPs条約」)第4回締約国会議において新たに条約付属書への追加が採択され同条約の廃絶・制限の対象物質とすることが決定されました。
 これを受けて日本では平成22年4月にPFOS又はその塩を化学物質審査規制法(化審法)の第1種特定化学物質に指定し、PCBなどと同様に製造及び輸入の許可制、使用の制限等の措置が講じられています。

 PFOS含有産業廃棄物は、現在、特別管理産業廃棄物とはされておりませんが、環境省が平成22年9月に定めた「PFOS含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項(環境省)別ウィンドウで開く」(令和4年12月改定)に基づき処理することが必要です。PFOS含有産業廃棄物は、この技術的留意事項に基づき分解処理されるべきであって脱水等の分解処理を行わない性状で埋立処分することはPOPs条約に照らし不適切です。

 技術的留意事項のうち分解処理方法の概要は次のとおりです。

  • 分解率 99.999%(5ナイン)以上であること。
  • 排水、残渣中のPFOS濃度 排水 2μg/L以下 残渣 3mg/kg以下
  • フッ化水素濃度 排ガス 5mg/Nm3未満 排水 8mg/L未満(海域以外の公共用水域) 15mg/L未満(海域)

 現時点では焼却処理(約850℃以上)は、これらの要件に該当すると考えられますが、この場合であっても、燃焼ガスの十分な滞留時間を確保する必要があることに留意する必要があります。

 泡消火設備・消火器等の点検、補修、実災害に伴い排出された泡消火薬剤は汚泥又は廃酸・廃アルカリとして、業務用写真フィルムに用いられた廃フィルムは廃プラスチック類として、現像廃液は廃アルカリ・定着廃液は廃酸として、エッチング剤は廃酸・廃アルカリとして、半導体用レジストに用いられた廃レジスト液等は廃プラスチック類、廃現像液・剥離工程廃液は廃酸・廃アルカリとして、それぞれを許可の事業の範囲に含む産業廃棄物処理業者であって、技術的留意事項に基づいて適正に処理することができる業者に委託してください。

Q113 水銀が含まれる廃棄物の処理に関する法規制を知りたい。

A113

  廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令及び施行規則が平成28年4月1日及び平成29年10月1日改正施行されたことにより、水銀廃棄物に関する規制が強化されており、水銀が使用された蛍光管やボタン電池などを処理する場合の処理基準が強化されました。詳細は「水銀廃棄物の適正処理について」をご覧ください。

 そのほか、参考資料が下記に示す環境省のホームページも参考資料が掲載されておりますのでご確認ください。

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大阪市 環境局環境管理部環境管理課産業廃棄物規制グループ

住所:〒545-8550 大阪市阿倍野区阿倍野筋1丁目5番1号(あべのルシアス13階)

電話:06-6630-3284

ファックス:06-6630-3581

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