蚊が媒介する感染症
2025年3月25日
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世界的に蚊が媒介する感染症は多く発生しており、特に熱帯・亜熱帯地域で流行しています。日本国内ではこれまで流行したことのないものがほとんどですが、輸入例として海外での感染が疑われる事例が報告されています。

どんな病気があるの?
感染症法で、全数把握疾患として四類感染症の対象となっているのは以下の11疾患です。
疾患名 | 病原体 | 発生地域 | 潜伏期間 | 症状 | 治療・予防方法 | 日本国内での発生状況 |
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デングウイルス | アジア、オセアニア、アフリカ、中南米の熱帯・亜熱帯地域 | 2~15日 | 突然の高熱、頭痛、眼窩痛、顔面紅潮、結膜充血に続いて、全身の筋肉痛、骨関節痛、全身倦怠感を呈する。発症後3~4日後に発疹が出現する。症状は1週間程度で回復する。重症型としてデング出血熱(デング熱と同様に経過するが、解熱時に出血傾向になり死に至ることもある)があり、全身管理が必要となることもある。 | 抗ウイルス薬やワクチン等はなく、対症療法を行う。 | 平成26年に約70年ぶりに国内発生が報告された。例年、輸入例が多数報告されている。 | |
チクングニア熱 | チクングニアウイルス | アジア、アフリカの熱帯・亜熱帯地域 | 3~12日 | 発熱と関節痛は必発で、関節痛は急性症状が軽快した後も、数週間から数カ月にわたって続き場合がある。その他の症状としては、発疹、全身倦怠感、頭痛、筋肉痛、リンパ節腫脹である。重症例では神経症状(脳症)や劇症肝炎が報告されている。 | 国内での感染・流行はないが、輸入例が報告されている。 | |
ジカウイルス | アフリカ、中央・南アメリカ、アジア太平洋地域 | 2~12日 | 主として軽度の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、斑丘疹、結膜炎、疲労感、倦怠感など。症状は軽く2~7日程度で落ち着く。ただ、ジカウイルス感染と胎児の小頭症との関連やギラン・バレー症候群の発症との関連について疑われており、調査が行われている。 | |||
ウエストナイルウイルス | アフリカ、ヨーロッパ、中東、中央アジア、西アジア、米国など | 2~14日 | 発熱、頭痛、背部の痛み、筋肉痛、食欲不振、リンパ節腫脹など。発疹が認められる場合もある。通常1週間以内で回復するが、重篤化し、髄膜脳炎や脳炎を発症することもある。 | |||
日本脳炎ウイルス | 日本、韓国、中国、東南アジア、南アジアなど | 1~2週間 | 急激な発熱と頭痛、その他、全身倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐、腹痛など。その後、症状は悪化し様々な神経症状が出現する。発熱は発症4~5日に最も高くなり、その後次第に低下する。致死率は約25%、患者の50%は後遺症を残し、その他は回復する。 | ワクチン接種(※)が最も効果的な予防方法である。治療は対症療法を行う。 | 国内での発生はあるが、ワクチン接種により流行は阻止されている。 | |
マラリア | マラリア原虫(種類によって、熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、四日熱マラリア、卵形マラリアに分類される) | アジア、オセアニア、アフリカ、中南米 | 7~40日程度 | 発熱、悪寒が主症状。熱は間隔をあけて発熱期と無熱期を繰り返す。未治療の熱帯熱マラリアは急性の経過を示し、錯乱など中枢神経症状(マラリア脳症)、急性腎不全、重度の貧血、低血糖、DICや肺水腫を併発して発病数日以内に重症化し、致死的となる。 | 抗マラリア薬の投与による治療を行う。予防薬は、渡航先(予防したいマラリアの種類)に応じて適切なものを服用する。 | 以前は国内での感染・流行があったが、現在は輸入例の報告のみである。 |
黄熱 | 黄熱ウイルス | アフリカ、南米 | 3~6日 | 高熱、悪寒、嘔吐、筋肉痛、出血、蛋白尿、比較的徐脈、黄疸など。通常は1週間程度で回復に向かうが、重症の場合には乏尿、心不全、肝性昏睡等により、約10%が死亡する。 | ワクチン接種が最も効果的な予防方法である。治療は対症療法を行う。 | 国内でまだ発生が報告されていない |
西部ウマ脳炎 | 西部ウマ脳炎ウイルス | アメリカ大陸 | 5~10日 | 頭痛、発熱、様々な神経症状、ときに異常な精神状態などがみられる。脳炎を生じると意識障害、麻痺がみられる。特に乳児では急速に経過し、生残者の60%以上で脳に障害を残して進行性の知能発育不全をきたす。年長になるほど回復は早く、通常は5~10日で回復する。 | 抗ウイルス薬やワクチン等はなく、対症療法を行う。 | |
東部ウマ脳炎 | 東部ウマ脳炎ウイルス | 3~10日 | 高熱、悪寒、倦怠感、筋肉痛など。1~2週間で回復することが多いが、脳炎を発症すると、昏睡、死亡に至ることがある。脳炎は50歳以上や15歳以下で起こりやすく、致死率は30%以上にも上り、生残者の半数に神経学的後遺症がみられる。 | |||
ベネズエラウマ脳炎 | ベネズエラウマ脳炎ウイルス | 2~5日 | 発熱、頭痛、筋肉痛、硬直など。中枢神経症状(痙攣、麻痺など)が、15歳未満の小児患者の4%にみられる。致死率は10~20%とされている。 | |||
リフトバレー熱 | リフトバレー熱ウイルス | アフリカ(特にサハラ以南) | 2~6日 | 発熱、頭痛、筋肉痛、背部痛等のインフルエンザ様症状。神経症状や肝機能障害等を呈することもある。通常、4~7日で回復する。重症例では網膜炎、出血熱、脳炎を発症することがある。致死率は全体としては1%程度であるが、出血熱を呈した場合には50%にも達する。後遺症として、網膜炎後に失明することがある。 |
※日本脳炎のワクチンについてはこちらをご覧ください。

蚊の予防・対策について
蚊が媒介する病気を予防するには、蚊に刺されないようにすることが重要です。
流行地域へ行かれる際は、蚊のいそうな場所にはなるべく近づかないようにしましょう。また、長袖・長ズボンの着用で肌の露出を少なくし、虫よけスプレーや蚊取り線香などの対策を行いましょう。

関連リンク

もっと詳しい情報が必要な方へ
- 国立感染症研究所
- 感染症・予防接種情報
厚生労働省
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